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シナリオ詳細

<希譚>狂亡の影<呪仔>

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<希譚>狂亡の影<呪仔>
 練達の一区画に存在する『再現性東京』。
 そこに伝わる、一つの噂話。
『最終電車も割った後の、深夜1時23分。去夢鉄道中央駅に来る筈のない電車が停車する。それに乗ると、異世界へと連れて行かれる……』
 この噂話は、『希望ヶ浜 怪異譚』の一つとして綴られており、そのタイトルは『石神地区の真性怪異』。
 そんな噂話に対し、希望ヶ浜学園にて編成された調査隊は、実際にそれに乗り込んだ。
 そして……辿り着いたのは、奇妙な怪異と異界である『石神地区』。
 正しく『田舎』という言葉がぴったりと嵌まる様な山と農家がぽつぽつと点在するような地域。
 その山上にある『阿僧祇霊園』は、ダムに向かう、アスファルトもボコボコの穴だらけという、厳しい環境に晒されている。
 更にその周りには、木々が生い茂り、人気もない。
 ……そんな山道、深夜の刻。
『……ウゥ……ウォォ……』
 唸る呻き声。
 その呻き声の主は……命無き者『ゾンビ』。
 ゾンビ達が何故、この山道を闊歩しているのか……その理由は分からない。
 だが、少なくとも獲物を求めているのは間違いなかった。


「みんな、来てくれたみたいね? ちょっとこっちに良いかしら?」
 と、音呂木・ひよのは、集まった君達を奥の部屋へと招く。
 そして皆が集まった処に、一通の便せんを差し出す。
 その便せんの差出人の欄には『阿僧祇霊園 澄原 水夜子』と記載されていて。
「皆さんは知って居ますか? 『石神地区』の話」
 ちらほら、頷くイレギュラーズに。
「そうですか……まぁ、簡単に言えば、この『再現性東京』の中でも、昔ながらの田舎の風景が広がる一角です。最初は噂話だけ……と信じられていたのですが、実際にこの地区の存在が見つかったのです」
「この地区で少々事件が起こっていまして……彼女は、澄原病院の病院長です」
 更にひよのは、その手紙を開くと共に。
『石神地区の阿僧祇霊園の石神支社周辺でのゾンビ胎児を御願いしたいと思って居ます。皆さんにとっては、これは簡単なものでしょう。そう、単純なゾンビ退治ってだけです。元・人間と言うことを除けば……』
 元・人間のゾンビ……という言葉に、眉を顰める君達。
「ええ……どうやら阿僧祇霊園の辺りに、『元・人間』のゾンビ達が続々と出没している……という事の様です。恐らく彼らは、『神様の狂気』に触れた存在なのでしょう」
「このまま彼らを放置しておけば、『石神地区』の調査も進みません。皆さんには手間を掛ける事となってしまいますが、対応を宜しく御願いします」
 元・人間の、神様の狂気に触れたゾンビを退治してきてほしい……空を切る様な話しだが、ひよりの瞳に嘘はない。
 そんなひよりの期待を背に、イレギュラーズ達は『石神地区』へと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 再現性東京『石神地区』に現れた『元・人間』のゾンビ達が、皆様をお待ちしております……。

 ●成功条件
   姿を現したゾンビ達を全て倒すこと、ただ一つです。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回の舞台は希望ヶ浜の『石神地区』。
   その『阿僧祇霊園 石神支社周辺』となります。
   一言で言えば『田舎』の風情が広がる地域ですが、その中でもこの石神支社周辺は、山の上にあるダムに向かう山道が続くロケーションとなります。
   一応、アスファルトが塗装された道路はありますが、メンテナンスされておらず、穴が空いてたりと酷い路面です。
   また周りには木々が生い茂っており、ゾンビ達はその中から襲い掛かってくると予想されます。
   尚、彼らが現れるのは、日が落ち、周りが真っ暗な時間帯となりますので、灯り等がなければ『暗闇』状態での戦闘となりますので、ご注意下さい。

 ●討伐目標
   敵として姿を現すのは『元・人間』の『ゾンビ』達が20体です。
   その素性は、神様と接触し、気が触れてしまった(傍から見れば発狂した、と言う雰囲気)ゾンビが5体。
   上のゾンビによって、死骸を供物に供されてしまったゾンビが15体となります。
   気が触れたゾンビ達については、多少腐臭はあるものの、余り人と変わらない姿形をしています。
   他のゾンビ達は、もはや腐りまくっていて『人の姿をした何か』という存在になります。
   
   どちらのゾンビも、鎌や鍬の様な農具を手にして攻撃為てきます。
   また、人を恨む叫声を常に上げており、5体のゾンビ達は『狂気』、15体のゾンビ達は『呪い』のバッドステータスを与えてきますので、その叫声に毒されない様に十分注意して下さい!

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <希譚>狂亡の影<呪仔>完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月28日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
水瀬 冬佳(p3p006383)
水天の巫女
三上 華(p3p006388)
半人半鬼の神隠し
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
咲き誇る想いは
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)
孤独の雨
トキノエ(p3p009181)
恨み辛みも肴にかえて

リプレイ

●怪異の郷
 練達の一区画、再現性東京。
 この地に伝わる、一つの噂話『希望ヶ浜 怪異譚』の『石神地区の真性怪異』。
 そこに称される異世界と言われた『石神地区』の、山上タムへと向かう山道は『阿僧祇霊園の石神支社』周辺域、と呼ばれていた。
 そんな石神支社の山道を登り始めるイレギュラーズ……だが。
「ただの田舎道……のはずなのだけど、ゾンビが出ると聞いてると、どことなく不気味に感じるわね……」
 と『舞蝶刃』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)が不安気に呟く。
 それに『影を歩くもの』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)もこくり、と頷いて。
「そうですね……石神地区……度々迷い込んだ場所ですね。御神体や埋葬された遺体も調査した事がございますが、いよいよ以て事変が表層化してきた様ですか……」
 と瞑目。
 そう……今回イレギュラーズの皆がここに来たのは、この辺りに現れたというゾンビ達を討伐してきてほしい……という『澄原 水夜子』からの手紙が舞い込んで来た為。
 手紙にはゾンビ退治と記されているが、ひよのが言うにはこの辺りに『神様の狂気』に触れた『元・人間』のゾンビ達が続々と出没しているという。
「ゾンビ、なあ。ゾンビを倒す事……理外のものに触れてしまい気が狂った奴等と、そいつらに死体を弄られた奴等だったのか、かわいそうに」
「そうですね。神性に侵され生きる屍と化す……というような話は、聞いた事がなくもありませんが……この場合は神性というよりは、恐らく夜妖なのでしょうね……『神の狂気』に触れた元人間という事は、動く死体という意味でのそれとは全く違うものなのかもしれません」
 『半人半鬼の神隠し』三上 華(p3p006388)に対し、『転輪禊祓』水瀬 冬佳(p3p006383)が考察。
 ……とは言え今回イレギュラーズ達に託された使命は、ゾンビを倒す事……たった一つ。
 例え神に触れていようと、人外の存在であろうと……やるべき事は変わらない。
「そうですね……ワタクシにとっては、慣れ親しんだ筈の狂気など、お構いなしに飲み込もうとする……人の創り出した信仰の末路がこれとは、いやはや、末恐ろしいものがございますねぇ……」
 とヴァイオレットが憂うと、『特異運命座標』トキノエ(p3p009181)と『誰かの為の墓守』グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)も。
「まぁ歩く屍って奴だよな……はぁ、色々気が滅入る。こいつらだって好きで「ぞんび」ってのになった訳じゃねえだろうし……手荒になっちまうが……全員成仏させてやらねぇとな」
「そうだな……神様か何かかは知らないが、支社を動かされるのは困る。それに遺体を捧げて数が増やせるってのも問題だ。取りあえず、全員再度眠り、土の中に返って貰おう」
 と頷き合い、そしてヴァイオレットも。
「そうですね、まだワタクシは狂気に呑まれる訳にはいかないのです。当然、ワタクシの仲間もね。ここで殲滅すると致しましょうか」
 と、僅かな笑みを湛えて頷く。
 そして華が。
「魂、なんてものがあるかはわからんが、神に魅入られてしまったのなら……一部でも捧げられてしまったのなら、きっともう解放される事は無いんだろう。でもまあ、そんな個人的な気持ちは置いといて、依頼をこなすためにさっさと殺してしまわないといけないな……すでに死んでいる奴等をもう一度殺すと言うのもなかなかおかしな話だが……まぁ、頑張ろうか」
 とぼやき、アンナが。
「そうだね。まあ、化け物とか支社の開いては初めてでもない。雰囲気に飲まれない様にだけ気を付けましょう」
 というと。
「そりゃあ確かに依頼の都合でいくらでもヒトは殺せるけどもね。だが、死んだ人間はただの死体だし、それは魂ですらただの物でしかない。害虫を駆除するくらいの気楽さで行こうじゃないか」
 『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)と肩をすくめ、そして『無名の熱を継ぐ者』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)も。
「ああ。別によ、ゾンビになっちまった誰かってのに同情もしてなけりゃ、憐れみなんざもしてるわけでもねぇ。これは澄原からの依頼で俺は俺の後始末に来ただけだ。だがよ、眠れねぇ奴等がいるってんならついでに寝かしてやるよ」
 と、各々の覚悟と共に、イレギュラーズ達は寂れて灯も無い、暗闇に包まれた山道を急ぎ登り始めるのであった。

●夜の声
 そしてイレギュラーズ達は漆黒の山道を進む。
 当然、周囲の暗闇に、多少の恐怖心はあるものの。
「……本当に、見えるぜ……あのメロンすげえな」
 登る前に食べた『闇死メロン』の効果で、暗視効果を得た事にちょっと驚いているニコラス。
 他の仲間達も『バジリスク・サイト』や『月灯の雫』、『ブラッククロニクル』等を使い、各々暗視効果を得ることで、暗闇の中でもある程度視界を確保出来るように動く。
 それに加えてカンテラで足元を照らすことで、舗装がボコボコになっているアスファルト路面で躓かないように注意。
 更に、それより前をセレマが『発光』状態で歩くことで光源且つ、誘蛾灯としての動きを取る。
 ……そんなセレマに冬佳が。
「……怖くはありませんか?」
 と問いかけるが、セレマはくすりと笑いながら。
「いや、別に。何よりボクは美しいのだから、狙われないなんて事はあり得ないだろう?」
 その自信がどこから来るのだろう……と冬佳は思いつつ。
「解りました……では、よろしくお願い致します」
 と頭を下げつつ、セレマに追従。
 ……そして、そんなセレマをサポートする様に、ヴァイオレットは仲間達の後ろに立って、『占眼・赤月の瞳』を発動。
 額の第三の目を開き……近い未来を予測し、不意打ちを未然に防ぐ様に対処。
 そんなイレギュラーズ達の作戦の下、両脇の茂みにも注意を払いつつ、登り続ける。
 そうして暫く進んでいくと……。
『うぅぅぅ……』
 と、どこからちともなく響き渡る呻き声。
「ん……?」
 と、その声の方向に視線を向けるトキノエ。
 当然、その方向にはうっそうと生い茂る木々。
「姿を隠してる様だな……ヴァイオレット、どうだ?」
「ええ……襲われる未来が見えます……注意して進みましょう……」
 額の瞳が少し開き、注意喚起。
 そしてセレマは発光状態で、更に目立つように先を歩き、他の仲間達は少しだけ離れた位置から追従しつつ、灯をできる限り抑えるようにする。
 ……そして、更に進むと。
「……ウゥォオオオ……!!』
 と、苦しみの叫声を上げるゾンビ達。
 もう一度トキノエがその方向を指差し、アンナ、グリムが耳をそばだてながら、いつ来ても良い様に構える。
 ……そして、次の瞬間。
 風に乗って……漂う腐臭。
「臭いな……という事は……」
 とニコラスが呟いた次の瞬間。
『……ウアアァアアオオオオ!!』
 苦しみの叫声と共に、茂みの中から次々と姿を現わすゾンビ達。
 一部腐りかけのゾンビが5体、完全に腐り果てたゾンビが15体……併せて20体が、次々と茂みの中から姿を現わし、先行して一番発光しているセレマに向けて襲い掛かる。
「おうおう、寄ってきやがったか。んじゃせれまさん、引き寄せ役は頼んだぜ!」
「ああ、了解さ」
 と言いながら、競れ魔は仲間達の方向に少し移動。
 足元がボコボコだから、余り歩き回ると転倒しかねない。
 対するゾンビ達は……その光に誘導されるように、イレギュラーズ達の方向へと追従。
 まずは、完全に腐るゾンビ達の姿形を見た冬佳が。
「こちらは……そんなに視るべきものは無さそうですね」
 と一言。
 まさしくゾンビであり、それ以上でもそれ以下でもない彼らは、それ以上詮索する必要は無いだろう……むしろ、余り腐っていない『元・人間』のゾンビ達の方が気になる。
 しかし傍目からは、ただただ人にしか見えない彼ら。
 手の先や、顔の一部が鎖駆けたりはしているものの、それ以外は人間とほぼ一緒。
 瞳からは光が失われ、狂気に捕らわれているとしか思えないし……鋤や鎌を全力で振りかざしてくるその動きは、常人ではあり得ない事。
「動く屍ではない、生ける屍……これこそが、『神の狂気』に触れた元人間なのですね……彼らと戦えば、神なる者の手がかりを得られるのでしょうか……」
 と、冬佳が少し悲しげに呟くが……ゾンビ達はつゆ知らず。
『ウアアア……!!』
『ギャアアア!!』
 と、ゾンビ達は叫声を次々と上げて、狂気と呪いのバッドステータスを周囲に広げながら、鋤や鍬の農具で無差別に攻撃してくる。
 そんな敵の攻撃を引き寄せつつ素早く動き回りながらセレマは『微笑は人を狂わす砂糖菓子』を発動。
 周囲に怒りを及ぼすその攻撃へ、飛び回るセレマが厄介だと感じているのか、叫びながら迎撃したり……攻撃したりして、接近してくる。
 ただ、明らかに動きが遅いゾンビ達は、それに翻弄されている様にも見える。
 それで近づきつつある敵へ、続くアンナがアーリーデイズを自分に付与しつつ、セレマの怒り効果の範囲外に居た敵を多く巻き込む様に『黒兎呪舞』。
『ギャァアアア……!』
 そんな苦しみの叫声に、アンナは。
「……元は罪も無い人達と考えると気の毒だけど、こればかりは仕方ないわ。死者が生者を道連れにすることは、不毛な連鎖でしかないもの……それを断ち切るのが、私達の役目なのよ」
 と、はっきりと言い捨てる。
 そして、ある程度敵が自分達の方へと近づいてきた所で、仲間達に。
「範囲に仕掛ける。先陣の中に突っ込むと危ねえぞ!」
 と中マッチに注意喚起すると、それに頷く華、ニコラス。
 一方でグリムは、敵の動きを封じる為に。
「……さてと、ちょっとそこらへんで立ち止まって貰うぞ」
 と束縛のアイビーで、範囲外に行きそうな敵を呪縛し、更に冬佳が。
「禊祓--我が神水を以て洗い浄め祓い鎮めましょう。お眠りなさい、死せる者よ」
 と『破魔光浄』で纏めて浄化。
 そんな浄化攻撃に苦しみ悶えるゾンビ達。
 続いて、ヴァイオレットが仲間達をサポートする様に『化身現出』を発動し、抵抗を華にまずは付与。
 そしてトキノエが。
「さぁ、生憎念仏だのは唱えられねえんだ。だからこいつが俺なりの成仏のさせ方だ!」
 と仲間が居ない敵密集域にロベリアの花をぶちこみ、纏めて攻撃。
 そして敵ゾンビ達が、次々と反撃してくる。
 勿論、メインターゲットはセレマだが、素早すぎて中々攻撃が当たらない。
 取りあえず近くに居る奴を攻撃するべく、鋤や鍬で手近なイレギュラーズにも攻撃を加えてくるが……その攻撃と、叫びに。
「はっ、そんな声で俺がひるむなんて思ってんじゃねぇぞ! そんな叫びで壊れるだなんて思ってんじゃねぇ! その程度で狂っちまうほどヤワな生き方はしてねぇんだよ!」
 と、敢えて強い口調で叫び、襲われそうになる恐怖を吹き飛ばす。
 そして敵の攻撃の後に華が、気が触れたゾンビに向けてH・ブランディッシュを周域に放つ事で、敵を纏めて砲撃。
 ……その一撃に、腐敗しきっていたゾンビ十五体の内、十体が早々に、動かぬ骸へと化す。
 ただ……気が触れたゾンビは、一体も倒れてはいない。
「気が触れたゾンビは、中々強い様だな」
「そうだな。でもゾンビってあれだろ? 頭潰さねえと死なねえんだったよな……?」
「ん……今回は違うと思う……」
「何だと? ……まあとにかく! 手近に居るゾンビから頭もしくは胴を狙えば倒せるだろ!」
 トキノエと華の会話。
 まぁ、頭を潰そうとも、胴を狙おうとも、倒せばいいのは代わらない。
 そして次の刻、セレマはある程度集まった敵に対し。
「仕事は効率的に、だ」
 と、神気閃光を自分中心に放ち、周囲の敵を攻撃。
 更にアンナも、ダークムーンで。
「もう、良いでしょう。安らかに眠って」
 と、ダークムーンで纏めて攻撃。
 続けて先ほどの刻、溜めていたニコラスが。
「あいつと出会ったんだろ? あいつらの声を聞いちまったんだろ? ……オマエらは悪夢を見続けてんのかね。だったら悪夢を終わらせねえとな!」
 と『T.O.B.』で高密度の無数の魔弾を放ち、攻撃していく。
 その後はいったん後衛のグリムがブラッドウィップ、冬佳が破魔雷煌で、同じ敵を攻撃。
 更にヴァイオレットは、先ほどの『化身現出』を、華に今度は切り替えて付与。
 そして、華のH・ブランディッシュと、トキノエのブラックドッグでそれぞれ攻撃。
 範囲攻撃で、腐敗ゾンビの残る五体も全て崩れ堕ちるが……まだ気が触れたゾンビは現存。
 とはいえ、残るゾンビ達は後五体。
「後は確実に一体ずつ、削っていくしかないか」
 ニコラスが軽く溜息。
 さすがに周囲に聞こえ渡る叫声に精神的には参りつつあるが、そんな仲間をヴァイオレットがアウェイニングによって治療。
 そしてセレマは怒りを度々付与しながら飛び回り、その中の一体をグリムが束縛のアイビーで呪縛し、縛り付けた上でアンナのダークムーンや、ニコラスの『S.T.D』、トキノエのブラックドッグに、華のレジストクラッシュ。
 そんな前衛陣の集中砲火によって、一体ずつ確実に仕留めて行く事で……20匹と多数はびこっていたゾンビ達は、全て崩壊していくのであった。

●怪異封建
 そして、ゾンビらを全て倒し切ったイレギュラーズ。
 腐敗した体がアスファルトの上に横たわり、まさしく地獄絵図。
 ……そんな死体の並ぶ光景を前にグリムが。
「神の名のもとに動かされた者よ。死のその後まで縛られた者よ。ここにその束縛は祓われた。どうか安らかな眠りであれ。そして次なる生に祝福あれと願わんことを……」
 と、弔いの祈りを捧げる。
 その祈りと共に……各々の遺体に軽く手を触れる。
「……何をしているんだ?」
 と華が問いかけると、グリムは。
「……名前も喋れない彼らをこのまま弔っても、浮かばれないだろう? ……だから、せめて名前だけでも音呂木さんに伝え、しかるべき場所に送って貰おうと思ってな」
「そういう事か……そうだな、その方がいいかもしれないな」
 こくり、と頷く華。
 そしてニコラスとセレマも。
「おやすみ。今度こそ安らかな眠りにつきやがれ。それが終わった者達の特権なんだからよ」
「そうだね。この世に目的のない支社の蘇りなんてないのさ。作為的であれ、偶発的であれ、それが立ち上がって動く限り、そこには何者かの目的が潜んでいる。それが神の御業であるというなら、それこそが付け入る隙だ」
 と、言い捨てる。
 最後にアンナが道の路傍に穴を掘り、ゾンビ達を簡単に埋葬。
「ごめんね。ここのやり方がどうなのかは解らなから、天義のやり方になってしまうけど……少しでも慰めになる事を祈るわ」
 と、埋葬した後に弔いの祈りを捧げる。
 ……そんなイレギュラーズ達の弔いを横目に、一人トキノエは。
「……しっかし、石神地区の俺の知り合いも呪いつけて帰ってきたし、今回のゾンビ騒ぎといい……本当ここはなかなかヤベエとこだよな……練達自体は便利なもんが多いから、嫌いじゃねえんだがよ……」
 と、深く溜息。
 その溜息にヴァイオレットが。
「ええ……そうですね。何にせよ、この『石神支社』周辺域には不穏な気配がまだまだ漂っています。しばらくの間は……注意しておく必要がありそうですね……ふふ」
 不気味に笑うヴァイオレット。
 ともあれ。
「……帰りましょうか。ゾンビさんの名前を伝えないといけませんから、ね」
 と冬佳の言葉に皆も頷き、そしてイレギュラーズ達は、暗い道を急ぎ下っていくのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

石神支社周域のゾンビ退治に参加いただき、ありがとうございました!
今回のゾンビ達、弔われた事で安らかに逝く事が出来たと思います。
ゾンビ達が何故生まれ出ずるのかはまだまだ不明な所はあります。
何か救いを求めているのかもしれませんが……それがしれるのはまだもう暫く先の事でしょう……。

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