シナリオ詳細
再現性沖縄20XX:翔波学園を襲う危機
オープニング
●翔波学園の出前事情
再現性沖縄<アデプト・オキナワ>翔波。
料理で人と通じ合う、ある意味で凄く平和なその場所には、当然のように学校がある。
翔波学園。未来の料理人を育成するエリート学校……というわけではないが、選挙の結果がクッキングバトルで決まりヤンキーがパシリにクッキングバトルで負けて逆にパシらされたり、余った揚げパンをゲットする為に大規模クッキングバトルが発生するような……まあ、そういう学校である。なんだこの学校。
まあ、そんな平和な学園に今……魔の手が迫っていた。
具体的にはクッキングモンスターの手である。そういう意味の魔だ。
「な、なんだこのハンバーガーは……! そうか、ジューシーな黒豚を手作業で挽肉にする事で歯応えと味の両立を……ぐわあああああ!」
「ふっ、他愛なし! 何の工夫もないチャンプルーで俺に勝てると思ったか!」
海老ぞりで大空に吹っ飛んでいく警備員……この沖縄ではクッキングバトルで負けるとそうなる仕組みなので、毎日どこかで誰かが海老ぞりで大空に吹っ飛んでいるわけだが……警備員の作った豆腐チャンプルーを完食しながら、シェフオークはニヤリと笑う。
「豆腐をただの木綿にしたのは逃げだったな……もう少し探せば島豆腐もスパムも生えていただろうに、その怠慢が敗因よ……!」
そう、この沖縄ではあらゆる食材はその辺りに生えている。
シェフオークの言う通り、スパムの生る木も島豆腐の実をつける草も目立たないが存在していた。
この沖縄では、そうした食材の選定眼も大事な要素なのだ。
「というわけで警備の許可はもぎ取った! さあ、生徒の皆様! クソマズイ給食なんか要らんだろう! 俺の黒豚バーガーを喰らうがいい!」
「おお、確かに美味そうだ!」
「食いに行こうぜ!」
生徒たちがシェフオークのバーガー屋台に集まっていくのを見て、教師たちは戦慄する。
「くっ……まずい! このままでは生徒の栄養バランスがピンチだ!」
「だが、あの黒豚バーガーは強敵だ。どうすれば……!」
●平和な給食を取り戻せ
「というわけで依頼です」
チーサ・ナコックは翔波のカフェ・ローレットに集まったメンバーを前にそう告げる。
「先日、翔波学園に現れたシェフオーク率いるクッキングモンスターによって学園の生徒達の栄養バランスが脅かされているです」
確かに翔波学園の給食は正しい食育の名の下に栄養バランスが重視され、味はそこまででもないかもしれない。
しかし、それも子供たちの将来の舌を育てるための教育の一環なのだ。
それを唐突に現れたクッキングモンスターたちに占拠されては、全てが台無しだ。
なんとか子供たちの正しい食育を取り戻さなければならない。
しかし翔波学園の教師が万が一にでも敗北すれば、最悪給食自体がクッキングモンスターたちに乗っ取られかねない。
外部の実力者の助けを今、学園は必要としているのだ!
「今翔波学園はお昼時になると、シェフオーク達が屋台を設営するです。そこに乗り込んで、クッキングバトルで負かしてくるです」
クッキングバトルは沖縄における絶対のルール。負ければクッキングモンスター達は大人しく撤退していくだろう。
翔波学園の生徒たちの未来は今、イレギュラーズに託されたのだ……!
- 再現性沖縄20XX:翔波学園を襲う危機完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年10月05日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●翔波学園のお昼どき
お昼がやってくる。今日もお昼がやってくる。
オーク達もやってくる。そう、翔波学園にオークがやってくる。
敵はオーク。味方もオーク(が1人いる)。
それはさておき、今日もシェフオークの一味が校庭に露店を設置し始めている。
「ふはははは! さあ、者ども! 今日も腹ペコの生徒の皆さんに食事をお届けするぞ!」
「いえっさー!」
慣れた手つきで屋台を組み立てていくオーク達だが……負けた警備員は手を出せない。
教職員も負けた時のことを考えれば迂闊に手を出せない。
だが……今日は彼等がいるのだ。
「沖縄よ、私は帰ってきました」
なんだか沖縄で迷子になっていたらしい『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)が胸を張る。
ちなみに沖縄の人は親切なので道を聞けば教えてくれる。
ただし道を教えてほしければクッキングバトルだ的なことになる可能性もあるので注意が必要だ。
「むむ!? 何者だ! 此処は俺たちのシマだぞ!」
「ぶはははッ、料理作るオークが悪さしてるってなると顔出させてもらわなきゃ嘘ってもんだろうよ!」
そこに進み出るのは『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)だ。
「ぬう、オーク! なるほど……やるな。沖縄適性の高そうな顔をしている……!」
睨みあうシェフオークとゴリョウの視界の外で動くのは『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)だ。
汰磨羈は沖縄が食材が重要と聞き、今回は食材集めというサポートに回るつもりだ。
「再現されたものとはいえ、沖縄でクッキングバトルとは粋じゃないかふふ、これは腹が鳴る……もとい、腕が鳴るな!」
腹が鳴るでも正しい。此処は沖縄だからだ。
「ワタシもハンバーガーやフライドポテトは大好きだけども……こればっかりだとねえ。教育や教養っていうのは選択肢を広げるのが大事。ならワタシのすることは「こういうのもあるよ」って提示することかな」
一方の『恋する探険家』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)もやる気は充分だ。
全員がオーク達を見据え、オーク達も「面白い」とニヤリと笑う。
「面白い! 手前等学園の連中の手先だな!? なら後は料理で語れってな……!」
そうして叫ぶ。
「クッキングバトル、ゴー!」
地面から生えてくる料理台。
そう……翔波学園の未来を賭けた、クッキングバトルの開始である。
●クッキングバトル開始!
「ジューシー肉肉しい黒豚バーガー……これはなかなかの強敵だね! 手下のポテトと唐揚げも学生には人気が高そうだけど……流石にこればっかりだと栄養バランスが心配になるね! 胸やけしたり太ったりって心配も出てくるし、栄養バランスにも気を付けた料理で勝って学生の健康も守ろうね!」
そう、シェフオークが用意しているのは超粗挽き黒豚バーガーだ。
包丁で直接挽肉にすることで食感を残し、味もワイルドかつ奥深いものになる。
そこにたっぷりタマネギソースが加われば、カロリーたっぷりながら香り高く食べやすいバーガーが出来上がる。
だが、他の野菜を挟まない以上栄養バランスは御察しだ。
ならば、ミルキィが作るのは海ブドウのサラダだ。
「メイン料理はゴリョウさんたちに任せて、ボクはサポートに海ブドウを使ったサラダを作るよ☆」
学生がとっつきやすいように海ブドウと野菜・海藻のサラダで口をさっぱりさせて次の料理を美味しく食べさせる作戦だ。
「このレシピ自体は簡単で時間もかからない分、素材の良し悪しが出てきやすいからね、サラダの材料、特にメインの海ブドウの質にはこだわっていかないとね!」
「よし、任せろ!」
汰磨羈が頷き、地面に生えている海ブドウを厳選していく。
「ドレッシングは海ブドウに合う三杯酢をベースにしたもので、脂っこい物を食べた後にかなりさっぱりする仕上がりをイメージして作るかな☆ サラダの効果を最大限に活かすために、料理を出すタイミングには注意したいね! ゴリョウさんが相手のメインに対抗した料理を作るっていってたし、ゴリョウさんの料理を出す直前に出して口の中をさっぱりさせちゃうぞー!」
そう、この作戦のメインはゴリョウだ。
強敵である粗挽き黒豚バーガーに挑戦するゴリョウ。それを最大限サポートする為にミルキィは調理を進めていく。
さて、樹里は何をしているのか。
答えは……ちょっと特殊な食材を使ったニラレバ炒めだ。言葉だけでいうと、実に健康に良さそうだ。
「さて、今回私がとりかかるのはればにら炒めです。まずは見習いオークの隣に生えていた厳選されたオークのればーを引っこ抜き、その辺の蛇口から流れるゴブ乳にたっぷりと漬け込んで血抜き兼匂い取りです」
ダメだ、すでに食材が怪しい。見習いオークがすでに「ひえっ」と声をあげている。
というか、これも食材として認定し自生している辺り、沖縄の闇がチラッと見える気がする。
「その間に軽く食材を調達してしまいましょう。まずは韮のかわりに双子ごーやを採取……あとはもやしなんですが。折角学園の近くですし、なよっとしたもやしを捕まえてきてもいいんですが……少し斬新さに欠けますね……どうしましょう」
呟く樹里は、通り雨……もといもやしの雨が降ってくるのを見つける。
「おや、そんなことを考えていたら涙もやしが降ってきました……そういえば、もうそんな時期でしたか。ちょうどいいですしこれを食材に加えましょう」
ゴーヤのわたを丁寧にとり、サクサクと切っていく。
そうしたら、砂糖と塩を加えて少し放置。苦みを抜く為の処理だ。
この辺りに関しては好き好きなので調理手段が分かれるところだろう。
「臭みを抜いたればーも水気を拭いてから切り、醤油とオーク殺し、生姜汁で下味を付けてから片栗粉を塗して……スライムの脂身と大蒜、生姜を熱したふらいぱんの中にればーを投入…程よく火が通ったら一旦ればーは取り出します。熱しすぎは臭みの元ですからね。それからごーや、もやしを炒め、再びればーを入れておいすたーそーす、醤油、紹興酒、胡椒で味を調えて……最後に隠し調味料、めいどさんのらぶ注入を注げば完成です」
めいどさんのらぶに関しては、そういう材料があるわけではない。念のため。
もしかしたらあるかもしれないが。
さて、では『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)はどうか。
こちらは沖縄発祥の料理で勝負をかけるつもりだ。
警備員はチャンプルーで敗れたが、同じ愚は侵さない。
「あーれきゅいじーぬ!……ってどういう意味じゃっけ? 忘れたのう。まあよいわ、色々とぶっ飛ばすのが先じゃし」
言いながらも、クラウジアの調理台には必要な品々が並んでいる。
「よいか、給食とは子供の健やかな成長のために、味とバランスとボリュームが考えられた食事なのじゃ。断じてそのような肉・脂・肉のジェットストリームをキメさせるためではあらぬ。というわけで、儂もにわかシェフになってやろうではないか! 奇しくもここは再現性沖縄……発祥の品で舌を唸らせるが良いわ!」
ちょっと迷ったのは、再現性沖縄を沖縄と数えていいか迷ったからだろうか?
大丈夫だ。沖縄を信じてほしい。
そしてクラウジアが作るのは魔女風タコライスだ。
なんと、そもそも給食に採用実績のある逸品であるらしい。
「ライスにタコミートを載せただけと侮るなかれ、素材の吟味は当然じゃが、タコミートにも各種野菜を煮溶かして入れておる。野菜のコクが味に深みを与えるのはカレーとかで証明済みじゃろう? そこに香りよく口当たりも良いチーズに、シャキシャキのレタス、トマトを並べて最後に程よい辛さのサルサソース。ベーシックじゃが野菜のコクが奥深い、魔女風タコライスじゃ! 冷たい水、もしくは給食らしく牛乳と召し上がれ! じゃ!」
なんということか。野菜だけでなくチーズを使う事で学生へのアピールも満点だ。
……しかし、ここで「あえて肉」を使う者もいることを忘れてはならない。
「見つけたぞ、黒毛和牛の木だ!」
「ありがとう、汰磨羈さん!」
汰磨羈のサポートもあり黒毛和牛の木を探し当てた『雷虎』ソア(p3p007025)は、自分のキッチンへと新鮮とれたてな黒毛和牛のを運んでいく。
「何だかお肉が悪者みたいになってしまうみたい。そんなのボクは悲しいよ。だってボクはお肉しか食べてないのに強くて綺麗になれたよ? 子供達だってきっとお肉で立派に育つはずなの」
だからソアは思う。
何がいけないんだろう、ボクは栄養とかよく分からない。
きっと食べ方がいけないのだわ。
何が違うのだろう……お料理の手順を比べてみたら良いのかな
シェフオークさんの料理は刻んで、玉ねぎと混ぜて、焼く。
ボクは好物は、獲物を仕留めて、それでガブリ。
……焼き? 火を通すかどうかの違いね!
ところで思ったけれどオークさんが豚肉って共喰い感がすごいの。
後はお肉の種類かな? オークシェフの豚の体の肉は一部だけ。
ボクは割と丸っと食べてる。
きっと内臓系も除けずに食べた方が良いんだ!
そう、それは閃き。
「なら、ボクの考える無敵の給食はこれだー! タイガーキッチン、ゴー!」
叫ぶと同時にソアの調理台は虎柄にメイクアップされる。
「ボクが虎の勘で厳選した牛肉の木をここで初めてさばく。爪を入れて、肉を裂き、狙うのは肝臓の抉り出し! これを綺麗にスライスしてお皿に盛る。タレ皿も用意して出来上がり!」
これが何か。分かるものにはすぐ分かるだろう。
「そう、レバ刺! これが主役だけれど、それだけだと飽きちゃうね。他の食べやすそうなお肉も混ぜて盛っていこうっと」
新鮮だからこそ出来る肉刺し。沖縄であればこそ可能な料理と言えるだろう。
「さあ、お肉を食べて強くなってね!」
さて……『最高の一杯』御子神・天狐(p3p009798)はどうだろうか?
うどんの申し子のようなところのある天狐だが、作るのはやはりうどんだ。
沖縄において、このブレなさは武器だろう。
「なんちゅーカロリーの暴力! まぁわかるぞ、そういった高カロリーの爆弾は若いうちにしか食えんからな! じゃがそれは健康の前借りでしかない。しっかりとバランスを考えたものでないと後々苦労するゾ!」
そう、天狐の言っていることは正しい。カロリーの高いものは年齢がある程度いくとキツくなる。
それはつまりそういったものが不健康であるという証明でもあるだろうか?
「さーてさてさて、となればわしが作るのは美味しくお腹に比較的優しい料理。そう! 沖縄といえば!ソーキうどん! そば? 知らん、そんなもん七夕と一緒に天の川へ流したわい」
どうやらソーキそばをうどんにアレンジするようだ。
その思い切りの良さは、天狐がすでに沖縄に馴染んでいる証拠だろう。
「汁の材料は醤油! 砂糖! みりん! そして泡盛! 今回は学生がおるからの、泡盛は煮てアルコールをしっかり飛ばして使うぞい! こうする事で旨味のみを抽出できるからのう、子供でも安心して食べられるのじゃ!」
うどんに全てを捧げても愛は忘れない。天狐は料理に大切なものをよく知っている。
「鰹ダシに汁材料を混ぜ……そして特大の骨付きスペアリブ! ざっくり茹でてアクや臭みを取る! そしてこいつを圧縮鍋で程よくホロッホロにした後ぶちこんで油揚げに紅生姜と刻みネギをドーン! 烏龍茶を添えて!さぁ!本能の赴くままに喰らうがよい!」
目指すは至高の一品! そう叫んで沖縄を駆け巡り食材を集めた天狐のソーキうどんは完璧。
ならば残りのメンバーはどうか?
フラーゴラは他の仲間をサポートする為のドリンクを作っていた。
「ワタシの作るのはドリンク……! ハイカロリーでこってりでしょっぱあいのばっかり食べて喉越しさっぱりなもの欲しくない……? というわけで『グリーンスムージー』に『にんじんスムージー』『ハーブソーダ』に『ヨーグルトドリンク』!」
グリーンスムージーは小松菜+アボカド+バナナ+牛乳。
にんじんスムージーはにんじん+バナナ+牛乳。
「どっちにも『お砂糖』ちょっと入れるけど不思議でしょう? 甘いんだ。この甘さはバナナの甘さだよ」
ハーブソーダはサイダーに。
ペパーミント+レモンバーム+レモングラス+スイートバジル+ローズマリー。
ハーブはそのままサイダーに入れて見た目もオシャレに。レモンを絞って櫛型に切ったレモンも入れて爽やかに。
透明なガラスやプラスチックのコップに氷も入れれば、カランカランと涼やかな音を立てる。
香りも嗅いで楽しめる逸品の完成だ。
「ヨーグルトドリンクはヨーグルト+牛乳+はちみつだよ。優しい味に舌が休まるはず」
そう、フラーゴラのテーマはまさに癒しだ。
「ゴリョウ、茸だ! 何故かブドウみたいに房になってたが!」
「よおし、最高に業物な茸だ! 流石だな汰磨羈!」
そうしてゴリョウの調理が始まっていくが……本日の影のナンバー1であろう汰磨羈は、そこでようやく一息をつく。
「いやしかし、どの料理も本当に美味そうだな。やばい、涎が出そうだ」
汰磨羈の言う通り、どの料理も美味しそうだ。
究極的には、オーク達の料理もマズそうではない。むしろ美味そうなのだ。
そう、これは美味いもの同士のぶつかり合い。
「ああ、美味いメシの予感がするな」
そんな汰磨羈の予感は当たるだろう。全員の作っている料理はどれも間違いなく絶品で。
ゴリョウもメインになるものを作っているからだ。
「ハンバーグは美味い。確かにその通りだ! シェフオークの黒豚バーガーは成程確かに炭水化物、肉、油の三点ボリュームコンボがマシマシの若者の胃と心を掴んで離さねぇ逸品だろう! だがオメェさんらは学生ってもんを分かってねぇ! 学生は、ダベるもんだ! 食事を楽しみつつ、会話も楽しむ! それが青春ってもんだ! となれば食う時間は必然的に長くなる。冷めるんだよ、バーガーも、ポテトも、唐揚げもな! そうなりゃ魅力は半減以下だ!」
なるほど、確かにバーガーやポテトが冷めた悲しい経験をする学生は多いだろう。
黒豚バーガーが物珍しいうちはいい。
だがそれが日常になれば……自然とダベる方向へ向かい、冷めるのだ。味が落ちてしまうのだ!
だからこそ、ゴリョウが作る物はそうならないものだ。
俺の作る料理は『茸の和風あんかけハンバーグ』!
「黒豚バーガーに対する俺なりのアンサーだ! こいつぁしっかりした肉と茸、そして島豆腐の三種の歯応えに加え、塩分を抑えつつも出汁を効かせることで味わいを深めている。あんかけにすることで肉汁と熱を閉じ込め、何時までもパサつかず冷めることもねぇ! ご飯に乗せてあんかけご飯にして掻っ込むのもいいだろう。無論、純粋にこれを味わうぼっちにもお勧めだ。細やかな味付けに歯応えを残す切り方と、ストイックに料理人を目指す者にとっては勉強になる一品にさせてもらった。食とは学び、それが翔波学園の本質ってもんだろう!」
そうして出来上がった料理の数々。並ぶ互いの料理を前に、シェフオークは舌打ちをする。
「ご高説は聞いたが……あとは味で語るとしようじゃねえか」
「おうともよ。いくぞ!」
いざ、試食。
なるほど、確かに黒豚バーガーは美味い。
刻みタマネギソースで油っぽさを感じさせない工夫も素晴らしい。
自然と食が進むように出来ている。出来ているが……沖縄食材をも使い更なる領域へと高めたゴリョウたちの料理と比べるとどうか。
「ぐ、ぐわあああああああああああああああ!」
海老ぞりでシェフオークたちが吹っ飛び、そのまま消滅していく。
屋台も消え、残されたのは美味くて身体に良い料理だけだ。
そして今日のMVPである汰磨羈は全員の料理を食べて回り……ふと「酒が欲しいな」と思う。
まあ、酒のアテにも十分なものばかりだ。
「ところで、泡盛ないか? 沖縄といえば泡盛だろう」
「ぶははははっ、後でな。ここは学校だからよ!」
ゴリョウが笑い、ミルキィは今日のクッキングバトルを総括する。
「食はメインのみにあらず! 健全な食は充実した副菜もあってこそだってね♪」
そう、それこそが食。
それこそが……ある意味では「食」の目指す究極の場所の1つなのかもしれない。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
コングラチュレーション!
見事に翔波学園の平和を守りました!
GMコメント
料理人の皆様、再現性沖縄<アデプト・オキナワ>へようこそ。
え? イレギュラーズ? そんな肩書此処じゃ牛脂1つ分の価値もありゃしないぜ!
そんな感じです。
今回皆さんはお昼時に校庭に乗り込んで、シェフオークの一味をクッキングバトルで倒さなければなりません。
必要な調理台や道具などは「クッキングバトル、ゴー!」とか、そんな感じの掛け声で地面から生えてきます。
互いの料理を食べ、負けたほうが大空高く海老ぞりで吹っ飛びます。
此処では自分の舌と心に嘘はつけませんので、ズルとかの心配は要りません。沖縄を信じろ。
なお、今回のクッキングモンスターたちです。
・シェフオーク
今回の首魁。厳選した黒豚ロース肉を包丁で細かくした超粗挽き挽肉を使ったハンバーグと、飴色に炒めたタマネギソースを挟んだジューシーさと歯応えに全振りした黒豚バーガーを作ります。
ただし、栄養バランスは……?
・見習いオーク
ジャガイモをスライスして揚げた出来立てポテトを作ります。味付けは海の天然塩。
・皿洗いオーク×6
一口サイズの大盛り唐揚げを作ります。たいした手間はかけていないようです。
●翔波
再現性沖縄20XXに存在する料理バトルの街。
何かあれば料理で解決する料理馬鹿の聖域。
ローレットのイレギュラーズの皆さんは料理人として参入することができます。
此処では全てのステータスは無意味です。武器は振ってもハリセン程にも通じず、ギフトもスキルも無効化されてしまいます。
ただし、相手より美味い料理を作れば大ダメージを与えて海老ぞりで大空に吹っ飛ばすことができます。
相手の料理の方が美味ければ自分がそうなるってことですよ。
なお、必要な食材や調味料は「基本的」にはその辺に生えています。
豚肉の木とか砂糖の実とかあります。超怖ぇ。
幻の食材と言われる類のものは特殊な場所、あるいは状況でしか存在しなかったりします。
(逆転が必要なシーンで偶然見つかったりするかもしれません)
●情報精度
このシナリオの情報精度はRです。
料理には常に想定外が付きまといます。
プライドなんてミキサーにかけて飲んでしまいましょう。
ハヴァナイスデイ。
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