PandoraPartyProject

シナリオ詳細

和心を侵す闇

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●和心を侵す闇
 R.O.Oの中で、純和風な世界『神咒曙光』。
 ここは最近のアップデートによる『遙かな光と竜の脅威!』にて追加実装された新規マップではあるが……当然そこにもログインさせられてしまう人達は居るわけで。
『……うわぁー! ほ、本当に和風な世界だー!!』
 と、目をキラキラ光らせて、とっても嬉しそうなのは……一人の若い少女。
 ただ彼女自身、和装の袴に大太刀を持ち、所謂武士の様な姿をしており……先ほどの言葉に、とてつもなく違和感を感じる。
 そんな違和感はさておきとして、彼女は彼女として、こんな世界に行ってみたい……そんな事を想っていた。
 そして、その理想が具現化したかのような世界が目の前に広がり、そして……人々も生きている様に見える。
 こんなの、R,O,Oだからこそ出来る事……何だか最近、行方不明になっている友達が居るとか聞いたけど、その恐怖より、興味の方が勝り、その結果が……今、この世界に立っている。
 そんな、侍な彼女が街や村を歩き、話を楽しみ、食べ物を楽しみ……時間が経つのは早いモノで、すっかり深夜。
 すると……。
『……グゥゥゥ……』
 人も余り居ない村の深夜の刻……彼女の耳に聞こえてきたのは、何かの唸り声。
『え? ……何だか、誰か呻いた??』
 きょろきょろと周りを見渡す彼女。
 ……村の人は誰も居ない……いや、人気が無い様な……?
『……ウウゥゥ……アアアア……!!』
 そして、次の瞬間。
 彼女の周りに、漆黒の闇を纏ったヒトガタの何か、が一斉に、周囲から襲いかかる。
 そんなヒトガタに、彼女は。
『キ……キャアアアアア!!』
 と悲鳴を上げるのであった。


「あ……皆さん。ちょっと……お話を聞いて貰っても、宜しいでしょうか?」
 と、ギルド・ローレットでルリアが、協力者を募る。
 それに振り返ってくれた君達……ありがとうございます、ありがとうございます……と何度も頭を下げながら。
「最近、R.O.Oの世界で『あっぷでーと』、というのがあった様ですね……? そこにどうやら、また……希望が浜の学生さんが、迷い込んでしまっている様なのです……」
 ルリアの言う通り、未だに収まらない希望が浜地域の行方不明事件。
 正直、いつ終わりが訪れるかも分からない状況なのだが……でも根本的原因が何処にあるのかも分かって居ないので、対処する手段が無いのも事実。
 そして新しい世界がアップデートで追加されれば、そこにログインしてしまうのも……当然予測される事だろう。
「新しい世界は、純和風な世界だ……と聞いています。恐らくそんな和風な世界で、目をキラキラとさせていたら……不意に事件に巻き込まれてしまった、というのも充分にあり得る話でしょう」
「正直な所……余り情報が無い状態で皆様にお願いするのは申し訳ないのですが……罪も無い希望が浜の学生さん達が苦しむ目に遭うのは可哀想だと思うのです……どうにかして、彼女を救出してきて頂けると、嬉しいです……」
 と、最後にルリアは、もう一度ぺこり、と頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回はVer.2.0で追加された新ネクスト『神咒曙光』に迷い込んだ希望が浜の学生さんを救出してきて欲しい、という依頼になります。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
  特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●成功条件
 捉えられた希望が浜の学生さん『栞』を助ける事です。
 助ける為には、彼女の周りに突如現れ、襲撃してくる『魔』なる存在を倒す他、救出手段はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 今回は神咒曙光の少し田舎の村、が舞台となります。
 幸いな事にログイン出来るサクラメントが村の片隅にある為、ログインすれば程なく彼女の居る所に到着出来ます。
 ただ、周囲は真っ暗……更に彼女が襲撃される未来は変えられない為、皆様は彼女を身を呈してでも守らなければなりません。
 『魔』の狂気に支配されてしまった敵陣は、姿形は村人ですが狂気に苛まれており、彼らを救うことは出来ません。

●NPC情報
 『栞』
   希望が浜の学生で、テストプレイヤーとしてROOにログインしています。
   姿形は正しく女侍ですので、すぐに分かるでしょう。
   しかし内々は戦闘が好き、なんて訳もなく、食べたり喋ったりする事が大好きな、極々普通の女子高生ですし、
   無防備に襲撃されれば抵抗出来ず、ものの数秒で殺されてしまうでしょう。

●討伐目標
・『魔』に侵され、狂気に包まれた村人達 x 50人
  恐らくこの村の住人『であっただろう』者達です。
  彼らは原因不明の、狂気を伝搬させる『魔』に侵されてしまい、正気を失ってしまいました。
  その為、彼らに説得やら、言葉で呼びかけても特段の反応は返しません。
  又、武器は斧、鍬など農耕具ですが……『魔』の力によって筋力がブーストされており、攻撃力が高くなっています。
  ただ体力はさほど強化されていませんので、一撃必殺、力尽くで押しきろう……という方針で、常に攻撃してきます。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

※このシナリオにおいては、サクラメントがある程度近くに存在しており、復帰には4ターン程で復帰可能です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 和心を侵す闇完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年07月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフルハンマ(p3x000319)
冷たき地獄の果てを行くもの
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
吹雪(p3x004727)
氷神
陽炎(p3x007949)
影絵舞台
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
更紗(p3x008628)
くのいち見習い
アイシス(p3x008820)
アイス・ローズ
コーダ(p3x009240)
狐の尾

リプレイ

●光の影
 純和風な世界、『神咒曙光』。
 最近のR.O.Oのアップデートにより追加されたこの世界……仮想世界に展開された、遙か昔の世界。
 そんな新しい世界にログインしたイレギュラーズ達に求められたのは……この世界で漆黒の闇を纏いしヒトガタの何かが、再現性東京から迷い込んでしまった、希望ヶ浜学園の生徒を救出してきて欲しい、というもの。
「……『魔』とは果たして何なのか。用意されたシナリオなのか、最近流行り? のバグなのか……」
 と、『狐の尾』コーダ(p3x009240)が空を仰ぐと、それに頷くのは『氷華のアイドル』アイシス(p3x008820)。
「ええ。『魔』とは一体何でしょうか……こちらで言うところの呼び声か、それとも複製肉腫みたいな感じでしょうか……?」
 勿論、新たにログイン出来るようになった世界故に、まだまだ真実やら何やらも分かった所は殆どナイ。
 分かって居るのは、ここが純和風な世界であり、棲まうNPC達も、和装を身につけて居るという事、位。
 そんな新たな世界に『不明なエラーを検出しました』縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)は。
(『さぁて、『神咒曙光』には初めて来るねぇ。どんあ状態になっているのか楽しみだねぇ……ヒヒヒ……!』
 ニヤリと笑みを浮かべる舌げ繧だが、外殻はぶつぶつ言っている様にしか見えない。
 ともあれ、そんな目新しい世界に目を煌めかせていた『氷神』吹雪(p3x004727)と『くのいち見習い』更紗(p3x008628)が。
「うわぁ、これがR.O.Oのカムイグラ、神咒曙光なんだね! ここはどんな風になってるのかなぁ?」
「ええ、これがR.O.Oの世界でありますか。ほぁぁ……電脳世界、作り物の世界と聞いておりましたが、いやいや……正しく目に映るのは、生きた世界ではありませぬか! なんとも摩訶不思議でありますな……!」
 そんな吹雪と更紗の言葉に『No.01』陽炎(p3x007949)も。
「ええ。神咒曙光が実装され、某も楽しみにしておりましたが、よもやこの様なことになっていようとは……誠に残念でございますね」
 と溜息を吐く。
 そして『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)も。
「そうだね……『魔』の者達を救う事はもう出来ない……倒して仕舞うしかないのだね。呼び声を受けての反転や狂気のようなものなのかな? ……狂気を伝搬させる『魔』というのがそれっぽいよね。場所が場所だけに、さっきもあったけど肉腫が元ネタの可能性もあるけど」
 と言うと、アイシスとコーダが。
「うーん……何か違う気もしますが、私は余りむずかしい事は判りませんので、そういう頭脳労働は専門家に任せます。私は栞さんの救出に全力を出しましょう」
「ああ。どちらにせよ、いつも通り誰かを守る仕事だ。何か情報を探すのは、このクエストをクリアしてからだな」
『……フフ』
 そんなコーダの言葉に、そっと背後に近づいて不敵な笑みを浮かべる舌げ繧。
『ピェッ……!?』
 素っ頓狂な声を上げるコーダに、クククと笑い続ける舌げ繧……。
 ともあれ、今回の依頼は『魔』に殺されようとしている、極々普通の、食べ歩きが好きな女子高生『栞』を助ける事が目的。
「何にしても、彼女が戦う力を持っていないというのなら、自分達で守らなければ! 絶対に守りきるぞ!」
 『妖精粒子』シフルハンマ(p3x000319)が拳を振り上げ、仲間達に発破を掛けると、陽炎、吹雪も。
「そうだな……村人達はもはや救えぬというのならば、蹴散らし栞様を我等でお守りするまで、戦闘アンドロイドNo.01、陽炎……起動致します」
「……はっ! そ、そうだったね……こほん、ゲーム内とは言え、危険に晒されている人を放ってはおけないわね。今この時にも危険が迫っているかもしれないもの。早く助け出してあげましょう!」
 それぞれが気付くと共に気合いを入れて……その手に松明や懐中電灯等の灯りをそして『魔』が出没すると言う村へと急ぐのであった。

●狂気の影
 そしてイレギュラーズ達は、少女が居るであろう村、へと辿り着く。
 暗闇に包まれた深夜の刻、というのもあだおるが……とても薄気味悪く、おどろおどろしい気配が周囲に漂っている。
 そんな人気の無い村に辿り着いたイレギュラーズ達は、早速。
「さて、と……先ずは迷い込んでしまった栞さんを見つけ出さないとね」
 と吹雪は言うと共に、その手に小さい鳥の様な姿をした氷像を作る。
 それを空に放ち……空から広く監視の目を光らせていく。
 ……勿論暗闇に包まれているので、視認するのは難しいだろう……だから、この氷像に見晴らせるのは、人の姿をしたものが、特に集まっている場所が無いかどうか。
 それを補助する様に、更にシフルハンマも飛行の力を活用し、空から目を光らせる。
 そうして空から調査をしてくれる二人の情報を元に……怪しそうな場所を発見次第、即座に全員で移動。
「あの辺りかな……? ん?」
 暗がりでもぼんやりと見える視界に映り込んだのは……漆黒の闇を纏った【村人】達に、徒党を組んで周囲を囲まれている……女武人の姿。
『な、何なんですか、貴方達はっ! ち、近づかないで下さいっ!!』
 必死に言い放ち、周りの村人達が近づかないよう叫ぶ。
 ……そんな彼女の姿を視認すると、早速イズルがサイバーカンテラの灯を全開にし、更にアイシスもスポットライトを浴びて、目立つ。
 暗闇に、突然広がる光……眩しそうにした少女と、その光に一瞬ではあるが、怯んだ様な仕草を取る闇の村人達。
 そう、村人達が怯んだ隙にイレギュラーズ達は一斉に彼女の下へと駆けつける。
『え!? あ、な、何ですか貴方達っ!?』
 突然近づいてきた見知らぬ人、というのに当然警戒する彼女に。
「もう大丈夫よ、あとは私達が何とかするから安心して頂戴」
 吹雪が早速声を掛けながら、彼女を匿うよう、敵との間に立ち塞がる。
 更に更紗やコーダらも、彼女の三方を完全に護る様対峙し、取りあえず彼女を護る体勢を作り上げる。
 そして強い光に怯んでいた村人達が、段々と視界を取り戻してくると。
『……ウゥゥ……』
 呻き声を上げて、イレギュラーズ達へと襲いかかる村人……いや、『魔』の者達。
 流石に50人と数が多い敵陣は、一切油断出来るような状態ではない。
 だが……そんな敵に向けて、舌げ繧は奇っ怪な音を立てながら敵に向けて前進し、範囲攻撃を与えていく。
 更に一方後の陽炎が、一番前に近づいてきていた敵へ影の鎖を巻き付け高速……更に上空からシフルハンマが、魔法の閃光を含む爆弾矢を掃射していく。
 そうしたイレギュラーズ達の行動に、最初は警戒していた彼女……いや、栞も。
『え、えっと……ほ、本当に、助けてくれるんですか……?』
 と声を上げる。
 その言葉に頷きつつ、アイシスが。
「ええ……ここだとどこから敵が襲ってくるかも分かりません。建物を背に出来る所まで、移動しましょう」
『……は、はい……わかりました……!』
 その言葉を否定する事無く、素直に頷いて誘導されていく栞。
 勿論その間、いつ襲撃されるかも分からないので、常に警戒は忘れずに、建物を背にして半扇の陣形へとシフトを開始。
 その動きを妨害するべく、鍬やら鎌やらを持った村人達が、左から右から……色んな方向から攻撃。
 しかしそんな敵の攻撃をコーダは。
「さぁ、俺と遊ぼうか!」
 と満面の笑みを浮かべながら、それら攻撃をその身で受け止めていく。
 流石に数刻掛かってはしまったが……どうにか体勢をシフト出来たイレギュラーズと栞。
「これで良し、だな……さぁ、対抗開始だ!」
 とイズルが仲間達に呼びかけると陽炎と更紗が。
「ええ、ええ……この様に大量の的に狙われるというシチュエーションは王道でございますよね。某の番組でも何度かございましたよ。最もそれは、追う側ではございましたが」
「まぁ、ここは作られし世界。眼前の村人も、作られた存在。ならば、躊躇う事は無いのであります!」
 と一言ずつ掛け合う。
 そして陽炎は再び、影から生み出された鎖を、村人の一団に投げ放ち、纏めて足止め。
 更に更紗も『恵璽御魂刀静神楽』を大きく振りかざして、敵陣に纏めて薙ぎ払いの一閃を放ち、討ち倒していく。
 二人の攻撃に、魔の村人達は苦悶の叫び声を上げる。
 そんな彼らの苦しみの声は……傷付けた者達への恨み辛み以上に、魔に侵され、苛まれ続けた長年の苦しみが篭もっているようにも感じる。
 敵の呻きに対し更紗は。
「更紗の言葉が通じるならば『退け』と言うところでありますが……口惜しや」
 と、悲しげに呟く。
 でも、その言葉が通じることもなく……次々と一閃を振り落していく。
 そんな敵の無差別、かつ……苦しみ抜いた上の攻撃に。
(「これはこれは……魔種の呼び声だったらかなりの規模だね。これがネクストにもいるのかねぇ……魔種……」)
 と舌げ繧が内心零す。
 ただ……実際に口にするは。
「元凶、いたら、ヤね」
 と、カタコトな言葉のみ。
 そんな素性の知れない告げ雲は、怖がらせて仕舞いかねないという事で、栞とは常に距離を取る様に前に出て、攻撃に集中。
 そして、その一歩後ろから吹雪が敵の立ち場所を指し示して、そこに雪、氷を吹きすさばせて、敵を氷り漬けに。
 更にアイシスが魔力を込めた声を前方範囲に放つ事で、敵を更に巻き込んでいき、更にシフルハンマも再度、魔法の閃光を伴った爆弾矢を一斉掃射し、そしてコーダは最後に敵の怒りを買うように立ち回り、その攻撃を引きつけていく。
 そして、共に攻撃が一巡し、次の刻。
 敵は一切躊躇することなく……更には知性的な行動を取ることもなく、ただただ攻撃を繰返し、一人でもイレギュラーズを仕留めようと蠢き廻る。
 ……そんな敵の狂気だけに包まれた動きに、ふとコーダは。
「これが……狂気の伝染が何者かの故意であるならば、いつかそこまで辿り着いて叩く事になりそうだな」
 とさりげなく不安を零す。
 ……現時点でこれら『魔』の者達が、どうして現れたのかは知られていない。
 『魔』を広める物がいるならば、それを倒さない限りは……第二第三の事件が起こることは間違い無いだろう。
「そうでございますね。しかし……今は目の前の敵を殲滅するのが先決です。下手に戦いを長引かせれば、栞様が不安になるでしょう」
「そうだな……兎に角俺が盾になるから、みんな、できるだけ早めに倒してくれよ」
「ええ、善処致します」
 そんなコーダと陽炎の会話と共に、イレギュラーズ達は一層気合いを入れる。
 そしてシフルハンマが。
「君達が苦しんでいるのは理解する……でも、彼女を被害に逢わせる訳にはいかないんだ。だから……ここから先は絶対に通さない! この妖精の盾は、絶対に砕けないよ!!」
 と『魔』の村人達に、力強く宣言。
 一層熾烈になる敵の攻撃を、イズルとシフルハンマの二人が回復に集中する事で、体力の減少を出来る限り抑えるようにする。
 そして敢て敵の攻撃は、コーダが常に怒りを振りまき、一身に攻撃を受け止める。
 更に残るイレギュラーズ達が、敵の纏まり毎に攻撃を放つ事で、確実に仕留めていく。
 50人と大集団であった『魔』の一団は、どうにか後3人までに数が減る。
 ……圧倒的な数の差が出来た物の、敵の動きは一切変わらない。
「まるで、行動がインプットされている様だな……ただ単に逃げるな、という指示をされているだけかもしれないが」
「そうですね……元の平穏な生活を取り戻す事も出来ない様ですし……そうなれば、もう一人残らず倒すしかありませんね」
「そうだね……」
 万が一の為にも、不殺の力を持った手段は持ってきて居たが……それはもう諦めるしか無いだろう。
「では、後三人……みなさん、油断は禁物よ?」
「ええ……分かりました……!」
 吹雪に頷くアイシス。
 彼らを巻き込み、痺れる声で更に敵を追い詰めていき、更に吹雪の氷雪が覆い隠していく。
 ……そんなイレギュラーズ達の切れ目ない猛襲の前に、全ての闇は振り払われていくのであった。

●偽りの力は影に
 そしてイレギュラーズ達は、どうにか……『魔』達を倒す。
「……やはり、意識は……取り戻さないか……」
 事切れた『魔』の村人達。
 呼吸を確認するも……意識を取り戻すような気配はない。
 完全に力を失い、何処か傀儡人形のような……そんな感じさえする。
「サテ、彼らへ狂気を伝搬させた『魔』は、もうこの辺りから去ったのだろうか? 何処かから様子を見ているとかは無いのだろうか……?」
 とイズルが提案し、その場を仲間に任せる一方で。
「……彼らが何故あの様になったのかは分かりませんが……決して本意ではなかったのでしょうね……」
 その骸を慈しむかのように、アイシスが手を翳すと、それにシフルハンマも。
「そうだな……申し訳無いが、正気に戻れないなら、せめて……今後の役に立つ情報を提供してくれ……」
 本当に申し訳なさそうに……死体を探る。
 何か持って居ないか?
 『魔』に陥った原因は何なのか?
 ……そんな原因の切っ掛けを、死体からどうにか探そうとする舌げ繧とシフルハンマ。
「何か ある かな」
「……正直自分ながら酷い事をしているよな……だが、これも生き抜く為だ。代わりにちゃんと眠らせ、埋葬してやるからな」
 そうして二人が何らかの切っ掛けが無いか捜索している一方で……守りきった『栞』の元には、陽炎と、何も見つからずに戻って来たイズルが復帰。
「大丈夫ですか? よく頑張りましたね。もう、大丈夫ですよ?」
「怖かったよな? ……でも、もう安心してくれ」
 そんな二人の言葉に、栞は。
『あ、あ……え、えっと……その……あ、ありがとうございました……』
 おずおずと頭を下げる彼女。
 ……目の前で繰り広げられた戦いに、正直な所……驚いている暇もなく、こく、こく……と頷く事しかできない。
 そんな彼女に応急治療を陽炎が施し、肩を貸して。
「余りここに長居していると、同じようなモノに襲われるとも限りません。貴方がこの世界にログインした場所、覚えてますか? そこまで行けば、元の世界に帰れますよ」
 と陽炎の言葉に更紗も。
「そうでありますな! この世界は目新しいモノが一杯で、面白いかも知れませんけど、危険も一杯です。それに現実世界には、貴方の帰りを待って居るご家族も居るであります。だから……名残惜しいかもしれないですが、さっさと帰るのでありますよ!」
 と、陽炎、更紗、イズル三人の提案に頷き、そして『栞』をログインポイントに送り届けつつ、他の仲間達は『魔』の調査。
 一通り調査を終えた後は……村の傍らに穴を掘り、死した骸達を……その中に埋葬し、墓を建てる。
「……皆さんが、安息のままに、召される事を願います」
 と、冥福の祈りを捧げるアイシスなのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

コーダ(p3x009240)[死亡]
狐の尾

あとがき

新たなるネクスト依頼に参加頂き、ありがとうございました!
闇の正体は未だ分かりませんが……少なくともこの世界で放っておけるものではなさそうですね。

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