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シナリオ詳細

<魔法少女への道>「魔法少女」を求めて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●魔法少女の選抜
「うわーっ、泥棒だー!」
「へへっ、いただいていくぜ!」
「つかまえてーーー!」
 店先から品物を持って走り出す泥棒を、魔法少女「ギルティ―♡リア」が一撃のうちにのした。
「他愛もない、この程度か」
 ため息をつきながら、リアは思う。
 どうしてこの世から悪がなくならないのか。
 いや、悪が生まれるのはきっと仕方のないことだろう。
 それなら、悪に苦しみ、傷つく人々がいなくならないのはどうしてだろうか?
 それは……「きっと、この世界に魔法少女が少ないからだ」。
 この程度の悪ならば、対処できる。
 しかし、もっと強い悪がやってきたら?
 いや、この程度でも、だ。たまたま自分がいなかったら?
 魔法少女「ギルティ―♡リア」は思う……。
 もしも、もしも。もっと、「魔法少女」がいてくれたら。
 もしも、心強い仲間がいてくれるのなら。
 そうしたら、自分も――。
 いや、よそう。考えるのは。
「ありがとうございます」
 泥棒に突き飛ばされたこの女性の腕はか弱くて、知らず、リアの手に力がこもった。
(それが……必要なことなら……儂はためらったりはせん)
「? え……」
「お主、良い素質をしているな。魔法少女になれ」
 女性は、強制的に光に包まれていく――。
 現れたのは、一人の魔法少女。
 成功だ。そう思った。
 もっと、もっと、世界を魔法少女で満たそう。

●人を魔法少女にするなんて!
「ひどいでち! 人を無理矢理魔法少女にするなんて! ゆるせないでち! 非道でち!」
(あれ……?)
『魔法少女(?)マジカル★カルマ』カルマ・モンクスフード(p3p009282)の頭に疑問がよぎる。
 騙されて……いや「力が欲しい」と言ったのは自分で騙されてはいないが、魔法少女として働かされているのとはどう折り合いをつけたものだろうか。
 むやみやたらに「適正のないもの」を勧誘し、魔法少女の道に誘いまくっていたリア。
「適正のない人まで勧誘するから、みるでち! 魔法少女候補生たちが、力を持て余して暴れているでちよ!」
 たしかに、リアに分け与えられて、魔法少女の力を手に入れた。
 だが、適性はなかったのだ。
 だが、ただ少し不注意で人にぶつかっただとか、ポイ捨てをしただとか、そういった程度の人間を囲んでファンシーな杖で殴りつける始末だ。
「のこのこときおったな、クローバー! もう遅い。この一帯は儂が魔法少女をスカウトしまくったからな! 貴様の出番などはない!」
「こんなの、こんなの魔法少女とはよべないでちよ!」
「……たしかに、過ぎた力かもしれん。しかし、世の中が全員魔法少女になれば、人々はもっと平穏に生きられるはずじゃ。……嫉妬とは醜いな、クローバー!」
「ひどいでちよ! レガリアちゃん! どうしてそう敵視するでちかあ! レガリアちゃんは(弄りがいのある)友達……じゃないでちか!」
「儂は貴様だけは許さんぞ! クローバー! 貴様だけは……絶対倒してやるのじゃ!」
 カルマは攻撃する。
 しかし、不可思議なフィールドが展開し、攻撃ははじかれる。
「攻撃が……通用しませんね?」
「そうでち! 暴走した魔法少女は魔法少女によってしかたおせないでち! ……いつものように、変身するでちよ!」
 やっぱりそうなるよね。
 人々の笑顔のためならば。
「宿業装着!」
 カルマは自棄になって叫んだ。キラキラとした魔法少女の衣装がカルマを包み込む。
「さあ! みんなも変身するでち!」

 GET IT!
 ちょうど良く、マジカル☆ミラージュ……変身アイテムがあったのであった。
「選ばれた魔法少女であるみんなであれば! ちゃんと変身できるでち!」

GMコメント

リクエストありがとうございます!
ひよこさんから変身アイテムを借りてきました。愁GM、ありがとうございます。

●目標
・魔法少女「ギルティ―♡リア」を倒すor説得する
・暴走させた一般人を元に戻す!

●状況
舞台は幻想です。
魔法少女「ギルティ―♡リア」がそそのかし、暴走させた一般人が、我を失って暴れています。
適性がなく、魔法少女にはなれず中途半端な変身となっています。しかし、「ホンモノの」魔法少女であれば攻撃が通じ、元の状態にもどすことができるでしょう!
さあ、レッツ変身!

●登場
魔法少女「ギルティ―♡リア」
「貴様なんぞに……魔法少女が務まるかぁ!」
 ほわほわピンクを基調にした魔法少女です。
『魔法少女(?)マジカル★カルマ』カルマ・モンクスフード(p3p009282)さんの魔杖「マジカル★クローバー」を敵視しているようです。
 人々を混乱に陥れていますが、その様子はどこか必死です。元凶ですが、大けがをしないように気を配ってはいるようです。
 どうやら「魔法少女」を探しているようで……。
 戦いつつ、真摯に人を助ける魔法少女の姿を見れば、とりあえずのところは改心してくれそうです。

一般人×20程度
 老若男女すべて中途半端な変身をしています。適性がないのに、無理に変身しようとしてしまった魔法少女です。悪に過剰に反応し、ポイ捨てなどの少々行儀の悪いレベルの一般人をこらしめたりしています。

●練達アイテム『マジカル☆ミラージュ』
 ひよこさんから借りてきた変身アイテムです!(『再現性東京2010:子供たちの夢を守るのは(愁GM)』参照)
 純正品なので安心ですね。
・魔法少女のお着換えができ、武器もそれっぽいものになります。スキル発動の際も魔法少女っぽくなりますし。
・既に変身バンクやギフトなどで魔法少女になれる場合はちょっとゴージャスでスペシャルな感じになります。
・上記のいずれも装備やスキル、威力などはステータスシートが準拠されます。
・小さなマスコット的存在が1体まで『任意で』付属できます。これはファミリアーに近い存在であり、戦闘はできません。また主から離れることもできません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <魔法少女への道>「魔法少女」を求めて完了
  • GM名布川
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月12日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)
石柱の魔女
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
ドゥー・ウーヤー(p3p007913)
海を越えて
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
テルル・ウェイレット(p3p008374)
料理人
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
目的第一
カルマ・モンクスフード(p3p009282)
魔法少女(?)マジカル★カルマ
※参加確定済み※

リプレイ

●魔法少女の準備はいい?
 暴れる魔法少女たち……。
 彼女たちを止めるのは、魔法少女でなくてはならない。
 魔法少女とならなくては、この事態に対処することはできないのだ。
『いくでち! カルマ! 準備はいいでちか!?』
 よくない。
 と、言えたらどんなに良いか……。
「……正直、関わり合いたくないのだが……だけど民が混乱するような事態は魔法少女であろうとなかろうとおさめなければならない」
『魔法少女(?)マジカル★カルマ』カルマ・モンクスフード(p3p009282)の頭で、ウサ耳が揺れる。
「……それに……俺にはリアさんも……助けを求めてる様に見える……だから助けたい……」
『カルマ! 良く言ったでち! それでこそ魔法少女でち! もう立派な魔法少女でちね!』
(……魔法少女じゃないやい……)
 内心反論しつつも、もうすっかりこなれた変身動作は身についている。
 魔杖「マジカル★クローバー」を振り上げ。
「宿業装着……マジカル★クローバーパワー――メイクアーップ!」
 一瞬、肌があらわになり、不思議な明滅が繰り返されると、そこには、立派な魔法少女の姿があった。
「魔法少女マジカル★カルマ……推参!」
『仲間が、次々と集ってるでち!』

 にゃあ、と小さな猫のマスコットがホワイトハープを差し出した。
『もふもふねこ巡り』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)の耳元で、星型の耳飾りが揺れる。
 まばゆい輝きに包まれて……。
 背中の魔術紋だけが浮かび上がる。
 銀糸のセミロングの髪が揺れる。
 興味への道しるべが、今。まっすぐに、魔法少女への道を指し示す。
「叶える願いは僕が決める……術紋魔法少女、ヴァッペン☆ヨゾラ!」
 純白の竪琴が美しくステッキに姿を変えた。ホワイトハープステッキシュテルンを手に、術紋魔法少女ヴァッペン☆ヨゾラが現れる。

「魔法少女ですか……言ってることややってることは独善的な宗教家みたいですがきっと恐らく魔法少女なのでしょう……多分」
『石柱の魔女』オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)の石壁結界が、暴走する魔法少女の攻撃を防いだ。
 くいとメガネをかけ直し、冷静に変身バンクを取り出した。
 長い髪がツインテールに結われていく。
 かわいらしいリボンが、花咲くように衣装を彩る。小さな宝石がコロリと転がってきて、胸元を飾った。
「魔法少女トシマ☆デスガの清楚担当デッドブルー・ステラがお相手しますよ。絶望の青より深い心を持つ私がマジョっと成敗しちゃいましょう☆」
 スカートを翻し、ごてごてのポーズを決める。
『くっ、こんなところに逸材がっ……!』
(……ふふーふ。少し恥ずかしいですが一度決め台詞的な感じで言ってみたかったのですよね)

 美しい羽が、自身を抱くように『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)を包み込む――!
『ごめん親父……お、俺ぇ゛男なのに魔法少女になっちゃうよぉ゛……!!』
 虚の嗚咽が響いていた。
 もうひとりの人格、稔はといえば――。魔法少女になること自体に異存はない。こだわりがあるとするならばその美しさについてだ。
「そこの小動物、何だこの格好は!? 俺の美しさが損なわれているぞ!!」
 顔を隠すような黒を基調にした衣装……。目立たぬ黒は少々不服である。その声に応えるように、鮮やかなオレンジの裏地が燃えるように映えた。……これでいい。これならば舞台に立てる。
 スポットライトが、Starsを照らした。
「身も心も魔法少女になる。虚(俺)は変身と同時に死んだ……今は熱血魔法少女Tricky☆Starsだ!」
 力技でねじ伏せるだけが魔法少女ではない。
「愛と勇気で、暴走した人々を救ってみせる!」

『さあ、変身するでちよ!』
『海を越えて』ドゥー・ウーヤー(p3p007913)は、黒い羽の小さなブローチを渡される。きっと、凄い魔術道具なのだろう。そう思い、ぐっと掲げると、まばゆい光があふれ出した。
 気がつけば、ふわふわとしたゴシック・ロリータな衣装に変わっている。
「この光景は何かの間違い……? 確かに凄いけど、何か間違えてる気がするよ?」
「問題はない」
「大丈夫ですよ」
 デッドブルー・ステラとヴァッペン☆ヨゾラが手を差し伸べる。
 ドゥーはぱちくりと瞬いて、ぎゅっとブローチを握りしめる。
 魔法少女のことは、よく分かってないけど。
(被害がどんどん出ちゃう。頑張ろう……)
 Starsの黒とはまた違う。潜むような、影のようなスカートが広がった。
 魔法少女、ブラック☆レイブン。これでいいかな、とちらりとStarsを見ると、Starsは頷いた。きれいな羽だ、とドゥーは思った。

「魔法少女……僕男ですって突っ込んだらダメ……ですよね知ってます」
『鏡面の妖怪』水月・鏡禍(p3p008354)はぶんぶんと頭を振った。
「あー、もぅ、やらなきゃいけないならやりますよ!」
 鏡禍は可愛らしいコンパクトをぱかりと開く。そこには、鏡禍は映っていない。
 けれど、その代わりに……。
「鏡面変化!」
 鮮やかなエフェクトとともに、鏡禍の姿は鏡へと移った。鏡の中で、プリズム・キョウカは次々と変身を遂げていく。インクを垂らしたように黒と紫の色が広がり、振り返れば鏡の中でミニスカートが揺れていた。
 一通りの変身が終わると、鏡の中から、鏡禍が姿を現した。ロングブーツからは絶対領域が覗く。銀の水鏡は、きらりと輝く杖となる。
「変化完了です。鏡の国からやってきた魔法少女、プリズム・キョウカ。精いっぱい頑張ります」

 次々と見事な変身を遂げる仲間たち。
『料理人』テルル・ウェイレット(p3p008374)はぎゅっとスカートのすそを握った。
(……正直魔法少女になるのは抵抗がありますが、それはそれとして楽しそうと思うのはまだ私の心が幼稚だからでしょうか)
 だけれど、少し恥ずかしい。テルルをはげますように、異空間から現れた隣人さんがマジカル☆ミラージュを渡す。
「隣人さん、杖を持ってきてくださってありがとうございます。……貴女が何かを考えているのは分かりますが、無辜の人々を巻き込む事はいけない事です」
「儂を止められるか、面白い……!」
 杖を振り上げると、粒子が舞った。粒子は先からとんがり帽子へと変じ、きらきらと形を彩っていく。
「ウィッチガール☆ティア、参上です!」

「ウオオオオオ」
 押し寄せる暴走魔法少女たち。その前に立ちふさがる台形の影があった。
『期間限定マチョマチョ☆プリリ』マッチョ ☆ プリン(p3p008503)が、変身バンクを掲げていた。
「イクヨ、マチョ!」
 小さな羽の付いたプリンの妖精さんが、喋り出す。
『オッケイッ! マチョプリ☆アップット』
 ピカリ☆と目立つ、プリンのメット!
 一目置かれる、マッチョ柄のシャツは、大きな音を立ててワンピースへと変じる!
 くるりと回ったマジカル☆ミラージュ。きらきらとしたチョコスプレーと、山もぉり☆プリンがあたりを覆いつくした。
 キラッキラ☆のお星様が降り注ぎ、可愛らしいリボンがマチョプリを彩り、出来上がり!
 おなじみ、♪スーパープリン☆フォースの曲が景気よく流れ出した。
「プリン☆ストラァァァイクッ!」
 空に放たれた必殺の一撃。そこにあったのは……魔法少女マチョママチョ☆プリリの姿だ!
「プリンを愛するマッチョな戦士! 魔法少女マチョママチョ☆プリリ! ここに見参!」
『だマチョ!』

●8人の魔法少女たち
 魔法少女を増やすというリアに、「何言ってんだコイツ……」とあきれる稔。
 一般人に襲い掛かる魔法少女たちの攻撃は、過激さを増している。
「こちらにかまっている暇があるのかのう、クローバー!」
 カルマは一瞬、仲間たちを振り返ったが……。
「俺に……俺たちに任せておけ!」
 Tricky☆Starsが輝いた。
「頼んだ……!」
 リアの攻撃の矛先は、あきらかにカルマ……というよりはカルマの持っている魔杖に向かっている。
「……明らかにリアさんの狙い、お前だしな……何やったの?」
『心外でち! 我とレガリアちゃんはズっ友の仲良しでちよ!』
「ぐぬぬぬぬぬぬ!!! どうして、どうして貴様ばかりがそうやって……!!!」
『! 大ぶりの攻撃……チャンスでち!』
 魔杖「マジカル★クローバー」がひらめいた。
「マジカル★アックスボンバー!!」
 魔法と物理が一体となった強烈な一撃が、リアに炸裂する。
「ぐっ、少しはやるようじゃのう!」
『どうしてそう攻撃してくるでち?』
(ひとりじゃ、危ない……か?)
『テルルさん、私はカルマさんのサポートをします……!』
「はい!」
 デッドブルー・ステラが呪文を唱えると、近くの石のレンガが飛んで壁を作る。
「ううう、やっかいな……! だが、これはどうじゃ!?」
『魔法少女たるもの無茶はいけませんよ』
 ステラの回復と防御に背中を預けるようにして、カルマはリアに狙いを定める。
 倒してしまう気はなかったけれども、それでも。話を聞いて貰うためには、一度、決着をつける必要がありそうだった。

(マナーが悪いとはいえ、さすがにやりすぎです……まずは、守らないと)
 プリズム・キョウカは民衆の中に、わが身を顧みず飛び込んでいった。
「……馬鹿な、私たちの攻撃を、止めた!?」
「プリズム・キョウカ。皆さんがケガをするのを、黙ってみてはいられません!」
「がんばれがんばれっ!」
 コンパクトの中から、ツインテールのキョーカが応援してくれている。
「皆さんさすがにやりすぎです! いくらなんでも限度があります」
「いやよ! 悪人を懲らしめられないなんて、魔法少女じゃないわ!」
「そうだ! そうだ!」
 民衆は歪んだ魔法少女像にとりつかれているようだ。
「やめないというのなら、彼らは僕が守ります、僕が倒れるまで皆さんには指一本触れさせません!」
「ううん、私たち、よ!」
「……! プリリさん!」
「ウィッチガール☆ティア、力を貸します!」
「……! ティアさん……」
 仲間たちが、すぐ側にいてくれる。
 神子饗宴。自らの力を、仲間へと託す技だ。
「もう大丈夫! だってプリリが来たからね!」
 プリリのプリン☆クリスタルが、ぴかぴかと輝き強い光線となった。
「私達の前で、悪は許さないからね!」
 プリリの攻撃は、ぷるんぷるんと人々の攻撃を打ち消していく。
(味方を癒して敵だけを攻撃する技……今! ここにいるのは魔法少女と、守るべき人たちだけ! だから……)
『プリリ、いけるマチョ!?』
「うん! この、スターライト☆フェザーが攻撃する敵は……貴方達の『攻撃』だけだ!」
 プリリの光線が、魔法少女たちの武器をなぎはらっていった。
「よし、僕も加勢するよ。ヨゾラスペシャル☆ファーストバスター!」
 壱式『破邪』がそれに加わり、邪悪な気配のみを消し飛ばす。
「! させるかっ!」
 Tricky☆Starsは、逃げ遅れた人々を庇った。
「……今のうちに、早く!」
「Tricky☆Stars様……っ」
 自分の身よりも、周りを癒す大天使の祝福。キラキラと輝く横顔はあまりに美しいもので、民衆を魅了する。
(私の腕ではしっかり当たるか不安です)
 ティアはぎゅっと杖を握りしめ、掲げる。神気閃光は、人々の目をくらませる。
(この方達は無関係な方、傷なくお返しできる様心を落ち着けて)
 自分の身よりも、人々の方が心配だ。
「もう反省してるんじゃないかな?」
「ヨゾラさん……。うん……そうだよね。無事に、日常に返してあげたい」
 相手が向けるのが力に任せた攻撃でも、ドゥーは威嚇術の方を選ぶ。
 痛くたって、反撃はしない。
 気絶した一般人を優しく揺り起こし、ドゥーは「よかった」と呟いた。前髪の奥の視線にどきりとする。
「ポイ捨てとか、そういうのもだめだからね」
「もうそういう事はしちゃ駄目だよ? 痛い目に合う事もあるから……ね」
 ヨゾラのハイ・ヒールが傷を癒やし、ゴミを投げ捨てていた男は恥ずかしそうにうつむいた。
「ここは危ないから逃げてね」
「ありがとう。あんたたちのその恰好は……っていうか魔法少女って……」
「気の所為だよ……?」
「……そうか!」
「逃げて、ください。いまのうちに!」
 キョウカのノーギルティが、襲い来る魔法少女を気絶させていく。

●VS「ギルティ―♡リア」
(ギルティーさんは、カルマさん達が応戦してくれてるけど、皆の説得に応じないなら倒すしか……)
 ティアは不安そうにリアと、交戦する仲間たちを振り返った。わかり合えるだろうか。……きっと、大丈夫だ。大事にならないように、手加減しているのを感じていたから。

「そこか!」
 リアの放った一撃は、たしかに何かを崩した。だが、もろすぎる。土煙の中、現れたのは小さな像だった。
『当たってください……マギ☆シュゥーーートッ!』
 ステラの一撃が、リアを打ちのめす。リアが大きく姿勢を崩した。
『いくでちよ、カルマ!』
「怒りの嫉妬★ビーム!」がリアをなぎ払う。リアもまた同じような攻撃を繰り出していたが、競り合って打ち消されたのはリアの方だ。
(どうして、どうしてどうしてどうして! 貴様は持っている……!?)
 そこへ、鎮圧を終えた仲間たちが駆けつけてきた。ヨゾラのサンクチュアリが、こちらの有利を確かなものと見せつける。カルマは体勢を回復し、まだ戦えることを示した。
「ぐぬぬ、なぜじゃ……! なぜ儂は勝てんのじゃ……」
 歯がみするリア。その瞳には……焦りと失望が浮かんでいる。
「とどめを刺すか、クローバー」
『? なんででち? 別にレガリアちゃんをいじめる趣味はないでち』
「こ、こんの……!」
『人々を苦しめている今の貴女は魔法少女失格です。思い出してください……皆さんの笑顔を。貴女の「正義」を!』
「ああ。そうだ。自分の正義を振りかざす奴なんざ魔法少女失格だ!
お互いを信じられなくなって、疑心暗鬼のまま生活してたら一生平和なんて訪れない。それでいいのかよ!?」
 ステラとStarsの呼びかけに、リアの胸の内にあった”役に立ちたい”という思いが反応する。
「こうやってボロボロになってでも誰かを護るのが魔法少女ではないんですか? そのはずなのに傷つけてしまったら意味がないです」
 キョウカがゆっくりと首を横に振った。
「貴女が何かに焦っているのは分かります。
それでもこのような事をすれば、排斥されることは分かっているでしょう?」
 魔法少女ティアが手を差し伸べる。
「負の感情も多発、死ぬ魔法少女も出る。僕は……そんな望みは叶えたくないなぁ。きっと、君の本当の望みは違うんじゃない?」
 ヨゾラの言葉に、リアはうつむいた。
 その通りだった。
『魔杖「ギルティ―♡レガリア」よ……どうしてこんな事をしたでちか?』
「クローバー……儂の、本当の望みは……」
 武器であるレガリアの望み。それは、クローバー同様、自らを預けられる魔法少女を見つけ、自身を託すことだった。けれど、今のレガリアは魔法少女だ。……武器ではない。主と定める魔法少女が欲しかったのだ。
 だから、魔法少女を増やしていた。
「……魔法少女をむやみに増やすのは、きっと得策じゃない」
 ヨゾラが優しくリアの肩を叩いた。
「魔法少女=力を持つ存在だらけになれば、争いたくない子がいたとしてもほぼ間違いなく魔法少女同士の争いになってしまうよ」
「……そうだな。儂のやり方は、性急に過ぎた……儂はただ、誰か……意思を持った誰かが、魔法少女になってくれる人が欲しかっただけ、なのじゃ」
「魔法少女っていうのは誰かを助ける存在なんだよね
それなら俺達が頑張るよ。
大丈夫だから、信じて!」
 ドゥーが言った。
「……!」
「それを分かってもらうためにもお話しをしませんか。話しやすい様、美味しいお茶とお菓子も用意しますよ」
 ティアが微笑む。
「俺も微力ながら協力しますよ」
 カルマはまっすぐで、どこまでもまっすぐで。
「……貴様のパートナーにしておくのがもったいないほど、できたやつじゃのう」
『ひどいでち!』
「悩みの解決の為に、何かできることがあるなら」
 それは、魔法少女としての誓いだ。
「ポイ捨ては確かにいけないことだ。でも、そういう間違いは誰にだってあるさ…今度からは正しい行動をしてくれるって信じよう。信じる心、誰かを想う気持ちの大切さを教えるのも魔法少女の役目だもんな」
 Starsが手を差し伸べる。
「リア、俺達はもう君の仲間だ。大変なこともあるけど、これからも一緒に頑張っていこう……!!」
「いい、のか?」

 降りてきたリアと、ステラは友情の握手を交わした。
「ふふーふ。わかり合えましたね」
「こ、こんな目立つ格好したことないから緊張した……」
 ドゥーは所在なさげに服をぽんぽんと叩く。まだスースーするような気がした。
「でもリアさんが悪い人じゃなくてよかった」
「……俺も、いざという時誰かの力になれるようもっと強くなりたいな
できれば魔法少女じゃなくて普通の魔術師として……!」
「じゃあみんなでプリン食べよーよ!」
 プリリがウィンクする。いつのまにか、人数分のプリンが並んでいる。
「甘い物取って、お腹一杯になれば!
みんなハッピーだよね!」
「よかったですね。でも、ティアなんて存在知りません!」
 すっかり戻ったテルルは顔を真っ赤にして手で覆っている。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

集いし8人の魔法少女の懸命な姿を見て、リアも改心したようです。
人々を守り、悪をくじく、立派な魔法少女を目指して、これからも……!

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