PandoraPartyProject

シナリオ詳細

牛をガッてして焼き肉いこうぜ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●やきにくたべたい
「うわあああああああああああんカルネくんカルネくんカルネきゅーーーーん! オレ焼き肉食べたい焼き肉タン塩焼きたいあとカルビ山ほど詰んでタレつけてご飯かっこみたいよカルネクーーーーーン!」
 猛ダッシュからのヘッドスライディングで素足にしがみついて頬ずりしながらうわーんって泣き叫ぶ男友達の存在を想像してみてほしい。
 それが、火柱・慎吾(p3x008563)である。
「ちょ、ちょっと誠j――慎吾くん! いまそこにしがみつくのやめて、スカートが! スカートが短いから!」
 スカートの裾を押さえて必死に慎吾をはねのけようとするカルネ(性別不詳)。
 細くて長いつややかなすねにしばらくしがみついていた慎吾は、3秒ほどしてからサッと真顔に戻った。
「……おっと、つい謎のバグに晒されちゃったようだ。オレのアバターが意図せずおかしな挙動をしたようだね。ソーリー」
 立ち上がり、クールに前髪をふぁさあってやる慎吾。
 カルネはスカートの前を押さえたままはーはーと息をきらせていた。頬に流れた汗を手の甲でぬぐい、乱れた前髪を手ぐしでなおしていく。
「慎吾、ずっとそういうテンションでやってたの? ソロプレイ縛りで?」
「おっと、勘違いしないでくれよ。縛りじゃあねえ」
 肩に担いだバズーカ砲をシュッと背負い直し、背を向けてからクールに振り向いてから。
 こう言った。
「一緒にプレイする友達がいないんだ」

 経緯を大幅にカットしよう。ROOの事情とかネクストとか2.0とかの事情は後に詳しく説明するとして――ハイ、ここは『静寂の青』フェデリア島。
 新たに解放されたエリアを探索し、各所に点在しているクエストを攻略することで新たなエリアやイベントを見つけ出そうという一連の依頼群は、トーレットイレギュラーズを日夜ROOへとログインさせる理由にもなっていた。
 誠j――慎吾も同じ理由でログインしてはモンスター狩りをちまちまと繰り返していたが、みんな仲良く8人グループで遊……じゃなかったクエスト攻略に挑むさまを見ているうちなんか胸がキュッてなったらしい。それで冒頭の奇行に走った次第である。
「いや、だって、カルネくん全然ログインしてくれないんだもの」
「ごめんね、なんだかアバターのことがよくわからなくって……」
 てへへ、と頬を赤らめて首をかしげるカルネ。トレードマーク的な帽子型髪飾りはそのままに、改造セーラー服のようなコスチュームに長い髪といういでたちである。鋼鉄国の女学生のような、である。
 長い髪をみみにかけ、手帳を開く。
「でも、今日こそはちゃんとした依頼に行くんだよね?」
「今までちゃんとしてなかったみたいな言い方やめて!?」

●牛をガッってしよう
 課された依頼内容はフェデリア島北部に位置するスタミナタ島。小さな無人島だが、なぜかそのポイントにクエストマーカーが出現し、クエスト内容を読み取ってみると『牛を10頭ヤれ』とだけ書いてあるというヘンテコスポットだ。
 クラーケンだのツルギタコだのファイブヘッドシャークだのを日夜相手にしているイレギュラーズたちも牛ごときに人員割くのもなあってんで後回しになっていた案件なのだが……。
「牛を倒せるってことは牛を食べれるってことだよね! 焼き肉できるって! ことだよね! バーベキューが!」
 浜辺でバーベキュー。
 まるで夢のようなハッピーイベント。
 クエストをこなしレベルもあがりハッピーイベントもこなせるなんてこんな美味しい話はない。

 集まってきた仲間――もといあなたに振り返り、カルネが大きく笑顔で手を振った。
「メンバーは揃ったね。さ、このパーティーでクエストこなして、一緒にバーベキューしよ! 実はこういうの、ボクもちょっと夢だったんだ」

GMコメント

●オーダー
 牛をガッてして焼き肉いこうぜ! です
 牛をガッてしましょう
 けどなんとなく察しているかもしれませんが、ガッとするには犠牲がいるのです。そう尊い犠牲が。

●エネミーデータ
・†デビルタイラントヘルデスビーフ†
 いきなりすんごい名前が出てきたのでびっくりしたかもしれない。私の頭がおかしくなったわけじゃないの。聞いて。
 スタミナタ島に生息する『牛』はすごく美味なのですが、その数頭が見事にバグによって変異、狂暴化、中二病化し、頭文字はつきまくるわ名前をダガーマークで囲むわでとんでもない地獄牛と化しています。
 彼はスキルとして牛突撃、牛ビーム、牛暗黒舞踏、牛地獄大車輪、牛魔道邪炎黒牛波といったものを使います。
 一発ずつがすごい威力ですが攻撃後に隙ができるので、そこが攻撃のチャンスです。
 そう、誰かを一旦囮にしてデスらせるといいのDEATH!

 なお、†デビルタイラントヘルデスビーフ†は食肉にスーパー適しており倒すとなぜか適切なサイズ切り分けた後血抜きされそのままでも食えるくらい新鮮かつ清潔なお肉としてその場にドロップします。タッパーつきで。便利。

●同行NPC
・カルネ(ROOのすがた)
 可愛らしい女学生の服装をしたカルネくんです。性別不詳。
 いちいち動きがちょっとだけ可愛らしくなっています。あと胸の膨らみを感じます。
 これは裏話なのですが。最近依頼で他の皆と出かけられてなかったことで孤独を感じたカルネくんが人々の中に溶け込みたいという気持ちから、この『第二のカルネくん』というアバターが作り出されたようです。

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●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 牛をガッてして焼き肉いこうぜ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年07月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

すあま(p3x000271)
きうりキラー
シャドウウォーカー(p3x000366)
不可視の狩人
ポシェット(p3x002755)
このゆびとまれ
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
火柱・慎吾(p3x008563)
花火職人
Λ(p3x008609)
希望の穿光
ビャクダン(p3x008813)
複羽金剛
星芒玉兎(p3x009838)
月光

リプレイ

●他人の金で焼き肉が食べられないなら直接とってきて食べたい
「ヒャッハー! 肉だ!!」
 丘をジャンプで越え、両手をグーにしてかかげ膝を後ろ向きに身体を反らす『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)。
「美味い肉食えると聞いて心躍らないわけねーだろヒャッホウ!!
 任せろよ、きっちりバッチリとガッしてやるからよぉ!」
 そのままマンキーダンスに移行するTeth。
 よほどストレスが溜まっていたのかそれとも肉が好きすぎるのかは定かでないが、青空と草原の間でTethのテンションはマックスだった。
 その横をがしょがしょと歩く鎧。腕に抱えられた猫耳の少女が顔をくしくしとやった。
 Tethとは違うが、こちらもウキウキとしながら身体を左右に揺らしている。
「やっきにく! やっきにく!
 みんなお腹いっぱい食べようね。
 わたしは幾らでもいけるよ!
 ご飯や飲み物もいっぱい持ってこうね」
 後に続いて歩く『月光』星芒玉兎(p3x009838)は、二人の様子にこくこくと頷いた。
「ええ、存じておりますわ。屋外で複数人で、自分達でお肉を焼いて、歓談しながら立食するのですわよね?」
「歓談……」
「立食……」
 焼き肉ともBBQとも違うハイソな言葉に、すあまとTethがぴたりと足を止めた。
「かねてより一度はやってみたいと思っていたところです。
 こうして機会が得られたのは僥倖ですわ。実家じゃ絶対出来ませんもの」
「お、おう」
 河原でバーベキューとかしたことない畑の住民なのかな、と自分のなかで理解を示すTeth。やったことないひとほど憧れをもつとも聞いたことがある。
「そのためにも……なんとしても、成功させなくてはなりませんわ」
「「イエス!」」
 そこに関しては、もう気持ちは一緒だった。

 きりんがあるいていた。
 今考えたら有効的な騎乗動物が馬かゴリラかキリンのこの世界なんなんだろうと思うが、『このゆびとまれ』ポシェット(p3x002755)は考えなかった。愉快なともだちのひとりであるからだ。
「あたし焼き肉のタレ持ってきたんだー。
 網で焼いた貝に醤油をたらしてジューってやるののあたし好き!バターものせちゃう!
 それから、やっぱりご飯は欲しいよね、おなか一杯になっちゃうから食べないって人もいるけど、お肉とタレとご飯の組み合わせは最強だから!
 でも焼きそばもいいよね、あまった具材とお肉で鉄板でジューってちょっと焦げるくらいに焼いた焼きそばって海の家的なおいしさがあるよね……おなかすいたなぁ」
 ひとしきり食欲をかきたてるポシェット。
 なるほどそれは美味そうだと、『複羽金剛』ビャクダン(p3x008813)は組んでいた腕をほどいた。
「牛肉なんて普段そう大量に食えるもんじゃねぇが、ココでなら可能か。なるべく手早く多く倒して、ありがたく頂きやしょう」
 ホントの目的はバグによって生まれた牛こと†デビルタイラントヘルデスビーフ†を倒すクエストを処理することでこの世界におこるバグの原因究明および探索につなげるというものなのだが、交渉な目的ほどピンとこないものだ。原始人でも分かる副次的な目的がやっぱり欲しい。要するに、にくくいてーのである。
「焼き肉出来るのは嬉しいけど、牛を倒す所からなんだね……。
 ただで食べれるとは思ってないから別にいいけどさ」
 『不可視の狩人』シャドウウォーカー(p3x000366)はダガーをホルスターから抜き差ししながらつぶやいた。
「にしても、あの牛の名前、なに? でびるたいらんとへるでしゅ……長すぎて噛んだ」
「†デビルタイラントヘルデスビーフ†」
 カルネはそう言って、ダガーマーク(短剣符)を空に書くしぐさをした。
「これ、そもそもなんの記号なんだっけ。楽譜の小休止記号?あと十字架に見立てた記号とも聞いたことあるけど」
「まあ……一言でいうとロマン、かな」
 世の中の大抵のことに意味なんか無い。名前をダガーマークで囲む意味だってない。鎖のいっぱいついた服のように。
 『花火職人』火柱・慎吾(p3x008563)はちょっとだけ遠い目をしてから、『ロマン』ともう一度つぶやいた。
「パーティープレイ……まさかオレが……今、大学生河川敷バーベキューと並ぶ都市伝説に遭遇しているっていうのか? え、ちょっとまってまって聞いてない心の準備があぁ、でもカルネくんいるし逃れられない……!」
「誠――慎吾……あんまりにもソロプレイをやりすぎて感覚が……」
「あとなんだろうピンチの時に強くなるスキルを全力で作ったんだけどSTPなくなってない?」
「それ共有リソースだよ! なんで一点集中したの!」
「良い所見せたくて……!」
 とはいえスキル構成自体はそんなに悪くなかった。通常攻撃をメインに使うビルドにしてHPをあげればかなり強いアタッカーになれるだろう。
「オレの介護、おねがいねカルネくんちゃん」
「フォローはするよ、もちろん」
 そんな様子を、『汎用人型機動兵器』Λ(p3x008609)は『相変わらずよね~』といって眺めていた。
「さてと、じゃあそろそろいこうか。島のあちこちに居るっていう牛を倒して肉をゲット。サバイバルだねえ」
 そういって、呼び出した機動魔導甲冑『黒麒』をバイクモードに変形させ、跨がった。
「とはいっても全員固まって島中ぞろぞろ歩き回るのも非効率だし、手分けをしようか。ニク ニク ニック♪ ニク ニク ニック~♪」
 鼻歌交じりに走り出す。向かう先と組み合わせは――。

●牛!
「しっかし、飛行するモンスターの姿もないし、やけに安全な島だ……」
 翼をはばたかせ、高所より草原地帯を観察するビャクダン。
 遮蔽物もあまりないせいか、黒い毛皮に角が四本はえた牛をすぐに発見できた。間違いない。バグによって生まれた異常個体こと†デビルタイラントヘルデスビーフ†だ。
 変異によるものか、敏感にこちらを察知した†デビルタイラントヘルデスビーフ†は角を発行させ漆黒の牛ビームを発射。
 素早く羽ばたいて身体にスピンをかけたビャクダンはビームを回避。すぐさま急接近をかけ禍爪による強襲を行った。
「その力……ついに地獄より目覚めたか我が宿敵!」
 あえて言ってみる。これで無反応だったら死ぬほど恥ずかしいが、中二病化した†デビルタイラントヘルデスビーフ†は目をカッと見開き鼻息荒く突撃を仕掛けてきた。
 無駄に髑髏マークを浮かべた突撃に対してカウンターをしかけたのがポシェットである。
 厳密にはきりんさんに跨がった水着姿のポシェットである。
「うーしーさんが、ころんだっ!」
 ぴょんと飛び降りキリンの脚を木に見立てて振り返ると、†デビルタイラントヘルデスビーフ†はビタッと突撃をとめた。
「ハッ、しまったつい――!」
 乗りが良すぎたせいでポシェットの術中にはまった†デビルタイラントヘルデスビーフ†。だがこれで終わってたまるかと最大出力の牛ビームを発射。漆黒の光がポシェットを襲う――が、8の字ターンをかけてポシェットとの間に割り込んだビャクダンがその身でビームを引き受けた。
「囮になりやす、今のうちに!」
「わかった! きりんさんびーむ!」
 びーむ、の姿勢をとるポシェットの上から、キリンがあんぐり口を開いて謎の光線を発射。†デビルタイラントヘルデスビーフ†を爆発四散させ――高級ステーキ皿をドロップさせた。

 地獄の業火を纏って突進する†デビルタイラントヘルデスビーフ†。
 対抗するのはバイクのアクセルをひねるラムダ。
 近づく距離に応じてラムダはバイクから展開した魔道機銃を連射。†デビルタイラントヘルデスビーフ†もまた牛ビームを拡散発車し、両者の全身と周囲の地面に衝撃がはしる。
 ドウッと跳躍する†デビルタイラントヘルデスビーフ†。同じく前輪をあげジャンプしたラムダはバイクを高速変形させ甲冑モードへと切り替えると、
「弾幕で叩いてお肉を柔らかく~そして~……魔哭連旋撃肉斬り大包丁Ver~」
 腕から伸びた魔哭剣を魔力によって拡大し、†デビルタイラントヘルデスビーフ†へと斬り付ける。
 対する†デビルタイラントヘルデスビーフ†の牛暗黒地獄車が炸裂し、両者は激しい爆発に包まれた。
「兄の一人が牛を飼っておりますけど、その兄が言うには、牛とは臆病で優しい生き物なので触れ合い方を間違えなければ恐ろしくはないそうですわ。
 そういう訳ですので、平和的に接近してなるべく苦痛の無いように……」
 と、その光景を見上げていた玉兎の表情が固まった。背景に宇宙が広がったようにみえた。
「わたくしの知っている牛とは違いますわね……?」
 牛暗黒地獄車の直撃を受けたラムダが『うわー』といって吹き飛び、甲冑がバラバラにはがれて散っていく。
 地面へと落ちる前に、彼女の身体は光の粒子になって消えた。
 が、†デビルタイラントヘルデスビーフ†とて無傷ではない。ラムダによる斬撃をまともにくらっていた彼は着地と同時にがくりとよろめいた。
 仕留めるなら今しかない。そう察した玉兎は『霜降月風寒盛冬大雪』の術を発動させた。
 開いた扇子で風をたてれば途端に冷却された空気と水が氷輪となり、拡散し放たれた蒼い光が†デビルタイラントヘルデスビーフ†へと浴びせられる。
 グオオと唸って倒れそうになりつつもなんとか踏ん張る†デビルタイラントヘルデスビーフ†。
 牛による反撃のチャンスか。否、玉兎の行動はまだ終わっていなかった。
 蒼い光に紛れるように、いつの間にか玄兎へ転身していた玉兎が†デビルタイラントヘルデスビーフ†に距離をつめ、強烈なアッパーカットを繰り出した。
「玄兎柔拳――『渡月(うさぱんち)』」
 昇竜のごとくうねるエネルギーの螺旋に包まれて、†デビルタイラントヘルデスビーフ†は力尽きた。

「そのご自慢の攻撃力で俺様をKOして見せろ!!」
 †デビルタイラントヘルデスビーフ†を見つけたTethの行動は早い。
 『任せろよ、とっておきの方法があるんだ!』と言っていた彼女は自らの周囲にダメージ反射ドローンを展開、対象に向けて高エネルギー化した励起電子を束ねたものを発射すると、自分に意識を集中させた。
 狙い通りと言うべきか猛烈に突っ込んでくる†デビルタイラントヘルデスビーフ†。
「俺様はノーガードだッ! スマヒ来いや!
 スマヒったら最後、そのくそでかダメージの一部がテメェの身に跳ね返るって算段よぉ!
 さぁ、来やがれ牛野――」
 牛暗黒舞踏が炸裂した。
 †デビルタイラントヘルデスビーフ†による謎の連続攻撃を受けたTethがきりもみしながら飛んでいく。
 が、それによって受けたダメージはそのままドローンを介して†デビルタイラントヘルデスビーフ†へと打ち込まれ、更に倒される寸前に放った『S1:Quark_Star』の力場によって†デビルタイラントヘルデスビーフ†は激しいダメージに晒された。
 その隙を逃すすあまではない。鎧のラダによって『投擲』されたすあまは空中でくるんと宙返りすると、すあまドロップキックをたたき込んだ。
「まずは下拵え。牛退治だー! いざ尋常にお肉になっちゃえー!」
 Tethは持ち前の打たれ強さゆえか倒れなかったが、†デビルタイラントヘルデスビーフ†のほうは随分とふらふらだ。すあまのキックによって転倒した所へ、すあまの次なる猫爪クロススラッシュが炸裂。虚空を幾重にも交差する閃きの末に、†デビルタイラントヘルデスビーフ†は叫びをあげてお肉をドロップした。
「名前がカウでもブルでもなく、ビーフな時点で運命は決まっていたのだー!」
 やったーといってお皿を掲げるすあま。拍手するラダ鎧。

 †デビルタイラントヘルデスビーフ†と渡り合うシャドウウォーカー。
 素早く相手の周りを飛び回り、攻撃をかるくいなしながらエレキダガーによる斬撃を小さく小さく、しかし確実に入れていく。
 すべてはこの後の布石。ナイフを入れ替えポイズンナイフを放ったシャドウウォーカー。
「カルネ」
「うん、いま行――」
 カルネの後ろにスッと回ると、その背を†デビルタイラントヘルデスビーフ†めがけてずいっとおした。
「大丈夫。焼き肉にはしっかり呼んであげる、からっ!」
「それって――なにが大丈夫なのー!?」
 うわーといって突き出されたカルネに†デビルタイラントヘルデスビーフ†による牛暗黒地獄車が炸裂。
 宙を舞うカルネくんちゃんの下に、慎吾は立っていた。
 ハッとして顔をあげる。
 アニメのOPみたいに光に手を伸ばす。
(やっぱりVRとはいえ可愛いなぁカルネくん…いや、いまはカルネちゃんかな?
 性別不明だけど胸のふくらみとあどけない感じと可愛さでいつものカルネくんとは違う良さがある。
 ごめんね、依頼に誘えなくて。
 お仕事あったらいつでも一緒に行くからさ。
 今日はそんなわけでカルネちゃんとの焼き肉の為にぼk…オレは頑張るよ!)
 謎のモノローグを語ると、目に焼き付けた光景を胸をドンと叩いて飲み込んだ。
「よし! じゃあ早そ――」
「慎吾も行ってきて」
 シャドウウォーカーに背を押されてグワーといって†デビルタイラントヘルデスビーフ†に撥ねられた。
 が、攻撃直後だったせいか威力は落ちていたようで、頭からぐええといって落ちたにすぎない。すぎない?
 慎吾は起き上がると、胸のタイマーが点滅するのを確認してアサルトライフルを構えた。今日このために作ってきたスキルだ――くらえ!
 慎吾による猛烈な乱射とシャドウウォーカーによる『リーパーズフィンガー』が炸裂。集中砲火を受けた†デビルタイラントヘルデスビーフ†はすぐさまお肉をドロップして消滅した。

●やきにく!
「ヒュゥ、念願のお肉タァーイム!! さぁ早速焼いて食おうぜぇってコレ、どこがどの部位なんだ?」
 お皿に載った様々な肉をトングでつまみあげて目を細めるTeth。
「ちょっとしたガチャ気分だぜ。いや、それも悪くねぇ。どうせガツガツいくんだ、どんどん焼いちまおうぜ! さて、SSR部位は出るかな出るかなぁー!」
 浜辺に並べたバーベキュー台のひとつにじゃんじゃん肉をのっけていく。
 Tethが横を見ると、ラムダが肉とタマネギを交互に串にさして台に並べていった。
「牛タンカルビハラミヒレにミノサーロイン~♪ふふふ、ボクオマエマルカジリ~。
 お肉も良いけど野菜も食べないといけないよ~?」
 そうしてできあがったバーベキュー串を一本とりあげてみる。ブロック状の牛肉とピーマン、タマネギなんかが並ぶのをもっふもっふ食べ始めた。
 味、食感、そして香り。すべてリアルな牛肉だ。仮想世界恐るべしである。
 炭火の網にタン塩やらカルビ肉やらを並べて焼いては紙皿にのっけて配っていた慎吾も、そろそろ肉が食べたくなってきたらしい。
「とはいえトングで直接いくのはよくないよなあ。手も離せないし……あ、カルネちゃん食べさせて!」
 あーんと開いた慎吾の口に、しょうがないなあといって肉をひときれ割り箸でつまみあげて運んでやるカルネ。
「なんか時間あったら海とかで水遊びしたいんだけど……カルネちゃん水着アバターとかある? どう!?」
「一応あるけど」
「あるんだ!!!!!!!!!!!」

「バーベキュー初体験ですわ、単純にそういう文化縁遠くて……」
「わたくし、どちらかというとお肉を焼く作業の方が楽しみかもしれません」
 ビャクダンと玉兎は同じ台で肉を焼いては食べてを繰り返していたが、自分で肉をとってきて自分で焼くというこの豪快さがちょっと楽しいらしく。玉兎はワクワクした様子でお肉を均等に並べていた。
「おっと、そんなに敷き詰めたら熱が通りませんや。感覚をあけてちょっとずつ焼きやしょう」
「そうなんですね……普段、周囲の方々に気を遣って頂いてばかりで、あまりそういう事をした経験が無いものですから」
 これも新鮮な体験ですといってほくほく顔の玉兎。
 ROOの仮想世界だからできたことなのか、それともローレットというギルドに入ったからかわった環境なのか、傍目からは分かりづらいが……。
(ま、いつもと違う経験ってのは楽しいもんだよな)

「んー、これはとても美味しい、鮮度がいいとやっぱり違うね。
 欲を言うとこういうのを現実で食べたかったけどね……。
 あ待ってそれワタシが狙ってたヤツ! カルネェ!!」
 ここにあるのワタシのだからね! といって肉陣地を築きはじめるシャドウウォーカー。
 あんまり大きく陣取ったせいか、端っこの部分をポシェットがスッととっていった。
「よーし、たべるぞー! げんかいまでたべるぞー! いただきます!!」
「ポシェットォ!」
 おわびに差し出すカルビ肉。あーんとされたシャドウウォーカーはそれを囓って満足げにもぐもぐした。
「おにくおにくいっぱい食べるよ食べられるよー!
 ちょっと難しそうだけど肉巻きおにぎり食べてみたいな。上手にできるかな」
 すあまは持ち込んだご飯に肉をまきはじめ、端からがぶついていく。
「んまー!」
 ほっこり顔のすあま。ラダ鎧もなんだか満足げに頷いた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

火柱・慎吾(p3x008563)[死亡]
花火職人
Λ(p3x008609)[死亡]
希望の穿光
ビャクダン(p3x008813)[死亡]
複羽金剛

あとがき

 ――クエスト完了!

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