PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<秘密結社フェチーズ>合体せよ、フェチカイザー!

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●フェチカイザー、合体せず
 鉄帝の空を、巨大なメカが飛んでいる。
 1、2、3、4、5と描かれた色とりどりの5体のメカ。
 1と描かれたメカは戦闘機。
 2と描かれたメカは大きな車。
 3と描かれたメカは超巨大な輸送機。
 4と描かれたメカは長方形の車。
 5と描かれたメカは潰れた半球状の円盤……だろうか?
 それらは壮大なテーマソングを流しながら空中で合体プロセスを開始する。
「お、また始まったな」
「今日はいけると思うか?」
「無理だろ」
 いつもの行事なのか、鉄帝の住民はそれを見上げ何やら言い合っている。
 2と4のメカが真っ二つに分かれ、5のメカが3の上に、そして1のメカが2に合体していく。
 そのプロセスは手慣れたもので、住民の間から「おっ」と声が上がる。
「こりゃあ……」
「おいおい、成功すんのか?」
 そんな声が響く中……2のメカを中心にドーン、という爆発が巻き起こる。
「あー……」
「やっぱな。毎回粉々になるよなアレ」
「見ろ、乗員が落下してくぞ」
「おー、パラシュート展開までが手慣れてんな」
「今年で何回目だっけか、アレ」
「さあ、忘れた」
 大きな被害もなく、当局にしっかり申請も出している。更には万が一何か被害があれば保障してくれるので「そういえばウチの屋根ボロかったな……部品降ってこねえかな」などという会話が交わされたりする。
 鉄帝の住民は、斯様に鍛えられている。

●合体せよ、フェチカイザー!
「と、いうわけで依頼人です」
「フェチレッド!」
 ビシッと両手を前に広げるポーズをとるのは、赤い防御力の高そうな全身タイツに手袋とブーツ、ベルトにゴーグルを中心とした衣装のヘルメットマスク……そんなヒーローじみた何者かだった。
 ちなみに額に輝くFの紋章があり、名乗りからも秘密結社フェチーズの一員であることが見て取れる。
「えー、ここ最近鉄帝で恒例行事になってる合体ロボ爆発イベントの主催者です」
「別に爆発させたくて爆発させているわけじゃないんだがな」
 レッドは困ったようにヘルメットをコンと叩く。
「あったりめーの事言ってんじゃねーです」
「しかしフェチカイザーの完成は急務なんだ」
 性癖巨人フェチカイザー。秘密結社フェチーズと古代文明の力を合わせて作成中の巨大ロボットだ。
 完成すれば狂王種ともやりあえる目算なのだが……残念なことに、未だ完成していない。
「合体するには、フェチパワーを燃やす必要がある……だがフェチーズは興味が沸かないと動かない奴ばかり! 数合わせのヘンタイン達では上手く合体させれないんだ!」
 何やら盛り上がっているレッドだが、それを無視してチーサは説明を続ける。
「ここ最近、海洋で台風と共に移動し船を狙う狂王種が確認されているです。その性質上、通常の手段ではマトモに近づけないです。つまり……」
 巨大ロボ使ってぶっ飛ばしてくるです。
 そう言って、チーサは悪い顔で笑うのだった。

GMコメント

敵は台風と共に移動し船を沈め、乗員を喰らう邪悪なカニ型狂王種です。
全長35M、巨大なハサミによる断ち切り攻撃、打ち付け攻撃、バブルビームを使用します。
海上に浮遊することも可能なため、まさに巨大バトルを楽しめます。
台風の中を突っ切って巻き込まれた船を助ける必要もあるので、頑張りましょう。

巻き込まれた船
・ラッキー号
海洋の島々を渡る巨大連絡船。手紙や荷物、人員などを積載しています。

今回のNPCや小道具、大道具
・フェチレッド
青春の汗フェチ。運動で流される爽やかな汗と輝きをこよなく愛する熱い男。
その汗が余計な何かで穢れるのは嫌なので、彼女達の障害を先んじて排除したりしています。
1号メカ担当。

・各種メカ(全員乗れますので好きなメカに搭乗してください)
1号メカ「フェチイーグル」
イーグルレーザーを搭載した戦闘機。頭部になります。
2号メカ「フェチレーサー」
レーサーバルカンを装備したスーパーカー。分離して両肩になります。
3号メカ「フェチクルーザー」
クルーザーミサイルを発射する巨大輸送機。胴体になります。
4号メカ「フェチタンク」
タンクキャノンを発射する巨大トラック。分離して両足になります。
5号メカ「フェチソーサー」
背中に合体する円盤。高性能レーダーを積んでいます。

これら5体のメカが「フェチ・フュージョン!」の掛け声で合体開始します。
合体成功の為にはフェチエネルギーを溜める必要がある為、自分のフェチを強く自覚する必要があります。
その想いの強さによって操作パネルの「合体」ボタンが輝きます。
見事成功すれば「性癖巨人フェチカイザー」が誕生します。

・性癖巨人フェチカイザー
全長36mの巨大ロボ。各マシンの全武装を使用可能。この時、全員の操縦席は胸部に集まっています。
また、全員のフェチパワーを合わせる事で必殺のスーパーフェチクラッシュを使用可能です。
その為には全員に聞こえる声で自分のフェチが如何に最高か叫ぶ必要があります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はHです。
 基本的に変態依頼です。貴方のキャラの性癖が壊れても当方は責任を持てません。

  • <秘密結社フェチーズ>合体せよ、フェチカイザー!完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月26日 22時05分
  • 参加人数6/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
アエク(p3p008220)
物語喰い人
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
耀 英司(p3p009524)
諢帙@縺ヲ繧九h縲∵セ?°
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす

リプレイ

●出撃! フェチーズ!
 海中に隠された秘密基地から5つのメカが発進する。
 1号メカ「フェチイーグル」はイーグルレーザーを搭載した戦闘機であり、フェチレッドと『物語喰い人』アエク(p3p008220)が乗っている。
 2号メカ「フェチレーサー」はレーサーバルカンを装備したスーパーカー。『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)と柊木 涼花(p3p010038)が乗っているが……スーパーカーなのに空を飛んでいる。何故だろう。
 3号メカ「フェチクルーザー」はクルーザーミサイルを発射する巨大輸送機であり『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が登場している。
 4号メカ「フェチタンク」はタンクキャノンを発射する巨大トラック。『空に願う』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)が乗っているが、フェチレーサー同様に空を飛んでいる。
 5号メカ「フェチソーサー」は高性能レーダーを積んだ円盤であり、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)が搭乗している。
 合計5つのメカに乗った7人は各々のフェチを輝かせる最高の戦士達(レッド談)だ。海洋の海へと向かうその姿は、毎回合体失敗して爆発しているとは思えない勇姿を見せつけている。
「ついに合体変形ロボのお目見えか……! フェチーズ、イカした組織だぜ、こいつぁ! 涼花とドライブとしゃれこもうかと思ってたが、まさか車も飛ぶたあな!」
「というかなんで飛ぶんですか!? わけがわかりませんが!?」
 フェチレーサーに乗る英司と涼花からの通信に、フェチクルーザーから「ゴリョウさん……」というノリアからの声が、フェチソーサーのウェールからは「梨尾……俺の息子……」という呟きじみた通信が返ってきて涼花が「ひえっ」と声をあげる。
 どうやらすでに合体の為の精神統一に入っているようだが、半分トランス状態なのかもしれない。
 そして、咳払いの後に入ってくるのはフェチタンクのフォルトゥナリアからの通信だ。
「この前から訂正し忘れてたことが一つあってね。私のフェチは勇気と勇者の全て。つまり勇者フェチだよ。それだけは覚えて帰ってね」
「この前? あー……そうか。うちの組織と深く関わってるんだな。可哀想に……」
「構成員がそれ言う!?」
 フェチレッドから返ってきた同情じみた通信にフォルトゥナリアは叫んでしまうが、なんとか気を取り直す。
「強大な障害や困難、恐怖に立ち向かい一歩踏み出す勇気は普遍的でありながら尊い物。今回のように怪王種に立ち向かう為に恥ずかしいけど性癖を開陳せざるを得ない状況。まさしく勇気が必要だよね。不具合とか命の危険もあるし。だからこそ、普段話すようなことではないことも話して合体を成功させ必殺技を放てるようにしたいね」
「……心配は要らないであろう」
 フェチイーグルのアエクから返ってきた通信に、誰もが「何故?」と聞き返したくなって……やめる。
 言わずとも分かるからだ。この5つのメカに乗っている時点で、なんとなく分かるからだ。
「此処に居るのはフェティシズムを所持する勇者達。最強の変態達であるからだ」
「違います!」
「違うからね!?」
 涼花とフォルトゥナリアからそんな通信が入り、英司が爆笑するが……。
「……以前の依頼で必要だったとはいえ、ラブレターを書くほどに息子の梨尾が好きだ。最初はただの保護者として引き取った日から梨尾が可愛くて食べちゃいたいような衝動に耐えていた。あの時は5割ほど元生物兵器として同類の肉をあむあむして進化ー! 的な感じだが今は梨尾に食べられた方が寿命の分長く一つでいられると考え直したし父親として息子に酷い事はできないからな……本物の梨尾にはできない……本物にはな」
 通信を開いたままなせいで漏れ出てきたウェールの声に……何とも言えない、フェチという闇の深さを誰もが感じていた。

●合体せよ、性癖巨人!
 台風の中を、全く影響を受けずに5つのメカは突き進む。
 そしてレーダー搭載のフェチソーサーのウェールから、全員に通信が届く。
「見えたぞ、ラッキー号だ!」
 台風に翻弄される巨大船と、それを狙うべく近づくカニ型狂王種をフェチソーサーのレーダーが捉える。
「よし、合体だ! 皆、己のフェチを強く思うんだ!」
「フェチを思う……!? 合体して巨大ロボットに……!? 待ってくださいフェチーズさん!? どういうことかまるで意味が分かりませんが!?」
 涼花が叫ぶが、今更だ。それを悟ったのだろう、涼花は「…………。……はぁ」とため息をつく。
 そして、7つのフェチエネルギーが溜まり……英司が叫ぶ。
「さぁ、見せてみろ! いずれ目の前に立ち塞がり、すべての悪を打倒する可能性を! 世界を照らす光を! 立ち上がれ、フェチカイザー!! 今こそ、性癖合体!!」
 タイミングよく押される合体ボタン。そして……変形プロセスが開始する。
 フェチクルーザーに分離したフェチタンクが合体して両足に、フェチレーサーが分離し両肩になると、フェチクルーザーから両腕が展開する。
 フェチソーサーが背中に合体し軽く回転。
 そして最後にフェチイーグルがフェチクルーザーに合体すると、巨大人型ロボットの頭部となり顔が現れる。
 7人の操縦席は胸部に集まり、稲光のようなエネルギーがその全身を包めば、グルンと回転し巨大人型ロボットのその威容が明らかになる。
 赤、青、黄……如何にもヒーローといったカラーリングと、その容姿。
 まるで勇気を形にしたかのようなその威容は、この嵐を吹き飛ばす為に現れたかのよう。
そして、その巨人から……7つの声が、響く。
「性癖巨人……フェチカイザアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 ラッキー号の船員達はわけが分からなかっただろう。
 しかし姿はヒーローそのものなのだ。姿は。
 ホバーしながら移動するフェチカイザーはカニの狂王種を殴り飛ばし、ラッキー号から遠ざける。
「ごめんな梨尾。パパはこれからラッキー号の人達の性癖と梨尾を掛け合わせます。本物の梨尾がいればこんなことせずに大事にするけど飼い主がいない時の犬は好き放題するんだ……新しい扉を開きたくなるんだ……梨尾はかわいいから男の娘も、ぐっ、痛いぞ梨尾。蟹なんかに乗って危ないな……悪い子にはお仕置きしないと」
 何やらカニの狂王種に何かが重ねて見えているっぽいウェールの操作は的確で、フェチカイザーとカニの狂王種の格闘戦はほぼ互角。
 しかし、あまり時間をかけてもいられない。
 合体できたとはいえ、フェチカイザーの能力はまだ未知数なのだ。
「よし……一気にきめるよ!」
「いよいよだな。全員で性癖を叫べ!」
 フォルトゥナリアがそう叫び、英司がそう追随する。
 そう、フェチカイザーに搭載された必殺技には、それが必要なのだ。
 通常武装でチマチマやっている暇はない。だからこそ、涼花も覚悟をきめる。
 フェチレッドがあんまし人に聞かせられない性癖を叫ぶと、続くように叫びだす。
「こうなったらヤケです、わたしなりに好きを叫ばせていただきます! わたしはがなりとかデスボイスとかの治安の悪い歌い方が好きです! 普段透明感のある綺麗な歌い方をしている方がそうするとなおヨシです!! そのギャップと荒々しさが堪らないんですよ!!! その逆もまた素晴らしいですね。普段治安悪い歌い方している人が綺麗なロングトーンとビブラートを披露してくれるのも最高だと思います!!!! つまりどういうことかというと、ギャップ歌唱は至高!!!!! ということです!!!!!! ギャップ歌唱はいいぞーー~~~~~!!!!! 」
 後半ビブラートをかけながら音程を徐々に上げていく涼花だが、どういうことなのか。
 後々涼花へなされたインタビューによると「つまりどういうことかというと、自分のフェチを全部乗せした声でフェチを叫んだんです。自分の好きな発声くらい一ボーカルとして自分でできなくてどうするんですか、ってわけです」とのことである。実に将来楽しみである。
 そして、アエクは……大きく口を開け、情報を、吐く。
 すべてを言語にして伝えるにはあまりにもこの口は足りなさすぎる、と。
 ならば、ギフトを使用して、適切なメディアに出力して伝えるべきだと。
 故に、吐く。吐いて、伝える。
 通信装置というメディアを通じて、大音量で。
「フェティシズムとはなにか。原義――本来の意味としてはフェティッシュ。つまり呪術的なものへの崇拝であり“性的倒錯”の意味を持っていなかったという説がある。しかしフェチ……フェティッシュを叫ぶものたちの多くはフェチというものに“変態性癖”や“性的倒錯”といった意味を込めているのではなかろうか。是。混沌に於いてもフェチというのは性的フェティシズムを指すことが多い。パラフィリアとよばれる状況に対する性的倒錯もあるが、これらの言葉を硬い言葉からもう少し受け入れやすい言語へと翻訳しよう――へっちポイントと、萌シチュだ。つまるところ何が“佳い”のかというのは平坦な言葉に訳せばそうなる。では我はどうなのか? 何に対するフェティシズムを所持しているか。ココまでの語り方である程度の推測は着いているのではなかろうか。そう、情報だ。あと嘔吐。情報を得、情報を咀嚼し、そして吐きだす。(物理的に)そして吐き出したもので情報を得、また吐き出す。無限ループである。一生「無知な状態から情報を得る快感」を味わい尽くせるのだから! それと吐くのも心地よい」
 それは短くまとめると嘔吐フェチではないだろうか。外見の儚さ、しゃべり方の割には相当に闇が深い。
 この後はさぞ辛かろう……といったところだが、ウェールは完全にトランス状態に入っていた。
「息子はどんな性癖とも合うからな……首輪はもちろんROOのアバターで着た水兵さん水着とかすごくかわいいし大人になればバニーや裸白衣&靴下でとセクシー路線もできる。ROOではもう会えない子供の梨尾から大人までカメラ機能で色んな写真も取れるから骨までしゃぶりつくせる。アバターだからセーフなんだ」
 言ってる事がかなり酷いが、アバターだからセーフだ。本人が言っているから間違いない。
「依頼を頑張り、汗水たらして他人を助けた後の梨尾の臭いとか、ひなたぼっこしてお日様の匂いがする梨尾をセルフモフモフするとか。いい年した父親が息子ニウムを摂取してテンション上げるのはセーフだ。しょうがないんだ……もう七年も生の梨尾をもふもふしてないんだ。背徳感も逆に興奮するし……振られる尻尾も行動も止められないんだ」
 ダメだ。背徳感とか言ってしまった。でも本人がセーフって言ってるからセーフだ。
 ちなみにフェチエネルギーの溜まり具合はヤバいことになっている。
 そして次に叫ぶのはノリアだ。
「わたしが、いとおしく、おもうのは…なんといっても、ふくよかなおなか。そう……いつも、おしたいしている、いとしの、ゴリョウさんのような」
 なんとノリアのフェチは純情なタイプのようだ。闇が晴れそうである。
「白状しますの……わたしが、かつて、ゴリョウさんへの恋文で、おつたえしたように、わたしが、ゴリョウさんの、力づよさと、優しさと、包容力に惹かれたことも、けっして、うそでは、ありませんけれど。あの、ご立派な、太鼓腹に、たまらない愛着をかんじたことも、また、否定できない、真実ですの。多少の衝撃なんて、ものともせずに、すべて、吸収してしまうおなか。それだけごりっぱな、おなかを作るには、さぞかし、おいしいものを、たくさん食べる機会に、めぐまれたのでしょう……それは、ゆたかさと、つよさの、象徴であって母なる海のような、やさしさと、きびしさの、体現ですの。できれば……3号にも、そんなマシンで、ありつづけてほしい。胎内に、みなを助ける新兵器を、秘めることのできる、彼女には、母たるための資格が、あるのですから。動きがないせいで、隙だらけに見えるおなかは、その実、母なる大海の抱擁に身を委ねるときのように、そのバイタリティで、敵の攻撃を、はね返し大柄だからこそ、産みだせるパワーを、水鉄砲のように、いきおいよく放つことで、敵から、大切なだれかを、守ってほしいですの。そう…すべては、いとしの、ゴリョウさんのため。胸をはって、さけばせていただきますの……ふくよかぽっこりまんまるおなかーーーーー!!!!!!!」
 なんたることか。ちょくちょくノリアの闇が見え隠れしている。
 最終的には純愛っぽいのに見事にフェチを解放した叫び。
 続くフォルトゥナリアはちょっとやりにくそうだったが、それでも叫ぶ。
「恐怖に竦む足を、震える足をそれでもと踏み出す一歩。何故踏み出せるのか。それはきっと勇気を出せたからで、希望を見てるから。そしてそれを人に見せる勇者がカッコよくて、大好きで、あの人達のようになりたくて、そして誰かが勇気を出すその時を守る為に私が居る。そう決めた。希望を抱かせる笑顔も! 安心させる声も! それを聞きやすい話し方も! 恐怖を感じさせない姿勢も態度も! 全部最高で、誰かに私のように思わせたくて、人に希望を抱かせるような私で在り続ける。つまり、勇気と勇者は最高で、今の私達は最高なんだよ!! みんなの一歩踏み出す勇気が私は大好き!! それを思うだけで胸に希望の灯が灯るの!!」
 そう、今まさにフォルトゥナリアたちは勇者そのものなのだ。
 性癖の輝きをもって未来を照らす勇者なのだ!
 そして最後に全てを託された英司は仮面の下でニヤリと笑う。
「フェチ、ねぇ。そうと言えるかは分からねぇが…俺には“怪人”としての美学がある。一言で言うなれば、“散る美学”だ。俺達のような怪人は往々にして自由、理不尽、横暴だ。だがそいつにも矜持ってやつがあってこそだと考えている。そうだろ? そうでなきゃ、“怪獣”さ」
 フェチといえるかは分からない。英司はそう言った。しかし英司の言葉にフェチエネルギーが溜まっていく。
 英司の言葉からは、間違いなくフェチの力が放たれているのだ。
「俺たちはヒーローに対するアンチテーゼ。コインであるところの表裏。綺麗ごとでは成せないことを成し、世界に背中を見せつけてやるのさ。憎しみを。怒りを。俺が体現してやる。正しさだけでは決して拭えない涙を、俺が拭ってやる。綺麗ごとが浴びられないどす黒い返り血を全て浴びてやる。そして高笑いして言ってやるのさ、“どうしたヒーロー?”ってな。ヒーローを名乗るに相応しくねぇやつには躾をするぜ。そいつは怪人に相違ねぇ。きちんとこっち側に来てもらうのさ。んで、最後は全員派手に散る。結局は力でしか解決できなかったってことを、高らかに見せつけてやんだよ」
 言いながら、英司は理解する。
 そして思い出す。アエクが此処に集まった全員は同じだと、そんな感じの事を言っていたと。
「……こいつの根は特大の同族嫌悪か。いや、元々は……ヒーローフェチってやつなのかもしんねぇな。ハッ。そうさ、結局は期待してんのさ。ホンモノってやつに。ああ……この俺を打倒する、この俺と対峙すべきヒーロー! 公明正大で、正しき姿を! 俺の思想すら完膚なきまでに焼き切る光を! 愛し、熱望している! こいつは、その可能性の一つ、ヒーローが振るうべき力の一つだ!」
 フェチカイザーの手に、巨大な剣が生まれ出でる。
 ヒーローが振るう剣を体現したかのような、巨大な……そして、最強の輝きを秘めた剣。
 叫ぶ言葉はもう分かっている。
 だからこそ、7人の声はピッタリ揃う。
 腕を高く上げ……7人の勇者達は、カニの狂王種へ向けて腕を振り下ろす。
「スーパーフェチクラッシュ!」
 凄まじいエネルギーを纏いながら振り下ろされた剣は巨大なエネルギーの刃と化し……台風ごと、狂王種を真っ二つに叩き切る。
 広がっていく蒼空の中……ラッキー号の船員達から歓声が上がる。
 そう、そこには……巨大にして絶対なる勇者の姿があったからだ。
 大歓声の中、フェチカイザーは……勇者は、そのまま飛び去っていく。
「勇気と勇者の全てが好きとは言ったけどやっぱり最後は幸せな終わりが良いと思ってるよ。不幸な結末は好きじゃない。勇気と勇者に関しては口よりも行動で現していきたい物だよね。私の行動で希望を示したいところ。そしてそれが受け継がれればなお嬉しい」
 フォルトゥナリアは、そんな事を呟く。
 もう自分のフェチを吐露する必要はない。
 しかし、今言わなければならない。そんな気がしたのだ。
「あと戦いにおいての勇気が取り上げられることも多いけれど、日常の中で出す勇気も一杯あるよ。一例として好きな人への告白。そんな勇者とそうなり得る人達の日常を守りたいね」
「なら、守れたと思うですの」
 ノリアが答え、全員が同意する。
 輝く太陽の下……巨大な勇者は、確かに今日、1つの日常を守った……そんな誇りを輝かせていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
見事に必殺技を狂王種に叩き込みました!

PAGETOPPAGEBOTTOM