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シナリオ詳細

ただの空き家の冒険

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●古い別荘
 閑静な町の外れ――湖の付近にその朽ちかけた別荘はあった。
「ひどい状能だな……」
 その別荘を取り壊すため、2人の職人が下見に訪れていた。
 男2人はほぼ廃墟と化してぃる別荘の全容を見て回る。その内に、蓄積されたホコリやカビの臭いとは別のものを感じ取る。
「なんだか……獣臭くないか?」
 獣独特の臭いに加え、奥に進むに連れて魚や小動物の骨が床に散乱していることに気づいた。
 ――グルルルルルルル。
 獣の唸り声が確かに聞こえ、部屋の暗がりから爛々と光る複数の目が2人を捉えていた。

●魔物の駆除依頼
「魔物の駆除をお願いしたいのだけれど、よろしいかしら?」
 ローレットを訪れたのは、中年の貴族の女性。取り壊す予定になっていた古い別荘に、魔物が住み着いてしまった事態を訴えた。
「近隣の住民に被害が出ても煩わしいわ……
子どもたちが肝試しと称して別荘付近をうろつくこともあるようなのです。とにかく、早く駆除してくださる?」
 女性が話すように、ボロボロの古い別荘はお化け屋敷そのものに見えるほどだった。すでに取り壊すことが決まっている別荘なので、駆除の際にいくら壊されたとしても構わないという。
「別荘で魔物を見た者の話によれば、大きなネズミと小熊の姿をかけ合わせたような姿だったそうです」
 一部のウォーカーがその魔物の姿を見たなら、『ウォンバット』という動物を連想するだろう。別荘を縄張りとして認識しているらしく、見た目以上に凶暴と言える。
 女性は扇子で上品に口元を隠しつつ、何やらころころと笑い出す。
「ホホホホホ……おかしいのよ、知っていらして? ただの空き家なのに、近所では心霊スポットとして有名らしいの。一体どんな惨劇があったのかしらねぇ?」
 婦人は案外陽気な振る舞いを見せていたが、
「確かに、私の前の主人2人はあの別荘で亡くなりましたけど……ただの事故ですもの」
 最後にそう言い添えた婦人の眼差しは、どこか冷徹なものに変わったように見えた。

GMコメント

 ただの空き家です、ただの空き家ですよ?
 魔物の巣窟となってしまった元別荘に向かい、魔物を駆除してください。
 ホラー的な展開を楽しみたい方は、そういう状況を想定した上でのプレイングでも構いません。

●情報精度
 このシナリオの情報制度はBです。依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●シチュエーション
 昼間の元別荘。湖を眺められる場所で、木々が生い茂っているため薄暗い。平屋建築で、4LDKくらいの広さ。歩いたら床が抜けそうなくらいにはボロボロです。
 魔物は別荘の奥に潜んでいるため、探索の必要があります。

●敵の情報まとめ
 見た目は『ウォンバット』によく似た魔物。体長は120センチほどで、凶暴。
 計10体の群れで、元別荘を住処にしている。攻撃手段は、【物至単】のみ。

 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • ただの空き家の冒険完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月23日 22時02分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
シャルロット・D・アヴァローナ(p3p002897)
Legend of Asgar
冷泉・紗夜(p3p007754)
剣閃連歌
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
アルシィ・コルティス(p3p009470)
リスタート勇者
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す

リプレイ

 近隣の住民にはお化け屋敷扱いされるほどの元別荘。それも無理はないほどのボロ屋敷を前にして、8人は一瞬息を呑む。塗装や装飾はあちこち剥がれ落ち、庭は雑草だらけ――かつての別荘の面影は消え失せていた。
 『リスタート勇者』アルシィ・コルティス(p3p009470)はおもむろにつぶやいた。
「ここで旦那さんが二人も、か。辛いものではあるけれど、思い出の場所なんだね」
 純粋というか、鈍感というか――アルシィは依頼人の婦人に対し、特に胡散臭い印象を感じてはいないようだ。
 アルシィの反応に内心苦笑しつつ、『オトモダチ』シャルロット・D・アヴァローナ(p3p002897)は元別荘の外観を眺めて言った。
「……二人も死んでいるなら、思いっきり事故物件だけどね」
 アルシィ以外は、婦人の元夫たちの死に関して少なからず疑念を抱いていた。
 ――場所が呪われているのか、人が作った呪いなのか。
「なんだか曰くありげなようですけど……結局どちらなんでしょうね」
 そうつぶやいた『鏡面の妖怪』水月・鏡禍(p3p008354)は、呪いによって形を得たような存在であった。そのため、異世界の呪いの存在についても興味を持っていた。
 ――……と気にしている場合でもないですか。お仕事ですからしっかりこなさないとですね。
 鏡禍は魔物の駆除に集中しようと気持ちを切り替える。
 アーマデル・アル・アマル(p3p008599)はおもむろに玄関に向かって歩き出し、他の者も自ずとアーマデルの跡に続いた。
 ボロボロの家屋を眺めるアーマデルは、「これほど荒れているなら、魔物が住み着いても不思議ではないな」と考えていた。しかし、事故か事件か、過去に2人の死を重ねている事実があるとなると、『風韻流月』冷泉・紗夜(p3p007754)は婦人の発言を深読みせずにはいられなかった。
 アーマデルに続き、紗夜は屋内に踏み入ると、
「2人の死と別荘の関係――これを不思議と思わないのは……あえて、探らぬ賢しらな者かもしれません」
 紗夜はそう言いつつも、巫女として闇に葬られゆく真相を照らし出したいという使命感を帯びていた。
(『好奇心猫を殺す』とは故郷の世界の諺ですが――)
 『遺言代筆業』志屍 瑠璃(p3p000416)も、紗夜と同様に元夫たちの死に思うところはあったが――。
(――“それ”が魔物の発生と結びついていない限りは、今回の仕事とは何の関係もありません)
 そう割り切っている瑠璃は、目の前の役目に集中することを優先していた。
 ルナ・ファ・ディール(p3p009526)も、瑠璃のように積極的に深入りするつもりはない構えであった。仲間が依頼人に感じているきな臭さにも一理あるとは思うものの、「女狐の裏なんてつついていいことはねぇ」という姿勢を貫いていた。
 8人は玄関を抜けて、暖炉があるリビングに入った。ホコリが積もり放題の床の上には、魔物のものらしき足跡を無数に確認することができた。
「空き家に魔物が住みつくなんて……湖が近い立地が気に入ったのかな?」
 『新たな可能性』イズマ・トーティス(p3p009471)は足跡を観察しながら言った。
「放置するくらいなら壊した方がいいと思うけど――」
 廊下の奥へと続く足跡をたどるイズマを含め、8人は魔物の気配を一層意識し始めた。
 リビングから更に奥へと続く廊下には、3つの部屋のドアが見える。
 8人は1人切りにならないよう固まって行動し、1つ1つの部屋の様子を確かめていく。まず、となり同士に並んでいる部屋を順番に見ることにした。
 ルナは率先してドアを開けていく。2つの部屋には長い間蓄積されたホコリと空っぽの家具があるだけに見えた。
 廊下を狭んで向かいにある部屋にも真っ先に踏み入るルナ。ライオンの四つ足を持つルナが部屋の床を踏み締めた瞬間、床板は最も大きな音を立てて軋んだ。ルナが特別重いためという訳ではなく、その床板自体が軋みやすくなっているようだ。皆がギシギシと床を踏み締める中、
「皆さん止まって、静かにしてください」
 紗夜はその場にいる皆を制止した。
 紗夜は常人の域を遥かに越えている聴力を駆使することで、床下に存在する何かの気配、音を感じ取った。
「物音が――床下に何かいます」
 集中して耳を澄ます紗夜の一言で、皆の間に緊張が走る。
 床下から聞こえる物音――紗夜の聴覚から得た情報を頼りとするイズマは、
「床下か……魔物が巣穴を作っている可能性もあるな」
 豊富な魔物の知識からその結論を導き出した。
 鏡禍は胸の辺りがざわつく言い知れない感覚に支配され始め、自然と廊下の奥へと視線を吸い寄せられる。
「もっと奥に、気配を感じます……」
 敵の気配を察知する能力を発揮する鏡禍は、己の感覚に従って警戒を強める。
 婦人からの情報によれば、元別荘の更に奥には台所があるという話だった。
 外からの光が薄く差し込んでいる台所の様子が廊下の先に見え、8人は慎重に台所へと進んだ。
 台所へと進むほど、獣臭が強まるのもわかった。台所の床には特に魚や小動物の骨、木の実などの残骸が数多く散乱していた。
 魔物の痕跡が残されている台所を見渡す中で、アーマデルは魔物以外の気配を探っていた。
 神事に携わる職業柄、アーマデルはこの地に存在する未練ある霊魂とコンタクトを取るつもりでいた。しかし、それらしき気配をどこにも感じ取ることはできなかった。
「本当に事故だったのか、気になるところだが――」
 思案に耽る素振りを見せながら、アーマデルは言った。
「今のところ、魔物以外の痕跡は見つからないな」
 同じく霊視を可能とする瑠璃も、「そのようですね……」とアーマデルに同調する。
 瑠璃は床に散乱している骨を眺めながら言った。
「魔物が人間まで食すかどうかはわかりませんでしたが、その類の死者はいないのかもしれませんね」
「…………」
 にわかに肝試し気分を味わっていたイズマだったが、瑠璃の発言によってその気分は吹き飛んだ。
「あるいは、よほど手際がよかったのかもな――」
 霊魂の存在について触れた瑠璃たちに対し、ルナは言った。
「事件に巻き込まれたとは思わずに死んだなら、まあまあ未練は薄いんじゃねぇか? それが事実とは限らねぇし、よほど男運が悪いだけか――」
「そこに、何かいます」
 ルナの言葉を、瑠璃は鋭い口調で遮った。鋭敏な聴覚を発揮する瑠璃は、流れるような動きで台所の流しの下――収納の扉に手をかけた。
 瑠璃が一気に扉を開け放った先には、ウォンバットに似た魔物の生首が――。
「ギュるッ?!」
 ――ではなく、収納の底に空いた穴から頭だけを出した状態の魔物だった。その1匹は瑠璃に驚き、瞬時に穴の中に戻った。瑠璃や紗夜以外にも聞き取れるほどの物音が床下から響き始める。
 ルナは即座に構えた拳銃で床を撃ち抜く。連続で放たれる弾丸が床下の存在を追い立て、リビングの方角へと移動していくのがわかった。
 初仕事に臨むアルシィは、やる気をみなぎらせて真っ先に廊下へと駆け出した。
「よし、必ず仕留めないと――」
 ――バキィイいイイイィッ!!
 思い切り廊下の床を踏み抜いたアルシィだったが、結果的にその場所から慌てた魔物たちがあふれ出してきた。
 予期せぬ8人の訪問者に対し、10体の魔物たちは始めはリビングを右往左往していた。だが、徐々に距離を詰め始めるイレギュラーズに向けて唸り声を発し、しきりに威嚇する。その魔物らの前に進み出る紗夜は、鞘に納めたままの刀を携え、居合の構えを見せた。
 襲いかかる魔物の1体に対し、紗夜は機敏な動きを見せつける。
「刃瞬けば、吹き抜ける剣風……」
 一気に抜刀した紗夜の太刀筋は、魔物を両断しようと風を切った。詩歌を諳んじるのに合わせて、紗夜は連続で刀を振り抜く。
「一念を以て振るい、一願を成すまで幾度とて奔る斬術として――」
 紗夜は流れるような優雅な動きを見せつけると同時に、魔物を突き飛ばす。
 1体が部屋の隅に転がったのを皮切りに、魔物たちは次々と押し寄せる。
 両者入り乱れる中で、虹色にきらめくモヤのようなものが魔物たちの周囲に漂い始めた。魔物の体に触れては掻き消えるモヤ――それは瑠璃の能力の1つで、静かに対象の生命を蝕む毒となる。
「残念だけど、ここは君たちの居場所じゃないよ――」
 鏡禍は「君たちの相手は僕だよ!」と魔物たちに向かって声を張り上げ、魔物たちの注意を引きつける。
 鏡禍へと突撃してくる魔物に向けて、鏡禍は銀の装飾の手鏡を武器として構えた。
 鏡禍は軽快な身のこなしで突撃を繰り返す魔物たちを受け流し、複数の魔物が壁や家具に激突してはよろめいた。
 更に追い打ちをかけるのは、アーマデルが操る毒の香り。アーマデルを起点として、屋内には生暖かい風が流れ込む。その風に乗って漂う香りは魔物たちを苦しめた。むせ返るような酒の臭いは、吸い込んだ途端に喉を焼く毒となり、複数の魔物がのた打ち回る。
 アーマデルらの攻撃にも怯まない一部の魔物は、イレギュラーズを縄張りから追い出そうと、牙をむいて襲いかかる。
 双刀を巧みに振りさばくシャルロットは、容赦なく反撃を展開した。取り囲もうとする魔物らを寄せ付けず、気迫に満ちた太刀筋が魔物らを圧倒していく。
 イズマは、己の拳を武器に魔物らに立ち向かう。1体がイズマの腕に牙を突き立てたが、イズマは動じることなく飛びついた魔物を振り払う。素早く態勢を立て直した1体は、イズマへ攻撃を繰り返そうと身構えた。その間にもイズマを取り囲もうとする2体が動き、目まぐるしく戦線を押し上げようとする。
 体術を駆使して立ち回り、相手をけん制するイズマ。その腕の傷口からは点々と血飛沫が飛んだが、鋭く弾けるその飛沫は、刺すような痛みを魔物へと放った。血を武器に変える特異な能力で、イズマは魔物らを翻弄する。
 ――今のボクはついてる、負ける気がしないね! 床を踏み抜いたときも、いいタイミングだったし。
 アルシィはそんな自負を抱いて剣を振りさばき、正面から切り込んで魔物へと挑んだ。
 電光石火の速さで放たれるアルシィの一突きは、その衝撃によって多くの魔物を巻き込み、突き飛ばした。
 数を減らされながらも、魔物はアルシィの隙を狙おうと動く。それを遮ろうとするルナの射撃の腕も冴え渡り、魔物たちは散開していく。
(――頼りになる味方もいるしね!)
 応戦する仲間の動きを追いながら、アルシィはその頼もしさに感嘆した。
 見た目以上にすばしこく動き回る魔物は、家具や壁を蹴りつけてルナへと飛びかかろうとした。ルナはそれに翻弄されることなく冷静に迎え撃つ。銃床の部分で正面から迫った1体を強打し、背後へと回り込んだ1体は、後ろ足で蹴り飛ばした。
 炎を自在に放つ瑠璃は、勢いよく床を転がった2体を含めて動きを封じにかかる。魔物たちは瑠璃の炎を怖がるように避け、ホコリまみれのソファーの影に隠れるようにして行動する。しかし、そのソファーもシャルロットの一太刀によって両断される。
「気の毒だけど、殲滅させてもらうわ……」
 そうつぶやいたシャルロットの動きには一切無駄がなく、容赦なく魔物の1体を切り伏せた。
 残り半分を数えるほどとなった魔物たちに対し、鞭剣――刃を連ねた鞭を両手に携えたアーマデルも、攻勢を強めていく。シャルロットは鞭剣を振り回すアーマデルに即座に続き、連携を強めて残る魔物たちを次々と葬る。
 シャルロットは魔王の如く漆黒のオーラに包まれた一撃を放ち、最後の1体を床板ごと貫いた。

 元別荘の様子は一変し、魔物の死体があちこちに転がっていた。アルシィは床下を覗き込み、シャルロットが陥没させた床の穴から死体を運び出したが――。
「あれ? ……何かあるよ」
 穴の奥に手を伸ばしたアルシィは、錠剤の詰まった瓶を取り出した。3つの瓶には、同じ種類の錠剤が詰められていた。
 瓶を眺めていた瑠璃とアーマデルは何かの存在を感じ取り、その場で振り返る。
 霊的なものを感じ取る2人にしか見えない存在は、ある事実を打ち明けてきた。
「これは――精力剤だ」
 アーマデルは錠剤の瓶を指して言った。
「それも、かなり粗悪なもののようです」
 アーマデルの後に、瑠璃は続ける。
「元夫2人は、これが原因で――腹上死したのです」
 『腹上死』という単語を聞いて、ルナは爆笑し始めた。
「なるほどねぇ、その理由じゃ幽霊として出てくるのも気まずいわな」
 ルナが納得している一方で、『腹上死』が意味するものにいまいちピンと来ていない者も何人かいた。
 事件性を匂わせるものと判断し、一行は見つけた精力剤のことをローレットに報告した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。
故意か不運か、真相はローレットが調査を進めてくれることでしょう。

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