PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<濃々淡々・神ノ業>鈴の音は鳴り止まず

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「お前。ずっとずっと、使えない儘だったから、殺してあげる」
「人間なんかに肩入れして。そんなだから、奪われるの」
「じゃあね、さよなら。戦えるだけマシだと思ってたけど、お前も鉄人も使えないわ」

「っ、逃げろ、二人共――――!!!」

 ぱりん。

 砕けたような音がした。
 そこに凛太郎の姿は無かった。

「あとは、お前たちを殺せば、おしまいね」
 溌剌と笑う少女――鈴は。
『うさぎのながみみ』ネーヴェ (p3p007199)と『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ (p3p009805)に、手を伸ばした。

「っ、嫌――――!!!!」
「やめなさい!!」
「凛太郎君に手を出したと見て間違いなさそうだな。もう誤魔化しは効かないぞ」
 駆けつけた『星の救済』小金井・正純 (p3p008000)と『名を与えし者』恋屍・愛無 (p3p007296)が二人を庇い立つ。
「ふぅん、これだから人間は……」
「皆!!」
「大丈夫か? 此方は――、」
「嗚呼、わたしの仲間を殺してくれた餓鬼どもじゃないの」
『全てを断つ剣』ヴェルグリーズ (p3p008566)と『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル (p3p008599)が駆けつけるや否や、すずはにっこりと笑って告げた。
(二人共、やったんですね……でも、どうして?)
「ね。どうして、って。思うでしょう?」
「?!」
 正純が思わずたじろぐ。心の声を聴かれたような心地になって、すずのことを見ることが出来ない。
「凛太郎殿は何処だ」
「凛太郎様は……」

 すず様が、何処かへと連れ去ってしまいました。

 ネーヴェの声に被せて、すずはにっこりと笑って。ネーヴェは震えたまま、すずを見つめる。
「ふふ、そうね。連れ去った……っていうか。養分にする? って感じね」
「栄養にするってこと? そんなの、だめよ。凛太郎お兄さんが痛いわ」
「痛い? わたしたちのほうが、ずうっと、ずっと、痛かったのに、お前に何がわかるの?」
 すずが指を鳴らす。
 神社の景色は消え失せ、そこは開けた舞台であった。恐らくは御神楽を披露するためのものであろう。しかし、其処に在ったのは血まみれの凛太郎と、魔法陣。
「救いたいなら救ってみなさいよ。ただし、わたしがこいつを巣食う方が先だろうけれど!」
 

「さぁ、最終決戦だ。とは言っても、物語の結末はみんなが選ぶんだけど」
 ぱん、と手を叩いた絢が、まずは落ち着こうと仲間を集めた。物語から一旦帰還し、身体を休めることも必要と考えたのだろう。
「……あの舞台は?」
 まず口を開いたのはアーマデルだった。曰く付きか、呪いがあると見てもおかしくない。絢は頷き示し、図を用いて説明を。
「あれは、恐らく妖に伝わる呪いの一つだ。生贄を代償に、願いを叶えるらしい」
「いけ、にえ?」
「ああ。あの呪いが発動してしまったら、凛太郎は間違いなく、」

 死ぬ。

 告げなくとも、語らずともわかる真実が。六人を、襲おうとしていた。

NMコメント

 染です。リクエスト有難う御座います。
 気張っていきましょう。
 恐らくは最後になるかと思いますが、皆さん次第です。

●目的
 鈴の撃破

 今回の撃破の定義は、戦闘不能にすること。
 つまり、殺さなくてもいい、ということです。
 もちろん殺してもらっても大丈夫です。お好きにどうぞ。

●すず
 今回の犯人です。
 見た目こそ可愛らしい幼女ですが、中身は不安定、年齢も数千は越えているでしょう。
 人間の愚行を、愚かさをずっと、その目で見てきました。故に聞く耳を持ちません。
 駒として使っていたとしても鉄人を倒されたことは許せないようです。戦闘は避けられないでしょう。

 戦闘時は高命中BSアタッカー。Lvは不明です。
 《怨術》永久:神中列【乱れ】【足止】【混乱】【災厄】
 《怨術》久遠:神中列【流血】【炎獄】
 《怨術》永遠:神近ラ【封印】【恍惚】【出血】
 《怨術》悠久:神中範【防無】ダメージ大

 《妖禁術・対価》鈴刻:10ターン経過で生贄を代償に強力な魔物を召喚する

 封印、足止系列、感電系列のBSがあると有利に戦いが進むでしょう。

●凛太郎
 傷が酷くダメージも大きいです。声をかけても反応しないでしょう。
 【失血】が付与されており、生贄にされなくても治癒が無ければ死にます。

●ロケーション
 ・御神楽の間
 広い舞台です。開けていて恐らくは野外なのでしょうが、真っ暗です。
 ぼんやりと灯篭が灯っています。
 また、地面には魔法陣が描かれています。これを消すことは不可能ですが、舞台のどこか二ヵ所にある仕掛け(後述します)を破壊することで弱めることが出来ます。
 仕掛けの近くには蝶が舞っています。

●仕掛け
 たくさんの鈴が置かれています。
 攻撃をすることで破壊できます。
 ステータスは以下です。

 ・鈴
 共鳴:自付【反】HP+500

●世界観
 和風世界『濃々淡々』。

 色彩やかで、四季折々の自然や街並みの美しい世界。
 また、ヒトと妖の住まう和の世界でもあります。
 軍隊がこの世界の統制を行っており、悪しきものは退治したり、困りごとを解決するのもその軍隊のようです。
 中心にそびえる大きな桜の木がシンボルであり神様的存在です。
(大まかには、明治時代の日本を想定した世界となっています)

●NPC
 今回のシナリオに同行するNPCです。

・絢(けん)
 華奢な男。飴屋の主人であり、濃々淡々生まれの境界案内人です。
 飴屋を営む妖で、化け猫。温厚で聞き上手です。
 Lv50程度のヒーラー。
 《癒陣》序:HP回復500
 《癒陣》破:AP回復150、BS回復75、治癒、識別
 《癒陣》急:敵、またはそれに類するものに対してHPを回復することが出来ます

●その他
 何があっても何とかします。
 やりたいこと、挑戦したいことを優先してください。

 以上となります。健闘をお祈りしております。

  • <濃々淡々・神ノ業>鈴の音は鳴り止まず完了
  • NM名
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月22日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談10日
  • 参加費---RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
恋屍・愛無(p3p007296)
愛を知らぬ者
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

リプレイ

 さいしょは、みこのてがすきだった。
 しろくて、やわらかくて、あたたかくて。
 でも、だんだん、きしんでいくでしょう。
 ふるびて、もろくなっていくの。
 そうだとわかったとたんに、わたしは、わたしたちは、あつかいがざつになってしまったの――


「皆様、どうか――」
 不安気に呟いた『うさぎのながみみ』ネーヴェ(p3p007199)の肩を叩いた『夏の思い出に燻る』小金井・正純(p3p008000)は、笑って。それから、前を見据えた。
「大丈夫。ここで止めます」
 微笑み。唇を真一文字に結んで。彼女は紫髪揺らし、進んだ。譬えその先が悲しい結末だとしても。
 震えるネーヴェの手を取って、駆けた。目指すは蝶が示す先――仕掛け。この世界に幕引きを齎す、一撃。

 斬。

「あら、戦うのね。戦いを選ぶのね。ヒトってやっぱり、愚かだわ」
「人間の愚かさをずっと見てきたのは不幸に違いない。けれどだからと言って、許されない行いがある」
『全てを断つ剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)煌めかせ。刃横薙ぎに、斬。
「随分けったいな挨拶しはるんねぇ、なんて、ねッ!!」
「疾く妹の元に送ってやるのが慈悲というモノだろうとは思うが。皆はそうではないらしいな
 『けったい』の意味はよく解らないのだが。言葉をそのまま返すことは出来そうだ」
『神異の楔』恋屍・愛無(p3p007296)の瞳、爛々と。唯命喰らわんと、唸る一撃真っ直ぐに。
「小癪ね。生意気で鬱陶しくて、本当に、うざい」
 軋む床板、唸る鈴音、しゃんしゃんしゃん。
 軽快な鈴音。屈託のない笑顔。降り注ぐ炎獄の咎。
「粗雑に扱われる事、使い捨てられる事を嘆き、怨んだものが。私情──そう、私情だ。その為に同族へ同じことをする。
 怨みの果て、とでも言い訳をするか?」
『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)の刃は軋み唸り、偽りの聖女の嘆きを謳う。停滞の枷を。安寧の夢を。歌い、踊り、奏で続けよう。
 その災禍はすずを疎み、妬み、絡みつく。ぎりりと歯を鳴らして、アーマデルに矛先を変える。嗚呼、疎ましい。
 技を封じ、蹴り、殴る。そんなすずを切り伏せ、噛みつき、傷付ける。
「話を聞くんだ!」
「っ、すず殿……」
 災いを呼ぶ鈴の音が響き渡る。それを振り払いながら、三人はただすずに食らいつく。それこそが定めであると、言わんばかりに。
「ああ、ああ、どいつもこいつも、五月蠅いッ、五月蠅い五月蠅い五月蠅いッ――――」
 永遠を。久遠を。此の手におろして、仲間を取り戻す。その為なら――

「りんたろ、う?」

「すずちゃんさん……」
『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)はすずを見据えた。目には溢れんばかりの涙を浮かべて。
「鉄人おじいさん、凛太郎お兄さんはすずちゃんさんの仲間じゃないの?
 なんでこんなことしたの? ルシェたちにすずちゃんさんたちの痛みわからないって言うけど、言ってくれないとわからないわ」
「……」
「だからねぇ、答えてすずちゃんさん! なんでこんなことしたの?」
「お前に、こたえる義理はないわ」
 絢が凛太郎の体を起こし、キルシェはその傷を癒す。止めどなく地が流れて、流れて、流れて。けれど、あなたを死なせはしない。
「みんなが、生きて居てって、願ってるもの!!」
「っ、はぁ、っ……」
「怪我したらその分癒すんだから! しっかりして!」
「もう少しだ……」
「あとはルシェに、まかせて……!」
 結い上げられた傷。結ばれた絆のあと。嗚呼あとは、刻まれた呪いを解くだけだ。


 蝶が舞う。
 いのちが、うたう。

「だって、あの子は、返ってこなかったのに」


 ヴェルグリーズが断ち斬り、アーマデルが淀を生み、愛無が奪う。
 それを繰り返す。無意味な攻防だとしても、確実に人数が多い方が有利だ。それは変わらない。
「っ、しつこい……」
「はぁっ!!」
「くっ……」
「悪いが、僕は平和主義者なのでね」
 愛無が足を出せば転んでしまう。其処をアーマデルが逃さず捕らえる。
「離して、離せっ……触らないで、人間のくせに」
「ああ、何とでも言えばいい。俺は、そんなことでは靡かない」

(どういう意味合いかまでは理解出来てはいませんが、なんとなくそれが良いでしょう。
 この儀式は完遂させてはいけない、そんな気がしますので)
 砕いて、砕いて、また砕いて。
 蝶に誘われるように、鈴に闇より一撃、また一撃を齎していく。、天に吼える狼の如く地を駆けるその銀の星の尾。
 ぱりいんぱりいんと砕き、砕き、砕き続ける内にすずが動揺し、取り乱していく。
 いたいいたいと泣きだして、ただの幼い「すず」に成っていく。

「やめて!!!」

 脳が砕かれるような衝撃の波。真正面からその荒波にのまれたすずは、いたいいたいと頭を押さえて喚く。蹲る。
 銀剣は唸らず、握った手に焦燥滲む。
「こうして俺達と戦う動機にするくらいには鉄人殿に思い入れがあったのに。
 見殺しにするような真似をして…これじゃあ物を粗末に扱う人間と一緒じゃないか」
「ちがう。わたしは、にんげんとはちがう」
 尚も『違う』と叫び続ける。それは六人が何も語らずとも、ただ、自分をそうだと洗脳するように。
「一部の為にその属する種、ヒト全てを…というのは、極端に過ぎると思う……まあ、ヒトもそう変わりはしない」
 大蛇がひとたび人里へ降り、ヒトを呑めば、「蛇はみなヒトを食らうもの」と言われるだろう。それと同義だ。
 敵だと一度とらえれば、それは消して覆せぬさだめ。
「弱ければ奪われる。弱ければ死ぬ。つまるところは、そういう事だ。鉄人君が死んだのも。まぁ、そういう事だ。すこし寂しいがね」
 ヴェルグリーズが。アーマデルが。愛無が。正純が。キルシェが。ネーヴェが。それから、凛太郎と、絢が。
 ひとつになって、すずと対峙する。
 嗚呼。呟いたのは、すずか、それとも凛太郎か。
 儀式は失敗した。それから、すずは、負けたのだ。
「……鉄人は、苦しまずに逝けた?」
「……さぁ。自ら負けるように『動いた』からな」
「そう」
 目を伏せたすずに、アーマデルは続けて。
「現実に助けられなかったのは俺の力の無さだが。鉄人殿に何をしたのか、聞いてもいいか」
「……凛太郎から聞くと良いわ。此処はもう、持ちそうにないから、」

「あなたたちだけでも、帰してあげるわね」

 すずが取り出したのは、鈴。恐らくは己と思わしき其れを、砕く。

 地割れのような音が響く。地震だ。

「じゃあね。凛太郎のこと、頼んだわ」
 立ち去ろうとするすず。足元に広がった朧げな魔法陣が、転移のものへと書き換わっていく。
 魔法陣から一歩、はみ出したその後ろ手を掴んだのは。
「なに、するのっ……」
「何も言わずに、ただ理不尽な怒りをぶつけるだけで、納得できると思うないで頂きたい――!」
 強引に。その義手が。正純の手が、すずを魔法陣の内側へと連れ込む。
 ひとりでいくなんて、ゆるさない。
「――長き時を、愚かな人を見続けてきた貴女だからこそ、話をしたいと、そう思っているのです
 だから、いかせません。生きることこそが、あなたが背負うべき運命です」

 無償の愛などないように、一方的なだけの憎しみや怒りは、何にもならない。
 だからこそ。
 すずは。
 酷く融点の低い、錫のままだったのだ。

 ひかりのつぶが、すべてを包む――


 あいしていたの。
 でも、すずはこわれやすくて。
 おとがならなければ、かみにつかえることはできないと、いわれたの。
 ものにだって、いのちがあるでしょう。
 あのこは、うまくうたえなくなったの。
 あめのひも、かぜのひも、うたいつづけるの。
 にんげんだと、かぜっていうのかしら。
 だんだんさびついて、きれいなうたがうたえなくなったのよ。
 そしたら、ふようひんだって、すててしまったの。

 あなたがもしもふいてくれていたのなら。
 あなたがもしもたいせつにしてくれたのなら。
 そんなことには、ならなかったのに。


「……」
 語らずとも流れ込んできた、その記憶。
 体力を。魔力を使い切ってしまったのだろう、小さく眠るすずの頬は涙で濡れて。
「だって、わたしお姉さんだもん。罪を償うお手伝い、するわ!」
「存在自体を己が名とする…最古参、とでもいうべき存在だったか」
 だからこそ、繊細で、もろくて。『すず』たる本質を残したままに、純粋に恨んでしまったのだろう。たとえそれが、間違っていると、こころのどこかで理解しながらも。
「キミは自身の行いで自分の正当性を汚したんだ。自分のしたことを見つめ直して、己が何をしてしまったのか理解するといい」
「……なぁ、其れ以上は。すずは、俺のこと、殺すつもり、無かったと思うんだ」
「え?」
「……すずの目が、違った。戦っていく内に、何か、憑かれてたっていうのかな……それが、なくなって」
 庇い立つ凛太郎。いくら殺されかけようとも、同胞であるのだと。大切にしてくれたのだと語る姿は、嘘ではないらしい。
「もちろん、解っているさ。その上で…また話が出来ると嬉しいな」
「……憑かれていた?」
 首を傾げた絢。
 その物語は、またいつか、別の機会に。
 濃々淡々・神ノ業、此れにて一件落着。

 あなたのそばにある、大切なものが。あなたの手のぬくもりを、こころから愛している。

成否

成功

状態異常

なし

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