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シナリオ詳細

<大樹の嘆き>怒れり者の刃

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<大樹の嘆き>
「……このあたり、か……?」
 地図からすっ、と目を上げたのは、ナイフと軽装の防具に身を包んだ人。
 冒険をしているにしては丸腰過ぎるし、身体の線も細くてひょろっとしており、戦いを求めてきた、という訳では無いだろう。
 そして、そんな彼の視線の先には、鬱蒼と生い茂る森。
 ……ここは、翡翠の国との国境線であり、目の前に広がるのは翡翠の国。
「さて、と……中々に排他的な者達だと聞いているが……話を聞いてくれるだろうか……?」
 そう呟く彼は、幻想の国から依頼を受けた使者。
 薄くではあるものの、交流を続けていた幻想の国の貴族から下された命令。
『突如として反応が無くなった翡翠の国に赴き、何が起きているのか? 状況を確認してきて欲しい。翡翠の者を見つけたら、使書を渡してきて欲しい』
 つい数日前に送った交易品の反応もなく、送ったはずの交易商人達も又、姿を消してしまう。
 ……確かに翡翠の者達は排他的であり、交易を開始する迄にかなりの時間は掛かったものの、幻想の貴族からすれば、翡翠の国で算出される宝石をあしらった装飾品はとても美しく、高い金と労力を掛けたとしても、金には換えられない位の価値があるものであったのだ。
「はてさて……交渉は中々に難航しそうだが……成功させればこちらにも大きな金が入る。だからこそ、踏ん張らなければな」
 と覚悟を決めて、指定された場所に向かう使者。
 ……そして彼が翡翠の森の中に脚を踏み入れて、暫し。
『や、やめろっ……う、うわあああああっ!!』
 先程の男の悲鳴が周囲に響きわたる。
 ……しかしその後には、再び翡翠の国との国境線は静けさに包まれ、使者がその場に戻ってくる事は……無かった。

●怒れり者の刃
 Rapid Origin Online 2.0のアップデートから暫し。
 プレイヤーを飽きさせぬかの如く、立て続けに様々なイベントが発生している昨今……そこに、『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)は皆を集めていた。
 そして、ルリアは皆を見渡しながら。
「R.O.Oの世界で、私の故郷と似た世界『翡翠』というネクストがあるのですが……どうやらこの『翡翠』の国で、事件が起きている様なのです」
「何の前触れも泣く、『翡翠』の国に点在するサクラメントが使用不可能になってしまいました。どうして停止されたのかは、詳しい事は判りません」
「恐らく翡翠の国に何かの緊急事態が起きたことは間違いないでしょう……国に入る者を一切拒むような状況になっている、という話しもちらほらと聞いています」
「勿論、『翡翠』の国に窮状が起きているのであれば、どうにかして助けてあげたい所ですし……その緊急事態がどういったものなのか、というのも知っておきたいところです。状況が分かれば、こちらから対処を行う事も可能かもしれませんので……本当、不明確な状況ばかりで、皆様に御願いするのも心苦しいのですが……すいません、宜しくお願いします」
 とルリアは、深く、静かに頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 R.O.Oの、翡翠の世界に起きた国境閉鎖事件が、様々な事件を繰り広げている様です。

●成功条件
 翡翠の国に一歩足を踏み入れた先に待ち構える、翡翠の人々の襲撃を迎撃する事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 舞台となるのは翡翠の国の砂嵐にほど近い所にある『トメラ村』です。
 この村は、翡翠の国の中における国境付近の村ではありますが、非常に排他的性格が強い人々が多く住んでおります。
 最初のシーンで出ていた、幻想の国の貴族からの使者も、この村の人々によって斬殺されてしまった様です。
 イレギュラーズの皆様も、足を踏み入れれば容赦無く彼ら、村の自警団及び、彼らによって使役される、凶暴化した精霊達を含めて迎撃する必要があります。

 尚、ログイン位置ですが、翡翠の国近辺は封鎖されていますが、砂漠の方は何とか残っているので、8ターン程かかりますが復帰は可能です。

●討伐目標
・『翡翠』の村『トメラ村』の自警団 x 30人
  顔立ち美しく、黙っていれば綺麗な人々です。
  ですがその性格は何故か凶悪に変化してしまい、村の領域に立ち入った者を息の根が止めるまで完全に攻撃し続けまし、敵意を持った相手に対しては、明らかに悪意を持った言葉で罵ってきます。
  侵入者であるイレギュラーズの皆様を見つけ次第、木々に姿を隠しながら攻撃をしてくる事でしょう。
  
  軸となる攻撃手段は、木々の背後に隠れての『弓矢』の一撃です。
  その弓矢には精霊の力を載せる事が可能で、火、風、氷の三種を載せて攻撃為、各々のバッドステータスも追加して付与する事が可能です。
  又、それに加えて至近距離まで詰められた場合は片手剣による舞うような攻撃と、回復魔法も使用可能で攻防に長けた相手、と言えます。

・荒れ狂う精霊達 x 6体
  自警団のせいか、それとも他の理由かは分かりませんが……凶暴化してしまった精霊達です。
  火、風、氷がそれぞれ2体ずつおり、その属性を元にした魔法攻撃(単体、範囲共に)を行います。
  彼らに回復手段はないものの、精霊の為存在は不定形な状態です。
  攻撃等をする時には姿は具現化しますが、回避体制を取る時に置いては姿が消えますので、物理攻撃無効、となります。
  姿が具現化している瞬間は、攻撃するターンと、その後の1ターンの2ターンで、それ以外の時は物理攻撃が当たりませんので、ご注意下さい。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <大樹の嘆き>怒れり者の刃完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月09日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マーク(p3x001309)
データの旅人
シラス(p3x004421)
竜空
リュカ・ファブニル(p3x007268)
運命砕
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血
ベル(p3x008216)
ちいさなくまのこ
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
壱狐(p3x008364)
神刀付喪
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花

リプレイ

●輝きを閉じる者
 R.O.O 2.0のアップデートから暫し。
 様々なイベントが世界各国で同時発生し、中々全てを追い切る事が難しい位、世界の流れは速い。
 そんな流れの一つとしてここ、『翡翠』のネクストで最近発生している事件は……何の前触れもなく、この地に属するサクラメント達が全て使用不可能になってしまったのだ。
「……本当、翡翠で一体、何が起こっているんだろうね……」
 翡翠の迷宮森林が視界の先に広がる所で、『マルク・シリングのアバター』マーク(p3x001309)が静かに溜息を吐くと、それに『赤龍』リュカ・ファブニル(p3x007268)と『竜空』シラス(p3x004421)も。
「ああ。精霊だの魔物だのが暴走してるってのは聞いてたが……幻想種までたぁな……」
「まぁ、幻想種は現実の世界でも閉鎖的だ。けれどもここまで攻撃的な話は聞いたことがない。一体……何があったのか」
「そうだね……既に砂漠の国からの使者を殺している様だし、その話もまったく聞く耳を持たなかったって話しだしな……」
 そんな三人の言葉を聞いた『大樹の嘆きを知りし者』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)は、少し昔の記憶を思い出しつつ。
「しかし……以前、翡翠の国に皆と依頼で訪れた際はこの様な事は無かった。これも……バグの影響、と言う奴なのだろうか……?」
 と首を傾げる。
 確かに翡翠の国の者達は閉鎖的で、中々心を開く事は無い。
 だがベネディクトの目線からは、完全にシャットアウトするような人達では無かった……だからこそ、今回の状況に驚きを隠せずに居る。
 そんな仲間達の言葉を聞いて、『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)はふと。
(「本当、職人目線で言うと、鎖国なんて全く嬉しくないのだが、一体何が起きているのやら……力で排除なんてしているようでは、周辺国の感情が悪化するだけなんだがな……」)
 職人であるからこそ、取引の事を考えてしまうのは職業病かもしれない。
 でも彼女が言う事は確か。
 ただ闇雲に力を振るい、それで解らせるやり方ではついてくる者も着いて来ない。
「うーんうーん……かっかぷんぷん、したままでは、何も解りませんよ?」
「そうですね。何が起きているかは解りませんが、今が全くまともな状況でないのだけは理解出来ますね……まずは、強制的にでも『お話』が出来る状態にしなければなりませんね。暴力には、先ず鎮圧しなければ話になりませんからね!」
 『ちいさなくまのこ』ベル(p3x008216)と『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)の言葉に、ゆらゆらふわふわとした『深海に揺蕩う月の花』エイラ(p3x008595)も。
「そうだねぇー。こんなに凶暴化しているのは、何かありそうだよねぇー。んー、凶暴化と聞くとダークウィッシュを思い出すねぇー。自分が自分じゃないままぁ死んんじゃうのはぁ、やりきれないよぉー」
 こくりこくり、と頷くが……でも、穏便な解決策は未だに発見されていないので、イレギュラーズ達も取りうる策は力尽くしか、今の所はない訳で。
「ラサ出身の俺としちゃぁ幻想種をぶちのめすのはあんまりやりたかねぇんだが……死人は出さねぇようにぶちのめすか!」
 と拳を握りしめるリュカに、カノン、ベネディクト、エイラらも。
「ええ。まずは強制的にでも、『お話』が出来る状態にしなければなりませんね。暴力には、先ず鎮圧しなければ話になりませんからね!!」
「ああ。まずはこの状況を何とかするのが俺達の仕事だ。素人相手では無いのが厄介だがな」
「そうだねぇ~、エイラもぉ犠牲を出さないようにぃ頑張るんだよ~」
 そして、マークが。
「良し。では行くとしよう……恐らく迷宮森林に足を踏み入れれば、奴らか襲ってくる事だろう。初撃当たらない様に注意しよう」
 と仲間達を促し、イレギュラーズ達は翡翠の者達が待つという迷宮森林へ、そっと足を踏み入れるのであった。

●翡翠に鈍く
「……さて、と……この辺りか?」
 ベネディクトが周りを見渡し、迷宮森林に足を踏み入れ、暫し。
 小鳥達の鳴き声が遠くから聞こえ、依頼が無ければ……とも思ってしまう。
「さてはて……どこに、居るんでしょう、ね?」
 立ち止まり、左、右へと視線を向けては更に先へと歩いて行くベル。
 一方でベネディクトは、周囲の植物たちに意思疎通を行い、不意打ちをされないように警戒し、そしてエイラも。
「木々に隠れているらしいしねぇー。注意しないとだねぇー」
 と、ベネディクトと同じく植物を介しての意思疎通で周囲を警戒しつつ、仄かに己を蛍光で光らせることで、多少なりとも視界を確保する。
 ……勿論、招かざる侵入者であるイレギュラーズは、すぐに『トメラ村』の自警団員達に発見されてしまう事となる。
『……!』
 と森の中から静かに睨みつける視線。
「……」
 視線に気付いたのか、精霊達の導きかは解らないが、不穏な気配を感じたベネディクトが視線をそちらに向ける。
 ただ……姿は森の中に隠れたままで、はっきりとはしない。
 そして……更に森の奥に向けて進んでいくと……イレギュラーズ達の元へ放たれる、数多の矢弾。
「くっ……!」
 咄嗟にその攻撃を回避するイレギュラーズだが、それに。
『侵入者め! この地を出て行け!!』
『この地はお前等が足を踏み入れて良い所ではない! 一足踏み入れた時点でお前等は悪人! 殺す、全て殺す!!』
 どこか苛立ち気味の声で叫び放つ彼ら……だが、姿は木の影に隠れており、はっきりと死人出来ない。
 ただ、射出された方向は明かではあるので、その方向に全員が視線を向ける。
 そして、マークが。
「まずは話を聞いてくれ! ボク達は戦いに来た訳じゃない!!」
 と開口一番、自分達は敵では無い、という事を告げる。
 ……とは言え、そんな呼びかけを素直に聞く様な者達で無いのは明らかで。
『うるさい! 盾突くならば、完全なる死を与える迄だ!!』
 苛立ち、更なる矢弾を放ってくる。
 そんな物聞かぬ……敵の動きに、シラスが。
「ならば問おう……何故、伝承の使者を殺した?」
 と、敢えて厳しい事を口にする。
 それにちょっとでも躊躇する気配が見えれば、本意では無く殺したのかもしれない、と考えたのだ。
 だが、シラスの問いかけに臆する事も無く。
『我が村の領土に入ったからだ! 誰にも侵されるべきではない領域に足を踏み入れるなど言語道断!! お前達も同じだ!!』
 どうやら、他所からの侵入者に対する聞く耳は全く持ってない様で、殺したことも全く気にしていない様である。
 そんな盲目的な彼ら彼女らに、壱狐は肩を竦め。
「言葉も通じず、縄張りに入れば力を以て排除するようでは話は聞けませんよね……となれば、まずは一度、力を示す他にありませんね!」
 と言うと、カノンも。
「そうですね。狂える者を鎮めるのも冒険者のお役目ですっ!」
 と拳をぎゅっと握りしめ、覚悟を決めるイレギュラーズ。
 とは言え普通に倒しては、この後の交渉にも影響が出る事だろう……だから。
「みんな、大人しくして貰わないと話を聞けそうに無いけど、無闇に殺さない様にして下さいね」
 とマークが注意喚起、そして。
「それじゃぁ~、いくよぉ~」
 とエイラが先陣切り、速攻でくらげ型の火の玉を森に向けて投げつける。
『っ!! 森の中で火を放つとは……! 許されぬぞ!!』
 とその火の玉に向けて氷の精霊を放つ。
 火を消しつつ、イレギュラーズ達に氷のつぶてを次々と当てる。
 更に、イレギュラーズ達が攻撃為てきたのを切っ掛けとしてか、木の上から次々と姿を表す自警団の者達と……その周りに火、風、氷の精霊達も次々と姿を表す。
 そんな敵陣に、マークが。
「僕はマーク、一介の騎士だ。翡翠を侵す意図も無ければ、君達と戦うつもりもない! けれど戦いが避けられないなら、せめて君達を誰も死なせない事を誓う! そうしたら、話を聞いてくれ!」
 剣を高々と掲げ、騎士としての名乗りを上げる。
 ただ、そんな彼の言葉は敵の怒りを惹きつける力を持っており。
『うるさい! お前等のことなど、信じられる訳も無い!!』
 と怒りと共に弓矢を更に更に撃ち抜いていく。
 だが、その罵声に影響される事も無く、壱狐から。
「ならば隠密なんて捨てて言葉と刃のドッジボールと行きましょうか! 力尽くでの鎖国も結構ですが! 言葉ではなく力による鎖国とならば私たちが勝ったら話は聞いて貰いますからね!」
 と宣言すると共に、木の上に居る自警団達に接近し、陰陽を纏いし一撃を放つ。
 続いてリュカの竜の剛力を乗せた一撃を叩き込み、更にベネディクトが。
「殺しはせん。眠って居て貰おう……しかし、昏倒から亜目覚めた後に、、元に戻っていてくれれば良いのだが、な」
 と、不殺の電刀『夢幻白光』を一気に振り抜き……攻撃を集中させていた一体を、まずは不殺で気絶させる。
 一瞬のうちに一体が倒れ、流石に驚きの表情を浮かべる自警団達。
 ……そんな自警団を倒す一方で、シラス、ベル、カノンの三人は、自警団の周りを飛び回る精霊達をターゲットに治める。
「さぁ、始めるか。俺は絶対倒れねぇぞ、覚悟するんだな」
 とシラスは精霊達に向けて言い放つ。
 もちろん精霊がそんな言葉を認識出来たかどうかは解らない。
 とは言え、イレギュラーズ達を敵と認識為たのは間違いない様で、火、風、氷と様々な属性の攻撃を連射。
 その攻撃をベルが毅然と立ち塞がりカバーしながら、がおーっ、と吠えて敵の怒りを集める。
 そして。
「シラスさん、今の内に、がおーっと、やっちゃって下さい」
 とベルはシラスを促す。
 そしてシラスは雷鳴の息を放ち、確実にバッドステータスを付与。
 更にカノンは、己自身を強化しつつ。
「先ずは魔力の衝撃を与えてあげなければいけません……ねっ!」
 と複数の精霊を巻き込むように、無数の魔力弾を絨毯爆撃。
 流石にその一周で精霊達が倒れる事には至らないが、結構なダメージにはなっている様。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃をかいくぐりながら、自警団達は反撃。
 流石に30人という敵数は多く、その攻撃が集中すれば大幅に体力が削られて行く。
 でも、それらの攻撃に負けじと、マルクとエイラが立ち塞がり続ける。
 戦場を駆け巡り敵のターゲットを揺さぶるエイラと、あえて攻撃を受けることで他の仲間達の攻撃をしやすいように戦場を整える。
 敵の攻撃も一巡した頃には、戦況的には互角と言える位。
「上手く立ち回れている様だな。良し、続けて行くぞ!」
 リュカは仲間達を激励。
 そして壱狐は自警団に。
「このどうしました? この程度ですか? 抵抗をしない相手しか殺せないだなんて言わせませんよ!」
 と言いつつ。
「金雷付与、金剋木……頭隠して声隠さず、それとも弓隠さずでしょうか? まだまだ行きますよ!」
 と、その刀を振るい、次のターゲットを定める。
 そして同じ敵へ集中砲火。
「どうした? 大樹が涙を流したのか?」
 などと、ベネディクトは倒れ際の相手に、そんな言葉を投げかけることで反応を見て、彼らの知って居る情報を探る。
『っ……煩い! お前達には関係無い!」
 そんなイレギュラーズ達の言葉に声を荒げるまでで、効果的に情報を得ることは出来ないまま。
 その間に周りの六人居た精霊達を仲間達が倒していく……全ての精霊を倒した後には、彼らも又自警団達の下へ。
「もう一度言うぞ。俺達は話をしに来た」
「そうですね。停戦を受け入れてくれる気は……」
 シラスとカノンが投げかける言葉……だが。
『うるさいっ!!』
 と、やはり聞く耳は持たず、反撃し続ける敵。
 ……そんな敵の動きに壱狐が。
「まぁ、それじゃあ仕方ありませんね。であれば取りあえず全員、眠って居て貰いましょう」
「ああ……仕方ないな。よし、一気に行くぞ!」
 壱狐の言葉にリュカが頷き、そして壱狐の陰陽の太刀と、竜の呪いを齎す一撃を敵に嗾ける。
 不殺でなければならない故時間はかかったものの……何とか全ての者達を、その場へ臥せさせて行くのであった。

●国の声
 そして……国境警備隊の者達が、地へ臥して暫し。
「……さて、と。とりあえず武器は除けないとね。目を覚ました時に武器を持っていると、危ないですし」
 とカノンが倒れた敵の弓矢と懐ナイフを探り、離れた所に隠す。
 そして傷口を応急処置で治療しつつ、彼らが目を覚ますのを待つ。
 ……ただ、すぐに目を覚ます事は無くて、暫しの間は静寂のまま。
「そうだねぇ……うーん、精霊さぁん、どうして暴れてたのぉ?」
 と、その間にエイラが精霊疎通で周りの精霊達に問いかける。
 ……ただ、精霊達は僅かにざわめくだけで、エイラの言葉に答える事は無い。
「うーん……仕方ないなぁー……」
 と言いつつ、周囲に先に被害にあった使者の亡骸や遺品が無いかを探して歩く。
 そして……。
『……ぅ……ん……』
 身体を身じろがせ、目を覚ます彼ら。
 周りには、先程戦ったイレギュラーズ達の姿があり……慌てて目を開き。
『っ……何だ、殺すなら、ひと思いに殺せ!!』
 と焦りを見せる。
 ……そんな彼らの目を、つぶらなおめめでじーっと見つめるベル。
『な……何だよ……!?』
 凝視されるが殺される事も無く……たじろぐ彼らに。
「攻撃しちゃって、ごめんなさい。皆さんが、とってもぷんぷんしていたのを、ベル達は止めたかったんです。だって、怒ったままだと、悪いことしか、起きませんから」
 ピュアな言葉で、ぺこりと頭を下げるベル。
 そして仲間達にその場所を譲るときには、とてとてと言う音を立てながら歩いて行き……まさしくくまのぬいぐるみの様な姿形を彼らに見せつける。
『……くま?』
 その動きにきょとんとしている彼らに、マークとカノン、壱狐にベネディクトも。
「まずはお詫びするよ。確かに僕達はこの国に勝手に足を踏み入れた……それは事実だ。だが、使者の者達を殺し、その調査をしないことには、僕達も帰れなくてね」
「そうですね……私達は、決してこの森を侵略しようとなんて思ってないのです。貴方達が声高らかに森への侵入を拒むのと同時に、この翡翠の国も封鎖的になった……何かの理由があるのではないでしょうか?」
「そうですね。もちろん……それを言わないからって、私たちは殺す様な事はしません。国には国の考えがあるでしょうから……」
「ああ。翡翠の突如の変化に、周辺諸国も驚いている。我々に為せる事を見出し、この混乱を治めねばなるまい」
 そんな四人の言葉に、自警団の者達は顔を見合わせる。
 ……だが。
『……自然があらされるのを、俺達は許せない。それだけだ』
 その一言だけを残し、後は口を閉ざす……恐らく、それ以上喋れない、という意思表示なのだろう。
「……わかりました。でも、私たちも翡翠の方々とは仲良くしたいと思っています。僕達が力になれる様なら……頼って下さい」
 と、そんな自警団の者達にマークは一言告げるとともに、彼らを解放。
『……』
 何度か、イレギュラーズ達を振り返る素振りを見せるのに、リュカは。
「……ま、自然を荒らす、それは確かなのかもしれんな……」
 とぽつり、呟くのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

マーク(p3x001309)[死亡]
データの旅人

あとがき

翡翠の国の大事件に参加して頂き、ありがとうございました!
自然を愛する彼らの大事件、詳しい部分は正直まだまだ不明瞭な部分はありますが……でも、少しずつでも事態が判明していく事でしょう。

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