シナリオ詳細
<ヴァーリの裁決>奈落に堕ちて
オープニング
●
遙か高く広がる青。薄雲の掛かった大空に白い鳥が二羽飛び立っていった。
ガタリと馬車の荷台が揺れる。
フードの隙間から見えた鳥の羽ばたきを碧の瞳が見つめていた。
何故という言葉を唇に乗せる。
瞳を上げれば、褐色の肌を拘束する鉄の鎖。何処かへ行ってしまわないように着けられたもの。
その拘束具を着けた男も、目の前で吹き飛んでしまった。
今は別の人が自分を運んでいる。
先の見えぬ不安に指先が震えた。これからどうなってしまうのだろう。
隣に居るはずの片翼が何処にもいない。
いつも一緒に居たのに。
隣には木の床があるだけだ。
一人がこんなにも怖いなんて思ってもみなかった。
何処へ行ってしまったのだろう。あの時、掴んだ手を離さなければ――
森の中に伸びる道を荷馬車が走っていく。
否、荷馬車というには些か語弊があるだろう。
厳密には全くと言って良いほど馬車の形をしていない。
本来、馬が居るはずの場所に『巨大な頭蓋骨』があるのだ。サイレントブルーの炎を揺らし音も無く動いている。ラサのマーケットでは稀に目にする事があるかもしれない『骸骨運送』と渾名されるUMAとリズクッラーだった。
大凡街道と言えるような整備されている物ではない、幅も狭くUMAがようやく通れる位の道を進んで行く。
小石が所々に散らばり、車輪が乗り上げる度に荷台が大きく揺れる。
「……」
カタカタとUMAが抗議の音を立てた。『この道で合っているのか』という意味合いだろう。
「問題無い、この道を真っ直ぐ行けば、変な遺跡みたいなんがある。
それを迂回しながら走ればメフ・メフィートまでの近道だ」
「……」
遺跡と聞いてお宝が眠っているのかとワクワクした音を立てるUMA。
「そうかもしれないな。オレも気になって、一度中に入ってみようとした事がある。オマエと出会う前だ。
だが、周囲に動物も何も居なくなった。普通は人間が近寄らない場所は動物たちの住処になるだろ?
それが消え失せた。そういう所は近寄ったら危険な場所だ」
「……」
UMAがそんなところを通って大丈夫なのかと問いただす。
「まあ、迂回するぐらいなら。それに近づき過ぎると、変な感じがするんだ。拒絶されてるような。馬とかを連れて居れば嫌がって近寄らないと思う」
「……」
「ん?」
リズクッラーが視線を上げる。近づいて来る遺跡と先客。
二人と同じようにメフ・メフィートへの近道を走っている荷馬車が居たのだ。
幌の隙間からチラリと先陣の馬車の中が見える。
鉄の檻には何人もの奴隷が詰め込まれていた。
「……」
「うん。まあ、向こうも仕事だしな。オレ達が干渉する事も無い。オレ達の今日の仕事は『彼』を幻想の家まで送り届ける事だからな」
リズクッラーがUMAに繋がれた荷馬車を見遣る。其処には枷を嵌められた褐色の天使が座っていた。
「依頼主の話では『二人』居たはずなんだが。『一人』しか見つけられなかったからな。あのままギストールの街に居ればこっちまで危ない目に合っていた。報酬は半分になってしまうかもしれないが仕方ない」
「……」
命あっての物種という訳だ。不用意に首を突っ込みすぎないのも処世術というわけだろう。
「何だ……? いつもは馬たちが近寄らない筈だぞ? どうなってる?」
先を往く荷馬車から声が聞こえてくる。不測の事態が起こっている様だ。
こういう時は警戒を怠らない方が良い。
リズクッラーは荷台に乗っている『彼』を庇うように周囲を見渡す。
「おいおい。何かやばいんじゃ? あれは何だ!?」
前の荷馬車から叫び声が聞こえた。遺跡の方へ視線を上げると何かが近づいて来るのが見える。
その姿は巨大な鬼――あるいは巨人の様に見えた。
「大丈夫な道だったんじゃねぇのかよ!?」
「ちっ……! うっせぇ! 俺も分かンねえよ! ギストールから命からがら逃げ出して来た所に、こんな災難が降り注ぐとは、何か厄介なもん拾っちまったかぁ?」
苛立ちを隠そうともしない男は荷馬車を蹴りつける。
幌の中から震える子供達が聞こえた。おそらくギストールの街の混乱に乗じて無理矢理連れ去り、閉じ込めているのだろう。強奪した彼等を王都で売りさばくつもりなのかもしれない。
されど、巨人は地面を揺らし二つの荷馬車へと近づいて来る。
「なあ。あれ、オマエの仲間じゃねえの? 大きさ的に」
リズクッラーがUMAの骨をコツコツと叩く。UMAはそれを否定するようにカタカタと骨を鳴らした。
UMAはUMAであってそれ以外のものではないと主張する。
「しかし……、やれるか? オレ達だけで」
先陣の荷馬車が進まなければ、この狭い道は通ることが出来ない。
戻るにしてもギストールの街は壊滅状態だ。
荷車を捨ててUMAとリズクッラーだけ逃げることは出来るだろう。
されど、それでは『骸骨運送』の名折れだ。それに、此処には『子供達』が居るのだ。
自分より年下の子を置いて逃げるなんて。ましてや、彼等は繋がれたまま何処にも逃げること何てできないのだから。
「これは、少し報酬弾んで貰わないと割に合わないな」
リズクッラーはナイフを取り出して巨人を睨み付けた。
●
「……狭い場所は、怖いですから」
長い兎のような垂れ耳を握りしめながら『Vanity』ラビ(p3n000027)は紫瞳を伏せる。
自身も奴隷商人に捕まり、売られそうになって居た所をイレギュラーズに助けて貰ったから。
奴隷達の心が痛い程に分かるのだろう。
「鉄の檻は座り心地が悪いです」
逃げないように鉄の檻の中に詰め込んで運ばれる。鎖に繋がれて何処にも逃げることも出来ない。
恐怖と焦りが心を支配し、次第にすり減っていくのだ。
自己防衛本能が、現実を感知しなくなる。
ただ緩慢に受容し時間が過ぎ去るのを待つだけの壊れた人形のようになってしまう。
ラビは暗い思い出を掻き消すように頭を振った。
紫色の瞳を上げてイレギュラーズに向き直る。いつものぼんやりした表情はそこには無く。険しく眉を寄せて真剣な表情をラビは浮かべていた。
「とても辛いです。だから、早く助けてあげないと……です」
ギストールの街が襲撃された事を知っているイレギュラーズも居るだろう。
現在調査が行われている街からの救援要請の中に、子供達を探して欲しいというものがあった。
奴隷として売られていた子供も居る様だが、混乱に乗じて無理矢理枷を嵌められ連れ去られた普通の子供も居るというのだ。
「それって……」
「おそらく『わざと』間違えて連れ去ったのだと思います」
奴隷として躾けられた者より『普通』の子供を好む貴族や金持ちに売るためのもの。
普段であれば、山奥の人気が少ない場所の子供を攫うのだが。
「ギストールの街が大変な事になってたから、か」
「はい。戦闘の混乱ではぐれてしまった子を攫って行ったのだと思います」
到底許される行為ではない。
イレギュラーズの胸にふつふつと怒りがわき上がってくる。
「気をつけてください。何か、不穏な気配がします」
古廟スラン・ロウに異変を知らせる鐘が鳴り、ギストールの街は惨劇の様相。
神翼庭園ウィツィロでは封印が破壊されたとの一報も入っている。
イレギュラーズの領地も次々と襲われているというではないか。
この幻想国で何が起ころうとしているのか。
誰しもが這い寄る気配に耳をそばだてていた。
――――
――
「大丈夫。きっと大丈夫……」
いつも守ってくれていた、片翼は居ないけれど。
どんな時だって乗り越えて来たのだから。
「だって、僕達は選ばれた存在――誰も僕達を傷つける事なんて出来ないんだ」
アンジェロ・ラフィリアは『古廟スラン・ロウ』の封印を碧の瞳で見つめて居た。
- <ヴァーリの裁決>奈落に堕ちて完了
- GM名もみじ
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年04月06日 22時16分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
アジュールブルーの空が若葉を抱く木々の合間に見える。
春の風に包まれて、新しく出てきたばかりの芽が枝先に薄く色づいていた。
音が聞こえる。
渇いた土を馬の蹄が蹴り上げる音だ。何体もの馬が大きな足音を響かせながら走ってくる。
視界を通り過ぎて行く木々の幹。噛みしめられる歯。気持ち焦るばかりで。
馬の手綱を強く握ったのは『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)だ。
「ただでさえ住んでた街が滅ぼされたってだけでも災難なのに」
ギストールの街が壊滅状態に陥ったという情報は瞬く間に幻想各地へ広がっていた。
風牙は直接見たわけではないが、調査の為にギストールの街へと赴いたマルク・シリング(p3p001309)や『優光紡ぐ』タイム(p3p007854)の話しを聞くだけでも街の状況は惨劇という他なかったのだという。
「そのうえ、火事場泥棒のクソ野郎に浚われて売られそうになるとは、あんまりだろ……」
風牙は眉を顰め翡翠の瞳を前へ向ける。
「早く助け出して、心も体も休ませてやらねえと……」
「ええ、そうですね」
風牙の呟きに後ろに乗っていた『カーマインの抱擁』鶫 四音(p3p000375)が応える。
ギルド・ローレットで『Vanity』ラビ(p3n000027)が語ったのは、奴隷がギストールの街から攫われてしまったという話しだ。その奴隷というのは『わざと』奴隷として間違われた普通の子供達も含まれる。
その子供達の救出をして欲しいという依頼だったはずなのだ。
されど――
四音はカーマインの瞳を前へと向ける。
彼女の瞳が捉えるのは馬車と大きな骸骨。そして、その向こうには巨人が見えていた。
奴隷救出のはずが、何だか大変な事になっているようだと四音は口の端を上げる。
「ええ、ええ。状況は厳しいかもしれませんが、依頼を果たしましょう」
「ああ! 急ぐぜ! 舌噛むなよ!」
風牙の頭越しに見えるのは、濃い物語の予感。
面白くなってきたと四音は心底楽しげに微笑んだ。
「あれは、リズクッラー殿?」
マルクが走らせる馬の後ろから顔を覗かせたのは『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)だった。見覚えのある角の生えた巨大な骸骨と荷車。それにちょこんと座っているのは間違いない。『骸骨運送』のUMAとリズクッラーだった。
「知り合いかい? まさか人攫いの方、ではないよね」
「いや、子供相手の犯罪に手を染めるような人ではない。今も守ろうとしているようだし」
「あのギストールから、子供を連れてきたのか……」
マルクはギストールの街への調査救出作戦に参加していた。
助ける為に駆けつけたマルクの前に広がったのは、夥しい数の亡骸と瓦礫の山。殺すために殺したとしか思えない虐殺が行われた。許せる筈もない。一体誰があんな惨たらしい事をしたのだろうか。マルクの内側に仄暗い感情が鬩ぎ合う。されど、今は目の前で起こらんとする危機に手を伸ばすのが先決。
アーマデルとマルクは注意深く状況を観察する。
馬が辿り着くまでの短い時間だが、情報が何も無い所へ無策に突っ込むよりは健全だろう。
「手前の馬車は違法奴隷を扱う奴隷商人……というより火事場泥棒っぽいな。檻の鍵を差し出すどころかこちらを見て逃げを打つ可能性もあるが」
「いま重要なのは子供達やお友達の安全だね」
「ああ、そうだな。急ごう……む、あれは!?」
アーマデルは馬車へと迫ってくる巨人へと視線を上げる。
巨人が歩く度に地面が揺れた。馬が怖じ気づいて速度を落とす。
「な、なに……あの巨人は……!?」
『不退転』シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)の声が森に響いた。
馬車にいる奴隷を狙って居るのだろうかと進路を予測する。されど、奴隷の荷馬車を狙うには些かギストールの街の方角へ傾いていた。
「……違う、あのスカイウェザーの子を狙ってる……?」
巨人を注意深く観察すれば、怖いほどの怒りの感情を纏っていた。巨大なものからはっきりと感じる程の威圧感を与えられれば誰だって怯んでしまうだろう。特に感受性の強い子供達は逃げ出す事も出来ずに震えているに違いない。シャルティエは頭を振って己の恐怖心を払う。
「ともかく。奴隷達を助け出しても、あんなのが野放しじゃ……! 此処で何とかしないと!」
シャルティエは進まなくなった馬から飛び降りて駆け出した。
「人の命、人生をお金で扱うのって正直に言えば随分と品のないことだとは思うわ」
タイムは荷馬車へ駆けながら中に居る子供達を慮る。
「せめてその価値を決めるのは自分でありたい、けど……」
タイムの言葉に『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は一瞬だけ過去の記憶を脳裏に浮べた。それはふとした瞬間に現われるトラウマの光景だ。
狭くて暗い場所は嫌い。アーリアも海洋から船で逃げた際に、積荷の中に居た事がある。湿っぽく黴臭い空気が潮の匂いと混ざって重苦しく肺を満たしていた。
「――いえ、今はそんな話どうでもいいわぁ。とにかくあの巨人にはまた眠ってもらいましょ!」
「うん。今やるべき事は思い悩む事じゃ無いよね。助けて欲しいと思っている子達に手を差し伸べるのが私達の役目だわ!」
「そうそう。考えるのは後にしましょ!」
アーリアの言葉に頷いたタイムは皆が散り散りに鳴る前に、仲間を奮い立たせる英雄の詩を奏でる。
それはまるで、奈落に差す陽光のあたたかさ――
『闇之雲』武器商人(p3p001107)は馬車の向こうに見える巨人をじっと見つめた。
「おやまァ。あの巨人の動き……覚えがあるよぉ?」
数日前にこの場所――古廟スラン・ロウへと訪れていた武器商人は見覚えのある巨人を認める。
古廟には幻想王家の宝であるレガリアが安置されていたらしいが、それが『何者か』に奪われ、幻想大聖堂にある『静寂の鐘』が鳴り響いたのだという。
その真相を確かめるべく武器商人は現国王である『フォルデルマン三世』と共にこのスラン・ロウへと足を踏み入れたのだ。目の前に現われた巨人と、その時の巨人は同種であろう。執拗にフォルデルマンへと敵意を向けた巨人が、今度は荷馬車に乗せられた少年――アンジェロ・ラフィリアへと向けられている。
「あの敵意、あの怨嗟……『彼(フォルデルマン)』を狙った時とそっくりだ」
武器商人は顎に手を当て、ヒヒヒと小さく嗤い声を上げた。
「そう、まるで『特定の者』に対して憎しみを抱いているような!
さて……『彼』と同じ様に狙われるあのコはなぁに?」
タイムの使い魔の鳥を肩に乗せながら武器商人は首を傾げた。
「近くで見るとゴツいなぁ!? しかもこっちの怪しい馬車……馬車?」
風牙はUMAをまじまじと見つめ首を傾げる。UMAではあるが馬ではない。
「……ええいっ、とにかくあの巨人どもを何とかせにゃ!」
「そうですね。奴隷相手に巨人3匹というのも大人げないといいますか」
アクアブルーの瞳を巨人へと向ける『宵闇の調べ』ヨハン=レーム(p3p001117)は風牙の言葉に頷く。
「それだけの理由があるのかどうかはさておき、シンプルに悪い奴らですね?」
「まぁ。多分悪い奴らだ! 弱い子供を狙ってるんだからな!」
「ン。子ドモ達 救出 来タケド 巨人 大変」
大きな身体を揺らし『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)はアンジェロの元へ走りだした。
「フリック UMA側 子ドモ 急ギ 救助」
「よっし! ヨハン! シャルティエ! アーマデル! 前に出てあのデカブツ止めるぞ!」
森の空気が張り詰める。精霊や動物達が戦闘の予感に緊張しているのだろう。
「武器商人さん、檻の開錠と子供たちの保護よろしく! フリック! そっちのちっこいの頼んだぜ!」
「ン 分カッタ」
「怒り狂うだけの暴力などイレギュラーズの連携に通用するものか! 行くぞ!!
――イオニアスデイブレイク!!」
「よっし、いくぞオラー!」
イレギュラーズの雄叫びと共に、古廟スラン・ロウの外周に風が吹き抜けた。
●
一迅の疾風。
横薙ぎの風が吹き抜けたのだと奴隷商は感じた。
それを認識した時には、既に彼等は目の前に立っていたのだ。
「オレは新道風牙! 人の世に仇為す『魔』を討ち、平穏な世を拓く者!
子供を護る! 巨人を倒す! 悪党をふんじばる! 全部やってやらあ!!」
風牙の突抜ける声は巨人の注意を引く。されど、怒りの感情に囚われたままアンジェロへと突き進む巨人の歩みは止まらない。
「ああ、こんぐらいじゃ止まらないのは分かってる! シャルティエ抑えるぞ!」
「はい!」
一番最初にアンジェロへと向かっていた巨人一体を風牙とシャルティエが抑えに掛かる。
「んぎぎ!」
「……っ、やはり重いっ!」
シャルティエの踏ん張った足が地面に食い込んだ。腕の力だけではどうにもならない。シャルティエと風牙は一度腰を低くし、タイミングを合わせ巨人を押し返す。
「敵の反応は高くねぇみたいだな。だったらオレに合わせてくれ、先手を取っていくぞ!」
「分かった……おっと! こっちも来たね!」
もう一体の巨人をシャルティエは抑えに走った。
「一人じゃ止めきれなくても、風牙くんとヨハンくんが一緒に足止めしてくれるから」
「こっちは任せて下さい! さっきみたいにタイミングを合わせて!」
「よし! いくぞ!」
今度は走り込みからの体当たりで巨人を押し返すヨハンとシャルティエ。
肩で息をするシャルティエ。
思ったよりも身体に負担が掛かるようだ。肩がギシギシと悲鳴を上げていた。
それでも、自分達三人が此処で抑える事が出来れば、その間に仲間が子供達を助け出してくれる。
気を引き締めるシャルティエ。ヨハンと風牙は彼の肩を激励するように叩いた。
「大丈夫。ボクも居ますから焦らずに行きましょう」
「オレも居るから安心しろよ!」
聖なる光が地面を覆い、シャルティエの肩の痛みを消していくヨハン。動くようになった肩を回し、シャルティエは大丈夫だと頷いた。
「まずは、子供達や馬車の問題解決が優先です」
「踏ん張り所ってね! もう一回いくぜ!」
「はい!」
これ以上は進ませまいと士気を上げる三人。
――――
――
「リズクッラー殿!」
「アーマデルか?」
見知った声に振り向いたリズクッラーは、構えていたナイフをホルダーに仕舞う。
「巨人がこっちに向かってる。避難してほしい」
「避難といっても、何処へ逃げれば良いんだ。この子を狙っているんだろ? オレはあの子を送り届けるのが仕事だからな」
「大丈夫。俺達が巨人を倒す。その間は戦闘に巻き込まれないぐらい離れてくれ」
「分かった……おいっ、危ない!」
突然走り出した一体の巨人が荷車の上に居るアンジェロ目がけて拳を振り下ろす。
息をする真も無く、アンジェロの視界は大きな巨人の拳に覆い尽くされた。
目を瞑り訪れるであろう痛みに身体を強張らせる。
訪れた打撲音と衝撃。
されど、それは痛みを伴わなかった。
恐る恐る瞼を上げると、視界に広がる巨人の拳。
その前に立ち塞がるフリークライの姿が目に飛び込んできた。
ミシミシとフリークライの身体が軋みを上げる。音を立てて亀裂が入り、アンジェロの頭に欠片が降ってきた。物が壊れる寸前の張り詰めた状態ほど恐怖をそそるものはない。
アンジェロは自分が助かったという安堵よりも、自分を助けてくれた人が壊れてしまうかもしれない恐怖に震えた。その様子を感じたフリークライはアンジェロへと語りかける。
「フリック達 君 傷ツケナイ」
「……ちが、あなたが、壊れてしまう」
「大丈夫 君ニ 何モ サセナイ フリック 固イ」
「でも……」
フリークライはその大きな身体でアンジェロを優しく包み込んだ。
巨人の手から覆い隠すように大切なものを扱うように。
「……ン。青イ 鳥サン達。コノ子ニ 幸運ヲ」
「だめだよ! 死んじゃだめだよ!」
フリークライの腕の中でアンジェロはぽろぽろと大粒の涙を零す。
明滅する意識を保っていられるのは『守る』という思いだ。
「何モサセナイ 約束 守ル」
強い意思がフリークライの可能性(パンドラ)を燃え上がらせる。
立ち上がる意志に呼応するようにフリークライの身体に芽吹いた花が一斉に咲き誇った――
アンジェロの視界に花弁が舞う。
マルクはアーマデルが一人で抑えている巨人へと狙いを定めた。
荷馬車に積まれた他の子供達に興味を持たないよう回り込んで別方向から攻撃するのだ。
走っている間に詠唱の準備は始まっている。
敵の脆そうな部分、味方の位置。保護対象の位置。全てを頭の中にトレースし最適な場所とタイミングで解き放ってこそマルクの魔術は意味を成す。
アーリアのエメラルドの瞳は巨人の足下を追っていた。
巨体が動く為の重心移動。足を振る速度と角度を繰り返し観察する事で大まかな予測を立てる。
視線をマルクへ流せば、アーリアとは別方向へ走り出すのが見えた。
彼も同じように動きの基点である足を狙うつもりなのだろう。
一瞬だけ此方を見たマルクがアーリアに頷く。
「当てるのは得意だもの、巨体の足くらい余裕で狙えるはず!」
アーリアは形の良い唇に指を這わせ、魔術の詠唱を開始する。甘美な唇の柔らかさに指の腹を押しつけて解き放つ。放たれたキスは赤い花吹雪と芳しい香りを纏わせ巨人を覆った。
酔ったように足を縺れさせる巨人は幻覚を見る。
甘く落ちる赤い雫。アーリアの唇と頬を撫でる彼女の指。惑わされてもう後には戻れない。
「タイムちゃん追撃よ!」
「分かったわ! アーリアさん」
足下が覚束無い巨人にタイムは手を向ける。薄く伏せられた青い瞳に魔法陣の光が下から反射した。
大きな耳に揺れる煌めくイヤリングに光が溢れる。
「蒼穹の空を作り出すは眩き太陽。降り注ぐ光雫はこの手に集約する――」
陽光を紡ぐタイムの光弾は薄暗い森の影に瞬いた。
この一手はマルクに繋ぐ架け橋。マルクはタイムが用意した好機を掴み取る。
誰よりも臆病で弱いただの人間が、研鑽と努力と時間を積み重ね会得した『技術』という名の魔法。
撃ち貫くは集約した魔光。
狙い澄まされた熱波の一閃は怖気が立つ程の威力を伴って空気を震わせた。
マルクの魔法陣から解き放たれた魔光は巨人の左脚の関節を穿つ。
衝撃で吹き飛ばれた足下がアンジェロの直ぐ傍を転がっていった。
重心を折り、左へと傾けた巨人は無くなった足を見て奇声を上げる。
怒りに任せ手当たり次第、その辺りの木をなぎ倒し暴れ回った。
されど、片足をなくした巨人の動きは確実に鈍くなっている。
外が何だか騒がしい。
奴隷の少女が檻の中から幌の隙間を覗き込めば、カーマインの瞳と目が合った。
吃驚して檻の中で後退った少女は、幌を割って荷馬車の中に入ってきた四音を見遣る。
愛らしい少女の格好をしている四音を何処か懐疑的な瞳で見つめる奴隷の少女。
後から続いて入って来たのは、目元を覆い隠した武器商人だ。
「ヒヒ……」
口の端を上げて、小さく含み笑いをする武器商人。
「大丈夫ですよ。あなた達を助けに来ました」
微笑みを浮かべる四音の瞳が、笑って居ない、ような気がすると奴隷の少女はぷるぷると震えた。
武器商人は馬車の隅で子供達より震えている奴隷商を尻目に檻の前に座り込む。
「今開けるから、問題無いよ」
奴隷商の腰に下げた鍵は必要無い。武器商人の袖から這い出てきた黒い影が鍵穴に忍び込み小気味よい音と共に解錠される。
開け放たれた檻の中に一番先に入り込んだのはタイムの使い魔だ。
小鳥の愛らしい仕草に子供達の恐怖が和らぐ。
四音と武器商人だけでは僅かに足りなかった部分をタイムの小鳥が補ったのだ。
仲間が居たからこそ繋がっていく物語に四音は三日月に唇を曲げる。
――美しい物語。心躍る濃厚な戦い。素晴らしいですね。ふふふふ
「キミ、外がどうなってるか知ってるかい?」
「へ? 俺か?」
武器商人に突然話しかけられた奴隷商は自分を指差して首を傾げた。
「巨人が襲ってきてるんだよ。この森にはまだあんな風な巨人がいるかもしれないよ。踏み潰されてしまうかも。我たちと一緒に居た方がいい」
「……あ、ああ」
「さあ、子供達を抱えて逃げるよ!」
人手は少しでも多い方が良い。有無を言わさない武器商人の声に奴隷商が大人しく従う。窮地に陥った人間というものは強い指示があるとそれに従ってしまう。
武器商人と四音、それに奴隷商は檻の中から子供を抱えて荷馬車を逃げ出す。
戦闘の届かない場所に子供達を連れてきた武器商人は奴隷商の肩に手を置いて口元を緩めた。
「さあ、ここで待っているんだよ。これぐれも逃げたりしないように。逃げれば森の中に居る巨人がキミを食べてしまうかもしれないからね」
「嘘だろ!?」
「……いえ、本当ですよ? 人間と見るや襲ってきました。だから、近くに居た方が安全ですね」
武器商人のはったりに四音が調子を合わせる。
踵を返す二人の奥には巨人が見えていた。奴隷商は己の身可愛さにその場に留まる。
●
アーマデルが口の中に溜った血を地面に吐き出した。
フリークライに庇われているアンジェロは無事であるが、巨人の攻撃は身に応える。
UMAを少しずつ動かしながら移動しようにも巨人の動きが止められないのだ。
「リズクッラー殿と二人で一瞬だけ巨人を抑えるその間にフリークライ殿は走ってくれ!」
「まあ、そうするしかねぇか! 依頼主には金額弾んでもらうからなぁ!」
アーマデルとリズクッラーは視線を交わし、巨人の胴へと体当たりを強行する。
「今だ!」
「……ン」
フリークライはアンジェロを抱え走り出した。
その背に巨人の手が伸びる。
「ぐぅ、やっぱオレじゃ厳しい、な……ぁ!」
「リズクッラー殿!」
巨人の重さに耐えきれずその場に倒れ込むリズクッラーを支えるのは武器商人だ。
「お待たせだよ」
「命に優先順位をつけるというのは余り好きではないのですが。まず奴隷にされた子供を助けないといけませんからね。彼等が避難すれば皆さんへの支援もより手厚くできます」
リズクッラーとフリークライへと素早く回復を施す四音。
「さあ、走って!」
血を流すアーマデルはリズクッラーの背を押す。
追い縋る巨人を引き留めるようにアーマデルと武器商人が押し返した。
――――
――
「シャルティエさんのハイ・ウォールで巨人を止められて良かったですね」
「ええ……まあ、でも大分しんどい、かな」
「いいじゃん、オレ達が耐え忍んでこそ、だろ!?」
ヨハン、シャルティエ、風牙の額には汗とブラッディレッドの血が流れている。
四人で抑えるべき巨人二体を三人で押さえ込もうというのだ。
それは血反吐を吐くような厳しい戦いを強いられる。三人とも覚悟の上だった。
「これでも僕はもともと最前線の剣士だったので! 最前線の魔術師でもこれくらいはやれるでしょう!」
「ああ、できれば倒しきりたいが、オレのメインの役目は足止めだ。それだけは絶対に果たす!」
「大丈夫、三人なら出来るよ!」
シャルティエと風牙の心強い声に、ヨハンは頷く。
「僕がいる限り絶対に誰一人やらせはしない。どんな不利な状況でも覆す、それが魔術師だ!!」
ヨハンの雄叫びが森の中に響き渡った。
武器商人はアーマデルとタイミングを合わせ、巨人の足下を掬う。
片方の足をなくした巨人がバランスを崩し倒れ込んだ。
「皆さんの命を癒し守るのが私の使命。安心して戦ってくださいね。
敵の肉体がどの程度強靭かはわかりませんが、はたして私達の攻撃に耐えられる程かどうか」
アーマデルに蓄積されていた傷を四音がダークヴァイオレットの腕で癒していく。
大凡回復術に見えない見た目にアーマデルはぷるぷると小さく震えた。
「しかし、何かの物語の始まりの気配を感じますね。
心躍る素敵なものになること私は願ってやみませんよ。くふふふ」
朗らかな笑顔を此方に向ける四音にアーマデルはごくりと喉を鳴らした。
「……なんなのよぉこの声」
巨人が発する意味不明な怒りの声にアーリアは顔を顰める。
「あの巨人に会話をする知能はないのかしら? 怒りの感情が強いわ。どうしてなの?」
「どうだろうねぇ。前も会話らしい会話は出来なかったよ」
タイムの疑問に武器商人が応えた。
「あの巨人はなんであの子を執拗に狙うの?」
「前はこの幻想の国王を狙ってた。今はあの子を狙ってる。これはどういう事なんだろうねぇ。ヒヒ……何かあるのか、無いのか」
意味深な武器商人の言葉にアーリアとタイムは頭を振った。
「けどこっちも命がかかっている。引けないわ」
「そうねぇ負けられないもの」
視線を上げる。狙うはアーマデルと武器商人が巨人の身体を押し返した瞬間。
「やるなら頭を狙うべき、かな」
「ふふ、タイムちゃん過激なんだから。でも、一番『早く』動きを止められるのはそこよねぇ」
アーリアとタイムが拳を合わせる。小さくコツンと重なった拳が離れて、二重の魔法陣が展開した。
エメラルドとアクアマリンの輝きを帯びた魔法陣は揺らめく魔力の奔流を絡め合う。
月の魔術師と陽光の紡ぎ手が奏でる双奏曲。
アーマデルと武器商人が力を合わせ巨人を押し返す。
月と陽光の花酔輝雫――
戦場を赤き花と眩い光が覆い尽くした。
恍惚とした真っ白の世界で、巨人はただ夢見心地で瞳を閉じる。
自分を飲み込むマルクの魔光に全てを燃やし尽くされ灰になって消えた。
それ程までに、鮮烈なる死でマルクは巨人を葬り去ったのだ。
「さあ、残る二体の巨人も」
「私達の力があれば」
大丈夫だと、アーリア達は視線を上げた。
●
戦いが終わり静けさを取り戻した森に奴隷にされた子供達の啜り泣く声が聞こえる。
物音一つでも肩を振わせる子供達に寄り添うタイムの使い魔。
元気が出るように小鳥は歌う。
「よお!」
戦いを終え、ボロボロになった風牙が子供達の前に現われた。
「もう大丈夫だからな」
安心させるように笑顔で目線を合わせ、震える子供達を抱きしめる。
「ふぇぇん」
此処にいる子供達はギストールの街で普通に暮らしていた子供だ。
安堵に泣きじゃくってもおかしくない。
「こわい巨人はやっつけちゃったからね」
タイムも涙を零す子供をあやしながら頭を撫でる。
「リズクッラーさんもありがとう。UMAさんはどう?」
「うん。こっちは大丈夫。アンタが回復してくれたお陰で傷一つねぇよ。ありがとな」
「どういたしまして。でも、この子達どうしよう。ギストールに戻るのは難しいし」
ギストールの街は壊滅状態だ。そんな場所に戻した所で親が生きているかすらも分からないのだ。
「街の生存者はメフ・メフィートに居るはずだから」
「そうよね。一度皆で王都に行こうか」
マルクの声にタイムは子供達を抱きしめる。もちろん人攫いになんて子供は返さない。
武器商人はギストールの街から捜索願いの出ている子供達の特徴を調べていく。
確かに一致する子供も居る様だ。
「……あのアンジェロって子も気になるけど、他の奴隷の子達も心配だな……住む街が大変な事になって、その上攫われて」
シャルティエは攫われた子供達の未来を思って暗い顔をする。
無理矢理攫われ奴隷にされるなんて、酷すぎるとシャルティエは唇を噛んだ。
「とりあえず、貴方には着いて来て貰いますよ」
「あ、ああ……」
ヨハンによって奴隷商は大人しく縄を掛けられ荷馬車に繋がれる。
「約束 シタカラ」
フリークライはメフ・メフィートまで同行すると身体を揺した。
「リズクッラー 依頼主 気ニナル アンジェロ コノ先 心身安全 確認シタイ」
「前の馬車の子供達も保護して最寄りの街へいくなら、行き先はリズクッラー殿も一緒だろう。子供達と同行するなら、この先の護衛は引き受けよう」
アーマデルはその代わりと掌をアンジェロへと向ける。
「その子を運ぶのはどこからのどんな依頼か、教えて貰えないか?
守秘義務もあるかもしれないが、こんな状況だ。道中の安全の為には隠し事は少ない方がいい」
「えっと……」
戸惑うリズクッラーは一歩後退る。クライアントの情報をおいそれと教える事は出来ない。
「守秘義務とか言うなら、誰が貴方を助けたと思ってるのかしら?」
足を軽く踏みながらアーリアはリズクッラーに迫った。
「わ、分かった。でも、自分の口からは言えない、から。……オレはこの子を家の前までつれて行く。オマエたちが着いてこようが来まいが知ったことではない。それでいいか?」
出来れば離れた所からお願いすると頭を下げるリズクッラーにマルクは情報料として白紙の小切手を握らせた。
「貴方達はギストールの街から逃げ出して来たんですよね?」
マルクは惨状になったギストールの街に調査に向かった。その前にあの街から脱出していたということはマルク以上の情報を持ち合わせているということなのだ。
「巨人と人間、恐らく身分を隠した騎士の組み合わせが街を襲った筈だ……どんな奴らだった?」
「確かにでっかいのと、ちっさいやつだったが。 盗賊か何かかと思ったが、何だあれは騎士なのか!? そうだったような気もするが。一瞬だったからなぁ。逃げるのに精一杯だった」
「でも、子供達を連れ去る時間はあったと?」
「いやぁ……そこは、ほら。ってあれ、アイツ居なくなってるじゃねぇか」
もう一人居た相方の姿は何処にも無いらしい。
何て悪運の強いヤツなのだとマルクは奴隷商を呆れた顔で見ていた。
「アイツ、俺を置いて逃げやがったな! クソ!」
「リズクッラーさんは他に何か見かけたかい?」
「そうだな。おおよそ、その奴隷商と同じぐらいの認識だ」
ふむとマルクは情報を洗い直していく。
荷馬車に揺られてアーリアはアンジェロの隣に座る。
「怖がらせてごめんね、もう大丈夫」
汚れてしまった頬をハンカチで優しく拭いてあげれば、少しだけ緊張が解れたように頷いた。
「私はアーリア、貴方のお名前は?」
「えっと……アンジェロ。アンジェロ・ラフィリア」
綺麗なお姉さんを前に、照れくさそうに笑うアンジェロ。
今回のオーダーはアンジェロを無事に王都まで送り届ける事だ。本当ならばこの場で救ってあげたい思いをぐっと堪え言葉を紡ぐ。いつかアンジェロを救う為に一つでも多く情報が欲しいのだ。
「いつか貴方が自由に飛べるようにするから」
「え……」
思わぬアーリアの言葉に目を瞠るアンジェロ。
スラムで育ち奴隷という身分に落とされた自分のことを、自由にしてくれるというアーリアは何者なのだろうか。罠だと考えるのが妥当だろう。騙されてやるものかとアーリアをにらみ返す。
けれど、アーリアの優しい瞳は双子の兄が自分に向けるものと同じで。きっとこの人は自分の事を本当に心配してくれているのだと伝わって来た。
だから、アンジェロは零れそうになる涙を堪えて、アーリアの服の裾を掴む。
人を信じる事が出来ないアンジェロにとって、この裾が精一杯の返事。
「ふふ、大丈夫。必ず貴方は青空を羽ばたけるわ」
荷馬車に揺られ、王都に着いた先。
リズクッラーがアンジェロを連れて入って行くのは。
ミーミルンド家の屋敷だった――
成否
大成功
MVP
状態異常
あとがき
お疲れ様でした。如何だったでしょうか。
無事に子供達を助け、アンジェロを送り届ける事が出来ました。
全員が素晴らしい采配でしたので大成功をお送りします。
MVPは壊れる程の覚悟で守り切った方へ。
今後も開かされていく物語に、ご期待ください。
GMコメント
もみじです。双翼の碧は空を見つめ――
●目的
・巨人の撃退
・奴隷にされた子供の保護
・リズクッラーとアンジェロをメフ・メフィートに送り届ける
●ロケーション
幻想王家が所有する『古廟スラン・ロウ』外周です。
結界の中から巨人が出てこようとしています。
普段は静かな場所なのですが、今日は騒がしいようです。
結界が機能していない恐れがあります。
●敵
○古廟スラン・ロウの巨人×3
その姿は巨大な鬼――あるいは巨人の様に見えます。
どこから出てきたのか一切不明。
何がしかの言葉を口走っているように聞こえますが恐らく意味のある言語ではありません。
アンジェロ・ラフィリアを見つけると、彼を最優先で攻撃してきます。
その感情には怒りか恨みか……とにかく負の感情だけが伺えます。
強靭な肉体と拳は地を穿つ程です。
またブロックには二名分必要となります。
●味方
○『骸骨運送』リズクッラー
ラサから幻想、鉄帝まで幅広い活動をしている『運び屋』。
手紙配送、宝飾類の運送、死体運搬、何でも承る。
今回はギストールの街からメフ・メフィートまで人を送り届ける仕事を請け負った。
その最中、ギストールが襲撃に遭い、アンジェロ・ラフィリアのみなんとか発見した。
ギストールの街から細い道を進み、古廟スラン・ロウに差し掛かった所で巨人と遭遇する。
○『双翼の碧』アンジェロ・ラフィリア
ギストールの街で襲撃に遭い、彷徨っていた所をリズクッラーに発見される。
自分の事を語りたがらない為、考えていることは不明。
怯えている様子。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●ブレイブメダリオン
このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
このメダルはPC間で譲渡可能です。
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