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シナリオ詳細

海洋鉄『筋』レース

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●トライマッスロン、開幕ッ!
「さて鉄帝から何故か呼び出されたわたくしJ・K・平林、そして元プロデス・テニスプレイヤーのSさんを解説に迎えてお送りいたしますこの『第50回(?)トライマッスロン』、回数が曖昧ですがひとまず海洋ではそれなり歴の長いこのレース、今回はまさかのフェデリア海域を使用しての開催となりますがSさん、今回の見所などはありますか?」
「そうですね、やはり母国での開催、そして海を使った競技ということでジョージ・キングマン (p3p007332)選手と十夜 縁 (p3p000099)選手の2人は有力株とみていいでしょう。特に縁選手の筋肉はスラッとしていてフィジーク向きです。期待が持てますよ。幻想からは現状で参加が決まっているのはベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)選手、そしてなんといっても『勇者』と名高いシラス (p3p004421)選手でしょう。何れも細身ですがしっかり鍛え込んでいますからね。大胸筋よりはどちらかというと背筋、三角筋や広背筋に期待が持てます」
「何故か筋肉の話題一辺倒になっておりますが皆さん話についてきておりますでしょうか。今回は応募者総勢3000名から、厳選された250名(うちローレット・イレギュラーズ8名含む)での大競争となります。海洋では知る人ぞ知る鉄人レースとして有名ですが、運動能力のみならずかなり色々と求められます。今回は男女別け隔てなくの募集ということで、混戦が予想されますが――」
「女性には女性にしかない筋肉の付き方というものがあります。それのアピールが上手ければ上位入賞もありますねぇ!」
「ひとまず、今回のルールは割と危険で負傷を伴うリタイアもありえるので、十分なルール説明からでしょう……こちらのフリップを御覧ください」

●肉体美と健全な運動のコラボレーションだ!
「通常のトライアスロンはスイム、バイク、ランの3種目を組み合わせて行いますが、このトライマッスロンはその程度のチャチい競技ではありません。『ダイブ(着水技能)』『フィッシュ(漁)』『スイム(水泳)』『フィジーク・ラン(綺麗めの筋肉とイケメンアピールでの徒競走)』そして『マッスルサイクリング(自由形車両による筋肉アピ競争)』に分かれております。いやあ多いですね! 報告書にまとまるのでしょうか!」
「それはちょっと言ってはいけないと思いますので……」
「まず『ダイブ』と『フィッシュ』ですが、この競技はアクエリア島の絶壁スタートとなります。いかに怪我をしないように、着水時の飛沫を小さくダイブできるかが競われます。フィッシュはそのままの意味! 次のチェックポイントまでの間で海にはびこる魚類とかをいかに筋肉に任せて締め上げられるかを競います! 狂王種の幼体なんかはポイント高いですよ! これに限ってはチームプレイもアリかもしれませんね! 筋肉アピができていれば!」
「それと並行して『スイム』、つまり水泳技能です。当然水中でどうにかする技能は必須ですし飛べても飛ばない方が望ましいですが、これもいかに海を渡るかではなく格好良く、筋肉に誇れる踏破を重要視されます。アクエリア島の海岸に回り込んだら、次は『フィジーク・ラン』が待っています。フィジーク、つまり爽やかさと上半身の筋肉の均整がいかに取れているかをアピールしながらの徒競走。走り方にも工夫が必要となりますね。最後が『マッスルサイクリング』ですが……」
「そうですね! これはもう自転車に限らず変わり種自転車、所謂『リカンベント』なども用意しております。他にも恐らくだいたいのモノはあるので、申告いただければ用意できるでしょう! 共通して言えるのは自転車を漕いでいる間にどう筋肉を魅せていくか! これは最終競技だけあって採点の難易度が高いですね!」
「はい。ここが分水嶺といって過言はありません。期待大ですね」
「そんなわけで競技はかなり多岐に渡りますので、ペース配分も重要と鳴ります! この鉄人レース、勝つのは誰だ!!」

GMコメント

 リクエストありがとうございます。
 某=某カ諸島周りにしなかったのは理性の勝利だと思います。

●成功条件
 トライマッスロンを盛り上げ成功に導き、あわよくば誰かが優勝する

●海洋トライマッスロン
 知る人ぞ知る伝統競技らしく、筋肉アピールが根底にあるスポーツ競技。
 OPにある競技の組み合わせで、いずれも筋肉的サムシングで判定される。
 なお、『筋肉的サムシング』は『防技』『抵抗』『HP』で判定……されるなんてことはビタイチなく、アイテムと非戦スキルとプレイング的なサムシングで判定されます。
 最悪水中呼吸とか水泳なくても補助具つければいいんじゃねって思います。

●重傷になりそうなポイント
 ダイブ:落下中に崖とか岩とかにぶつかってしまう。
 フィッシュ:狂王種に無理につっかけたり単独捕獲とか行こうとして海の藻屑となる
 スイム:溺れる。飛行でズルしようとして着水。
 以降:体力切れで後続に巻き込まれる

●舞台:アクエリア島
 崖からスタートして海岸に向かい、そこから島内を移動する感じになります。
 サイクリングの距離が地味に一番長いのでペース配分に気をつけましょう。

 以上となります。
 ご参加お待ちしております。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 海洋鉄『筋』レース完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月17日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
※参加確定済み※
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
シラス(p3p004421)
超える者
※参加確定済み※
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
※参加確定済み※
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
※参加確定済み※
クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)
海淵の祭司
アウレリア=ネモピレマ(p3p009214)
大海に浮かぶ月

リプレイ


「みんなーっ! 私をいっぱい見ててねー!」
「静寂の青での催しを視察しに来ただけで、別にそんな、アピールとか……するが?! 見とれよ!」
 『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)と『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)は集まった観客たちに向けて精一杯のアピールを向けていた。お互い、用意した水着が女性的でありながらも当人の肉体はきっちり鍛え上げたそれであるという姿が不思議なマッチ感というか、そういったものを醸し出しており、こういうものが好きな人々には極めて好評な様子だった。……そうでなくとも2人とも有名人だ。ネームバリューもあろう。
「前々から思ってたんですけどベネディクトさんって謎レースに参加するのもしかして大好きです?」
「素直に面白そうだなと思った企画には参加するだけだな、俺の場合は。むしろマリナの方が、こういった競技には不釣り合いかと思っていたが」
 『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)のどこか心配そう(主に正気を疑う的な意味で)な問いかけに、『黒狼の勇者』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は何を言っているのか、という様子で応じる。ごくごく当たり前のように参加して当たり前のように活躍する、そんなノリでこの場にいる彼に冗談とか嘘とかは無い、というか通用しない。逆にマリナを心配する姿は本当にデキた男なのだが……。
「心の中にいつでもむくつけき海の男達が10人くらいソイヤソイヤ! してるので大丈夫です、行けます。むん……!」
 それはそれで嫌だな、と周囲の男どもがちょっとだけ思ったけど口にしないのが優しさである。
「鉄帝の催しかと思った……!」
「……正直突っ込みてぇ所は山ほどあるが、要はこのレースを盛り上げりゃぁいいわけか」
 会場は、幻想王国に於いて『勇者』という最大級のネームバリューを獲得した『竜剣』シラス(p3p004421)と、海洋に於いて最も有名なイレギュラーズ、『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)の2人を迎えて最大限のボルテージに達しようとしていた。幻想の英雄と海洋の英雄、2者揃い踏みの状況は、友好国同士とはいえ何方がどう活躍するのか、という淡い対抗心を満たす意味でもベストな組み合わせなのかもしれぬ。
 尤も、縁は催事に死力を尽くす、という感覚がよくわからないので適度に努力し、適度に盛り上げることが最大の目的となるのだが。
「祭りを盛り上げるのは海洋の民として当然だ。……とはいっても、流石にライバルが多いな。女性陣も手強い相手が多い」
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)は居並ぶ仲間達、その雄姿にほうとため息をつく。水着にシャツのスタンダードな姿はしかし、その下から覗く鎖骨や筋肉の隆起を見れば並みならぬ鍛え方をしているのが伝わってくる。
「……なんであたしがここにいるんだって思う子もいるかもしれないけどね、最近思うんだよねぇ、あたしゃ実は運動不足じゃないかってさ。いやほらネモピレマの時の体とかあんなんだし、フィジカル0だし……」
 他方、『大海に浮かぶ月』アウレリア=ネモピレマ(p3p009214)はため息をつきつつ仲間達の気合の入りようを窺っていた。彼女だけ目的がなんか違う気がするのだが、女性陣のなかでとりわけ華奢というかちまっこい子供がいる時点で、観客のボルテージは謎の方向に振り切ってしまっている。
「ヘェーイ、メェーン! ルックアットミィ!」
 どこか鼻にかかったようなシラスの声と慈悲深い笑みに、観客達はどよめきを以て応じる。そのどよめきの理由は、直後のダイブ。かなりの勢いをつけて飛び込んだ彼は、錐揉み回転をつけて水面へと飛び込んでいく。岩に激突せんばかりの速度で、それでも安全地帯を見切ってほぼ無音で着水した姿に、観客達は驚きの声を上げた。
 仲間達は負けてられぬと次々と準備をするが、ここでジョージがシャツを着たまま前へ出る。
 気合とともにはじけ飛んだシャツ、露わになる上半身の筋肉! 鉄帝でなら大ウケなそれは、海洋であっても覿面であったらしい。シラスが温めた空気をさらに盛り上げ、ここに海洋の筋肉自慢達の戦いが始まる……!


「ただ飛び込むのは芸がない……4回転半ぐらい決めてみましょーうおー」
「おいおい派手だな、皆頭からいっちゃって……俺? さあて、どうかなっ!」
 マリナは手慣れたものと岸壁を蹴り、4回転半にさらに捻りまで加えて飛び込んでいく。着水は少し飛沫いたが、それでもきれいな部類だ。他方、縁はといえば足からの垂直着水。頭部からいくよりも恐怖感や危険性が薄く、コントロールが利く。地味といえば地味だが、着水の綺麗さを見れば彼の熟練度が伝わってくる。
「帽子、任せましたよ!」
 ウィズィは使い魔に帽子を預けると、垂直にジャンプしてから縦回転を加え、頭から水中へと飛び込んでいく。その際、身をひねることで腹斜筋を強調。まんべんなく鍛えていることをアピールしていく。こういうところは得意分野だ。
「うおおおおおおお!!」
 海種の一般参加者達が次々と飛び込んでいく中、突如として存在感を顕にした者が居た。競技開始直後に存在感を消していたクレマァダだ。突然現れたかと思えば、既に落下姿勢に入り、シャチらしく綺麗に、なめらかに着水すると文字通りのドルフィンキックで鋭く進んでいく。勝手知ったる己の庭、とでもいいたげな華麗な泳ぎだ。
「皆、慣れているな。だが、俺は不慣れなのでな。堅実にいかせてもらおう」
「アタシだって丁寧にダイブしないと即競技終了だからね、十分助走をつけ、ぎゃっ!?」
「……大丈夫か……?」
 ベネディクトは体力に自信ありだが技術がなく、アウレリアはそもそも技術も体力も人並み以下だ。丁寧にジャンプの準備をするベネディクトの遥か後方から助走を始めた彼女は、走り始めに盛大にすっ転ぶと、痛みを感じさせない速度で立ち上がり、助走を再開する。落下姿勢は真っ直ぐ足から。縁と比べれば不格好だが、それでも初挑戦とは思えない着水だ。
 ベネディクトは、スタンダードな飛び込みだが体の使い方が上手い、というか彼の生来の運なのか、落下時にその筋肉に陽光が反射し、数名のご婦人を気絶せしめた。罪な男である。

 さて、ダイブを無事終えた参加者たちを待ち受けるのは周囲を泳ぐ多数の魚、そして一部の狂王種だ。
『おーっと! ここでイレギュラーズ数名が一団となって狂王種へと向かっていく! 序盤でのこの大きな賭け、当たれば順位は兎も角アピール力で上位に躍り出るがさあどうだ!』
『出場選手達のなかで頭一つ抜けている彼らですが、ひとりで狂王種を倒せるかといえばかなり怪しいですね。無理せず協力して、その分大物をというのは正しい判断ですよ』
 実況の声が響く中、7名のイレギュラーズが一団となって大型の狂王種(イカ型)に向かって突き進む。各々洗練されたフォームで接近するさまは、まるで狂王種を艦砲射撃か魚雷で狙うかのごとし。
 そんな中、アウレリアはといえば単独で魚群へとそろりそろりと突っ込んでいき、するっと一尾捕らえると、そのまま漁場から離れていく。泳ぎも精いっぱい頑張っている範囲、といった速度だが、周囲の一般選手が喧々諤々とやりあいながら漁に挑むなかでは、かなり堅実かつ静かな漁といえるだろう。先は長い。彼女はまず、完走がひとつの目標なのである。
「ここが魅せ時じゃ! さあ見よ、我の手際を!」
 クレマァダはひとつ叫んで水中に潜ると、鋭く腕を振るって海嘯を巻き起こす。
 ただでさえ荒れ気味の海がより激しく波立てば、周囲の者も、狂王種すらも驚きのあまり姿勢を崩す。
「どっち見てんだ? お前の相手は俺だろう?」」
「よそ見してるヒマがあるなら、傷の心配をするんだな!」
 平衡感覚を狂わされた狂王種は続けざまに、縁の青刀の一撃で意識を惹きつけられ、隙を縫うように放たれたシラスの抜き手に深々と身を貫かれる。水中であっても鈍らぬ冴えは、この静寂の青で培われたものだ……などと言えば感慨深くもあるか。
「そのまま、下から1人! 追い込んで水面に上げますよ!」
「そういうことなら……私の筋肉、お魅せしよう!」
 ウィズィの指揮下で包囲を敷いた一同は、しかしそれぞれの攻撃を仕掛けると一気に距離を取る。これを反撃の好機と見た狂王種は、全ての触腕を伸ばそうとし……まさに中心、口吻の部分にジョージの筋肉と泳力のすべてを注ぎ込んだ一撃を叩き込まれた。海上に姿を見せた彼がサイドチェストの姿勢のまま垂直落下する様はシュールだが、ウケは最高だ!
「GeeeeeeeYeaaaaaaaaaah!?」
「お前の腕は私が纏めてやった。すこし動かしづらそうだったからな。礼ならいらないぞ?」
「縛ったところは凍らせんたんで、動かせねーですよー」
 浮かび上がったそれの触腕は、半ばほどがベネディクトの手によって縛られた上で、マリナによって凍らされていた。ひきつけ役が縁なら、ここぞという時に手を出すのがベネディクトだ。仲間達の、観客の、そして実況の快哉が響く。
「いいねベネディクト! それならトドメは――」
「筋肉が目立つ絞め技でしょうね!」
 シラスとウィズィはトドメの認識を一致させ、各々が胴体を締め上げる。「で、どこを締めればイカって死ぬの?」という両者の問いかけは聞かなかったことにしておこう。締め上げた時点で、その部位が濁った白になっているのがそのいい証拠だ。
「さて、ここから浜辺までスイム……当然ですが、これは私が運びますよ!」
「抜け駆けか!? ……と言いたいところだが我も自分の泳ぎに必死にならねばならん。頼んだぞー(エコー)」
「あっ滅茶苦茶速い上に飛び跳ねてるズルい!」
 ウィズィはクレマァダが水面を飛び跳ねながら華麗に泳いでいく様に形ばかりの文句をつけると、即座に狂王種の触腕を掴み泳ぎだす。力強いそれは、上半身の躍動を感じさせる。
「せっかくの水中なんだ、慣れた姿でいかせてもらうぜ」
「なら、私はバタフライでいくとしよう。ドルフィンキックの下半身、バタフライの上半身! 完璧だな」
「あー、やっぱり被りますよねー」
「バタフライは定番だよなぁ」
 ジョージが己の腕を強調して姿勢をとると、マリナとシラスもそれに続く。三者三様、フォームが異なる。水中と水上での動きに緩急をつけ、波しぶきと一体化したような美しさを誇るジョージ。激しい動きで、殊更に躍動感をアピールするマリナ。そして、バタフライというよりもはやトビウオの領域に達しそうな大曲線を描くシラス。実はちょっと飛んでるが、トビウオだってヒレで飛ぶのだ、問題あるまい。
「皆やっぱり動きが派手だねー。アタシもこう、激しく……こう……っ!」
 その頃、アウレリアはクロールを丁寧に、しかし激しくこなすことで観客達の応援を誘っていた。
 そりゃまあ、応援したくなるよな……。


(((ソイヤァ……ソイヤァ……)))
「あ、やっぱり心の中の海の男達もちょっと弱ってますね……」
 マリナは丘に上ってから、なんとか練習してきたけどという感じで動きがあからさまに鈍っていた。水中での華麗さを思えば、仕方ないがやや危なげ。その背中を叩くのは、海種達のペースメーカーの如き働きに出ている縁だ。
「ほら、もう少しで自転車だ。漕ぐのは走るより少しは楽だろ、頑張ろうぜ」
「ありがとうございます縁さん……海の男の声を受けてまだまだ頑張れます……」
 マリナの言葉の意味は全くわからないが、とにかく凄い気迫だ。
「海の女はここにあり! ですよ!」
「慎重に……慎重にじゃ……勝負は最後までわからぬ……!」
 使い魔から受け取った帽子を被り、滴る水と汗を散らしてウィズィが走る。フィジークの要衝を心得たそのスタイルと走りは、速度も去ることながら見せる力も十分だ。
 後方で虎視眈々と前を狙うクレマァダは、海種としてはだいぶ体力を温存している。コンパクトな動きが奏功しているのだろうか?
「ベネディクトさん……私の分まで、頑張って……優勝目指してくだせー……!」
「ああ、ゴールでまた会おう……!」
 ベネディクトはやや後方からきれいなフォームで追い上げを図り、その途上でマリナの脇を横切る。彼女が差し出した(口をつけてない)ボトルを受け取ると、ベネディクトは蓋を開け一気に口へ。その豪快さと繊細な姿のコントラストがまたウケるのだ。
「ブハッ……よし、まだまだいけるぜ!」
 シラスもまた、頭からボトルの水を被り、派手に飛び散らせることで爽やかさを演出しながら、先頭を虎視眈々と狙う余裕を窺わせている。このあたり、したたかだ。
 背後に控えるジョージは、静かに、しかし確実に歩を進め、サイクリングゾーンへ向かう。

『ここで後方を見てみましょう……アウレリア選手、ぽつんと1人だが全く勢いが衰えていません!』
『ペースこそ見劣りしますがその姿勢、安定性は評価できますねぇ。影の功労者ではないでしょうか』
「ぜーっ、ぜー……フフ、あたしはどれだけ酷くてもゴールしてみせるよ! 体力も筋肉もないけど、根性みせてくからね!」
 アウレリアは、既にサイクリングが佳境となった段階でランの中途だった。それでもペースを落とさず、涎と汗と涙にまみれつつも力を失わない目が観客の心を打つ。
 リカンベントで脚と腹筋を魅せていくジョージとウィズィ、ファットバイクでの前傾姿勢で背筋を強調していくクレマァダ、見様見真似で自転車を漕ぎ、それでもかなりきれいなフォームで走っていく縁とマリナ、ロードレーサーを我が脚のように駆り、ダンシングでの圧倒的な躍動感を見せるシラス。そして、スタンダードなロードバイクで目立たず、しかしあまりにきれいな動きを魅せていくベネディクト……1位がそのまま優勝に非ず、最期までもつれ込んだ競技の結果は――!

成否

成功

MVP

ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

状態異常

なし

あとがき

 というわけで優勝はこちらとなります。
 しかし、最後まで結構迷ったりなんだりしたわけで、堅実性重視、完走に死力を尽くす、突拍子もないけどやってみるとハマる策など、本当にコレ部分リクシナか? ってなるアレでした。すごいね発想力。

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