PandoraPartyProject

シナリオ詳細

小鬼も仰天トラップ遺跡!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 傭兵という国はオアシスを中心とした街に人々が集まっているが、その周囲のほとんどが砂、荒れ地が占める。
 それゆえに国民ですらも把握できていない遺跡が今なお数多く存在している。
 新たな遺跡が発見されれば、そこを探索しようとする者も少なくない。
 ただ、その遺跡は無人とは限らない。いや、住んでいるのも人間とは限らない。
 グヒヒヒ……。
 ゲギャギャギャ……!
 砂に埋もれた遺跡を巣穴として利用しているゴブリン達。
 彼らは砂漠の暑さ寒さをしのげる場所ができたと安心して、近場で奪った食料を貪り、楽しく笑い合っていた。

 そんなゴブリンの討伐依頼を受け、幻想のローレットからやってきたイレギュラーズの集団。
「ここが依頼にあった遺跡ですわね」
 吹き付けてくる砂から顔を守りながら、フィリーネ=ヴァレンティーヌ (p3p009867)がその砂に埋もれるような形で口を開く遺跡の入り口を注視する。
「あの内部に、ゴブリンも惹かれたというわけだな」
 1人……いや、1体というべきか、熱砂に似合わぬ万能炬燵 (p3p007480)の姿があるのはさておき。
 メンバー達は準備を整え、その遺跡内部へ突入していく。
 遺跡内部は石造りとなっていて、明らかに人の手が入っていることを思わせる。
 どれだけ古いものなのかは専門家がいないと判別は難しいだろうが、今はゴブリン退治が最優先。
 幸いにも、敵はこちらの突入を察してか、全員でこちらを出迎えることにしたらしく、入り口近くにまでやってきていた。
「ニンゲンメ、我ラの力、ミセテヤル……!」
 群れを率いるゴブリンロードは人の言語を操れる様子。
 それによって、ずしりずしりと床を響かせ、巨躯のホブゴブリンが近づいてくる。
「自ら破滅に近づくなど……」
「人に害なすモンスターは殲滅あるのみだな」
 R.R. (p3p000021)、アルヴァ=ラドスラフ (p3p007360)が構えをとる中、イレギュラーズだけを眩い光が包み込む。
「えっ、これって……!」
 リディア・T・レオンハート (p3p008325)の碧眼が刹那赤くなる中、イレギュラーズはその場から消えてしまう。
 目の前で何が起こったのかが理解できず、ゴブリン達は呆然としてしまっていたようだった。

 イレギュラーズ達は気づけば、遺跡内の別所と思われる場所へと飛ばされていた。
「驚きましたね。テレポーターでしょうか」
「遺跡の罠か。どうやらゴブリンどもが意図せず作動させたようだな」
 リースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)の呼びかけに、ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)が頷く。もう1人もそれに同意していたようだ。
 ある程度の重さを感知すれば発動するトラップ。遺跡へと集団で攻め入る盗掘者などを想定したものだろう。
 ともあれ、遺跡からの脱出路を確保せねばならない。ゴブリン討伐はその後でもいいだろう。
「もっとも、あちらも動いているようですから、鉢合わせする可能性もありますわね」
 フィリーネはゴブリンの気配を探りつつ、さらなるトラップがないかと確認する。
 砂に埋もれた遺跡故、ここが地下なのは間違いない。
 まずは地上へと抜けるルートを探りつつ、一行は動き始めるのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます。

●目的
 ダンジョンからの脱出、ゴブリンロードの討伐。

●状況
 ゴブリン討伐依頼を受け、ラサの遺跡へとイレギュラーズはやってきます。
 ゴブリンを見つけて討伐に当たろうとしたものの、予期せぬトラップが発動し、全員纏めてダンジョンの奥に転移してしまったようです。
 目的のゴブリンの掃討と合わせ、遺跡から脱出する必要があります。

●ダンジョン
 人の手の入った遺跡を思わせます。
 石造りの内容のダンジョンをゴブリンが巣窟としていましたが、彼らもこの遺跡については全容を把握していないようです。

(PL情報)
 ダンジョンは侵入者避けの落とし穴、2方向の壁が降りて閉じ込められるトラップ、鉄球が転がるトラップがあるのが確認されています。
 攻略状況によっては、脱出を確保の前に敵と遭遇する可能性もあります。

●敵……ゴブリン×10体
 ダンジョン内にいる小鬼の集団です。

○ゴブリンロード×1体
 ダンジョン内のどこかにいるゴブリンの集団を統率する一般人間種男性相当の体格を持つリーダーです。
 冒険者の亡骸から奪ったと思われる杖を手に、火球に氷弾、雷撃と使いこなします。

○ホブゴブリン×2体
 2.5m程の身長がある巨躯のゴブリン達です。
 片方は巨大な剣を、もう片方は大斧を担いで切りかかってきます。

○ゴブリン×7体
 一般成人人間種の身長の半分くらいの小鬼達。
 棍棒、手斧などで殴りつけてくる他、毒のついたナイフで切りかかってくる敵もいます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 小鬼も仰天トラップ遺跡!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月16日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

R.R.(p3p000021)
破滅を滅ぼす者
※参加確定済み※
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
※参加確定済み※
ミラーカ・マギノ(p3p005124)
森よりの刺客
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
※参加確定済み※
万能炬燵(p3p007480)
人を駄目にする炬燵
※参加確定済み※
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
※参加確定済み※
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
※参加確定済み※
フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)
百合花の騎士
※参加確定済み※

リプレイ


 何のこともないゴブリン退治。
 依頼に当たるイレギュラーズ達は皆、始めはそう思っていた。
「どういう生き物かよく知らんが大丈夫だろう」
 万能炬燵だけは、ゴブリンに対して事前の知識しかなかったようで、そう語る。
 名前が示すように、『人を駄目にする炬燵』万能炬燵(p3p007480)はその見た目から昨日からそのまま炬燵である。人型をしたゴブリンであれば、揉みほぐして快楽を叩き込んだ後に消し飛ばす心づもりだ。
「向こうも喜び、こちらも腹一杯マッサージできる、一石二鳥だな」
 熱砂の暑さであっても冷え冷えに、極寒の砂漠の夜でも温かくできると、万能炬燵は胸を張る。
 仲間達もそれに笑って応えていたのだが。
「ゴブリンには余り良い思い出が無いのよな……」
 金の髪と赤い瞳の『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)が抱く一抹の不安。それが直後に的中することになる。

 ひんやりとした空気。
 積もった埃がしばらくこの一帯に人の出入りがほとんどなかったことをメンバー達へと教えてくれる。
「ゴブリンを討伐して帰宅する予定でしたのに……」
「想像以上に面倒な事になってしまいましたね……」
 純白の衣装纏う『百合花の騎士』フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)が小さく頭を振り、白銀の鎧纏う『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)もこの状況に嘆息してしまう。
 討伐対象であるゴブリンと対したはずのイレギュラーズ一行だったが、気づけば周囲の景色が先程とは違ったものとなっていて。
「罠か、ただのゴブリン退治と思って少し油断した」
 青い垂れ耳犬の獣種少年、『航空猟兵』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)はゴブリン自身も罠を理解して発動させたようには見えなかったと、あの一瞬でしっかりとその挙動を見ていたのだが……。
「参ったな、期せずしてダンジョンアタックか。流石の俺もこれは想定外だ」
 身体に巻いた包帯から赤い瞳をのぞかせる『破滅を滅ぼす者』R.R.(p3p000021)とて数々の修羅場を潜ってきてはいる。
 しかし、事前情報なしに突発的な事故。この場の全員がこういう展開となるとは想像もしていなかっただろう。
「このような罠がまだ生きている遺跡とは……今ので分断されなかった事だけは、幸いと言うべきでしょう」
 加えて、ゴブリンが棲みつく遺跡だったことを幻想貴族の令嬢、『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)が改めて指摘する。
「ダンジョンか、なるほど面白いな」
 ただ、万能炬燵が嬉しそうに語るように逆境こそ、イレギュラーズは闘志に火を点けて。
「逆攻略ってとこね」
 この討伐依頼に参加した『もう1人』、吸血鬼の血を引く『夜天の星』ミラーカ・マギノ(p3p005124)が先程の罠を分析する。
 大抵、トラップは来るものを拒む為に仕掛けられるが、遺跡の奥へと転移したところから見て、遺跡から出さない為のものか、はたまたただの移動手段か。
 例えば、逃がさない為の罠であれば、ここはかつての刑務所、あるいは研究所や実験所だったのだろうか。
「分断せずに全員同じ場所に転移させた事から、罠よりは移動手段かしら?」
 メンバーによっては、ミラーカの考察は興味深いものではあるが……。
「ゴブリンは兎も角……罠まであるのが厄介ですわね」
 少なくともその罠とゴブリンを同時に対応する事態は避けたい。耐久力に自信があるフィリーネができる範囲で受けてくれると主張する。
「こんなよくわからない状況で、皆さんを負傷させるわけにはいきませんわ」
「……考えてもしょうがない部分も多いでしょうけど、知的な魔女としては興味深いわね。知的な魔女としては!」
 そんな状況にあっても、ミラーカは遺跡の攻略に前向きな姿勢を見せる。
「事態は最早動いてしまっている。一先ずは脱出口を目指して進むしかあるまい」
「異論ないな。他に罠が無いか気を付けながら出口を探すぞ」
 ベルフラウの意見にアルヴァも同調すると、R.R.も少し考えてから口を開いて。
「想定外に対応するのもイレギュラーズの腕の見せ所と言うべきか」
 これも修練の一環と割り切れば悪くないと、彼もまた気を張って攻略に取り組む構えだ。
「この程度で挫ける私達ではありません。必ず全員で、生還致しましょう! ベルお姉様!」
 リディアの呼び掛けにベルフラウが頷くと、フィリーネが皆を活気づける。
「ええ、全員無事で帰りましょう! 無事に帰宅できたら一杯奢りますわ」
 そんな彼女に元気づけられつつ、一行は遺跡の探索に乗り出すのである。


「ともあれ、先ずはゴブリンの気配を探して探索を進める感じになるでしょうね」
 風精舞を使って少しだけ地面から浮かび上がるリースリットの問いにイレギュラーズは同意し、遺跡内を移動する。
 先程、フィリーネも言っていたが、アルヴァもゴブリンと罠を同時に対処するなど面倒極まりないと考えている。
 それもあり、彼もまた少し浮かんで移動し、罠の発見、解除に当たる。
「護ってやれなくなるから、あんまり前に出るなよ?」
「ふふっ、その言葉、そのままお返ししますよ?」
 そのアルヴァにリディアは勝気な笑顔を返す。
 直後、足元に開く落とし穴。浮遊していたアルヴァは難なく越え、リディアも彼を庇える体勢をとりつつ、アクロバティックに飛び越えて見せた。
 なお、直後に転がってきた鉄球。
 アルヴァは運搬性能を生かして仲間を担いでそれを躱し、フィリーネが庇う構えをとる間に他メンバー達が脇道や通路の隅に隠れるなど対応する中、前に出たリディアがしっかりと鉄球を防ぐ。
「私、体力には自信がありますからね、少しぐらい痛い思いをしてもへっちゃらです!」
 先程の落とし穴へと鉄球を落としたリディアは、力押しすぎると言わんばかりの仲間達の視線を感じて。
「だって昔、私の尊敬する女性が言ってましたもの――『罠は、かかって踏みつぶす!』って!」
 リースリットの手当てを受けるリディア。まさに、ごり押しの構えである。
 その2人の少し後ろにベルフラウが続く。
 彼女はこの石造りの通路を歩き、できる限り情報を得ようと神経を尖らせる。
「例えば、空気の流れだ」
 分岐点ごとに糸を垂らして揺れるか確認するベルフラウだが、現状、階層が少し下の為かまだ微動だにしない。
 ただ、上層まで行けばほぼ間違いなく空気の流れを感じ取ることができる。
「あとは単純に、ゴブリン共の足跡を探せばいい」
 ゴブリンらも食料確保の為に地表へと出ねばならない。ならば、遺跡内に真新しい足跡が残っているはずなのだ。それを手掛かりにしたいとベルフラウは話す。
 そんなわけで、メンバー達は足元に気を払うが、多少暗い場所であれば万能炬燵が発光して。
「光る炬燵とか画期的だろう」
 そのまま炬燵の彼に表情などないが、まさに万能と鼻を高くしていたことだろう。
 なお、万能炬燵はトラップの作動床などに気を付ける。先程のような落とし穴に落ちたら自分の体では引き上げるのは面倒だろうだと考えていたらしい。
 隊の後方にはR.R.がおり、超聴力を働かせて壁に耳を当てるなどして罠探知と出口の発見に努める。
「……さすがに破滅的なトラップは存在しないか」
 自らのギフトの使用と合わせて彼は気配をくらましていたが、どうやら熱感知と重力に反応しているらしく、落とし穴の発動を確認していた。
「この状況だ、背後からの奇襲も無いとは言えない。後方の警戒は頼むぞ」
 そのR.R.の後ろ、タンク役となるフィリーネが頷き、音や違和感に気付けるように集中していた。
「安全圏に出るまでは油断ならないわね」
 ミラーカは蝙蝠の飴を舐めて夜目をきかせ、光の届かぬ場所まで注意する。なにせ、またテレポーターで飛ばされないとも限らないのだ。
 砂漠の地下に埋まった遺跡とあってごくまれに降る雨が流れ込むこともあるようで、苔むす場所もある。もちろん、そうした場所にはゴブリンは立ち入っていない。食料に乏しい砂漠の地であれば、それらは彼らの食糧になりうるからだ。
「ゴブリンの生活圏を探りましょう」
「……にしても、アイツらは罠が残ってる中でどうやって生きてきたんだ?」
 そこで、アルヴァが首を傾げる。
 敵が罠を認知しているかはさておき、そうした場所は住処にしないとミラーカは考えており、鉄球や障壁が残ったこの区画にはいないと確信する。
「やはり、遺跡のかなりの部分がゴブリンにとっても未知の区域であるようですね」
 最初の一行の転送、そしてここまでゴブリンらが手を付けていない遺跡の通路。起動していない罠……。
 リースリットはこれまでの状況から、そう判断する。
「ゴブリンが罠を仕掛けた可能性もあるわね」
 現状、それらしきものは見当たらないが、ミラーカが言う様に敵の生活圏に入ればその可能性だってある。
「いずれにせよ、パーティーが分断される罠は避けたいところです」
 リースリットはそこで、周囲にいる精霊へと呼びかける。
 石造りの遺跡内でも、地の精霊は存在しているようで、彼女は幾分安堵しつつ遺跡の出口とゴブリンの所在について問いかけて。
「……そうですか。ありがとうございます」
 期待していなかったリースリットだったが、思った以上の情報が得られたようだ。
 また、ミラーカもここまで発動した罠について考察しており、侵入者避けの罠が多いことから、罠の作用する向きを元にして出口の方向を割り出す。
「ふふん! 賢いミラーカさんにはお見通しよ!」
 一行はそうした情報を頼りとし、探索を進めるのである。


 罠のある通路を通り抜けて地上部を目指していたイレギュラーズ一行。
 階段を上り、施錠された重厚な扉を発見したミラーカが目を光らせて。
「わざわざ閉めてあるってことは何かあるってこと!」
 彼女は扉に罠がないかを確認しつつ、開錠を試みる。
 そこは、ちょうど、ゴブリン達が巣としている場所だった。
「「!!??」」
 どうやら、ここは隠し扉となっており、ゴブリンどもも気づいてはいなかったようだ。
「出たなゴブリン」
「出ましたね、ゴブリン達!」
 待っていたと言わんばかりに、リディアと万能炬燵の声がハモる。
「よう、また会ったな」
「ドコカラ入ッタ……!?」
 涼しい顔をするR.R.に対し、ゴブリンロードは動揺を隠しきれない。
 住居としていた場所にある隠し扉に気付かなかったところを見ると、ロードというのは名ばかりなのかもしれない。
 ともあれ、ゴブリンを発見した以上、イレギュラーズ達も戦闘態勢を取る。R.R.が敵に牽制射撃を行う間に、アルヴァに代わってフィリーネやベルフラウが前に出る。
「リディア、行けるな?」
「はい!」
 ベルフラウが聖躰降臨を使うのに合わせて尋ねたリディアは現状維持し、前線に立ったままで頷く。
「ここまで来るのに苦労しましたけれど、後少しです! 頑張りましょう、フィリーネさん!」
 ルーンシールドを自らに付与するリディアの言葉に、今度はフィリーネが頷き、高らかに名乗りを上げる。
「下賎なるゴブリンよ! わたくしが相手になりますわ」
「行きますわ、お覚悟を!」
 同時に、リディアも声を上げれば、いきり立つゴブリンどもが凶器を手に飛び掛かってくる。
「ガアアアッ」
「ゲエエェェェェ」
 力で殴りつけてくるゴブリンどもだが、毒ナイフを操る者もいる。それも小賢しい知恵をつけたロードが与えたものだろう。
「我ガ力ヲミセテヤル!」
 そのロードは冒険者から奪った杖を振るい、炎、氷、雷と使い分けて放ってくる。それで勝てると思っている当たりは実に小賢しい。
 守りを固める前線メンバーをヒーラーとして支えるのはリースリットだ。
 いつでも精霊の吐息で回復できるよう構えるも、序盤は仲間の被害が小さいこともあり、リースリットは荒れ狂う連鎖の雷を放ってゴブリンどもを痺れさせていく。
 ミラーカもヒーラーとして立ち回るが、使うスキルはクェーサーアナライズやスーパーアンコールと体力よりも気力魔力の回復を重点的に動く。
「魔力の効率的な運用は魔女の基本! 分け与える私は正に天使!」
 ドヤ顔で魔力を振りまくミラーカの支援は実に頼もしい。
「さて、罠に魔道具と、随分手こずらせてくれたじゃないか」
 手厚い仲間の支援を受けながらも、アルヴァは移動しつつゴブリンを魔導狙撃銃で狙撃していく。
 その間、アルヴァは無造作に埋められた落とし穴や破壊された壁があることに気付く。さすがに、ゴブリンどもも生活圏にある罠は潰していたようである。
「では、今一度改めて――破滅よ、滅びを知れ」
 ただ、罠は凌げども、R.R.が放つ破滅の魔弾に撃ち抜かれ、ゴブリンどもは絶叫の後に倒れていく。
「今日はゆっくり炬燵で寛ぐが良い!」
 なお、ゴブリンの一部は、そう告げる万能炬燵の方へと気を引いており、顔を見合わせつつ近づいていく。
「触手で身体を揉みほぐしてしっかり休ませてやる。快楽を叩き込んだ後、魔砲でトドメを刺してやるからこっち来い!」
 しかし、よくわからない形をした万能炬燵を、とりあえずゴブリン達は思いっきり殴り始めて。
「あ、ちょっと、きちんと炬燵に入らないか。炬燵を殴るんじゃない!! 自分の大切な宿なんだぞ!」
 ぬめぬめとした触手を伸ばして敵を誘い込もうとする万能炬燵。なお、炬燵の部分が無くなると、ゴブリンの死体を苗床にして帰らねばならなくなるとのこと。
 ただ、ゴブリン2体が自身の内部へとそっと足を伸ばせば、万能炬燵の思惑通り。
「グ……!!」
「ウ、アア……」
 下手をすれば、ある意味でその炬燵は遺跡のトラップ以上に強く相手を捕える。その快楽を覚えてしまえば、ゴブリンも出られなくなってしまう。
「よーしよし、とりあえず入ってくれたな。まずは足の裏からだ」
 ここが痛いと体が悪い証拠だと、万能炬燵は手加減抜きでゴブリンの足裏をしっかりと叩く。
 痛みに悶えるゴブリン達は万能炬燵を殴りつけるが、彼はお構いなしにゴブリン達を執拗に攻め続けて。
「よしよし、トドメは魔砲だな。……ここでぶっぱ!」
 仲間に当たらぬよう調節し、万能炬燵が触手から放った魔砲は、見事にゴブリンどもを撃ち抜いたのだった。

 ゴブリンどもが早くも倒れ始めるが、強敵であるホブ2体やロードは依然として抵抗を続けており、その力を見せつける。
「フゴオオオオッ!」
「ブアアアア!!」
 巨大な剣や大斧を叩き付けてくるホブの攻撃は痛烈ではあるが、それ以上の難敵と渡り合うイレギュラーズ達だ。気を抜かなければ問題ない相手。
「この私の膝が折れぬ限り、仲間を傷付ける事は叶わぬと思え」
 聖骸闘衣を纏うベルフラウは、仲間の盾となるべく立ちはだかる。その視線が刹那リディアへと向いて。
「この手に抱く我が花が、ゴブリン程度に手折る事が出来ると思うなよ」
 リディアも一瞬微笑み、輝剣を握る手を強めて最後の配下を切り伏せてしまう。
「何シテル、ヤレ、ヤッテシマエ!」
 魔術を行使し続けるロードは倒される不甲斐ない配下に苛立ち、残るホブに叫びかける。
 天使の歌を響かせていたフィリーネは仲間の傷がある程度塞がったところで、顕現した氷の鎖でホブの体を締め上げる。
 鎖を抜け出そうともがくホブだが、アルヴァがそれを許さず。
「悪いな、狙われたのが運の尽きと思って大人しく討伐されてくれ」
 相手の首元を撃ち抜き、彼はホブを仕留めてしまう。
 風の精霊の加護を得たリースリットももう1体のホブ目掛け、渦巻く風を直接ホブへと叩き込めば、それに煽られた敵の体勢が僅かに乱れて。
 そこに、R.R.が破滅を充填した弾丸を撃ち出し、ホブの脳天を撃ち抜いて見せた。
「済まない、力を回しすぎた。ミラーカ、回復を頼めるか」
 最初から飛ばしていたR.R.はミラーカへと呼び掛けると、彼女は天使の笑顔で力を分け与えに向かう。
「コ、コンナハズハ……」
 一度雷撃を放ち、入り口方面へと逃げ出そうとするロードだが、リディアが逃さず追いすがる。
「将さえ落とせば、後は烏合の衆ですからね!」
 栄光をつかみ取る手で握る輝剣リーヴァテインの刀身に蒼炎を灯し、ロードへと切りかかる。
 次の瞬間、ロードは体を真っ二つにされて杖を落とし、その体を燃え上がらせてしまったのだった。


 ゴブリンさえ討伐できれば、後はゴブリン達の通った跡をたどれば地上に出るのはたやすい。
「持ち主の身内が探してるかもしれないし、報告時に渡しておくか」
 アルヴァがロードの持っていた杖を回収し、イレギュラーズ一行は外を目指す。
 転移トラップは内部ではほぼ見られず、しかも複数人で起動させる必要があったことから、やはり装置であったのだろう。再び探索を行うかどうかは改めて決めるとして、メンバー達は依頼の完遂を優先する。

 徐々に熱砂の暑さが感じられるようになり、一行はようやく日の光を浴び、流れる汗と共に解放感を得る。
「クエストをクリアした!」
 ただ、嬉しそうに触手をうねらせる万能炬燵の姿に、皆思わず苦笑してしまうのである。

成否

成功

MVP

リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは罠を力づくで突破し、ロードを撃破した貴女へ。
 今回はリクエスト、並びにご参加いただきましてありがとうございました!

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