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シナリオ詳細

恐るべきサンマ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サンマを探して
 海洋のサンマ漁の船が沖に出ている。
 秋の味覚、サンマ。少し早いがもう初物として重宝される時期になろうとしている。
 だからこそこうしてサンマ漁に来たのだが……どうにもおかしい。
「魚群が見つからない……?」
 そう、獲るべきサンマが見つからないのだ。
 何故。この時期にはこの海域に唸る程いるはずなのに。
 それだけではない。この辺りには色々なものを漁礁として沈めていたはず。
 なのに、何もいないというのは……?
 悩む漁師の男の目に……何かが映る。
「あれは……サメ? いや……」
 海上に僅かにその姿を見せる巨体。あの美しい銀色は、まさか。
「馬鹿な、まさか……サンマだっていうのか!?」
 ドパン、と。巨大なサンマが跳ねる。
 全長5M程はあるだろうか。しかしその姿は間違いなくサンマ。
 しかし、何故サンマがこんなに巨大化しているのか?
 少なくとも、こんなものを網で獲るのは不可能だ。
 戻ろうと漁師の男が合図をした時。巨大サンマが次々と現れて船に体当たりをし始める。
「う、うわあああ! 退避、退避ィ! 船を沈められるぞ!」
 慌てて戻っていく船。しかし……これでは、今年のサンマはとんでもなく高くなるかもしれなかった。

●サンマの価格を救え
「というわけで、依頼に繋がったです」
『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)はそう言うと、大根を机に置く。
 大根。サンマを食べるのであれば高確率で必要になる大根おろしの元である。
 それはさておいて。
「サンマの巨大化の原因ですが、漁礁として沈めた中に失敗作の巨大化装置が混ざっていたのが原因だと思われるです」
 古代兵器を材料に作られた巨大化装置だが作動しても何も起こらず、失敗作のガラクタとして漁礁として鉄帝から出荷され、そして漁礁として沈められた経緯があるのだという。
 それがどういうわけかサンマに反応し、巨大化に繋がったのだろう。
 つまり巨大化装置を壊して本物のガラクタにしてやる必要があるわけだが……。
「勿論、生身で潜れとは言わねーです」
 今回、依頼人から潜水服が提供されている。
 チラリとチーサが視線を向けたそこには、なるほど。
 なんだか陸上で動くには無茶苦茶重そうな感じの全身鎧じみたものがある。
「アレが人数分提供されるです。空気の自動生成機能もついてるです」
 なるほど、意外に高性能らしい。
「巨大化したサンマは装置さえ壊せばゆっくりと戻っていくですが……そうなる前に捕まえてサンマパーティーするといいのです。まだ夏は終わらねーですが、一足先に初物を楽しむのも権利です」

GMコメント

潜水服については「潜水服 1878年」とかで検索すると良いと思います。
スチームパンクっぽいガッシリ全身鎧です。人数分プラス予備が2つ。
大体能力値が半分くらいになるとお考え下さい。
巨大サンマの攻撃に10回まで耐えられます。
持っている武器を使えますが、サンマの攻撃を防ぐ為の一方向防御型の特殊障壁「サンマ―ガード」も使用可能です。

□巨大サンマ×20
全長5M。巨大化装置を壊されまいと体当たりを仕掛けてきます。
タイミングによってはパクリと食べられて水上に向けて発射されます。
その後サンマ達によるイルカショーみたいな連続攻撃を受ける可能性もあります。

□巨大化装置
誰だこんなもん海洋に輸出したのは。
サンマだけが巨大化する特殊装置。
下手にスキルを使うと何が起こるか分かりませんが、叩いたり蹴ったりすればそのうち壊れます。
なお、これを壊そうとするとサンマに集中攻撃を受けます。

□船
潜水服を保管する為の特殊大型船が提供されています。
サンマを焼くための巨大七輪と大根、醤油も甲板に搭載されていますので、なんとか守りましょう。
初物サンマは美味しいですよ!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 恐るべきサンマ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
レッド(p3p000395)
赤々靴
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
辻岡 真(p3p004665)
旅慣れた
アンジュ・サルディーネ(p3p006960)
世界の合言葉はいわし
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔

リプレイ

●恐るべきサンマを求めて
「美味しい大きなお魚が食べられるって噂を聞いて来ちゃったっす!」
『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は言いながら、各種装備の点検を始めている。
 そう、此処は特殊な大型船の上。巨大サンマを狙い進む船の上にレッド達は居たのだ。
「やれやれ、どでかい生物だの何だのは狂王種相手だけで充分なんだがねぇ。巨大化装置……また練達あたりの発明品な気もしなくもねぇが、ま、サンマにしか影響がねぇんなら何よりだ」
『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)は、言いながら溜息をついてしまう。
 事実、巨大化装置が別の魚たちに影響があるならさらに大変な事態になっていただろう。
 たとえばクジラにでも影響があれば、それこそ狂王種並みの災害になってしまう。
「サンマか、青魚はやっぱり焼いたのがいちばん美味しいよね。パリパリになった皮を開くと脂の乗った真っ白な身が……想像しただけで腹が減ってきたや。さあ今日も女王陛下とおいしいごはんのためにがんばろうっと!」
「それにしても最近こんなのばっかだな。巨大化した生物と戦い、そして食べるって依頼だ。実は巨大化装置がそこかしこに沈んでる、とかじゃないだろうな? 勘弁してくれ。あぁでも、巨大化しても美味しくなってくれてて、それを食べられるなら嬉しいな」
『若木』秋宮・史之(p3p002233)に『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)がそんな風に返す。
 たぶんだが、巨大化は生物として簡単な進化の方法なのだろう。狂王種然り、あらゆる生き物は巨大化する事で相応の強さを手に入れてきたのだから。
「5mのサンマとはまた大きいね。まあ敵として出てくるとなると大き過ぎない!? となるけど」
『空に願う』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)も、やはり大きさが気になるようではあった。
「ほんとにおっきいよね。……ま、でもどれだけ大きくなっても、さんまなんか目じゃないし。海の王者はさんまじゃなくて、いわしってことを教えてあげる!」
『いわしプリンセス』アンジュ・サルディーネ(p3p006960)のそれは、ちょっと他のメンバーと方向性が違うようにも感じるが……まあ、やる気があるのはとても良い事だろう。モチベーションは人それぞれだ。
「まあ装置壊す前に生き残ってたとして一匹か二匹も居れば十分そうだね」
 言いながらフォルトゥナリアはサンマを捕獲した後のことを考える。どう食べるにせよ5m級のサンマだ。
 縁は食べないから7人として……確かにそれだけあれば充分以上に楽しめるのは間違いないだろう。
「お、サンマらしき影が見えてきたな」
 縁のそんな言葉に、全員が気を引き締め潜水服の方へと向かう。
 この船には潜水服の投下口もついている為、そこから海に飛び込めるのだ。
 そして用意された重々しい鋼の潜水服に、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は「おお……」と感嘆の声を漏らす。
 マトモに動けるのか怪しげな図体ではあるが、恐らく最新級の技術が投入されているのがよく分かる、そんな代物だったからだ。
「これは随分と物々しい潜水服ね。バラバラに解体して調べてみたいけど、依頼の後かしらね……さて、巨大サンマ狩りを始めましょうか!」
「船上にある七輪の火起こしヨシ!大根おろしヨシ!潜水服の着用ヨシ! それじゃあボンボヤージュっす」
「よし、行こう!」
 まずは先行して潜水服を着ていた史之が海中に、続けてイナリとレッド、フォルトゥナリアが潜水服を着て潜っていく。
「よし、サンマの価格を救おう。サンマを楽しめないのは、秋の味覚の損失だよ。それはちょっと、つまらないじゃない」
『旅慣れた』辻岡 真(p3p004665)は酸素ボンベを担ぎ、潜水服だけを沈めて後を追うように潜っていく。
「いやまぁ、頑丈さはお墨付きなんだろうが…流石に、あれを着てまともに泳ぎ回れる気がしねぇ
 続けて縁が、そして全員が潜っていく。目指すはサンマを巨大化させている巨大化装置。
 そして……巨大化したサンマそのものである。

●恐るべきサンマ、そして美味しいサンマ
「うわあ、本当に大きいねえ!?!! あんなの、倒して食べられるのかい? あれを捌くにも相当、骨が折れそうだよ」
 発光するフォルトゥナリアの光に照らされて見えるサンマの姿に、真がそんな感想を漏らす。
 5m級のサンマ。言うは簡単だが、実際に見るととんでもない迫力ではある。
「こうもデカいと一匹より一体、のほうが正しい気もするな」
 縁が呟くが、まさにそういった感じではあるだろうか?
「コンニチハっす。機械壊したいけどダメっすか?」
 そして、ものは試しとレッドが動物疎通でサンマに直接交渉を試みるが……返ってきた反応はよろしくない。 
「当然イヤイヤ…っすよねー」
「まあ、そうなるよね。とりあえず20匹もいると集中して叩かれるときついから、割と速攻求められてるって感じかな。おっけー、お望み通り短期決戦で!」
 アンジュが叫び、サンマを引き付けている史之目掛けて降下していく。
「よし、皆来たな……サンマ―ガード!」
 一番サンマの多い方向へ半透明の壁を生み出した史之だが、その壁に向けてガツンガツンとサンマがぶつかってくる。
 どうやら名乗り口上が随分と効いているらしかった。
「あ、あー、連続攻撃はやめて、俺ボールじゃないから……って、おっ」
 連続攻撃を受けそうになった史之がそんな事を言っている間にも全員の降下が終了し、それぞれが配置につく。
 初手はイズマの奇襲による剣魔双撃。それは想像以上に有効だったようで、イズマはあっという間にサンマ達による連続攻撃でボールのように突かれ遠ざかっていく。まあ、すぐに戻ってくるだろう。
「試すだけならタダだ……やってみようか」
 自らのギフト「旅人の鞄」に巨大化装置を収納できるかどうか、真は試してみようとしたが……何かの邪魔する力が働いているようで、巨大化装置を収納できなかった。
 あるいはそれは巨大化装置が壊れかけている事による何かの影響なのかもしれないが……そうだと分かっただけでも収穫だ。
 そして巨大サンマ自体はただの巨大化ということもあってか、然程強くもなく……戦いは常に有利に進んでいた。
「シメたサンマは早く回収するっす!」
 レッドが叫び、船上からイナリの設置した引き揚げ用のウインチによって巨大サンマが回収されていく。
「アルティメットいわしストライク!」
 そう、これは全てのいわしを救いたい少女の、小さくも大いなる革命の第一歩。
 ひとつはひとつは小さくても、集まれば大きな力に。
 みんなの想いをひとつに重ねて──あの空まで届け!
 そんな感じのアンジュのアルティメットいわしストライクがサンマに炸裂し、フォルトゥナリアや史之、レッドの発動させるサンマ―ガードが仲間達を守っていく。
 そんな最中、真は上手く誘導すればサンマが巨大化装置を壊さないかやってみようとしたのだが……サンマもさるもの。
 巨大化装置にぶつかりそうになると、するりと避けてしまう。
 だが、所詮は巨大化しただけのサンマ。しっかり作戦を立てている以上は負けるはずもなく、サンマを見事全滅させて。
「よし、そんじゃ件の巨大化装置とやらを破壊しねぇとな。どういう仕組みかはさて置き、ど真ん中を叩けば流石にもう動かねぇだろ」
 縁の一撃が炸裂し、巨大化装置は自壊するようにしてバラバラになっていく。これではもう、元がなんであるかも誰にも分からないだろうが……その方が、あるいは良いのかもしれない。
 ともかく、あとはサンマの実食を残すのみ。船上に戻ったフォルトゥナリアは、新鮮なサンマを前にテンションが目に見えて上がっていく。
「刺し身でも、焼いて食べても美味しそう。巨大化時間の関係上手間と時間のかかる料理よりは、新鮮さを活かせる料理の方が良さそうだね。大根は用意してあるみたいだけど、ネギとか生姜も欲しいね。寿司にしてネギと生姜を薬味として上に乗せたのが美味しいって聞いたことがあるからね。シャリはなくても刺し身の状態で試してみたい。まあ無くても焼いたり刺し身にしたりで沢山食べたいね。うん、でも巨大七輪があるということでまずは焼くところからサンマを調理したいかな。ふふ、想像だけでよだれ出てきた!」
「ああ、サンマパーティーだな! サンマと言えば……塩焼きだろうか。あと蒲焼きとか煮たりとか? とにかく楽しみだ!」
 イズマも同様にテンションが上がっているようで、調味料の吟味を始めている。
 すでに巨大七輪には炭が入れられ、火がパチパチと燃えている。これで焼けば最高に美味しいサンマが出来上がるだろう。
「そうね。七輪焼きもいいし、新鮮な刺身、秋刀魚のお寿司とかもいいわね、とりあえずサンマを皆で楽しむわよ!」
 事前に酢飯を用意していたイナリもテンションは充分。ご飯の準備も充分だ。
「家族へのお土産に、調理したサンマをちょっと包んで貰うってできるかな? できたら、お土産話と一緒にギフトに入れて持って帰りたいな」
 真はそんな事を言うが、勿論可能だろう。此処の全員でサンマを楽しんだとして、更に全員にお土産が出来る程にサンマはあるのだ。
「わーい新鮮なサンマだ! 七輪もでっかいし、食べごたえがある焼き魚ができそう。せっかくだし身を借りてサンマの酢じめを……しょうゆとみりんと酢を混ぜて、塩で水気を抜いたサンマをひたすだけ。これがしょうがとあうんだよなー」
「あ、生姜こっちにも!」
 史之からフォルトゥナリアが生姜を受け取って薬味したりと調理は進んでいって。
「お魚いっただきまーすっす!」
 レッドの声が響き、実食が始まる。
 旬のサンマは脂がのって美味しくて、肉厚なんて言葉じゃすまない大きさのサンマは、確かな満足感を口の中に伝えてくれる。
 酢飯との相性も抜群で、まさにサンマのフルコース。
「パパたちにさんま食べさせてあげよ。ふふ、おいし? めっちゃあるからたくさん食べてね。ごはん代浮いてラッキー!」
 何処からか集まってきたいわし達にアンジュがサンマを食べさせていたが……恐らくは、深くは突っ込まない方がいいのだろう。
 七輪焼き、お刺身、お寿司、蒲焼き、煮物。
 薬味も充分に用意されたサンマを……縁は離れた場所から見ていたが、それ以外の全員が幸せそうにほうばる。
 初物のサンマを誰よりも美味しく味わったレッド達の口からは……「おいしい」以外の言葉など、出てくるはずもなかった。
「……そんだけでかいと確かに食いではありそうだが……腹ん中に入ったサンマの大きさは変わらねぇのかねぇ?」
 仕事終わりの酒を飲んでいた縁が、ふとそう呟く。
 確かにそれは気になるところだが……少なくとも、巨大化サンマは今のところ戻る気配はない。
 仮にお腹の中で元の大きさに戻ったとして、それはこの夢のような時間をよりたっぷり、よりたくさん楽しめるということではないだろうか?
 誰に言われずともすぐにその結論に至り、縁はクックッと笑う。
「言うだけ野暮ってやつだったな……酒のせいか?」
 そう呟いて、縁は空を見上げる。
 夏が終わり、秋はもうすぐそこまで来ている。
 暑いだけだった日々はやがて遠ざかり、涼しい日々がやってくるのだろう。
 それで何かが変わるわけでもないが……季節が次の季節へとバトンを渡す今しか味わえないこの空気を肴に、縁は酒を飲む。
「うーん、美味しい! たぶん私達が今年最初にサンマを食べたんじゃないかしら!」
「ああ、美味しい! 初物を味わう特権、最高だな。大根おろしもあるのがまたいいよな」
 イナリの、そしてイズマの幸せそうな声が船上に響く。
「ほんと美味しい……このお寿司も、とろけちゃいそうだよ」
「どれも美味しいっす!」
 フォルトゥナリアも、そしてレッドも並ぶサンマ料理の数々に未だ手が止まる気配を見せない。
 どれも美味しい。皆で頑張ったのもあるが、皆で協力して作った旬の、しかも初物だ。
 美味しくないはずがない。
「ああ、本当に美味しいなあ……今日は来てよかったー」
 史之もすっかり気の抜けた様子で、しかし手だけは止まらない。
 サンマは本当に美味しくて。太陽は眩しくて、風は涼しくて。
 何故か大量のいわしに囲まれているという謎の事態を除けば……とても、とても幸せな。
 そんな、初秋の一日を全員が全力で楽しむのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
初サンマを楽しみました!

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