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シナリオ詳細

常春を彩る囁き

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●常春を彩る囁き
 深緑『アルティオ=エルム』に眠りし遺跡の果てに広がる伝説の土地『妖精郷アルヴィオン』。
 優しい暖かさに包まれた常春の地であるここは、以前は魔種達に蹂躙されてしまっていたのだが……イレギュラーズの力により、魔種達は退けられた。
 その結果……命の恩人であるイレギュラーズ達に絶大なる信頼を寄せており、訪れるイレギュラーズ達を歓迎してくれる。
 ……だからこそ、妖精達に巻き起こる事件で、自分達の力で解決出来ない事件もまた、全幅の信頼を置くイレギュラーズ達に御願いするのは自然な流れ。
「……ふふ、今日も皆さん、ご機嫌な様ですね……」
 と『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)は、定期的に深緑に里帰りしており、妖精さんたち交流をする為にここ、妖精郷にも足を伸ばしていた。
 いつもなら、妖精さん達が自然と彼女の周りに近づいて来て、彼女の奏でるリラに合わせて歌ってくれたり……彼女の周りで踊ってくれたり。
 でも……。
『おねーさん、おねーさん! あのね、あのね、たいへんなの!! わたしのともだちが、とじこめられちゃったの!!』
『でも、わたしたちのちからじゃどーやってもたすけられないの……いれぎゅらーず、のちからをかしてほしいの!!』
 彼女の周りをくるくると周りながら、緊急事態を報せる妖精さん達。
 ……いつも穏和で、歌ったり踊ったりする事が好きな彼女達だけど、かなり焦っている様に見える。
 そんな妖精さん達の緊急事態に、ルリアは。
『わ、わかりました……くわしく、お話を聞かせて下さい……!」
 と、妖精さん達に、詳しくお話を聞くのであった。


「皆さん、あの……突然お呼び出しして、本当、すいません……!」
 ギルド・ローレットにて、ぺこりぺこりと頭を下げるルリア。
 彼女の必死な表情に集まった君達は、まだまだ詳しい情報を聞いていなかったのだが、彼女の素振りを見れば、かなりの緊急事態であろう、と容易に予測がつく。
 取りあえず落ち着いて、と君達が宥めると、ルリアは。
「すいません……あの、妖精さんが困ってて……妖精さんが遺跡の中で閉じ込められてしまった様なのです。崩れた瓦礫とかが一杯で、妖精さん達の力では、どうやっても取り除けないらしくて……」
「それに、この遺跡には、よからぬ噂がある様なのです。遺跡の中に、暴走した精霊の力が充ちている様で……もしかしたら、荒れ狂う精霊さん達が、この事件を引き起こしてしまったのかもしれません……」
「この遺跡なのですが……妖精さん達にとっては、とっても居心地が良くて、重要な場所だと言ってました。恐らく精霊さんと妖精さんが、交流を行っている集会場、みたいな所なのでしょう……だからこそ、妖精さんを助けて、荒れ狂う精霊さんを宥めて妖精さん達にとって居心地の良い場所を取り戻して差し上げたいのです……その、お力、お貸し頂けると、助かります……』
 そうルリアは、更に申し訳無さそうに頭を下げた。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回、深緑の妖精郷『アルヴィオン』の遺跡での依頼となります。
 もちろん話を聞いたルリアは、助けなきゃ、という使命感強く同行致します。

●妖精郷アルヴィオンとは
 アルティオ=エルム(深緑)に眠る遺跡の果てにある、伝説の土地です。
 妖精達が平和に暮らしています。
 魔種に蹂躙されたアルヴィオンをイレギュラーズが救いました。
 妖精達はイレギュラーズに深い感謝と信頼を抱いているでしょう。

●成功条件
 閉じ込められた妖精さん達の救出と、中で荒ぶっている精霊さんを宥める(物理的含む)事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●周りの状況
 舞台となるのは、妖精郷の遺跡です。
 ここには古くから様々な精霊達が棲みついており、妖精さん達もそんな精霊さんとお話したりできる場所、という感じで訪れていたようです。
 ですが今回、理由不明ながら精霊達が突然怒りだしてしまい、遺跡の入口を崩落させて、中に入った妖精さん達を閉じ込めてしまいました。
 
 ただ今回の崩落は、天井が崩れ墜ちただけなので、皆様の力があれば撤去するのは難しくありません。
 撤去すれば、怯えている妖精さん達が8人程いますので、妖精さんの救出はそこまで難しく無いでしょう。
 
 ただ妖精さんを救出すると、それとほぼ同時に荒ぶる精霊さん達が襲い掛かってきてしまいます。
 精霊さん達は、妖精さんを救出したイレギュラーズの皆さんを優先して攻撃してきますが、流れ弾が妖精さんに当たったら大ダメージになりかねませんので、妖精さんを守りつつ精霊さんを宥める(倒すも含む)事が必要となります。
 ちなみに非殺で気絶させる事により、精霊さん達は目を覚ますと商機に戻るようです。

●討伐目標
・炎の精霊『ファイア・エレメンタル』 x 6体
・土の精霊『ノーム』 x 8体
・風の精霊『シルフ』 x 6体
・霧の精霊『ガスト』 x 4体
  凶暴化してしまった精霊達です。
  基本的にはそれぞれ、己の持つ属性の力で遠隔攻撃をしてきます。
  更に、以下2つの属性の精霊は、属性の力による攻撃の他の行動が可能です。
  ・土の精霊のノーム達は地面を轟かせる事で皆様の足止めをします。
  ・霧の精霊のガスト達は、空間に霧を立ちこめさせる事で、視界不良(暗闇と同じ効果)を引き起こします。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 常春を彩る囁き完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月09日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
虹色
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
エリス(p3p007830)
呪い師
ソニア・ウェスタ(p3p008193)
いつかの歌声
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

リプレイ

●妖精の請い
 深緑『アルティオ=エルム』に眠る遺跡の果て、『妖精郷アルヴィオン』。
 小さく可愛い妖精さん達が、イレギュラーズ達の力により魔種が退けられ、今は幸せに過ごせているという……そんな常春の桃源郷。
 しかし、そんな妖精さん達の救いを求める声。
「本当に、皆さん……お手伝い頂き、ありがとうございます……!」
『ほんとう、ありがとうなの! たいへん、なの!!』
『みんな、こっちなの、はやくく、はやくなの!!』
 『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174) と、その周りを飛び回る妖精さん達がぺこりぺこりと頭を下げる。
 そんな妖精さん達に、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)が。
「大丈夫です。必ず、皆さんのお仲間さん達は、俺が絶対に助けます」
 妖精達を落ちつかせるように宥めつつ、強い意志を口にする。
『うん、ほんとうに、ありがとうなの!!』
 と、サイズの言葉にちょっとだけ落ちついた感じはあるも、でも、皆の裾をぐいぐいと引いていくのは変わらない。
 そんな妖精さん達の慌てぶりから見て、今迄はそんな事も無く平穏に過ごしていたのだろう……しかし突然精霊さん達が荒ぶり、遺跡が崩れ、精霊達が怒っていると考えてしまうのも納得出来る、寝耳に水の事件であったのだろう。
「フッ……瓦礫の撤去作業とはつまらん仕事だ。魔種の被害に遭った各国でやらされたものだが、ここ、妖精郷でも頼まれるとはね」
 確かに『閃電の勇者』ヨハン=レーム(p3p001117)が肩を竦める様に、瓦礫を撤去する仕事自体は、今迄も良く良くある事件。
 それにここは妖精郷……住まうのは小さな小さな妖精さん達と、精霊さん達ばかり……でも今回の遺跡は、人が足を踏み入れるのに充分な高さと広さを持った遺跡でもある。
 少なくとも妖精達が作った施設ではないのは明かではあるが……妖精達は、その事は全く気にしている気配も無いし……ここに居る仲間達は、そんな妖精さん達を助けたいという意思で妖精郷を訪れている。
 ともあれ、今回の事件はそんな瓦礫の崩落に巻き込まれて出れないで居る妖精さん達を救助する事が、今回の依頼な訳で。
「……まぁいい。こんなくだらんアクシデントで犠牲者が出るというのも笑えないからな、手伝ってやるか」
 とヨハンはニヒルに笑みを浮かべ、そして。
「しかし精霊の暴走……とはな。R.O.Oでも似たような事件が発生している様だが……」
「そうね! 妖精ちゃん達、身体ちっちゃいもんねえ。埋まっちゃったら確かに大変! 急いで助けてあげないとっ!」
 サイズが思慮に『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)が声を上げる。
 それに『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)も。
「そうみたいね。まぁ……精霊さん達が妖精さんに怒った、とか……?」
 と小首を傾げると、妖精さん達は。
『そんなこと、ないはずなの! すうじつまえは、ふつうにおはなしをしてたはずなの!!』
 ぶんぶんと首を振る彼女に対し、そ、そうね、と頷きつつ。
「でも……得てして世の中、こういう風に誰も悪くないのにって事、往々にしてあるわよね……?」
 と仲間達に振り返ると、それに『いつかの歌声』ソニア・ウェスタ(p3p008193)が。
「そうですね。『どうして精霊達が暴れ出したのか』は気にはなります。ですが今、それを悠長に調べている暇もありません……まずは先に妖精さんを救出しなくては……ですね」
 小さく拳を握りしめるソニア、そして『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)と『呪い師』エリス(p3p007830)も。
「そうね。精霊さん急に怒っちゃったのも不思議だけど、まずは妖精さんたち助けなきゃ!!」
「確かに……暴走して荒れ狂う精霊さんの事は気になりますが、まずは遺跡の中に閉じ込められた妖精さんを救出しなくては……ですね!」
 と、覚悟を決める。
 このアルヴィオンの地……妖精と精霊達が共存する世界……仲違いする事も有ろうが、共に共存する事こそが、最良の手。
「……悩んでても仕方が無い。今は妖精の救助が最優先だ! だから、絶対に助ける!!」
 悩みを振り払う様に、サイズが少し声を荒げると、それに。
「まぁ、その誰も悪くないで物語が悲しい方向に向かうのも嫌だもの。頑張って良い終わりを迎えられるよう、慎重にやりましょう」
「ええ。先ずは妖精の救助。その為にも瓦礫の撤去を……精霊が襲ってきた時に、すぐに妖精を庇えるように最新の注意を払って行かないといけませんね」
 ヴァイスに『守る者』ラクリマ・イース(p3p004247)が注意喚起。
 瓦礫を撤去する、という力仕事にソニアは。
「……お姉様たちではあるまいし、腕力には自信は全くないですが……ち、小さめの瓦礫くらいなら動かせますよね。たぶん、きっと……恐らく。ダメそうだったら、どうか力を貸して下さいお姉様……」
 一抹の不安を覚えつつ、イレギュラーズ達は妖精達の誘いに誘われるがまま、巨大な遺跡へと急ぐのであった。

●翡翠に鈍く
 そして、常春の郷を暫し歩き……目の前に現れる遺跡。
『ここなの、ここでみんなが、閉じ込められちゃったの!!』
 指を指す妖精さん。
 確かに遺跡の入口の瓦礫が崩落し、入口は完全に封鎖されてしまっている……そして、そんな瓦礫の中から。
『たーすけてーーー、なのーーー!!』
『ここにいるのーー!!』
 と、妖精さん達のくぐもった救いを求める声が、耳を澄ますと聞こえてくる。
「だ、大丈夫です! 安心して、ください……!」
 とルリアが瓦礫に向かって呼びかけ、更にクルルも。
「妖精さんたち、すぐに助けるから、もうちょっとだけ我慢してね!」
 と励ましの言葉を掛ける。
 そんなイレギュラーズ達の声に、瓦礫の中に閉じ込められた妖精達は。
『わからないけど、たすけてーなのー!!』
『おねがい、なのー!!』
 と声を上げる。
 そして……。
「それじゃ、さっさと始めるとするか」
 とヨハンが仲間達を促し、瓦礫に足を掛ける。
 確りと足元に積み重なった瓦礫の一欠片は、妖精さん達の身体よりも大きいので……妖精達でそれを除けることが出来ないのは明らか。
 とは言え人の大きさからすれば、その半分位の大きさ程度なので、イレギュラーズ達で除ける事自体は、そこまで難しくはなさそう。
「……すまないが、撤去は頼めるか? 俺は瓦礫に妖精達が潰されないように、状況を見極めておきたい」
「ん……ああ、解った」
 と妖精ほどの大きさのサイズは瓦礫撤去が難しいので、妖精達の声に常に注意を張り巡らせて、万が一にも妖精さん達が潰されないように細心の注意を払う。
 そして、ヨハンを中心に、ラクリマ、エリス、ヴァイスやソニアらが一つ一つ瓦礫を撤去。
 さらにキルシェは。
「ルシェも撤去してみるわね……!」
 と言いつつ瓦礫を撤去しようとするが……小さな身体では、一つどかすのでも精一杯。
「キルシェさん、余り無理はしないで! 大丈夫、私達が取り除くから、ね?」
 とエリスの声に、うーんうーん、と悩んだ後に。
「解ったの! それじゃ、キルシェは精霊さんたちを探してみるの!」
 と、その場の周囲に咲く植物たちの所へ向かう。
『……? なにをしてるのー?』
 と妖精さんが彼女の近くに不安そうに飛んでくると、キルシェはニコッと笑いながら植物さんに手を掲げて。
「ねぇ、植物さん。ここで精霊さんたちは暮らしているの?」
 と問いかける。
 ……そんなルシェの言葉に、植物は頷く。
「そうなの? 今、精霊さん達、どこにいるかわかるかしら? 方向だけでもわかれば、襲われたときに対応しやすいと思うの!」
 と、更に問いかけを重ねると、植物の穂先は瓦礫の方に向けて靡く。
「向こうの方なのね! ありがとう!」
 植物達の話からして、崩落した先に精霊達が居るのも明らか。
「そうですか……が、頑張ります……!」
 ルリアとソニアも腕を捲り、華奢な身体で瓦礫を撤去。
「それにしても、瓦礫をどかせば、妖精さんを助けられはするけれど……何故か精霊さんは怒っているのよね? なんでなのかしらね? 話し合いで……解決できそうには見えないけれど」
 とヴァイスがふとした疑問を口にすると、それにエリスが。
「そうですね。でも妖精さん達は何もしてないって言うし、何かの言葉のすれ違い……かもしれないですね」
「ええ……なら声はかけてみましょうか。私のギフトは、何とでも会話できるものだから……」
 と、そんな会話をしている間にも瓦礫は更に撤去されていき、段々と妖精さん達の声がはっきりと聞こえ始める。
 そして。
「あと、もう少しだね。みんな、がんばろーっ!」
 力仕事の疲労を激励で元気付けるクルル。
 ……そして、結構な瓦礫を撤去し、妖精達の声が、一枚岩を隔てた具合で、はっきりと聞こえる所まで到達。
 蓋のように覆っていた瓦礫を取り除くと、僅かな空間になっていた所に閉じ込められていた妖精達を発見。
『うわぁーーん、やっと出れたのーー!!』
『ありがとうなのーー!!』
 泣きべそをかきながらも、救いの手に飛び出してくる妖精達。
「居たか。だけど十中八九、精霊との戦いが起きるんだろうねぇ……ほら、出たぞ」
 ヨハンが呟くと共に。
『……ウー、ウー……!』
 唸り声と共に、足元が激しく振動……そして瓦礫の下から、小さな土の精霊、ノームが出現。
 更にノームに続けて炎、風、霧の精霊達も瓦礫の上に次々と姿を表し……とるものとらず、先手の攻撃を仕掛けてくる。
 そのターゲットはもちろん、助け出された妖精達。
『やだーーーなのーーー!!』
 慌てて妖精達はイレギュラーズ達の方向に飛んでいくが、それを追いかける精霊達。
「全く。僕としてはお前らなど吹き飛ばしても構わんのだが、根本的な問題解決には繋がらないのでな。また崩落されて呼ばれるのも面倒だ。正気に戻って、反省して貰うとするか! 精霊と僕の魔力、どちらが上か見せてやるぜ。来な」
 すっとヨハンが間に割り込み、己の秘めた力を解放。
 更にサイズも、妖精達と入れ替わるように前線へ進み出て。
「妖精に手出しは絶対にさせるものか! 手出ししたいのなら、妖精武器の俺を破壊して見せるんだな!!」
 と威嚇する声を上げて、先陣を切り黒の大顎の一撃をノームに食らわせる。
『ウゥゥ……』
 苦しむノームの声。
 そしてはっきりとした言葉は無いものの、明確に精霊達の敵意は、イレギュラーズに向けられる。
 そんな精霊達に。
「やはり……ですか。この数を疎通で抑えるのは難しそうですね。できれば戦闘はしたくないのですが……まずは落ちついて貰いましょう」
 とラクリマは息を吐くと、それにキルシェも頷きながら。
「精霊さんたち! なんで怒ってるの? ルシェに理由教えてください! 理由が分かれば、解決お手伝い出来るのよ!!」
 と呼びかける。
 ……でも、精霊達は声を発さない。
 ノームが地震を起こしてイレギュラーズ達の足止めをしつつ、ガストが霧を立ちこめさせ、視界を覆い隠す。
『うう……こわいよぉ……」
 愉しく会話していた筈の精霊さん達の変わりように、更に怯える妖精達。
「大丈夫大丈夫……妖精さん、お怪我はないですか……?」
 とソニアが出来るだけ穏やかに声を掛けると、こくこく、と頷く。
「なら良かった。大丈夫。みんな、ちょっとお菓子でも食べて、おちついて?」
「うん、ほらルシェのお水を飲んで、これ飲むと落ちつくのよ!」
 そうクルルが金平糖を、キルシェがギフトで作ったお水を妖精達に渡して落ちつかせつつ、更に精霊達へ。
「本当……あなた達は何で怒っているのかしら? 妖精さん達と愉しく話していたのでしょう?」
「そうですね……ここに居る妖精は敵じゃありません。皆さんの友達です」
 ヴァイスとラクリマが呼びかけるが、やはり聞く耳持たず。
「……本当、どうしてしまったのでしょう……」
 とルリアが悲しげに呟くが……真意は分からないまま。
「まぁ、仕方ない。長期戦になりそうだが、望むところだ。長引く戦いで僕に勝てると思うな」
 とヨハンの宣言と共にサイズも頷き。
「ああ。妖精さんが傷つくような真似は、絶対にさせない……!」
 と覚悟を決める。
 そして妖精さん達を流れ弾が当たらぬ様にその場から避難させつつ……妖精達に対峙。
「みんな、私が精霊達を弱らせるから、不殺は任せたよ!」
 とクルルは素早く、甘く痺れる一矢を放ち、そこから薫る禁忌の香りで妖精達へ呪縛と麻痺を付与。
 行動が制限された所へサイズは再度大きな声で戦線布告し、怒りの漏れた精霊を残さない様に動く。
 そしてエリスは敵を深く傷付けない術で攻撃を行う。
 一方で。
「あんまり暴れないで欲しいわ。危ないでしょう?」
 とヴァイスは精霊達二言いつつ、遠距離から武器に付いた力のみで攻撃。
 同時にラクリマとソニアは神の光で攻撃。
 不殺効果を持つ攻撃は、当然ダメージもそこまで高くは無い。
 だけど、精霊達を殺して仕舞っては、妖精達も悲しむだろうから……出来る限りの不殺を狙う。
 ……そんなイレギュラーズ達の動きに対し、精霊達は殺す気で攻撃してくる。
 最前線に立つサイズは当然、それら攻撃を受けてかなりのダメージを負う事になるが……そこはヨハンが直ぐに回復を飛ばし、時には彼が注意を惹くことによって、窮地を凌ぐ。
 そんなイレギュラーズ達の動きにより、荒れる精霊達は一匹、また一匹と倒れていく。
 ……そして、そんなイレギュラーズ達を見た妖精達は。
『が、がんばってーなのー!!』
 遠くから全力で声援を上げて、イレギュラーズ達を応援。
 そして妖精達の応援を一身に受け、かなり時間は掛かりつつも……精霊達はその場に倒れていった。

●可愛い命
 そして……。
「……どうにか終わった様ですね」
 と息を吐くラクリマ。
 汗を拭い、そして振り返ると……とても嬉しそうな妖精さん達。
『わーーい、ありがとうなのーー!!』
『ほんとほんと、ありがとうございます、なのー!!』
 まるで妖精の輪舞の如く、嬉しそうに踊る。
 ……そんな妖精さん達に微笑を返しつつ、クルルは。
「それにしても、この精霊さん達、どーしてこんなに暴れてたんだろうねえ。おなかが空いてたのカナ?」
 小首を傾げると、それにソニアが。
「そうですね……でも、精霊さんはお腹が空く事、あるのでしょうか……?」
「確かにそうだね……うーん……解んないね……」
 と苦笑するクルル。
 ……取りあえず、精霊達が目を覚ますまでは何とも言えない所。
 妖精さん達を治療しつつ、少しでもヒントになる所がないかを聞き出しつつ……精霊さん達が目を覚ますのを待つ。
 ……そして。
『……』
 ぴょこん、と身を起き上がらせるノーム。
 きょとんとして、左へ右へ視線を配す……イレギュラーズ達を見て、小首を傾げる。
「あ、精霊さん、大丈夫?」
 とキルシェが微笑みながら声を掛けると、ノームはさらに首を傾げる。
「ねえねえ、なんで精霊さん達は怒ってたのかしら? 妖精さん達が、精霊さん達を怒らせるような事をしちゃったの?」
 と問いかけるが、ノーム……更にシルフ、ガスト、エレメンタル達も起き上がっては、きょとんとするばかり。
「……もしかしたら、覚えてなかったり……とかでしょうか?」
 ソニアの言葉に、こく、こく、と頷く精霊達。
 そんな精霊達の元に、閉じ込められていた妖精達がふわりと近づく。
 精霊さんと暫し会話する様な仕草を見せると、くるんと振り返り。
『……せいれいさん、わからないけど、ごめんなさいって……! ううん、わたしたちも、ごめんなさい……わからないけど!』
 微笑む妖精達。
 ……詳細は分からないものの、取りあえず妖精達と精霊達は仲直りした模様。
「まぁ……仲直りしたなら、良い事ですよね?」
 とエリスが苦笑すると、キルシェが。
「そうなの! それじゃ、精霊さん、妖精さん! みんな仲良くお話しましょう!」
 と提案。
『うん、一緒にお話するの!!』
『……』
 妖精の声に頷く精霊。
 ……そんな妖精と精霊のお話に耳を傾けつつ、イレギュラーズ達は常春の時を過ごすのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

妖精郷からのS.O.Sに参戦、ありがとうございます!!
今回精霊さん達がどうして荒ぶったのか……理由不明ながらも、気絶させる事で商機に戻った様です。
……とは言え妖精郷は謎に包まれている部分もあるので、これが平常運転なのかもしれません。

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