PandoraPartyProject

シナリオ詳細

闇が明日を消す前に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●とある闘技場での光景

「き、きまったああああ! グレイトホーン、必殺のクラッシュホーン炸裂! 今日も圧倒的な強さを見せつけたあああ‼」

 倒れる闘技者、そして割れるような歓声。様々な声を背に、グレイトホーンと呼ばれた闘技者は舞台裏へと帰っていき……そこに、1人の男の姿を見つける。
 男にとっては、舌打ちしたくなるような相手だ。しかし、決して無視できる相手ではない。

「よう、グレイトホーン……今日も大勝利だったな」
「何の用だ、カルツマン。誘いなら何度も断ったはずだが」
「そう言うなよ、グレイトホーン。俺だって仕事でね……簡単に引き下がるわけにはいかねえのさ」

 そう、闘技者グレイトホーンはこの男から幾度も誘いを受けていた。
 目もくらむような大金も何度も何度も提示された。
 しかし……それでも断っていたのだ。

「だいたい、どうして断る? この闘技場は落ち目だ。どう考えたって移籍したほうがいいだろう」
「だからといってお前等のところに移籍する気はない。何人闘技者を潰してきた?」
「その分の報酬は払ってる。とやかく言われる筋合いはねえぜ」

 カルツマンがスカウトとして所属する闘技場は「なんでもあり」のデスマッチを主とする闘技場だ。
 過激である分人気も高いが……闘技者の死亡率が際立って高い事でも有名であった。
 また、その裏には運営による「演出」があるというのも、もっぱらの噂だ。

「大体、お前……金が必要なんだろう?」
「……それこそ『とやかく言われる筋合いはねえ』ってやつだな」

 カルツマンの肩をどついてどかしながら、グレイトホーンは歩き去る。
 その背中を見て……カルツマンは小さく呟く。

「諦めねえぜ……どんな手を使っても、だ」

●とある依頼

「護衛依頼です。興味ある奴は寄ってくるです」

 そんな発言と共に、『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201) はその場にいる者達を呼び集めた。

「鉄帝にあるサノッサ闘技場に所属する闘技者グレイトホーンを守ってほしい。それが依頼の趣旨です」

 依頼者はサノッサ闘技場の主催者。
 サノッサ闘技場は規模としては比較的小さめにあたる闘技場ではあるが、グレイトホーンを中心とするスター性のある選手を擁する優良な闘技場として多少名も知れていた。
 そう……知れていた、のだ。
 今となっては他闘技場からの引き抜きも激しく、かつての栄光も今は……といった感じになりかけている。
 そして今、グレイトホーンにかなり強引な引き抜きをかけている者がいるらしいのだ。

「グレイトホーンへの直接的被害は勿論、グレイトホーンの妹さんへの危害も考えられる……とのことです。オーダーは『その全てから守ってほしい』……です」

 事件の糸を引いているのは「カルツマン」と呼ばれる男であるらしい。
 彼の手により今、サノッサ闘技場には今親善試合という建前による刺客が送り込まれようとしている。
 その裏で妹の誘拐事件も起こる……かもしれない。

「諦めさせる方法は簡単。なんとかしてカルツマン自身を真正面からぶちのめすです」

 鉄帝式でやってやれば、カルツマンがこれ以上グレイトホーンに手を出すことはできなくなるだろう。
 やってやるです、闇に輝く明日は消させねーのです、と。
 拳を突き出す真似などしながら、チーサは締めくくるのだった。

GMコメント

筋肉イズ正義。
どんな悪鬼外道の作戦も最後には正道が貫くのです。

今回のシナリオではサノッサ闘技場の全面サポートが得られます。
具体的にはサノッサ闘技場所属の闘技者としての地位が得られます。
リングネームは名乗ればそれが採用されますが、決めてない場合は勝手に決められてしまいます。
プリティ☆マッソーみたいな名前をつけられて泣かないように決めておくのが無難です。

●刺客について
最大5人のチーム戦。
グレイトホーンの他の残り4人のメンバーとして出るのも自由、「グレイトホーンを倒したくば私達を倒せ!」と5人枠全てを埋めても大丈夫です。なお、素手がルールです。

・イエロージュドー
投げ技を主に使用する第一の刺客。派手な試合になりそうです。決め技は「イエロー投げ」です。だせえ。
・ピンクチョッパー
女王様キャラで売ってる第二の刺客。武器を使いますが、今回はルールに合わせて使いません。決め技は、締め技の「ピンクドリーム」。
・グリーンファイター
珍しく正々堂々の第三の刺客。バランスよく格闘技を使います。決め技は特になくて人気もあまりないそうです。
・レッドパンチャー
打撃技を主に使う第四の刺客。素手のくせにバッドステータスを織り込んだ攻撃を繰り出します。これまでの四人と比べるとガチで強いです。決め技は「レッドブラストナックル」。
・ブラックホッパー
リング場を軽快な動きで飛び回る第五の刺客。五人の中では最強です。決め技は「ブラックキック」。

●カルツマン
リングネームはゴールドブラスター。5人を倒してカルツマンを挑発することでリングに飛び込んでくるでしょう。
5人を合わせたような戦い方をします。見せ場です。

●妹さんへの襲撃
誘拐チームが組まれているようです。
こちらは闘技者ではなく暗殺者やごろつきの類が雇われているようです。
妹さんの名前はレイシー。12歳の病弱な女の子です。
グレイトホーンは彼女の薬代の為に戦っています。

サノッサ闘技場からの紹介状を使えば、妹さんへの接触も容易でしょう。
信じてもらえるかどうかは皆様次第。

●最後に
このシナリオは筋肉とショー精神が重要です。
リングに挑む人たちは自分を徹底的にアピールするつもりでやった方が輝きます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 闇が明日を消す前に完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オリヴィア・ローゼンタール(p3p001467)
鋼の拳
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
微睡 雷華(p3p009303)
雷刃白狐
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●真昼は夜に覆われるのか

 鉄帝の街は、日々喧騒に満ちている。
 他では非日常に思える光景も此処では日常であり、力がものをいう光景も多くある。
 しかしながら……だからこそ理不尽がまかり通っていいかといえば、それは別であり。
 それを砕かんが為、『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)達は奥まった場所にあるグレイトホーンとその妹であるレイシーの自宅へとやってきていた。
 1つの闘技場で人気の闘技士をやっている男の自宅とは思えない立地ではあるが……表通りで日々起きる喧騒を思えば、仕方のない部分はあるのかもしれない。

「まずは、上手く事情を伝えないとね……」

『雷刃白狐』微睡 雷華(p3p009303)は、自分の懐から取り出した紹介状を見つめながらそう呟く。
 どう事情を伝えればいいのか。色々考えても、結局のところ「素直に事情を話す」以外の解決策は浮かばなかった。
 
「ええ。鉄帝において回りくどい言動は往々にして面倒な結果を生み、そして真っ直ぐな力強さが好まれる物です」

『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)はそう打算的にも思えるメリットを説くと、その表情に僅かな苦笑の色を浮かべる。

「まあ、そういう打算的な部分を抜きにしても、信じて貰うには真っ向からぶつかっていかないとダメだと思うのです」
「うん、そうだね。わたしたちをまずは信用してもらわないと」
「ま、そんな難しい話じゃねえよ」

 風牙はそう言うと、雷華とオリーブへと振り返る。

「ぶっ潰す。それで全部終わりだろ?」

 そう、それは実に明快な答えだ。結局のところは風牙の言うとおりにそれが最適解であることに雷華たちも異論はない。
 そして、3人の代表として風牙がドアを叩くと、ドアが開いて1人の少女が顔を出す。

「お兄ちゃんのお客さんですか?」
「ん……おう」

 あまりにも無警戒なその様子に思わず毒気を抜かれそうになった風牙ではあったが、何かを言う前に少女がニコリと笑う。

「えっと、その……ちょっと、聞こえてたので」

 なるほど、耳の良さによっては充分にありえた話だったと雷華たちは顔を見合わせ……風牙は軽く咳払いをする。

「なら話は早ぇな。臆病者のフニャチンどもが、あんたを浚って兄貴に言うこと聞かせようとしてるんだと。オレらはそれを阻止しにきた。ちょっと騒がしくなるかもだけど、家から出ずにドーンと構えててくれよ。『掃除』はオレらがやるからさ」
「不安はあるだろうけど……わたしたちが、必ず守ってみせるから」
「信じて貰えても貰えなくても、何かあったら声をあげてほしいのです。そうすれば……」

 駆けつけるから、と。そう言おうとしたオリーブに少女は……レイシーはふるふると首を振る。

「いいえ、信じます。こんなものを頂くまでもなく。信じます」

 雷華の差し出した紹介状を受け取るレイシーに、ならばと雷華は1つの提案をする。

「なら……出来たらレイシーさんにわたしのギフトを使わせてほしい」
「はい、どうぞ」

 まだ説明もしていないうちから受け入れるレイシーに、それでもと説明をする。

「そうすれば、少しの間は離れていても話ができる。もしレイシーさんに危険が迫っても、わたしに連絡できるし……それ以外でも、話し相手くらいにはなれると思う」
「はい、受け入れます」
「ええと……いいの?」
「はい。この紹介状に皆さんのお名前と特徴も記載してありますし……そっちのヒールっぽいおにーさんかおねーさんか分かんない人も、とても良い人そうですし」
「へえ……」

 風牙は、その言葉が本気であろうと感じ取る。エモーショナル・カラーのギフトで判断するまでもなく、この少女はそうやって人を見極める力にある程度長けているのだろうと、そう思ったのだ。

「あと私的にはフニャチン呼ばわりをする時はもっと嘲るような表情をすると観客映えすると思います」
「……この子、本当に病弱なんだよな?」
「さっきからわたしに念話で、すっごいえっちな感じのリングコスのデザインを伝えてくるんだけど……」
「とにかく、作戦を開始しましょうか」

 病弱であろうと、なんだかんだ闘技者の妹ではあるらしい。
 そんな事を考えながら、オリーブたちは事前の打ち合わせ通りに動き始めた。

●光よ、闇を押し返したまえ

「さあ、いよいよグレイトホーンとグレッツリア闘技場の誇るカラーファイブとの親善試合が始まろうとしています!」
「グレイトホーン!」
「グレイトホーン!」
「グレイトホーン!」

 響くグレイトホーンコールを煽るように楽器の音が響き、サノッサ闘技場の観客たちのテンションも上がっていく。
 最近客足の落ちていたサノッサ闘技場は人気の他闘技場との親善試合ということもあり、会場は久々の満員御礼。
 立見席までぎゅうぎゅう詰めの有様だ。
 そんな中……黄色の覆面戦士、おそらくは対戦相手の1人と思われる男が周囲を見回す。
 グレイトホーンが居ない。そのことに不審を感じているのだろう。
 そして……その疑問を解決する声が、あがる。

「あっ、何す……メイドさんが!? うわーっ」

 ちょっとわざとらしい感じの実況の声が響き……拡声用の道具から違う声が響き始める。

「騎士(メイド)であります。実況! ちゃんと発音しろであります! オラァ!」
「ああーっ! 目覚める!? 目覚めてしまう!?」
「キメエであります!」
「女王(メイド)さまあ!?」

 何やらひどい茶番が放送されたあと、再び先程の……女性の声が聞こえてくる。
 それは『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)の声だった。

「あー、テステス。こちらフロイライン・ファウストであります。いぇーい、ぴーすぴーす」
「映像は流れてませんよ女王(メイド)さま」
「とにかくグレイトホーンは来ねえであります」

 控室に居るには居るが、エッダの言うとおりに彼は出てこない。
 何故ならば。

「さて、今回は素手がルールか。鋼の身体の見せ所だな?」
「……なんだ? お前」
「リングネームはブルービート。はは、残念だけどそっちの仲間じゃないよ」

『BlueBeat』イズマ・トーティス(p3p009471)の台詞に、黄色の覆面戦士は小さく溜息をつく。

「そうかい。ま、お前を倒さなきゃ出てこないって言うなら……」
「ああ。徹底的に、鉄帝式で、直接やろうよ。闘技場(此処)でね」
「それについては俺も賛成だ」
「しかしまあ……もう1つ残念だけど、こっちは俺だけじゃない」
「……何?」

 イズマの言葉を裏付けるかのように、リング上に何者かが飛び込んでくる。
 それは、どことなくベテランの闘技者を思わせるような馴染むコスチュームを纏う女性。
 いや、水着……だろうか?
 ちょっと危ないような、やっぱりそうでもないようなそれを纏うのは『鋼の拳』オリヴィア・ローゼンタール(p3p001467)。

「メタルフィスト、参上です」
「おおっと、2人目がリングイン!  あっ、メイド(女王)様、何処へ!?」

 居なくなったエッダを実況者が探しているうちに、リングに飛び込んだのは3人目。

「おらああ!」

 ド派手な動きでリングインした3人目は、『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。

「オレのことはカンフードラゴンとでも呼んでもらおう!ショウブだゴールドブラスターとその子分!」
「ゴールドブラスター……その名を知っているとは……」

 黄色の覆面戦士が呟く間にも、4人目がリングイン。

「リングネームは『スマッシュウルフ』! グレイトホーン殿に挑みたくばまず我々から倒して貰いましょうか!」

 何処かの国の軍人を思わせる格好の『挫けぬ軍狼』日車・迅(p3p007500)……スマッシュウルフの登場に、観客が歓声をあげる。
 色物にも思える軍人じみた格好に、その台詞。闘技場好きな観客たちが喜ぶ要素が迅にはバッチリ揃っている。

「4人か……」
「なら俺達も出ざるを得ないな」

 黄色の覆面戦士の背後にいた4人が、非常に統制のとれた動きでリングへ飛び込んでくる。

「レッドパンチャー!」
「グリーンファイター!」
「ブラックホッパー!」
「ピンクチョッパー!」
「イエロージュドー!」
「「「「「我等、闘技部隊カラーファイブ!」」」」」

 非常にキマッているポーズは、彼等が「そういうの」にも慣れていることを思わせた。
 しかし……しかしだ。此処にまだ、登場していない「5人目」がいる。

「お前らすげえ原色でありますなあ、野菜食ってる?」

 そう、わざわざリングの外で待っていた5人目……エッダが華麗にリングインする。

「おおっとお、なんと! これから始まるは脅威の5人バトル! 闘技戦隊カラーファイブに挑むは闘技騎士団メイデンナイツ!」

 しまった、チーム名は未設定だった。そう叫んだのは誰だったか。
 マイクパフォーマンスをキメてきたエッダをリーダーに据えた勝手なチーム名を決められてしまったようだった。
 ともかく、相手をチーム戦に引きずり込むことはできた。

「それでは……試合開始!」

 響く実況の声と共に、まず飛び出したのはイエローと迅。
 
「いくぜ……イエロー投げ!」
「くっ!?」

 神速ともいえる程の速度で繰り出された投げ技に僅かに態勢を崩した迅であったが……その隙を逃さずブラックが空中へと跳ぶ。

「ブラック……キイイイイック!」
「エッダ!」
「勿論であります!」
「させるか! レッドブラストナックル!」

 何も仕込んでいないはずなのに爆発すら伴うレッドの攻撃を受けてエッダが僅かに退くが……その隙にイグナートがブラックの攻撃を迅の代わりに受けていく。

「ぐっ……! だが、まだだ!」
「ぬっ……やるな! それに……『分かって』いる!」

 震脚でリングを踏み抜く程の勢いを見せながら雷吼拳を放つイグナートにブラックが感心したような声をあげ……その間にも「メイドインメイド」を発動させたエッダがレッドと相対し殴り合う。
 レッドの拳打に打ち負けているかのような、そのエッダの動きにレッドは気付いているのか否か。

「俺は特別素早いとか硬いとかではないけど……ゼロ距離の肉弾戦なら反応してみせるよ」
「あらそう! ならやってみるといいわ!」

 イズマの台詞に応えるかのように、ピンクが鞭のようにしなる蹴りをイズマへと繰り出す。
 正直、かなり鍛え上げられた技ではあるが……イズマとて負けてはいない。
 魔術と格闘を織り交ぜた独自の技……剣魔双撃。それは素手がルールであろうと、なんら輝きが鈍るものではないのだから。

「折角の親善試合、あなたは場を盛り上げないのですか?」
「向いてなくてね。そういうのが好きな連中はいっぱいいる。任せるさ」

 対峙していたオリヴィアにグリーンはそう答え、オリヴィア自身もそうだろうなと思う。
 しかし、それではいけない。鉄帝式とは、単なる力ずくのことではない。

「バランスよく堅実な戦い方……ファイターとしては優秀ですが、尖ったところがないとパフォーマーとしては二流ですよ」
「言えている。だから人気がないのさ、俺はな!」
「分かっているなら改善なさい!」
「ぐあああああああ!」

 ヘイトレッド・トランプル。オリヴィアの技が炸裂し、グリーンが吹っ飛んでいく。
 立ち上がろうとしてガクリと倒れたグリーンが起き上がることはなく……これで、均衡は崩れた。
 
「おおっと! 最初の脱落者はグリーンファイター! これで流れはメイデンナイツへと向かうのか!?」

 実況者の叫びが響き……そして、その頃。闘技場から離れた場所でも、1つの戦いが行われていた。

●間章:闇よ、消え去りたまえ

「レイシーには指一本、いや、近づくことさえ許さねえ!」
「ぐあっ!」

 風牙の奪塞・其先から繋がる攻撃が襲撃者の1人を昏倒させる。
 派手な試合の裏で、やはり襲撃者たちは現れ……そして、次々に撃退されていた。

「仲間を、巻き込まないように……」

 雷華の雷爆が炸裂し、その間にもオリーブが鉄壁にも思える守りを見せレイシーの居る家への接近を許さない。
 戦闘開始から然程の時間もたたないうちに襲撃者たちは全滅し……あとは、官憲に引き渡されるのを待つばかりだ。
 彼等の口からカルツマンの名が出れば、今後グレイトホーンへの手出しも難しくなるだろう。
 風牙は、そう考えていた。

「頑張れよグレイトホーン! 応援してるぜ!」

 大歓声の響く闘技場……そこで何が起きているか、想像するまでもなかった。

●そうして、闇は消える

 闘技場から運び出されていくカラーファイブの面々。これ以上ないくらいの大勝利に闘技場は沸いていて。
 リング脇にいたカルツマンは明らかな舌打ちなどをしていた。

「お前らの闘技場はこんな雑魚しか居ねぇんでありますかオラァ!!」

 運び出される前に剥いだらしいマスクを投げつけるエッダ。
 それだけではない、元凶たるカルツマンを引きずり出すべく、各々の挑発を投げつけていく。

「こんなものではないでしょう? グレイトホーンはまだ一戦もしていませんよ。大将が出てこそ盛り上がるのではありませんか?」

 オリヴィアが。

「頂点でない限りは挑戦者であり続けなきゃならないのが闘技者のシュクメイだよ。そうじゃなきゃ駆け上がって来たニュービーに追い落とされるのがこの場所さ!」

 イグナートが。イズマが、迅が、それぞれの言葉を投げつけていく。
 それを黙って聞いていたカルツマンの服が空中へと翻り……そして、黄金のマスクマンが姿を現す。

「そこまで言うのであれば……やってやろう! 望み通り、鉄帝式でな!」
「思い出させてやるよ!鉄帝で最も力がヒツヨウとされるこの場所の厳しさをね!」

 叫びながらも、イグナートは理解する。
 カルツマンもまた、鉄帝の男なのだと。
 陰謀を巡らせながらも、熱い心を忘れてはいない。
 闘技者としての、ショーマン精神を忘れてはいない。

「ぬおおおおお! ゴールブラストボム!」
「くあっ!?」

 これまでの戦いで一番消耗していたオリヴィアを、カルツマンが的確に狙いリングに沈める。
 その洗練された動きに……この男もまた確かに闘技者であったのだと理解できて。
 しかし、だからこそエッダは思う。

 なるほど確かに練られた技だ。
 デスマッチに魅せられる貴様の言も分かる。
 だが、貴様は弱き者に拳を向けた。
 そう、だからこそ。

「故に、お覚悟なさいませ。自分は、その悪意を叩き潰す者であります」
「やってみろ!」
「さぁ、盛り上がってきたな!」

 イズマの言葉通り、闘技場は今日最高の盛り上がりを見せ……そして。
 最高に魅せた試合の果て。カルツマンの企みは、完膚無きまでに叩き潰されたのである。
 
 ありがとう、メタルフィスト。
 ありがとう、カンフードラゴン。
 ありがとう、フロイライン・ファウスト。
 ありがとう、スマッシュウルフ。
 ありがとう、ブルービート。
 ありがとう、風牙、雷華、オリーブ。
 本当にありがとう、闘技騎士団メイデンナイツ。
 その活躍を、今夜の観客たちは忘れないだろう!

 闇に輝く星は眩く、長く語り継がれるだろう名試合を、祝福しているかのようだった。

成否

大成功

MVP

エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
皆様の活躍で、悪の野望は砕かれました。
それではまた次の依頼にて!

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