PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ネコと和解せよ

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ネコ語でお送りしています
「にゃにゃ、にゃんにゃんにゃにゃんにゃ!?」
「うなんな」
「キシャー! ゴワーオゴワーオ、キシャシャー!」
 うななんな。
 うな! なんなーん、うななん。
 わなーん。
 うななんなんな、なんあんなん。
「ニャーニャ。ニャ、ニャニャニャーン」
「シャッ、ニャニャーゴゴニャーン」
 うななんなんなん。なんなーんにゃーご。
「ググルムグーン? ムギャ。ニャニャーゴ、シャー!」
 わななんな、わんなんななん。
「キシャーゴ」
「シャ、キシャー!」
 なんごろなんごろ、ごろろななーん。
「シャーゴワーオ。ゴワァーン! ゴワァァァーン!」
「「ニャーン!」」
 ななんな、うなななんうななん。なんなーんにゃーん。
「にゃー、にゃにゃあ。にゃにゃあん……」
 うな。
 うなな、うなんな。
「にゃん。にゃにゃーん。ギルド・ローレットにゃん?」

●人間語に翻訳したものがこちらです
「我々の村が、人間たちに荒らされているですって!?」
「さようでござる」
「こーしちゃ居られねーゼ! 俺様の剣を持ってこい、人間なんて八つ裂きにしてやるゼ!」
 ネコミミのついた藁葺き屋根のおうちがありました。
 おうちの中では見るからにネコ! って感じの生き物が座布団の上にあぐらをかき、円陣を組んで話し合っています。
 とってもモメているようです。
 青い目の白猫さんが手を、いや肉球を上げて言いました。
「争いはよくないわ。私、人間とも話し合ってみるべきだと思うの」
「ケッ、話し合いで何ができるってェのさ」
 三毛猫さんが吐き捨てるように言います。実際さっき毛玉を吐いていました。
「今まさに人間の軍隊がこっちに迫ってるんだろう? アタシは行くよ。口先じゃあ何も守れないんでね!」
 三毛猫さんは腹ベルトに下げた拳銃を抜いて、がしゃこんと鳴らして見せます。
「誰かを守れるのはコレだけさ」
「へへ、乗ったゼ!」
 コンバットナイフを手に、緑の目を光らせる虎猫さん。
「俺様のコブンたちも戦にゃ飢えてんだ。人間にはデケー顔させねえゼ! いくぜおめーたち!」
「「ヘイ親分!」」
 虎猫さんがお家を飛び出せば、柄とりどりのネコさんたちが立ち上がりついていきます。三毛猫さんも一緒になって走って行きました。
「ああっ、行ってしまったわ。どうしたらいいのかしら……」
 手というか肉球で顔を覆う白猫さん。
 その肩を、黒猫さんが叩きました。
「大丈夫。間に立ってくれそうな人たちを知っています。ギルド・ローレットを知っていますか?」

●ネコと和解せよ
「にゃにゃん!」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がネコの手をして背伸びした。
 いや、闇市で爆死して頭おかしくなったとかそういうんじゃなくて。
「幻想の北のほうに『ねこびとの里』という場所があるのです。
 そこにはネコそっくりな亜人族が暮らしていて、何十年も前は人間とも交流があったそうなのです。
 けど最近はサッパリで、近隣の村長さんが『あそこの土地は自分たちのものだからネコは出て行け!』て言い張ってしまったのです。
 それで『ねこびと』さんと喧嘩になってしまって、長い間交流が無かったのもあってもう戦争直前なのです。
 この人たちの間に入って、お話をつけて欲しいというのが依頼なのです。
 あっ、依頼主は『ねこびと』の黒猫さんなのです」
「どうも、黒猫です」
 ユリーカの後ろからスッと現われた黒猫さんが、すげー普通の言葉で喋った。ネコ語じゃなかった。
「僕は祖父から人間の言葉を教わっていました。祖父は人間とねこびとの通訳だったのです。この技術が活かせて、とても光栄です」
「お役目は『人間側の過激派を抑える』『ねこびと側の過激派を抑える』『両代表の間に立って話を進めさせる』の三つです。
 かたてまで出来ないことばっかりなので、得意な人に任せて分業をオススメするのです!
 よろしくおねがいします!」
「します!」

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:ねこびとと人間の戦争を止める

 現在、
 人間なんて信用できねーっていう『ねこびとの里』の過激派と、ねこびとは人間じゃないから追い出していいっていう『近隣村』の過激派が激突寸前の状態にあります。
 これらに先回りして、『ねこびと』と『近隣村』それぞれの過激派戦闘チームを押さえ込みましょう。
 一方で近隣村の長とねこびとの代表が集まって話し合いをするので、そこに同席して話し合いを進めてください。
 シナリオの性質上メンバーを3つにわけて行動することになるので、パートごとに細かく解説していきます。
 チーム分けは以下の通りです。プレイングや相談の参考にどうぞ。

Aチーム:対ねこびと過激派チーム
Bチーム:対近隣村過激派チーム
Cチーム:講和会議チーム

【Aチーム:対ねこびと過激派チーム】
・推奨PC数3~4人
 ナイフで武装した虎猫(そこそこの戦力)。
 銃で武装した三毛猫(そこそこの戦力)。
 ツメで武装したコブン複数(よわい子たくさん)。
 これらを相手にできるだけ長く持ちこたえてください。
 具体的には30ターンを目安に、できればそれ以上長く、理想を言うなら永遠に。
 そうするとねこびとたちは『こりゃ勝てねえな』と兵を引くでしょう。
 ちなみにこちらから攻撃しまくったら失敗ルートに入る危険があります。ご注意ください。

【Bチーム:対近隣村過激派チーム】
・推奨PC数4~5人
 村から出発した過激派連中を戦闘で倒します。
 彼らは『ネコ死すべし』くらいに思っていて村からも結構な割合で嫌われている人たちです。
 OPでは触れていませんでしたが彼らの目的はねこびとの里を奪って自分たちの土地にすることです。いてもらうと厄介なので、できるだけ倒しましょう。
 不殺は絶対条件ではありませんが、殺さないで置くと講和会議にちょっとしたボーナスが入ります。
 彼らは剣や銃で武装した村人5~6名です。
 個々の戦闘力はほどほどですが、6人がかりで集中攻撃されると流石に酷いくらい方をする筈なので、敵のターゲットを分散させる工夫をしましょう。

【Cチーム:講和会議チーム】
・最低PC数1人~
 ねこびとの里、近隣村(地味にこれが正式名称です)から代表者が会議に参加します。
 ギャラリーにはそれぞれの住民がおり、状況を見守っています。
 イレギュラーズは『ねこびとから依頼された仲介役』として会議に参加します。

・ねこびと側の初期姿勢
 人間とは昔は仲良くしていたので仲良くしてもいい。
 ただし上からこられるとすごく嫌。場合によっては怒る。
 代表者はねこびとの長。灰猫さん。
 最低でも人間との対等な立場を望んでいるが、それが叶わない場合拒絶や争いによる排除を考えている。

・近隣村側の初期姿勢
 ねこびとの里が無くても生活に困らなかったので、特に興味はない。
 ただし得られるものがあるなら(村人の生活のためにも)得たい。
 過激派の考えには『積極的に反対はしないが賛成もしない』くらいの立ち位置。
 代表者は政治マン。基本的に感情論や『おねがい』は通じないタイプ。

 こちらのプレイングはなかなか難しいので、長くならない程度に注意書きを加えます。
・仲介役として重要なのは『場の空気の作り方』です。どんな空気を作るか。どう工夫するかをプレイングに書いてください。
・目的は戦争を止めることです。末永く仲良くすることではないので、着地点は『相互不干渉』でもOKです。仲良く出来ればベリーグッドです。
・役割は仲介ですが、説得や交渉を行なう場面があります。ただしそれらを『実際に述べる台詞として』プレイングに書き込むと十中八九文字数不足で死ぬ上に空振りリスクが高いので、『○○を交渉材料にする』『○○に対して○○になるよう説得する』といった形のプレイングを推奨します。戦闘プレイングに歩き方や武器の細かい振り方を書かないのと一緒です。
・スキルやギフトがあると行為判定時に底値が大きく上がりますが、最後に物をいうのはプレイングになります。本件に限ってはダイス目イコールプレイング、くらいに思っていてください。100点のプレイングは1D100で100を出す行為にあたります。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ネコと和解せよ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月30日 21時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

鏡・胡蝶(p3p000010)
夢幻泡影
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
マスダード=プーリン(p3p001133)
金獅子
ローラント・ガリラベルク(p3p001213)
アイオンの瞳第零席
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
太陽の隣
ルア=フォス=ニア(p3p004868)
Hi-ord Wavered

リプレイ

●ねこびと
 幻想王都からずいぶんと離れた山村と、そこから更にもっと離れた隠れ里。
 その中間にあたるであろう場所を、『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)が歩いていた。
 通り抜ける風に髪の毛先と獣耳が揺れている。
「やれやれ、何処でも血の気の多いやつってのはいるもんだ。大口を叩ける程自信家でも自惚れてるわけでもないけど、今回は余裕ぶらないとね」
 独り言みたいに言ったが、一緒に歩く仲間たちとの会話の流れである。
 隠れ里ってほど隠れていない里に住まう『ねこびと』と近隣村の両過激派によって引き起こされた争いを、その水際で止めるというのが今回の依頼内容である。
 依頼主の名義はねこびとの村長灰猫さん。実質的にはそれを仲介した黒猫さんである。
「全くもぅ……こっちの世界でも人間って傲慢でしかたないわ。けど」
 『木漏れ日妖精』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)のいう『あっち』はおそらく自分が生まれた異世界のことだろうか。
 オデットは人間を排除したがる一部ねこびとの気持ちも分かるようで、それはそれとして争わずにすむならそれがよい、という考えらしかった。
「傷ついたり傷つけたりなんてごめんだわ。そうよね?」
「……」
 ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は黙って首を振った。
 進んで争うひとの気持ちが分からないらしい。
「欲に目が眩んだ人間と言うのは愚かだな……」
 代わりに応えるように、『慈愛の恩恵』ポテト チップ(p3p000294)が武器を装備しながら横に並んだ。
「同じ人間でないからと暴力に訴えるとは……いや、あの手のタイプは、同じ人間相手でも弱者と見れば暴力でどうにかしようとするか。その分相手が強者なら、手のひらを返しそうだな」
 ポテトたちは『対ねこびと過激派チーム』。
 里へ攻め込んできた村人数人(ねこびとたちは人間の軍だと思ってる)に対抗して出撃したねこびとたちと戦い、押さえ込むのが役割だ。
 案内役のねこびとにいわれて立ち塞がる道の中。今まさに戦いに出ようとしている虎猫や三毛猫、そしてその子分たちが現われた。
『なんだおめーら! まさか人類の軍隊か!? もうこんな所まできていやがったゼ!』
 ちょっと訛りの強いしゃべり方をしていたが、とりあえず敵意がむき出しなのはよく分かった。
 三毛猫は銃を、子分たちは爪をしゃきーんと構え、今まさに襲いかかってくる所だったからだ。
 ここは任せて、と前に出るニア。
 揃えてきたソードブレイカーとバックラーをそれぞれ構え、強く握り込む。
「安心しなって、あたしから手は出さないよ」
『うるせー! ぶっころしてやるゼー!』
 それなりの気概があるのか、虎猫さんはコンバットナイフを手にニアへと飛びかかった。
 斬撃をソードブレイカーで受け、突進の衝撃はバックラーで流す。
 虎猫さんは(ネコじゃないけど)ネコとは思えない動きで連続斬撃を繰り出したが、そのことごとくをガードするニアにどこか焦りの表情を見せていた。
「この先に進むのは諦めな!」
『こいつ、メチャクチャにガードが硬いゼ! ……仕方ねえ! コブンたち、こいつは俺に任せて、他の奴をやれ!』
『ヘイ!』
 ニアの挑発や誘導をすり抜けて子分たちが襲いかかったのはココロだった。
『くらえにゃー!』
「――」
 ココロは自身にクイックアップをかけると、コブンの攻撃を回避すると、マジックガンを零距離で押し当て、引き金をひいた。
「飛んでけ!」
 非殺傷性の魔術が吹き出し、コブンが吹き飛ばされていく。
『さすが人間の軍隊だわ。アタシも本気を出さなくっちゃね!』
 三毛猫さんが銃をしっかりと構え、ココロへひたすらに連射してくる。
 ココロは木々の間を駆け抜けるようにして回避を試みるが、三発目にして直撃を受けてしまった。
 肩に着弾。衝撃で転がる。
「妖精が味方してるのよ? 私たちが倒れるわけないじゃない?」
 オデットが癒やしの歌を奏でるとココロの痛みがすっと引いていった。
 それだけではつらそうだったので、翼をぱたぱたとやって緑の光を浴びせていく。
「これぐらいの傷、なんてことないわ。そろそろ攻撃しすぎで疲れてきたんじゃない?」
『うるせー! やっつけてやる!』
 爪を立てて群がるねこびとたち。
「いい加減にやめたらどうかしら? 私たちはあなたたちを傷つけようと思ってるわけじゃないし、それは十分に証明されてると思うけど」
 ココロの言うとおり、ねこびとの一部は既に疲れ始めているようだ。といってもかなりはじめのあたりで通常攻撃しか振り回さない状態になっていたので、手詰まり感が出ているようだ。
 ならば、とポテトはニアのそばに言ってブレッシングウィスパーを施してやった。彼女の硬い防御を維持し続けるためだ。さらにライトヒールを施して、手詰まりな状態を引き延ばしていく。
 硬い防御とそれなりに厚い回復。加えてAP補充を施したことで戦いはかなりの時間続くことになった。
 どれだけ殴っても壊れない壁があったなら、人は迂回を選ぶものだ。その壁が勝手に動いて阻み続けるなら、一度帰るのが自然な流れとも言える。ねこびとたちは長い運動から勝手に疲れていき、一方で長い間防御だけをし続けていたポテトたちも(HPAPとは別の意味で)疲労がたまってきた。
「話を聞いてくれないか」
 ポテトは互いにぜーぜー言ってるねこびとたちにそう語りかけ、怒りと思いを理解出来ることや、これから先のことを考えて欲しいという意志を伝え始めた。
 ココロはココロで、一旦和解をして戦う準備をして、勝つ自身ができるまでチャンスを待った方がいいという話をしたが、そもそもねこびとたちは今現在襲撃してきている人間の迎撃と防衛が目的だったので、論点がちょっとズレてしまったところがあったようだ。とはいえ言わんとすることはわかるので(人間を信じないまでも効率的に戦力を温存できるメリットがあるという意味で)三毛猫さんたちは矛を収めてくれたようだった。
『でも俺たちは人間たちを信じちゃいねーゼ。他のチームっていうのが本当に人間の軍隊を倒せるのか、俺には疑問だゼ』
 虎猫はそういって、パイプをくわえた。

●にんげん
 ねこびとの過激派たちを押さえ込んでいる一方そのころ。
 『対近隣村過激派チーム』は両土地の中間に陣取って村の過激派連中を迎え撃っていた。
「そこをどくんだな。俺は今から広大な土地を耕し巨大な富を得る。村は発展し、俺は尊敬される。そのサクセスを拝むチャンスをやろう」
 どこか尊大に言い放つ男は、村の過激派リーダーだ。
(全く、侵略だとか無駄に争いの種まくようなのは人でも獣でも神様でも好きになれないわね。争いは争いしか産まないし、……まぁ、こんな世界じゃ日常茶飯事かしら)
 『夢幻泡影』鏡・胡蝶(p3p000010)はどこか色っぽく首を振った。
「いい女だから見逃してやろうと思ったが、それなら仕方ない。容赦はしないぞ」
 男たちが広く展開し、それぞれ銃や剣を構えた。
 『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)も対抗すべくナイフを抜き、ぐるぐると肩を回す。
 モチベーションの源はネコをひたっすらもふもふすることである。ねこびとがそういうの嫌がるかもわかんないので配慮込み込みの話だが、夢と空想の中くらいは好きにもふってもいいはずだ。あとやる気も出るし。
「命は奪わないけど、痛い目にはあってもらおうかな!」
「個人的にはお前らみたいなの嫌いじゃねーけど、わりいな。ぶっ殺すぜ」
 『金獅子』マスダード=プーリン(p3p001133)がこきりと首を慣らした。
「殺さない方向でね」
「殺さない方向でぶっ殺す!」
 剣を抜いたマスダードに、男たちにも緊張がはしっていた。
 いまからねこびとの里に侵略しようって時に人間が割り込んできたので、『人間じゃないからいいや』の思想でやってきたタイプの何人かが躊躇しているのだ。
 『本当にやっていいの?』という視線を交わし合う彼らに、ルア=フォス=ニア(p3p004868)が堂々と言い放った。
「己が利益の為にネコを害す者、須らく天罰を受けるべし……」
 本当なら脳内に直接言って驚かしたかったが、混沌世界ではそんなに珍しい技術ではないし、相手が受け付け状態にないと脳内会話が成り立たないので今回は使えなかった。ケータイかけたら切られたようなもんだと思ってほしい。どっちみち、ノーリスクノーデメリットである。
 ルアはガンウォンドを引き抜き、近距離戦闘の構えをとった。
「やる気だな。よおしお前ら、相手が誰だろうと関係ねえ。邪魔する奴は敵だ、やっちまえ!」
 リーダーにせかされるようにして(なかにはノリノリな者も含めて)、過激派メンバーたちはルアたちへと襲いかかった。
「汝等、因果応報という言葉は知っておるかのぅ?」
 乱発される銃撃を走ってかわしながらマジックロープの魔術を発射していくルア。
 そこに詰め寄った男が繰り出した剣がルアを切りつけるが、至近距離で威嚇術を発射することで打ち払った。
 相手の腹に銃口をあて、トリガーを引くのみである。
 一方で、胡蝶やフェスタたちはガチガチのインファイトに発展していた。
 マスダードの剣が相手の男とぶつかり、鍔迫り合いの状態から押しては押されの拮抗状態にもつれ込む。
 マスダードは好戦的に笑って相手を蹴りつけ、優勢へと転じた。
 一方でフェスタは乱発される銃撃に晒されながらも、余裕そうな表情を作って相手を挑発していた。
「ほらほら、こっちだよ? こっちにもいるよ? ちゃんと狙えるかな? かな?」
 集中攻撃を受ければ余裕でもいられなくなるが、敵の攻撃が分散したおかげで自力の回復でなんとかもつ程度にまで抑えることが出来ていた。
 自分めがけて飛んでくる弾丸をナイフで無理矢理弾いて、深く息を吸う。
 相手の男たちはムキになって攻撃し、フェスタはその個人を煽ることに集中していった。
 戦闘はなんだかんだで激しくもつれ、どちらにも決定的なリカバリー手段がなかったことからお互いをごりごり均等に削り合う戦いが暫くの間続いた。
 しかし最後に勝負を決したのは、戦う相手が分かっていてカウンターできた胡蝶たちの方だった。
 リーダーの男を組み伏せ、寝技に持ち込んで腕や足をきめる胡蝶。
 一方でフェスタは相手の男を殴りつけ、ひたすら平手打ちをして黙らせた。
 そのまた一方でルアは非殺傷タイプの魔術を至近距離で連発し、相手をノックアウトした。マスダードは何かがエスカレートして本当に殺してしまいそうだったが、実力差の問題からルアが横からフォローアップして殺さずに倒すことができたようだった。
「血の気が多いわねぇ。ただ血を見たいだけなら、今ここで全部流してあげてもいいわよ? 貴方達のを、ね」
 きめた肩関節をさらに引っ張るようにして痛めつける胡蝶。
 過激派リーダーの男は悲鳴をあげた。
「奪わなければ滅んでしまうなんて事情があるならともかく、ただ得があるかも程度の略奪侵略は、後々痛いしっぺ返しがくるものよ。貴方達はよくても……村の人や、貴方の一族子孫に。過去に交流もあった彼らに対して自分達は交流してないからっていきなり侵略は無礼で義も仁もない野蛮な行動に他ならないわ。お互い理性があって、会話もできる知的生命体なんだから、暴力よりもまずは礼儀を持って相手を知るところから始めましょうよ。あと、非礼の謝罪もね?」
「クソッ、う、うるせえ……! 俺をばかにしやがって……ぶっ殺いてててて!」
 説得の方向が主に未知論証や道徳的誤謬を含んだ根拠とローデットランゲージによるレトリックにシフトしたようで、かえって相手の自尊心を煽る文脈になり相手リーダーは逆上したが、どんなリアクションをしようとも完全にこちらが武力的なマウントをとっているのでダメージはなかた。過剰な例えかもしれないが、戦争の大部分は終結し降伏条件の話し合いに発展した状態である。
「因果応報とは、良い方向にも使う言葉じゃ。その意味、良く考えるんじゃな」
「暴力で無理やり奪い取ろうなんて、危険だよ? お互いに傷ついちゃう。もっと思いやりを大事にして欲しいな」
 相手のリーダーはぐうのねもでず、ただ黙るしかなかった。

●講和会議
 暫くした後、灰色ねこびとと近隣村の村長がそれぞれ卓につき、話し合いの場を設けることになった。
 場を荒らすリスクになるということで過激派のひとびとは出席せず、いわゆる『その他一般』の両住民たちが卓を挟んだ両側の席に座っている。
 それらの中心。つまり卓の中央には『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)と『GORILLA』ローラント・ガリラベルク(p3p001213)がそれぞれ座っていた。
 静かな空気の中、厳かに話すローラント。
「見ての通り、私はヒトでもネコでもない。ゆえに、ヒトであろうとネコであろうと、私はどちらに対しても過度に味方するつもりは無い。種族的に公平な立場でもってこの場に立ち会わせていただこう」
 それに頷いて、サンディが場を仕切るように切り出す。
「俺はサンディ、こっちはローラント。ねこびとに依頼された仲介役だ。肩をもつわけじゃないが、俺たちの目的は戦争の回避だ。それは、この場が設けられたことで半分以上は達成されてるものだと思う。どうかな」
 村長と灰猫さんをそれぞれ見ると、彼らは『同意する』という声明をそれぞれ発した。
 というのも、ねこびと過激派たちが一切のダメージを負うこと無く帰ってきたことや、村の過激派が誰も死なずに帰っていたこと(そして面目が潰れて黙ったこと)から、それぞれが争う根本的理由が消失しただめである。
 ある意味、この時点でイレギュラーズたちの依頼内容は達成されたようなものだった。

 余談というか、別枠の話。
 サンディがなんやかんやで調べたところによると、近隣村とねこびとの里にかつてあった交流というのは『なんだか気分的なもの』であったらしい。
 別にお互い土地は足りていたし、それぞれ自給自足が成り立っていたので、たまに適当に贈り物をする程度の公的な付き合いをしていたそうだ。
 勿論個人的に『ねこびと大好き!』て人は居たらしいし、逆もしかりだった。
 だがあくまで形式的なものだったために形骸化し、それすらも風化したことで交流が断絶し、それらを知らない世代が王都の華やかさにあてられる形で過激な侵略という発想に至ったということらしい。
 ねこびとの作るものに対して通常を上回る商品価値があるかどうかも調べてみたが、『なくはないけど開発にあたる初期費用を要する』ということだった。
 ノウハウを確立したりルートを構築したりその他諸々の色々である。『ねこびとが作ったお酒』とか売ったとしても偽商品が簡単に作れてしまったりとか、そういうマイナス面のリスクもあるそうだ。
 なので総合すると、ねこびとの価値は『なんか可愛いこと』と『開拓済みの土地があること』くらいしか見つからなかったのだ。
 ……ということで、サンディはちょっと困った。
 過去の交流を復活させてもまた形骸化するサイクルが見えるからだ。
 村長側もそれを分かった上で『お祭りを開いて友好の証としたい』と話したり、灰猫さんも『お互いの境界線を決めるべきだ』と話したりしていた。
 そんな前置きの上での、講和会議なのである。

「ヒトに害を与えたわけでもないネコたちに対し攻撃を行なった、ヒト側の謝罪。まずこれがなくては、ネコ側もおさまらない」
 ローラントはそのように切り出し、村長に謝罪を求めた。
 というのも『イレギュラーズというちょっと特別な立場の人間たちから悪印象を受けるとよくないよ』という意味を潜ませての要求だ。(ねこびとの里を焼く依頼とかだったら普通に焼いてた可能性もあるので)強制力はあまりないのだが、わざわざ敵を作ってもしかたないという理由から村長はこのように発言した。
「村を代表して、村に住む者が過激な行為に出たことを謝罪する」
 暗に『ヒト側の謝罪』という規模をスルーしたようだ。人間を代表した場合、謝罪に対する大規模な要求が出ることを避けようとしたのだ。
 対して、灰猫さんは互いの境界線を決め、その中央で定期的な催しものをして友好をはかろうという提案をした。
 両代表はこれに合意して、互いに深く干渉しない関係を作ることを決めたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズの皆様。
 両団体に死者を出すこと無く、戦争を長期的に回避することができました。とても立派な功績でございます。
 そのうえで、皆様の決めた最終的な着地点にたどり着くことが出来たのは、とても素晴らしいことですよね。
 この度はシナリオにお越し頂き、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。

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