シナリオ詳細
<リーグルの唄>生きる糧の被害者
オープニング
●<リーグルの唄>
ローレットの本拠地である、幻想王国。
過去『伝説的勇者』が打ち立て、大国とはなったものの……もうその時から長い時から経過しており、今となっては建国当時の伝統と誇り、さらには理念といった物はもう……ほぼ失われてしまった。
そして、昨今においては門閥貴族が台頭してきている。
彼らは己が私欲を満たさんが如く、領民の人権、生活等を考慮する事など、万が一にもあり得ない事である、と。
現国王『フォルデルマン三世』は、父王がギリギリの所で抑えつけていた大貴族連合を制御する事が出来ずに今は、貴族達のするが儘に政治は進んでしまっていた。
ただ最近は、サーカス事件の一件以降、貴族の筆頭たる三大貴族の当主らも含め、国内の主要勢力とローレットの距離が縮まる事で、国難とも言える程の腐敗は収まっていた。
しかし、それを良く思わぬ者も居る訳で……今迄甘い蜜を啜り続けていた貴族等は、享楽的で身勝手な彼らの目が及ばぬ所で悪事を働く者も居る。
幻想王国にかねてより存在していた『裏市場』に、ここ最近出品され続けているのは『奴隷』……。
恐らくファルベライズ動乱のブラックマーケットでは、奴隷を中心とした商いを行う事が難しい、と判断された結果、奴隷商人達はここ、幻想王国へと集結し、『大奴隷市』として人身売買を繰り広げていた。
そして最近幻想で活動をしていたローレットのイレギュラーズ、アルテナ・フォルテ(p3n000007)が、最近ラサのブラックマーケットが静かである事、逆に幻想王国の裏市場が賑わいを見せていると情報屋と協力し、調査を行う。
その結果、奴隷が何時売り出されるかを判断する事が叶う。
人身売買という不当な行いを見逃す事は出来ない。
その為に、イレギュラーズに奴隷達の救出と証人達の捕縛、燻る火種を消してきてほしい……という話が舞い込むのであった。
●生きる糧の被害者
「イレギュラーズの皆さん! ちょっと、ちょっと……こっちにいいです?」
と、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、ギルド・ローレットを訪れた君達を、人知らずように、隠れて手招き。
そして、気付いてくれた君達を酒場のカウンターの裏に呼び出して。
「皆さんも、話は聞いてるかと思うのですが……ここ最近幻想王国で開かれている『大奴隷市』。幻想王国の貴族達も、これに手を出している様なのです」
「それで、今回の依頼なのですが……その奴隷市に手を出している貴族さんに、天誅を加えてきてほしいのです」
「『奴隷市場』を開いているのは、フィッツバルディ領に居を構える『グランディリオ』子爵の様なのです。彼は数日に一度、己の居の地下に広がるダンスホールで開催している様なのです」
「彼が売りさばいているのは、立場の弱い女子供……酷い扱いを受けている奴隷の人達が多いのです……手足は繋がれ、逃げる事も出来ずに、将来も悲しい未来しか待っていない奴隷さん達が可哀想なのです」
「勿論、立場のある子爵ですから、奴隷市場を邪魔すれば悪評を流されるのは間違いないのです。ですが……この様な酷い真似をしている子爵を許す事なんてできないのです!!」
「イレギュラーズの皆さんには、申し訳ない役割を担って貰う事になってしまうのですが……ですが、このような非道な振る舞いを黙って見てる事は出来ないのです。どうか、よろしく頼むのです……!」
申し訳なさそうに、頭を下げるユリーカなのであった。
- <リーグルの唄>生きる糧の被害者完了
- GM名緋月燕
- 種別通常(悪)
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年03月12日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●密か
幻想王国の裏で、密かに蔓延しつつある闇の市場【大奴隷市】。
その言葉の通り、奴隷を売り買いするブラックマーケットであり、非道な手段で自由を奪われた人々が、金の下で売り買いされてしまうという……非道なる市場。
そんな市場は腐りきった奴隷商人だけでなく、この幻想王国に領を持つ領主達すら甘い汁を啜ろうと、手を伸ばしている。
そして今回イレギュラーズ達が集められたのも、そんな悪事に手を染めた領主の主宰する【奴隷市】を叩き潰してきて欲しいから。
「本当、悪い意味でも裏切らねえんだよな、このクソ幻想国って奴ァ」
と肩を竦める『風の囁き』サンディ・カルタ(p3p000438)に、『鬼火憑き』ブライアン・ブレイズ(p3p009563)も。
「そうだよな。こういうことをする連中はこの世界にも居るって訳か……別に正義感なんて持ち合わせてねえが……テメーだけ安全圏で全部を掌の上に載せている気になっているようなヤツは、サイッコーにムカつくぜ!」
二人の言う通り、今回悪事に手を染めたのは、フィッツバルディ領【グランディリオ】子爵。
奴隷売買という甘い汁を啜り、奴隷を買い漁り至福を満たそう、という訳である。
勿論貴族からすれば、己が野望を邪魔されたという事になる訳で……悪評を広められるのは避けられないだろう……だが。
「ん……別に、悪評とかどーでもいいし。悪いヤツらを懲らしめて、お金が貰えるならそれはそれで最高の仕事でしょ! イレギュラーズとして与えられた力を正しく使ってやろうじゃない!」
と、自信満々に笑みを浮かべたのは『紅の弾丸』ワルツ・アストリア(p3p000042)。
それにマルク・シリング(p3p001309)も。
「そうだね。彼女らを救う為なら、その悪名、喜んで引き受けるよ」
と微笑む。
……そんな悪名を負う事を厭わぬイレギュラーズもいれば、別の観点から、この依頼を受けた者も居る。
「しかしよ、領地で人材派遣業を営んでる身としちゃ、奴隷商ってのは商売敵なんだよなぁ」
とは、『悪しき魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)のぼやき。
確かに人材派遣業と、奴隷は表裏一体……とも言えなくも無い。
でも、奴隷達には一切の自由が無い……己が意思すらも、抑圧される。
「ええ、ええ……こういう暗い世界の仕事には、私達の様な専門家が居るものです。人を商品として扱うなど……ええ、ええ、悲しい事ですとも。私の育ったところでは、商品にもならない最も価値の低い物だったんですけどね」
と『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)が柔和な笑みながらも、凄い事を口にする。
だが、ことほぎはそれを大して気にもせず。
「そうかそうか。まー、やってるコトは同じようなモンだが! 建前があるって大事だぜー?」
と笑い飛ばし、その一方で『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)は。
「そうですねぇ、奴隷売り買い……何処か親近感を覚えるワードですが、きっと気のせいでごぜーましょー。でも生きた状態の人を買って何をしたいのやら、私にはさっぱり理解出来ませんねー。ついでにイーゼラー……様に捧げましょうかねー」
と、棒読み気味に言葉を零す。
……そんな様々な、仲間達の言葉を聞いてか聞かずかは分からないが、『奏でる記憶』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は。
「まぁ、ぱんつとか卵はいままで盗むのはあったけど、奴隷ときたか! 最近流行ってんだっけ? 奴隷市族様の流行は流石に私ちゃんにはわかんねーわ!」
と笑い飛ばし、それにサンディとブライアンも。
「分かりたくもないけどな。貴族らも、普段は諸々やり過ごせてるみたいだが、まぁ今回のバカは運が悪かったってヤツだ。ちょーっと痛い目を見て貰おうか!」
「ああ。報いなんて言うつもりはない。これは俺のエゴだ。ムカつくから『痛い目』を見て貰う……ま、その『ついで』だ。運悪く奴隷になっちまった連中には、自由になれるチャンスをくれてやるよ、ハッハー! せいぜい次が無いよう気を付けるんんだな!」
「そうだね。それじゃ、張り切っていこうぜ!」
そしてイレギュラーズ達は……その奴隷市が開かれるという『グランディリオ』子爵邸へと向かうのであった。
●我の正義
「さて、と……ここみたいだね」
地図と照らし合わせながら、秋奈が振り返る。
かなり豪勢な貴族の邸宅……そして、華美過ぎる程に飾られた門扉の装飾。
……正直言って、とても悪趣味な飾り付けではあるが、領民達はそれに口出しする事も出来ない。
そんな悪趣味な子爵邸にて、奴隷市が行われようとしているのは間違いない。
勿論……グランディリオ子爵としても、奴隷市をおおっぴらに開いているとなど言えないし、妨害が無いとは言い切れないので、多少なりとも警備の手を強化している事だろう。
「さて……と。取りあえず目的地は屋敷の地下ホールなのよね? 私、真っ正面から狙い撃つ仕事ばっかりだったからなぁ……専門技術を持ったプロ達の後をついて行かせて貰うのが一番なのよね」
とワルツが仲間達へと振り返る。
当然イレギュラーズ、潜入が得意でないのも居る訳で、それにブライアンも。
「そうだな。大事なのはバレずに潜入する事。あいにく俺は役立ちそうなスキルを持ってないから、俺も皆に任せることになるな」
と苦笑。
そんな仲間達に秋奈が。
「了解。取りあえずこういう大きな邸宅だったら、表の出入り口の他に勝手口とか、裏口とかがあるはずだし、まずは家の周りを探ってみましょうか」
と、一端邸宅を後にしようとすると、マルクが。
「あ、ちょっと待って」
と立ち止まり、足元に鼠のファミリアを召喚。
「君も隠れて潜入して、地下ホールに向かってくれるかい? 途中に見張りとかが居たら教えてくれれば良いから」
と鼠にお願いし、チュウと鳴いた鼠がとてとてと歩いて行く。
……そして他の仲間達も、人目を避けるようにしながら回り込んで、裏口、勝手口がありそうな所へと回り込む。
「ここかな? ……えっと、気配は無さそう……だね」
感覚をそばだてながら、秋奈が暫し警戒。
近くで人の動いている気配が無い事を確認。
「奴隷市が始まる前には潜り込まないと行けないしな。それじゃ先に行かせてもらうぜ」
とサンディがバイフーマンとをまとい、数歩先へ先行。
勿論邸宅内でいつ、誰と遭うとも限らないので、一歩後ろからは。
「へへーんっ。私ちゃんは暗視があるもんねーっ。気配遮断もすれば絶対に見つからないよー」
と秋奈が暗視と気配遮断でサンディについていき、二人でもって先行。
そしてマルクが先に偵察に行かせていた鼠からの情報を仲間達に共有し、地下ホールへのルートを最短ルートで向かっていく。
……そして、イレギュラーズ達は忍びながら地下ホールへと到着し、その一角に据え付けられているカーテンの中へ。
『ひっ……!』
驚きに声を詰まらせる……奴隷達。
その声に上の人達が気付く不安があったが、とっさにマルクは、鼠を走らせ、机の上に乗っていたモノを落として大きな物音を立たせる。
当然、その音に気付いた者がそちらの方に注意が向くので、取りあえずの対処は出来た模様。
「……ええ、大丈夫の様です」
とハイセンスで周囲の気配を探るライ……地下ホールは、奴隷とイレギュラーズ達の声だけが響く。
『……』
怯えた表情の奴隷達に、ことほぎとワルツ、サンディが。
「……いや、自分で言うのも何だが、オレって初対面で信用されなくね? 怯えた子供ともなりゃ尚更な。オレは大人しく回りを警戒してるから、後は頼む」
「そうね……大勢だとそれはそれで不味いだろうし、取りあえず入口の近くで息を潜めておきましょ」
「そうだな」
と、三人は奴隷達の下を離れる。
そして、目の前の奴隷達には。
「安心してください……私はシスターです。神の愛を皆様にお届けしに来ましたよ」
とライが、目の前で怯える奴隷達に、柔和な笑みと共に手を差し伸べる。
『……?』
怪訝そうな表情の奴隷達。
……助けに来たイレギュラーズが何者かまだまだ解らないので、警戒心は溶けない……といった所だろう。
そんな奴隷達に、更にライは優しく慈悲深いシスターの振る舞いで。
「ええ、ええ……ご心配なさらず。あなた達の幸せな明日を、神も望んでおられますよ」
と優しく語りかけ、更にブライアンと秋奈も。
「あー、オタクらは酷い目に遭ったワケで、俺たちを信用出来ないってんならそれでもいい。それでも守るのがコッチの仕事だ。だからな、おたくらを守る俺達を利用してでも、無事にやり過ごしてほしいんだ」
「そうそう。普段なら色々、うんうんって聞いてあげるトコなんだけど、時間がないからね。ほら、みんなの枷や錘、外してあげるよ!」
と、繋がれた手枷と足枷を破壊する。
流石に奴隷を拘束する目的故、そんなに耐久度が高い筈も無い。
しかしイレギュラーズ達が奴隷に話をしながら、拘束具を破壊すれば……当然、ガチャガチャという音がホールには響き渡る。
その音に気付いたのかは解らないが……入口の方からガヤガヤと言う音が漏れ聞こえてくる。
そして……ホールに足を踏み入れた子爵、奴隷商人、傭兵、そして……奴隷を買いに来た客。
『……お、お前達、何をしてる!!』
奴隷と接触しているイレギュラーズ達を発見し、大声を上げる子爵。
奴隷達はひぃっ、と悲鳴を上げるが、その前に立ち塞がるようにイレギュラーズ達が構える。
「いいか、これから僕達が騒ぎを起こす。部屋の隅の安全な場所に避難して……必ず君たちを連れてここから出るから、信じてほしい」
努めて優しい声でマルクが声を掛け、更にピリムも。
「そうですー。私もあなた方には傷ついてほしくはねーのですー。可能性のある脚を失うのは惜しいですからねー。ですから、ここは従ってくださいましー」
と言いながら、百足の姿へと変化する。
ただ、そんなイレギュラーズ達の対峙に、子爵は。
『し、侵入者め! お前達、絶対に逃すんじゃないぞ!」
大きな声を上げながら、我先に地下ホールを逃げ出していく。
それを妨害しようと、昇る階段の脇からサンディが接近するが……すっと妨害に割り込む傭兵達。
『させるか!』
その間にも、もう子爵は地下ホールを脱出。
逃げ遅れている客達も、我先に、と脱出しようとする。
そんな子爵と客を守るべく、入口に対峙する傭兵と奴隷商人。
『私の商売の邪魔をしてくれたようですねぇ……!! 絶対に赦しませんよ!!』
と、憤怒の表情でシミターを手にする奴隷商人。
……とは言え逃げようとしている客に揉まれているので、中々前には出る事が出来ない。
そうしている間に傭兵達は入口三方を押さえるように配し、構える。
そんな奴隷商人と、傭兵に。
「傭兵三人、商人一人で脚は八本ですかー……ふむ、まー悪くはねーですねー」
と、ピリムは品定めするかのように呟く。
そして、早速ピリムが。
「フフ……奴隷も主も関係ねーのですよ。死の前では……いや、イーゼラー様の前では、そんなものは何の意味もねーのです。そして、魂の抜けた空っぽの器からは良い脚が取れるのですよー」
何処か嬉しそうな口調で、早速オーバーザリミットを発動し、瞬付。
更にもたつく商人に接近。
「毒は厄介そうですからねー」
と電光窃脚の一閃を喰らわせ、腕に幾多の傷痕を斬り付けていく。
続いてことほぎは、商人への射線を遮る傭兵に向けて監獄魔術『ペッジョーレ』で、幾つものバッドステータスを重ね掛けし、一角を泥沼で足止め。
更にライが、平和への祈りを捧げながら……立ち塞がる傭兵を蝕み、更にワルツのナイトメアバレット、マルクの神気閃光が続く。
イレギュラーズの絨毯爆撃、傭兵達は防戦の態勢で何とかその猛襲を熟す。
しかしそれだけで終わる訳もなく、秋奈が。
「それじゃー、どんどん行くよー!」
と華山の刀で斬りかかり。
「主催者をぶん殴りに行けないのはちと悔しいが……仕方ねえ! お前達を殴って晴らさせて貰うぜ!」
ブライアンが名乗り口上で敵のターゲットを自分へと引き付けつつ、引き付けられて前に出てきたのをサンディがノーギルティの一閃。
……そんなイレギュラーズ達の猛攻に、一刻の間ながら傭兵達はまあまあのダメージを喰らう。
次の刻、逃げ惑う客連中も何とか一段落し、やっと奴隷商人も戦列に加わる。
しかし、4対8の戦力差が最初からついているのは変えられない事実。
「厄介もんは全部いなくなったんだし、後は思う存分やらせて貰うぜ!」
とことほぎがニヤリと笑みを浮かべ、移動。
商人への射線が通るところでナイトメアバレットを放ち、窒息、苦鳴のバッドステータスを付与し、大人しくさせる。
そして大人しくなった奴隷商人に、ピリムがまたも接近して電光窃脚。
腕は最早使い物にならない程に傷つき、シミターを握るのも一苦労。
……そう苦しむ奴隷商人の横で、他の仲間達が的確に傭兵共を一体ずつ集中攻撃。
「ハハハ、面白いもんだ! もうちょっと張り合ってくれなきゃ興ざめなんだけどな!」
とことほぎが挑発する様に笑い、傭兵を挑発。
そして……数撃の後に立ち塞がる傭兵達が全て打ち倒され、残るは奴隷商人。
「さぁ、そろそろ終わりにしてやるよ!」
とブライアンの宣告。
至近距離接近し、敵の攻撃を誘引しつつの、ブロッキングバッシュの一撃を放ち……最後まで残っていた奴隷商人も、あっけなく崩れ去るのであった。
●陰日向に咲く
そして……どうにか傭兵達を倒しきったイレギュラーズ。
「……ふぅ。やっと終わりましたねー」
と、一息吐くピリム。
……ただ、流石にこの場に長居し続ける訳には行かないだろう……時間が掛かれば、逃げた『グランディリオ』子爵の次なる一手が打たれるかも知れない。
「さぁアンタ達。ここから一刻も早く逃げるよ」
と奴隷達を有無を言わさずに手を差し伸べ、貴族の邸宅からの逃亡を手伝う。
勿論ことほぎだけでなく、マルクやサンディ、ワルツに秋奈らも手伝い、一人が一人を背負って、貴族の邸宅から脱出。
奴隷達を逃がした後にピリムは一人残り……倒した傭兵や奴隷商人の脚を、流れる様な動きで頂いていく。
……そして、奴隷達を子爵領の外れまで逃し終えると。
「ふぅ……ここまで来れば、取りあえず貴族の手が及ぶ事は無いかな?」
とマルクの言葉。
奴隷達は地面へと降ろされ……イレギュラーズ達に。
『……あ、りがと……う……』
と、たどたどしくも感謝の言葉を伝える。
その言葉にこくりと頷きながらマルクが。
「まずは着る物と、暖かい食事だよね? ちょっと用意してくるから、少し見ておいて貰えるかな?」
とマルクが食事と服を調達している間に、他のイレギュラーズ達は、奴隷達に優しい声を掛け続ける。
……今迄苦しい思いをし続けていたであろう彼らの心を癒すが如く。
そしてマルクが調達してきた着る物と食事を与え、彼らがこの先どうするか……をじっくりとヒアリング。
……彼らがこの先生きる道を、少しでもイレギュラーズの力で支援出来る所は支援出来るよう約束する。
そして彼らが、その未来に向けて歩き出す後ろ姿を見ながら、ワルツは。
「まぁ、奴隷そのものを否定はしないけど、悪事は裁かれて当然ね。助かって良かったんじゃない?」
と笑う。
それに秋奈が。
「そうね! 彼女達がまた奴隷として捕まらないように……そして、元気よく過ごせるといいわね!」
と快活に笑い、そしてブライアンとワルツが。
「っし……それじゃ、帰るか帰るか!」
「そうね。さーさー、次の仕事、次の仕事、っと」
と皆を促し……そしてイレギュラーズ達は、その場を後にするのであった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
皆様のおかげで悪事は無事、止められたようです。
子爵が悪事を言いふらした結果、悪名は増えますが……名誉ある悪名であるでしょう。
幻想悪依頼に参加いただきまして、ありがとうございました!
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
今回の依頼は……悪事に手を染める子爵の奴隷市をぶっ潰す依頼となります。
ですが幻想の子爵ですので、『悪依頼』となりますので、ご注意下さい。
●注意事項
この依頼は『悪属性依頼』です。
成功した場合、『幻想』における名声がマイナスされます。
又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。
●成功条件
子爵の奴隷市をぶち壊しにする事です。
奴隷達を解放し、奴隷市場を開催している関係者に鉄槌を喰らわせることになります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
<フィッツバルディ>領の『グランディリオ』子爵の家の地下ホールが舞台となります。
当然、真っ正面から子爵の家に行っても、その時間は入場拒否されるでしょうから、何らかのやり方で子爵の居に忍び込む必要があります。
そして奴隷市を開催している人達を倒し、奴隷達を解放する事になります。
奴隷市で売られている奴隷達は、女子供達のみで、人数は5人です。
みんな片脚を枷と錘でつながれて、絶望している状況で地下ホールの一角にある牢屋に閉じ込められています。
侵入が上手く行けば、奴隷市が開催されるよりも前に地下ホールへ侵入する事が出来ますので、事前に話をしておく……等は可能です。
奴隷市場が開催されれば、客(5人)と奴隷商人、傭兵、そして元締めとなる子爵が現れます。
ただ、子爵は戦闘能力は殆ど無く、客連中は戦闘能力ゼロ(戦闘中はホールを逃げ回るので、邪魔にはなりますがそれ以上にはなりません)。
実質敵となるのは奴隷商人と傭兵達だけです。
●討伐目標
子爵については、イレギュラーズの皆様が妨害してくると、すぐに逃げ帰ります。
妨害自体は可能ですが……子爵を殺してしまえば大問題になるでしょう。
奴隷商人は1人で、武器は毒が仕込まれたシミターです。
一人で奴隷商を渡り歩いてきた様で、戦闘能力を持っています。
勿論傭兵に対しては弱いですが、己の身を守る程度は充分可能です。
一方、傭兵は3人。
妨害するイレギュラーズの皆様を殺す事だけが目的で動きます。
戦闘能力自体は、皆様一人一人と同じ位ですので、真っ正面から相手すれば、不利になる事はありません。
総合的な戦闘力は皆様の方が高いですが、奴隷を守る事が必要ですので、戦闘と守護のバランスを、皆さんでしっかりと取るようにお願いします。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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