PandoraPartyProject

シナリオ詳細

『大鴉』頭領と悪の都

完了

参加者 : 8 人

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オープニング

●R.O.O
 Rapid Prigin Online(ラピッド・オリジン・オンライン)――通称R.O.Oと呼ばれるそれは、旅人たちが集う練達にて作り出されたフルダイブ型仮想空間のことである。
 練達に集う旅人は強制召喚を良く思っておらず、自力で元の世界へ帰還することを目標に日々研究へ打ち込んでいる。R.O.Oもその一環であり、混沌と近い場所を作ることで世界の『法則』を研究することが目的であった。

 ……目的であった、のだが。R.O.Oは既に練達のコントロールを外れてしまっている。

 詳細に言うと、R.O.Oに生じた深刻なバグによってゲームマスター(三塔主)の権限の一部がキャンセルされ、ログイン中であった『プレイヤー』がいつまで経ってもログアウトすることなく――ゲーム内に閉じ込められている、という事態が発生している。
 今からログインする者は仮想世界から戻ってくることが可能だが、一度ゲーム内に閉じ込められたプレイヤーたちがログアウトできないことには変わりない。そしてどうやら、彼らはゲーム内でクエストの救出対象とされているらしいのだ。
 三塔主はこのログアウトできないプレイヤーの救出、及びバグの発生原因調査をローレットへ一任することとした。
 イレギュラーズたちが個々にアバターというもう1人の自分を作成し、向かうはR.O.O――『ネクスト』。


●ネクスト
 第二の混沌と呼ばれるネクストだが、その詳細は多少異なる。各国の名前も違うし、フォルデルマン三世じゃなくてフォルデルマン『二世』だし……現実では死んだとされている者までこのネクストには存在している。
 そのうちの1人が大鴉盗賊団――否、砂嵐中核傭兵団『大鴉』団長、コルボ。その姿形こそ変わらねど、一応、名目上、傭兵団である。
 とはいえその活動は完全に盗賊団としての属性を残している。そもそもネクストにおける傭兵『砂嵐』は地獄の沙汰も金次第、首都ネフェルストは悪の都と呼ばれるほどだ。想像し得るあらゆる悪が肯定された場所、と言えばどのような場所か凡そ考えつくのではないだろうか。
 砂嵐では金を支払うことで安全を買わなければどうなるかもわからない。それでも高を括っている者はいるもので、そういった者たちから金品諸々を巻き上げて自らの潤いとしているのである。
(まあ、すぐに会えるとは思ってねェが……)
 そんな砂嵐中心のクエストを眺めるは女傭兵、クシィ(p3x000244)。かの地を主な活動場所としている彼女が好きなものは酒と女と金、それから大鴉傭兵団の頭領コルボ。
 現状は完全に片思いであるが、未来は不確定なものだ。ならばいつしかコルボに信頼されて、大鴉傭兵団での地位も獲得して、それからそれから――!!
 ……というコルボに恋する乙女のロールプレイをするアバターである。中の人? 存じ上げませんね。中の人の詮索は止めてあげよう。
 ともあれそういう理由もあって彼女は砂嵐のクエストを受けようとしているのだった。そんな彼女が選択したのは人身売買に手を染める商隊からの奴隷解放。思い出されるのは混沌世界でも起きていた奴隷市とか、ザントマンとか、あとは今回のログイン目的でもあるプレイヤーの解放とか。
(多分これは、それだな)
 この奴隷とやらがログアウトできていないプレイヤーなのだろう。研究者なのか協力者なのかはわからないが、イレギュラーズは彼らの救出も依頼されている。
「……ん? この商隊、砂嵐でも目を付けられるって?」
 ふとクシィが目を留めたのはその一文。このクエストを受けると、一定確率で砂嵐の傭兵団が金品を巻き上げるため加勢してくれるらしい。一時共同戦線ということか。誰が現れるかも確率に左右されるそうだが――僅かでも可能性があるのなら、行かぬわけにはいくまい。

 かくして乙女の願いが届いたのか。
 商隊を追う冒険者たちの前に立ちはだかったのは恋するあの人、コルボ。
「おう、てめェらもアレを追ってんのか? アレは俺達『大鴉』の獲物だ。横取りするつもりならぶちのめすまでだが、手伝うってンなら多少の分け前はくれてやっても構わねェ。

 ここで殺られるか、手を貸すか――選びな」

GMコメント

●成功条件
 奴隷の救出

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。不明点もあります。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●エネミー
 冒険者の集団です。全体的に飛びぬけた能力の者はおらずそこそこの力量ですが、数の利があります。
 また、R.O.Oにおいてパンドラはありません。友軍任せにすれば容赦なくデスカウントが上がることでしょう。
 以下、集団の詳細です。

・冒険者(剣)×15
 片手剣と盾を持ったカオスシードたちです。中肉中背の平均的な者ばかりです。
 堅牢な守り手であり、誰かを庇うことが可能です。初動は早いですが攻撃力は他の攻撃手より抑えめ。
 接敵時には荷馬車や商人を中心に守りの体勢を取ります。

・冒険者(弓)×10
 弓を持ったブルーブラッドたちです。がっしりした体格の者が多く、力強く弦を絞る事が出来るでしょう。
 的確に矢で射抜いてきます。また範囲攻撃にも優れています。BS付与できる攻撃手段があります。
 接敵時、近づいてこようとする皆様を足止めにかかるでしょう。

・冒険者(魔法)×10
 杖を持ったハーモニアたちです。女性が多いですが、見た目のたおやかさに油断すると危険です。
 攻撃・回復ともに高威力であり、初動は遅め。MアタとAP吸収の攻撃手段を持っています。
 接敵時、弓持ちの冒険者同様に皆様の足止めにかかってきます。

●フィールド
 砂嵐内です。砂漠地帯であり、足場は非常に悪いです。
 天候は快晴。風もなく、ジリジリとした日差しが上から照り付けます。

●友軍
・大鴉傭兵団頭領『コルボ』
 ボス自らお出ましです。砂嵐に存在する傭兵団のひとつを束ねていますが、彼とその配下はいずれも傭兵団というより盗賊団としての面を強く持っています。
 非常に強欲な男であり、それを得るための力も持っています。この戦いにおいて、放っておいても死ぬことはないでしょう。
 彼の癇に障ること(商隊の持っていた金品をこっそり頂いていくとか)をしなければ優秀な戦力となってくれます。また、筋道立った作戦を提示するならば配下をそのように動かしてもくれるでしょう。
 格闘術で迫る近接ファイター。とても頑丈な男です。放っておけば剣持ちの相手に挑みかかっていきます。

・大鴉傭兵団配下×12
 コルボに従う部下たちです。彼の命令のみに従います。
 頭領同様に至近~近接距離を得意とする者が多いですが、数名は中距離~遠距離からの攻撃手です。
 大鴉傭兵団に集う理由は様々のようですが、皆コルボを信頼している様子です。
 放っておけば弓・魔法使い優先に殴り込みしてくれます。

・商人たち
 商隊を率いる者たちです。いずれも金を支払わず砂嵐を抜けようとしています。
 護身程度の力しか持ちません。その分護衛は人数を多く揃えてきたようです。

・囚われの奴隷
 お察しの通り、ログアウトできない『プレイヤー』です。冒険者としてログインしていましたが、今は囚われの身としてそれらしい武防具も没収されています。
 商隊の護衛を倒し、奴隷たちを開放した上でコルボから一時共同戦線の終了を告げられるとクエストクリアです。終了を告知された直後、突然大鴉盗賊団が殺しにかかってくるなどのトンデモ展開はないのでご安心ください。

●ご挨拶
 愁と申します。
 再び大鴉を書くことになるとは思いませんでした。コルボが生きてる。
 皆さんは当然ながら『手を貸す』選択肢でクエストクリアに向かいます。それでは共同戦線、いってらっしゃい!

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • 『大鴉』頭領と悪の都完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月30日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クシィ(p3x000244)
大鴉を追うもの
まな(p3x000350)
小さな勇気
ザミエラ(p3x000787)
硝子色の煌めき
天魔殿ノロウ(p3x002087)
無法
リュカ・ファブニル(p3x007268)
赤龍
真読・流雨(p3x007296)
恋屍・愛無のアバター
カメリア(p3x009245)
氷嵐怒濤
キサラギ(p3x009715)
雷火、烈霜を呼ぶ

リプレイ


「へっ、傭兵団頭領直々にお出ましたァ盛大なお出迎えだなァ」
 相手の立場を知りながら、それに動じることなく笑ってみせた『狐月三刀流』キサラギ(p3x009715)に『大鴉傭兵団頭領』コルボは目を眇めて見せる。
「あ? なんだ、殺られてェってか??」
「おっと、勘違いしねェで貰いたいな。"今日は"アンタとやり合う気はねーよ。手を貸せ、ってことならな」
 勿論その軍門に下れというのならば話は別だが、彼は先ほど『ここで殺られるか、手を貸すか』と言った。あくまで一時的な共闘ということだ。それならば一同に否やはないのだと、キサラギは彼へ返す。
 その後ろで――『大鴉を追うもの』クシィ(p3x000244)はめちゃくちゃコルボをガン見してた。恐らく彼が彼女を見たならぱっと視線を逸らしただろうが、兎に角見つめていた。
(あれはコルボだけど、コルボじゃねェ。コルボによく似た別人だ)
 そう心の中で呟くのは当然、クシィの『中の人』なわけで。『彼』は混沌で起きたことがこのネクストでチャラになるわけではないのだと、よくわかっていた。混沌で起きたことは当然覆せるものではなく、このネクストにおいてはそもそも起こらなかったことなのだと。
 故に、自身も全くの別人になろうとした結果がクシィなのだが――どうして見つめているのかと言えば、彼女がコルボに恋する乙女(というRP)だからだ。混沌より目線の近い彼になんだかドキドキしてしまう。それはクシィが恋する妖精だからなのだけれど、でも、だって、どうしよう!
 クシィは知っている。一番最初の印象は大事で、その後どれだけ興味を引くことができるかも十分大事なのだと。そして今、この時は、一番最初の印象部分なのだと。
(えっどうしよう! どうしよう!? 極めて友好的に……友好的ってどうやって!?)
 好きな人にはいいとこ見せたい――故に、彼女は大混乱の中にあった。はわ、とか、えっと、とかしか出てこない。
「お、お噂はかねがね……」
「なんだ、いい女もいるじゃねェか」
「ヒェッ!?」
 コルボの言葉にクシィはあっという間に顔が熱くなるのを感じた。実際はその後に「ガキもいるのか」とか続いたり――要するにコルボは冒険者側のメンツを確認しただけ――したのだけれど、恋する乙女は時に都合よく解釈するのだ。
(うでがふとい……大鴉に永久就職したい……)
 思いきり乙女思考に染まっているクシィ。果たして『中の人』は無事なのか。
「てめェら、精々役に立てよ。多少の分け前が欲しいってンならな」
「大鴉盗ぞkじゃなくて傭兵団の人、夜に見たら失神しそうな面構えで頼もしいね! よろしく! 分け前くれるんならなら、商人とか護衛とかは別にいいけど、奴隷さん達は殺さないでね?」
 挨拶混じりにすかさずこちらの希望を伝える『硝子色の煌めき』ザミエラ(p3x000787)。コルボは怪訝な顔をしてそんなものが欲しいのか、という視線をくれたが否と言わないということは是なのだろう。
「俺たちの目的はアイツラに囚われた仲間だ。金品の類は好きにしな」
「はっ、仲間か。お優しいこったなァ」
 構わねェとコルボは『赤龍』リュカ・ファブニル(p3x007268)に今度こそ首肯した。そして彼は部下たちに奴隷への手だしをしないよう通達する。
「……本物じゃねえってわかってても、コルボと肩を並べて戦うっつーんは妙な気分だな」
「まあでも、コルボも部下達も強いことはよーく知ってるし、頼りにできるならラッキーだよね!」
 リュカとザミエラはひそひそと、彼らに聞こえぬよう言葉を交わす。敵に回せば厄介なことこの上なかったが、味方となれば心強い。
(実質は盗賊団のまま、とはいえ、ラサの中核とは、な)
 にこにこと喋っていたザミエラの心情は酷く、落ち着いていて。その喋りがまったく同じように出てしまえばそれなりのプレイヤーにバレるのだろうが、彼女に科せられたセーフティも相まってうっかり名前とか口調とかが出る心配はない。
「にしたって、商人も馬鹿な真似したよなァ。金さえ出しときゃ大鴉に狙われる事もなかったろうに」
「おうよ。それを『取り締まる』のが俺らの役目ってところさ。押し付けられるのは気に食わねェがな!」
 商隊を追いかけ始めた一同。『無法』天魔殿ノロウ(p3x002087)の言葉にコルボはふんと鼻を鳴らす。彼からすれば『しなければならない』ことが煩わしいのだろうが、それでも従うのはこの砂嵐の一部として動いているからか。
(まあ金出してもオレらに襲われるんだが)
 どちらにせよ運がなかった、で良いのだろうか。ゲーム内で用意されているクエストだから、ある意味確定した未来とも言えるのだった。
「何はともあれ……僕は、僕にできることを……全力で、頑張るだけです……」
 『マナ・ニールのアバター』まな(p3x000350)は真っすぐに視線を前へ。過程はどうであれ、心情はどうであれ、すべきことは変わらない。囚われた人(プレイヤー)を助けるのだ。
 一同の後方についていた『恋屍・愛無のアバター』真読・流雨(p3x007296)は大鴉傭兵団の面々をそっと見やる。
 ラサ――混沌で一度、敵として相まみえた者たちだ。部下は知らない者ばかりだが、彼ら傭兵団の規模を考えればさもありなん。しかし現実の死人と共闘とは、奇妙な気分である。
(何にせよ、楽をさせてくれたまえよ)
 彼らが傭兵だと名乗るのならば。此方の世界の『砂の傭兵』の仕事を魅せてもらおうじゃないか。
 コルボだけではない。このネクストにおいては、現実で有り得なかったことが起こりうる。故にこの戦いには価値があるのだと『氷嵐怒濤』カメリア(p3x009245)は、皆の後を追いながらつと目を伏せる。
(皆様、想いはそれぞれでしょけども――手を貸しましょう)
 カメリアもまたクエスト達成を目標とするものの、その過程となる戦いには興味がある。それを目で、音で、状況で学んで次への布石とできるように。彼女は紫衣の男、コルボへと視線を向けた。
 全力で砂上を進む一同は、ほどなくして商隊の姿を認めた。それなりの大所帯ということもあって足は速くない。
「てめェら、準備はいいな?」
 コルボの声に部下たちがニヤリと笑って武器に手を触れさせる。いつでも準備万端と言うように。
「それでは、わたしは前衛として。火力を発揮し、状況を切り拓く刃となりましょう。……得物は拳ですけども、ね?」
 カメリアは拳を握って、開いて。そして共闘する大鴉たちを見やる。彼らの動きも見せて貰おう。
「それでは――始めようか」
 流雨は大きく跳躍し、商隊の中へと勢いよく降り立つ。そして魔術師と思しき者たちを見るや否や大暴れし始めた。
「てめェらも遅れンじゃねェぞ!」
 商隊を護衛する冒険者たちの敵視が流雨に集まるも、そこへコルボ率いる大鴉傭兵団が雪崩れ込む。相手は不意の事態に賊かと身構えるも、コルボの纏う紫にハッと顔を強張らせた。
「大鴉傭兵団……!」
「流石に俺を知ってるってか? ならてめェらに何の用かも知ってるよなァ? えェ!?」
 笑みを浮かべながら前衛へ体当たりをかますコルボ。その顔はやはり現実でも知ったる盗賊の顔である。蹂躙せんとする彼を数人がかりで押さえつけているが、さていつまでもつのだろうか――などと思いながらノロウもまた動き出す。
(攻撃は最大の防御、ってな)
 最悪、囲まれたって攻撃し続けていればHPなどは回復するのだ。何があったとしても攻撃さえすればどうにかなるし、こちらに引き付けられるなら周りの負担も減る。
「ほっといても死ななそうだな、アイツ」
 キサラギもコルボを尻目に敵後衛側へ向かう。的確に撃ってくる弓持ちの冒険者は後々面倒なことになりそうだ。長距離レンジで戦えるというのもこちらの被害を増大しかねない。
 この砂上で障害物など殆どもないが、可能な限り人を死角にして接近したキサラギは焔で焼き払わんとする。多少手元が狂いがちだが、そこは圧倒的な手数でカバーだ。
「うざってェやつから潰してくのは鉄則だよな!」
 クシィもまたキサラギに続き、敵の後衛へと向かう。リュカと大鴉傭兵団のメンバーも続き、雪崩れ込んだ。
「人数が多けりゃ全員は止められねえだろ!」
 迎撃を受けながらも足を止めず、敵陣で暴れまわるリュカ。その攻勢に傭兵団のメンバーも士気を上げる。
「兄ちゃん、いい暴れっぷりじゃねぇか」
「俺らも負ける訳にゃいかねえなあ!」
 元々が血の気の多いやつらなのだろう。弓と剣を持った冒険者が迎撃し、魔法使いが回復して耐えようとしているが若干押されているようにも見える。リュカは隙間を縫って魔法使いたちの前まで接近した。
「美人をぶっ飛ばすのは性に合わねえが、戦場で出会ったんなら仕方ねえよなぁ!」
 リュカが暴れるその戦場へ、ザミエラも魔法使いたちめがけて突っ込んでいく。カメリアもまた、味方を巻き込まぬようにと照準を定めて。
「――冰焔撃・天墜!」
 重い一撃を魔法使いたちへと放った。
 こうして早くも乱闘と相成った後衛側の一方で、前衛側も少ない人数ながら暴れまわっていた。主に、コルボが。そこで共に戦うまなは、一撃必中の爪で飛び掛かりながらヘイトを稼いでいく。
「ボウズ、なかなかいい動きするじゃねェか。だが俺の邪魔はするなよ」
 その動きにコルボは目を細め――戦いを楽しんでいた時よりは若干目元が優しい『気がする』――すぐさま敵陣へ突っ込んでいく。まなもまた、自身へ迫ってくる冒険者たちに構えを取った。
「乱闘だな」
 流雨はどこからか取り出した竹槍を投擲する。ただの竹と侮るなかれ、結構鋭いし痛い。それが矢の如く真っすぐに飛んでくるとなれば、顔が引きつるのも道理である。
「オイオイどこ見てんだよ、オレと遊ぼーぜぇ?」
 しかしその傷を癒させるつもりはない。ノロウはよく回復を施す冒険者にガンを飛ばす。魔法使いは攻守ともに可能のようだが、守り――治癒に重きが置けるということは周りが見えていて、フォローに回れる知性があるということだ。ならばそこを積極的に潰してかかるべきである。
 当然剣を持った冒険者が庇いに入ってくるが、それはそれで良い。クシィはそのまま庇われた者を優先的に狙う。ほぼ必然的に受けるのは庇った者だが、避けられないしある程度行動も制限される状態だ。
(まあ頑張って殴らなきゃいけないのは変わらないんだけど!)
 そこへカメリアの放った蒼き焔の槍がまとめて貫かんと接近する。氷属性として作り上げたはずのアバターに備わっていた焔属性の力だ。
「思うようになんてさせないよ!」
 ザミエラの放つ攻撃が回復を無効にする。慌てて魔法使いたちがそれの解除をしようとするが、それだけで回復を遅らせられたと思えば上々だ。
 そんな魔法使いたちの首から下をリュカはなるべく狙う。ゲーム上のエネミー故にそんな気遣いをしても仕方がないのかもしれないが、そこは気持ちの持ちようだ。そんなことをすればリュカは気分が良くない。
 彼の動きは軽く、不自然さはない。同様に彼からしても不便さは、ない。
「ゲームなんてやるのは初めてだからどうなるかと思ったが……中々どうして思ったとおりに動くもんだな!」
 一同は乱戦のなか、後衛の数を減らしていく。あとは剣持ちの冒険者たちか。しかしこれがなかなか、一筋縄とはいかない。
「戦いが終わっちまう前にコルボの戦いを間近で見させてもらうとするか」
 キサラギはちらりとクシィを見て、それからコルボを見やる。乙女がベタ惚れするほどの強さと聞けば、純粋な興味と――それから今後のことも見据えて、知っておくべきだろう。
(皆様、合流ですね……)
 後衛へ向かっていた仲間たちの姿を認めたまなは、DoomClawと殺人術を使い分けて攻めていく。よりダメージの重い方へ。早く倒せる方へと。
(商人は……逃げる余裕もない、か)
 流雨は商隊の方を見たが、すっかり男は腰を抜かしていた。まあ、逃げたところで圧倒的数の利がこちらにあったが。
「きっちり仕事はこなさせてもらおう」
 ラサと異なる場所、当然また一から名を売ることになる。これはその足掛かりだと、流雨は氷の刃を向けた。
「狐月三刀流、キサラギ――参る!」
 相手が剣士である以上、名乗るものだとキサラギは声を上げる。稲妻のような太刀筋の後にノロウが肉薄した。
「もう怖ェモンもウゼェやつもねェからな!」
 魔法使いも弓使いも倒したノロウは生き生きした様子で攻撃を仕掛ける。氷を纏ったカメリアはそこへラッシュをかけた。
「傷を受けて尚、わたしは燃え上がります……さぁ、まだまだ参りますよ!」
「ああ、畳み込むぜ! 一撃の威力にゃあ自信があるんだよ!」
 クシィもカメリアに続いてとにかく殴り込む。リュカも同様だ。まなは囲まれる直前にコルボの方へと接近し、敵視をちょっとばかり、そう、お裾分けした。コルボが一瞬まなを見るが、次いで好戦的な笑みを敵へ向ける。
「せいぜいくたばんなよ」
「……はい」
 四肢に竜の力を籠め、まなは守りたいものを守るためにそれを行使する。
 ほどなくして――冒険者たちは蹴散らされ、商人は傭兵団のメンバーに取り囲まれることとなったのだった。

「金品は大鴉、奴隷は僕らがいただくという事で良いのかな」
「おう、連れて行けよ」
 流雨の言葉にコルボは頷く。なんでもこの商隊、奴隷以外にも価値のあるものを運んでいたらしい。故に傭兵団の面々はどことなく上機嫌だ。
「オレたちは奴隷以外はいらねェさ。今後も何かあったら手伝うぜ? 勿論報酬はいただくが!」
 ノロウがにっと笑みを浮かべると、コルボが呆れ半分に笑みを浮かべる。傭兵団を名乗っているものの彼らの本質は盗賊団――対価を元に仕事を依頼することがあるかはわからないが、未来は誰もわからない。
「なあ、ひとつ聞いてもいいか」
 そこへ声をかけたのはリュカだ。どこかソワソワした様子の彼は、ディルクという男についてコルボに問う。
「なんだ、アイツのファンか? 知りてェなら自分の目で見て確かめやがれ、他人の情報なんざ鵜呑みにすンじゃねェよ」
 ほんの少しばかり機嫌が悪いように見えるのは――同業者だから、だろうか。最も大きく気を損ねることではなかったようだし、伝えたかった言葉は最後の言葉なのだろう、きっと。
「それじゃ、俺たちはこれでオサラバだ。また会わねェことを願って――」

「コルボーー! 好きだーーーー!!」

 突然の愛の告白にコルボの言葉が途切れる。コルボたちR.O.OのNPCには知り得ぬことだが、それは『オサラバだ』でクエストクリアのSEが鳴り響いた瞬間のことでもあった。つまりこの場にいるプレイヤーたちのログアウトが可能になった瞬間でもある。
「あと従順な女と、隙あらばアンタの命も何も全部手に入れようとする女、どっちの方が欲しいーー!?」
 それでもって愛の告白をしているのは当然というべきか、クシィである。ログアウト直前の問いかけにコルボの周囲では部下が囃し立てるが、当のコルボ自身は動じない。
「好みかァ? どっちでも構わねェが俺に気にいられたきゃ、野心は持っておくこったな。少なくとも――真っすぐな女は嫌いじゃねェぜ!」

成否

成功

MVP

まな(p3x000350)
小さな勇気

状態異常

ザミエラ(p3x000787)[死亡]
硝子色の煌めき

あとがき

 次に会う時も味方とは限りませんが、どこかでの再会を願って。
 コルボって罪な男なのではないかと思い始めました。

 この度は遅くなり申し訳ございませんでした。
 またのご縁がございましたら、幸いです。

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