PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Herb『Rabbit Ear』

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「さて――今回の依頼はウサミッミーという薬草の収集でね」
「ウサミッミー?」
 深緑。その首都とも言える大樹ファルカウよりほど近い森林部でイレギュラーズと共に進むのはギルオス・ホリス(p3n000016)である。『ある人物』より依頼を受けたのだが、なんでも今回の目的は『ウサミッミー』なる薬草なのだとか。
 なんだかその名前だけである程度予想がついているかもしれないが――そう。

 ウサミッミーは『ウサギの耳』の様な見た目をした代物なのだ。

 大地より芽吹くウサギの耳……一見すると可愛いような、なんだかシュールな様な気がしないでもないが、古来より薬草採取されてきた事もある由緒正しい……正しい? モノら、しい? 一体何に使えるんだウサミッミーよ。
 ともあれ『ある人物』は今回そのウサミッミーを求めているのだという。
「情報によるとこの先にウサミッミーの群生地があるそうなんだ。
 今回の目的はそのウサミッミーをいくつか回収するだけだよ――なんだ簡単だね」
「…………本当にそれだけの依頼なのか?」
 であればと、疑問を呈したのはアーマデル・アル・アマル (p3p008599)だ――
 聞けば確かにウサミッミーだけを回収するだけらしいものの、なんとなく胸騒ぎがする。
 それだけでは終わらぬ様な――『何か』あるような――
「ははは考えすぎだよ。念のため周囲の情報を調べてみたけれど、凶悪な魔物が出てくる様な場所ではないみたいだし危険はないさ……まぁ強いて言うとウサミッミーはね『満月が出ている内に』採取しないと薬草としての効果が激減するみたいなんだ」
「となると夜の内に可能な限り入手するのが重要、という訳か」
「そういう事だね――と、見えてきたみたいだ」
 直後。ギルオスが指さした先にあったのは――ウサミッミーが大地より生えている光景。
 一つ二つ三つ……いや奥も見据えてみればもっとありそうだ。なにやら赤いウサミッミーや緑のウサミッミーなど多様な色がある様だが――いずれでもその内に秘めし効力は変わらないらしい。
 つまりどれを採っても構わないという事だ。ああ、ただそうそう。
「なんでも表面の繊毛も大事な素材だから――あんまり乱暴に扱っちゃダメらしい。
 根元近くを鋏とかでこう、ちょきんと……」
「んっ――待て。今ウサミッミーが動かなかったか?」
 ギルオスが言葉を述べながらウサミッミーに手を伸ばしたと同時。
 冬越 弾正 (p3p007105)がふと怪訝な目を向けた。
 それは――なにやらウサミッミーが『動いた』気がしたから。
 だから注意しろと言葉を述べようとした、その時。
「まさか何を言うんだいそんな事ある訳が――うわあああああっ!!?」
 ギルオスの手に収まらんとしていた――ウサミッミーが跳ねた!!
 いや文字通り『跳ねた』のである。大地に根差していた筈のウサミッミーがまるで跳躍するように。根諸共天へと飛翔し――そして略奪者(ギルオス)の頭へと、インッ!!
「うわ、なんだコレはずれな、あがががが」
「ギルオース!! だからこういう事になるんじゃないかと!!」
 まるでウサミミの様に浸食するウサミッミー!
 瞬間的に動いたアーマデルがウサミッミーを引きはがさんとするものの――うわなんだこれめっちゃ頭に張り付いて取れないんだが! うう、ギルオスの様子がなんだかおかしいぞ……!?
「ううう……駄目だ、僕はもう駄目だ……
 帰ろう……僕みたいなカスはこんな場所にいちゃいけないんだ……」
「どうしたギルオス! ええい、このッ……!」
 直後。弾正の一撃がウサミッミーを穿つ――
 さすればまるで葉が散る様にギルオスの頭から取れて、同時に彼の精神もまた均衡を取り戻したようだが、これは。
「……これがウサミッミーの効力か……!」
「ああ――全く。油断していると骨が折れそうだな……!」
 気を付けねばならぬ様だと、アーマデルと弾正はまだまだ生えているウサミッミーを前に――警戒の色を向けるのであった。


「ふふ、だから言ったじゃあないか……ウサミッミーを採る時は慎重に、とね」
 同時刻。弾正らがいる場所からは随分と離れた所で微笑みを零す一人の影があった。
 それはイシュミル。イシュミル・アズラッドだ。
 白く長い髪が月光に照らされ映える様に煌めきを見せる――何を隠そうこのイシュミルこそが今回の依頼主。アーマデルの知古でもあり、ある目的をもってして『使えそうな』薬剤を求めている者だ。
 そしてそんなイシュミルが目を付けたのが深緑に在りしウサミッミー。
 精神に影響を齎すかの薬草は、使えば『気付け』にも――『それ以外』にも使えると聞いたのは、さて本だったか人からの噂だったか……まぁ出所がいずれでも構わない。とにかく試験薬としてでも貴重なウサミッミーが手に入ればそれでよいのだ。
 ……まぁなんでもウサミッミーはそうそう簡単に採取できるわけでなく。
 時に反逆の様に略奪者に対して牙を剥く様な――植物の様な動物の様な薬草らしいが。
「まぁ。それもきっと面白いよね」
 ただそこいらに生えている草を引っこ抜く様な作業よりも、と。
 ラサの市場からサンプルにと購入したウサミッミーを前にイシュミルは呟くものだ。
 試しに。そっと撫ぜる様にウサミッミーへと手を伸ばし、優しく慈しむ様に――根元を押さえて。
「出来るね? ……キミなら」
 両断する。手に持ちし鋏にて、大地と別れを告げさせるように。
 さすれば。その手に抱かれしは瑞々しさを保ちながら大人しい――ウサミッミー。
 天に在りし満月の輝きの際に薬草としての効力を発揮する代物。

 さぁ――どれぐらい回収できるのかなと、イシュミルは彼方へと思考を馳せていた。

GMコメント

 リクエストありがとうございます、以下詳細です!

●依頼達成条件
 ウサミッミーを大量に回収する事!

●ウサミッミー
 まるでウサギの耳の様な形をした植物(薬草)です。
 古来より傷の治療やなんらかの薬の一端に使われたりしてきた代物らしいですが……ウサミッミーには自己防衛的な機能があるらしく『警戒されないように優しく捕まえた上で根元を鋏などで捌く』必要があります。
 万一彼らに気取られてしまうと防衛機能が働き――略奪者の頭にインしようとしてきます! なお、万が一インされた場合、ウサミッミーの色によって以下の様な出来事が起こるらしいです。

赤:非常に攻撃的な性格になり、周囲を攻撃しようとしてしまいます。
青:非常にナイーブな精神状態になり帰ろうとしたりしてしまいます。
緑:何故か『御座る』口調になってしまいます。
黄:滅茶滅茶ポジティブになっちゃいます。
桃:なんだか心拍数が増加してしまいます。
黒:中二病的な台詞でしか喋れなくなってしまいます。
白:精神が兎になってしまいます。
その他:???(プレイングで指定してみてください! とんでもないモノがあったりするかもしれませんね!)

 そう――ウサミッミーは『精神的な抑制が緩んで』しまう代物なのです!
 或いはその余波で言語が変わったり肉体的な影響が出てくることも……?

 どれぐらいあれば足りるか分からないのでとりあえず大量に採取してください!
 あ、慎重に行動して頂いても構いませんがウサミッミーは『満月が出ている内に』採取しなければ薬草としての価値が激減してしまうそうです。なので朝まで時間を掛けたりはしないように頑張ってくださいね……!

●ギルオス・ホリス
 滅茶滅茶油断してついてきたらとんでもない事に巻き込まれた情報屋!
 囮とか盾とかにしてあげてください。
「やめろー! 僕を盾にするなよ、絶対だぞ! いいね、絶対だよ!!」

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • Herb『Rabbit Ear』完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月31日 23時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
蒼剣の秘書
冬越 弾正(p3p007105)
終音
※参加確定済み※
エリス(p3p007830)
呪い師
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
※参加確定済み※
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉
ハリエット(p3p009025)
暖かな記憶

リプレイ


 『守る者』ラクリマ・イース(p3p004247)は悟っていた。
 ギルオスが『やるなよ絶対やるなよ!』って言う時は『そういう事』だって。
「安心してくださいギルオスさん――採取の依頼も成功させつつギルオスさんのフラグも見事回収させるのです! 任せておいてください分かってますよ!!」
「何を分かってるんだラクリマァ――!」
 肩に手をおかれたので振り向いたらラクリマめっちゃいい笑顔してるんだけど、絶対彼分かってぬぇ! どうやら気合は十分な様なので依頼を成すつもりはあるようだが……!
 ともあれウサミッミーの回収だ。いいか、回収が主であってウサミッミーを悪用しちゃだめだぞ。分かってるね? いいね?
「ギルオス殿……そうか、分かったぞ。やはりギルオス殿はデキる大人だな……」
「アーマデル?」
「何も言うな――ふっ。あえて口に出すというのは無粋というものだし、な」
 さすれば『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)はなにやら意味深な笑みを零しながらウサミッミーの傍へと静かに近寄っていくものだ。
 やれやれ依頼の完遂の為自ら率先して効果を確かめてくれるとは……やはりギルオス殿は違うなと思考しながら……こらっ! やっぱり誰も彼もわかってないなコレ!!
「またなんか見たことない変な植物いる。いや薬とかなるなら採取は手伝いますけど……
 念のため確認したいんですけれど、これって本当に薬とかになるんですよね?」
「まぁちゃんと薬草だわね! 採取されたコレが巡り巡って多くの人の下へ。
 皆を助ける為に、とってもとっても大切なお仕事なのだわよ」
 大丈夫なんですかねコレ? と『歪角の庭師』八重 慧(p3p008813)は疑問符を頭の上に浮かべながらウサミッミーの様子を見て。同時に『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は互いに『何が』あってもカバーに入れるようにと位置を調整しながらウサミッミーに近寄る――
「まぁまずは赤を速攻で排除しておくとしましょうか――コイツは危険ですからね」
 が。とにもかくにも慧は依頼を遂行する所存だ。これさぁ、どんな負の要素も無効化する加護を纏ってたら無効化出来ないだろうか……駄目かな。突破してきそうだなぁ。あ、やヴぇ! 警戒してなんか蠢いている! こわっ!!
「ま、まぁアレっすよね。普通の植物でも刺激に反応して動くとか、接触をストレスと判断するのもいますから、そのパワーアップ版なのかもしれねぇっすね……いややっぱ違うっす、これそういうのじゃないっす!」
 危機感を感じる慧! 逃げろー! 手遅れになっても知らんぞー!
「ウサミッミー……いろんな、お色でかわいいです、が……
 見かけに反して、恐ろしい、植物なのです、ね。色によって違い、も、あるとか……」
「精神的な抑制が緩んでしまうなんて……最後の抵抗なのか、それとも同族を生かす為に『我々は危険だぞ』と発する為の一種の警告故の行動なのか……ううん、ギルオスさんの協力が頂けるのは本当にありがたいですね……!」
「エリス。今なんで唐突に僕の名前を出した?」
 同時――そっ、と。手で包む様にウサミッミーに触れる『ひつじぱわー』メイメイ・ルー(p3p004460)はやはり前情報からか少し緊張してしまう感覚に包まれていた。『呪い師』エリス(p3p007830)も悟っているが、このウサミッミーは意外と危険な代物でありそうだから――
 しかし慎重に行き過ぎてはやがて時間が無くなってしまう。
 だから慎重かつ大胆に。優しく掴んで気付かれる前に鋏を交差させ……そして万が一失敗したらそこにいるギルオスに物理的に『協力』してもらおうかと割と本気で考えながら。
「それにしてもこの前はバニーで、今回はうさ耳もどき……
 ギルオスさんと一緒の仕事は兎に縁があるね。もしかして兎好き?」
「やめるんだハリエット。前回の依頼は忘れるんだ。いい子だから、いいね?」
 同時。苦笑いされる――のは分かっていたが事実だし『今は未だ秘めた想い』ハリエット(p3p009025)は思わずギルオスの方へと言の葉を紡ぐものであった。こんな依頼にまたもやギルオスがいる時点でカオスになる気がするのではあるが……
「これが無いと困ってる人もいるんだよね……うん、やっぱり採取頑張ろうかな」
 それはそれ、これはこれ。
 やはりハリエットも皆と距離を離しすぎないようにしながらウサミッミーを狙う。
 注意すべきは攻撃的になってしまう赤だろうか――それから青も。性質は真逆だが、精神が沈んでしまい帰ろうとしてしまうのは頂けない。後のは……まぁ放っておいても大丈夫そうな気もするが。
 しかしギルオスの様子をこっそり見てみると全ての色に警戒している様に見える――
 なるほどな、と『Nine of Swords』冬越 弾正(p3p007105)がギルオスの肩に手を置いて。
「ギルオス――やはり先程の根の影響がまだ残っているのでは? そんなギルオスにだからこそやってもらいたい作戦というのがあるのだが……」
 えっ? とギルオスの頭に疑問符。
 こういう時は何か役目を与えて自信を付けてやるのが一番だ――だから。
「乗らないか――名付けて『動く盾作戦』! 例えばこのように飛び跳ねてきたウサミッミーに対してギルオスが真正面から立ち塞がり盾となる作戦で、うぉ危ないッ!」
「弾正ぉぉぉぉぉお! 覚えておけよおおおお!!」
 必殺・忍者身代わりの術! ……これ一回やってみたかったのである!


 ぎゃー! とギルオスの声が響く。あぁまた彼が率先して盾になったのか……
「ふふ、ギルオスさまがいらっしゃれば安心、ですね」
 純粋なメイメイの眼差し。ともあれ危険は少なくするに越したことはないので、慎重に採取しようと彼女は頑張るものだ。やさしく、やさしく……いや待てよ? もしかしたらこの植物たちは生きているのでは?
「……あっ、ふわふわしてますね。ふふ、まるで本当の、うさぎさんみたいです」
 ナデナデ。動物を愛でる様にメイメイは接する。
 ――彼女の故郷では昼時の毛を刈る手伝いもよくしていたのだ。だから、こういう鋏を使うのにも慣れているし、警戒心を持つ動物の心を安らがせる方法も――いや動物ではないけれど――とにかくなんとなく分かっている。なので。
「えいっ!」
 チョキンと、隙をついて採取するものだ。
 さすればとくに飛び跳ねる事もなくメイメイの手の内に収まる――些か時間はかかるが、こうしていけば安全そうだとメイメイは周囲の様子を窺ってみれば。
「大丈夫……怖くないのだわよ。ゆっくりゆっくり……力を抜いて……。
 そう……怯えなくていいのだわ……あなたは強い子……
 あなたは沢山沢山、皆の力になれる存在なのだわ。とってもとっても、偉い子だわね」
 似たような手段は華蓮も取っている真っ最中であった――ままー! 華蓮ままー!
 はっ。あまりの包容力に全てが赤子になってしまう所であった……彼女はふわふわで柔らかい華蓮ちゃんぬいぐるみによりウサミッミーの注意を引き、優しく諭しながらその生命を絶たん(鋏でちょきん)としている……
「よし、これでいくつか採取出来たのだわ。赤はちょっとまだだけれども……」
「まぁまずは自らと相性が良さそうなウサミッミーの回収を目論むべきであるよな――つまり」
 弾正が見据えるのは――黒のウサミッミーだ! 『俺を狩るつもりか? やめときな、封印が解けるぜ?』っていう態度を醸し出している気がする黒のウサミッミー……だが無意味な事だ。同じ特異点同士である弾正の前では――ッ!
「感じるだろう……? 惹かれ合うものだ。同じ位階に到達しあった者では……
 安心しろ。俺ならば刹那の瞬きの間に生命の根源を刈り取れる。だから永久に眠れ……
 母なる大地に、その意識を還すのだ……」
 互いの波長が合い――受け入れてしまうのだ――
 根元を切断する。黒のウサミッミー……ゲットだぜ……!

 ――が。その直後弾正の背後からいきなり緑のウサミッミーが飛び掛かってきた!

「何! ぐああああ……ま、まさか危機意識が先制攻撃を、くっ! 何をする! これは……貴様らの辿るべき運命! これは主命であるぞ、抵抗せず潔く切腹せよ!!」
 御座るー! わあああ弾正が異世界教師としての知見から日本大名風に!!
「まさかそんな……弾正がぐりーんばにーに……こんなことがあるというのか……! くっ、こんなことがあるのでは……ギルオス殿が、せくしーおとなばにーになる可能性だって……!」
「ないから!!」
 ねぇちょっと聞いてアーマデル!! と叫んでもどこ吹く風。
 しかしアーマデルの価値観ではあながち冗談とも言えなかった……なぜならば彼の故郷では魂がヒトの本体であり、肉体はそれを納める器と考えられている。つまり――中身が変容すれば器もある程度は形を変えるという訳だ。
 では精神に影響を齎すウサミッミーならば……或いは……!
「つまり、黄と桃のしましまミッミーによって、ないすばでーなおとなばにーになってしまう可能性はゼロではない――実際一度試してみたらどうだろうか。俺の推察があっているか間違っているか確かめる絶好の機会かもしれないが」
「自分でやるって選択肢はないの?」
「ギルオス殿がいるのに何故わざわざ俺が……? しかし優しく宥めながらであれば狩れる可能性が挙がるという訳か。ふむ、つまり弾正の優しい宥めボイスとかが実装されれば……いや駄目だそれは俺が欲しい。ウサミッミー達にはやれんな」
 割と本気で考え込むアーマデル。だがその背後には――別のウサミッミーが迫っていた。
 狙いを定めてワン・ツー・スリー! 跳躍・イン!
 アーマデル討ち取ったりッ――んっ!?

「かかったなウサミッミー。それは影武者(ギルオス)だ」

 だがアーマデルは全てを読んでいたのか瞬時にギルオスを犠牲に生き残る。
 アーマデル、君さぁああ! という悲鳴が飛び出てくるが――安心しろ。そう長引かせる気はない……刹那の悪夢たる一撃と共にウサミッミーを切り離してくれよう――と思っていればその時。
「クロミアムオキサイドグリーンブリリアント色! クロミアムオキサイドグリーンブリリアント色じゃないですか! ほらギルオスさん見てくださいよクロミアムオキサイドグリーンブリリアント色のウサミッミーですよ!! めっちゃ珍しい!!」
「何それどういう色!!?」
 一言で言うと緑だよ緑ィ! 只の緑じゃないけどね!
 目を輝かせるラクリマはクロミアムオキサイドグリーンブリリアント色のウサミッミーをもってギルオスに前進……いやちょっと待てなんでだよ絶対それ頭に引っ付けるつもりで持ってきてるでしょなんで!?
「いやだって気になるじゃないですかどういう効果があるのか!! 緑なので芋虫みたいな移動をはじめるとか……或いは目が合うと必ずウインクするとか……地味にうざいな。とにかくほら!! だからよろしくお願いしますギルオスさん見せ場ですよ!」
「凄い。『だから』が繋がってないのに熱弁してくるのホントすごい。逃げとこ!」
 五分後。捕まったギルオスにクロミアムオキサイドグリーンブリリアントウサミッミーを取り付けたら、何故か顔が埴輪になってた。


 それから更に五分後。クロミアムオキサイドグリーンブリリアントウサミッミーはハリエットが銃弾で撃ち抜いた事によりギルオスは解放された!!
「ぷはぁ!! ありがとうハリエット、いや何故か顔が変わらなくて困ってたんだ!」
「肉体にも変化を及ぼすのがあるなんて怖いね……
 うう、それにしても……警戒されないように捕まえないといけないん、だよね?」
 どうしたものかとハリエットは困り顔だ。
 優しくってどうすればいいんだろう。分からない。なんだかインされそうで、ちょっと怖い。
「なに。君なら出来るよ――ただそっと手を添えて、鋏を使えばいいんだ」
「手を……」
 さすれば、ギルオスがハリエットの掌を己が掌で包んで。
 誘導するように――ウサミッミーの近くへと。
 気取られないようにそーっと、そーっと……
(……あっ、でも)
 たしか、とその時ハリエットは思うものだ。
 ポジティブになるウサミッミーがあった筈だと。正直それは気になっている。
 ポジティブな自分というのはどういうものなのかと――思考していれば。
「あっ」
「あっ」
 雑念がミスを生じて――ウサミッミー・ジャンプ! ハリエット・イン!
 そしてそのウサミッミーは偶々ポジティブの黄色であり……
「わ、わ、わ! なにこれ取れない! ギルオスさんとってー! はやくー!」
「落ち着くんだハリエット。そんなに暴れたら逆に取れな……」
「はやく――! なんだかぞわぞわして……!」
 直後からハリエットのテンションが非常に――おかしい。
 彼女はここまで騒ぐタイプの人物ではなかった筈だ……不安からかギルオスに抱き着いて、しかしこれがウサミッミーの力か……!? ともあれ四苦八苦の後になんとかウサミッミーを取り除けば――
「取れたよ! ハリエット、よしこれで大丈夫だ!」
「うん、ありがとうギルオスさん!」
 ぱぁっ、と抱き着きながら明るい表情を見せるハリエット――おやおやウサミッミーの効力は取り除いた後もちょっと間は持続してしまうみたいですね……こんな表情は新鮮なので記憶に保存しておきましょう。
「なるほど……ひっこ抜く事が出来るんですね……! 治癒の力はなぜか受け付けないみたいですし、また似たような事があれば引っこ抜くか攻撃を重ねる形で行きましょうか……!」
 同時。エリスはハリエットの様子を見ながら対処法を記憶するものだ。
 治癒魔法とかでなんとかなるのではと期待もしたのだが、どうにもウサミッミーにはダメージを与えないと取れないらしい。なんで? 魔物化した?
 ――まぁそれは良いとしよう。それより、そろそろ時間がまずい。
「急がないといけないんですよ……ほら、ギルオスさんも手伝ってください! この赤! 赤お願いしますね! ギルオスさんの力ならそんなにひどい被害にならないと思うので!」
「エリス、結構酷いこと言うね!?」
「――と、んっ? なんでしょうかこの色は」
 瞬間。エリスが見つけたのは緑、黄、桃、黒に――そして『灰』だ。
 なんだこれはと思った瞬間には遅かった。灰が飛び出し頭に突き刺さり――そして――!

「うさ――!!?」

 うさ声になった。
「うさ、うさささ、うさうさうさ――!?」
「わあああなんだ、ウサミッミー達の反乱か、インしてくるのが多くなった、うわ!」
 エリス。なんと『うさ!』としか喋れなくなる! と、混乱したのもつかの間――更なる混乱に気付いたのは、慧だ。なんとウサミッミー達の警戒レベルが挙がっているのである……! つまり優しく取ろうとしても抵抗してきている訳であり。
「ギャーッ!? もうやだ……なんでこんなやばい植物相手しなきゃなんないんすか、故郷の庭の可愛さが恋しい……あの庭はこんな魔境ではなかった……」
「わ、わ、わー! メイメイにインしても、美味しくないのですよ、わー! うさー! うささ? うさー!?」
「良い子良い子……安心して、ここには怖い事なんて無いのだわよ。
 そう……母に抱かれる様に眠るのだわ……」
「うさうさうさー!!(訳;こうなればやけくそですよー!)」
 慧の頭に青のウサミッミー。メイメイの頭に白のウサミッミーで兎化! 華蓮は変わらず母モードで無双し、やけになったエリスはギルオスを巻き込んで採取乱舞――ッ! どうせ来るのなら、全部狩ればいいだろうとばかりに!
「まずい! 伝説の丸い黒ミッミーだ……アレは消される……!」
「待てアーマデル後ろだ! 白と桃のウサミッミーが狙って……あ、いやでもちょっと見てみたい気がするな。きっとあれやそれやで差し出した俺のにんじんをぱくっとエッッッ」
 アーマデルが触れてはいけない●ミッミーを目撃! その背後に控えているのは二つのウサミッミーで――あ、ダメだ弾正の頭はミッミーしてないのにもう駄目だ! 我が生涯に一片の悔い無し? そんな事言ってる場合じゃない!
「うわあああウサミッミーが一斉ジャンプをおおお」
 そして逃げようとしていたギルオスをひっ捕らえたラクリマが気付く。
 残ったウサミッミー達が――祭りの気配を感じて大ジャンプしている事を――!
 降り注いでくるミッミー祭り。

 ――この後の事はとても放送出来ないような事態になったとか。


 その後。なんやかんやで規定数のウサミッミーを回収する事が出来たイレギュラーズ達。
「……しかしこんなもの一体何に使うんだ、どこの誰が。薬草という話は聞いているが……んっ? そういえば似たようなのを最近見た気がしなくも無いが……」
 首を捻るアーマデル。彼が真実に辿り着くかは……はたして。
 ともあれウサミッミーの収穫は十分な量が集まったのは確かである。
 これをもって帰還するとしよう――
「どっと疲れたけど、これだけあれば十分だよね? ……今晩見たことはお互い心のなかにしまっておけば傷は浅いんじゃないかな……自信ないけど。忘れようね……」
 顔を逸らすハリエット。
 抱える袋の中には色とりどりのウサミッミーが敷き詰められていたとか……

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ウサミッミー……なんて恐ろしい薬草なんだ……

 ありがとうございました!!

PAGETOPPAGEBOTTOM