シナリオ詳細
事故物件オブデザッド
オープニング
●とある事故物件にて
夏は肝試し。そう考えるのは全世界で共通だ。
特にちょっと他国家よりも変な意味で肝の据わっている人間が多い鉄帝であれば猶更だ。
何しろ暴走だの爆発だのを青春の1ページで片づけることが出来るお国柄である。
そんな鉄帝では当然のように事故物件は唸る程存在し、何やっても怒られないから事故物件に身を寄せるのが賢いとされる程だ。いい加減にしろ。
そして……事故物件過ぎてどうしようもなくなった物件も存在するし、本気でヤバい事件が起きた物件も存在する。
たとえば、そう。今青年達がいるような10階建ての建物とかだ。
「薄気味悪い建物だなあ。此処リフォームって本気なのか?」
「本気だからリフォームするんだろ。なにしろ人里からちょっと離れてて、崩れるような山も近くにはない」
「汚染されるような川もないってか」
「よく分かってるじゃねえか」
マンションの内部は爆発の跡か黒ずんだ何かが残っていたり、血痕らしきもの……真緑の血痕なのは何の冗談か分からないが……そんな跡が多数残っている。
「で、此処って何があったんだ?」
「何が無かったんだ、って聞く方が速い気がするが……そうだな。此処を罠屋敷に改造した馬鹿が居たらしい。そのせいで……あれ、何処行った?」
振り返ると、先程まで居たはずのもう1人の男の姿がない。
慌てて周囲に照明を向ける男の耳に聞こえてきたのは……遠くから響く、彼の、悲鳴。
●事故物件調査
「事故物件調査の依頼なのです」
『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)はそう言うと、1つの物件の場所が記された地図を取り出した。
「テラーズマンション。そう呼ばれる建物なのです」
最初は富裕層向けの高級マンションとして売りだされたマンションであったらしいが、色んな実験をしたいお馬鹿さん達が集まった結果「何やってもあんまし壊れないし迷惑かけない事故物件」として有名に。
仕方なくオーナーがその方向に舵切りをすれば、もっとファンキーな奴等が集まってとんでもない事に。
その中でも一番頭のネジが少ない……むしろ最初からネジを使わない工法なんじゃないかと思えるくらいの奴が入居してしまったのだという。
「そいつはどうにもマンション全体を罠だらけにしてしまったようでして。他の住人のやった事と合わせてとんでもねえことになってるです」
結果として住人は全滅。新しい住人を入れられない状況になっている。
しかし、そんな殺人マンションのままではいられない。
何とか今のマンションの全容を把握し、今後の計画をたてたい。
それがオーナーの望みなのだ。
「ま、夏の肝試しと思ってやってくるのですよ」
- 事故物件オブデザッド完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年08月28日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●挑戦、テラーズマンション
「実質足抜けしているとはいえ諜報組織黒脛巾組、アマチュアの罠屋敷ごときに怯えてなどいられません。名誉にかけて、当該物件全フロアの間取り図を作成してみせましょう」
『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)は堂々たる態度で後方支援担当を宣言する。
とはいえまあ、後方支援もマッピングも大切な役割ではある。何より今回の仕事ではそれが一番重要だ。
そういう意味では瑠璃の仕事がこの依頼の成否を左右しているとも言えた。
「……とはいえ故郷で学んだ原始的・機械的・電子的な罠に知識が偏っていて、魔法的な罠は勉強中ですので、判断の誤りや対応の遅れはあると思います」
「なあに、問題はない!」
瑠璃にそう豪快に笑ってみせるのは『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)だ。
「トラップハウスとな! なんぞ楽しそうな響きではないか! よいぞぉ! 吾が全部のトラップを解除してくれる!」
そんな百合子の言葉に「直進以外知ってるのかな」と言いたげな顔に瑠璃がなるが、百合子は気付かない。
「また訳の分からない建築物が。地図を作るよりも爆破した方が良いんじゃないですかね? それでも依頼なので何とかやってみましょう。折角ですから最上階まで辿り着きたいところです」
『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)がそんな最もな事を呟くが、以前それをやろうとした者は何故か自分が爆破される羽目になったそうである。
「で、罠ですか。思い付くところとしては……落とし穴、飛び出す槍、スイッチに反応して飛来する矢、吊り天井、閉じ込められてからの水、突然の分断……色々思い付きますね。他にも皆さんが思い浮かべるような罠があるでしょう。どれも難儀そうですが対処は思い付きますね」
「なるほどな!」
オリーブに百合子が頷き「確かに問題ないな」と言っている。たぶん力技であろう。
「でも、罠だらけの事故物件!すごいドキドキのアトラクション感があるね! どんな罠があるのか気を付けながらマッピングしていかないとだね!」
「そうでありますな。気をつけねばならんであります」
『ミルキィマジック』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)に『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)が頷き、『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)に視線を向ける。
そのマリアが何をしているかというと……『アルハランドの支配者』トラコフスカヤちゃんと打ち合わせをしていた。
「トラコフスカヤちゃんにはマッピングを担当してもらい、1Fから順に一緒に地図作成しながら、どんな罠が配置されているのかを調べていくよ!」
「ご主人! まかせて下さいまし!」
「危険な罠の対処は私がするから、トラコフスカヤちゃんは自分の身の安全を最優先にね?」
「わたくしもご主人を守れますわ!」
「ふふ!君が強いのは知ってるよ! でも念の為、ね?」
酒瓶を振り回すトラコフスカヤちゃんとマリアは仲が良いようで。
「ン……でも、少なくとも、住民がみんな死ぬような罠はあるのよね」
「うっ」
「大丈夫ですわ、ご主人!」
ぼそっと呟かれた『優しくて不確かなすべて』チュチュ・あなたのねこ(p3p009231)の言葉にマリアがちょっとビビり、トラコフスカヤちゃんに慰められたりしている。
そしてチュチュは「楽しみねぇ、わくわくするわねぇ」と気楽な調子だ。
「いかにもなんか出ますよってとこだよなぁ……なにがあったか知らねぇけどさっさと終わらせて帰るわよぉ。怖いわけじゃないわよ? 決してね?」
そんな『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)の言葉に全員が頷き、探索が始まっていくのだった。
●テラーズマンションの探索
「なに? なんなの? なんで板が打ち付けられてんのよ……とりあえず力尽くで開くかしらね?」
1階、管理人室。溶接された扉はともかく受付の板は壊せるのではないかとコルネリアはハイキックで思いきり蹴り破る。
同時に受付のガラスも壊れる音がして、管理人室の中が露わになる。
「んー? 見えない……わね?」
真っ暗な管理人室。そこを覗き込もうとしたその瞬間。中から黒い巨大な「顔」がヌッと顔を出す。
「ギャア!?」
銃撃で怯んだ隙に近くにあった板を再度打ち付け……コルネリアは手の中のハンマーを見て首を傾げる。
「……こんなもの、さっきまであったかしら」
深く考えるのをやめてハンマーを放り投げて進んでいくが、その後方にいたマリアは見ていた。
さっき、ハンマーや板、釘までもが突然出現したことに。
「何も出ない……何も出ない……ヨシ!」
むしろいきなり何か出ているが、見なかったことにしてマリアは「何も出ない」と唱える。
「管理人室は……駄目そうだね……ぐるっと調べて回ってエレベーターかな……」
一歩踏み出すと、いきなりマリアの足元に穴が開き、間一髪そこに居たエッダに助けられる。
「気を付けるでありますよ」
「あ、ありがとう」
次の瞬間エッダは飛んできた丸太にぶつかって飛ばされて行ったが、とにかくマリアは助かった。
「き、気を付けて進もうねトラコフスカヤちゃん」
マリアがそうやっている頃、百合子は階段を上がって早くも3階に到着していた。
「びゅんびゅん走って美少女探知するのである! 罠は基本的には一回しか発動しないからこれが罠解除に一番効果的である!」
ちなみに美少女探知とは無策で前に出て罠に引っかかる事で罠を解除する事を指すらしく、廊下を走る百合子は一切罠には引っかかっていない。落とし穴も矢も何もかも百合子が通り抜けた後に発動していく。
「よし、美少女解除は完了であるな!」
言いながら最奥の307のドアを開けようとして、鍵がかかっていることに気付く。
どうせ建て直した方が早いアレであろうし叩き壊してやろうか、と百合子が1秒かからず結論に辿り着きそうになった刹那、インターホンらしきものを発見する。
「ぽちっとな」
迷うことなくインターホンを押すと「ピンポーン」という音が聞こえ「はぁーい」という場違いな声が聞こえてくる。
同時にガチャリと開くドアのカギ。どう考えても怪しいが、何も考えずに百合子はドアを開けて。
飛び出てきた巨大な刃をヒョイと避けて叩き割る。そうして空いた隙間から部屋の中に入っていくが……おおよそ百合子にしか出来ない解除方法ではあるだろう。
「百合子に倣って、美少女探知? というのをやってみようかしら。要するに身体を張って罠に突っ込むだけみたいだけれど、あたしなら運試しにはちょうどいいわね」
そして、そんな百合子の話題を出しながらチュチュは鍵のかかっていない101のドアを開けて。
鼻先を掠めて落ちる巨大なギロチンの刃にヒュッと息をのむ。
試しに首を突っ込めば首が落ちるし、急いで部屋に入れば真っ二つ。
「玄関開けたら1秒でギロチンとは、なかなか硬派な罠ねぇ。いきなりシンプルに殺意が高すぎない? 流石のあたしも思考がフリーズしてしまったわ?」
そこから見える先が普通に生活の跡のある空間なのが、更に殺意が高い。
ギロチンの刃が巻き戻っていくのが見えるが、今のを見て入る気は流石のチュチュにもない。
「ちょっと後悔してきたわ、あたし」
ドアに「ギロチン」と書いた紙を貼って、チュチュは次の部屋へと向かっていく。
そして百合子が3階で暴れているのを見たミルキィは、食堂があるという4階に来ていた。
「へー、レストランのフロアまであったんだね☆ 普通に稼働してたらかなりリッチなマンションだったんだろうねー」
エッダの乗ったエレベーターからとんでもない音が聞こえてきたのを見たミルキィは地道に階段で登ってきたが……4階は階段からはドアが開かずに入れず、恐る恐るエレベーターで登ってきていた。
しかし以外にも「↑」を3階押すとエレベーターは3階分昇り、ミルキィは無事に4階へと到着したという経緯もあったりする。
「うん、凄いねこれ」
レストランは意外にもそのまま形が残っており、高級そうなソファや机、厨房などが残されている。
恐らく最初はちゃんとしたレストランとして稼働していたであろうことが伺える、そんな造りであった。
「レストランって事はガスとか使ってそうだから、ガス噴射の罠とかありそうだね!」
ミルキィが言った瞬間、天井から噴き出したのは物凄く臭いガス。
「しゅ、臭気ガス!? くさあああああああああああい!」
阿鼻叫喚の状況にミルキィはエレベーターに逃げ込もうとするが、誰かがエレベーターを使ってしまっているのかボタンを連打しても開かない。そしてドアも当然のように開かないのだ。
「何か悲鳴が聞こえた気がするわね」
不気味そうに言いながら、コルネリアは5Fに入る。此処はトレーニング施設であるはずだが、なるほど確かに様々なトレーニング器具が置いてある。
「トレーニング室なんて贅沢じゃないの……ランニングマシンとかまだ動くのかしら……」
さながら百合子の如き迂闊さでランニングマシンを動かした百合子は、ランニングマシンの周囲の床が空いて落とし穴になったのを見てしまう。
「ぬわぁぁぁぁ!!! 速い!!! 速すぎる!!!! ストップ効かねぇし!?」
「ヒヒヒ、オイデヨウ……」
「しかも何か聞こえる!?」
あと10Kmと表示されたランニングマシンをコルネリアが必死で頑張っているその頃、オリーブは6階を歩いていた。
「今のところなんとか対応できていますね」
的確な回避行動に鋼覇斬城閃、物質透過と堅実な手段で罠を回避してきているオリーブは、ふと仲間達の事を思う。
そう、仲間達もいるから今回の探索はあまり心配していない。
「ええ、自分には頼れる味方もいるのですから。……頼れますよね? 多分頼れます。普段なら頼り切っても良いぐらいの実力者揃いなのに、何故か不安なのですよね。何故でしょう」
ふと首を傾げたその瞬間、外側の壁がガシャンと音をたてて降り、外の風景が露わになる。
思わず警戒しそこから何かくるかと警戒したオリーブは……ロケットパンチの如く飛び出した扉にぶつかり「ぐはっ」と声をあげて空に投げ出される。
まさかのロケットドアに物質透過を使う暇すらなく地上に落下し、そのまま空を見上げ……ロケットドアが6階に戻っていくのを見る。
「何を考えてあんな仕掛けが……」
それは誰にも分からない。そして……オリーブが吹っ飛ばされたロケットドアの音に気付いた瑠璃は、7階で訝しげな顔をしていた。
「今、ジェット噴射みたいな音がしましたが……下でしょうか」
7階、図書館。誰も来ていないこの部屋に来た瑠璃は、今まで同様に歩数や3m棒などで距離を測りながら外周との整合性をとりつつ部屋の外を、次いでドアを一つ一つ開けて図面を埋めるといった方法で調査とマッピングを進めていた。
百合子が罠を片っ端から発動させているおかげで調査はかなり楽だが、再生する罠や意味不明な罠もある為、他のメンバー同様に建物ごと破壊した方がいいのでは……とも考え始めていた。
オリーブ同様に堅実な手段で進む瑠璃は、殺意しか感じない罠だけではなく変な罠も多数混ざっていることに気付いていた。
「魔法の罠でも石化とか転移とかエネミー召喚とかは理解できるのですが……ネタ系というのですか、捕縛してくすぐるだけの罠とか閉じ込めてもモノマネがうまいと出られる部屋とかは一体何なのでしょうね。得に脅威とも思えず、殺気も感じないので反応が遅れてしまうのですが」
「ではここで問題です!」
サウンド入りで響く声に瑠璃が振り向けば、そこには魔法によるものと思われる浮遊する本があった。
「鉄帝において最高の闘技場と評されるのは……」
「ラド・バウですね?」
「ラド・バウ……ですが! 最笑と評される闘技場は、何処でしょうか!」
「えっ」
分かるはずもない。そもそも「最笑」とか何処の誰が決めたのか。
それでも慌てずクールに瑠璃は考えて。
「時間切れ、不正解です!」
カーン、と。天井から降ってきたタライが頭に命中し、瑠璃はその場に座り込む。
すでに浮遊する本は消えていて、どのような魔法だったのかも定かではない。
「今のは向こうが上手でしたね……逃げたり無視したりすればどうなるか分からない。ここまで来ればそれを理解するが故のトラップ……」
言いかけたところで再びタライが降ってきて、瑠璃はちょっぴり悲しい気持ちになっていた。
そして8階では、なんとか脱出できたミルキィがチュチュと鉢合わせていた。
「なんか大変だったって顔してるね?」
「一日二回、目と鼻の先をギロチンが通り抜けるなんてありえる? 流石のあたしも涙目よ? ちょっと漏らしたわ? もうこのまま帰っていい?」
「あはは……」
思わず乾いた笑いを漏らしたミルキィであったが、気を取り直すように8階を見回す。
あちこちにお店らしき区画があり、さながら商店街のような様子を見せる此処はショップ区画だ。
かつてはにぎわったのかもしれない此処は、今となっては静かなものだ。
「ここはショップ区画らしいね、ショップってことはセキュリティとかありそうかな?」
「そうね。当然あると思うわ」
「こう泥棒防止のためになんかセンサーってやつがあったりとか……あ、店員の格好をしないと開かないドアだって! ここに衣装があるから着替えて……き、が……」
「ボロボロね。これを着たら尻尾が見えてしまうわ」
「尻尾どころか半裸かなあ……」
どのくらい放置されていたのか、すっかりボロボロのメイド服を流石に着る気にはならないし、着ても店員と判断されるか全く不明だ。
ミルキィとチュチュが肩をすくめて戻ろうとした矢先。ズンッとお尻に何かが突き刺さる。
なんということか。カンチョーの罠である。店員の恰好をしないと開かないドアなどという、そんな親切な表示自体が罠だったのだ。
「あう……」
「……ぉ、乙女に、そんなことしちゃ、ダメよ……て、いう、か……カンチョーするにしても、威力を考えなさ……い……」
ミルキィとチュチュが仲良くダウンした、その矢先。コルネリアが奥から走って逃げてくる。
「なんか芝刈り機みたいなのが稼働してんだけど!? 髪だけじゃねぇだろ刈ってんの!! くんな! 追いかけてくんな! ぎゃー! ってなんか倒れてやが……百合子、ゆーりこー!」
「呼んだのであるか! ぬっ、ユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリィーーーーッ!!!!!!」
ヒーローの如く登場した百合子が、床屋にあった芝刈り機のようなバリカンを白百合百裂拳で粉砕する。
「た、助かったあ……このマンション、辺りの物が勝手に動きすぎじゃないかしら」
「うむ。これリフォーム業者呼ぶよりも発破業者呼ぶ方が良い奴であろ。吾は命は惜しまぬが、建物の為に捨てる理由がないのでガシガシ壊すのである」
「さっきエッダが言ってたけど、それやろうとした奴が自分爆破されたらしいわよ」
「クハッ! それは中々滾るな!」
「ったく、幽霊だかなんだか知らねぇもんでも、視れてんならこっちのもんだってのに。聖なる背負い投げで一撃よ」
それを聞いて百合子が芝刈り機の残骸に目を向け、コルネリアが芝刈り機の残骸から目を逸らす。
「ところで、このようなボタンを見つけたのであるが」
百合子達がそんな会話をしている頃、マリアはなんと10階に辿り着いていた。
データにはない10階はエレベーターを降りると同時に、硬く閉ざされたシャッターが見えていた。
「シャッターかあ……あんまし開けたくないね、トラコフスカヤちゃん」
「そうですわね。怪奇現象ばっかりなんですもの」
ぐったりした様子の2人だが、シャッターを開けるボタンを探そうとして……シャッターに少し壊れたように割れている場所があることに気付く。
「ん?」
しかし、そこには……こちらを覗く、大きな目が見えていて。
「ひっ!あ、あの…大丈夫かい?ここは危険だから出た方がいい! 私が安全な場所まで護衛しよう……き、聞いてるかい?」
悠希を振り絞りマリアが扉へ近づくと、シャッターがガタガタと揺らされ始める。
「イヒヒヒヒヒヒ! ヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
「ぎゃー!?!?!?!?」
「キャー!?」
トラコフスカヤちゃんを抱えてダッシュで逃げるマリアだが、登ってくるエレベーターに早く来いとボタンを連打し……現れたエッダにラリアットをくらわせる勢いでエレベーターに乗り込み1階まで降りて外までダッシュする。
「あ、お帰りなさい。そちらはどうでしたか?」
「怖かった……」
瑠璃にそう答えて、マリア達はその場に座り込む。
あれは罠だったのか、それとも別の何かだったのか。
もう1度確かめたいとはとても思わないマリアだったが……ふと、他の仲間達を見て首を傾げる。
「……そういえば百合子君たちはどうして焦げているんだい?」
「百合子が自爆ボタン押したのよ」
「まさかボタンそのものが自爆するとは思わなかったがな!」
楽しそうに笑う百合子と呆れた様子のコルネリア、そして死屍累々の仲間達。
瑠璃はまだ余裕がありそうだったが……それでもマッピングの手をふと止めて、クールな笑みを浮かべる。
「……帰りましょうか。もう充分という気がします」
その意見に反対する者は居なかった。
テラーズマンション。罠と……なんだか怪奇現象っぽいものが盛りだくさんの、そんなマンション。
その後どうなったのかは……誰も触れたがらなかったので、不明である。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
コングラチュレーション!
無事に全員生還しました!
GMコメント
テラーズマンションの地図を作ってください。
「これはダメだ」と思った時点で撤退可能。ある程度完成していれば失敗にはなりません。
・1F
入り口と各種のお知らせ板、椅子と机の置かれた待合室のような場所。
住民用の会議室と受付窓に板を打ち付けられ、ドアが溶接された管理人室。
階段とエレベーターがありますが、改造されたのかボタンが「↑」と「↓」と「→」と「←」しかありません。
・2F
201~207。内廊下で繋がっています。
・3F
301~307。内廊下で繋がっています。
・4F
住民用のレストランがあったはずです。
・5F
運動不足解消の為のトレーニング施設があったはずです。
・6F
601~607。内廊下で繋がっています。
・7F
図書館があったはずです。
・8F
住民用のショップ区画であったはずです。食料品店、床屋、雑貨店など。
・9F
901~907。内廊下で繋がっています。
・10F
資料が残っていないので不明です。
□罠を楽しむアトラクションシナリオです。
ホラー系のネタシナリオですので、それをご理解の上でお楽しみください。
「こんな罠があるはずだ! こうリアクションするぞ!」とかでも全部OKです。
もう1度言います。ネタです。
なお、チーサによる救護室がマンションの外にあります。
何かあって替えの服が必要などの場合は此処で着替える感じになります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
Tweet