シナリオ詳細
<神逐>目のくらむような光が去った後は、残る狐火
オープニング
●
反目する獄人と八百万。
二種族の怨み嫉みから発生した『けがれ』。そしてソレを媒介にして行われた『大呪』。
七扇である八咫姫が死して去った、今となっても。
カムイグラには、いまだ呪いが満ちていた。
黄泉津瑞神の叫びが、高天京全体へと響き渡る。
悍ましき魔性の月の加護を得て、この地をけがれの焦土へと変えてしまうことだろう。
ああ、しかし、柔らかな、――月光が降り注いでそれを阻んだ。
●地を這う冥は、彼の真意を知ることはなく
廃屋とも見まごうような小屋の中、鍋がぐつぐつと煮える音。
ゲホゲホと小さな咳が響いていた。
扉の前の気配を察し、男はちいさく呟く。
「入れ」
床に臥せっていたのは、年老いた男……七扇直轄部隊『冥』を長らく排出してきた一族の男であった。
この身を国に捧げてきて、もう半世紀となる。
すでに、身体は昔のようには動かない。
七扇直轄部隊『冥』。鬼人種を厳しく差別する天香・長胤に絶対的な忠誠を誓っている特殊部隊だ。その中でも、彼らは八咫姫の手駒として動く冥の残党であった。
長く傍にいるうちに魔種に蝕まれ、心からその思想に心酔している者たちだ。
「八咫姫様は、……鴉は……」
「……神使どもにやられました。情報屋が思いのほかに優秀でございました。もはや、京に戻る道はなし。……建葉・晴明に知られれば、私も生きてはいられますまい」
「……ヴォルペ様は……」
「最後まで、八咫姫様と共にあられました。八咫姫様もまた……」
年老いた冥は深く息を吐いた。
八咫姫の寵愛のためにこちらへとやってきた「元・イレギュラーズ」……ヴォルペ。
「こちらの味方に付いた」とは聞いていたものの、冥はある程度の警戒心を抱いていた。
八咫姫を利用しているのではないか、と。
しかし、八咫姫とともにイレギュラーズたちと対峙し、彼は最後まで八咫姫とともにあったというのだ。
その「愛」を疑ったことを、深く恥じるほかない。
「ヴォルペ様は……命がけで。最期については不明ではありますが、おそらくは生きてはおられますまい。八咫様は……ヴォルペ様に看取られて幸せだったことでしょう。ああ、おいたわしい」
深く黙祷を捧げた。
彼らは影であった。消して顧みらえることのない影。自分を殺して生きてきた影。
「なんと恥知らずだったことか。ヴォルペ様はまさしく献身の鑑であられた」
「我らもそれに準じるべきだ」
そうだ、そうだ、小さな声が上がる。
懐の包みから取り出したモノは、わずかな肉片。
純正肉腫の複製の一部であった。
「我ら、最期まで、八咫様、ヴォルペ様と共にあろうぞ」
どぼどぼと鍋に入れられる。
そうして、彼らの意思を継ぐのだ。
●不理解
「『赤狐教団』を名乗る集団が現れたみたいね」
『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)は、深く深くため息をついた。
赤狐教団と名乗る彼らは、自分たちこそが八咫姫とヴォルペの意思を継ぐ者であり、空位となった今、彼らの代行者を僭称しているというのである。
そして、八咫姫、そしてヴォルペの両名を『過度にあがめて』いる。
そのあり方は無論、根も葉もまるでない身勝手なもの。
「八咫姫は確実に討伐されている。これは、間違いがない。そして、一緒にいた彼は……”彼”がどうなったのか、何をしたのか、分からないことは多いけれど……。それでも、これはblack lie。検討にするに値しないほどに、馬鹿げているのはわかっているでしょう。
『赤狐教団』は、『黄泉津瑞神』の狂気を肯定しているわ。……馬鹿馬鹿しい偶像を打ち砕いてあげる事、それが今回の依頼よ」
- <神逐>目のくらむような光が去った後は、残る狐火 完了
- GM名布川
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年11月18日 22時21分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●逆鱗
嗤い、おののき、喚き散らし。
この世の末を受け入れろと祈りを捧げる赤狐教団。
浅い、浅い、浅い。
小石を投げればすぐに底を打つような浅さ。
「度し難い、とは正にこの事か。彼奴等は、自分達の為に他者の死を利用しているだけに過ぎん。しかも、よもや"彼"を使うとは」
『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は、彼らの行く末を思い僅かに瞑目した。
――触れてはならぬものに触れた。
愚者共は、それを思い知る事になるだろう。
「ヒヒヒヒヒ!! よりにもよって、あのコが一番嫌いなモノに祭り上げるとは!!!」
『闇之雲』武器商人(p3p001107)は肩を震わせ大笑いを繰り返していた。ヒトであったなら、呼吸困難にでもなりそうなほどに。
失った偶像に縋り付き、なおも手放さずに自分勝手に祈り。神へと祭り上げる光景は、不気味を通り越して”滑稽”の一言に尽きるだろう。
「此奴等は一体、何を言っているので御座るかね……頭が涌いてるので御座るか?
それとも、拙者達を笑わせにきてるので御座るかな……お笑い芸人志望で御座るかな?」
『咲々宮一刀流』咲々宮 幻介(p3p001387)はへらりと笑う。いつものごとし、口調は軽く、表情は読めないが……その目は笑っていない。
その瞳に宿っているのは切れ味の鋭い真剣さながら。
「いやァ、笑った笑った」
武器商人はひとしきり笑ったあと、口の端を吊り上げる。
「さあて。彼奴らの処遇、如何したものか?」
「つ ぶ す」
『誓いの緋刃』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)はびっと下げてはいけない指を下げる。
「――笑わせくれた礼に、嬲らずに鏖殺してやる」
さもありなん。
(竜の尾を踏まねば、少しはマシな最期もあったろうに)
とはいえ、汰磨羈もまた、この狼藉に怒りを覚えていることには変わりない。
「じゃ、作戦ね。まず私が本気モードで突っ込んでくでしょ? まあつまりは攻撃を引きつけるってことなんだけど――で、杠さんが、たしかやっかいなのがいそう、って言ってたじゃない?」
「ふむ。複製肉腫だな……」
汰磨羈は頷いた。それが強化に使われているとすれば、一応は難敵か。
「あい分かった。そこで拙者が……」
「なるなる。おっけー」
作戦はシンプルにして優雅。一人も逃さず殲滅だ。
「まァ、ナーサリーの方とアークライトの方がいるとなれば、ある程度は大丈夫ってもんだろう。我は……そうだな、1匹でも逃げられたら不愉快だねェ。周りを囲むとするか」
「承知」
汰磨羈は見事な太刀を手に身をひるがえす。二本の尾が、しゅるりと暗闇に吸い込まれていった。
「じゃ、いっくかー」
●信じるもの
救いを求めて何かに頭を下げ、ひたすらに経を唱え続ける狂信者の集団。
『壁を超えよ』杠・修也(p3p000378)の遣わせる梟は、空を旋回して一鳴きする。
「数は二十……いえ、ざっと三十前後といったところでしょうか」
相手の数は多いが、幸いなことに、練度はさほどでもないように見受けられる。
問題は、敵の数体が複製肉腫を取り込んでいるらしきことだ。
八咫姫やヴォルペがどんな思いで動いていたのか知らないが、少なくとも目の前の光景は、彼が望んだものとは違うものだろう。
「間違い方はともかく……。ヴォルペさんという人を見誤る事について、私から言えることは何もないのだわ」
『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は自嘲した笑みを浮かべた。
「言えた立場では……ないのだわ……私もそうだったのだもの」
白い翼の下。
ひらり。手のひらに小さなカラスの小翼羽を忍ばせ、華蓮は自身の思い人の姿を思い描いている。
ぶっきらぼうに名前を呼んでくれる彼が愛しくて、愛しくて仕方がないけれど……彼はいつも、一人ではない。
(今彼はどうしているのかしら……また、誰か女の子と仲良くなっているのかもしれないだわね)
ふ、と微笑みを乗せることはできるけれど、胸はずきりと痛む。
それでも。……愛おしいという思いは消せない……決して。
この感情も、痛みも。同時に感じる温かいものも、自分の意思ではどうしようもないもの。
恋とはきっとあたたかくて、理不尽で……、あらがえなくて。
(自分の意思ではどうしようもないもの、なのだわ)
彼らを擁護することはできない。けれど、……。思うところがないわけではないのだ。
「哀れではあるな。……確かに個人が何を信じて何を大事にするのかは個人の勝手だ」
修也は、元の世界では旧社家の流れを汲む神主の家に生まれた。害をなさないのであれば、頭ごなしにだれかの信じるものを否定することはない。
「ええ。私も星を信じる身、その信仰の在り方は否定しません。
しかし、過度に祀りあげ、己らの都合のいい解釈を押し付けるばかりかその生を歪めるなど言語道断」
『星詠みの巫女』小金井・正純(p3p008000)の凜とした声が響く。正純もまた星の巫女として信仰に生きる者だ。
その生き方に誠実であるからこそ、よりいっそう。彼らの行いは黙っておけないのだ。
それに、正純にとっては……すべてを神の意志とみなしてそのせいにするのは受け入れがたいもの。
正純は、星の存在を誰よりもその身で知り、ともにある星を道標にしたとしても、……そちらへ進むと決めたのは自分だった。
「頭を冷やして差し上げましょう」
「ああ。自分たちの願望のために死者を好き勝手飾り立てるのは間違っている。……狂気に魅入られたのだとしても、この国にとって害なす存在を放っておくわけには行かない」
『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)はまっすぐに口にした。
「……行こう。サポートは任せてほしい。赤狐教団を壊滅させて、全員で帰るぞ!」
「ええ、ここで終わりにするのだわ。絶対に……」
辺り一帯がぐらりと揺れた。
「始まったのだわね……」
その衝撃を、仲間たちがやられるものだとは、おそらく誰一人思っていなかった。
……突入したのだろう。
意識をファミリアーに集中させていた修也が頷く。
増援の気配はない。
「……こっちか」
修也はメガネをくいと上げ、手にはめた黒蓮之祓を確かめた。
「援護いたしましょう」
「ああ。誰も死なせたりはしない」
「……ええ。まかせてほしいのだわ。きっと、……立ち続けてみせるのだわ」
目を背けないと誓ったのだ。
●その偶像を打ち壊せ
「破壊だ!」
「おお……」
「始まったか……」
ぐらぐらと揺れる地面に、狂信者は歓喜の声を上げる。
「天が落ちる! 地と合一する」
「おお……おお……ヴォルペ様! 八咫姫様。どうか、我らに救いを……もたらしませい!」
狂信者どもが、叫んだと同時。
堂の中央、彼らの崇める像は真っ二つに割れた。
彼らの視界に飛び込んできたのは、……真っ赤な……戦闘装束(セーラー服)?
「な、何奴!」
疑問符を浮かべる冥を、秋奈はぐるりと見渡し、堂々とした声で宣言する。
「うんうん。
ヴォルペの尻はいくらでも刺していいのです」
「は……?」
秋奈が構えるは、戦神特式装備第弐四参号緋憑。
気を抜けば魂すらも奪われかねないほどに、まがまがしく紅い。
くるり。教師が生徒に言い聞かせるようにその切っ先は輪を描く。敵の注目は、集めれば集めるほどよい。それに何より、目の前の光景には腹が立つことこの上ないものであるし。
「つまりキミタチはヴォルペを崇拝しているんだし、同意してるという事で尻を刺されてもらいますえ」
「な、なんだ!? どういう理屈だ!?」
「捕らえろ! 供物にして捧げてやる! 回り込め!」
一部の狂信者が見たのは、慌てて入り口の確保に向かう者。しかし、暗闇は……幾多もの悲鳴があがったあと、不自然に静まりかえっている。
修也のファミリアーが見たのは黒い影と、たたきつけられる魔力と、うごめく、ナニか。……おそらくは武器商人の仕業だろうと合点する。
首尾よしと判断し、表から回ることにする。今はそちらの方が手薄だろう。
すがりつくように、信者たちは倒れる像を支えようとしたが。
紅蓮彩る一条の焔が、ただ真っ直ぐに像を焼き払った。
紅蓮貫穿。
『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)の研ぎ澄まされた一撃。
炎が噴き上がり、信者ごと一帯を包み込んだ。
「あぁ、あぁ……ヴォルペおにーさんを祭り上げてるの? 彼があなた達にとって良いことをしたのだと、そう思っているの?」
フルールの理性はとうに炎とともに燃え上がり、その美しいハーモニアの髪は、揺らぐ炎へと姿を変えていた。
「なんという……なんということだ……」
まだ、終わらない。
別方向から、またしても派手な爆発が起こった。場違いな花火が、どっかんと堂の横から穴をあけたのだ。
「一体何が……!?」
「貴様あ! 何故に我らを妨害するか!」
「あー、うーん……えーと、さ」
姿を現した『解放者』三國・誠司(p3p008563)。拍子抜けしたように冥が出方をうかがっていると、誠司は頬を掻いた。
「別に誰かの生き様をみてどう思おうとそれは個人の自由だし、それが明らかに間近で見たことある人に対してで、すげーずれてるような違和感を持つようなものだよね」
でも、と。誠司は言葉を続ける。
「それで”個人”が満足するだけならそれでいい。そこに踏み込む権利を僕は持たない。
けど……さ。その自分の中の理論持ち出して押し付けてくる。
それも僕の知ってる人を歪めて。
そんなもん出てきたらぶっ潰すしかないじゃん」
ちゃきりと、大筒を向け、不敵に笑う。
「だーよね! 腹立つしね! 戦神が一騎、茶屋ヶ坂アキナ! 有象無象が赦しても、私の緋剣は赦しはしない!」
「いいわね、せーので燃やしましょ」
「あいあい! 今日の秋奈ちゃんはひとあじ違う! 全力でぶちのめさせてもらうぜ!」
「この、無礼者どもが! 貴様、貴様らが、ヴォルペ卿の意思を騙るつもりか!」
どの口が。フルールは思わず失笑してしまう。
「相手はたかだか十程度。数の利はこちらにある! いっきに打ち倒してしまえ!」
うねり、のたうつ雷光があたりを一閃した。
「ヒヒヒ」
チェインライトニングとともに現れたのは、武器商人だった。すでに、別方向から何人か屠っている。
「ヒトの機嫌が悪い時に、愉快な宗教ごっこをしてるのが悪いと思わないかぃ?」
「突入!」
●残る火、残る炎
「出会え、出会え! 我らがヴォルペ卿の意志を継ぐのだ!」
「卿? おじさん! だるるぉ!!!」
誠司はぽんぽんと火薬の雨を降らせる。
「おじ……?」
「お前、ヴォルペおじさんに会ったことないの? にわかか?? 潜りか???
ちゃんと本人はヴォルペおじさん、って言ってただろ? なんでそこちゃんと言ってあげないの!!」
ばあん、とまっすぐな瞳で言い放つ誠司。思わず口をパクパクとさせる冥。
(あれ、言っておりましたっけ?)
(さーて?)
正純が首を傾げれば、武器商人はあえてとぼける。
(言ってないな……)
汰磨羈は確信していたが、まあ、否定するものでもなし。
「なあ、おじさんって呼んでくれって! 言ってたよなぁ!?」
「うーん、言ってたかもねー?」
秋奈が適当なことを言った。
「ほらあ!」
こうして歴史は歪んでいく。……ゆがめるともいう。
秋奈はぶんぶんと目の前の相手にリーガルブレイドを食らわせる。
「ヴォルペなら私ちゃんでもわかるぞー悦んで尻をグサグサされるんだぞー」
「ぐ、ぐはあっ」
(また誤解を招きそうな表現ではあるが……)
汰磨羈は思わずふ、と笑みを漏らした。
ヴォルペとは、そこまで付き合いが深かったという訳ではない。
ただ、それでも分かる事はある。
彼は、此奴等がほざくモノガタリなど、一言も口にしないだろう。
彼はもっと自分本位で。
誰よりも自分に正直だった筈だ。
(故に、狂気にも染まらず。自分の意志であの場に立ち。
武器商人と対峙して――。そんな彼の死を掲げて、よりにもよって『神の望みに従え』と?)
「馬鹿め。
もし、彼がこの場にいたら。苦笑いどころでは済まないだろうさ」
狂信者たちは知るまい。
彼の人を囲んで、周囲に響き渡る声がどれほど表情豊かなものであったのか……。
いくつもの愛を際限なく振りまき。良いことも悪いことも、あふれた愛も。
報復もすべて受け止めて、笑って、笑って、微笑んで……。
彼の姿を見ようともしない彼らには到底見ることの出来なかったヴォルペの姿が、イレギュラーズの中にある。
「では、掃除を始めようか」
霊性強装具『猖狂』は使用者の意思に応じて起動し、汰磨羈の頸椎へ術式を注入する。
「あ、あれはなんだ? とりあげろ!」
汰磨羈はかっと目を見開き、迫る敵をはね飛ばす。
ひとたび跳ねれば、縦横無尽に動き回る汰磨羈を止める手立てなどあろうはずはない。
●彼のすべてを理解することは不可能だ
(ヴォルペおじさん……見てますか……)
アンガーコールで煽り抜いた冥たちがなにか……世界の破滅だとか。教義とか、そういうことをごちゃごちゃと言っているが、そんなものはどうだっていいじゃあないかと誠司は思う。
少なくともこの目の前のやつらよりは、退屈させることはない自信はある。
(こうして馬鹿騒ぎしているうちにひょっこりと顔を現したりなんてしないもんかね?)
なんて、と思いながらもやはりさみしくはある。
「せーの、攻撃、来るよっと!」
誠司は声を上げ、思い切り砲身を構えて、敵陣に銃弾の雨あられを降らせる。
「馬鹿なことを。この者らに破壊を与えてやれ! それが慈悲というものだ!」
「破壊を与えよ、ねぇ。
じゃあ与えてやるからそこ動くんじゃねぇよ」
「なんだと……」
「お前らまさか……自分たちが”与えられる”側にならないとか、思ってねぇよな?」
狂信者たちは、まあ、弱くはないだろうさ。
だが、純正肉腫と比べれば、……攻撃を追うことはたやすい。
「馬鹿な。馬鹿な……! こんなめちゃくちゃな連中に、今、負けているというのか。それが神の意志だというのか。……この世界は、間違っている……っ!」
「世界が? そりゃ間違ってるでしょ」
あっけからんと、誠司はそう言ってのける。
「鬼人族が、破滅を望む神がはびこってる。だから抗うんだよ。
間違ってると思うから、生きたいと思うから、神にすら抗うんだよ」
ねえ、そうでしょう、ヴォルペおじさん。
「愚かなり、愚かなり! 神は破滅を望んでいる!」
狂った連中はどこまでも救いがたい。
「巫女を相手によくまあそんな事を……」
華蓮は困ったようにため息をつき、はっきりと告げる。
「神の望みなんてね……神様本人以外が言って良いものではないのだわ!」
「……世界のありように数字のような正解などないし、差別する理由を仕立て上げて自分たちの自尊心を満足させたいだけだろう」
おびただしい破壊と暴力。
ポテトのミリアドハーモニクスは、それを端から覆い尽くしていく。仲間が傷つくたび、そっと背中に手を添えるように、優しい風が揺れる。
不浄の術を、華蓮は真正面からはねのけていった。
「大丈夫よ。ええ。何度でも。何度だって。私は、立つのだわ……!」
大勢を相手にしながら、決して屈しない神聖なもの。
それは気高く、まっすぐなものだ。
クェーサーアナライズが、仲間たちへと力を与えた。
破壊なんてものは、お断りだ。
「はっ」
冥の一人が幻介を狙って、振り抜いた刀。それは確かに死角外から放たれた一撃であり、一太刀は、返り血と手応えを返すはずだった。
鬼が、哭いた。
冥は自らが足蹴にし、踏み抜いていた鬼の姿を脳裏に描く。何が起こったか、自分が倒れる理由を知ることもなく。どしゃりとその場に崩れ落ちた。
裏咲々宮一刀流壱之型。
(しかと、見えたで御座る)
そのときだけまるでゆっくりと、時間が溜まった。
刹那の一撃。
その技巧と、戦闘の経験がもたらした、時空のゆがみともいえるような緩急。
幻介の剣魔双撃は、初見では対処不能な軌道を描き、目の前の一体を確実に仕留めた。
一歩間違えれば致命傷となりかねない間合いまで踏み込んで、幻介はさばいてみせる。
……真の狙いは雑魚にはあらず。
複製肉腫を取り込んでいる冥だ。
「その名を騙り、わかったような口をききおってっ! 冒涜だ……っ!」
「へぇ、”わかったような”?」
フルールの炎は、いっそう紅く燃え上がった。
美しい双眸が、冷たく狂信者を見下ろしている。
「私達は彼をちゃんと理解していない。あなた達赤狐教団の人達もね」
「なん、だと……」
他者を完璧に理解しているだなんて、そんなことは軽々しく言えるはずもない。ヴォルペはそんなちっぽけなものじゃない。
「もし、理解できる人がいたのだとすれば、ヴォルペおにーさんに近しい人ではないかしら? ええ、ええ。勿論盲目的に彼を求めた『だけ』の八咫姫ではなく」
「……」
何か言おうとした冥は、言葉も出ない。
呼吸がもたない。
思い切りくすぶり、すぐに炭と化す。
「くだらない、くだらない。勝手に他人を理解した気になって、自分の理想を押し付けて。彼がいないからって好き勝手しすぎじゃない?」
修也は彼らの問答には答えず、その思考とは距離をとった。
(彼らが口にしている問いも、彼らの中ではもう答えが出ててそれが正しいと思っているんだろう)
狂信者の戯れ言を、正面から受け止める必要はない。
語らい、わかり合おうとしない相手に向ける言葉はない。
修也は魔砲に魔力を込める。黒蓮之祓がこの修羅の中でも浄潔の花を咲かせ、相手の繰り出した術と交錯し、ついには打ち破った。
「――」
「あぁ、そう……何を言っても己の解釈を曲げないつもり。そう、そうね……随分と烏滸がましいじゃない。人とはこんなにも愚かになれるのね」
今のフルールは、まるで炎そのものだ。
滅びろとうわごとのように繰り返す、空っぽの器を前に。
「……ふふ、ならあなた達こそ滅んでくれる? 神が滅びを選んだのに、のうのうと生きている。神の意志に逆らっているじゃない。初めから滅ぶつもりのない私達と違って、あなた達は受け入れているのでしょう?
フィニクス、ジャバウォック、行きましょう。今宵は黒の空が赤く染まりますよ。楽しみですね♪」
フルールが手を差し伸べれば、真紅の大精霊【フィニクス】は一鳴きし、それだけで辺り一帯を火の海に変えた。
紅蓮の大精霊【ジャバウォック】は、静かに控えて主人を守り、そばによる者をすべて燃やす。
炎はいっそう燃えさかる。
(ああ。ただその答えだけを抱えて彼らの信じる神の元へと行けばいい)
うねり、のたうつ雷光があたりを一閃。
ディープインサイト。無尽蔵に暴れ回るかに見えた稲妻は確かな意思をともない、急所をしとめている。
嗚呼、そうとも。武器商人は、”一人も逃がすつもりはない”。
「世界が間違っている?
差別はしかるべき?
破滅を受け入れろ?
度し難い、答えるべくもない問いかけです」
正純のプラチナム・インベルタが敵を穿ち、天井に大きく穴を開け、わずかに星空を……そこにあるはずの星空を感じさせる。
「自分たちの中に秘めているだけなら良かった。しかし貴方達はそれをあろう事か、祀り上げた方々に押し付け、挙句にはそれらが滅びを望んでいるなどと世迷言を」
正純は導きのまま、狙いを定めて一射を放つ。
「神は何も望まれない。
神は只、人の在り方を見守るだけ。
己らの勝手な望みを、神の口を借りて謀るなど断じて許されません」
「――――!」
「さて」
術を唱える冥の一体を、汰磨羈が花劉圏・斬撃爬浪『鶏頭烈葩』が塗りつぶす。厄狩闘流新派『花劉圏』が一つ。
当たり前のように流れる型で、連続で放たれる幾多もの剣筋。
それを一人は避け、もう二人は愚かにも真正面から受け止めた。
だが、それは意味をなさない。
「人の意志を捻じ曲げ、下らぬ偶像を掲げ、人を滅びに導くか。最早、酌量の余地は無し。厄狩の名に於いて、貴様等という厄を狩り尽くす!」
炸裂した結界が、赤い鶏頭の花を咲かせる。霊障。受けようとも避けようとも無事では済まない。存在をかき消されるようなノイズが走り、数体がきれいな時間差で折り重なって倒れる。
「愚か者めが!」
がむしゃらに放たれた一撃を、修也は素早く正確な身体捌きで受け止める。武道の心得はこんな時でも咄嗟に動いて身を守ってくれる。
「今……だ!」
戦場にわずかに出来た隙間に放たれた魔砲は、道を切り開いていった。
仲間たちのそばを、ふわりと清涼な風がよぎる。
ミリアドハーモニクス。ポテトはこの地の空気と調和し、語らい、言葉を交わす。廃寺となった寺ではあるが、まだ、精霊たちはいる。
燃え尽きるのはすべて敵。
力を貸してほしいと頼めば、古木はそれに答える。
立っている人影は、すべてイレギュラーズだ。
「みんなが怒る気持ちは、わかる。だから、手助けする」
ソリッド・シナジーは仲間の動きをより鋭いものへと研ぎ澄ませていく。だから、存分に……。たとえここで勝ったとしても、誰か一人でも欠けては意味がないのだ。
「負けるわけにはいかないんだ」
「そう、ね、みんなで帰りましょう」
攻撃を恐れることなく、華蓮はその場にとどまる。
逃げる代わりに、くるりとステップを踏んで。自分が耐えれば耐えるほど、周囲は楽になるはずだ。
だから、痛みの中でも微笑んで。
そこをどくつもりはない。
「ねぇ。差別されてしかるべき……なんて、1000年は古い考えなのだわ」
「おのれ、部外者が、わかりきったようなことを……!」
それはそのまま返してやりたい言葉だ。
「絆は不確かなんかじゃない。そう見えるのは、ただあなたの心が不確かだからなのだわよ!」「ああ。私は……私たちは、確かな絆を知っている。
優しくて、温かくて、何よりも愛しい絆。
だからお前達の空っぽのモノガタリは響かない」
彼女たちの癒やしは、折り重なって破壊を拒否する。
「中身のない偽りだらけの信仰は今日ここで終わりだ! 神の言葉なんて、お前達の都合の良いように言っているだけだ」
●追い詰められた窮鼠たち
「……」
ずきりと、正純の痛みは増した。
戦いによる傷のためではない。
今、星は遠い。だからこそ、ともにあると主張するように肌を刺すように星は輝くのだ。
「であればこそ、我が弓技は冴え渡る」
正純の冴え渡るプラチナムインベルタが、きらきらと輝く天球を模した。こんどはわずかに空から切れ間が覗き、鋼の雨が流星のように降った。
放たれた矢は正確に敵を打ち倒していった。
「顔だけは良かったアイツはね、崇めちゃいけないんだよ? わかる? わからない? なら死ね!」
秋奈は一心に刀を振るう。
受ける攻撃の量も、軋む身体も今、問題じゃない。
きちんと動けている。
一つ一つなら目をつむってもかわせる。かわせなくても、威力は最大限殺せている。
ただ、複製肉種をもった敵までは、……今は届かない。いらだち紛れに、リーガルブレイドでもう一体を同じ目に遭わせてやった。
「ほんとに数だけ多いよねー、邪魔だな?」
「そこお! みつけた!」
肉腫におかされた冥の攻撃をとらえ、誠司の御國式大筒がうなりをあげる。
「間違っているのは貴様らのはずだ!」
「成る程。世界は間違いだらけ、それを否定する気は無いが……それと同じ程に正しい事もあろう?」
幻介の一刀は、揺るぎない刀。
「その考えと行動が『けがれ』を生み出す原因になっている事にすら気付かない愚者が、何をほざくか……ちゃんちゃらおかしい、腹がよじれて死にそうで御座るなぁ?」
一刀。跳ねるように斬り上げて3方からの一撃を、かわす。
(馬鹿な……)
決して無謀な突進ではない。危ない場面でも、好機であるとみれば恐れずに斬り込む、それだけだ。
とれる行動が多いだけに、手札は多い。それを読み切ることなど無理だ。変幻自在、自由自在に回り込まれているのだ。
その剣は、――死地にあるほどに研ぎ澄まされていく。
「破滅を受け入れるなんて、ただの逃げで御座る……そんな弱者の戯言が、果たしてヴォルペ殿の伝えたかった事だと、本気で言っているので御座るか? 馬鹿なので御座るか?」
幻介は幾多もの博打をしかけて、そのすべてをつかみ取っていた。
逃げるときはためらいなく逃げる。けれどそれは次の一手を打つためだ。こやつらのこれは……単なる思考停止。
話にならない。
「きっさま……!」
怒りにまかせた刀筋は、見え透いていて勝負にすらならない。
「そうやって、神が~八咫姫が~とほざいて逃げ口上を宣っているだけなのは、さぞかし楽なので御座ろうなぁ……正直、そのずぶとい性根が羨ましいで御座るよ、真似したい等とは小指の爪の先の垢程も思わぬで御座るが」
鼻で笑い、踏み越える。ひらりと舞うように離脱し、また現れる。
「――! ――!!」
「来るぞっ!」
汰磨羈が警告の声を上げた。
「!」
妖を刻んでいたか。
いち早く状況に気を配り、察した修也の一撃が思い切り呪法を邪魔する。一瞬の隙を作れば汰磨羈にはそれで十分。
「これが儀式か。だが、及ばん」
太極律道・劉境楔は、陰と陽の境目を打ち砕き、不完全な呪術を完成させることはない。
「な、ぜ……」
「この期に及んで、”なぜ”か? 答える価値が微塵も無い戯言を吐きかけるな」
花劉圏・斬撃衝破『彼岸赫葬』。
汰磨羈は斬撃を以て答えとする。殺気を込め、赫い霊気をまとい続ける。
「破滅を受け入れろと。そのような呪詛を撒き散らし続けるというのならば――まずは、貴様等が悉く滅びろ」
「貴様らも、道連れにしてやる!」
「それは……絶対に聞けない頼みだ」
立っている敵の数はもはや十にも満たない。最後の悪あがきといったところか。敵の攻撃は苛烈になっていたが、ポテトのミリアドハーモニクスが響き渡っていた。
「うん、やっぱり燃える音の方がよい音よね? よくわからないノイズよりもすごくきれいな音」
紅蓮喰殱。狙いは焼け残った一体。
炎に包まれ、メラメラと燃え上がっていく。
きらりと、その奥に輝いたのは。
天星弓・星火燎原。
「その残滓、未だ残っていましたか。3度目こそ、完全に撃ち祓いましょう」
正純が放つ一射。天津甕星は初めこそまっすぐであったが、まるで引力を得て、吸い込まれるような軌道を描き、肉種の一体にとどめを刺した。
もう一体。
「承知。秋奈殿、例の手で往く――頼むぞ!」
「りょーかい」
言うやいなや、秋奈は刀に紫の輝きを帯びさせ周囲を薙ぎ払う。本来ならば、肉体を斬らずただ吹き飛ばす不殺の一閃。
それに、幻介は迷わずに飛び乗った。
「角度よーし! やっちまえー!」
八艘跳び。
追いすがる冥たちはもはや障害物にすらならない。
銃弾をかいくぐりながら、尋常ならざる身体のバネで、刀をかざしてかるがると敵陣へ翔んだ。
幻介の構えは、飛燕。
虚空を蹴って頭上から強襲する制空技。すなわち、今の状況にふさわしい。景気よくどっかんと大筒が炸裂し、後押しをした。邪魔者は全て正純の矢がなぎ払っている。
侍は空を跳ぶ。
修也のライフアクセラレーションが、傷口を塞いでいく。
飛び込んでいくのは刃の群れ。
死地?
かまわない。
「それこそが、拙者の生きる場所であろうよ!」
剣圧が、敵を真っ二つに両断した。
(大丈夫、なのだわ)
華蓮は傷つき、なおも立っている。
目を背けることなどはない。ただひらりと流れに沿って。
イクリプスは、これ以上の戯れ言を拒否するに足りる。複製肉種は、反撃すら許されずに思い切り塵と化した。
「……十時方向、残党ですね」
「なっ……」
修也のフルメタルボムが、敵にまとめて炸裂する。
武器商人は嗤う。その移動は、距離を離すためではなく、呼び込んだのだとわかった。
魔光閃熱波の魔術がすべてを平らにする。
「臓物ブチ撒けて無様に死ね」
「嗚呼……ヴォルペ様、貴方の元へ参ります!!」
「はあ? 逃げただけだから! パブリックエネミーだぞっ!」
秋奈は思い切り剣を振る。
”逃げた”、か。
武器商人は考える。
論理は明快。手がかりは驚くほどに少ないが、わずかな情報から演繹し。
なによりも。
(あの男が敵側に助けられたなら重傷だろうがへらへら立っているだろうよ)
そう、確信があった。
ならば刃を向ける相手は何者なのか。
あのとき、ヴォルペを攫ったものに関して、完全な確信は不可能だ。けれど執念のごとく情報を集め、思考し、欠片はつかんだ。
強い力を持つ何か。エルメリアではなく、ザントマンでもない。……。
刃を向けるは、瑞神。
そしてヴォルペはここには、いない、と。
故に。
……。
「ヴォルっ」
取るに足らない者が、余計なことを口にする前に、"遠き幻野の物語"が。
純粋な力の顕現が、身勝手なモノガタリを塗りつぶしていった。
「が、が……」
狂信者が言葉を発することは、もうない。
「死んでないから! アイツの死体は確認したかい!? してないっしょ?」
秋奈はふん、と胸を張る。
「アイツ勝ち逃げしやがったし私ちゃん、おこなんだぞっ。
私はまだ『見つけて』いないからっ、だから、絶対、アイツを赦さない!」
(私は、そうであってほしいと……ええ、思っているわ)
●残る狐火
修也のもとに、梟が帰ってきた。
ここから逃げ出した者はいないと断言できる。
「結局来ないし! 勝手言わせておいてさあ、もう」
秋奈は頬を膨らませる。
脱出を終えると、廃寺は崩れ落ちていった。かろうじて、ポテトの保護結界でもっていたようなものだ。
彼らの活動も、ゆがんだ教義も……誰も知る必要はない。
「外はやはり、星が近いですね」
「あー、小鳥が此処に居なくてよかった」
「うむ、暴れたで御座るな」
踏み込んではならないところに踏み込んだ者の報いとしては、まあ、安すぎるくらいか。
「……ねえ」
理解なんて、できるはずはない。フルールは不意に手を止めて建物を振り返る。最後の明かりが、倒壊する柱に紛れてくすぶって消えた。
そうすればふと、辺りは暗くなる。
あとは月と星明かりのみ。
「ふいー」
一仕事を終えた顔で、誠司は額の汗を拭った。
(……まあでも、あんな連中がいて、暴れる神様がいて。この世界はまだ持ってる。きっとおじさんのおかげだよね。誰がおじさんかな? ってさあ、ここで言ってもらえたらなあ……)
彼の本当のモノガタリは、語られることはなく。
(おやすみなさい……お友達……と呼ぶには敵だし縁が短すぎるかもしれないけど……同志……なのかしらね。貴女の事は、忘れないのだわ……)
華蓮は小さく、八咫姫とヴォルペのために祈りを捧げる。
ヴォルペを崇める形をとって、自分勝手にくすぶった炎は誰かを焼く前に消し止められた。
「あいつら適当なこと言って。死んだとかさ。もー、おこだよおこ……ね」
「……」
秋奈の語尾は力のなくしぼむ。ぶんぶんと頭を振る。
「きっとさあ、待った? って出てくるよね? ね? おにーさんがいなくてさみしかった? とか言って」
「そうであったら、いいな」
汰磨羈は心から答えた。
残る火は、彼らの心にあるのだろう。
「ほんとうに、そうだったら……ううん、きっと……」
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
廃寺での狂信者の討伐依頼、お疲れ様でした!
これにてすっぱりと、彼らの馬鹿げた思想は広まることがないことでしょう。
またご縁がありましたらまた一緒に冒険しましょうね。
GMコメント
私はただ……ただ……、思いっきり……顔の良い男の活躍が……きらめきが見たくて……ただ……。
祀ります。
阻止してください。
●目標
『赤狐教団』の討伐
八咫姫の手駒、冥(+複製肉腫)の残党によって集められた有象無象の集まりです。
彼らは今の『黄泉津瑞神』の狂気を肯定しています。
また、八咫姫、及びヴォルペの死を神聖視し、過度に美化しようとしています。
主君を失い、追い詰められた冥らの目的は、八咫姫、そして夫(と勝手に主張している)ヴォルペを祭り上げ、崇め、事実を曲げ「神聖化」することです。
彼らはもはや『狂信者』です。
●登場
赤狐教団×30
10ほど『冥』の部隊がおります。中でも選ばれた3名は、カラスの「複製肉腫」を授けられ、強化されています。
八咫姫・ヴォルペ卿の強烈な信者です。……いえ、勝手に感化され、勝手に盛り上がっているというのが正しいでしょう。そうしてくれと頼むはずがありません。
●状況
彼らは、夜半に廃寺院で呪法を執り行っています。
意味不明なことをいいながら、妖の一部の肉を刻んでいます。狂気に当てられています。
『冥』のみが強力です。その他はそれなりのごろつきです。
『黄泉津瑞神』の狂気を肯定しています。
「誰にでも慈悲深く、分け隔てなく優しい理想の」世界を標榜していますが、その中に鬼人種は含まれていません。
●彼らのモノガタリ
「乞われるままに、愛を与えよ。乞われるままに、破滅を与えよ」
彼らは自分たちこそが正しいと確信しています。
以下のような問いかけ……ですらない主張や問いかけを投げかけます。
・世界が間違っていると思ったことはないか?
・『けがれ』は避けようがない。鬼人種は差別されてしかるべきである。
・不確かな絆を求めるよりも、目の前の明らかな破滅を受け入れる方が良い。
・神が破滅を望んでいるなら、それを受け入れるのが道理ではないか?
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
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