PandoraPartyProject

シナリオ詳細

夏のゴブリン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

⚫︎海洋からの手紙
「えーとなのです、海洋のソルベさんは知っていますか? 彼からお手紙が届いてるのです!」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はニコニコしながらイレギュラーズの前で手紙を読み上げ始めた。
「『最近、ローレットから派遣されたイレギュラーズの活躍のお陰で海洋の近海警備による事件が解決され、喜ばしい成果を上げている。
  そこでまたローレット諸君には頼みたい事がある。近頃の海洋首都にある港への商船が次々と襲われている事件が発生しているのだ。
  此方の情報を貴君らに開示するので、再び近海警備隊としてこれの解決を図って頂きたい』ということらしいのです!」
 続いてユリーカがポーチから取り出したのは海洋から届いたと思しき資料である。
 それは幾つかの紙束に混ざって数枚の写真が入っており……パサッと乾いた音と共に何かが床に落ちる。
「落としたぞ」
 ユリーカの手元から落ちた二枚の写真を近くに居たイレギュラーズが拾う。
 しかし、写真を渡そうとした彼の手は途中で止まった。その視線は写真に写る信じ難い光景に注がれていた。
 まさか……『これ』が今回の依頼で商船を襲っている奴なのか。そう問いかけたイレギュラーズにユリーカは「はい!」と答える。
「ゴブリンなのですよ!」
 そう、ゴブリンである。写真に写っているのはいずれもゴブリン。波に乗り、或いはイルカと共に飛んでいるゴブリン達である。
 真夏を全力で波乗り野郎として楽しんでいるゴブリンのプロマイド。そんなジョークにしか見えない光景である。
 ユリーカは不思議そうに首を傾げて微笑んだ。
「皆さんには波乗りゴブリン達を討伐して欲しいのです」

GMコメント

 ちくわブです。今回はシンプルに海上ゴブリン討伐依頼です。

 以下情報

⚫︎依頼成功条件
 ゴブリン達の討伐

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

⚫︎ロケーション
 イレギュラーズの皆様には海洋から支給された警備船に乗って、過去に商船が襲われた海上ルートへ向かって頂きます。
 リプレイ開始は警備船に乗ってゴブリン達を見つけるタイミングからスタートします。
 警備船をNPCが操縦するか、参加者の誰かに操縦をして貰うかでゴブリンとの接敵時の状況が変わります。NPCが操縦する場合は何のスキルも持たない上で簡単な操縦だけしかしません。
 日中の波が穏やかな時間帯での戦闘となりますので、海種獣種飛行種といった方々で水上または水中、飛行しながらの戦闘で有利に立ち回れます。

⚫︎海ゴブリン20体
 サーフボードのように削った板に、水圧放出の魔石を板の尻部に取り付けた事で海上でも高い機動力を持って行動出来る様になった奴等。
 冗談みたいなゴブリン達だが、魔石を用いて道具を製作しただけあって頭は良い一味らしく、機動力もあるので襲われる側からすると非常に厄介。
 困った事に多少の波を発生させても落ちずに乗りこなしているので、サーフボードに乗った状態も含めてこのゴブリン達の戦闘力は計算される。
 ゴブリン達はそれぞれ片刃の曲刀を両手に装備して突進して来る戦法を取り、生半可な接近をすれば擦れ違い様に手痛い斬り付けを受ける事となる。
 しかし逆に言えばそれしかない連中でもあるのだが、波を利用したジャンプ斬りなどでレンジを稼いでいる様だ……
 『二刀斬り付け(物至単)』『波乗りジャンプ(物近単)』『高機動・高回避』

⚫︎サーフボード
 実は今回、前回襲われた商船のオーナーが回収したサーフボードが八基存在する。
 イレギュラーズが希望するならば貸し出すが扱いはそれなりに難しいので気を付けた方がいいかもしれない。
 (【超反射神経】または【反応が15以上のステータス】がある場合、海上における各補正が上昇します。具体的には命中、回避、反応、機動力)

※アドリブ歓迎という方がいればその内容をステータスシート上に書いて頂けると幸いです。
 また、今回のシナリオでサーフボードに乗る場合で上記スキルステータスは無くても、プレイングや他スキルを用いて乗りこなせるという記述があれば充分に使いこなせます。

 ノリノリなゴブリン達をノリノリで倒しましょう、皆様のご健闘を祈ります!

  • 夏のゴブリン完了
  • GM名ちくわブレード(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月21日 21時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
Q.U.U.A.(p3p001425)
ちょう人きゅーあちゃん
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
煌きのハイドランジア

リプレイ

●煌めく海原に光るお前の瞳にふぉーえばー
「なつだ! うみだ! サーフィンだー!ヾ(≧▽≦)ノ」
 『人 工 無 能』Q.U.U.A.(p3p001425)の快活な声が潮風と共に流れて行く。
 思いのほか飛ばして警備船を運転する彼女だが、操船技術は無い。
 しかし、『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)が事前に港で近海警備に携わる操船員から話を聞いて解説(マニュアル)を見せた事でマシな物になっている。
 だがそれはそれ、その乗り心地はというと……
「おいこれ大丈夫なんだろうな!? 横転して転覆とかすんなよ!?」
 速度が出ているせいで時折船がすぽーんっと跳ねあがる浮遊感に『太陽の勇者様』アラン・アークライト(p3p000365)が抗議する。
 だがそれでも快晴、爆走する船に吹き付ける潮風も気持ちがいい。アランや他の何人かは海原を眺めながらこの後に控える戦闘に備えていた。
 サーフボードを脇に抱えて……!
「海……水着……少し前までは、着の身着のままで溺れるだけでしたが………ふむ。
 丁度、少し前にゴブリンさん達と戯れて――本当に戯れて友諠を交わしたばかりなのですが。因果な運命、というのは存在するのですね」
 『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)は装備の下に白いビキニを着て少しだけ憂いを帯びた瞳で水飛沫を上げて通り過ぎて行く海面を見つめている。
 ゴブリンやその他のモンスターは混沌世界には多数いる。時として敵対することは仕方ないのかもしれない。
「ソルベさんからの依頼……遠目には見たことありますね、話したことはないですが」
 自身の国の重臣に覚えを良くしておいて貰うのも損は無いだろう。そう『蒼海守護』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は胸の内で呟き、蒼い海の日常を守らねばと頷いた。
「私は海洋でのお仕事に参加するのは今回が初めてね。今後も色んなお仕事がもらえるよう、きっちり成果はあげておかないと」
 『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)もココロの隣でサーフボードを脇に風に揺れる三つ編みを撫でながら言った。

 今回の彼等が遂行する任務は海洋の貿易ルートの中でも商船が多く通る海上エリア、そこに頻繁に現れるようになったゴブリンの集団を討伐することだった。
「海洋ならサーフィンもあるのかなって思ってはいたけど、ゴブリンさんが波乗りをして商船を襲っているとは思ってもみなかったよね」
 船の上を時折飛行で飛んで周囲を警戒していた『魔法少女』アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)が降りて来て笑った。
 そう、そもそも今回相手するゴブリンは海に適応したとか、変異種とかではない。
 ただのゴブリンが波乗りサーファーとなって襲って来るというのだ。それも超アグレッシブに。
「盗賊、山賊、野盗なんざどこの世界でもいたもんだが…ゴブリンがサーフボードで海賊は聞いた事ねぇわ、流石に」
 時折来る船のジャンプに合わせて背中の翼をはばたかせることで衝撃を流している『望を喰らう者』天之空・ミーナ(p3p005003)。
「……って、ゴブリンよ!」
 その時。警戒していたアリスの視界の端で水飛沫を上げて移動する緑色の何かが見えた。
「なんだあれ……」
 というより物凄いインパクトを前にしていくら距離があろうと見間違える筈も無かった。本当にサーフボードに乗ったゴブリンが波を我が物顔で駆け抜けていたのだ。
 思わず真顔になるミーナの横からアランが顔を出す。
「海のサーフィンゴブリンってなぁ……アクアゴブリンの類かと思ったがまた違う感じなんだな」
「でもサーフィンはたのしくあんぜんに! きけんな遊びをくりかえすゴブリンはダメ!(●`з´●) こらしめないとね!」
 サイバネティックに光る服にバッテンを浮かべながらQUUAが腕を振り上げる。
「波乗りを楽しんでるだけなら微笑ましいのに。コラー、キミ達ー! 大人しく投降して、もー船を襲わないなら穏便にー……って、やる気満々、かな?」
 フェスタが叱りつけるように船体から身を乗り出して叫ぶが、返すように聞こえて来た「げぎゃー」というちょっとお怒り気味な声に肩を竦める。
 恐らくゴブリン達も同じなのだろう。明らかに速度を上げたらしき水飛沫の量を前にイレギュラーズも 身構えた。

 ゴブリン達の作ったサーフボードの仕組みは単純だ、後部に取り付けられた魔石に魔術師の扱う杖の素材である大樹の枝を組み合わせたレバー。
 それを足で踏む事で強力な水圧が放出され加速・発進する仕組みなのである。
 しかし、これの難しいところは波乗りという技術なのだが……幸いにもイレギュラーズの全員問題なく使えそうだった。
 それに、相手は水上を高速機動で動き回るゴブリン。ならばこれを討つならなんとするか考えるまでも無い。
「乗るしかねぇ、このビッグウェーブに……!( ゜Д゜) みんなー! とっかんするよー!!」
「しかたない、討伐を……何、キューアちゃん? とっかん? って、突貫するのぉー!?」
 てっきりサーフィン作戦に切り替えるのかと思いきや、更に速度が増した警備船の甲板を転がるフェスタが悲鳴を上げる。
 ゴブリン達の数は近付くにつれて明確に二十と分かり、当初から聞かされている情報と相違ない事を確認。後は接敵の末に撃破するのみである。
「ぶつかるよー! ( ゜Д゜)//(舵」
「GOBB? ゲブルァァアアアアアアッッ!!!????」
 グラサンを掛けて先頭を駆け抜けていたゴブリンが「え? まじで突撃するの?」という顔をした直後、警備船は鈍い音を響かせてサーファーゴブリン4体を轢き倒す事に成功した。
 豪快な水柱が立つ。
 後方でゴブリン達が一斉にギャアギャア喚きながらターンするのが見える事から、どうやら運悪く轢かれたのは彼等のリーダーだったらしい。
 何にせよ、ゴブリン達から先手を奪いサーファー出撃の際に生じる隙を無くすことに成功したのは間違いない。
「行きます!」
 ココロが先陣を切るように真っ先に飛び出した直後、イレギュラーズがボードと共に大海原へ躍り出たのだった。

●蒼海のヴェンデッタ

「「 イヤッホウ! 」」
────── ザパァーン!!

 警備船に残るQUUAを抜き、七人。
 船外へ躍り出た彼等は空中でボードに足を乗せ、そのまま海面を氷上を滑るのと変わりないかの如く疾走を始めた。
 上手くモーターの役目を持った魔石を操作しながら波を駆けるは快感の一言だろう。
「よっし! みんな、上手く乗れた?」
 波を掻き分けるボードによって打ち上げられた海水に頬を濡らすアリスが笑いながら杖を構える。
「こういうのは初めてなんだが……っと。なんだ、案外簡単じゃねーか! 問題ないぜ!」
「俺も大丈夫だが……くっ! しかしピーキーだなっ! 馬とはやっぱり訳がちげぇ!」
 ミーナ、アランが応えながら一度船の周りを一周してきて交差する。
 水の上。それも波乗りとあっては、やはり慣れない事もある。それでも上手く乗りこなせそうな感触があるだけ一般人から見れば凄まじい物があると言うものだが。
「滑れる! よーしっ! 後は、ゴブリン達の動きを参考にしてみよっと!」
 そこへ合流するフェスタも額にかかった水滴を拭いながら小刻みに加速を繰り返して調節をしているようだった。しっかりと全身を使ってボードにウイリーを利かせてターンを決める。
「っしゃ、全員行けそうか……来るぞ野郎ども!」
「みんながんばってねー!(`・ω・´) おふねはきゅーあちゃんにまかせて!」
「!?」
 アランが背中の両手剣を抜き放ち、QUUAが船の甲板にワックスをぶちまける。
 偶然それを目撃してしまったエスラの心境や如何に。
 そんな彼女達の目前には、いよいよ自分たちのリーダーが轢き殺されたゴブリン達が一気に殺到して来る。激昂の声か悲しみの声か、絶叫しながら突っ込んで来る大人数に少なからず緊張が走った。
「さてさて、ゴブリンさん達……準備はいいかしら? 誰かや何かを標的に事を起こすのなら、自分も狙われる覚悟はしておいた方がいいと思うわ」
「GUUUURUAAAAA!!」
「落ちろォッ!!」
 アランが剣を薙ぎ、エスラが周囲に浮かぶ魔導書から閃光を放った直後。数瞬遅れて海上を光の矢が渦を巻いて一直線に伸びた。
 その頂点に当たった二体のゴブリンは回避が間に合わなかったのか、ボードごと光の柱に貫かれて莫大な水飛沫と共に吹き飛んだ。
「さすがだね! 私も負けてられないね、ゲンティウス!」
 アランを避けて板を走らせるアリスの杖から放たれる魔弾の弾幕。
 しかし、慣れた様子で散開しつつ弾幕を回避するゴブリン達。
 そのアリスの横に並走する形で、エスラとココロが波を飛び越えて来る。ココロの手元が妖しく煌めき散開したゴブリンの一体に魔力で編まれた糸が飛んだ。
「GORRR!?」
 突然腕に絡みついた糸に切り刻まれ、堪らずゴブリンが海上で波乗りの速度を止めてしまう。
 糸は取れる様子も無く。ましてや動こうとすれば食い込んで切られるのにゴブリンの顔に動揺が露わになる。
 そこへ。
「貰いッ!」
────ザン……!!
 翼と海面を叩いて一気にゴブリンの背後に回ったミーナの刃が頸椎を寸断。エアーを決めながら水飛沫と共に駆け抜ける彼女の背後でゴブリンが沈んだ。
「グぶアァァ!?」
 その隣を抜けたゴブリンはフェスタがすれ違い様に斬りつけ、上手く態勢を崩して落としている。
「ん、なるほど! こんな感じ、かなっ!」
 大分こ慣れて来たのか、水圧放出と波を利用してエアートリックをキメるフェスタ。
 アリスやエスラから放たれる光弾をトリッキーに掻い潜り、波乗りジャンプするゴブリンの様子を見て真似たのだ。
「わわっ! 何いまの、ちょー気持ち良かった!」
 着地のタイミングで加速することで衝撃を緩和する感覚を覚えた事で、広がる海の可能性とサーフィンの何たるかを分かった気がした。
 伝説のサーファーはこういう所から生まれたりする。

「おお~」
 離れた所でどかんどかんバシンバシンと砲撃戦や攻防が鳴り響く中。
 樹里はQUUAが船の周りに樽をポイポイ投げているのを横に、板の上でぺたんと座って感心の声を漏らしていた。
「おぉ……これが、サーフィン」
 試しに手を魔石に取り付けられた枝に乗せて重ねると、ゴボボッと水圧が放出されて板が前に進む。
 これは楽しい。こくんと頷いた彼女はそのまま手を沈ませてボードを加速させた。
 手足にかかる水飛沫の冷たさや海水のしょっぱさも心地良い。
「じゅりちゃん! 向こうからゴブリンきてるよ!(; ・`д・´)」
「はいきました♪ かしこみかしこみ申し上げます。此れより捧げますは果て無きを求める者の一閃。光無き道を切り拓く轟音。
 天まで届く祈り。此れを以て受理の魔砲と成らんことを……」
 アラン達前衛と後衛を抜いたらしきゴブリンサーファー、四体。曲線を描きつつもQUUAの守る船を目指している辺り、未だ何かしらの積み荷を求めているのは変わりないという事か。
 いずれにせよ四体の波状攻撃を受ければQUUAもただではすまない。たまたま行動の遅かった樹里が前に出て、己が信仰を捧げる事で魔力を砲撃へと昇華させる。
「立ちはだかる全てを貫き喰い破れ、我が祝砲おおおぉぉぉおおーー…………
 ドップラー効果全開でボード上に座ったまま魔砲を放った反動のままに後方へと流されていく樹里。
「グゲェァア!?」
 しかし威力は折り紙付きなのか、確かに避けたにも関わらず余波を受けて二体のゴブリンが体勢を崩した。クリーンヒットであれば相当の破壊力だったといえる。
 だが当然。それだけ隙だらけならば射程内の彼等に一撃与えるのは難しくない。
「てぇーい!!」
「GUUU!?」
 恐らくは遠術の類か、船から放たれた光弾に跳ね飛ばされたゴブリンは真っ逆さまに海へ転落した。
 勢いよく駆け続ける板がむなしい。
「GOBB!」
「GOBRRRR!!」
 馬鹿な奴らだ、と笑いながら他のゴブリン二体が一気に船に接近。その手に握る曲刀をたちまちにQUUAのいる船に斬りつけて行く。
「わああ! おふねこわしちゃだめー!(# ゜Д゜)」
 バギン。と、嫌な音が鳴ったのを聞いてQUUAが身を乗り出して叫ぶ。どうやら船の舵を破壊されたらしく、ゴブリン達は一度通り抜けるように離れてから再び戻って来るのだろう。
 周囲に浮かべた樽もあまり効果は無かったようである。

「今の声……キューアの奴か!」
「GOBBR!」
「ちィッ! どけオラァ!!」
 波を見極めて加速。ゴブリンと同時に跳んだアランの剣戟が紅い火花を散らしてゴブリンと太刀打ちする。
 それでも上手く仕留められなかった事に、再度舌打ちしたアランは視界の端を駆け抜けて行った仲間に後方を任せる事にした。
「頼んだぜ、ココロ。エスラ……!」
 二方向からの斬りつけを魔石による水圧放出で水柱を立てて、体勢を崩す事でクリティカルを避けたアランが火焔を纏った剣を振り回す。
 そんな彼の言葉に頷いて海上を疾走するココロは僅かにエスラより早くボードを疾駆させ、つま先で海面を蹴りながら加速する。
 同時に手の中で回した魔銃を構え、警備船に向かおうとしているゴブリン達に銃撃。当たらずともゴブリン達の動きを鈍らせた。
「慣れない戦場ではあるけど、私もそろそろ初心者面ばかりはしてられないし。きっちり決めるところは決めささせてもらうわよ」
 ココロと並ぶ。
 既に射程内に捉えたゴブリン達、逃げられる物なら逃げてみろ。エスラが魔力を集中させた瞬間、一気にかかとを沈ませてターンしながら彼女の魔導書から光の矢が放たれた。
「GYIIIIッ!!?」
 高々と打ち上がる水柱。内側から噴き出すのは光の柱。
 爆発四散したゴブリンの生存確率など考えるのも馬鹿らしい、仲間のゴブリンは咄嗟に見るからに後衛職らしかったココロへ向けてボードを走らせる!
「させませんよ、かしこみ(中略)祝砲ッ! そして私はキューアさんの所まで後退してまさに一石二鳥ですねぇええぇぇぇえぇ…♪(ドップラー効果再び」
「ギャアアアア!??」
 やけにゆるい上にドップラーの効いた声が届いたかと思えば、ずばーん! とボードを弾かれたゴブリンが宙を舞った。
 ココロはその様子に胸を撫で下ろしつつ、前線の方へターンしながら視線を向けた。

●そして波は続いていく
「逃がさない、んだから……!」
 ジグザグに逃げ回るゴブリンを三体追いかけながら、時折波に乗って跳ぶ際に杖をボード代わりに滑空しながらアリスが追い詰めて行く。
 竜胆をモチーフにした衣装が青い海と共に輝きを増し、ボードに改めて着地すると、刹那に瞬いた魔力の収束波が直近のゴブリンを背中から撃ち抜いた。
 盛大に海面を転がるゴブリンを避けた彼女は残りの二匹を上手く誘導することに成功した。
「いっけー! ミーナさん!」
 その時、ゴブリン達の眼前に横合いからいきなり飛び出して来るミーナ。
 一瞬広げられた紅い翼がまるで殺気のようにゴブリン達に襲いかかる。否、それは殺気ではなく毒の煙幕であった。
「GORR!?」
「グゲ……GOOOA!!」
 速度からして抜けるのは容易く、そして毒をまともに吸うに至らない。として……ならば次は距離を詰めるのみ。
 すれ違い様に翼を羽ばたかせて飛び上がったミーナの一閃がゴブリンの一体を仕留め、海へ叩き落とす。
 その直後に滑り込んで来たフェスタがゴブリン達とほぼ変わらぬ動きで肉薄し同じく海へ切り伏せて見せたのだった。
 彼女達はそれぞれが交差し、良い音と一緒に軽く飛沫を上げてターンする。
 見ればゴブリンはもういないらしく。イレギュラーズが勝利したのが分かった。
「終わったかしら?」
「こっちは片付いたぜ。数は報告通りだったしこれで大丈夫だろ」
 アラン、エスラが合流し、横に並んだ。
 QUUAが船の上から樹里と手を振ってるのを見るに、全員無事なようだった。唯一の負傷者がいるとすれば、恐らく警備船だろう。

「やっぱ動かないのか、それなら仕方ないなぁ」
 ミーナが肩をすくめる。
「おふねこわしちゃったら、おこられるかな……?」
「キューアさんのせいじゃないし、代わりにゴブリンも討伐できたから大丈夫だよ」
「そうそう。それに、時間はかかるかもしれませんが皆さんとのんびり楽しめそうじゃないですか……♪」
「もしかしてサーフィン? それなら無事だったボードを何枚か回収したから使おうよキューアさんも」
 船の上から海面に投げ込んだサーフボードはゴブリンから更に回収した物である。一応再び海洋の警備隊に渡すのだが、少なくとも帰還までは好きに使えるだろう。
 ここから港まで波乗りすると聞いて、アランが項垂れた。
「マジかよ……ったく、疲れてねえのかよお前ら」
「えー? 楽しいじゃないですか、ここから誰が一番早く岸まで着けるか競争しましょうよお!」
「やらねえよ!」
「それじゃあお先にね」
 アランがそっぽを向きながら加速しようと足元を動かした瞬間。
 いきなりエスラが手を振ってフライングした事で、一斉にボードを走らせて青い海の上をイレギュラーズが駆け抜けて行ったのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でしたイレギュラーズの皆様。
 全員がサーファーの素質を手に入れた依頼でした。
 今回のシナリオでは如何にスタイリッシュな姿を描けるかに重点を置いた上で、各判定の結果を描写させていただきました。
 皆様に楽しんで頂けたならば最上の喜びに思います、これからも海のシーズンは続きますのでまた近い内にサーファー依頼を出すかもしれません。

 それでは改めてお疲れ様でした。
 またの機会をお待ちしております。

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