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シナリオ詳細

<Genius Game Next>我等、清貧なる夢に駆け巨悪を討たんとす

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 『伝承』、メフ・メフィート郊外――フォルデルマン2世を奉ずる所謂『王党派』を多く擁するその地に、藤野 蛍(p3p003861)の所領は存在する。『ネクスト』に於いて幻想にルーツを持つカオスシードとして存在する彼女は、持ち前の聡明さと生真面目さ、そして桜咲 珠緒(p3p004426)――彼女も傍流の貴族として認識された――との交友をそのままに、領主として己の所領の繁栄を第一に邁進していた。
 そして、彼女の領地が辺境に比して、特に女性がかなりの割合で移住してきていることには、それなりの理由がある。
 ……これは本当に真偽不明且つ状況証拠でしか無いのだが、彼女の領地には『慎ましい胸の民』が存在しない。居たという噂はあれど、噂が立って数ヶ月、遅くとも数年以内に追加報告が上がった事例がない。
 そんなものを継続調査する好事家がいたのかはさておき、現状に於いてそこそこ『大きい』女性しかいない、というのは確からしかった。
「……っていう噂があるみたいだけど、蛍さんも災難だね」
ボクは、さすがに……そういうことは専門外かな」
「ちょっと間が空かなかった?」
 その日も、蛍の領地は平穏で、日参していた玉緒とともに優雅にアフタヌーンティーと洒落込んでいた。彼女が帰れば、また領地の状況確認と運営へと戻るのだろうが……こんな時だけはそれも忘れていいだろう。
 それに、彼女が言う『噂』は強ち間違いではない。ただ、この国では蔑ろにされがちな「適度な栄養、必要な運動、そして少しのエトセトラ」をただ実践しているだけで、淑女達の胸が豊かなのは生まれ持っての資質なのだ。表向きはそのはず、だ。
「ご……ご歓談中のところ大変恐れ入ります! 領主様、たった今こちらに向けて大規模な『砂嵐』からの侵攻を確認致しました! どうやら彼の国の『大鴉盗賊団』の手の者が主体とのことで、かなりの数が見込まれます! それに伴い、防衛に助力を申し出た冒険者も数名ほど!」
 と、唐突に使用人が2人の元へ馳せ参じると、思いがけぬ報告を入れる。現状では到着までやや時間を要し、迎撃の準備を整える暇があるとのことだ。そして、『大鴉盗賊団』は『色宝』なるアイテムを持ち、様々な特異現象を起こすとされている。領地にどんな危険が及ぶか、わかったものではない。
「よし、通してもらえるかな。ボクも前線に出よう。玉緒さんは?」
「珠緒も蛍さんの役に立てるなら」
「……かしこまりました、直ちに。それと、奴等の行動ですが」
「うん?」
 意気込みが固まった2人を見て、使用人は蛍に耳打ちする。どうやら相手の持つ『色宝』の能力だが……げんなりとした顔になったのを見ればロクでもないのだろうな、と玉緒は直感するのだった。


「いらっしゃい、話は聞いているよ。……こんな時じゃなければ、お茶を用意したんだけど」
 一同を招き入れた蛍は、簡単に敵情を説明する。敵の数はそこそこ多いが強烈なトップがいないこと、だからこそ連携を崩す鍵がないことを上げ、場当たり的にはなるが各個撃破、周辺建物の被害を留意してほしいこと、などを告げた。
 「それから」、と付け加えると、彼女はアバターの中で豊かな胸を持つ者を見る。
「今回、盗賊団が持つ『色宝』なるマジックアイテムの効果は『相手の胸を小さくする』効果があるそうだ。永続なのか一時的なのかはわからないが、それを破壊する必要はある。……人死にが起きてないだけ、マシなんだろうけどね」
 苦笑いする彼女に、一同が苦虫を噛み潰したような顔をしたのは言うまでもない。


「あそこが巨乳(あく)の巣窟か」
「チッ、澄まし顔の連中がいそうな雰囲気があるぜ……」
「ああ、俺達の夢のため、ブッちめてやろうぜ!!」
 以上、これからヘイトをぶちまけられる『大鴉盗賊団』の戯言であった。

GMコメント

 全体依頼の流れがわからない? じゃあ頭悪い話で雰囲気をつかもう!

●成功条件
 『大鴉盗賊団』の全滅および色宝破壊

●大鴉盗賊団×20
 パカダクラに乗った機動力高めの数名と、徒歩ですが射程の長い銃器を手にした者達による編成です。
 パカダクラ騎乗者が前衛として突っ込んで銃持ちが後ろから撃つってノリ。力のあるトップはいませんが、だからこそどこを沈めても統率が崩れません。
 小型の『色宝』を持ち、レンジ4全周に該当する女性の胸を強制的に慎ましくします。これが続くと領内の女性もPC各位もたいへんなことに。

●領内兵士×10
 基本的に一撃離脱して撤退を指示されています。死なない程度には戦います。
 基本的に槍衾のように固まって戦います。

●藤野 蛍(R.O.O)
 カオスシードとして、王都郊外の領地を任される立場となっております。
 『混沌』の本人ほど高水準ではありませんが、防御面の性能が高水準で纏まっています。武器は弓(レンジ4)。

●桜咲 珠緒(R.O.O)
 同じく幻想貴族として登録されています。
 本人ほどの能力ではありませんが、反応が高めで、攻撃も治療もそれなりに熟すことが可能です。
 当たり前ですが、命をかけるような無謀はしません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

※重要な備考『情勢変化』
<Genius Game Next>の結果に応じて『ネクスト』の情勢が激変する可能性があります。
又、詳細は知れませんが結果次第によりR.O.Oより特別報奨が与えられると告知されています。

  • <Genius Game Next>我等、清貧なる夢に駆け巨悪を討たんとす完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年06月20日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

蛍(p3x003861)
屋上の約束
珠緒(p3x004426)
屋上の約束
ジェック(p3x004755)
花冠の約束
アンジェラ(p3x008016)
当機、出撃す
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
ウィード(p3x009132)
どこへでも
星芒玉兎(p3x009838)
月光
フローレス・ロンズデーライト(p3x009875)
憧れ焦がれる輝きに

リプレイ


「えっ、本当に色宝の効果それだけ?」
「お胸を、慎ましやかに? なんの為に? なにゆえに?」
「痴れ者ですわね」
 『どこへでも』ウィード(p3x009132)が呆然としたように首を傾げると、『最高硬度の輝き』フローレス・ロンズデーライト(p3x009875)もそれに倣って疑問符を頭部に目一杯に浮かべる。『ネクスト』の非現実的なところは、このようなエモーションも画像効果としてその辺を舞い踊る辺りだ。なお、『月光』星芒玉兎(p3x009838)は比較的『豊か』な方だが、やはりこのテの行為に理解を示せなかった。
「胸? が、小さくなる? ……、もう小さい。抉れる?」
「問題ありません。作戦行動を実行し、対象の胸に影響が出る前に速やかに解決します」
 幼児体型の己の胸を叩き、『せなかにかくれる』ジェック(p3x004755)は不思議そうに首を傾げた。『戦闘用汎用型アンドロイド』アンジェラ(p3x008016)は即座にその問いかけを否定すると、ちらと己の体型に目をやった。どっちでも任務を完遂するだけなのだろう。感情のゆらぎらしきものは感じ取れない。
「ひ、人の我欲って奴はどうしてこうどうしようもない物ばっかりなんでしょうかね……」
「ボクにもちょっと理解が追いつかないね。領地を攻めてくるぐらいの……怨念? 思念? があるのは間違いなさそうだけど」
「珠緒にも、ちょっと……皆さんに解釈をおまかせします」
 『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)の動揺あらわな声に、戦闘装束を纏った藤野 蛍(p3p003861)と桜咲 珠緒(p3p004426)――『ネクスト』のNPCふたりは呆れたように首を振った。あらぬ嫌疑をかけられ、それをもとにした襲撃を受ける。どう考えても彼女らが今回の被害者であり、戦闘に巻き込まれる謂れはないように思えた。尤も、王党派に属する以上は『謂れなき』とは言い切れないが、その事実を2人が知ることはない。
「こっちの「ボク」は随分とお偉いのねぇ」
「珠緒も、呼びかける時に混乱してしまいそうです……珠緒達の名前が『偶然』一緒のようですので、お2人を領主様と桜咲様、とお呼びします」
 貴族2人に聞こえぬように『R.O.O tester?』蛍(p3x003861)が小さくぼやくと、『R.O.O tester?』珠緒(p3x004426)もこくこくと小さく頷いた。互いに互いを見やった4名は僅かな逡巡の後、珠緒の提案を受ける形で互いの呼び名を変えることに了承する。……一人称だけはどうしても変えられまいが。
「ま、それはともかく今回の賊よね! この地に住まう女性達の夢と希望の詰まった……たぶん……胸を慎ましくしちゃうなんて、まさに女の敵じゃない。つまりはボクの敵!」
「賊……単に盗賊というには、踏み外しも甚だしい様です。蛍さんの仰るように、慈悲は不要と断じましょう」
 蛍と珠緒は女性の(そして自分の)敵と認定した相手には基本的に容赦というものをしない。ゆえに、『大鴉盗賊団』の一党はここで壊滅する可能性がぐぐっと上がった。そも、居並ぶアバター群がどれも強力、かつ女性(と、性別不明)であるため相手に対するヘイト値が可視化できるなら、最早並のそれではない。
「……まぁ大小は置いといて、普通に身体の部位を損失させるって考えると、とんでもない効果ですし」
「何らかの強力な理由付けがあるのでしょう。確実に撃破し捕縛、然る後に説明を要求します」
 ウィードは胸の大小の主張はさておき、色宝の能力は案外強いのではないか、と悟る。対象の肉体に鑑賞する、しかも回避や抵抗の余地なく。これが身長や腕、足の長さなら行動力に影響を与えそうだ。何で胸なのか。
 アンジェラが機械的な声音でそれを問い詰めんと考えている事実を聞いた仲間達はとっさに彼女に考え直しを要求……したら、どんなによかったんだか。
「ワタクシも到底理解できませんから、是非伺いたいですわ!」
「胸の大小を変えることでどうにかできる情欲があるのか、是非深く問い詰めたいですわね」
「……『この体』だけなら、別にどっちになってもいい」
 フローレスや玉兎は完全に恥晒しにする気満々で問い詰めるつもりだ。他方、ジェックはその姿が姿なので(多少声音が揺れているが)無表情。ぺたんぺたんと己の胸を叩く姿に、躊躇は見られない。
 なお、カノンと玉兎は装備がずれおちないようにと胸元を引き締め、他の面々も装備の緩みなどがないか確認を密にする。
「オオオオオオオオオオオオオオオ!!」
 片手に色宝を高々と掲げた傭兵たちが騎馬にのってやってくる。事前情報と違わず、騎兵は少数。されど――速い!
「このロリコン」
 だが、忘れてはいけない。
 いかに駿馬を駆って疾走(はし)ろうと、声が届く速さにはかなわない。いかな奇跡に縋ろうと、根底に横たわるのはただただ感情の奔流だ。つまり。
「誰がロリコンじゃガキがァァァァァァ!!!!」
 色宝の輝きを弥増しながら、騎兵数名がジェック目掛けて真っ直ぐ突っ込んできた。
 そして。
「さあさあ! ワタクシを見なさい!」
 音よりなお疾きもの。光、つまり映像――彼等好みの胸囲と光り輝く姿、そして密かに行使されたスキルによって、残る騎兵と銃手もちょっとフローレスに載せられたのであった。


「――領主さま並びにボク達の広い心と大きな胸と深い慈悲にすがって、今頭を下げれば最悪の事態は免れるわよ!」
「知るかァァァァでかいおっぱいに興味ないんじゃあああああァ!!」
 蛍の降伏勧告は、しかし即座に切って棄てられた。ジェックとフローレスへと向かった騎兵突進と蛮刀の振り下ろしは、しかし玉兎の放った星詠みの奥義の前に硬直する。
「仲良く肩を並べて、皆一様に蒼光を浴びて逝ってくださらない?」
「させるか!」
 が、敵とてそれだけで動きを止める根性なしばかりではない。幸いにして逃れた者、そして受けてなお呪縛の力を被らなかった一部の盗賊は、玉兎を――ではなく、ジェックに攻撃を集中させた。
「桜咲様、ジェック様に治癒を。蛍様はフローレス様を、領主様は突出した騎兵を各個撃破で」
 珠緒はマスターキーで敵の猛攻を弾いていくジェックに視線を向け指揮を執る。最悪の場合の後詰めは領兵の槍衾がある。貴族NPC2人も木偶ではないと承知している。戦線維持の布陣に振って、縦深防御を徹底することこそが重要と判断した。
 何より、前衛2人の動きと後方の術士達の能力が優秀すぎる。
「これが怖ろしいのでしょう? 赤子にも劣る大した勇猛さですこと」
「う……うるさい、小さくなれ『そんなもの』!!」
 玉兎、術式を行使しつつも煽る煽る。盗賊達は怒りの叫びとともに色宝を掲げ、彼女の胸を小さくせしめるが、さりとて玉兎は全く気にした様子がない。寧ろ、今しがたそうやって胸を使った挑発や誘惑にどうにもこう、嫌悪を抱いているようにも見えた。……うん、頑張ったよ。
「一人も逃しません!」
「ここを抜けられて女の人達の……その、胸に影響がでるのはちょっとね」
 カノンの魔弾を受けた騎兵の1人がよろめくと、直後にウィードの全力のスキルが飛ぶ。速度重視のシフトを組んだであろう騎兵は、その一撃によって出足を鈍らされる。下手な攻撃よりも厄介だ。
「システム、オールグリーン。適性対象の行動予測正常。撃ちます」
 アンジェラの冷静な声に乗って、火砲は騎兵の動きを止める弾丸を選択する。亜音速に到達したそれは相手が理解するより早くその腕を貫通、微動だにせぬ状態を作り出した。
「……いつの間にか、ボク達の胸も小さくなってるね」
「珠緒の胸もです。領主……様の胸は別に、そのままでも……」
「……桜咲さん」
 桜咲と領主が(律儀にも互いの呼び名を変えて)互いの胸の状態を確認し、慰めあって(?)いる様子は蛍の額に明白なる青筋を立てさせた。そして、珠緒はそれを視認した。
「蛍様、珠緒は射撃兵の討伐に向かいます。貴族様は国の宝、おふたりを頼みます。……あの者等に、根本として、下種な思考を溜めた頭蓋が不要、そう断じましょうか?」
「……うん。治療は任せて。珠緒さんは気をつけて」
 珠緒の、自分の怒りすら抱えるかのような烈火の如き感情の流れに、蛍は思わず首を縦に振るのみであった。

 そして。
「この慎ましやかにして荘厳たるこのカラダ。しかと目に焼き付けると良いのですわ!」
「うおおおおおおおおお!!!」
「銃兵だろうと騎兵だろうと、わたくしの星辰の前に等しく逝ってもらいますわ」
「ぎゃああああああああァァ!?」
 フローレスの自然なちっぱいに誘蛾灯のごとく引き寄せられた銃手達は、翻って彼女が狙える位置から前進することはない。つまり、狙いが固定されるということ。それは玉兎の星辰による奥義を有効に操り、確実な一撃を叩き込めることと同義なのである。
「これ以上前進させませんよ、わたしの命にかえてもね。……動き、鈍ってきたでしょう?」
「ぬ……ぐぐぐ……俺達の……夢のために……!」
「よそ見しちゃだめ」
「それ以上、攻撃させないから!」
 ウィードが前進速度を鈍らせた銃兵目掛けジェックが飛び込み、マスターキーで大仰に撹乱させる。
 その姿へ銃を向けようとした者達には、カノンの妨害魔術が飛び、引き金すらもひかせはしない。
「騎兵の全滅を確認。銃手の範囲殲滅に移行します。十分な距離をとってください」
 アンジェラはといえば、一発ずつ確実に弾丸を叩き込んで騎兵を全員黙らせると、範囲殲滅用の弾丸に切り替えてあちこちへと攻撃を飛ばす。一応本職であろう銃兵達は、しかし目の前の面々に気を取られてロクな対処ができていない。
「なんかもう……ロリコンでいいかな……」
(勝った……あっ違う。アタシに全部引きつけて皆で袋叩きにすれば勝ち)
 自傷行為に走った銃手が呟いたセリフに心中ガッツポかましたジェックだったが、目的がすり替わっていることに秒で気づく。
「慎ましやかなお胸を愛でる。それは大変よき事ですけれど。だからといって、嫌がる腐女子に無理強いしてその想いを満たすなどと……ちっぱい好きの風上にも置けませんわー!!!!」
 この上ないド正論だ。『腐女子?』と周囲の仲間が首をひねったのもつかの間、フローレスの輝きは弥増し、その存在感から盗賊達は目を離せない。
 忘れてはならない。
 数多の人工物よりも、ひとつの天然物が価値で上回るなど当たり前のことなのだと――!


「それでは、今回の行動の説明を希望します。敵を混乱させる手段としては有用、しかし皆様の反応を見るに士気に関わる別の理由があるように見受けられます」
「お胸がコワイのですかしら。それとも慎ましやかなお胸が好き?」
「ばっ……馬鹿野郎! 夢は高く語るモンじゃねえ! しずかに慎ましく主張するモンだ!」
 アンジェラとフローレスに問い詰められた盗賊達は、しかしその理由を話すことを多いに拒絶した。口にすれば他愛も無い話、そしてクッッッソくだらねぇ嗜好の話。それを夢という言葉で糊塗することで、彼等は自尊心を保っている。
 ……のだが、奪われた色宝が目の前で蛍にブチ砕かれたのを見た瞬間、彼等の心はポッキリと折れた。
「何故このような悪事に至ったのか、教えてくれるかな?」
「改心すれば、領主様も命までは奪わないと思います」
 蛍がスゴ味をきかせ、珠緒は小首をかしげて柔らかく。『良い警官、悪い警官』メソッドよろしく高柔併せ持った交渉姿勢は彼等の折れた心に突き刺さる。多分、趣味嗜好は一朝一夕で変わるものではないが、命が懸かれば多少はこう、口にするか否かは変わるはずだ。
(――彼らの汚れた心を清め、巨乳信奉者を増やす端緒にできれば……)
「……ん? あれ?」
 思考の裏側に去来した展望に、蛍は僅かに動揺した。おかしい、自分は胸の大きさにあまり拘りはないはずだが。
「ええと。胸以外でも、もし蛍さんに明確な好みができたなら、珠緒は近づくよう努めますね」
「いや、ボクにそういう好みはなくて、ええと……」
 珠緒の声に、蛍は上ずったような声で応じた。違うのだ、本当にそういう嗜好はないはずで……。
「多分、ボク達の裁量というよりは」
「国家としての戦後処理などに関わると思いますが……」
 そんな2人をよそに、領主と貴族・桜咲はしごく真っ当な事実をぽろっと零す。そう、領主としては多分命を取るまでは考えていないはず。だが、これが幻想王国全土に亘る事態であれば今後の処遇は国家間、ないし国内事案である。実行犯に『適法』が認められるかは、今ひとつ不透明だ。
「残念ですわ、任意で変えられたらよろしかったのに。この胸、正直何かと邪魔で……」
「……ほんとうに。慎ましやかな方が良い、ということはわかりますけれど」
 玉兎は色宝の破壊によって戻った胸元に手をやると、やれやれといった様子でため息を付いた。元の世界そのままの外見である彼女にとって、ネクストですら付き合いのあるこの胸は現実同様、コンプレックスの種なのかもしれず。フローレスがまじまじと見た己の胸元に対する感情は、そんな玉兎には理解できぬものだった。
 ……そして。
「よ……よかったぁ……」
カノンは皆から少し離れた場所で服をめくると、色宝発動前の状態に戻った己の胸に安堵の吐息を漏らした。正直な話、心配はしていたのだ。この状態が永続ではないか、戻れない可能性はないか……と。だが、もとに戻った。玉兎とは正反対の理由で、ひとまずなんとかなったのである。

「小さい方がよかった?! もう一回言ってみなこのスカタン!」
「違うんだ、お前が一番なのは間違いないけどそれとこれとは別で……」
「別なもんかい! いい加減にしておきなよこのグズ! 馬車馬のように働きな!」
「ひぃぃぃぃ……!!」
「……うん。一件落着。雨降って地固まる」
 貧乳がそこそこすきな旦那が妻にばちこんされて働きに出される様子を、ジェックは満足げに見守るのであった。

成否

成功

MVP

アンジェラ(p3x008016)
当機、出撃す

状態異常

なし

あとがき

 小さい方がいいと主張し続けたけど、実物がでかいと他がどうでもよくなることはよくあります。
 ああ、寝具の話ですよ?
 MVPは戦闘面で迷ったんですが……貴女が一番エグいこと聞くから。

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