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シナリオ詳細

<Liar Break>痴愚神礼讃バーレスク

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 さあさあ、お立ち会い、お立ち会い。
 あっちゃもこっちゃもしっちゃかめっちゃか。
「サーカス団員もずいぶんと大騒ぎでさぁ」
 商館の屋根の上、鞘にはいったままの長刀を肩に担ぎ、青年は細い目を更に細める。
 商館の中では自分の配下が人質と資金をしこたまかき集めているところだ。

 幻想楽団『シルク・ド・マントゥール』の公演以来、混乱の続いたレガド・イルシオンだったが転機が訪れた。『ノーブル・レバレッジ』と呼ばれた一大作戦により、放蕩王フォルデルマンをも動かし、サーカスの討伐指令を導きだした。
 しかし、サーカスはそれを敏感に察知する。
 団長ジャコビニとそれに連なる団員たちはキャリアーを狂気感染させ、混乱を広げることにより逃亡を企てる。
 かくして、幻想は狂気のパンデミックにより狂乱の一途をたどった。

 その混乱を利用するのはジャコビニだけではない。砂漠の蠍もまた、動き始める。
 
 「わりかし楽しかったんすけどねえ。サーカス。もっと続けばもっと幻想は荒れる。そうしたら蠍の王の毒をこの国に浸透させやすくなったっていうのに」
 そうは上手くはいかないものでさぁ……!
 細目の青年は立ち上がり、屋根によじ登ってくる狂気感染したピエロと相対する。
「ねえ、きみ、僕の仮面をしらないかい? なくしちゃって、こまってるんだ。ああ、あったあった、そこにあったあったよ! あった、その細い目のかお、それは僕の顔だ、どうして僕の顔をもっていったの? だめだよ、かえせかえせかえせかえせかえせかえせええええ!!!」
 ピエロは狂ったように両の手にもったククリを振り回しながら近寄ってくる。
「ああ、めんどくさい。めんどくさいでさぁ!」
 彼の役目は混乱に乗じて、人材や資材を奪うことである。配下にまかせて自分は高みの見物と行きたかったのだがどうにもこうにも不幸にも。
「友達のみんなも手伝って! 僕の顔が盗まれたんだ!」
 言ってピエロが叫べば、狂気感染したライオンとトラが3頭ずつ現れ、細目の男に飛び込んできた。狂気によって磨かれたその爪と牙には猛毒が仕込まれている。
 ガキンと己の獲物と爪が食い合う。その刹那。飛びかかってきたトラの一頭は微塵に斬られ千々に弾け飛んだ。
 正直全部片付けるのはそれほど苦でもない、しかし面倒にもすぎる。そろそろ配下が混乱に乗じて物資を得て、商人のひとりでも人質にしたころだろう。ここで戦う意味はない。

 ふと、屋根の下の道をみれば、この事態の収拾をつけるために走り回るイレギュラーズの姿。
 ああ、ああ、どうにもいい生贄が現れた。
 細目の男は、屋根の上から、彼らの元に飛び降りた。

「ああ、イレギュラーズのみなさん、助けてください! 狂気のピエロに追われていて!」
 東奔西走する貴方達の目の前に突如男が飛び降りてきた。追って、狂気のピエロと5匹の猛獣もまた飛び降りてくる。
「彼らはサーカスの団員のようです! 助けて! 助けて!」
 男は必死に貴方達に助けをもとめた。
「ああ、たくさん! たくさんじゃないですか! 僕の顔が! いっぱい! わぁ、どれをつけるか悩んじゃうなあ! こういう悩みって幸せな悩みっていうんだろうね! やったああ!」

 貴方は――。

GMコメント

 鉄瓶ぬめぬめです。

 成功条件はピエロと動物たちの撃退
      商館から物資を盗まれることの阻止と人質の開放

 細目の男は拙作『狂騒スコルピオ』で出てきた男ですが、読んでても読んでなくてもかまわないです。
 蠍とサーカスとローレットの三つ巴です。
 スコルピオに参加したPCさんは細目の男の正体に直ぐに気づいてもかまいません。

 細目の男はイレギュラーズのみなさんを利用して、ピエロを押し付けて商館の裏側から戦利品を持ち逃げするつもりです。
 彼は5ターン目まではあなた方の言うことを聞きますが、その後は逃げる気満々です。
 戦闘も手伝えといえば、手伝ってはくれます(手抜きはしますが)。
 いきなり攻撃しても構いませんが、飽くまでも彼はあなた方に助けを求めてきた体裁をとっています。それなりの理由がなければ攻撃はしにくいと思います。それでもする場合は悪名をプラスさせてもらいます。

 また、攻撃をされたらその時点で敵対します。
 その場合はピエロを利用しますし、手抜きをせずに戦います。

 5ターン後空気を読まない愉快な配下がご機嫌で人質をつれて出てくるので、その時点で細目の男ジョンドゥの正体がわかりますので、どのタイミングで対応していただいても構いません。

 
 てきさん

・狂気のピエロさん
 マッドです。顔がほしいです。顔ください。わあ、いっぱい顔があるぞう!
 ククリで斬りかかってきます。ジャグリングしながら斬りかかってきたり振り回して範囲攻撃したり好き放題です。
 どうぶつにひのわくぐりさせるために火炎放射だってできちゃう!
 動物さんたちはお友達。みんなで一緒に攻撃します。(そのターン一度しか攻撃はしませんが、当たれば一発でせんとうふのうになります)
 
 動物さんたち
 ピエロさんのおともだちです。ざんねんながら1頭はみんちになったので5頭しかいません。
 おおきくてきょうぼうです。攻撃全てに毒がふよされます。
 体力とすばやさは高いです。
 
 細目の男
 わりと強いです。砂蠍の部下です。やばくなったら逃げます。いのちだいじに、ジョンドゥからの約束だよ。
 
 細目の男の配下×5人
 5ターン後から登場します。空気よめません。人質をとっています。
 ある程度しばき回したら逃げます。倒しちゃってもいいです。
 ナイフとか弓とかで攻撃してきます。それほど強くはないですけどイキっています。
 
 細目の男が撤退したら一緒に撤退しますし、荷物は置いていくことになるでしょう。

 チーム細目は基本的にPCを狙います。チームピエロは無差別です。お顔がほしいです。


 ロケーション

 商館の前の道です。動きに支障はありません。明るさにも問題ありません。
 
 面倒な三つ巴ですがよろしくおねがいします。

  • <Liar Break>痴愚神礼讃バーレスク完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月27日 22時00分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
天穿つ
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
主人=公(p3p000578)
ハム子
冬葵 D 悠凪(p3p000885)
氷晶の盾
シキ(p3p001037)
藍玉雫の守り刀
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
ライネル・ゼメキス(p3p002044)
風来の博徒
ノブマサ・サナダ(p3p004279)
赤備
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
小鳥遊・鈴音(p3p005114)
ふわふわにゃんこ

リプレイ



 ――あの細目は砂蠍の手のものです。
 突如飛び降りてきた、怪しげな男を見て、小声で『赤備』ノブマサ・サナダ(p3p004279)が仲間に周知する。
(おっけー)
 『ハム子』主人=公(p3p000578)はウインクでそれに答えるとレイピアをかざし前衛に飛び込んだ。
「わかったよ、お兄さん。お兄さんも戦える?」
「少しだけでしたら」
 その横を『風来の博徒』ライネル・ゼメキス(p3p002044)は横目で一瞥し、栄光の手から術式を発し、目の前の虎にうちつけた。
「ああ、ああ、なんと、なんと! 沢山の顔、顔、顔! ああ、貴女のお顔! 私のですよ????? どこでひろってきたんです?」
 ピエロは狂気の笑みを浮かべ、『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)に近づき、顔を奪い取ろうと手を伸ばす。
「これがサーカスでござるか。拙者の蛙顔を奪っても仕方なかろうに!」
 そのピエロのククリを龍神丸で防御し反らせる。吻端をぬけ、鼓膜に向かい一筋皮膚が裂かれ、血がにじむ。
 その突然の攻撃も下呂左衛門の剣豪としての経験則による足運びによってクリーンヒットは避けられる。
「探している顔……もしかしたら、この世では……見つからないんじゃないかな」
 身体強化魔法を唱えた『刃に似た花』シキ(p3p001037)は、虎に向かって走り、一刀両断でダメージをあたえる。
「いいえいいえ、ありますありますともほらあなたの顔がそうでございます」
 完全に狂人のそれだ。言葉は通じない。ピエロにとってどれが探している顔であるかは論点ではない。そこにある顔がすべて探している顔なのである。
「実に面白い展開だ。演劇の参考にさせて貰おう」
 『演劇ユニット』Tricky・Stars(p3p004734)の稔がくいと眼鏡を指先で持ち上げ笑む。
『はいはい、真面目にやろうねー』
 瞬間オレンジ頭に变化し、虚がうんざりとした顔でつぶやく。二人で一つ、一つでユニット。それが彼らTricky・Starsである。
 稔にとっては世の中に起きる全てが『All the world’s a stage, And all the men and women merely players』。
 世界は舞台で全ての男女は役者だ。故にその全てが演劇に繋がるのだ。
(サーカス相手であれば助けるのも吝かではない。だが覚えておけ、無料より高いものはないのだと)
 『尾花栗毛』ラダ・ジグリ(p3p000271)が馬の尾のような白く長い髪の軌跡を残しながらライフルを構え、細目に指示をだす。
「身軽なのなら、獣の意識を逸らせて欲しい、その間に私達がなんとかする」
「はいはい、お嬢さんその訛り、ラサの出身かい? 言葉には生まれが出るものさぁ」
「……」
 ラダは答えず虎を撃ち抜く。
「さあ、動物さんたち! それとピエロ! 私は冬葵 D 悠凪! 私の顔は私だけのものですので貸出もしませんし、そもそも私の顔を持っていかれて騙られるなんてまっぴらごめんです!」
 死霊の壁を展開した『其の力は誰が為に』冬葵 D 悠凪(p3p000885)は名乗りをあげ、戦意を高めるとびしり、と彼らを指差す。すれば、動物たちはその煽りに反応し、冬葵に爪先を向ける。
「あれ? 俺が意識をそらさなくていいんですかぃ? まあいいですけど。怖い猛獣と遊べばいいんすかね?」
 へらへらと細目は細長い刀を振り回した。
(あれは、魔種ではないようですね。呼び声の狂気。とても深く感染しているという所でしょうか? ――それにしてもこの男、私達を見るなり迷いも躊躇いも驚きも無く『イレギュラーズ』ですか……そも立ち居振る舞いからして心得の無い一般人のそれではない。サナダさんの言葉からも砂蠍の幹部かそれに近い存在といったところか)
 『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)は状況を冷静に判断する。今は敵対するのではないのであればそれで良い。芝居のつもりでもなんでも。使えるものは使うだけだ。
「其方から出てきてくださるとは都合の良い。探す手間が省るというものです」
 虎の至近距離まで近づいたアリシスはその細く長い白い指に高めた魔力を携え、戦乙女の槍に注ぎ込むと一気に突き出せば、集中攻撃を受けていた虎はあえなく動きを止める。
(うう、ピエロさんはともかく動物さんを攻撃するのは悲しいですの。で、でもっ! これはお仕事なのです! 仕方ないのですぅ)
 猫耳を後ろに伏せ、悲しげな瞳で『ふわふわにゃんこ』小鳥遊・鈴音(p3p005114)は傷ついた仲間にヒールを送り込んでいく。
「ああ、ああ、なんということだ。僕の虎さんまで! この虎さんは僕が丹精込めて人間という餌を与えて育ててあげたのに! かわいそうに! 君たちに心というものはないのかい????????!! 動物を殺すなんてなんて非道! 悪魔! 鬼ッ! あああ、殺そ、動物を殺すお前たちを殺そ。そうしよう。最高じゃん!」
「言ってることめちゃくちゃ」
 公がうんざりと吐き出す。
「みんなみんな、頑張って攻撃しよう! あ、そこの蛙さん、僕のサーカスに参加しなよ! それが嫌なら顔をおくれよ」
 さり気なく溜めをしている下呂左衛門を目ざとく見つけたピエロは動物たちを呼び出し、ククリの先を下呂左衛門に向ける。
 ォオオオオオオン
 咆哮を上げた動物たちと一緒にピエロが狂気の嗤いでもって下呂左衛門に斬りかかる。
 とっさに竜神丸を構え防御の姿勢をとるが、そのターンの全てのリソースを使い切ったその攻撃の前では防御力も意味を為さない。彼はそのまま戦闘不能になる。
「ふざけたナリでこりゃあ馬鹿にならねえな、1体削っても残りがいれば何度でも仲良く攻撃できるってことか」
 その火力に汗を垂らしながらも、これ以上の攻撃がないように、倒れた下呂左衛門を担ぎ、ライネルは後ろにさがり、ヒーラーの鈴音に彼を託す。
「とにかく! 今がチャンスです。重ねていきましょう!」
  怒りで動物を引き寄せ続ける冬葵が合図をすれば、シキが頷いて、この隙に最大攻撃のための溜めを始める。
「了解、次はあっちの白い虎で」
 稔が名工により設えられた楽器をミュージカルスタァのように構え、白虎に接触させれば、再生の原理が逆転する。その間をおかずにノブマサが音もなく近寄り、戦斧を振り上げ一刀のもとに斬りつけた。
「ああ、へぇ」
 そのノブマサの戦斧の軌跡をみつめ細目の男の口元が釣り上がる。
「動物いじめるのかわいそうだよぉ!!」
「動物を武器にしちゃうほうが可愛そうですぅ!」
 ピエロの嘆きに鈴音が反論しながら回復を続ける。
 ラダはその間にも現場に対して聞き耳を立てている。今の所これと言った情報を得ることはできてはいない。
「今の得物は動物向けだ。骨ごと吹っ飛べ!」
 アリシスも蝶の姿に変えた死の概念を白虎に向かわせる。

 一進一退の状況は続く。ピエロは近づいた者を動物ごと火炎放射で焼き尽くし、状況を混乱させていく。溜めおわったシキの紫電一閃が敵ユニット全体にダメージを与えるが、倒し切るには至らない。

「ジョンドゥのアニキー! やったぜ! いっぱい伊勢海老ゲットだぜ! うわ、なに? アニキ、めっちゃ人おるやん」
 そんななか脳天気な盗賊たちの声が聞こえ、人質を連れて商館から出てくる。まったくもって空気は読めていない。
 細目はあちゃぁと頭を抱える。まあ仕方ないけど。
「ほらほら、仕事でさぁ。ちょっとサーカスに絡まれたんでさぁ。さっさと片して、帰るでさぁ」
「わかったー! アニキ、よくわからんけどとりあえずわかったぜ!」
「やべえって思ったら、エビでもなんでもいいから、金目のモンもって逃げるんでさぁ」
「わかったー! でも倒してしまってもいいんだろーアニキぃ?」
「もうやだ」
 そのコントのような時間を見逃すイレギュラーズではない。即座に細目に立ち向かい、行く手を阻むはノブマサ。
「お前達の好きにはさせないぞ、ジョンドウ」
 突如斬りかかるもノブマサの戦斧は届かない。
「俺の正体に気づいてたのは気づいてたよ。本気で隠すんなら、太刀筋も変えないといけないでさぁ、なあ? 『赤備』」
 見た、太刀筋だ。と鍔迫り合いをしながらジョンドウは嗤う。
「そういえば名乗っていなかったな。ラサ傭兵商会連合、真田赤備衆のノブマサ・サナダだ」
「そりゃあどうも。ジョンドウ。そっちは知ってると思うが、名乗りには名乗りをかえすもんでさぁ」
「ぬけぬけと、貴様のそれが名乗りなどと」
 ジョンドウ。それは身元不明の死体に便宜上名付ける名だ。どう考えても本名であるはずがない。
 他のイレギュラーズも迅速に人質の開放に向けて動き出す。
 冬葵もまた人質の防御に向かおうとするが、今度は逆に動物とピエロに阻まれ動くことはできない。
「おい、あっちにも顔はあるぞ!」
「あの人があなたの顔をぬすんだんですの~」
「あいつらに逃げられたらその顔は二度と手に入れられなくなるよ」
「ほら、盗賊だとよ、あいつらがお前の顔も盗んだんじゃないか?」
 ラダと、鈴音、公にライネルが口々にピエロを言いくるめのスキルを含め煽る。
「やだよぅ、だってこの子が僕を呼んでるんだもん! このコの顔がいい! このコがいい!! カエルさんをもっていったのは君たちじゃないかぁ! だったらこのコのちょうだいよ!」
 この場合、非戦スキルよりも怒りというBSのほうが引き付ける力は優先される。冬葵はこの時点で口上は使ってはいないが、BSには持続時間がある。一度かかったBSが回復もなく都合よく自然回復する可能性はそれほどに高くはない。
 この時点で獣は1体。ピエロは健在。そこに盗賊が5人。
 そして、正体がバレたことによりジョンドウは演技をする必要はもうない。。状況は悪化する。
 風の如く動くはシキ。彼らの作戦の最優先骨子は『人質の無事と確保』である。ラダの銃弾が人質を掴む盗賊に打ち込まれ、ライネルもまたマギシュートでの援護を重ねる。しかし人質を確保するにはまだ足りない。もし誰かがノックバックで盗賊を吹き飛ばすことで隙を作れたら、怒りで気を逸らすことができたら、シキがその機動力を活かしてすぐにでも奪うことも難しくはなかっただろう。
 状況として人質を後ろ手に掴む盗賊を倒さなくては人質を得ることはできない状態だ。彼らとて人質は重要な物資の一つだ。狙われたのであれば対応する。
「とにかくそいつ、倒さなきゃ!」
 イレギュラーズは状況に応じて作戦を変更していく。アリシスが告死蝶を盗賊に放つことを皮切りに他の者もまた盗賊に攻撃の矛先を変える。
「めんどくさいことになってきたんでさぁ。人質はもう良い、物資もって退くでさぁ」
「アニキ! こんくらいなら勝てますって!」
 心底この状況を面倒であると判断したジョンドウの言葉に一瞬盗賊から人質への意識が外れる。シキはその瞬間を見逃さない。人質を縛るロープを掴むと一気に引き寄せ、冬葵を見る。ピエロと動物に囲まれる彼女に預けることは無理だ。
 ならば、とシキは人質を連れ、戦場から離脱することにする。自分の機動力を持ってすれば追いかけることは不可能だろう。安全な場所に人質を待機させ戻ってこればいい。
「退くのなら物資を置いて退け」
 ラダが撤退勧告を細目に告げる。
「人質は差し上げただろう? 物資くらいは見逃してくれたら、俺らも退くでさぁ」
「アニキ! いけますって!」
「ごーごー! アニキ」
「お前ら頼むから、俺の言うこと聞いてくれないもんスかねえ?」
「ふざけるな。物資は置いていけ。お前たちは去れ!」
 ノブマサが低い声で唸りながら一刀両断をジョンドウにむけるが半歩体をずらし、抜刀した刀で弾かれたことで、クリーンヒットには届かない。
「交渉決裂ってとこでさぁ」
「顔ぉおおおおおおお!」
 漸く怒りの効果の解けたピエロが、残るライオンとともに、盗賊の一人に食いかかる。そんな伏兵を意識していなかった盗賊は、あっさりと頭からライオンに食われてしまう。鈴音はちょこちょこと走り回り、その手からおとされた物資をちゃっかり確保する。
「それ、頭から食べちゃったら、顔なくなってるじゃん!!」
 思わずツッコム公。
 状況は混戦になだれ込む。ピエロの攻撃は無差別に無軌道に、無頓着に盗賊、イレギュラーを問わず放たれていく。イレギュラーズがピエロの軌道を誘導しようと煽れば同じように盗賊たちも煽り、不毛な無軌道のピエロ誘導は続く。
 数人がすでにパンドラに願い、もう一度立ち上がった。鈴音も回復を続けているが限界ももう近い。
「私達を楽団員にぶつけて利を得ようとしていたのかもしれませんが……この膠着状態。不毛にも程がありますが……さて、如何なさいますか?」
 アリシスが目を細めてもう一度彼らに撤退を告げる。
「はぁ、やってらんねえでさぁ。俺は退く。動けるうちにお前らも帰れ、損得の分水嶺はとっくに超えてるでさぁ」
「アニキー! まってー」
 盗賊にとって不利な状況になり、さすがのイキっていた盗賊たちも戦意を無くし、撤退する。
 多少の物資は奪われたままだが、ピエロを放置して追いかけるほどにこちらも余裕はない。
「キングスコルピオに伝えておけ。何度だって潰してやる」
 ジョンドウと斬りあった結果、その場に倒れるノブマサは残りの力でもって、鋭い目でジョンドウの背中に宣言し、意識を手放した。
「キングにつたえておくでさぁ。赤備の傭兵はずいぶんと厄介だってな。そこの銃使いの嬢ちゃんもラサの傭兵でさぁ? ほんとうにラサの奴らはうざくてしかたねぇでさぁ」
 事実、ノブマサの健闘はジョンドウを疲弊させ面倒と思わせ退かせるという判断に一役かっていた。
 背中越しに手をひらひらとさせて、ジョンドウは足を引きずり去っていく。誰も彼らを深追いはしない。
「アニキーまってー」
「頼むから次から言うこと聞いてくれでさぁ!」
「はーい!」

 その盗賊たちと入れ替わりにシキが戻ってきた。
「人質の方は安全な場所に、状況は……ピエロだけですか」
 残るはピエロただ一人。
「さみしいよう! 寂しいよぅ!」
 言いながら、炎を吐くが、ピエロとて満身創痍。
「シキさん、おかえりなさい。まだギリギリなんとか……耐えきりました」
 冬葵が不敵に笑む。正直余裕はない。だからこその笑顔だ。
「んじゃあ、あとは一気にいくか」
 ライネルが片手の賽を振る。OK。出目は6ゾロ。幸先はわるくない。
「おっけー、あと一息! 鈴音ちゃんもいける?」
「はい、なんとかがんばりますの」
 公が攻撃よりも回復役に自分の立ち位置を変え、同じく回復役である鈴音に声をかければ、回復をずっと続けてきた鈴音が健気にもまだ行けると微笑む。
「そろそろ終幕だな。この演目には飽きてきたところだ」
『今回の無茶ブリは流石にもうかんべんだからな! キノコ頭!』
「低俗馬鹿は芸術に興味がないのか? 無茶振りをこなしてこそ、演劇だろう」
 ずいぶんと長く続いた演劇もここで終わらせると、ユニット『Tricky・Stars』は幕引きのための気の利いたセリフをと考えながら、マギシュートを放つ。
 残る彼らの闘志はまだ潰えていはいない。アリシアが無言で告死の蝶を放ち、ラダの弾丸がピエロの脳天を貫き、顔を求めるピエロは沈黙した。


 はぁ――。
 ジョンドウは大きくため息をつく。多少の物資は持ってこれたとはいえ、本当に多少である。キングに怒られる。
「俺は、火事場泥棒は向いてないんでさぁ」
「アニキ! どうしよう、伊勢海老あらへん……」
 もう一度ため息をつくジョンドウの部下の盗賊が悲しげに物資を集めた袋の中身をみて絶望した声でつぶやくのを聞き、ジョンドウはさらにもう一度、盛大に溜息をついたのだった。
 

成否

成功

MVP

ノブマサ・サナダ(p3p004279)
赤備

状態異常

河津 下呂左衛門(p3p001569)[重傷]
武者ガエル
ノブマサ・サナダ(p3p004279)[重傷]
赤備

あとがき

危ないところはところどころありましたが、ギリギリ成功です。
奪われた物資は問題ない範囲でした。伊勢海老は取り戻しています。
判定面は基本的にリプレイ内に。
三つ巴になった場合の状況に対する対応が言いくるめだけでは少々弱く感じます。
その行動が有利に働くのであれば、三つ巴の場合相手も利用するでしょう。
防御に回る場合は自分もまた自由な立ち位置である必要があります。
あちら側がこちらの動きを阻害する場合もありますので、ご注意くださいませ。

それでは参加ありがとうございました。

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