PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Bloom*Bloom>かたわれをさがして

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 みつけなくちゃ。
 あのこはひとりぼっちだと、ないてしまうから。
 はやくてをにぎってあげなくちゃ。
 それから、ふたりでやくそくをかなえにいくの。
 あのこはふたりのときいがいは、なきむしで、よわむしで。
 だから、わたしがささえてあげるんだ。
 ふたりいっしょならむてきだから。

●紅葉
「あれ? 椛はどこ?」
 きょろきょろと辺りを見渡したのは小さな妖精の少女。秋の島で生まれた彼女は、片割れたる椛を探していた。さっき一緒に行たときは手を繋いでいたと思うのだが。
「まよっちゃったのかなあ……」
 周りを見てみるが、それらしき姿はない。ぼんやりとしていたら手を離してしまったのかもしれない。これからふたりで遊ぶつもりだったのに、手を離してしまったらどこへもいけないではないか。
 椛と紅葉はふたりでひとつ。
 繋いだ手と手を離してしまったら、飛ぶことも魔法を使うことも叶わない。
 魔法を使いたくとも、片方が欠けていては本来の力も出すことが出来ない。それほどに、双子の妖精にとっては片割れがだいじなのだ。
「うーん……椛がいないとわたし、迷子になっちゃう……」
 紅葉はその場に小さく三角ずわりをする。
 秋の快晴は真っ青で、視界の端に映る紅葉ははらはらと落ちていく。
「椛……」
 ぐすぐすと膝を折って泣き出した紅葉は、次第にその不安定な魔力を生んでいく。
「……ううっ、ひぐっ、ぐす……」
 ぼろぼろと溢れた涙が、周囲の環境を変化させていく。
 地割れが起きて、空には暗い雲が立ち込めていく。

 妖精の涙が、世界を変えていく。

「ああもう、どうしたの?」
「ふぇ?」
「なかないで、お嬢さん。このフローラが、あなたと一緒に居てあげるから」
 紅葉の隣に現れた若草色の髪の少女。
 にこにこと微笑みながら、紅葉の手を握る。
 フローラと名乗った妖精……この妖精界のお転婆女王は、またもや厄介ごとに首を突っ込むようだ。

●あかいろ
「さて、こちらは『紅葉』を救うための依頼だ」
 あたまを掻いたカナタは両手に依頼書を眺めながら、紅葉のプロフィール画像を眺めた。
 赤い髪をした少女はにこにこと笑っている。もう片方の手に握られた赤髪の少女も、同様に。
 二人はそっくりだ。双子なのだろう。
「現場は秋の島。手を離してしまった妖精たちの物語だ。手を握りなおせるように、ちゃんとあの子に持ち直すように伝えてあげて欲しいんだ」
 カナタの表情はあくまでクールだ。妖精たちが起こしてしまう災害にもちかいイベントは、そう珍しいことではない。呪いが伝搬するよりも自然で、単純だ。
「紅葉が落ち着けるように、力を貸してくれ」

NMコメント

 いつぞやにやった相互で影響し合うシナリオがやりたくてひとりでやります。
 どうも、染です。
 連動するもう一本は近いうちに。ライブノベルなので楽しさを重視して頂ければ幸いです。

●依頼内容
 紅葉の精神安定に協力する

 小さな子供にとっては独りの時間も不安で仕方ありません。
 目的地なのだという『カエデの園』という遊園地へと連れて行きながら、不安を紛らわせてあげましょう。

●紅葉(くれは)
 紅葉の妖精。双子で赤い髪をしています。
 ちょっぴり泣き虫です。ひとりでいるのが苦手で、怖いときは木陰に隠れます。
 片割れの名前は椛。頼もしいふたごです。

 感情が乱れると地震に近い現象を起こします。
 浮遊島である秋の島が壊れると、下界に被害が及ぶでしょう。
 そのために、気を紛らわせてあげてください。一緒に散歩をしたり、果物を探してみるといいでしょう。

●ロケーション
 妖精女王が産み落とした秋の島。
 永遠に秋が続く穏やかな島です。
 紅葉や銀杏他、秋の果物やきのこが生え、小さな山や川もあります。
 小さめの島ではあるものの、人が住むことも可能な程度には広いです。
 紅葉が迷子になった場所の近くでは、公園や遊園地など、遊ぶにはうってつけの場所もあるようです。
 彼女たちの目的地である『カエデの園』と呼ばれる遊園地もそこにあります。

●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●フルールについて
 フルールとは、花冠師のこと。
 魔法や魔術を使う人々のことを指し、この世界に住まう人々の半分は花冠師です。
 現地の人々はもちろん、異世界から来た人がフルールと呼ばれる場合もあります。
 また、フルールにはギルドがあり、各々所属している団体があるようです。

●NPC
・フローラ(ティターニア)
 妖精女王、花の妖精。若草色の髪が特徴で、桜色の髪留めが宝物。
 エルフのような長耳と少女のような凹凸の少ない身体。性格はお茶目でお転婆、然しながら王としての自覚も芽生えつつあります。
 今回ばかりはお姉さん。紅葉の傍にいるようです。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。
 トップクラスの実力を持つ温厚な青年です。
 剣術を得意とし、フローラ達の護衛として腕を買われています。
 呼ばれたら出てきます。
 フローラの近くで護衛をしています。子供は苦手なようです。

 以上となります。
 ご参加をお待ちしております。

  • <Bloom*Bloom>かたわれをさがして完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月19日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
白鳳 山城守 楓季貞(p3p010098)
光の女退魔侍

リプレイ


『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)は往復に疲労の色を見せながら、紅葉の様子を見守っていた。
(探し人は既に見つかっているんだけど…これは精神安定に役に立つかな…。
 まあ、俺が往復して随時情報を教えていけば精神安定に役に立つだろう…)
 不安気な紅葉は、島が揺れたことによって更に不安になっているようだった。
(必要ならばれても問題なくて、二人位しか知らないことを椛さんに教えてもらって、それを紅葉さんに教えることでまあ、無事の証明になるのかな…頑張って情報を流していこう)
 決意は固い。この世界の為ならば。
「ヒトリは寂しいものね。でもま、大丈夫大丈夫。すぐ逢えるよ、キミたちは」
「ほんとう? どうしてそう思うの?」
「目的地はわかっているのだから、後はそこを目指せばいいだけさ。
 なに、心配ない。我(アタシ)たちが一緒に行くからねぇ」
 くすくすと笑った『闇之雲』武器商人(p3p001107)。だろう? と隣にいる『全てを断つ剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)に笑みを向ける。
「ああ大丈夫、これから向かうのは楽しい遊園地。きっと悲しい結末になんてならないよ」
 だからどうか、泣かないで。可愛いお嬢さん。
 頭を撫でてやれば、恥ずかしそうにうなずいた妖精。いつもおねえさんとして振る舞っているのだろう、慣れていない様子だけれども大人しく撫でられる。
「秋はすごくいい季節だよね。紅葉は美しいし、美味しい食べ物も多い」
 こくこくと頷いた紅葉。
 秋の島に居る妖精なだけあって、きっと秋が大好きなのだろう。
「紅葉殿は好きな食べ物はあるかな。秋の果物であればここで手に入りそうだ」
「わたし? わたしは梨がすき!」
「ふふ、そっか。何か果物があったらみてみようか」
「うん!」
『光の女退魔侍』白鳳 山城守 楓季貞(p3p010098)はそんな様子を眺めながら、小さく笑みを浮かべる。
「私のことは『かえで』と呼んで欲しい。貴殿と同じ、秋の名だ」
「かえでおねーさん?」
「呼び捨てでも構わない。呼びやすいものにしてくれ」
「わかった!」
 少し進んでいくと、たわわに実った果実の並ぶ道へと風景が変わる。
「わぁ、こんなみちもあるんだ……! でも、これなにかわからない……」
 残念、と肩を竦めた紅葉。そんな様子を見た楓季貞が、ひとつひとつもぎとって説明を。
「これはアケビだな。見た目はちょっとアレかもしれないが、とっても美味しいんだ」
「あけび? 見た目、ちょっとおもしろいね……食べてみてもいい?」
「ああ。皆も一緒に」
「わ、おいしい……!」
「本当だ。美味しいな……」
「こっちはイチイ、赤いところは食べられるが、中の種は毒がある。あまりお勧めはしない」
「イチイはたべちゃだめなんだね。わかった!」
「ふふ、紅葉はお利口だねえ。我(アタシ)からもご褒美をあげようね」
「これは?」
「多分、クッキーじゃないかな?」
 ヴェルグリーズが肩車をし、武器商人と同じ高さから袋を受けとる。
「たかい……!」
「これなら果物も取れるからきっと楽しいだろう?」
「うん!」
「秋らしくさつまいもを練り込んで、紅葉の形に型抜きしたり、リスの形に型抜きしたり……ナッツを入れてるのもあるね。椛の分もあるから、あとで交換するといい」
「えへへ、ありがとう。わたしは今あじみしちゃう!」
 さくさくとしたクッキーに表情を綻ばせた紅葉。秋の島にいるということは地上に降りる機会が少ないのかもしれない。そうでなければこんなにも物珍しそうに食べることも無いだろうから。
「おっ、サルナシもあるな。甘酸っぱいが食べてみるか?」
「うん、たべてみたい」
「わかった。はい、どうぞ」
 緑色の果実に瞳を煌めかせた紅葉。思い切って口の中に入れてみると、ちょっぴりすっぱかったようで顔をすぼめる。が。
「あまい……!」
「お、当たりだな。よかった」
「向こうに柿もあるみたいだねぇ」
 武器商人が指し示した先。柿に、梨に、たくさんの果実がなっている。
 うずうずと寄ってみたそうにする紅葉に頷いたヴェルグリーズは、肩車をしたまま進んでいった。
「そういえば、カエデの園には何をしに行くんだい? 『カエデの園』というくらいだから紅葉がたくさん植わっていたりするのかな」
「んっとね、あそびにいくのもそうだけど、紅葉のおていれをするのもそう!」
「お手入れ? 紅葉は頑張り屋なんだな」
  楓季貞がそういうと紅葉は首を横に振って。
「わたしひとりじゃできないの。あのこがいないとだめ。だからわたしもまだまだ」
 悔しそうに俯いた紅葉の頭を撫でたのは武器商人だ。
「大丈夫だよ、紅葉。これから強くなっていけばいいからね。
 それより、秋の島、どんなところが好きだい? 我(アタシ)達に教えておくれよ」
「すきなところ?」
「うん。我(アタシ)はこの色彩が美しいと思うね。燃える様な赤い紅葉に、鮮やかな黄色の銀杏、それから美味しそうな色とりどりの果物……いくら見ていても飽きないよ。
 キミは我(アタシ)よりずっとこの島の魅力を知っているだろう?よかったら、我(アタシ)たちに教えてくれないかい?」
「うん!」
(もういっそのこと担いで一気に運ぶとか頭の隅によぎったが……そんなことしなくても大丈夫そうだ)
 安心したように笑みを浮かべたサイズ。
「きのことか、おさかなとか。おいしいものがたくさんあるところがおすすめ!」
 食べることが好きなのだろう。その証拠に先程から食べてばかりだ。
「もうすぐでカエデの園につくんですけど、椛さんがカエデの園のおすすめのお土産を教えて欲しいって」
 空の上からふたりの伝書鳩的役割を果たしていたサイズは、先ほど会っていた椛からの伝言を伝える。
「おすすめのおみやげ? おいしいメープルシロップがあるからそれがいいよ。椛まいごになっちゃだめだよっていっといて!」
「はいはい……人使いが荒いこった」
「ふふ、妖精っぽいわね」
 くすくすと笑ったフローラ。目的地はもうすぐだ。
「カエデの園はね、たくさんのりものがあってね、きっとみんなもたのしめるとおもうの。
 だからね、みんなもよかったらたのしんでいって!」
 楽しそうに笑った紅葉は、もう不安げに表情を曇らせることは無いだろう。
 大きな門を潜り抜ければ、美しく紅葉が咲いたカエデの園に到着だ。しかし、そこに椛の姿はない。
「さがしてみてもいい?」
「勿論」
 椛、と名前を呼んでみる。きっともうすぐ着く筈だ。サイズと武器商人が迎えに行っているのだから。
 それでもまだこない。そわそわとする紅葉を楓季貞が窘める。
「大丈夫、きっともうすぐだ。奥まで来てしまったから、門まで戻ってみるか?」
「うん、そうしてみてもいい?」
「勿論。一緒に行こうか」
 美味しいものをたくさんたべた。アケビに、サルナシに、柿に、梨に、クッキーに。迷子になってしまった椛のことは不安だったけど、ひとりで遊んだのははじめてだ。椛以外のひとと遊ぶのもはじめて。知らないことを知った。だからつぎはかたわれに共有したい。
 ふと門をみる。そこには見慣れたかたわれのすがた。

「椛!」
「紅葉……!

 焦がれていた、かたわれ。
 ぎゅうっとお互いを抱きしめて、無事を確認する。嗚呼、よかった。
「けがしてない?」
「紅葉は?」
「だいじょうぶ。島がゆれてたから……」
「だいじょうぶ、椛はへーきだよ」
「そっか、よかった」
 
●再会はみんなで
「さあ、いってらっしゃい」
 ラピスが頷き、椛の背中を押す。解けた手のぬくもり。あの子も、僕も、かたわれに嫉妬されたりやしないだろうか。
「おっと、見つかったようねぇ。さ、行きなさいな、もうその手を離すんじゃないわよ?」
「うん。おねーさん、ありがとう」
「ん……あぁ、またな椛、いつか美味いもんでも食いに来させてもらうよ」
「えへへ、そのときは、まかせてね!」
 にぱっと、満面の笑みを浮かべた椛にコルネリアは上手く笑い返すことができない。
(笑顔か……やっぱりガキは苦手だよ)
「今度は僕のお嫁さんも連れてきたいし、きみ達にも、僕のかたわれを紹介したいから……その時は、また案内をよろしくね」
「およめさん、連れてきてくれるの?」
「うん。ここなら涼しいから、屹度妻も喜ぶと思うんだ」
「えへへ、そっかぁ。んふふ、まってるね」
「おにいさんが椛を見ててくれたの? ありがとう!」
「ううん、大丈夫だよ。ちゃんと手は握っててあげてね」
「はあい!」
「紅葉、これ、あのひとがくれたの。一緒に食べよう?」
 椛がおずおずと差し出したのは、武器商人が渡したパイだ。
「いいの?」
「うん、いいって!」
「ありがとうございます……ん、おいしい!」
 ヴェルグリーズが二人を抱きしめる。もう手を離さないように、と何度目かの念を押して。
「しっかり手を繋いで遊園地を楽しんでくるんだよ」
(所謂普通の子供の遊びと言うことをしたことがなかったから……こういった場所は初めてだ)
 小さく笑みを浮かべた楓季貞。もう泣きそうな妖精も、不満で頬を膨らませた妖精の姿も無い。
「おにいさん、おねえさん、ありがとう!」
 屈託なく笑った二人の妖精たち。
 こうして秋の島の平穏は守られたのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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