シナリオ詳細
キレイなメクレオ(女体化)の正体を探れ!
完了
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オープニング
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「ちょっと具合悪くなった時に飲んで下さいね」
悪の都と言ったら、ここのこと。
砂嵐の王都・ネフェレスト。バザールの中心から噴き出す噴水は清浄だが、都市の悪徳を洗い流すにはささやかすぎる。
その前で、一人の娘が道行く者たちに、小さな包みを渡そうと声をかけている。
受け取りを拒否するもの。受け取った後すぐ投げ捨てるもの。とりあえず懐に入れるもの。人さまざまだ。
何なら、捨てて踏みにじり、娘がどんな顔をするかわざわざ顔をのぞき込むものもいる。
「ちょっと具合が悪い時に飲んでくださいね」
同じことを繰り返す。
作り込まれていないNPCのようだが、それにしては実在の人物に似ている。
いや、決して間違えたりはしないが、元ネタと並べれば唸るしかない仕上がりなのだ。
そこが問題なのだ。
娘の名を尋ねたら、彼女はこう言うだろう。
「アラギタ・メクレオと申します。薬師ですわ」
●
「んン~。悪夢かな~」
『そこにいる』アラギタ メクレオ(p3n000084)は、唸っていた。
「今日は、俺からの依頼です。正確に言うと。俺が自腹で掛ける依頼です」
なんですって。ケチでも守銭奴でもアコギでもないけれど、きちんとお商売するメクレオさんの自腹ですって? まあ、前もやってたな、戦闘訓練。
「まあ、ぶっちゃけ調査してきてもらうだけのガキの使いなんですけれども」
はいはい。
「R.O.Oに『アラギタ メクレオ』っていうのがいるらしいんだよ。ちなみに俺は登録してない。俺じゃない」
アラギタ メクレオはウォーカーである。つまり、混沌世界で、たまたま同じ苗字ということはない。
「俺はこの世界に来てから、俺と同じとこ出身の奴に会ったことはない。ついでに、希少姓かつ珍名なので、両方たまたま同姓同名はあり得ない」
自分で珍名とか言うなよ。親御さんは一生懸命考えたんだろ、多分。
「ちなみにそいつは、黒髪黒目の十代後半位の年周りで――」
はいはい。大体誤差範囲な。
「おっとりとして人のよさそうな童顔。口元にほくろ。肌は出てないがボディラインがあらわな服着て薬をタダでばらまいている。女性体だ」
――目の前にいるのは、黒髪黒目、童顔で胡散臭い笑顔でおなじみ。お代はしっかり頂く系薬屋。
「まあ、俺を知ってるやつがアバターを作ったのはほぼ確定」
きれいなメクレオ(女体化)ときた。 若干の悪意を感じる造形だ。
「それがほんとにいるのか、PCなのか自動発生したNPCなのか、見てきてくんない? ただ~し、今後のこともあるので、リアルの俺と面識があることがばれないようにね」
つまり、「女体化メクレオ地雷です!」とかお気持ち表明してはいけないのだ。何たるこったー。
「つまり、俺がゲーム内にそいつがいることに気が付いているということを一切悟らせちゃだめだよ!?」
んじゃなにして来いってんだよ。
「そいつがタダで配ってる薬を入手し、鑑定屋に――PCが使う奴――に持ち込んで、ゲーム上どういう性質があるのか確認してきてくれ」
それってどういう――。
「いいか。普通に薬はどこの世界だろうが高価だ。材料費と技術費、人件費。薬草の取り扱いは難しいんだ。薬は生死にかかわる。お代は飲んだ人の命への責任だ。薬をタダで配るなんてろくなもんじゃない。まっとうじゃない薬かまっとうじゃない理由があると疑って疑いすぎることはない」
お金は、最も普遍的な価値である。無料にはワケがある。
「つまり、配ってる薬がまっとうなものなのか、プラシーボなのか、毒なのか、依存性があるモノなのかによって、俺の打つ手が変わってくるってことだよ」
女体化悪落ちなのか闇落ちなのかお花畑なのかゲームステータスで確認したいということですね。OK、OK。
「もちろん、鑑定できる奴に多角的に鑑定してもらえれば俺としては慮外の喜びよ」
- キレイなメクレオ(女体化)の正体を探れ!完了
- GM名田奈アガサ
- 種別ラリー
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年09月13日 19時50分
- 章数3章
- 総採用数14人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
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『疑似人格』ハンモちゃん(p3x008917)は、わかる! と小柄かつグラマラスなボディをねじった。
「同じ名前の人物が怪しい行動をとってると気にはなるよね!」
物理的に一肌脱いでくれたハンモちゃんのナカノヒト、男喰なのに、女体の依頼でごめんね?
「こちら、いかがですか? 飲むとすっきりします」
「あらお嬢さん。これは薬? 飲むとどんな感じに効くのかな?」
ハンモの人懐こそうな風貌と好意的な質問に、『メクレオ』は顔をほころばせた。絶対に現実のアラギタメクレオがしない笑顔だ。邪気がない。
「暑くてくらくらする時や、食べすぎとか。ちょっと落ち着きたいときに一服。お水と一緒に飲むのが一番早く効きます」
よどみなく話す。どうやら、夜に元気になったり、体が熱くなったりする系ではなさそうだ。
「そうなの、じゃあ具合が悪くなった時に飲ませていただくね」
ふわふわのハンモちゃんとニコニコの『メクレオ』ちゃん。ほのぼのしている。悪の都・ネフェレストのバザールのど真ん中じゃなければ。
「あっ、彼氏の分もいただいてもいいかな?」
「どうぞ。お健やかにお過ごしくださいね」
「ありがとう、お薬配るのがんばってね」
ばいばいと手を振る。
ゲーム的には過酷な環境で保険的にお助けアイテムを配るNPCのような感じもするが、さて?
とりあえず、ハンモちゃんセンサーは全然ピクリとも来なかったから。男の娘でないことは絶対だった。
成否
成功
第1章 第2節
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(今度はメクレオさん自身で解釈違いの二次創作案件、と? なんか……大変だな)
『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)は、以前類似の依頼をメクレオから受けている。
『そこまで調べてるならいっそ自分で見に行けば……』
と言ったら、メクレオの喉からヒギュッと引き攣れた音。絶対R.O.Oにログインしたくない強い意志。
『いや、解ってるよ。まず見たくないだろうし、今後どうなるか解らないからリスクもあるよな。俺が見てくるよ』
アズハは現場につくと、わざと噴水に直行せずその周囲を歩くつもりだった。
『メクレオ』は、すぐ話しかけてきた。途中、通りすがりに何人かに声をかけながらだったが動線に迷いはなかった。
「一服いかがですか?」
「何を配ってるんだ?」
「具合が悪い時、飲むとすっきりしますよ」
包みから細かいものが転がる音がした。小さな丸薬だろう。
「薬? 具合悪いって……どんな? どうやって飲めばいいのかな?」
立て板に水を流すようにすっきりしない時に水と一緒に飲み込むといい。と、答える。
アズハは、なるほどと懐に入れ、待ち合わせといった顔で噴水脇のベンチに腰かけた。
(……彼女は一日中ここにいるのだろうか? 真夜中も?)
『メクレオ』がこの場を去るまで噴水の水越しに様子を見ることにした。
(この章は『メクレオ』が広場を退去するまでとし、レンジ2にアズハがいることとします)
成否
成功
第1章 第3節
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『ひよっこヒーラー』ルフラン・アントルメ(p3x006816) のナカノヒトの鼻息は荒かった。
『つまりメクレオさんが目が覚めたら服がぶかぶかになってて、『あれ?なんだかすーすー』からの『おんなのこになっちゃった』って悪友の男の子には報告するんだけど色々あってあはんうふんなアレだね!? 違うの!?』
『どう聞いたらそうなんだよ。その長い耳の穴かっぽじるぞ』
現実のメクレオは容赦なかった。
「ねーねーおねーさんお薬屋さん?」
ルフランは、体長30cmの栗鼠の姿になれるのだ。やったー。
「あのね、うちお金が無くて……でもおかーさんは肺が弱いしおとーさんは腰が痛いし妹は頭が痛いしおにーちゃんは右目が疼くんだって! だからおねーさんのお薬ください!」
「リスさんなら、一人一粒くらいね。いっぺんに全部飲んだらダメよ。体がおかしくなっちゃ――」
差し出される薬包。
「ありがと、やったー!!」
ルフランは、変身を解いて『メクレオ』に抱き着いた。
ふにゅん。ぷよん。むにゅにゅ。これは。野郎の骨格にいかに嘘肉重ねても得られない、まごう事なき女子の質感。天然ものだ! そして、ルフランのバディに興奮している感じもない。抱き着かれてちょっとびっくりな感じのみ。
(慌てたら男の人、かな? と思ったんだけど、慌てないな?)
「ヒトサイズなら、一回一包みで四人分よ。ちゃんと飲んでね、聞いてる?」
成否
成功
第1章 第4節
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「……ふむ。つまりこれは、私(レベル1)でもできるお仕事ですね?」
『江野 樹里のアバター』樹里(p3x000692) に、メクレオは頷いた。本当か? 悪の都だぞ? とりあえずPKに遭わないように裏路地とかには入るなよ? 本人がログインする気は一切ないが、行くと危ないところは調べているのが情報屋なのだ。
(というわけでさっそくこうどうです)
アバターの樹里は、リアルの樹里よりサイズダウン。
(ふだんよりもちいさな体ですがなんのその)
ずんずんと歩いてくる樹里に、『メクレオ』は少しひざを折って目線を合わせた。
伸ばされた掌に薬の包みを乗せる。
「これは大人の人向けだから、あなたが飲むなら半分くらいね」
「あなたにじゅりのごかごがありますように」
祈りの仕草に、『メクレオ』もつられたようにぺこりと頭を下げた。
これが昼下がりの一回目。
樹里はそれを律儀に一時間一回繰り返した。
二回目は「あら?」と笑顔を向け、三回目に首を傾げ、四回目に「一度に飲まないでね」 と付け加え、五回目にはたっぷり十秒樹里を見つめてそれでも差し出され続ける手に薬の包みを乗せた。
「あなたにじゅりのごかごがありますように」
それは延々と繰り返されます。
(お相手がえぬぴーしーならこちらもえぬぴーしーでたいこうです)
「BOT?」
『メクレオ』がぽそっと呟いた言葉は確かに樹里の耳に届いた。
成否
成功
第1章 第5節
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「ほぉう? お薬とな?」
『幸運の象徴』座敷童(p3x009099)は、屋根の上だ。
『メクレオ』の配布意欲を探るため、あえての行動だ。『メクレオ』は 座敷童から見えている。ということは、『メクレオ』からも座敷童が見えているということだ。
結果。来ない。
実際、座敷童が観察した感じだと、噴水の辺りにいる行商人にはノータッチ。自分から二歩の範囲に誰かが入ると配ろうとする。レンジで言えば至近範囲だ。深追いはしない。
とにかく、もらってくるのがしごとなので、屋根から下りて自分の観察が正しいか実践してみる。
「お薬いかがですか?」
「効きが悪い時は、2つくらい飲んでもよかろうか?」
頭が痛くなると、どうしてものう。と、座敷童はナカノヒトの実経験を交えていった。ちなみに、リアルのメクレオだったら、よせ。と渋い顔をするだろう。
「たくさん飲んでも効き目は変わりませんし、飲むとなくなっちゃうから勿体ないですよ?」
体にもよくないですし。と、付け加えた。
「このお薬がなくなった場合は、またここに来れば貰えるのじゃろか?」
(依存性のあるお薬なら、「次」をどうすればいいか指定してくるのでは? 妾、自分で創るから人から買う経験ないから勘なのじゃが)
「私、いつもここにいるので、暗くなる前までには来てくださればお分けできますよ」
夜はいません。と、『メクレオ』は言った。
成否
成功
第1章 第6節
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「げ」
『囲 飛呂のアバター』ヒロ(p3x010030) は、再現性東京出身である。
「なりすましアカウントとかタチ悪ぃな、そりゃ本物のメクレオさんは気分悪ぃよな」
ゆえにネットリテラシーには敏感だった。
「疑似世界とは言え薬配ってるのも気味悪いし、確かにそれも調べときたいな」
そして、噴水前ベンチでだるそうに座っているヒロである。二つ向こうのベンチにアズハが座っている。わざとである。いかにも太陽光線に弱そうな見た目してるけど、これは『メクレオ』を誘い出す罠である。
「あの、お加減大丈夫ですか? 良い薬がありますけれど――」
かかった。
「ちょっと気分悪くて。暫く大人しくしてたんでだいぶマシになってますけど」
「そうですか。これ、よかったら、飲むとすっきりしますから」
そう言って薬包を渡してくれる。ヒロのナカノヒトの心には天使が住んでいるのでぐらっと来ない。
「これ、どう飲めばいいですか」
「いつでもお水で一回一包飲んでくださいね。お水ありますけど、お加減があれなら飲んだ方が?」
おっと。親切心のように見えるが、ここで飲むと鑑定に出すサンプルが減る。人体実験にはなるだろうが。
「えっと」
ちょうど、ぎううううと腹がなった。
「家戻って、軽くなんか食ってから飲みます」
「その方がいいですね」
腹の音に気がつかないふりをする程度には情けがある女だということはわかった。
成否
成功
第1章 第7節
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「ほうほう。ほとんど同じ場所から動かぬな? 薬は手に入れたが、目的は正体を探る、どういう存在かの確認じゃろ?」
『幸運の象徴』座敷童(p3x009099)のナカノヒトは「薬?:ネフェレスト・バザールの噴水で取得」の字を見ながら、頷いた。
「ちょいとアバター変えようかの」
【荒くれ者の野党風味】に変更した
「よし。適当に語尾にガハハってつけとけば完璧じゃ」
汎用配布アバターのRPは雑に! 合ってる!
――という訳で噴水前である。
(ではゆくぞ。そういえば名前を聴くの忘れてた)
まずそこからだ。
「お、なんだ薬か。有りがたく頂いとくぜ。姉ちゃんはなんて名前だ」
「メクレオと呼ばれてますわ」
初対面の男にフルネームは教えない。
「ん? よく見ればなかなか上玉じゃねーかガハハ」
周囲の良識あるPCがぴくっとしている。通報しますか?
「お薬のお礼にあっちのお店で俺と楽しくお茶して遊ぼうぜ。メクレオちゃん。ガハハ」
荒くれ夜盗風味が、『メクレオ』の細い手首をつかんだ。
「やめて下さい。ヒトを呼びますよ」
『イベント『ネフェレストの悪漢』が発生します。悪名が発生しますがよろしいですか?(はい/いいえ)』
変なイベント発生フラグに引っかかったらしい。面白そうだったが、メクレオの印象に残ってはいけない。座敷童は仕事に徹し、その場を後にした。
日がおちる頃、『メクレオ』がログアウトしていくのをアズハは見ていた。
成否
成功
GMコメント
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田奈です。
メクレオ、行く気がないR.O.Oに同じ名前のキャラがいるってよ。
場所:砂嵐・オアシスの都ネフェレストのとあるバザールの噴水前
想像しえるあらゆる悪の見本市。
地獄の沙汰も金次第のところでタダで広告ティッシュの如く配られる薬って。
一章でやること:『アラギタ メクレオ』なる女性がタダで配っている薬を本人から入手する。どういう存在か観察すること。
二章でやること:入手した薬をそれぞれ別の鑑定屋に持ち込む。砂嵐の鑑定屋でなくて構わない。どちらかというと、一か所だと噂が立ちやすいので、他の国などの方が助かる。スキルがあるなら自分でやってみて構わない。
一章で手に入れたイレギュラーズから分けてもらって別の鑑定屋に持ち込んだ(あるいは自分で鑑定した)ということで、一章に参加していなくても参加可能です。
三章でやること:一章、二章を踏まえて、メクレオに報告。
この場に同席して報告を聞き、自分の意見を披露するという方向で一章、二章に参加していなくても参加可能です。
やってはいけないこと:リアルのアラギタ メクレオがR.O.O内に『アラギタ メクレオ』を名乗るキャラクターがいることに気が付いている、もしくは近々気づかれそうなのを感づかれること。
細々動くと情報量は増えますが、勘づかれる危険性も上がります。
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
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