PandoraPartyProject

シナリオ詳細

祈り祈れ、回し回せ

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●マニコロの祈り
 幻想より北方の大陸にて、古くより信仰されているものがある。
 手すりの上へずらりと並ぶ車輪。縦長のそれはちょうど手で触れやすい位置にあり、表面には古代の文字で祈りの言葉が描かれている。
 山を登れば誰とてその光景を目にすることができるだろう。
 それらの車輪をひとつ回すごとに、確かな癒やしと解放を得ることができるだろう。
 原住民たちの間でその車輪は、『マニコロ』と呼ばれている。
『この車輪をひとつ回すことで一度の祈りを得られるといわれています。我々は畑に出るとき、山羊を放つとき、出稼ぎにゆくとき、必ずこれを回し、生活の安寧を祈るのです』
 あるとき出会った男は両手の平を合わせそう述べた。
 危険の渦巻く混沌の大地で、これほどまでに安らかな土地があろうか。
 大陸を巡るたびをしていた男は思わず手を合わせたという。
 だが、その土地は今。

 ごうごうとあがる炎。
 家々は燃え、槍に突かれた男や少年の死体が大暖炉へ放り込まれている。
 家畜も捌かれ、食料のたぐいは残らず馬車へと乗せられていく。
 美しく並んでいたマニコロの列はなぎ倒され、彼らの信仰を示す最大の証であった大車輪は好奇から持ち去られた。
 あの安らかな山村は、もうこの世に残っては居ない。

「村を襲った連中を私は許さない。彼らを見つけ出し、残らず抹殺すると決めた。
 その半分を、私は達することが出来た。もう半分を、あなた方に依頼したい」
 トン、と山中のある場所にピンを立てた男は、『旅の者』と名乗った。

●祈りを取り返せ
 切り裂きポールとその一味。
 幻想・ラサ間で商人強盗をしていた山賊たちで、山中のアジトに隠れている。
「頭目の『切り裂きポール』はかつて幻想北部のスラム街で暮らしていたらしい。
 なんでも世界の主人公になるのが夢なのだと語ったらしいが……その手段が略奪と虐殺ではな。
 自分勝手で横暴な男であることは間違いない。
 暴力と恐怖で手下を束ね、そこそこの規模になっているとも聞く。
 アジトを偵察しようと試みたが、見張りがいて容易に近づくことができなかった。恐らく鳥に五感共有をして飛ばしたとて、奴らは警戒するだろう」
 だがそれは襲撃側に優位性があるからこそだ。
 相手はいつ襲撃されるかわからず、こちらはどこからいつ襲撃しても良い。
「奴らを殺し、死の裁きを与えてくれ。
 山村で静かに清潔に暮らしてきた者たちの祈りを破壊した、その報いとして」

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:切り裂きポールを抹殺すること
 オプションA:ポールの部下を全て抹殺すること
 オプションB:大車輪(マハトマニコロ)を取り返す

 山中。深い森の中に隠れたアジトです。
 集落の形式をとっており、頭目のポールが住む屋敷を中心に小屋が何軒も円形に囲っている配置になっています。
 小屋が10軒以上あったことから山賊の人数は相当なものになるでしょう。
 小屋ごとの役割や暮らしている人数。そして大車輪のありかなどは不明です。

 メタ情報ですが、普通に突っ込んでいって普通に戦った限りでは、ポールをギリギリ殺して撤退する流れになる筈です。
 オプション要素を達成するには、より効率的に敵を倒す手段や作戦や時間的人員的余裕をもってポールのもとまでたどり着ける作戦をそれぞれシステム・プレイング両面で整える必要があります。
 シナリオを成功させるだけなら必要ない要素なので、どこを着地点にしたいかをメンバー間で相談して決めてください。
 余談ですが大車輪のサイズは2mほどで、お寺の鐘みたいなシルエットと重量を想像してもらえれば大丈夫です。要するにデカくて重いのです。

【戦力予想】
・切り裂きポール
 ポール・ジョンソン。幻想北部にいた頃はナイフ術に長けていたとされ、喧嘩でも負け知らずだったらしい。
 暴力で山賊を束ねていることから戦闘力も高いとみられる。
 アジトに見張りを立てていることから日常的に警戒心をもち、襲撃時に一人でいてくれるとは考えづらい。

・山賊
 幻想やラサで生活できなくなった弾かれ者たち。
 山に隠れ、共同略奪をなりわいとしている。
 襲撃する対象の選定や村焼きなどのハイリスクな襲撃を経験していることから――集団での戦闘に長け、危険や隠し事に敏感だと思われる。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 祈り祈れ、回し回せ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年07月12日 21時40分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

R.R.(p3p000021)
破滅を滅ぼす者
アルプス・ローダー(p3p000034)
二輪
レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
騎兵隊一番翼
リィズ(p3p000168)
忘却の少女
シェンシー・ディファイス(p3p000556)
反骨の刃
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
山賊
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
アグライア=O=フォーティス(p3p002314)
砂漠の光
アベル(p3p003719)
失楽園
不動・醒鳴(p3p005513)
特異運命座標

リプレイ

●『主役願望』の切り裂きポール
「依頼の内容を確認しておきましょう」
 森を進みながらスクロールを広げる『砂漠の光』アグライア=O=フォーティス(p3p002314)。
「切り裂きポール率いる山賊のアジトがこの先にあります。頭目のポールが住む屋敷を中心に小屋が10軒以上……恐らく数は相手の方が上でしょう」
「それでも襲撃側はこっちだ。普通に突っ込んでいったとしても切り裂きポールを殺すくらいはできるだろ」
 『特異運命座標』不動・醒鳴(p3p005513)は腰から下げた剣の柄をトンと拳で叩いた。
「しかしミッションにはオプションがあるマハトマニコロをテイクすることができるかだが……」
 人差し指を眉間に当てる『神格者』御堂・D・豪斗(p3p001181)。
 『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)が顔をしかめて口角を下げた。
「全滅させりゃああとでゆっくり回収できるだろ」
「うむ」
 『破滅を滅ぼす者』R.R.(p3p000021)が腕組みを硬くした。
「大車輪(マハトマニコロ)は重く大きい。回収方法は恐らく二つだろう」
「というと、全滅以外にもうひとつです?」
 『忘却の少女』リィズ(p3p000168)が唇に指をあてて首を傾げた。
 息をつく『反骨の刃』シェンシー・ディファイス(p3p000556)。
「切り裂きポールの暗殺とは別にマハトマニコロの回収班を用意し、重いものを苦労なく素早く運べる能力をもった者もしくは数名で協力して運び出す。その後は追っ手を振り切り安全な場所まで撤退する。後からの合流は不可能になるだろう。まあ……」
 その手は取らないがな、と顎を上げた。
「まあ、マハトマニコロの位置は把握できてるよ」
 『放浪カラス』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)が自らのこめかみをトントンと叩いた。一度集落の見える場所まで近づき、透視能力でざっくりと探ったのだ。
「今回の作戦は、敵を全滅させてからこれを回収するんだったね。そうするには人数が……」
「人数は相手が上ですが、総合戦力でどうかはやってみないと分からないでしょう。少なくとも地の利は相手にありますけどね」
 『バイク便』アルプス・ローダー(p3p000034)がバイクの上でヘルメットのアイシールドを上げた。
「襲撃は真昼を待つんでしたね。明け方は相手に地の利がありすぎるし――」
「夜はもっと不利になると考えてのことですな。まあ、たしかに」
 『破片作り』アベル(p3p003719)がガスマスクの側面に指を引っかけた。
「火をつけてまわったり、あえて内側に突入してから罠をばらまいたりって作戦には向くけど、正面からバーッと行くには向かないわな」
「ゲハハハハッ!」
 グドルフが派手に笑い始めた。
「久々の山賊討伐だ、腕が鳴るねえ」
 どうやら山賊退治に気分が高まっているらしい。気持ちを切り替えていくぞとばかりに山賊刀をぶん回す。
 それに伴ってポーズをキラキラさせる豪斗。
「哀しいな、バンディットたちよ。ユー達の改心……コンバージョンのリミットは既にオーヴァーしているようだ!」
「たしかに、横暴には報いを与えなければいけませんからね」
 アグライアも剣をしっかりと握り尚した。戦闘態勢だ。
「そうしなければ物事の釣り合いが取れません」
「……この仕事終わったら休暇取るべ」
 付き合いますよとばかりに剣を握る醒鳴。
 一方で、R.R.は深く粗く息をしていた。興奮を感じ取って振り返るリィズ。
「どうしました?」
「ポールは平穏な村を滅ぼした。彼らは、恐らく其処のみならず更に多くの破滅を、至る所にもたらしてきた事だろう。故に、滅ぼす。彼らが人々にもたらしてきたものが何であったか、彼ら自身に知らしめる。慈悲を与えるべき機は既に過ぎた。苦痛と悔悟の末に彼らは破滅に至るべきだ――――破滅よ、滅びを知れッ!」
 天に向かって吠えるR.R.。リィズはマイペースに頷いた。
「悪逆非道を行ったこれらの蛮族には死をもって償わせないといけません? リィズは、何の罪もない人々、未来ある子供たちまで、惨たらしく殺した、人の姿をした魔物は許しません。なので、遠慮なく、ぶちころします」
 皆の気持ちは統一されているようだ。
 それはシェンシーとて例外ではない。
「世界の主人公……下らない」
 主役にも略奪にもカタチがある。主役を名乗るなら、小汚い略奪に留まらず全てを手中に収めるのが妥当だ。とはいえ、その手の役は途中退場が筋だろう?
 そう考えて、奴らの首を切り裂くさまを想像した。
 まったくだねと肩をすくめるレイヴン。
「主人公を名乗るなら主人公とはなんたるかを書から学んで欲しいね。悲劇の主人公は自分が悲劇にあってこそだし、悪漢の小悪党では主人公には不足だよ」
「では……」
 アルプスローダーのアバター体はバイク(というか本体)に跨がりなおし、ヘルメットのシールドを下ろした。
 アクセルをひねる。
「一方は陽動、もう一方は裏から回り込んで襲撃をかけるということで」
「都合がよければ中で会いましょう。ってね」
 アベルたちはそう言って銃を抜くと、森の中へと消えていった。

●短期的陽動のメリット
「おらあ! 山賊グドルフさまのお通りだぜえ!」
 ロープでまとめられた木材の壁をタックルで破壊し、グドルフは山賊の集落へと突撃した。
 こちらに気づいた山賊たちがアサルトライフルや拳銃で小屋の上や影から射撃を仕掛けてくる。グドルフと同じような山賊刀を握った山賊が突っ込んできて、お互いの刀を正面から打ち合わせた。
 鍔迫り合い。歯を食いしばり、互いの目があう。
「大車輪はどこだ、寄越しやがれ!」
「おう、おめーら。ずいぶんなお宝持ってるんだってなぁ。金出せよ、おら!」
 横から飛び込んでいく醒鳴。
 まるでグドルフの手下であるかのようにワルぶった振る舞いをしながらの襲撃である。
(つっても最低限味方との協調を崩さねーようにはするぜ。突出しすぎてボコられるのは勘弁だしな)
 乱暴な振る舞いと冷静な頭を両立させながら戦う醒鳴。
 一方で、シェンシーは小屋の中からコソコソ射撃する山賊に狙いをつけて突撃。『おれを見ろ』とばかりに不思議な視線を送り自分を強く認識させる。
 アサルトライフルの射撃が身体のあちこちにめりこむが知ったことかと詰め寄り、相手が隠れた吹き抜けの窓枠を飛び越える。
 咄嗟に銃口が向くが間合いはこっちのものだ。相手の手首を蹴りつけ、喉を押さえて組み伏せる。
 一方で豪斗は巧みにポーズを変えながら背後にとてもキラキラしたなんかを展開しまくっていた。
「人の子の世の罪は人の子の世の理で裁く! 故にこのゴッド、此度は人の子のクライアントのオーダーをコンプリートさせてもらおう! ゴッドはゴッドのルールでしかパニッシュを起こさぬ。」
 鉄パイプを手に迫る山賊にフィンガースナップで謎のきらめきを放つ豪斗。
「これは人の子のジャッジメント!」

 集落中央。戦いの見える位置から、切り裂きポールは目を細めていた。
「グドルフ? 噂には聞いたことがある……えーと、他の連中はその部下だと?」
「だと言ってます。そう見えますし」
「本当か? 明らかに違いそうな奴が混じってるぞ。まあいい、襲撃はあの四人だけじゃないよな?」
「はい、裏からも」
 振り返ると、アルプスローダーがエンジン音も高らかに集落の裏側から襲撃をトライしていた。壁に囲まれてはいるももの、乗り越えること自体は難しくないだろう。
「では早速」
 リィズは走りながらマジックライフルを構え、丸太を並べたバリケードやその周囲に展開する山賊たちを狙って魔砲をぶっ放した。
「一緒に行くよ」
「最初が肝心、ですね」
 剣を大きく振りかざすアグライア。
 召喚陣を組むレイヴン。
 魔力の水で形成された鷹が飛び出し、山賊たちにぶつかっていく。
 さらにはアグライアが斬撃で放った光がバリケードを支えていたロープを切り、大きくぐらつかせた。
 見張り台からアサルトライフルを乱射していた山賊が転落し、バリケードが傾く。
 アルプスローダーは傾いた壁をジャンプ台代わりにして飛ぶと、適当な小屋へと思い切り突っ込んでいった。
「イケメンってのはタイミングよく、遅れてやってくるものなのサ」
 坂を駆け上がり、帽子を押さえて射撃する山賊たちへと飛び込むアベル。
 着地と同時に剣で切りつける。
 暫くはそこで迎撃を続けるつもりらしく、足を止めて迫ってくる敵に剣を振り込んだ。
 その後ろに陣取り、アタックオーダーと月光による攻撃を始めるレイヴンとアグライア。リィズもそこに加わり、マジックライフルでの射撃を始めた。
「多くの破滅を撒き散らしてきたテメェらが、自分は嫌だと泣き叫び慈悲を乞う権利があると思うか? 考えろ!」
 そこへ突撃していくR.R.。
 山賊の一人に手を伸ばすと、R.R.に巻き付いていた包帯が伸びて山賊に巻き付いた。途端に山賊の身体がぼろぼろと崩れ始めていく。
「もう一度言うぞ。破滅よ、滅びを知れッ!」
 表の陽動でグドルフたちに一度は向かっていた山賊たちだが、そのあとすぐに裏から襲撃をかけてきたR.R.たちにその半分をさくことになった。近接攻撃しかできないメンバーはともかく射撃主体のメンバーは少ない移動距離で裏側へ対応できたからである。
 一方でR.R.やグドルフたちは陽動のあとすぐに攻め込むことで陽動チームが激しく消耗するのを避け、敵のうち射撃型を多めに本隊に寄せることができた。それがどのように影響するかは彼ら次第といったところだろう。
 切り裂きポールは拳銃とナイフを手に取り、近くの部下に呼びかけた。
「俺は裏に行く。いくらかついてこい。残りは表の連中をぶっ殺せ。死んでも殺せ。いいな!」

●切り裂きポール
「ゴッドロープ!」
 豪斗が振り向きざまに二本指をさした途端、相手の身体が金縛りでもうけたように固まった。金縛りはすぐに解けたが、取り落とした銃を拾わねばならぬ。
「今だヒーローアンドエンジェル!」
「ヒーローじゃねえ」
「エンジェルでもない」
「ノープログレム!」
 なんてやりとりを交わしながら、グドルフとシェンシーが同時に山賊へと距離をつめた。拾ったばかりの銃を、腕ごと切り落とすグドルフ。
「あの世でボスに伝えておきな。主人公であり、世界に名を刻むのは、このグドルフさまよッ!」
 相手の首をつかみ、つりあげる。
 それを解除しようとグドルフの手を掴む山賊――の眼前にシェンシーが飛んだ。
 上下反転するように山賊の真上をとると、両手で頭を掴み、自らの身体ごといっきに200度ほど回転した。
 大抵の人間は首を200度まわされたら死ぬ。山賊も舌をだして絶命した。
 ぐるんと回って着地するシェンシー。
 直後、高所から何かが降ってきた。
「グレネード!」
 醒鳴が叫ぶ。防御か退避を求める声だ。
 シェンシーたちが飛んだが、ほぼ同時に爆発がおきた。
 直後にアサルトライフルの乱射が浴びせられる。
 醒鳴は前に出ると、盾を翳して呼びかけた。
「敵の数が多い。いつまでこらえられるかわかんねえぞ!」
「全滅は難しいか。となれば」
「オプション要素は一旦無視だ。ボスの首だけ取って帰るか」
 頷きあうシェンシーとグドルフ。
 豪斗が前髪をかきあげた。
「ならばここで耐えるのみ! ゴッドが邪魔であればあるほど、バンディットたちはゴッドをルックせざるをえまい!」
 腕を広げライトヒールの光を放つゴッド。
 が、そんなゴッドに大量の銃撃が浴びせられた。
「ゴッドピンチ!」
 トウッといって物陰に飛び込むゴッド。
 そこへ、建物の影を回り込んできたであろうレイヴンが駆け寄った。
 素早く召喚陣を組み、魔力の水で形成されたカモメを呼び出しゴッドに癒やしの力を与えていく。
 透視能力で山賊の位置を把握していたおかげで安全にこちら側に移ることができたようだ。そして移った理由は……。
「状況は分かってる。戦闘不能者は撤退していいよ。ワタシたちは可能な限りここで抵抗しよう。それが成功の鍵になる」
 山賊たちは小屋の窓や扉の枠に身を隠しながら射撃を加えてくる。近接タイプは遮蔽物をちょこちょこと移りながら近づいてくるが、グドルフたちが近接タイプなだけあって対応は楽だった。
「残るはあの厄介なライフルたちか……」

 銃を乱射する山賊。
 真正面から突っ込むアルプスローダー。
 搭乗者に着弾し、転落。バウンドしながら転がり、そして消失した。
「何――ぐああッ!?」
 銃を構えて『やったか』と呟いていた山賊はスピードをまるで落とさず突っ込んでくるアルプスローダー本体の突撃を受け、壁にめり込んだ。めり込むどろか壁を破壊していく。
 が、直後に小屋が爆発。
 アルプスローダーはボディを破壊され、転倒しながら滑った。
 爆発の中から現われる切り裂きポール。
「表のヤツが言うにはあの鐘? 柱? だかが目的らしいな。あんなもんがなぜそうまで欲しいか知らないが、俺に喧嘩を売ったなら死ぬしかねえな。なんせ俺はこの世に転成した主人公サマだ」
 やれ、という命令に応じて集中砲火が始まる。狙いはリィズだ。恐らく彼女を脅威だとみたのだろう。
「させません!」
 アグライアが割り込み、飛来する無数の弾丸を剣で次々と払った。
「私が相手になります!」
 青白い光を展開し、身構えるアグライア。
 リィズはその後ろに隠れるようにして手を翳し、ライトヒールの治癒魔術を短尺詠唱しはじめた。
 山賊たちの攻撃を一手に引き受けるアグライアとそれを回復して戦闘不能までの時間を引き延ばすリィズ。
 一方でアベルは敵陣へと突っ込んでいった。
「残りの連中は俺に任せて」
 剣で殴りかかる山賊の攻撃をすばやくかわし、至近距離で後頭部を銃で撃つアベル。
 帽子をかぶり直すと、R.R.にウィンク……のようなものをした。
「ボスと戦ってる他の連中に雑魚が寄らないように立ち回るのが俺の仕事って事で。何も花道を歩くのだけが仕事ではないでしょう? 俺は俺らしく、脇役は脇役らしく舞台に華を添えさせて貰いますよ」
「何が脇役なものか」
 R.R.はアベルが開いた道を駆け抜ける。
「だが、感謝する!」
 味方を盾にして奥へ逃げたはずの切り裂きポール。
 だがR.R.はすぐに追いつくことができた。
「くっ……!」
 振り返り、ナイフを投げてくる切り裂きポール。
 R.R.は避けもせず、ナイフは彼の方に突き刺さった。
 が、直後に詰め寄ったR.R.の腕が切り裂きポールの腹を貫いた。
「クソッ……なんのつもりだ、マジでよぉ……」
「断罪でも復讐でも無ェ、これは只の因果応報だ。テメェらが撒き散らしてきた破滅で自らを滅ぼしやがれ!」
「なんの……こと……」
 崩れ落ちる切り裂きポール。
 山賊たちとさして変わらないほどの強さ。いや、もしかしたら彼自身に特別なことなど無かったのかも知れない。
 血だまりに沈み『俺が死ぬはずねえ』と呟き続ける彼の目に、もはや光はなかった。
 背を向けるR.R.。
 外ではまだ山賊たちと仲間が戦っている。このまま戦い続けるのは不利だ。
 壁を突き破りアルプスローダーが駆けつける。
「撤退しましょう。乗れますか?」
「残念だが免許は無い。……依頼は完遂した。マハトマニコロは残念だが」
「ですか。では」
 R.R.とアルプスローダーは仲間に撤退を呼びかけながら山賊の集落から撤退した。

 切り裂きポールはこの世から消えた。
 彼は主人公でもなんでもない、ただの迷惑な男だった。山賊たちはまた別のリーダーをたて、似たようなことをするだろう。
 彼がただの好奇から手に入れたマハトマニコロも、いずれ何かの形で亡き者立ちの墓標に届くだろう。
 どちらにせよ、このお話はここまでだ。
 切り裂きポールは死んだ。
 旅人の願いの通りに。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。まずは身体をゆっくり休めてください。
 山賊たちは規模が縮小したことで今までのような村焼きはしなくなったという噂です。暫くは山の動物を狩ったりして静かに過ごすことでしょう。
 マハトマニコロもただのコレクションであったために、いずれいらなくなって手放すことでしょう。
 少なくとも、復讐は果たされました。

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