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シナリオ詳細

再現性東京2010:死した骸を渡る者

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京2010
 練達の一区画に存在する『再現性東京』の一地域、『希望が浜』地域。
 極々平和な生活を送り、時折ちょっと不思議な事件は小耳にするものの……それはそういうもんだ、と生活を変えることも無い。
 そんな平穏な生活を彩る、ちょっとしたアクセントになっているのは……様々な怪談話。
『ねえねえ、知ってるー? このちかくをとおってる、こくどー37ごうせんー』
『んー? こくどう37ごうせんー? ……ただの道路じゃないのー?』
『もちろん道路だけどさー、この道路のウワサ、知らないわけないよねー?』
『えー? 知らないんだよねー。おしえておしえてー!』
『ふふふー。この道路にさー、しんやのうしみつどきに、とつぜんあらわれるゆーれいがいるってはなしなんだよー!』
『へー、それおもしろそー! ねーねー、こんど行こーよ!』
『うん、いこいこー!』
 恐らく小学生位の子供達が、学校からの帰り道に、そんな会話を大声でしている。
 勿論それは子供達の戯言だ、と言えるかもしれない。
 でも……この再現性東京に伝わる怪談話の幾つかは……現実にも起きる、怪異事件への入口でもある訳で。
 親が寝静まった隙に家を抜け出し、国道37号線のウワサの元……トンネルへと辿り着いた子供達。
 ……丁度車も、偶然通りがからないタイミングにぶちあたり、トンネルに足を踏み入れて……数分後。
『……きゃぁああああ!!』
『やだ、やだこないでよぉぉおお!!』
 と、そのトンネルの中からは、子供達の叫び声が響き渡るのであった。

●死した骸を渡る者
「ねえみんな! 怪談話、興味ある『よね』!?』
 ポン、とカフェ・ローレットにて、『希望が浜学園』に潜入している君達の肩を叩き、有無を言わさぬ雰囲気を醸し出している綾敷・なじみ。
 彼女が怪談話に興味あるのは、オカルト研所属だから当然だとしても……肩を叩かれた君達が興味あるかどうかは、ままあるだろう。
 ともあれなじみに目を付けられた君達は、ちょいちょい、コッチに来てー、と手招きし、机を囲むと共に。
「それじゃー説明するよー? 『希望が浜』地域って、まま栄えてるからさー、車が色んな所に行く為に国道が整備されてるんだよねー。でも、そんな国道にも怪談話があるって訳よー」
 国道と、怪談話……きょとんとする君達だが、なじみは全く意に介する事無く。
「うんうん、きょとんとしてるねー? でも国道って意外に怪談話多いんだよー? で、今回みんなに集まって貰ったのは、そんな国道に現れる夜妖退治、ってな訳なのさ!」
 そう言いながら、なじみは地図を皆に見せる。
 街から少し離れた郊外の地。
 国道が点線で示されている箇所……つまりはトンネルなのだが、そんなトンネルの上には、お寺のマーク。
「ここ、国道の上にお寺がある、ちょっと特殊な場所なんだよねー。もしかしたら、トンネルの上の墓地に埋葬されていたのが化けて出たのかもしれないけどさー……真実はちょっと分からないなー?」
 となじみの言葉に、ここが今回の夜妖が出る場所だ、と理解する君達。
「夜妖はこのトンネルに、深夜の丑三つ時、車が丁度通りがからない時に姿を現わすって話なのさ! そう、その夜妖を退治してきて欲しいってのが、今回の皆へのお願いって訳!」
「どうやら夜妖は、人型をしているみたいなんだけどさー……刀を持っている、かなり物騒な奴らみたいなんだよね。そんな夜妖達を知らずに、怪談話を面白がってやって来る小学生なんかもいたりするみたいなんだよね。だから、小学生達を守りつつ、夜妖を退治してきてって言う事なのさー」
 そこまで言うと、最後になじみは。
「ま、混乱の境地に陥っている子供達を救うのは大変だと思うけどさー、きっと皆なら大丈夫! それじゃ宜しく頼むねー!」
 と、ひらひら手を振り、なじみは皆を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回の依頼は、国道に現れる夜妖退治です。

●再現性東京2010街『希望ヶ浜』
 練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 ここは『希望ヶ浜』。東京西部の小さな都市を模した地域だ。
 希望ヶ浜の人々は世界の在り方を受け入れていない。目を瞑り耳を塞ぎ、かつての世界を再現したつもりで生きている。
 練達はここに国内を脅かすモンスター(悪性怪異と呼ばれています)を討伐するための人材を育成する機関『希望ヶ浜学園』を設立した。
 そこでローレットのイレギュラーズが、モンスター退治の専門家として招かれたのである。
 それも『学園の生徒や職員』という形で……。

●成功条件
 噂話を聞いた小学生達(6人)の命を守りつつ、出現した夜妖を退治する事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 今回、夜妖が現れる場所となるのは、ある国道のトンネルの中です。
 トンネル、かつ国道なので、灯は点されていますが……少し薄暗く、幽霊が出そうな雰囲気がかなりあります。
 又、今回の夜妖は人が居て、車がいない状況出ないと出てこない……という、シーンを重視する夜妖な様です。
 子供達はそんなシーンに丁度遭遇してしまいますので、イレギュラーズの皆さんは子供達をしっかりと守る為に突入する事となります。
 
 子供達は突然の幽霊の出現に、大混乱している状態です。
 冷静にならない限り、暴れたり、逃げたりしてしまいかねないので、子供達を落ち着かせる事と、夜妖達の対応を同時に行う必要があります。

●討伐目標
 ・古の武士の夜妖 x 15人
   この地が過去、戦場だったのでしょうか……それとも、道の上の墓場に埋葬された古の霊かどうかは分かりませんが、武士の幽霊です。
   その手の武器は血に濡れた刀……その一閃が決まると、対象の血を吸い体力を吸収するという、HP吸収効果を持っている攻撃となります。
   又武士として間合いを常にとり、必要に応じて間合いを詰めて攻撃する、というヒットアンドアウェイの攻撃形、かつ感情が無いので、怒り効果が無効となります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京2010:死した骸を渡る者完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年07月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
プラック・クラケーン(p3p006804)
昔日の青年
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
ブライアン・ブレイズ(p3p009563)
鬼火憑き

リプレイ

●子供心に
 練達の一区画に存在する『再現性東京』。
 その一地域である、『希望が浜』地域は、極々普通な日常が広がっている……筈の場所。
 しかしそんな日常に忍び寄るのは、怪談話に名を騙った……夜妖の事件であった。
「あー、ヤダヤダ。どうしてガキどもは、好んで危険な場所へと行くのかねぇ……」
 と肩を竦めて苛立ちを吐き捨てるのは、『鬼火憑き』ブライアン・ブレイズ(p3p009563)。
 勿論子供達に、本気で怒りを覚えているという訳では無い……子供達はこういう面白そうな事に首を突っ込みたがるモノ、というのは良く知って居る。
 そんな子供時代が自分にもあった……いや、この子供達よりも、もっと無邪気で無鉄砲だったかもしれない。
 そして、そんなブライアンに『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)も。
「ああ。子供の好奇心というのは厄介なものだ。成長の切っ掛けになる一方で、こういうトラブルも引き起こす。まぁ……そこをどうにかするのが、私達大人の責務でもあるがな」
「ああ。バカなガキどもの尻拭い、悪くねぇ」
 ニヤリと笑うブライアン。
 しかし誰もが怪談話を恐れない訳では無い。
「怪談……怖い話は、あまり得意ではないんですが。でも、興味がないわけではなくて……子供たちも、そんな感じなのかな?」
 と『優愛の吸血種』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)が小首をかしげると、それに『テント設営師』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)が。
「そうだね……談話が得意な子、苦手な子……色々いるけれど、今回のは、リーダーっぽい子が怪談話好きで、周りのはそうでもない……って感じかな? そして被害に遭ってしまうのが、怪談話が一番苦手っぽい子……と」
「ええ、そうみたいですね? まぁ危ない事をしようとしているなら、しっかり止めて護ってあげないと!」
 ぐぐっ、と拳を握りしめたユーリエ。
 それに『ティブロン海賊団“蛸髭の喧嘩師”』プラック・クラケーン(p3p006804)と『挫けぬ軍狼』日車・迅(p3p007500)、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)らも。
「まぁ怪談話の舞台を探索するのは俺も昔やったコトあるけどよ? やっぱり、子供だけで肝試しはあぶねーよな……夜妖とかに関係なしによ……」
「ええ。友人達との肝試しは子供時代を彩る思い出の一つではありますが、この再現性東京でやるにはちょっと刺激が強すぎる様ですね……!」
「そうね……怪談ね。怖い怪談話だけなら気にもしないのだけれど、人に脅威を与える状態になったら捨ておけないわ。手早く処理して、私の経験値の糧になってもらうわ!」
「ああ。取りあえず、絶対に助けねぇ?。そして説教だ」
「もう少しだけ怖い思いさせてしまいますが、どうかご安心を。きっと皆さんをお家へ帰して見せましょう!」
 そんなイレギュラーズ達の言葉に、『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)は腕組みし。
「そうだね! 会長は怪談話にはそんなに興味は無いけど、夜妖には興味あるんだ! この練達の平和は羽衣教会が護るんだからね! と言う訳で、さっさと現場に行こう! 子供達が待って居るよ!!」
 うんうん頷ききながら、仲間達を急かす茄子子。
 時間が掛かれば掛かる程、子供達の命に危機が迫る……そしてイレギュラーズ達は、急ぎ現場へと向かうのであった。

●泣き喚いて
 そしてイレギュラーズ達が、ウワサの国道37号線のトンネルへへと辿り着く。
 山を貫く様に、ぽっかりと広がったトンネル……その上には、お墓という奇妙な立地に。
「ここですね! いやぁ、中々辛気臭い雰囲気ですね!」
 と茄子子がたまらず声を上げる。
 どうしてこのような所にトンネルを掘ったのかは、イレギュラーズ達が知る由もないが……お墓の下を道路が走るなど、眠っている人達も、たまったものではないだろう……。
「立地はともかく、夜妖に子供達が襲われる状況……一刻も早く子供達を安心させたいね」
「ええ、そうですね」
 とヴェルーリアにユーリエが頷いた瞬間。
『ぎゃああああー!!』
 と、甲高い叫び声が聞こえてくる。
 そして……トンネルの入口の方からは子供達数人が、青ざめた表情をしながらこちらへと逃げてくる。
「早速現れやがった様だな……良し、んじゃ皆行くぜ!」
 とブライアンが皆に叫び、イレギュラーズ達は駆けつける。
 そして逃げてきた子供達に、まず接触するのはヴェルーリア、茄子子、イナリとユーリエの三人。
「助けに来たよ!大丈夫? みんな、怪我はない?」
 早速ヴェルーリアが心配するように言葉を掛ける……が、子供達は泣きじゃくり、とても話が出来るような状態ではない。
 ……だが、そんな子供達に茄子子とイナリも加わって。
「大丈夫大丈夫、助けに来たよ! 会長達が来たからにはもう安心だね!」
「私達が要るんだもの! 安全無事に帰してあげる。ヒーローショーを観る気分で大人しくここで待って居なさい! 私達の活躍を、しっかりと見届けるのよ!」
「ええ。私達が来たからには大丈夫! 怖いお化けは、お兄ちゃん、お姉ちゃんたちが倒してくれるからね。だからみんなは、私の傍から離れないようにしてね? それだけ約束してくれれば、私がみんなを護るから!」
 女性三人からの力強い言葉に……恐怖に戦いては居る者の、何とかこくり、頷く事は出来る子供達。
 ただ、次の瞬間。
『や、やめてぇえ、こないでえええ……!!』
 更なる絶叫が、トンネルの中から響いてくる。
「みんな落ち着いて、そして私達の後ろについてきて!」
 とユーリエが呼びかけつつ、トンネルの奥の方へと急ぐ。
 そしてイレギュラーズ達の目の前には、へたりこんでいる少年の姿と……それに躙り寄っている、漆黒の武士の影。
『わ、わわわわ……ぅぅ……』
 恐怖に、完全に震え上がっている少年……そして武士の影が、少年の元へ接近し……その太刀を頭上から一振り。
『っ……!』
 恐怖に目を瞑った少年……しかしその間に割り込み、、機械剣で受け止めたのはブライアン。
「はっはー! まだ死んでねーだろうなクソガキ! 助けに来たぜ! 特等席でゴーストバスターを見せてやるよ!」
 高笑いを上げる彼に、え、えっ……と完全に目が泳いでしまう少年。
 ……そんな彼を抱きかかえようとすると。
『わぁ、うわあああん……!!』
 じたばたと暴れてしまうが、すぐに彼の顔を見据えながら汰磨羈が。
「大丈夫だ、落ち着け! 私達が助けに来た!」
 と、しっかりと声を掛けて落ち着かせる。
 そして、他の子供達の所へとさっと汰磨羈が運び出すと共に、子供達全員に向けて。
「いいか、私達はこの手の輩を退治するプロだ。だからここは任せろ!」
 と力強い声で言い放つ。
 そんな彼女の言葉に、先ほどの少年は。
『え、えっと……うん……でも……お姉ちゃん達は……?』
 おずおずと見上げてくる。
 そんな子供達に、耳をピコピコとさせながら。
「私の子とは、そうだな……人を助ける正義の妖怪だと思え」
 と、ニヤリ微笑む。
 そして子供達を壁を背にさせるように配し、イレギュラーズ達は半円を囲み、護る体勢を取って。
「これで、良し……それじゃ、武士達を倒して行きましょう!」
「そうだね! みんな、頼んだよ!」
 迅の言葉に茄子子が皆を促す。
 そんなイレギュラーズ達の陣容に対し、夜妖太刀は感情も、声も亡く。
『……』
 どこか虚ろな動きでもって、邪魔するイレギュラーズ達へ次々と攻撃開始。
 漆黒の刀を全力で振るい……吹き出る血飛沫を糧にして、己が力にする……そんな敵の一閃が繰り出される。
 しかしその一閃に決して怯む事無く、先ずはブライアンとプラック、迅の三人が三方向へと展開し、15人居る敵の各々の群れに対峙。
「絶対に、子供達は傷付けさせませんよ! 覚悟して下さい!」
 と迅は飛虎八閃拳の拳術の構え。
 その構えに対し、懐に潜り込んでの一閃が放たれるが、至近の間合いに入ってきた所の影を蹴り上げる。
 トンネルの天井辺りまで飛び上がっていった影を、自分も跳ねて、今度は情報から叩き落とすような一撃。
 そんな一人コンビネーションの一撃を喰らわせる事で、一匹にかなりのダメージを与える。
 更に迅の動きに続き、ブライアン、プラックもまた、死の大鎌の様な一蹴と三次元の空中殺方で以て、各々が対峙する相手を攻撃。
 と、最前線に立つ三人の連続攻撃に続き、その一方後ろからユーリエ、汰磨羈、イナリの三人も動く。
「本当、武士であるのに、子供を襲うとは何事か! 武士の名が廃りますよ!」
「全くだな! 今迄何人をその血に濡れた刀の錆にしてきたかは知らないが……もうそれも、ここで終わりにしてやろう!」
「……では、行きます……!」
 各々攻撃に集中すると共に、赤黒い闇の炎を放ち敵を弱体化させ、そこに同じく血を啜る妖刀『血蛭』から繰り出す輪状霊刃の閃撃。
 更に異界の神の力を剣戟させ、敵陣の位置に毒霧を展開する事で、敵を纏めて混乱や怒りの効果に陥れる。
 そうして前衛の仲間達が、確実に夜妖にダメージを与えていく一方で、子供達の間近に控え続ける茄子子とヴェルーリア。
『……だ、大丈夫……かなぁ……』
『わからないよぉ……う、うぅぅ……』
 どうしても、弱気になる子供達。
 そんな子供達を安心させるように。
「大丈夫大丈夫。安心して観ててね。お姉ちゃんも強いから。さぁ、神気閃光!」
 子供達へ笑顔を見せながら、ヴェルーリアが暖かく、明るい光で子供達を癒す。
 更に茄子子も。
「そーれそれ! 会長が全部直しちゃうからねー! みんなに新しい加護だよ! 賦活と応報の加護だね! 自動天罰でダメージレースに差をつけろー!」
 と、無邪気な感じを装いつつ、仲間の回復と強化を重ねる。
 そんな後衛のバックアップのお陰で、前衛陣は完全に攻撃だけに集中する事が出来る。
 無論、いつ敵が予想外の動きをして、子供達に攻撃をしてくるかもわからないので、決して油断は出来ない。
 仲間達が刀の一撃を食らい、子供達が悲鳴を上げる事もあるが。
「大丈夫だから、ね! このくらいの傷、私達はへっちゃらだからさ!」
 と、ヴェルーリアは変わらず笑顔で暖かい光を掛け続ける。
 そして茄子子も。
「さあ、会長の御加護だよ! 運命をいじっていい感じに上手く行くようになるからね!」
 と、清らかな強化のヴェールを仲間達に付与する事で、傷痕を治療……そして。
「回復ありがとうございます! さぁ夜妖達を一匹ずつ、確実に倒して行きますよ!!」
「ああ……! 目に物みせてやろうぜ!」
 迅の言葉に頷くプラック。
 迅はヒットアンドアウェイで確実にダメージを積み重ねつつ、プラックは強烈な一蹴で、一匹ずつに確実なダメージを叩きつける。
 そこにブライアンの、極限まで高まった闘気をその拳に込めて殴り掛かる攻撃。
 一撃に、一匹が先ずは崩れ去る。
 更に次の敵に向けて、汰磨羈が殺気を込めた赫い霊気を刺突撃で一閃し、連携してイナリもまた、炎を纏いし魔物の大剣で敵を一刀両断にする。
 ……最後にユーリエは、仲間達の体力の状況を見越した上で、『麒麟』の加護の光を放つ事で、仲間達を回復。
 流石に最初の内は、かなりのダメージで一進一退の攻防が続くものの、一匹、また一匹……と敵の数を減らして行けば、少しずつではあるが殲滅のペースも上がり始める。
 そして、戦闘開始から十数分。
 15匹居た夜妖達は、とうとう残り2体となる。
『……』
 でも、何らかの言葉を話すことも無く……ただただその刀を振るい続ける夜妖。
「後二匹なのに……怯みもしないのは、さすがだな」
「そうですね。その辺りは過去の武士の性質を受け継いでいるのでしょうか? ……ともあれ、後もう一息です。頑張りましょう!」
 汰磨羈とイナリが仲間達を奮い立たせる。
 そして、汰磨羈の渾身の輪の一閃が一匹を捉え、その命をかっ攫い、そしてイナリの焔の一閃。
 その一閃を喰らうと共に、最後の一匹も完全に崩れ去るのであった。

●心の傷痕
『うぅ……うぇええん……』
 夜妖達を倒した後……其の場に聞こえるのは、ずっと子供達が泣きじゃくる声。
 安心し、緊張の線がほぐれたのか……そんな泣きじゃくる子供達に、ガツンとプラックが。
「いいか……お前達、危ねぇ所に子供だけで来るんじゃねぇ! 死にてぇのか! 俺達がこなかったら間違い無く死んでたんだぞ! 分かるか!」
 かなり強い口調で言い放つが、勿論……それは子供達を想ってのこと。
 普通に怒っても、恐らくまた繰り返してしまうだろう……だからこそ、傷心の心に刻みつけるように、強く強く説教を行う。
 無論、このような場所に来た事に対して罪悪感が無い訳ではない。
 来たのもまぁ、子供心のちょっとした冒険心……。
 ……そんなプラックの説教に、しまいにはしゅん……と落ち込み、顔を伏せる。
 そして、そんな子供達の肩をぽんっ、と力強く叩く茄子子。
『うぅ……? ななぁに……お姉ちゃん……』
 また怒られる、と覚悟したのか、眼を閉じて、身体を強ばらせる。
 でも、そんな子供達に茄子子は満面の笑みで。
「うん! 確かにみんな、怖かったよね! 知らなくて良いこと、一杯知っちゃったよね! こんな恐怖、もう二度と味わいたく無いよね!?」
 と声を掛ける。
 勿論、もうこんな怖い思いをするのは嫌だ、と、こくり頷く。
「うんうん! そうそう、世の中には知らなくてもいい事、忘れちゃった方がいいこともあるんだよ、ね! いい、今日の事は内緒だよ! 会長達との約束!!」
 と言いながら指を向ける茄子子。
『……ぇ……?』
「約束してくれる、よね?」
 ずずっ、と迫ってくる茄子子に、わ、わかったよぉ……と頷き、指切りげんまんする子供達。
 子供達と約束出来たので、茄子子はうんうん、と頷き。
「それじゃ、みんなの家に帰ろうか! イナリさんも、迅さんも手伝ってくれる?」
「ええ、勿論です」
「夜の道路を歩くのは、夜妖達の事が無くとも危ないですしね? ……家に帰ったら、お父さん、お母さんからも怒られ琉かも知れませんけど……その辺りは、覚悟はして置いて下さいね? ……きっと、皆さんが居なくなった、って驚いているでしょうから」
『……はぁい……』
 力無く頷く子供達。
 そして、子供達の手を引いて、不気味なトンネルを後にする。
 ……そして残るイレギュラーズ達は、他に夜妖が居ないか……危険な箇所が無いかを改めて確認。
「……うむ、どうやら全て倒し切れた様だな。では……帰るとしようか」
「そうだね! 子供達もしっかりとオ灸を据えられたから、多分大丈夫かな……? それじゃ、帰ろう!」
「ええ。皆さん、お疲れ様でした」
 汰磨羈、ヴェルーリア、ユーリエも頷く。
 仲間達から無事に送り届けた、と連絡を受けて……そしてイレギュラーズ達も帰途へつくのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

再現性東京にご参加頂き、ありがとうございました!
今回は子供達を救出する、という依頼でしたが、皆様の子供達への声掛けが、とても優しくて安心しました。
まぁ終わった後にもお灸が据えられたので、きっと……もうしないと想います。

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