PandoraPartyProject

シナリオ詳細

野鼠の境界

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――世の中には木を齧る動物がいたりもする。
 それは食事の為だ。人は木々そのもの繊維を消化できない故にソレを食物の類として見る事はあまりないだろうが……動物にとっては『御馳走』の類として見られる事もある訳だ。それ自体は動物の特徴であり良いも悪いもない。ただ自然の摂理と言えよう――
 が。

「何事にも限度ってものがあるよなぁ……」

 深緑に広がる広大な迷宮森林の一角にて一人の幻想種が頭を掻いていた。
 目の前に広がっているのは、森の中に突如として発生している木々が禿げた区画。
 大地がむき出しになっており果たして自然はどこへやら……いやその答えはすぐ近くにあるのだ。区画中央に鎮座する様に眠っている――巨大な『鼠』の姿を見れば。
「先輩、こいつって確かこの辺りに生息してるカラマチネズミですよね」
「ああ――まぁサイズが十倍ぐらいある気がする事以外はそうだな」
「いや二十倍ってぐらいじゃないですかねこれ、我々よりデカいんですけど」
 カラマチネズミ。それはこの辺りの地名から名付けられ、主にこの辺りに生息している小さな鼠の一種の事だ。彼らはいわゆる野ネズミの類であると言えるだろう。
 草や木の種子を主に捕食する特徴があり、木々を齧りて開いた場所に住処を作る。
 時折農作物に被害を齎す事などもあるが……しっかりと気を付けていればさほど大きな被害を発生させる事もない。むしろ適切な管理をすれば病原菌を媒介する事もない故、近年では愛玩動物として飼育する者もいるぐらいの鼠だ――
 勿論それは通常のカラマチネズミの話に限る。
 幻想種らの目の前にいる十倍以上の――いや二十倍ぐらいだろうか? 人よりも遥かに大きいサイズとなっている彼らは草木や種の種子などでは満足できぬ食欲の権化。木々そのものを齧り消化し全てを丸裸にする明らかなる害獣である。
 その被害はご覧の通り。
 今の所はこの辺りの木々が齧られただけなので大きな被害ではない――
 しかし放置しておけば段々と移動し、あちこちの木々を食い尽くしていく事だろう。
「……突然変異か何か、ですかねぇ?」
「多分な……或いは魔物化したのかもしれねぇが、食事の邪魔さえしなけりゃこっちに襲い掛かって来る事もないからな……いう程狂暴化せず、普通のカラマチネズミの習性を残しているし、突然変異っていう表現の方が近いのかもな」
 だからこそ迷宮森林の警備隊にも属する彼らがやってきたのだ。
 ……しかし圧倒的な体格に育っているカラマチネズミは膨大な耐久力を有しており、常に食事をして体力を回復させ続けるからか生半可な事では倒しきれない――どうしたものかと思案している真っ最中であり。

「やっぱりアレだな、イレギュラーズに依頼するか」

 であればとやはり頼り所は英雄諸君。
 彼らの力であれば突然変異した個体だろうと成し遂げてくれることだろう。
 そうと決まれば早速ローレットに依頼を出そう。カラマチネズミがお腹一杯になっ手お昼寝モードになっている間に。
 奴らが再び――木々の生命を脅かす前に。

GMコメント

●依頼達成条件
 突然変異したカラマチネズミをなるべく早く、全て倒す事。

●フィールド
 深緑の迷宮森林の一角。時刻は昼です。
 カラマチネズミが木々を食べている真っ最中の現場にすぐに辿り着く事でしょう。
 周囲には他に魔物や一般人の類などはいませんので、横やりなどを気にする必要はありません。全力をもって彼らをなんとか倒してください。

●カラマチネズミ×3
 カラマチ、とはこの辺りの地名であるらしい小さな鼠――の突然変異個体です。
 通常サイズの十倍か二十倍ぐらいのサイズがあるらしく、その体格は人を超えています。木々を捕食するほどの食欲と、実際に平らげる胃袋はもう鼠とかいう領域ではなさそうです……

 非常に膨大なHPと【反】のパッシヴを併せ持ちます。しかしながらHPが半分以下になるまでは(そもそも攻撃を認識していないのか)一切反撃行動をしてこない模様です。
 HPが半分以下になると命の危機を感じて突進など攻撃行動を行ってきます。

 なお彼らは木々を食べている間は常にHPを回復させ続けます。
 【致命】のBSを付与すると阻害する事が出来ます……が、致命を付与しても彼らは気付いてるのか気付いてないのか食欲を優先して食べ続ける様です……

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 野鼠の境界完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年04月29日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
ラクリマ・イース(p3p004247)
守る者
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
エリス(p3p007830)
王子様におやすみ
アルム・カンフローレル(p3p007874)
両手にふわもこ
クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)
葡萄の沼の探求者

リプレイ


「こら――!! なにさらしてるんですか!!
 木を!! 深緑の大切な木を食べるんじゃないのです!!
 聞いてますか!! 聞け!! 食うな馬鹿デカデブネズミ――ッ!! あ”ッ”――!!」
 突然変異したネズミ共に思わず憤怒するは『協調の白薔薇』ラクリマ・イース(p3p004247)だ。彼らは彼の声が聞こえているのかそれとも意図的に無視しているのか……変わらず木々を頬張りその緑を胃袋へと叩き込んでいく。
 思わずぶん殴りたくなるような気持ちに駆られるが――逸る訳にはいかない。
 タイミングを合わせば思わぬ反撃によって体力を削られよう……
 しかし情報にあった時点で知ってはいたが、実際見るとその大きさに驚くものだ。
「うわぁ! でっかいネズミ!! いやさ、俺の領地にも普通のやつはいる……と思うけど、ちょっと……でかすぎ……何喰ったらこうなる……あ、木か……いやこうはならんでしょ……」
「いつもだったら動物が木を齧っても食物連鎖で済ませるのだけれど……
 流石にこれはちょっと、ねぇ……? 程度ってものがあるわよねぇ……」
 思わずちょっと引いてしまったのは『両手にふわもこ』アルム・カンフローレル(p3p007874)だ。同じくして彼らの底なしの食欲には『葡萄の沼の探求者』クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)も苦い顔をしてしまうものである。
 放っておけば深緑中の森という森が食べられてしまう事だろう。
 特に自然との調和深き深緑でそのような行いが見過ごせようものか――
 故にイレギュラーズ達は配置に付く。
 まずは一匹一匹確実に倒していくことが重要であろう、と。
 その為の中核を担うのが癒し手の者たちだ。奴らが無意識に行っている反撃の力の効果を減少させるために……片っ端から味方を治癒していけば良い。幸いにして奴らは食欲を優先させている為に余裕をもった行動は可能であろう――そしてそれを担うのはアルムと……おや?
 なんだか軽快なテンポが突如鳴り響いて――ま、まさかあれは!!
「――オーッホッホッホッ! 正にデカお鼠ですわね!
 しかしこれ以上好き勝手にはさせませんわ――ッ!!」
 瞬間。指を鳴らす音と共に現れしは一人の女性! そう、その名も!

  \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タント様!///

 深緑に合わせたポーズスタイル――あれこそ正にフォレストクレストインタレストポーズ! 後光が差さんばかりの気迫と共に姿を現したのは『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)様だ――ッ!!
 どこからともなく湧き出る拍手喝采はこれでもかと彼女の存在感を示していて!!
「オーッホッホッホッ! わたくしが参りましたからには百人力、いや千人力ですわよ! さぁお鼠よッ! 木々ではなくわたくしの魅力に齧り付……って全然聞いておりませんわね――!」
 でもネズミ達は気づいてもいないのかガン無視して木々を頬張ってました、はい。
 思わず勢いよく転ぶタント様。まさかのあの演出を端目にも留めぬとは……この鼠共のマイペース、やりおる……! これには思わずステーンですよ。いやスッテーンですよ。転び方!
 ――だがこの程度で調子の崩れるタントではない。
 奴らのマイペースは脅威だが、やる事に変わりはないのだ……莫大なりし充填の力にて戦線を維持する。奴らの無関心をも突き崩す程に。
「何故突然変異が発生したかは気になりますが、このままではこの辺り一帯が更地になってしまいそうですね……とにかく、これ以上気を食べつくされないようにしていきましょう」
「ああ。まさかの草食動物の討伐依頼が来るとは思わなかったが……しかしこれもやむを得ないことか。ネズミには悪いが……これも弱肉強食の世界……討伐する!」
 そして『呪い師』エリス(p3p007830)も配置に付き、周囲への予期せぬ被害を減らそうと『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)が保護結界を張れば――動き出すものだ。
 行動の阻害。その為に放つはサイズ自身の鎖。
 上手く行けば食べさせる事自体も中断させられないかと。
 更にエリスが穿つは終焉なる帳の力が一端。ネズミ共の治癒を邪魔せんとして、一体だけを狙えるように位置を取る。先述したように奴らは食事にのみ注視しているが故に、エリスもまたそういった位置取りにも十分余裕があった――
「あなたたちも悪気があって食べてるわけじゃないと思うけど……ごめんね!
 こんなに木々を食べてしまうんじゃ、どうしても見過ごせないんだ……!」
 そして『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)もまた彼らの食事による治癒を阻害すべく『花』を咲かす。いやそれは花というよりも『茨』というべきか。
 巨大なる魔法陣から紡がれる茨がネズミの身へと纏わりつくのだ――
 これもネズミにとっては自然で、営みの一つであればそのままにしておきたい。
 けれど環境を破壊する程の。『今まであった全て』を壊し尽くしてしまうなら……
「なる、べくしてなった。と思うべきなのでしょうかね、これは」
 やむなき事かと『罪のアントニウム』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)はどうしても思考してしまう。これは木々を喰らう鼠が悪いのか? それとも食物連鎖を阻害しようとする私たちが悪いのか?
 ――答えはどちらも否、だ。
 皆それぞれに『生きるために』食事をし、住処を整え、家族や群れを作る。
 その『生きるため』がかち合ってしまった――ただそれだけの話。
「鼠たちはこちらの攻撃を幾許か跳ね返すとのこと……それが彼らの生存本能でしょうか。いずれにせよ、こちら側の負う傷も相当なものになるやもですが。全て癒して見せましょう」
 それでも。
 今は自分に出来る全てを。精一杯を注ぎ込むだけだと――
 彼女は確かなる意思をその瞳に携え、治癒の力を振るうのであった。


 さて。
 ……事前情報通り鼠達は本当に動かなかった。
 攻撃を重ねても一瞬も気に留めない。なんだこいつらホントに痛覚あるのか――?
「痛覚も突然変異で死んでるのかと思ってしまうな……
 まぁ効果がないってことはないだろう」
 だが無敵の存在なぞありえない。
 本当に純粋に食欲が優先されているだけなのだろうとサイズは思考を。
 とにもかくにも奴らの行動を阻害する事に全力を注ぐだけだ――ん、待てよ? こちらに注意を引くことが出来れば木の捕食を邪魔することが出来るのではないか? もしかしたら自分が食われそうになるのかもしれないが……
「――まぁいざとなったらで試してみるか。今はとにかく」
 鼠共に負の要素を叩き込むのが優先だと。
 草食動物たる者に攻撃を加える事……サイズは些か躊躇いが無いわけでもないが、もはやこのサイズで木を貪り喰うのは草食動物とは言えない。
 草食動物と野鼠の境界を踏み越えてしまっているのだから。
 穿つ。サイズに続いてラクリマもまた、彼らの捕食による治癒を阻害すべく暗黒のキューブを作り出し。
「ぬぁあああ……こ、この。このぉ! 深緑の大切な木々をまだ食べるとは……!! 大切な木々を傷つけた罪は重いのです。お前ら全員、焼き鳥ならぬ焼きネズミにして食ってやんのです!! 覚悟しとけですよ!」
 投じる。治癒の力が妨げられるだけでも奴らの盗伐が近づくのだから。
 ……それにしてもこいつら食べられるのだろうか。突然変異っぽいけど大丈夫かな。いや、草や木の種子だけ食べてたなら有害な動物ではないでしょう。きっと食える。うん、食えるなら乱獲できる。してやる!
 憤怒憤怒! そうして放った数々の負の要素は見事に鼠共に着弾。
 こうして奴らの治癒効果は阻害されている……のだが。
「それでも食べ続けるってどういうことなの? もう食べる事さえ出来ればなんでもいいのね…………ところでピザ食べる? もっちりした生地の上でホワイトソースの海を泳ぐたっぷりコーンピザはいかがかしら?」
 意味が無いはずなのに食べ続けるカラマチネズミの姿にはやはりクアトロも呆気にとられるものである。木じゃなくてピザ。ピザじゃダメなのかと思うのだが、見向きもしないあたり駄目なようだ。お、おのれ……!
「やっぱり草食……完全な草の類じゃないとダメかしら」
「うーん……いや待てよ。もしかしたらチーズ。チーズならどうだろう。あんなでっかくて木をカジカジしてるようなネズミが喜びそうな食べ物なんてパッと思いつかないけど……ネズミだったらチーズって印象があるよねぇ」
 成程道理だわ、とアルムの意見に同調しながら放つのは赤き魔棘。
 当然鼠の力が反射を齎す訳であるが――そこは作戦通りアルムらの治癒がカバーするものだ。それは攻撃手となっている者達が倒れぬようにするのは当然だが……同時に、彼らの手を止めぬ為でもる。
 深緑の自然被害をなるべく小さくする為にも、攻撃は常に続ける必要があるのだから。
「オーッホッホッホッ! さぁ、皆さまわたくしの周囲にお集まりくださいまし!
 奴らがどれだけこちらの力を反射して雇用とも、わたくしもばしばし回復致します故――!」
 そしてアルムとほぼ同じタイミングで動くのがタントである。
 アルムと隣り合ったうえで活力を満たす光を捧げればどうなるか――?
 そう! それは活力がもりもり回復するオアシススポットとなるのである――!!
 鼠共が攻勢を掛けてこない事も相まって正にその場はユートピア!
「わたくしが! 皆様を支えますわッ――!!」
「ええ。このまま一体ずつ確実に押し込んでいきましょう……!」
 そうしてタントの、直視するも眩しい太陽が如き加護を受け取りながらエリスは往く。
 放つは呪いの炎。対象を焼き尽くす永劫の焔が鼠に炸裂して――

『チュ――ッ!!』

 さすれば遂に痛みの方に耐えきれなくなったのが、一体が暴れ始めた。
 藻掻くように。暴れて、体勢を整えた先にいるのはイレギュラーズ。
「自ら生きる為に食事をしているだけ……それを邪魔された怒りはご尤も」
 故にクラリーチェは反射による被害を負った者へと治癒の力を齎す。
 鼠の攻勢への備えとする為だ。これ以降は致命の力に関わらず、奴は木を食べている暇はないだろう――しかし力を反射する能力は健在だ。ならば引き続き己は癒し手に専念しようと思考して。
「受け止めましょうその怒りを。けれど、こちらも見逃すことはできないんです」
 構える。怒りに燃える鼠へと。
 さすればアレクシアも魔法陣を起動させるものだ。其は毒の魔術。
 魔力の花弁を形成し穿つは――秋に開く小さな毒の花のよう。
「人に直接害を齎してないとはいえ……護るべきは人だけじゃないんだ!」
 より鼠を怒らせ己に注意を向けんとする。
 そう。特に深緑にとっては自然もまた生きる同胞達。
 故に巻き込まない。周りの自然を。彼らもまた――守護するべき対象であれば。
「もうすぐ助けるから待っててね!」
 紡ぐのだ。自然と会話する術をもって。
 もう少しだけ耐えてほしいと――
 彼らを励まし、共に抗わんと彼女は願う。


 鼠の突進には凄まじい勢いがあった。
 単純に『体が大きい』とはそれだけで武器になるものだ。
 例えば人と蟻が一対一で戦えば人が勝つのは『ソレ』が理由である様に。
「おっとぉ――危ない危ない。チーズは如何かしら? それともこれだけじゃ足りない?」
 数多を巻き込み払わんとする一撃はクアトロにまで及んでいた。
 その手には再びのピザ。彼女特有の神から齎された祝福が彼女に無限のピザを提供する――今度はチーズたっぷり塩分控えめ。鼠も食べれそうな感じにしたのだが、ええい今度は怒り狂っててそれ所じゃないのか? 全くこれでは美食家というより偏食家である。
「仕方ないわね。生態系への影響も心配だし、どうかごめんなさいね」
 であればと彼女も鼠の勢いに飛ばされつつも空中で身を翻して地に着地。
 続けざまに放つのは氷の鎖だ――その身を、足を絡め捕るように。
「やれやれ。さっきまではこっちを見向きもしなかった癖に……現金なもんだな」
「ですが攻撃はしすぎないように――傷を負った人は下がってください。治療します」
 サイズは引き続き奴らの捕食による治癒をさせぬ様に立ち回りつつ。
 クラリーチェは天使が如き歌声にて皆の加護を齎すのだ。
 或いは特別に傷を負った者がいれば集中的に力を注ぎ込んでもいい。鼠共の耐久力は依然として脅威であるが、それでも万全の体制を整え続けることが出来れば安定して戦いを進めることが出来るはずだ――!
「ふと思ったけど木に毒とか塗ってたら気にせず食べてるうちに内部から倒すこともできたのかな……けど深緑の木々や土に影響を与えるのも、うーん悩ましい所だね……」
「なぁに! わたくし達が! 全霊をもって火力を叩き込めば!
 倒せぬ敵など存在しませんわッ――!!」
 そして引き続きその戦線を支えているのがアルムとタントである。
 活力を皆に満ち渡らすよう紡ぎ続ける――太陽が墜ちぬ限り、未来は不滅なのだとタントは紡ぐように。アルムはもしかすればもう少しスムーズな策があったかもしれないと思考を巡らせるが……いや事深緑において木々を敵に回すのは避けるべきかと。
「ええい、とにかく鼠共の耐久も減りつつあるんだ。早く退治するのが吉だね!」
「一体倒せれば被害も三分の二に……二体倒せれば三分の一になりますし、ね」
 同時。エリスは臨機応変に。
 引き続き呪いの炎を繋いで――もしも治癒役の手が足りなければ己もそちらへと。
 命を巻き戻すかのような、神意の祝福を振るえば活力を更に満たして。
 聖なる声が体力を巻き戻す。
 ――カラマチネズミ達に隙は与えない。攻撃と回復を重ねて身を穿ちて。
「よ、しっ! まずは一体――倒したね!」
 そして遂にアレクシアが一体の鼠が倒れるのを目撃した。
 天高く吠える様に。断末魔を繰り広げながら……倒れ伏す。
 それでも他の二体は食べるのをやめない。
 ただ目前。目前の『食糧』だけに全てを注いでいる――
 あぁ、歪だ。
「何かの間違いで生まれた生命とは、なんとも悲しい気もしますね――
 でもそれはそれとして許さんからなァ!! おらァ!!」
 だーがそれはそれ、これはこれなんじゃい!! とばかりにラクリマはぶち込んでいく。
 魔導書を振るってぶん殴る。蒼き剣の魔力を形成してぶん殴る。
 とにかく殴る。おらこっち向け! そのもぐもぐした歯を俺の手で!!
「粉砕してくれるのですよッ――!! おらァ――!!」
『チュ――!!』
「やかましいだぁーってろ!!」
 怒り狂う二体目。だがそれを凌駕する『怒』を孕んでいるラクリマの方が圧倒的だった。
 振るった拳がカラマチネズミ自慢の歯を打ち砕くッ――!
 一体倒すことが出来たのだ。ならばあとは同じ要領で倒していける。
 奴らは三体とも似たような奴ら。特別に強い奴や変わった奴が混じっている訳ではない。
 故に――二体目を倒すのも結局は時間の問題であった。
 戦闘の持続面の問題も、タントとウルムが解決するのならば問題ない。
 治癒はクラリーチェがおり、いざとなればエリス達も回れる。
 アレクシアやサイズ、クアトロにラクリマが攻勢を重ねれば――
『ヂュ……ヂュチュチュ!?』
 いつの間にやら鼠が気づいた時にはもう残り一体になっていた。
 周囲にはいくらか食われた木々の残骸が。
 ここに新たな根がはり、生命が芽生えるのはどれほどの時が必要な事か……
「この森の平穏の為に――ごめんね」
 だからアレクシアは一言鼠へと。既に倒れた鼠達にも言葉を紡いで。
 花弁の魔力を放つのだ。
「……私たちの都合でごめんなさいね」
 そして終幕はクラリーチェの手にて。
 四方より顕現させしは迫る土壁。強制的に『土葬』する術にて――鼠を倒そう。
 食物連鎖の範疇であればここに来る必要はなかった。
 けれど、違ったから。だから――と。
 閉じ込められていく鼠に、感情を携えた瞳に向けながら戦いは幕を下ろす。

 ――突然変異の個体達は滅びた。

 奴らがどうして変異したのか……その理由はわからない。いや、世界中に自然や生命は広がっており、こういう事例も只の偶然の産物――世界の一角で起こっただけの『普通の出来事』であるのかもしれないが。
「ふーむ。やっと倒すことが出来ましたわね……しかし魔物化するでもなく、お食事だけでここまで森を脅かす動物が生まれるとは……放っておけばどうなっていた事やら。自然とは恐ろしいものですわねー!」
 げに恐ろしいものだとタントは驚嘆していた。
 三体程度であったが故に大きな被害はなかったが、もしもこいつらが百や二百いたら……
「ですがその時はまた倒すだけですよ。
 木は! 無作法に食べて良い訳ではないのです! マジで!」
「うん――木もまた生きているんだし、どこまでも無遠慮には……ね」
 それでもラクリマはどれだけ同じ事態が起ころうと守るべきものを守るだけだと。
 アレクシアもまた、木々が禿げた場所を見れば少しでも手入れをしてから帰還しようと行動を開始する。後は……カラマチネズミの死体を放っておくわけにもいくまい。埋めるなり処理をするなりしてからローレットへ戻るとしよう。

 この森がまた――平穏な生活を送れるように。

成否

成功

MVP

ラクリマ・イース(p3p004247)
守る者

状態異常

なし

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!

 治癒と各個撃破が上手く機能していたかと思います。
 それにしても突然変異とは時として恐ろしくなるもの……それでも、木々を食らいつくす程の『破壊』を齎すならば彼らは打倒されるべきに違いないのでしょう。

 ありがとうございました!

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