PandoraPartyProject

シナリオ詳細

腐れた縁

完了

参加者 : 8 人

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オープニング

●ローリンローリンにて
 子どもたちが庭で遊んでいる。二手に分かれてサッカーをしているようだ。無邪気な歓声と笑い声が窓の向こうから聞こえてくる。
「ピリピリしているのね」
 薄暗い部屋の中、リア・クォーツ (p3p004937)は紅茶のカップを傾けながら、孤児院の院長、シスターイザベラへ水を向けた。
 彼女は深いため息をついて、手の中のカップをもてあそんでいる。
「ベネラーの故郷、ペトル村で魔種が発見されました。ここへ来るのも時間の問題です」
「そう。何故あの子なんだろうね。シスター、何か知っているんだろう?」
 伏見 行人 (p3p000858)の視線の先にはベネラーが居た。ひとり離れた場所で木陰に座り、聖書を……読むふりをしている。憂いをまとったまま、深いため息をつくその姿に行人もまた胸が痛んだ。ウイスキー入りの紅茶を飲んでいた武器商人 (p3p001107)が声を出す。
「我(アタシ)が以前、あの子の中に見た良くない影、まだくすぶってるぜ。例の半端な封印を解いてやったらどうだい」
「それだけはできないのです」
 シスターはうつむいた。
「あの子が見た目よりずっと年を食ってることと何か関係があるのかい?」
「黙っていただけます?」
 シスターはきつい目で武器商人を睨んだ。今のところ、ベネラーの実年齢について知っているのは、本人とイレギュラーズとシスターだけだ。そう、あの子がとうに二十歳を越えていることも、見た目が少年のままなのも。
「そうは言ったってシスター、あと五年、いや三年もすればバレちまうことだぜ。子どもの成長は早いんだから。我(アタシ)には問題を先送りにしているようにしか感じられないね」
「……」
「図星かい、ヒヒヒ。まあなんだ、キミとは長い付き合いだ。後味の悪いことにならないよう祈っているよ」
 それは私も同じです。と、疲れた声でシスターは言った。
「とりあえずいまベネラーのことでわかっていることをまとめておこうか。魔種から受けたビースチャンムースの呪いを秘めている。亡くなった父親から半端な封印を施されている。心臓が妙に冷たい。最近魔種に付け狙われている。このくらいだね」
「……魔種が来るというのなら、いっそ遠く離れた場所へ疎開してみるというのはどうだろう」
 黒影 鬼灯 (p3p007949)が何気なく言った一言に、シスターは顔を上げた。
「実は俺は豊穣に……」
「大きなお屋敷があるのだわ!」
 華奢なティーカップで紅茶をたしなんでいた章姫が大きな声をあげる。
「遠慮なく来るといいわ! 家族が増えるのはうれしいことなのだわ!」
「……というわけで章殿も喜ぶ。ぜひ来てはもらえないだろうか、シスター。うちの『暦』たちには話を通しておくから」
「そうよ、それがいいわ。歓迎会もしましょ。春の音楽祭なんてどうかしら、たしかピアノを弾ける人が居たわよね?」
「ああ、いい案だなリア殿。睦月も喜ぶ」

●豊穣にて
 静寂の海での船旅を楽しんだ孤児院の子どもたちは、豊穣へ入った。
 大きな屋敷はしんと静まりかえっている。子どもたちが恐る恐る玄関へ入った途端、わあっと四方八方から暦たちが顔を出した。
「いらっしゃァい、みんな大好き霜月さんだよォ! 頭領共々よろしくねェ!」
「うお、びっくりした! びっくりした! なにかと思った!」
「歓迎兼肝試しだな。ちなみに母上と呼んでやってくれ」
「母上じゃないでーーす! 男だから!」
 おちょうしもののザスとさびしがりやのセレーデをかばって立つわんぱくなユリック、卯月は彼をひと目で気に入った。
「小さいのに根性がありますね。とっさに年下をかばうだなんて」
「え? ああ、これは、群れの一軍として当然のことだし?」
「ふふっ、その偉ぶらない態度、とってもいいですよ」
「子どもでさえできることが俺にはまともにできない……がんばってもがんばっても……そうだ、死のう」
「ちょっと師走、子どもの前でする話ではありませんよ」
「そうよ。しぬなんてかんたんにいっちゃだめなのよ」
 セレーデがとことこ歩いて師走の裾を握る。
「わたしもね、とってもしにたいときがあったけれどね、とーさまがきっとむかえにきてくれるっておもってるからいきてるの。いきてるかぎり、きぼうはあるの。しぬなんていわないで、かなしくなるわ」
「……天使か?」
「いやでもいま微妙に不憫なことをおっしゃってませんでしたか? このお嬢さん」
 神無月が眉をひそめる。
「孤児だかんね、いろいろあるんだよー。年齢だってテキトーだし」
「……そうですか」
 明るく笑うザスの、その耳が切り落とされているのを見て取り、神無月はそれ以上追求をやめた。
「まああれや、子どもは風の子言うさかいそのへんびゅーっと遊んで回ってこい。奥方の部屋にだけは入るなよ。頭領の部屋はぶっ壊していい」
「長月、それはいくらなんでも俺への尊敬が足りないんじゃないか」
「ええー、屋敷についたら章姫ちゃんのドレス見せてもらおうと思っていたのに!」
 男の娘ことロロフォイが残念そうな声を上げる。
「ロロフォイくんとは話があうのだわ、特別に帝さんにもらった髪飾りを見せてあげるのだわ!」
「いいの!? やったあ!!」
 お洋服談義で盛り上がるロロフォイと章姫。それを皐月は微笑ましく眺めた。
「平和な光景だ……これを守るためなら俺はなんでもしよう」
「そうだな。珍しく気が合うじゃないか」
 如月がにやりと笑う。
 子どもたちを奥の座敷へ案内しながら葉月が注意を促した。
「遊ぶのはいいけれど、屋敷の中を探検するのはやめておいたほうがいいよ。どこに罠が仕掛けてあるかわからないから」
「罠? どうして家の中にそんなものがあるの?」
 負けず嫌いのミョールがくびをかしげる。
「えっと……どうしてだろうね……正面から聞かれると俺も困っちゃうよ」
「それはねぇ! 弥生が罠を仕掛けるのが趣味なんだよ! ね、弥生?」
「こ、こら文月、本当のことをばらすな……」
「趣味か趣味ではないかと言われるとまあ、趣味だな」
「弥生……」
 文月は深い溜め息を吐いた。
「ところでどうしてアンタだけそんなに離れてるの?」
「ああ、女性はすこし苦手で」
「へー? へー? へえええええ?」
「やめろ、よるな。俺のトラバサミの餌食になる前に離れてくれ」
 おもしろがってべたべたするミョールの肩へ、苦笑しながら睦月が手をかけた。
「弥生は女性恐怖症なんだよ。君だって苦手なものくらいあるだろう? あまりいじめないでやってくれよ」
「そうね、ごめんなさい。ついいじわるしちゃったわ」
 座敷へ付くと子どもたちは歓声を上げた。そこに並んでいたのは豊穣の季節のお菓子。霜月がこの日のためにと、とっておきのを用意した。ころんとした卵と、愛らしいうさぎのねりきりだ。
「ちょっと遅れたけど、いィすたァというものがあるらしいからねェ。それによせてみたよォ」
「きゃー! かわいいでち、おいしそうでち! うれしいでち!」
「……すてきね」
 普段はふてぶてしいくらいのチナナが飛び跳ねている。『無口な雄弁』リリコ(p3n000096)もぽそりと感想をつぶやいた。彼女なりの万感の思いがこもっている。それを聞けただけでも霜月は報われた気分だった。鬼灯が湯の湧いた茶釜の隣へ座る。
「茶は俺が点てよう。章殿は子どもたちに配ってやってくれ」
「はいなのよ!」
 大きく開いた障子の向こうは美しい庭園だ。行人がおいでおいでをする。
「縁側で庭を見ながら食べるのも乙なものだよ、ベネラー」
 これまでずっと暗い顔で黙り込んでいたベネラーが、はっと顔を上げる。
 小さな声で「はい」とだけ言うと、自分の分を持って行人の隣へ座った。
「なにか思いつめてる風だね」
「……」
 ベネラーは答えない。そんなベネラーをシスターとリアが心配そうに見つめている。武器商人はこどもたちの輪に加わったまま、飄々とねりきりを食していた。
「ここに居ればだいじょうぶだよ」
「でも、いつまでもお世話になるわけには」
「その間に俺たちイレギュラーズが問題を解決してみせるさ」
「そうそう。もっと信じて、頼っていいのよ?」
 リアがベネラーの頭をぐりぐりと撫でる。ベネラーはやっと表情を和らげて「ありがとうございます」とつぶやいた。
 その時だった。

●急変
 屋根の上から庭へ水無月が降りてきた。
「ご報告します、頭領。何者かがこの屋敷へ向けて接近中です」
「詳細を」
「一騎です。赤黒い、巨大なコウモリのような翼を確認しました。魔種と思われま……」
 とたんに不快な音波が襲ってきた。体の芯をかき回し、脳を叩き潰すような音波だ。いや、音ですらなかったのかもしれない。純粋な、悪意とでも呼ぶべきもの。
「頭領これは!?」
「……呼び声だ。障子を閉めろ、子どもたちを奥へ。総員戦闘体勢」
「させるものか」
 若い男の声が降ってきた。
 庭の奥の薮をついて、3体の不気味な影が走り出てくる。犬……に見える。それは巨大な犬に見えた。赤黒い不透明な輪郭、胸のあたりにコアがあり、どくどくと鳴っている。
「『ベネラー』はいるか?」
 大きく羽音を鳴らし、ひとりの男が庭へ降りてきた。端正な顔立ちだが、いまはやつれて不機嫌そうに見える。その左足は根本から吹き飛んでおり、赤黒いスライム状のもので傷口が覆われていた。その周囲を飛び回っているのは、鷲……ではない、カラスだ。やはり赤黒い体を持ち、コアを持っている。
「……僕だよ」
 恐怖に震え、真っ青な顔で、なおベネラーは庭へ降り一歩踏み出した。
「僕に何をしてもいいから、誰にも手を出さないで」
 魔種がまばたきする。まるで百年の恋の相手と巡り合ったかのように。
「おお……。私の研究の成果がここにある! よくぞ生き延びてくれた、礼を言う!」
「ちょっと待ちなさいよ!」
 リアが割って入った。
「ベネラーさん、割り切りが早すぎ! もっとあがいていいのよ! すべての命は生きたいと願っていいんだから!」
「で、でも……僕にできるのは、もうこれしか……」
「リアさんの言うとおりよ」
 気がつくとミョールがベネラーの腕を掴んでいた。鼻の下が真っ赤だ。拭いても拭いてもたれてくる鼻血を袖で吹きながらミョールは口を開けた。
「あんたさぁ、いい子ちゃんぶるのやめなさいよね。それとも新手のかまってちゃんなの?」
「……べつになんだっていいだろ。あいてっ」
 ミョ―ルが手を伸ばし、ベネラーの頬を引っ張った。
「いひゃい」
「てゆうかうっとおしいからやめて。あんたに何かあったってことくらいはみんなわかってるから」
 ミョ―ルの利き手に痛みが走った。それがベネラーに振り払われたためだと気づくまでしばらくかかった。
「じゃあ僕の何を知ってるんだよ!」
 誰もが初めて聞くベネラーの大声だった。小さなチナナなどはびくりと震え、セレーデはザスの後ろに隠れた。
「なーんにも知らないわよ! 文句ある!?」
 逆ギレが返ってきた。あまりといえばあまりな内容に、ベネラーは気を削がれて黙りこんだ。その隙をついてミョ―ルはまくしたてる。
「そういうあんたこそあたしの何を知ってるわけ!? ここへ来るまでのことはお互いなかったことにしようってのが暗黙のルールだし、あんたもそれでやってきたんじゃないの! あんたの過去なんか知ってるわけないし、知ってたら逆に怖いわ! あたしがわかってることと言えば、あんたはたまに意味わからん話をするけど真面目でいいやつだってことくらいよ!」
「……」
「とにかくぅ、みんな心配してるわけ。わかる? わかんないって言ったら殴るからね。あんたがさぁなんかヘンだってのはみんなうすうす気づいてるわけ、それよりずっとあんたのことが心配なの。そこんとこ押さえといてよね。べつに話したくなかったら黙ってたらいいじゃない。なのにいつもどおり接しようとしても肝心のあんたがボケボケしてるからこっちもどうしていいかわかんないわけよ」
「ミョ―ル……」
「あー手が痛い。誰かさんが思いっきりバァンってやったせいで超痛い」
「ご、ごめんね」
 いつの間にかベネラーとミョ―ルの周りに他の子どもたちが集まっていた。
「……ミョ―ルは、とっても、言いすぎ」
 リリコのリボンが困ったようにさやさや揺れている。
「……でも、みんなが心配してるのは、本当。ベネラー、なにか言っておきたいことはない?」
 ベネラーは口を真一文字に結んだ。
「ごめん、まだ……怖い」
「……それならそれでいいわ。ベネラーはベネラーだもの」
 ゆらりと影が立ち上がった。武器商人だった。
「子どもたちの結論は出たようだね」
 中空へ浮かぶ男へ顔を向ける。大犬とカラスがうなりをあげる。
「ここから先は、大人の時間だ」

GMコメント

魔種を退けて春の音楽会をしよう。

こんにちは、まずはご指名ありがとうございました。
ちょっと都合でこうなりました。申し訳ない。大半がNPCの紹介なので読み飛ばして大丈夫です。

※EXプレイングを使用しなくとも判定上、不利にはなりません。
※「サイレンの鳴る日」の後日譚に当たりますが読まなくて大丈夫です。 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/5546
※このシナリオではNPC『暦』たちを参加させることができます。詳細は鬼灯(p3p007949)さんへ聞いてください。

やること
1)ビースチャンムースの殲滅
2)子どもたち+シスターの被害ゼロ
3)魔種の撃退(最大20T後に退きます)
4)暦たちの歓迎会こと春の音楽会(プレは戦闘7:音楽会3くらいがちょうどいい感じです)
A)オプション 子どもたちのケア

●エネミー
魔種 ????・???
左足を失っている魔種 常に飛行状態で詳細は不明です
ベネラーの故郷、ペトル村に長年封じられていましたが復活しました
魔力不足でかなりパワーダウンしていますが、腐っても魔種です
単純な物理攻撃がメインですが、正面から打ち合うと力負けする可能性があります
・呼び声 詳細不明
・ビースチャンムースの呪い 詳細不明

ビースチャンムース・走狗 ×3
3mほどの犬です
防無やブレイク、飛、封印、致命などを持ち合わせます
また近扇状の範囲攻撃を持っています
ミドルバランス型で、攻撃力の他防技と抵抗に優れます

ビースチャンムース・大鴉 ×3
2mほどの鴉で、ペナルティのない3m内を常に飛行しています
BSは持っていませんが神秘攻撃力が非常に高く、命中回避に優れます
攻撃には識別と域がついており、どのレンジにも対応してきます
また追撃が高く連撃してくる可能性があります

戦場
風光明媚な日本庭園で、充分な広さがあるものとします
特にペナルティはありません
しかし子どもたちとシスターは戦場の中に居るものとします。

●味方NPC
子どもたち
 男『孤児院最年長』ベネラー (p3n000140)→特に魔種に狙われます
 男ユリック いばりんぼう→やんちゃ→怒り(弱)を付与できます
 女『無口な雄弁』リリコ(p3n000096)→かばうを使用できます
 女ミョール 見栄っ張り→負けず嫌い→怒り(弱)を付与できます
 男ザス おちょうしもの→特になし
 女セレーデ さびしがりや→特になし
 男ロロフォイ あまえんぼう→男の娘→特になし
 女チナナ 泣き虫→ふてぶてしい→特になし
 院長イザベラ くいしんぼう→下記参照

シスターイザベラ
 結界 自範へ呼び声の効果を軽減する結界を張ることができます
 一度張ると戦闘終了まで移動ができなくなります

『暦』
特に指定がないかぎりこの3人が戦場に立ちます
また魔種は弱体化しているのでギフトもいけます
暦のスキルはなんとなくこれ使えるんじゃないかなと思ったらで大丈夫です

オートで動く場合はこのようになります
睦月
 超分析相当の忍術
 Code Red相当の忍術 ※1発だけ
如月
 H・ブランディッシュ相当の攻撃
 ダークネスイリュージョン相当の忍術 ※1発だけ
弥生
 スケフィントンの娘相当の忍術
 糸切傀儡相当の忍術 ※1発だけ

\クラス実装おめでとうございます/

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

1)『暦』って誰?
 鬼灯さんの関係者です。アルバム一覧からぜひ御覧ください。戦闘能力もあります。

2)いきなり「子どもたち」って言われても困る
 ただのNPCです。フレーバー情報がみどりのGM紹介ページにありますのでご参考にどうぞ。

3)もうちょっと子どもたちについて知りたい
 せやな、こんな感じかな

 # ゾンビになった大事な人を撃てるか

 ベネラー  撃つ 無力化して自分が死ぬまで面倒を見る 合理的に非合理
 ユリック 撃つ あれはもう別のものだと割り切って足を狙い逃走
 リリコ 自殺 ……だって生きていても仕方がないもの ね?
 ミョール 撃つ 思い出がぶわーと広がって泣きながら撃つ 生存率は半々
 ザス 撃てない 怖い 大事な人だからよけいに怖い 足がすくんで動けないうちに食われる
 セレーデ 撃たない ずっと待っていた人だから怖くない 武器を捨てて自分から食われに行く
 ロロフォイ 撃つ 死者の尊厳を守るため でも自分ではよくわかってない
 チナナ ムリ そもそも銃が持てない 泣きながら逃げ回っているうちにお察し
 院長イザベラ 撃つ 即ヘッドショット決めてクリアリング 形見を肌身離さず持ち歩く それはそれこれはこれ

  • 腐れた縁完了
  • GM名赤白みどり
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年05月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
武器商人(p3p001107)
闇之雲
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人

リプレイ


 戦場は呼び声が荒れ狂っていた。脳をシェイクして正常な思考を奪い、集中を邪魔する。そんな音だ。
 にもかかわらず、『蔵人』玄緯・玄丁(p3p008717)は不敵に笑った。
「頭痛いけど……良かったよ、ちょっと退屈してたんだ」
 春の音楽会とやらに正直興味はない。依頼だからと顔を出しただけだ。だがまさかこんなどんでん返しがあろうとは。玄丁は喉を鳴らす。獲物を前にした猫のように。まさか魔種が乗り込んでくるなんて、胸が高鳴るというものだ。今の自分がどこまでいけるか試してみたい。
 その隣で『闇之雲』武器商人(p3p001107)は庭の玉砂利を踏んだ。
「おや、まァ、せっかく音楽会を楽しもうというときに無粋な輩がいたものだこと」
 のんびりとそう言い、ゆっくりと振り向く。この呼び声の中でも、まるで平気なように振る舞っている。アメジストの視線の先には善良たらしめる楔が居た。
「リリコ、キミはベネラーを喪いたくないのだろう?」
 無口な雄弁はしずかにうなずいた。伝えたいことはそれで充分だった。ただもうおまえとは呼んでくれないのだな、と、すこし場違いな寂しさを感じた。
「うン、いいよ。”それをキミが望むなら”」
 どこからともなく吹いてきた風が武器商人の衣を揺らした。三千世界の産物がゆるりと揺らめいた。
『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)は憤慨した様子で魔種を見上げている。
「こらー! 人んちに勝手に入ってくるな! これから音楽会をやろうってのに! 音楽会はいいものだ。邪魔するなんて許さない。……とっとと退散願いたいね!」
「そちらこそ私が研究成果を得る邪魔をしてくれるな。ベネラーを渡せば手は出さないと約束しよう」
「いち! まず条件がムリぃ! にい! 魔種との口約束なんて信用できるもんか!」
「心外だね。精一杯譲歩しているつもりなんだが」
 ふてくされた様子の魔種に、おやと『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)はまばたきをした。ずいぶんと人間味の残っている魔種じゃないか。これは交渉もいけるかと皮算用を弾いてみる。
「だったらせめてこの呼び声をなんとかしてくれないかな。頭が痛くてかなわないんだよ」
「敵に塩を送る真似はしない。それよりあの子だ。ベネラーだ。渡すまでこちらも全力で行く」
 行人はやれやれと首を振った。そしてひとりごちる。
「最善ではない、だが悪くはない。何しろ俺達が居るときに魔種が接近してきたんだからな」
「そうね行人さん。そのとおりだわ」
『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)はシスターと子どもたちへ顔を向けた。子どもたちはベネラーを守るようにシスターの周りへ集まっている。子どもたちにとってこの呼び声は耐えきれないものかもしれない。それは次々とあふれでる鼻血が証明している。
「頭がパンクしそうでち」
 小さなチナナが懸命にベネラーへしがみつきながらつぶやいた。
 リアはふとベネラーだけが平気そうにしていることに気づいた。子どもたちは皆顔をしかめているのに、周りを心配するようすはあるもののベネラーだけは呼び声の影響を受けていないように見える。
(なぜ? いいえ、考えるのは後回し!)
「シスター! ここは任せて子ども達を守ることだけに集中してください! あなた達も、ここでじっとしておくのよ? 大丈夫、あたし達に任せておきなさい。守るべき人がいる時、あたし達特異運命座標は、とっても強いの。知ってるでしょ?」
 ウインクしてみせ、リアは再び魔種の前へ立った。
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は難しい顔でちらりと子どもたちを眺めた。
(あんなに小さな子まで……なんてことを)
 胸が痛む。できるなら駆け寄り、今すぐにでも子どもたちを小脇に抱えてこの場から逃げださせたい。だが、それが根本的な解決にならないことは彼女にはよくわかっていた。彼女は明晰であったから、余計に。それが幸福なのか不幸なのかはわからない。彼女を修羅場へ呼ぶのはその明晰な頭脳であるがゆえに。
「子どもの相手は苦手でね。何せ可愛くて、面倒見てあげたくなるから。だから……」
 彼女は魔種へ向き直る。
「代わりに相手になってあげる。貴女の飢えを見せなさい」
 堂々と戦旗をはためかせ、誇り高く胸を張り。
「神がそれを望まれる」
 青い顔をしていたザスがぐらりとかたむいた。だが倒れる前に『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が手を差し伸べる。成長途上のからだは軽く、頼りなかった。こんな子どもまで巻き込むのかとアーマデルの胸に怒りが湧いてくる。彼はベネラーをまっすぐ見つめた。
「ベネラー殿、俺は詳しいことは知らないが、屈するのも、諦めるのも……死ぬのも、最後でいい。それしか選択肢が無くなるまで、あがくのもヒトの生き方だ」
 ベネラーは真剣な表情で聞き入っている。
「……俺の故郷ではそれを『運命の糸を紡ぐ』という。まあ、パンドラのようなものだな。ベネラー殿、どうか、俺の言ったことを覚えていてほしい」
「はい……」
 ザスの鼻血をぬぐってやったアーマデルは、ぐったりした彼をベネラーへ託すとマントをひるがえした。
「いざ暦よ、その力を見せん!」
『零れぬ希望』黒影 鬼灯(p3p007949)が朗々と声をあげる。
「折角、孤児院からわざわざ海を渡り子どもたちが来てくれたというのに、招待状を持っていないお客様のご登場とはな」
「ベネラーさんも他の子たちもシスターさんも! みーんな護るんだから!」
 章姫の声に暦たちが一斉に戦闘態勢へ入る。
「忍衆『暦』が頭領、黒影鬼灯。空を操り暦を奏でる者としていざ参る」


「卯月、師走。貴殿らは子供達の保護とリア殿の護衛を。魔種はベネラー殿を狙っている。イーリン殿が抑えてくれているがその間にベネラー殿を大盾の内側に隠し、徐々に屋敷側に後退し避難させろ。神無月は怪我をした者たち、子供を優先に治療を頼む。
 皐月と如月はイーリン殿の援護を頼む。ただし、魔種を倒そうとしなくていい、一秒でも時間を稼げ。文月、葉月。魔種や他の敵がすり抜け屋敷へ向かった際の迎撃を頼む。暦の力を見せろ」
 名を呼ばれた暦たちが動く、頭領の命令を速やかに果たすために。連携、それが暦の力だ。頭領たる鬼灯を始めとするイレギュラーズの一挙一投足を無駄にしないためにも場をあつらえる。
「うっとおしいのがずいぶんいるようだな」
 魔種は顔を歪めた。
「あら、こっちを見てくれなくちゃ嫌よ。遊んであげるわ『坊や』」
 イーリンが魔種の前に躍り出る。だがその予知へ影がさした。はっとイーリンは顔を上げる。
「本気でうっとおしいな、女。私はベネラーにしか興味はない」
 身を翻し上空へ移動する魔種。そこから一気に子どもたちへ距離を詰めた。強まる呼び声に子どもたちが頭を抱える。
 その魔種の身がとつぜん炎に包まれた。紫の蛇がのたくるような炎だ。
「させやしないよ」
 武器商人はそのまま第二撃を繰り出す。
「ぐっ!」
 まともにくらった魔種は無様に落下した。空間が歪むような呼び声が発せられる。神無月が次々と回復の術をかけるが追いつかない。
「シスター! 子ども達を連れて退避! 庭の隅で結界を張って!」
 立ち上がろうとした魔種へ、リアはドロップキックをかました。魔種は苦痛に顔を歪め、黒い血を吐いた。リアは子どもたちへ慈愛のカルマートを送り、神無月の援護に徹する。
「か弱いばかりの癒し手だとでも思ったかしら? 存外弱いのね。自慢の技はないの? もっとも、あたし達相手にどこまでできるかしらね」
 一瞬すごみのある目線がリアを襲ったが、魔種はそれでもベネラーを狙って動こうとした。
 ひらり、戦旗がはためく。
「どうやら空のほうが得意みたいだけど、標的が地上へ居る以上、貴方は降りてこざるをえない。どれだけ私のブロックを切ろうと無駄よ、無駄」
 イーリンが魔種の前へ立ちふさがる。
 魔種は大ぶりのパンチでイーリンを襲ったが、そんなものが彼女に通用するはずがない。素早い身のこなしで攻撃をいなし、振り落ろされた拳を戦旗で弾いた。
「……貴方ほんとうに魔種? 私が戦ってきたなかでもずいぶん弱いのね」
「好きでこうなったわけではない。魔力さえ回復すれば貴様らなど木っ端微塵だ」
「あら言ってくれるじゃない。さて、貴方はあと何手詰めか見えているかしら。成果に執心すると見失うわよ?」
「成果、ね」
 魔種は薄く息を吸い、ベネラーを見つめた。
「ベネラー、『来い』」
 ずしんとベネラーの体が鉛のように重くなった。自分の意志に反して一歩を踏み出す。
「何してるのよ、ベネラー!」
「ベネラー、行くなって!」
 子どもたちがしがみつくように彼を止めるが、勝手に体が動いていく。結界から踏み出そうとした時、ずるりと影が目の前に生まれた。武器商人だった。
「行く必要はないよ」
 両腕を広げ、長い袖でもって魔種の視線から隠してやる。ふっと体が軽くなり、ベネラーはあわてて武器商人の背中へしがみついた。
「他人のモノを獲っていっちゃいけないんだぜ。それとも無理矢理がお好みかな、いい趣味をしてるじゃないか」
 魔種は舌打ちして武器商人を見ている。
 同じく魔眼を持つイーリンが至近距離で魔種を睨みつけた。残念ながらその攻撃は通じなかったようだ。魔種は不愉快そうなままイーリンへ注意を戻す。
「……貴重な魔力を使わせおって」
「後がないと自分で告白してどうする気?」
 イーリンは小さく笑った。

 走狗が走る、鴉が舞う。
 戦場を蹂躙するビースチャンムースども。しかしその程度でひるむイレギュラーズではない。
「イェーイ、ノッてる? ……ノリが悪くても無理やりノセちゃうけどね!」
 心まで踊りだしそうなダンス・ミュージックがアリアの後押しをする。テンポに合わせて走狗が不自然な動きをした。関節を無視した動きだ。ごきりと骨が外れる音がする。
「いいよいいよ、その調子その調子! 痛みが快楽に変わるまで踊り狂いなよ!」
 魅了された走狗が、隣の仲間へ食らいついた。アリアは攻撃の手を休めず、さらにさらに追い詰めていく。
「鳥に攻撃は届かないし、魔種は頭痛いし……となると、僕は犬コロ相手か。どいつから刻んでやろうかな」
 玄丁はすり足で走狗の前へ。姿勢を気持ち低くし、刀の柄へ手をかける。妖刀から甲高い音が響いたと同時に走狗の耳が削ぎ取られていた。
『GYAUN!』
 もんどりうった勢いで距離を取る走狗。
「まったくちょこまかと。図体だけはでかいくせによく動くね!」
 大音声を叩きつけると、走狗が玄丁へ群がった。ずるりと、また影が生じる。
「武器商人の~お兄さん? お姉さん?」
「ヒヒ、キミの観測するままに呼ぶといいよ」
「じゃあおねにーさん、そのまま僕をかばっておいて」
「あァいいよ、ベネラーほうはもう心配ないようだしね」
 走狗が牙を立てるも、武器商人は平然としている。あえて身を晒しているのだなどと畜生にはわからない。ただ本能のままに攻撃を加えるのみだ。
「走狗か、俺も昔はそうだったと言えるかな……」
 アーマデルが走狗の巨躯へ不調を植え付ける。やわらかな指先ですれ違いざまに撫でるように。それだけでよかった。不調に苦しみながら走狗が体当たりをしかけてくる。アーマデルはそれを蛇鞭剣を硬化させて耐える。ぞわりと伸びてきた赤黒い肉の触手が針を生み、アーマデルを刺す。
「残念、俺に不調は効かないんでね」
 なにを注入したか知らないが、と続けそうになってアーマデルは急に背筋が寒くなった。自ら傷を切開し、そこへ残ったどろりとした膿のようなものを捨て去る。それは本能的な行動だったが、彼を救うに充分だった。
「人をスライムにしようなんざ片腹痛い。飲ませるなら青汁ジュースくらいで我慢しとくもんだ」
 いいながら触手を切り捨てる。
 走狗は醜い顔をさらにぐちゃりと歪ませた。

「鬼灯、俺が倒れる前に頼むぜ? 持たせてみせるが余裕はないんでな!」
 行人が利き手を鋭く上げた。雷のように怒気が伝わっていく。空気を引き裂き、二羽の鴉が行人へ襲いかかる。
(よし、かかった!)
 くちばしが行人の腕をえぐる。あとすこしで目を持っていかれそうになって、行人は体をそらした。鴉についばまれながらも、行人は隣の長月を気にかける。
「長月、苦しかったら俺もフォローに回るから遠慮なく言ってほしい」
「それはこっちのセリフやで」
「ふふん、そうか。なら頼らせてもらう」
 彼らの後方で鬼灯は暦へ司令を出していた。
「水無月、鴉狩りは鷹匠の得意とするところだが……やれるか?」
「頭領に頼まれて断れるはずもない、行くぞ、ナナシ」
「霜月、アレ堕とせるか? 無理ならば連射で動きを止めろ」
「はいはい、いいところはしっかり持っていってね、頭領!」
「弥生、いけるか?」
「長い付き合いだ、何をすればいいのかわかっている」
「……そうだな、外すなよ? 章殿の前でカッコ悪いところは見せられないな?」
 行人と長月へ襲いかかる鴉。そこへナナシが割り込み、霜月の狙撃が寸でのところで邪魔をする。
「1、2、3……いまだ!」
 鬼灯と弥生はまったく同じ陣を書いた。青白い炎が立つ。炎は細く無数の糸となってふたりの周囲へはりめぐらされていく。空気が緊張をはらんだ。
「一発だけだ、外すなよ!」
「応! 奥方、見ていてください!」
 ふたりは同時に両手を突き出した。青白い糸が怒涛の勢いで鴉へ巻き付き、次の瞬間、コアごとバラバラに切り刻んだ。

 鴉が殺められた、走狗が倒れた。
 イレギュラーズと暦は魔種のもとへ急ぐ。
「一歩たりとも子ども達とシスターへは近づけさせません」
「……ここで何もできないようなら俺は自死する」
 卯月と師走が体を張って子ども達を守っている。
 魔種へ近づくほどに強くなっていく呼び声にアーマデルは辟易したようにつぶやいた。
「……旅人は反転しないとは聞くが、それは安全を意味するものではない。ここで狂気に飲まれてはいられない」
 ただ戦場へ立っている。それだけで体が重くなる。アーマデルが蛇鞭剣と蛇銃剣を添わせれば、その隙間にちりちりと崩滅の光が灯る。
「いけっ!」
 二種の武器を振り払うと、真っ黒な光線が放たれた。直撃を食らった魔種は空中へ逃れようと翼をはためかせる。
「厄介な翼だね、ヒヒ」
 足元の影が揺れている、笑っている。自らを強化した武器商人が、魔種の翼を握り込む。その手から発せられた悪夢が翼を食い荒らしていく。
「やりおったな!」
「研究者を名乗る割には行動がずいぶんと大雑把だね。研究者をやめたらどうだ?」
 行人が魔種の背後を取り、重い一撃を入れる。
「やることは変わらないよ、丁寧に刻むだけ」
 連撃を入れた玄丁が暗きをすすった刀で落首山茶花をねじこむ。
(この調子だと、いけるかな!?)
 アリアは興奮に胸を高ぶらせながらウェンカムヒを叩き込んだ。
 魔種が大地を蹴り、垂直に跳躍する。誰も手が届かない位置にまでたどりつくと、憎悪もあらわにベネラーをにらみつけた。
「貴重な……研究成果が……目の前にあるのに! 糞っ、魔力さえ万全なら……畜生め、貴様らの顔、覚えたぞ!」
 片方だけになった翼を再生し、魔種は皆の前から逃げさっていった。


「あー終わった終わった。さて、それじゃ僕はこれで……ぐえっ」
「そう言わずに顔だしていこうよ! 楽しいよ!」
 はい終わったとばかりに出ていこうとする玄丁の襟首をアリアがつかんだ。
「はあ、やるの? また襲ってくるかもしれないのに? まぁ良いか。……しまったな、こんなことになるならディーレを連れてくればよかった」
「ん、なんて?」
「いや、参加はするけど、気の利いたこととか言えないし、いないものと思ってくれていいよ?」
「やだなー枯れ木も山の賑わいっていうよね?」
「いまなにげにひどいこと言ってない?」
「いっちばーん、アリアと玄丁、歌いまーす! リクエストがあったら遠慮容赦なく言ってね!」
「人の話聞いてる? ねえ?」
 アリアはどこからともなくとりだしたバイオリンで、陽気な音楽を奏ではじめた。
「……もう、しかたないなあ」
 ぶつくさ言う割には音楽の素養があるのか、玄丁は透き通った声で歌いはじめた。
「次はさしがましいながら俺が。音楽は魔を払うという、今日のこの日が良き終りを迎えるよう」
 アーマデルが手のひら三つぶんしかないケメンチェをとりだし、やわらかい響きで場を和ませた。まるでナイチンゲールが夕暮れと夜の訪れを告げる囀り、そして暗く長い夜を過ぎ越し、夜明けの訪れを告げる呼び声のような優しい曲だった。
 そこへ武器商人が馬頭琴の深い音色を重ねる。異国の響きが広がり、アーマデルの演奏の間を次いで自分の曲へとひっぱっていく。夢幻の草原とそこをゆく風が皆の頭へ浮かんだ。
 その一曲が終わると、子どもたちが睦月のピアノの周りに集まってきた。睦月は楽譜を子ども達と章姫へ配り、目を細めて演奏をはじめた。鬼灯がそれに合わせて三味線を弾く。子ども達のすこし調子っぱずれなソプラノとアルト、そこへ章姫のふんわりと明るい歌声がよくマッチしている。
 イーリンと行人が手拍子を取りながらつぶやいた。
「歌はいい。皆が一つになるから。どんな事を想っていても、ね」
「そうだな。今日この場にいれてよかった……神が見放したのであれば、俺たちをここへ遣わせるはずがない」
「あら意外と信心深いのね」
「神様ってのは、感覚が大きすぎるけれども優しいモンさ。だからあんまり理解はされないんだが……まぁ、今の俺が言ってもな。楽しくいこうぜ」
 合唱が終わり、リアがベネラーを抱きしめた。わしゃわしゃと頭を撫でる。
「よく頑張ったわね、ベネラー! ロロフォイも最初に会ったときよりも強くなって、びっくりしちゃったわ」
 さて、とリアは意気込んだ。
「あたしの本領発揮ね!このクオリアであなた達の旋律を音にしてあげる。あなた達は絶対に誰にも負けないわ。だって、あなた達の音色……こんなにも美しいハーモニーなんだもの」
 今日一番美しい歌声が豊穣の屋敷に響いた。

成否

成功

MVP

武器商人(p3p001107)
闇之雲

状態異常

伏見 行人(p3p000858)[重傷]
北辰の道標
武器商人(p3p001107)[重傷]
闇之雲
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)[重傷]
灰想繰切

あとがき

おつかれさまでしたー!

ベネラーくんが連れて行かれずに済んで何よりです。皆さんのフォローのおかげですね。

またのご利用をお待ちしております。

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