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シナリオ詳細

<Rw Nw Prt M Hrw>可愛いティラノサウルス

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●プレデターインジュラ
「こまったことにニャったね……」
 その時、ブリーフィングにと集合したその面々は、頭を突き合わせては悩ませていた。
『願いを叶える秘宝』が眠っていると噂され、学者達が調査を行っていた遺跡群『FarbeReise(ファルベライズ)』。
 その内部の一室を通過したかったのだが、問題が発生した。
 そこでは既に一匹のモンスターが我が城と言わんばかりに闊歩していたのである。
 このルートを選択した以上、他の道はない。戦闘は避けられないようだ。
 だが、難点をあげるとするならば。
「……ティラノサウルスさね」
 ……ティラノサウルスだね。
 そう、この一室をテリトリーとしているのは大きな肉食恐竜、ティラノサウルスだった。
 大きな口は人間など容易く平らげ、太い脚はちょっとのことでは怯みもしないだろう。太いしっぽに胴を叩かれれば、肋はおろか、内臓まで損傷しかねない。
「間違いニャアね。あれは『可愛いティラノサウルス』さ」
 情報屋がそんな事を言いだした。混沌には可愛いティラノサウルスと可愛くないティラノサウルスがいるのだろうか。名前からすると、やや希望を見出せそうではある。どれ、その可愛いティラノサウルスの特徴を教えて欲しい。
「まず、あの大きニャ口さね。噛みつかれたら一大事だよ」
 そんなことは見ればわかる。あんなバケモンの正面にこれから立つと思うだけで恐ろしいのに。
「次に、あの巨体さ。タフネスは想像を遥かに超えちまってる」
 それもわかる。あの大きさで、見るだけでわかる獰猛さ。あれは生粋の捕食者に違いない。
 その先も、何となく分かる。そうだろう、見てわかりやすい恐怖ゆえに、口にばかり目が行きそうになるが、あの尻尾もあんんと凶悪なことか。真に恐ろしいのはあのs―――
「そう、わかっているね。ニャんと言っても、恐ろしいのはあのビームキャノンさ」
 ―――そう、ビームキャノン。ビームキャノン?
「うん、口の中に銃口が見えるだろう? あれでビームを照射しながら薙ぎ払ったり、噛み付いたままゼロ距離で発射するのさ。ニャんて恐ろしいんだろうね」
 お、おう。それはめちゃくちゃ怖いな。
「その上、あれは背中にガトリングミサイルを積んでいるじゃニャアか。機関銃みたいニャ勢いでミサイルを発射してくるよ」
 …………先生、可愛い部分はどこですか?
「頭の上を見てご覧?」
 頭の上?
「リボンが乗っているだろう?」
 …………そっか、じゃあ可愛いな。

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

ファルベライズの中核、その一室に大きなモンスターがおり、これを倒さねば先に進むことができません。
モンスターを討伐し、遺跡の奥へと向かってください。

【エネミーデータ】
■可愛いティラノサウルス
・頭乗ったリボンがとってもキュートなティラノサウルス。リボンが破壊されたり、奪われたりすると狂乱し、回避能力が極端に下る代わりに、攻撃力が倍増し、反応判定に+1d100を行うようになります。
・噛みつきによる単体攻撃、ビームキャノンによる中距離範囲攻撃、ガトリングミサイルによる遠距離広域攻撃を主な戦闘手段として用います。
・あまりに巨体であるため、移動の際、攻撃判定が発生します。これは可愛いティラノサウルスの脚から離れているほど命中判定にペナルティが発生します。
・可愛いティラノサウルスをマーク、ブロックする際には2名分以上を必要とします。
・稀に、以下の行動を取ります。

◇噛みつき振り回しゼロ距離ビーム
・噛みつきの命中後、一定確率で発生します。
・命中したキャラクターは強制的に移動します。
・【防無】【必殺】

【シチュエーションデータ】
■ジュラ紀っぽいフロア
・自然満載の森林地帯ですが、生物は可愛いティラノサウルス以外におりません。
・昼間、見通しは良い。
・戦闘が決着するまで、部屋から出ることはできません。

  • <Rw Nw Prt M Hrw>可愛いティラノサウルス完了
  • GM名yakigote
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月22日 22時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
奥州 一悟(p3p000194)
彷徨う駿馬
枢木 華鈴(p3p003336)
ゆるっと狐姫
メイメイ・ルー(p3p004460)
ひつじぱわー
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
ロロン・ラプス(p3p007992)
頂点捕食者
雑賀 才蔵(p3p009175)
アサルトサラリーマン
グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)
灰色の残火
グレイ・クレセント(p3p009419)
特異運命座標

リプレイ

●キャンディラップ
 生物の進化は何時だって理想の体現だ。両手を使うために立ち上がり、高所の餌を得るために首を伸ばし、獲物を捕らえる為に速くなる。進化とは追い求めた先にあるものなのだ。それはティラノサウルスにしても例外ではなかった。滅ばずして凡そ二億年。その長い時間はティラノサウルスをより理想へと近づけた。

 ずしーん、ずしーん。
 そこは絶対的な王者の間だった。
 体長凡そ13メートル。体重凡そ9トン。
 最も有名な恐竜であり、捕食者の象徴のような生物。
 別名ティーレックス。それもただのティーレックスではない。あれは頭にリボンを付けたとり進化種。
 可愛いティラノサウルスなのである。
『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)はその大きな体を隅々まで眺めていた。巨大な牙、鱗のある身体。爬虫類に分類される特徴。
「…………?」
 アルペストゥスは可愛いティラノサウルスをじっと見た。じーっと見て、首をちょこんとかしげてみせた。
 なかま?
 なんとなくその行動の意味を読み取った周囲の仲間は、瞬時にして同じ気持ちで満たされる。
 たぶん違うんじゃねえかな、って。
「意識高めのミリタリー女子か! よし、ティラちゃんて呼ぼう」
 リボンを付けていることで意識が高いかはさておいて、『彷徨う駿馬』奥州 一悟(p3p000194)も相手に合わせるような格好をしていた。気遣いの為せる技である。
 顔に煤でペイントを施し、黒煙の上がる野外の戦場においてより身を隠しやすくなる迷彩ペインティングを施したのだ。
 どっちかというと男の子の心をつかみそうな格好だ。
「何故、こんなモンスターが誕生したんじゃろか」
『ゆるっと狐姫』枢木 華鈴(p3p003336)は生物の進化の不思議について頭を悩ませていた。難しい問題である。
「そして、この『可愛い』はあくまでリボンの事であって、ティラノを指してはいないような……」
 いやいや、リボンをつけた女の子は可愛いだろう。じゃあリボンをつけたティラノサウルスも可愛いだろう。
「…………いや、そのリボン、どうやって付けたのじゃ???」
「めぇ……!」
 なんと大きな体。なんと凶悪な姿。絶対的な捕食者の姿を前に、『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)は鳴くことしか出来ないていた。
「わ、わあ、なんて、かわいらしい……リボン、でしょう」
 精一杯。精一杯のフォローがここで生きている。
「うう、こわさは、あまり、薄まりません、が……」
 可愛さと怖さの同居。奇跡の業。
「この部屋を抜けないと、先に進めません、ので。が、がんばり、ます」
「よく知らなかったけどティラノサウルスってこういう生き物だったんだ」
『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は実に素直な感想を述べた。そうはならんと思うけどそうなった。
「ビームを撃ったりガトリングミサイルを背負ってたり、そのうえリボンでおしゃれまでしてるなんて、凄く恐ろしい相手だね! それでも負けるわけにはいかないよ、頑張ろうみんな!」
 何回読み直してもこのセリフにそこはかとない狂気を感じる。
「すっげー! ティラノサウルスってビームキャノン装備してんのか! かっけー!」
『ガトリングだぜ!』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は男の子だった。当たり前過ぎたかもしれないが、それでも 反応は男の子だったのだ。
「むむ! よく見たらガトリングまで装備してんじゃねーか! ガトリング勝負とあっちゃあ負けてられねーな! 今ここにティラノVSアザラシ世紀のガトリング対決が開催だ!」
 どっちもバケモンだと思う。
「ティラノサウルス、古代竜の類……だったかな?」
『ひとかけらの海』ロロン・ラプス(p3p007992)は自分の知識を引っ張り出してその姿と照らし合わせたが、どうにもそれが生きる相手では無いように見える。違いが多すぎるのだ。
「生物の口にあんな物騒な銃口はついていなかった気がするけれど、ここは混沌だしね。倒して食べてみれば何かわかるかもしれないけど、流石に大きすぎるなぁ」
 爬虫類って食用にできるものなんだろうか。
「さて、俺達は遺跡の奥を目指しているはずなのだがな」
 遺跡の中に昔図鑑で見たようなティラノサウルスがいたら、『アサルトサラリーマン』雑賀 才蔵(p3p009175)もそりゃびっくりだ。
「最近のモサモサのではなく昔ながらのカッコいい姿で、しかもやたらと可愛らしいリボンを見事に着飾り、更にガドリングミサイルと口からビームキャノン?」
 わなわなと震えるのも仕方のないこと。
「なんだこのロマンの塊は! コレが嫌いな男がいるものか!」
「可愛いティラノサウルス……」
『灰色の残火』グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)はじっとその巨体を見上げると、何度か口を開いては閉じ、感想を述べた。
「いや、多くは言うまい。倒すことには変わらんし、可愛いかどうかも特に重要ではなさそうだ」
 大事だと思う。可愛い方がやる気にも関わると思う。
『お粗末なリボンなのだわ』
『お洒落のセンスはなさそうなのだわ』
「聞こえてないだろうがあまり挑発するんじゃねぇよ」
「いや、可愛くあろうとしてれば、その可愛くあろうとしている心意気だけで可愛いよね!」
『特異運命座標』グレイ・クレセント(p3p009419)はその強烈なアクセントを問題ないと片付けることにした。
「とはいえ、あの顎で噛み付いてきたり、ティラノサウルスには相応しいとは言えないようなビームを撃って来たり、ガトリングガンを撃ってくるのは……」
 ちょっとため息。戦う上で、問題なのはそちらの方。
「どう考えても可愛い攻撃、とは言い難いなあ」

●ナチュラルボーンイーター
 初めに、尻尾がゴツゴツしだした。そのままでも強かったが、ゴツゴツすると獲物によりピンポイントで命中していい感じだった。次にビームキャノンが口にできた。より広範囲。さらには空中の敵まで狙えるようになっていい感じだった。さらに背中にはガトリングミサイルを背負った。より無敵感が増した。そろそろ近づくやつが減ってたのでちょうどよかった。

 戦うのに大層な理由が必要だろうか。
 むしろ、戦いたいという理由すら必要だろうか。
 目があったから、腹が減っていたから、生きていたから。
 捕食者というのは、何時だってそういうものだ。
 だからこの戦いも、鉢合わせたというどうしようもない理由で始まった。

●ピンクリボン
 しかし、ここにきて自分の見た目で悩み始めた。ゴツゴツの尻尾。ビームキャノン。ガトリングミサイル。これでは異性にモテないのではなかろうか。いや、昨今の多様化するジェンダーに気を使って異性とは言うまい。言い換えるならばそう、好きなあの子にラヴれないのではないか。その悩みはさらにティラノサウルスを理想に近づけたのだ。

 ティラノサウルスの巨体で暴れられた場合、体格差もあって少人数でそれを止めるのは困難を極める。
 思い尻尾を振り回し、鋭利な牙をギラつかせて八の字に首を振られれば、嫌でもその凶悪さを意識せざるを得ない。
 だがそれを、それに向けて、アルペストゥスは自分の体を勢いよく当ててみせた。体重、体格差はアルペストゥスが最も小さいと言えるだろう。だからこそ、その役目を買って出た。
「――グルルルッ!!」
 おもいきりぶつかれば、できるはず!
 その意志を込めた結果か、ティラノサウルスの動きは一瞬、しかし確かな時間そこに留まり、そして―――ぽとりとリボンが落ちた。
「…………」
「…………」
 見つめ合う二体。
 アルペストゥスはそっと、その頭に落ちたリボンを戻してあげた。
 何事もなかった。

「はーい、ティラちゃん。素敵なガトリングミサイル背負ってるね。オレのこの木の棒と交換しない? キミは基本戦闘力高めだし、これからサバゲ―するのにハンディつけてよ」
 一悟の言葉が通じたのか。それともティラノサウルスにサバゲーなんて概念がなかったのか。ともかく可愛いティラノサウルスの意識は彼の方に向いていた。
 うぉーんがしゃん、とか言って動き始める背中の砲門。それはミサイル。狙いは確かに一個人。
 白煙をあげて襲来するそれ。空を飛んで回避を試みるも、追尾するそれらは確実に一悟を狙い、迫りくる。
「そんなに、そんなに怒るなって! ご機嫌直してくれないかな!!」
 逃げ回りながら、手にとった蔦でその口を狙う。ワニは閉じる力は強くても、開く力は弱いと聞いた。
 太古の恐竜も、同じであればと思いながら。

「汝はそのリボンがお気に入りのようじゃが、可愛さならわらわも負けておらぬのじゃ!」
 対抗した相手はティラノサウルスか、それともその頭に乗っているリボンなのか。そもそもどうして対抗してしまったのか。とにかく今、華鈴は自分の発言を間違いなく後悔していた。
 じーっと。じーーーーーっとティラノサウルスがこっちを見ているからである。
 顔が近い。恥ずかしさじゃなくて怖い。その顔面が目前にあるのは流石に怖い。何を思ったのか、ひょいパクって華鈴を咥えると、器用に頭の上に乗せてしまう。ティラノサウルスオンリボン&華鈴。可愛すぎるティラノサウルス爆誕。
 アルパカタンクに乗った女はティラノサウルスにも乗れるのである。やったな。
「リボンも謎じゃが、やっぱりこのティラノ生物としておかしいのじゃ!」

 遊園地で、恐竜や怪獣をテーマにしたライドアトラクションに乗ったことはあるだろうか。恐竜の大きな模型の間などを通っていく、アレである。
 その精巧さにも寄るが、巨大な身体が、鋭い牙が間近で見られる迫力が遊ぶものを恐ろしくも大いに楽しませてくれる。のだが。
 メイメイがいま体感しているものは、それの数倍、数十倍は恐怖するものだった。
「め、めぇ……!!」
 小鳥を操り、上空から戦況を把握しようとしたメイメイ。しかし飛び回る小鳥の存在時に気づいたティラノサウルスが、大きな尻尾を打ち付けようと振り回してきたのである。
 必死の思いで逃げれば、次に近づいてきたのは巨大なアギトであった。
 牙と牙の隙間を羽ばたいて、懸命に逃げて、バクバクする心臓を抑えた。
「こ、こわいので、はやく、倒れてください……!」

 ティラノサウルの太い二本の後ろ足は、しかしその巨体を僅かな支柱で支えているということにも繋がっている。
 焔が目をつけたのはそこだ。攻撃を集中させ、転ばせることが出来ないかと考えたのである。
 いくらティラノサウルといえど、生物である以上痛みを感じないわけはない。痛打と火炎の相乗。一点に集めた火力は、ティラノサウルスをひるませ、脚が、浮いた。
 その瞬間を仲間を示し合わせて殺到してみせる。いかに巨体でも地に足がつかなければ体重の利点は大きく下がる。持ち上げて、踏ん張りを効かなくさせて。
 そうすれば、いかな巨体とでも倒れ込む。あとは起き上がるまでの間、2つの役目に分かれるだけだ。
 今はチャンスとばかりに攻勢に出るものと、被害がいかないように頭のリボンを抑えながら守る役目に。

「アザラシのガトリングのすごさ見せつけてやるぜー!」
 ティラノサウルスVSアザラシ。それは字面だけ見れば、弱肉強食の関係に過ぎないのだが、このアザラシはワケが違う。
 戦闘経験が違う。心意気が違う、白いむくむく体型に背負ったガトリングが違う。
 同じ武装動物同士、雌雄を決する時が来たのだ。可愛いティラノサウルスは女の子なので、どっちがオスでどっちがメスかはもう決まってはいたが。
 勢いよく打ち出されるミサイルの群れ。しかしそれらは目標へと着弾する前に、アザラシのガトリングによって撃ち落とされる。
 もうもうと上がる煙。それをかき分けて襲来した巨大な口を、ワモンはガトリングのさきっちょを軸に回転して避難してみせた。
 同時に放たれたビームの薙ぎ跡が地面に残る。
「こえー!!」

「見通し良好、敵は巨体。狙える部分はありそうかな」
 ロロンが視界に捉えたのは尻尾である。巨体に合わせて動き回りはするが、そのサイズは相手にとってデメリットでもある。大きい故に、攻撃が完全に回避されることは極々稀の話になるからだ。
 部位破壊。その巨体の一部でも損なえば、損なうことは出来なくとも、先端に衝撃を強く与えれば、そのバランスを崩すことができるのではないか。
 よって砲撃。やはり獲物を仕留めるのは、切ることではなく撃つことなのだ。
 射出、命中。尻尾を振り回して動き回るティラノサウルスの、背中をわざと押すような行為。遠心力が強まったことで姿勢を保てなくなったのか、巨大な怪獣は大きくたたらを踏んだ。
 必死にバランスをとりながら、頭のリボンが崩れてないか確認している。おっとっとって感じで。

 ティラノサウルスの大顎が開くと、中に見えていた砲身が伸び、大概に露出する。
 砲門が緑色に光り始め、点滅するさまは、嫌でもこれから放たれるであろう破壊の権化を彷彿とさせた。
 だが、その突き出された砲塔こそが才蔵の狙いである。ミドルレンジを狙い、薙ぎ払われるビームを避けることは非常に難しい。しかし、物理的に存在するその先端を反らすことならば。
 チャージされた光線が発射される直前、その横面を放たれた銃弾が襲う。貫通よりも衝撃。インパクトを逃しきれず、ティラノサウルスの首がぐいんと横に曲がり、ビームはあらぬ方向へと発射される。
 慌ててバランスを取り戻そうとする動きに合わせて振り回された光線がティラノ自身をちょっと焼いてしまったらしく、痛みに飛び上がるさまが可愛らしかった。

 踏み出されたその後ろ足を、グリジオは後方へと飛び退ることで回避する。
 カウンターを狙い、ギリギリで躱すようなマネはしない。巨体による問題は質量だけではなく、その体重からくる地響きで次の行動を制限されかねない。
 動き回られぬよう抑える役目ではあったが、不用意に近づきすぎれば自殺にも等しいのだ。
 だから安全を取る。個人の一撃が怪物を仕留めるはずはなく、積み重ねた戦略と叡智の果になせる業であるはずだから。
 いつか来るかもしれぬ、絶対強者との戦いをも想定しながら。
「恐竜だろうがドラゴンだろうが似たようなもんだな。随分と倒しがいがありそうだ」
 自分にだけ聞こえるふたりがはしゃいでいる。
『美味しそうなのだわ!』
『今夜はパーティーなのだわ!』
「頼むから黙っててくれ……」

 そろそろ、決着が近い。
 戦いの中で、グレイはその瞬間を予感していた。
 お互いに傷が深く、継戦能力の底が見え始めているのだ。
 息は荒く、肩を上下させ、時に踏ん張りが聞かず脚を滑らせる。それは向こう側、可愛いティラノサウルスにしても同じことだった。
 仲間の傷を癒やすも、消耗のほうが激しい。だが怪物の体力も底なしではないはずだ。
 そんな中、一際存在を主張するリボンだけが健在である。可愛いティラノサウルスの可愛いを象徴する、頭の上のリボンだけが今もなお、傷一つなく君臨しているのだ。
 さすがリボン。誰一人それを狙わず、むしろ巻き込まれそうであれば守り、落ちそうなら抑え、落ちたら拾ってあげてさえいた。
「可愛いチャームポイントを傷つけるわけにはいかない」
 というのは建前だが。

●ザレックス
 その結果、種族名に可愛いがついた。

 そして、ついに。
 巨体が倒れ伏した。無限にも思えた怪物の生命力にも、限りがあったのだ。
 可愛いティラノサウルスは腹の底から背筋を震え上がらせるような唸り声をひとつあげ、目を閉じる。
 負けたほうが死ぬ。それが野生の宿命である。
 生き残ったほうが食い、死んだほうが肉になる。
 風が一つふいた。頭に乗っていたリボンが解け、それに乗ってどこかへと消えていった。

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

そもそもティラノというだけでも可愛い。

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