PandoraPartyProject

シナリオ詳細

狭い地下室にて

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アノコが欲しい……そうシよう
 胸が苦しい、今にもチリヂリと焼け焦げてしまいそうだ。こうなったのはアノコのせい、こうなったのはアイツのせい、こうなったのは……

ーーーー

『二人はめでたく結ばれてその後幸せに暮らしましたとさ』
 いつか読んだ絵本の最後。いつも夢に見て
る。いつか自分も運命の人と出会って楽しく幸せに暮らすんだと夢見てる

 そして出会った。運命の人

「恋人になろう」
「いいよ」

 こうして二人は絵本の続きのような幸せな暮らしを始める…………はずだった。そうじゃなきゃダメなんだ。ずっと夢見てきたんだ、ずっと憧れてたんだ。二人はずっと一緒で、笑いあって、幸せで、二人は、二人っきりで……幸せになるんだ……だから

 キミさえいればあとは何もいらないって言ってるじゃん

 恋人のアノコは誰かと笑いあってた
 恋人のアノコは誰かと遊びに行ってた
 恋人のアノコは誰かと楽しそうにしてた

 段々、段々、黒くドロドロとしたものが身体を蝕んでいく

「もう飽きちゃったの」
「なにが? ……どうしたの?」
「もう■■のこと飽きた?」
「えぇ、そんなことないよ。嫌だなぁ」

ーー嘘つき。はぐらかしたって無駄だよ

 きっとアイツのせいでキミはおかしくなっちゃったんだね。ごめんね、ごめんね、もっと注意して見ておけばよかった。キミの周りをうろつく虫は一匹残らず駆除すべきだったね。ごめんね、ごめんね

「今、キレイにしてあげるから」

 月が空に浮かばない特別な夜。キミの家の扉を叩いた。キミは「こんな時間にどうしたの?」と微笑みかけた。この笑顔がキミに群がる害虫に向けられてたなんて思い返すだけで腸が煮えくり返る
 ゆっくりとキミの首元に手を伸ばし、力を込める。ギリギリと音を立てながらキミの首が締めあげられていく

「あぁ、なんてカワイソウ……」

 暫くしてキミは力が抜けてその場に倒れ込んだ。キミの体は浅い呼吸を懸命に続けている。キミの体を担ぎ上げ、月が不在な真っ暗な夜空の下を歩き出した

 そう、キミはずっと■■のモノ



●赤い本
 パタリと表紙が赤く塗られた本を閉じた。正直読む人を選びそうな内容だな
 この本はここで物語が途切れていて、どうやらまだ書き途中のようだ
 境界案内人であるカストルにはこの本の物語を終わらせてくれと言われたけれども、どうしたものか

「可哀想じゃないか」

 近くのソファーで読書していたカストルが呟く
「君が思う正しい物語のラストに進めてくれるだけでいいんだ
 この本の世界は幻想に似ているのかな……でも魔法とかは使えないみたい。安心して、そんなに危なくはないと思うから」
 なんだか道徳の授業みたいな依頼だなと思いながらも、もう一度赤い本を開いて文字を追う
「それじゃあ頼んだよ。行ってらっしゃい」
 カストルが小さく手を振り見送った


 一瞬パチリと瞬きをした。すると、先程まで図書館にいたはずなのだが、気づけば見慣れない部屋の中心に立っていた
 窓はなく、出入口も鉄のドアが一つあるだけ。室内の造りも簡素で、生活していけるだけの必要最低限のものしか揃っていないようだ
 それから、ベッドには人間が横たわっていた。「もしかして」と、その人をまじまじと見てみれば、間違いない。あの人だ

 かつて愛した、もしくは今も愛し続けている『あの人』だ



ーーーー君の思う本当に正しいラストは迎えられそうかな……?

NMコメント

こんにちは。こんばんは。佐茂助と申します
すごく自分の好きなノベルになってしまいました。まずはOPを読んでいただき誠にありがとうございました

〈目的・目標〉
愛する人をどうするか決めてそれに沿って行動してください。本の主人公がしようとしたことを続けても構いませんし、それ以外でも。……ただ、あまりにも過激な描写などは御遠慮ください。お願い致します

〈世界観〉
初めの部屋は地下室
舞台は幻想に近いですが魔法などはなく、どちらかと言うと現代のヨーロッパに近いです

〈サンプルプレング〉
本当は愛する人を力ずくでも自分のものにしたい。けれどもそれでは一方的な想いでしかない。だからその人を家に返してあげます


皆様のご参加お待ちしております
どうぞよろしくお願い致します

  • 狭い地下室にて完了
  • NM名伊与太
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月23日 22時02分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
復讐者
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
シャオ・ハナ・ハカセ(p3p009730)
花吐かせ

リプレイ



「愛する人を……ね」

 『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)は無機質な声で呟いた

「まー気持ちはわからなくもねーですねー。大好きな方が自分を蔑ろにして他の方とイチャイチャしていたら、それは気分も悪くなりますよねー」

 ピリムは冷たい地下室を見渡し、首を傾ける。目の前にはこの本の主人公であろうか、もしくは作者かもしれない女性が地面の上に両膝をつき、薄ら笑いを浮かべたまま項垂れていた

「しかし、独占とは本当の愛足り得るのでしょーか? そいつは自己満足でしかねーんじゃねーですかー?
 本当に愛する人が望んでいるものが何なのか見極めてからでも遅くないんじゃねーですかー?」
「……だ、だけどそれじゃダメだから。遅いから。だって、それじゃ誰かに盗られてしまいそうで不安なんだ。だから私が今すぐにキ、キレイにしてあげるんだ」
 彼女はそう言いながら愛するその人が横たわっているベッドに縋り付くように手を伸ばす。その手は震えているように見えた

「我慢、我慢ですよー。本当に大切であるならば、その方の全部を愛しているのならば、想い人の気持ちをもっと汲み取ってあげるべきですー」
 ピリムはベッドに伸びる彼女の手を止め、小さく溜息を吐いた
「っつーことで愛する人はお家に帰してあげましょーねー」
 ピリムは、ベッドに横たわるその人をそっと抱き抱え鉄のドアへと足を進める

「待って、待って! 連れていかないで。一人にっ……独りにしないで……」
「……お家に帰してあげるだけですよー。こんなところに閉じ込めてちゃこの人はこの先絶対不幸になっちまいますよー」
「そ、そんなことは……だって二人でいれば幸せになれるんだからっ……!」
「自分の幸せを押し付けるのが"愛"なんですかー」
 ピリムの言葉で自分の犯してしまった罪に気づいたのか、彼女は「ごめん、ごめん」と掠れた声を繰り返しながら、ボロボロと大量の涙を流し始めた
 やれやれと、ピリムは重たい鉄のドアを開く

「もう大丈夫そうですかねー?」

 外へ出るとあんなに真っ暗だった空が少しずつ白み始めていた



ーーベッドで永遠に戯れよう、**ちゃん。僕の大切な大切な大好きな人

「**ちゃんに世話を焼かれるのも好きだけれど、本当は僕も**ちゃんのお世話がしたいな」
 『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)は**の髪をそっと撫でる。綺麗な**の髪はサラサラと睦月の指から流れ落ちる

「髪をすいて体を清めて服を着せて食事をさせて………ああどれも**ちゃんの得意なことだね。そんな**ちゃんだから、不安になるの

 本当に僕でいいの? って」

 空っぽになった指を見つめて、**の頬に手を伸ばす

「ねえ、**ちゃん、僕が好き? 僕だけが好き?僕だけ見て愛してくれる?」

 睦月は伸ばした手を頬に滑らせる。**はすぅすぅと小さな寝息を立てたままピクリとも動かない

 ベッドのうえの**ちゃんは応えない。ふしぎ。こんなにあたたかいのにね。眠ったままなの。いつもみたいにはぐらかすつもり?

 じゃあ僕だって、好きなようにしちゃう

 いらないもの全部捨てちゃおう。たとえば、そうだね。脚。もう脚はいらないよね、**ちゃんは僕の傍から、この地下室からどこにもいかないんだから。**ちゃんの長くて僕より歩幅の広い脚。僕を置いていってしまいそうな脚。いらないよね、こんなものは。ぽいってしよう

 睦月は地下室の隅に立てかけられていた大きな斧をベッドの上に振り下ろす
 ドスン……

 腕もいらないよね。僕の髪をすいてくれた腕。おいしい食事を作ってくれる腕。でももういらないよね。だってそれをするのは今日から僕なんだから

 ポタポタと音を立てる斧を睦月は再び振り下ろす
 ドスン……

 白いベッドはすっかり紅色に染まっていた。……でもこっちの方が素敵だよ。だって**ちゃんの色だもの

「眠っていてね**ちゃん?」

 睦月はぎこちない手つきで**にぐるぐると包帯を巻き付けていく

 半分になった**ちゃんなら、僕でも抱えあげられるはず。抱きしめていいこいいこってしてあげる

 うれしい? うれしいよね?

 **の唇にそっとキスをして、睦月は転がる**の一部達を抱き抱えた

 記念すべき最初の料理は血の滴るステーキにしよう。残りは剥製にして壁に飾ろう

 睦月の無邪気な笑い声が冷たい地下室に響いた

 戯れていようね、いつまでもーー



 地下室のドアが重い音を立ててゆっくり開いた。コツコツと足音を鳴らし、『身体を張った囮役』オウェード=ランドマスター(p3p009184)が濡羽色のローブに身を包み如何にもな雰囲気で入室する

「お、お前は誰だっ!」
「ワシは……名も無き隠者じゃ、■■殿に頼まれた……少し質問を行う」
 突然現れたオウェードを前に、地下室の中で愛する人が目覚めるのを待っていた男が、動転してか大声を上げた。恐らく彼がこの本の主人公であろうか。「捕って食ったりはせんよ」と、それをなだめるようにオウェードが低い声で問いかける

「愛する人は何故、お前さんを避けるようになったのじゃ?」
「……そ、そんなこと、きっと僕に飽きたからに決まってる!」
「では別の質問をしよう。お前さんの愛する人は果たして、お前さんが憎んでいるであろう"彼"のことを信じれるのだろうか? "彼"の本能を知った時……愛する人はお前さんが良かったと後で後悔する事になるかも知れぬ……」
「知らない、知らない。アイツの本能なんてどうだっていい。彼女が僕のものになってくれさえすれば……あとは何もいらないんだ」
 そう言って泣き崩れる男をオウェードは黙って見つめていた。それから暫くしてオウェードは再び口を開いた

「愛する人よ……主人公がなぜ狂ったかわかるかね?」
「"誰か"よ……愛する人と付き合えたら主人公の様に捨てられるかも知れぬ……それでもいいのかね?」

 オウェードが口を閉ざすと、先程まで誰もいなかった男の隣に、彼の愛する人と、彼が心底憎んでいたその人が並んでいた

「私は、何も分からない。私の生きたいように生きていただけなの。でも彼が好きなのは本当だから」
「お、俺は……好きな人になら尚更捨てられたくはないよ。もう彼女にちょっかいはかけないから」

『フム……それがお前さんの選択じゃな……悔いの無いように』
 そう心の内に呟いてオウェードは深く頷い


「カストル殿……出来る限りのラストを描いた…………ワシには重たい話じゃったのう」
 地下室を後にしたオウェードは黒く淀んだ夜空を仰いだ
 図書館で待っているカストルの寂しそうな横顔がふとオウェードの頭をかすめた



「ひとまず、一緒に外に出ましょう」
 と『花吐かせ』シャオ・ハナ・ハカセ(p3p009730)は地下室のドアを開けた
「こんな日の差さない場所に置くのは、愛とは言えなさそうですし、私自身も嫌です」
 シャオは愛する人の手を取って、夜の街を歩き出した。暫く歩いていると、草花が生い茂る野原を見つけた。「ここで朝を待ちましょう」そう言いながらシャオは野原の上に寝転んだ。「あなたも一緒に」と誘えば、愛するその人もシャオを真似て野原の上に横たわった

 少しの間二人は眠っていたようで、はっと目を開ければ墨汁を流し込んだかのように真っ黒く澱んでいた夜空が、昇ってきた朝日によって白く光り始めていた。空は清々しいほどに晴れ渡り、小鳥達が朝の訪れに気づいてさえずり始める

「そういう光景を幸福と称するのを聞いたことがあります。私は心地いいですが……」
 そう呟きながら愛する人に視線を向けると、その人はシャオの目には霞がかったようにぼやぼやとしか映らず、はっきりとした表情は読み取れない。けれども小鳥が指に止まるのを嬉しそうにくすくす笑っている姿を見て、シャオはにこりと微笑んだ

『 欲しい、愛する人、可哀想』

 ……いえ、言葉の意味は理解しているつもりです。しかし、私にとってそれは知識に過ぎず、感覚は伴わない

 シャオは愛する人へ、そっと手を伸ばそうとする

『 どういう“愛”を正しいものとするのでしょう?』

 多分、この方の“愛”に私は不要です

 シャオは伸ばしかけた手を下ろした。それから愛する人はシャオを置いてどこかへ歩いて行ってしまった

「どうぞお幸せに」

 シャオの言葉は朝に吹く冷たい風に乗って愛する人に届くことなく空の中に薄れて消えた

ーーーー

「これで頼まれた、正しい結末とやらを果たせたでしょうか」
「うん、充分だよ。ありがとう」
 カストルは赤い本を抱きしめながら微笑んだ。だが、その微笑みはどこか寂しそうで今にも泣き出してしまいそうだった

成否

成功

状態異常

なし

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