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シナリオ詳細

シャークウィッド

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サメなの?イカなの?
 今回ローレットに持ち込まれた依頼は、「サメだかイカだかよく分からない巨大な何か」の討伐である。
 以前から目撃されていたらしいのだが、大きな被害が出る前に討伐してしまおうということになったのだ。
 「サメだかイカだかよく分からない」というのは、サメからイカの触手が生えているからだ。
 何故タコでなくイカだと分かったのかと言うと、単純に数が10本であり、うち2本が触腕らしいと確認されたからである。
 沖合でよく見られ、時に漁船や大型客船も被害に遭っている。
 過去に漁師達が安全な漁のためにと討伐隊を組んだこともあるが、その時は別の大きな何かも同時に現れたせいで大失敗した。
 彼らが特注した大きな銛も、その時失われている。
 漁師達から要望があったことも、今回の討伐依頼が出たことに関係しているようだ。
 海洋の有力者であるソルベ卿としても、いつまでも放置していては体面が悪いということもあるだろう。

 何はともあれ、今回は海上での戦闘が予想される依頼となっている。

●漁師の話
 正式に依頼を受ける前に、ローレットで事前調査を行った。
 話を聞いたのは、このサメとイカ両方の特徴を持った生物──仮にシャークウィッドとしておく──を討伐しようとした漁師達の生き残りだ。
「でかいだけじゃない。あいつの何がやばいって、10本もあるあの触手だよ。小さい船なて、がっちり掴まれたらそれでもう終わりだ……。
 すごい力なんだ。一気に壊されちまうんだ。オレの親父が乗ってた船がそうだった」
 その時の光景を思い出したのか、自分の体を抱くようにして小さく震えている。
「何とか親父は助けて帰ってきたんだが、漁で獲れた魚は全部持ってかれたよ。
 命が助かっただけ良かったけどな……。二度とあんな思いはしたくない、と討伐隊に参加したんだが」
 そこで一旦言葉を切ると、大きな溜息を吐く。
「あの時は何だかよく分からないでかい魚に邪魔されちまった。オレは近くで見てないが、他の奴の話だとマンボウがいたとか何とか。
 そんなでかいマンボウがいる訳ねぇだろ、って思うんだがシャークウィッドだってそうだしな」
 水を一口飲むと、ローレット本部で話を聞いているイレギュラーズ達の顔を順に見ていく。
 そして首を傾げながら、さらに話を続けた。
「あんた達は強いんだろうが、海の上で戦うことには慣れてるのか?
 色々と話は聞いてるし、大丈夫だと思いたいが……まあ、失敗したとしても生きて帰って来てくれよな。寝覚めが悪くなるよ」
 漁師は少し懐疑的なようだ。

 無事に依頼を成功させ、漁師を見返してやりたい。
 ほんの少し、そんな気持ちを抱いたイレギュラーズもいたかもしれない。

GMコメント

 閲覧ありがとうございます、文月です。
 今回はシャークウィッドを討伐するのが目的です。
 以下、補足となります。

●成功条件
 ・サメとイカの特徴をあわせもつシャークウィッドを討伐する。
  討伐時にはローレットやソルベ卿の協力で周辺には船がいない状態を作っています。
  とにかく討伐のことだけを考え、成功させましょう。

●シャークウィッドについて
 ・主に沖合にいる
 ・大きさはサメ部分だけで5mほど
 ・イカの触手はサメの体の後ろ半分から、尾ビレの代わりのようについている
 ・正確には触手8本、触腕2本がついている
 ・イカ部分だけ見ると8mほど
 ・全体としては10m近い
 ・電撃、炎、冷気に弱い
 ・耐久力、攻撃力は高め、素早さは普通、賢さは低い
 ・1体しかいないので、何らかの突然変異の可能性高
 ・イカ部分は適切に調理すれば食べられる
 ・イカ部分は前後左右、自在に動かせる
 ・前部分はサメなので血の匂いには非常に敏感で、察知するとすぐ寄ってくる
 ・攻撃方法は噛みつき、体当たり、触手で締め上げる、の3パターン

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●おまけ
 ちょっとだけ過去の依頼(「巨大魚のいる入り江」https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/183)と関係しています。
 知らなくても問題ありませんが、知っているとより楽しいかもしれません。

●その他
 口調や性格等が分かりやすいよう書いていただけたりしますと、大変助かります。アドリブ不可と記載がない場合はアドリブが入ることもありますのでご注意ください。
 皆様のご参加、お待ちしております。

  • シャークウィッド完了
  • GM名文月
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月14日 20時50分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い
リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)
咎狼の牙
エリク・チャペック(p3p001595)
へっぽこタンク
ボルカノ=マルゴット(p3p001688)
ぽやぽや竜人
ライネル・ゼメキス(p3p002044)
風来の博徒
アグライア=O=フォーティス(p3p002314)
砂漠の光
シャルロッタ・ブレンドレル(p3p002596)
ジェリクル
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
桜坂 結乃(p3p004256)
ふんわりラプンツェル
ルア=フォス=ニア(p3p004868)
Hi-ord Wavered

リプレイ

●シャークウィッド討伐へ
「ああ、投網や銛なんかはそちらへ。肉は俺が積みますよ」
 サメとイカが合体しているというふざけた生き物を討伐しに行くため、必要なものを集めてきた『へっぽこタンク 』エリク・チャペック(p3p001595)達に指示を出しているのは、『咎狗の牙』リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)だ。
 指示を受けて『風来の博徒』ライネル・ゼメキス(p3p002044)や『砂漠の光』アグライア=O=フォーティス(p3p002314)もエリクを手伝いつつ、自分達が持ってきた投網や銛を船に積み込む。
 リュグナートはシャークウィッドをおびき出すために用意した動物の肉を囮用の小舟に積み込むと、事前に情報収集してきた潮の流れや風向きなどを再確認している。
 他のメンバー達も、集めてきた動物の血や魚を小舟に積み込んでいく。
「こんなもんですかねぃ。リュグナートさん、積み終わりましたよ」
 用意された荷物を積み終わると、エリクがリュグナートに声をかける。
「ありがとうございます。他の方も準備が出来ているようなら、出発しましょうか」
 最後に囮用の小舟と全員が乗り込む船をロープで繋ぎながら、リュグナートが言う。
 皆、準備は整っていたようで、すぐに出発となった。
 10人で乗り込んだ船を操るのは、航海術・操船技術を持つリュグナートだ。
 事前に調べておいた情報を活用し、極力船が揺れないように進んでいく。

 船上でシャークウィッドと交戦することを考え、船は10人で乗るには大きすぎるくらいのサイズだ。
 ちょっとした豪華客船と言ってもいいくらいである。
 そんな船を貸してくれたのだから、シャークウィッドにはよほど困っているのだろう。
 シャークウィッドがいるという沖合に出るまで、リュグナート以外は、ある程度警戒しつつも割りとのんびりしていた。
 しかし、囮用の小舟に載せた動物の肉と血、魚のせいで、風が吹く度に結構臭ってくる。
 乗り物酔いしやすい者がいれば、確実にグロッキー状態になっていただろう。
「サメとイカの怪物らしいけど、食べれるのかしら」
 『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)がそんな風にひとり言を漏らすと、船の大きさを歩いて確認していた『ぽやぽや竜人』ボルカノ=マルゴット(p3p001688)が近くを通りかかり、食いついてきた。
「我輩は、いかやきにして食べたいであるな。きっとオイシイ!」
「イカリングは……どうかな?」
 桜坂 結乃(p3p004256)もそう言って会話に入ってきた。
 結乃の発言に、『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)が残念そうに応える。
「イカの上半身が無いようですから、イカリングは無理ですね……。私としても残念です、あのヒレが美味しいのに」
「まったくじゃ! 下半身がイカでは、フカヒレが取れぬではないか、フカヒレがッ!」
 ルア=フォス=ニア(p3p004868)も、そう言って心の底から腹立たしそうにしている。
 イレギュラーズ達の話を総合すると、シャークウィッドは食材として見るとサメの美味しい部分も、イカの美味しい部分もなくなってしまっていて、欠点だらけのようだ。
 イカゲソを食べる料理には向いているかもしれない。

 イレギュラーズ達がシャークウィッドを食べる話をしているうちに、船は沖合にさしかかっていた。
 そろそろ、シャークウィッドが現れてもおかしくない。
 血の臭いはとっくに嗅ぎつけているに違いないのだ。
 そのことに気付いたのか、結乃が周囲をきょろきょろと見回している。
 それを見て、アグライアが囮用の小舟を牽引するために結びつけたロープのところまで行き、揺らして小舟を弱った大型の魚に見せかけようとする。
 しかし、1人では上手くいかないようだ。
 見かねたライネルと『ジェリクル』シャルロッタ・ブレンドレル(p3p002596)が手伝う。
 3人でロープを使って囮用の小舟に魚っぽい動きをさせる。
 揺れるせいで、積んである血や肉、魚が跳ねて海中にこぼれてしまう。
 リュグナートは操船中で動けないが、残りの6人で船の周囲を目視で確認することになった。
 鶫が超視力での索敵を買って出てくれたが、船が大きいので他の5人も手伝う。
 大きな船なので左右両舷に3人ずつが等間隔に立ち、怪しい影が見えないかチェックする。
 右舷側のもっとも見晴らしの良い場所に鶫が立っていた。
 もしもシャークウィッドが真下に来れば、気付くのは難しいだろう。
 リュグナートのギフトのお陰もあってか、天候には恵まれているのが救いだ。
「あそこに何か……!」
 アグライア達が囮の小舟を揺らし始めて5分は経った頃、鶫が何かを見つけて声を上げた。
 鶫は右舷後方、10人が乗っている船の船首から見て5時の方向を指差している。
 その指差す先には、サメのものらしい立派な背ビレが見えている。
 そして、背ビレは確実にこちらへと向かってきていた。

●シャークウィッドとの戦い
 一旦はその姿を確認するため、リュグナート以外の全員が鶫のところに集まってきた。
 皆が目をこらし、それが確かにサメの背ビレだと確認するとすぐに戦闘態勢を取る。
 アグライアは、小舟を牽引するためのロープを切る。
 こうしなければ、戦闘中にもし小舟ごと引っ張られたら不利になってしまう。
 最悪、小舟は壊されても構わないが、10人が乗る船が壊れたらたまらない。
 5分近くロープで揺らされ続けていた小舟は、いい具合に血まみれだ。
 このまま上手く囮としての役割を果たしてくれるだろう。
 遠距離での攻撃が可能な者達は、攻撃を始めようとそれぞれの武器を構えている。
 近距離でしか攻撃できない者達は、シャークウィッドが近付いてきたら投網で拘束しようと準備を始めていた。
 リュグナートは操船を続けるため、まだ操舵室だ。

 まだ小舟まで距離はあるが、シャークウィッドが射程に入った瞬間、ライネルがマギシュートを放つ。
 シャークウィッドはかなりのスピードで動いているが、今は小舟に向かって一直線なので狙いやすい。
 相手が海中にいるせいで、多少マギシュートの威力は落ちているかもしれないが、当たってはいるようだ。
 ただし、シャークウィッドの姿が船上からはっきり見えている訳ではないため、クリーンヒットは難しいだろう。
 大型の船なので高さもある。
 海中にいるシャークウィッドを攻撃するため、ライネル達は船尾に陣取っていた。
 続いてルアがライトニングで攻撃する。
 シャークウィッドの弱点である雷による攻撃だ。
 しかも、縦に貫通させるように放たれた雷撃は、シャークウィッドを痺れさせたようで、動きが止まっている。
 シャークウィッドの速度と囮の小舟へ向かっているその進路から射程に入る位置とタイミングを予測していた鶫は、予めスナイパーアイを使い、スナイパーズ・ワンの溜めを行っていた。
 ルアのライトニングで動きが止まったのは、鶫にとって大きなチャンスだ。
 シャークウィッドのエラを狙って、スナイパーズ・ワンを放つ。
 だが、波の揺れのせいで惜しくもエラを外れ、シャークウィッドの右胸ビレに直撃した。
 かなり痛そうだ。
 実際、海中でのたうち回っているようで、海面でバシャバシャとしぶきが上がっている。
 困ったのはボルカノだ。
 次に攻撃しようと狙っていたが、この状態では水しぶきが激しくてシャークウィッドの姿が捉えられない。
「これは困ったのである……」
 言葉通り、弱り果てた表情を浮かべている。
 しかし、シャークウィッドが暴れるのをやめるまで待つ以外、船上のイレギュラーズ達にできることはなかった。

 そうして少しの間、船上から暴れるシャークウィッドを眺めていたイレギュラーズ達だったが、突然シャークウィッドに何かが体当たりしたようだ。
 全員がシャークウィッドに気を取られていたせいで、気付くのが遅れてしまった。
「何でマンボウが……」
 ルアが思わず呟いた。
 そう、体当たりしたのは、何と巨大なマンボウだったのである。
 マンボウは、体当たりするとそのままどこかに泳いで逃げて行った。
 シャークウィッドは、一瞬マンボウを追いかけようとするが、血の臭いに惹きつけられて再び小舟に向かってきた。
 そこを今度こそ、ボルカノがレールガンを使った狙撃で撃ち抜く。
 当たった瞬間、シャークウィッドが小さく跳ねたのか、しぶきが上がった。
 その間、シャルロッタ、エリク、アグライアは銛を手元に用意している。
 投網にくわえて銛を投げ、接近戦が始まるまでに少しでもシャークウィッドを弱らせたいのだ。
 結と結乃は投網をいつでも投げられるように準備を整える。
 結は網を用意しながらオーラキャノンで援護し、結乃はミスティックロアで自らの魔力を増幅し、シャークウィッドがもう少し近付いてきたら、いつでも魔力放出で触腕を攻撃できるようにしておく。

 少しずつ小舟に近付いてくるシャークウィッド。
 もちろん、ライネル達4人は攻撃の手を緩めない。
 鶫はスナイパーズ・ワンによる攻撃を主体としているため、常に距離を保ちつつ溜めの時間を要するが、その一撃は強烈だった。
 船が大きく高さもあるお陰で、遠距離攻撃が主体のメンバー達も上手く距離を保って攻撃を続けられそうだ。
 シャークウィッドが船の近くまで来たら、甲板からの遠距離攻撃は逆にやりづらいので、マスト近くの展望デッキに上がることになっている。

 小舟のすぐ近くまで近付いたシャークウィッドの触腕に、結乃が魔力放出で攻撃する。
 それでもシャークウィッドは止まらない。
 事前に聞いていた通り、耐久力が高いようだ。
 遠距離での攻撃もそれなりに食らっているはずだが、まだまだ元気である。
 やがて、すぐにシャークウィッドが小舟に向かって飛びかかってきた。
 木製の小舟は、バキバキメリメリと大きな音を立てて噛み砕かれてしまう。
 ついでのように、シャークウィッドが小舟に載せられていた魚や肉などを丸呑みしていく。
 一瞬、その凄まじさに気を取られていたが、すぐに結と結乃が持っていた投網をシャークウィッドめがけて投げた。
 直後、シャルロッタとアグライアも網を投げる。
「神妙にいたせってやつなのだ! ちょえーい!」
 シャルロッタのかけ声が辺りに響く。
 三重に網をかけられ、シャークウィッドが鬱陶しそうに体を揺らすが、簡単には外れない。
 触手を使ってどうにかしようともがき始め、サメなのに下半身から伸びる触手がモゾモゾしている異様な光景が繰り広げられていた。
『こりゃまた随分と気味の悪い奴が相手だな! 触手には気を付けろよ?』
「ええ、分かってるわ。それにしても本当、気持ち悪いわね……」
 接近戦になるのを待っている結が、その手に持った魔剣ズィーガーの言葉に応えて言う。
 眉間にしわを寄せ、かなり嫌そうにしていたが、意を決して跳躍で小舟に飛び移るとシャークウィッドの触手を狙って暗黒剣を繰り出す。
 シャークウィッドは網と格闘していたが、結に触手を1本切り落とされ、めちゃくちゃに暴れ始めた。
 そのせいで小舟がばらけそうになり、結は慌てて元の船に跳躍で戻るが、その時暗黒剣でもう1本の触手も切り落としてやった。
 直後、小舟はついに多数の木片となり果てる。
 切り離された2本の触手が、ウネウネと蠢きながら海中へ沈んでいく。
 シャークウィッドは、ようやく網を1枚はがすことに成功すると、触手を切り落とした結のにおいを追って、船めがけて跳ねた。
 触手と吸盤で船の外壁にしがみつき、船尾から顔を覗かせる。
「ヒエエエ! 近くに来ると、すんごく大きく見えるのである……!」
 ボルカノが展望デッキで悲鳴じみた声を上げた。
「結局、近くで見ても鮫なのかイカなのかは、よく分からないね」
 結乃が溜息混じりに首を振っている。
 甲板まで上がられるのは、どうにかして避けたい。
 すぐにエリク、アグライア、シャルロッタが手にした銛をシャークウィッドめがけて投げつける。
 1本は避けられたが、2本は突き刺さった。
 だが、まだ致命傷には遠いようだ。
 手負いの獣は恐ろしい。
 せめて、早く船からは離したいところである。
 今のところ、シャークウィッドは結を狙っているようだが、いつ船に危害を加えるか分からない。
 そこでエリクとアグライアが名乗り口上で注意を引くことにする。
「お前の名前なんて一夜干しで十分ですねぃ」
 エリクがシャークウィッドを挑発するかのように言う。
 アグライアはディフェンドオーダーを併用し、防御を固める。
 エリクはライトフォースで同様に防御力を上げている。
 そうして、アグライアはシールドバッシュで、エリクはブロッキングバッシュでシャークウィッドに攻撃を仕掛けていく。
 触手と触腕の動きは、2人の背後からボルカノやライネル、鶫が狙って封じている。
 ボルカノとライネルの攻撃で、触手と触腕合わせて3本が切断され、甲板に鈍い音を立てて落ちてきた。
 まだウネウネしていて危険なので、誰も近づかない。
「こわい! 無理! こういうの無理であるから! やだー!!」
 ボルカノがこれを見て、泣きそうになりながら叫んでいた。
「これだけ距離があるんだから大丈夫だ、落ち着け」
 ライネルがボルカノに声をかけ、なだめている。
 やがてAPが尽きたらしく、ライネルは展望デッキを出て甲板に下りて他のイレギュラーズの援護に回ることにしたようだ。
 格闘術式や近術を上手く使い分け、状況に応じて安全な距離を保ちながらじわじわとシャークウィッドの体力を削っていく。
 ルアも後ろからライトニングでシャークウィッドを狙いつつ、マジックロープで時折その動きを妨害しようと試みている。
 状況に応じてマギシュートも放つ。
 やがてルアがずっと狙い続けていた、サメが獲物を探知するためのロレンチー二器官と呼ばれる部位を破壊した。
 確実にシャークウィッドは追い詰められていっていた。
 エリクとアグライアがシャークウィッドの攻撃を主に受け、他の者が攻撃されるのを防いでいたが、それだけに2人の消耗は激しい。
 シャルロッタと結乃が2人の回復を担当し、重傷を負うのを防ぐ。
 結乃のハイ・ヒールは、強烈な一撃を食らった時にはすぐに使えるようにしていた。
 シャルロッタは、ライトヒールと魔弾で支援と援護の両方を行う。
 結もエリク達に負けじと前に出て、触手をさらに切り落としてやろうと狙うが、なかなか上手くいかない。
 残った触手は、ほとんどがシャークウィッドが船にまとわりつくのに使われているからだ。
 しかし、すきを見て頭部を何度か斬りつけてやった。

 一方、リュグナートは騒ぎを聞きつけると船を陸に向けて動かすが、ロープを上手く使って舵輪を固定し、しばらくは真っ直ぐ進むようにして自らも甲板へと向かった。
 こんなことができるのも、シャークウィッド討伐のため、他の船の航行を止めているお陰だ。
 甲板に出たリュグナートは、そのまま思い切りシャークウィッドの鼻先に奇襲攻撃を叩き込む。
 直撃を食らったシャークウィッドは、大きくのけぞるような形になった。
 その隙を逃さず、エリクやアグライアがとどめとばかりに攻撃を重ねる。
 痛烈な攻撃を何度も食らったシャークウィッドは何度か激しく痙攣し、そのままぐったりしてしまった。
 どうやら、触手と吸盤のせいで船にしがみついたまま、絶命したらしい。
 念のために、とルアがライトニングを数発食らわせたが反応はなかった。

 かくして、シャークウィッドは討伐されたのである。

●戦いの後で
 船は、後ろにシャークウィッドをぶら下げたまま、リュグナートの操船で港へ帰り着いた。
 港の人々は皆驚いていたが、シャークウィッドが死んでいるのを確認すると、ようやく近付いてきて船から剥がすのを手伝ってくれたのだった。

「イカのところを、ちょっとだけ一夜干しにして食べさせてもらえませんかねぃ」
 エリクの言葉に、漁師達は驚いていたが、要望通りイカ部分を少し一夜干しにしてくれた。
 他メンバーも、船上で話していた通りの調理方法で食べ、討伐成功の祝勝会代わりにする。
 ライネルは、皆が食べているものを少しずつもらい、美味しそうに食べていた。

「ところでイカってどうやって食べればいいのだ? よく解らんから調理はデキる人にお任せするのだ」
 シャルロッタも、そう言って食べる気満々である。
「よく見たら、胸ビレと背ビレはあるではないか! これならフカヒレが取れるのではないか?」
 ルアが漁師達に訊ねているのを見て、シャルロッタが不思議そうに首を傾げる。
「フカヒレって、そんなに美味しいものなのだ?」
 これを受け、ルアはシャルロッタにフカヒレについて詳しく説明し、結果として2人はフカヒレが出来上がるのを、3ヶ月ほど待ちわびることになったのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 大変お疲れ様でした。
 今回は私、文月の担当しましたシナリオにご参加いただきありがとうございました。

 皆様のお陰で、無事にシャークウィッドは討伐されました。
 巨大なマンボウが登場しましたが、もしかしたらイレギュラーズやローレット、ひいては人間への借りを返しに来たのかもしれませんね。
 何はともあれ、シャークウィッド討伐のための尽力、ありがとうございました。

 少しでも楽しんでいただけましたならば幸いです。
 またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

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