PandoraPartyProject

シナリオ詳細

全力で魔法少女になりきらないと出られない部屋

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●町はずれの洋館の噂
「ねぇ、知ってる? この町のはずれにある大きくて古い洋館の話……」
 ホラー小説やホラーゲームで良くある話だ。町から外れた大きな洋館には、お化けが出るという噂がある。そして、まるで決まったかのように洋館へ向かった人は帰ってこないのだ。
 最初の方は誰も信じなかったが、その被害者は町が放って置けない程にまで膨れ上がり、今では【KEEP OUT】と書かれた黄色いテープが洋館の周りに貼られて立ち入り禁止になっている。
「知ってるも何も、有名な話じゃないか。もう何人も行方不明になってるって……」
 それでも面白半分に洋館へ入り込む輩は少なくない。そういう人も皆、当然の如く戻ってくることはなかったのだが、やはり町で立ち入り禁止が発令されている以上『心霊スポット』として人間の興味心を誘っているのだ。
「ねえねえ、一緒に行ってみない……?」
 行方不明になるのは、大抵そういうことに興味を示して止まない学生らだ。
 先程からカフェで話をしているこの男女も、見た目から察するに高校生やそこいらといったところだろう。地元の人間とも思われるが、彼女らも例の洋館の話題になっていた。
 年頃の学生にとって、怪奇現象などといった話は魅力的なのだ。
「今言ったばかりだろう? あそこは行方不明者が多いって……」
 しかも、このふたりはまだ付き合いたての新米カップル。こういう場所に一緒に行きたい気持ちはよく分かる。
 だが、今回は場所が場所。流石に男は誘ってきた女に制止の言葉をかけた。
 噂とはいえ、行方不明者が多数出ている場所に行きたいなんて思うわけがない。
「いいもん、なら一人で行く」
 そんな制止を彼女が聴くわけもなく、ふくれっ面になりながらそういうものだから、男は軽いため息を吐いて「わかった」と言うしかなかった。彼女を独りでそんな場所に行かせるわけにはいかなかったから。
「でも、少しだけだぞ? 少し見たら帰るからな?」
「はーい……♪」
 だが、あまりにも軽率な行動だった。まさかこの行動が男にとって最大の不幸を招くことになるなんて。

●洋館の調査の依頼
「っていう洋館が存在するから、調査してほしいって依頼だとよ」
 境界案内人の【元冒険者】ラナードは依頼の詳細も知らずにそう言った。
 厳密にいえば彼が悪いわけではないのだが、洋館に入った人は絶対に返ってこなかったから、情報が少なかったのだ。
「まぁそんなことで、ちょっとひと調査頼むぜ?」

●全力で魔法少女になりきらないと出れない部屋~80分コース
『あなたはとある洋館に閉じ込められました』
 うん、出られないんだからきっとそうだろうね。
『出るためには全力で魔法少女になりきってください』
 うん、ちょっと何を言ってるのかわからないんだけど。
『80分以内に実行されない場合、あなたは死にます』
 噂というのは大抵くだらないオチがつくものだ。
 まさかこんな部屋に閉じ込められてしまうなんて。

NMコメント

 なんかブームらしいですよね。
 こっそり波に乗っておこうと、牡丹雪です。


●目標【全力で魔法少女になりきる】
 あなたは何も知らずに洋館に入ってしまいました。
 頑張って80分以内に魔法少女になりきってください。
 時間切れになると床が開いて誰も出れない地下に落とされます。
 (もしそうなった場合境界案内人がきちんと助けてくれます)

●世界設定
 現代日本とあんまり変わらないせかいです。

●出来る事
 洋館には何故か沢山の可愛い衣装が陳列しています。
 元から魔法少女の衣装を持ってる人はそちらを使っても良いですし、陳列している魔法少女の衣装は好きに使うことができます。
 一応男用のサイズの魔法少女服も存在します(超重要)

●特殊ルール
 この洋館は不思議な力が働き、ステータスが封印されます。
 つまり壁をぶち破って脱出などは出来ないということです(大人しく魔法少女になれ)。

●サンプルプレイング
 これだけではプレイングが大変かもしれないので、冒頭で不幸にも洋館に入って返ってこなかった男性の末路でも書いておきます。

例)
 うん?『魔法少女になりきらないと出られない部屋』だって?
 おい、そんなの聞いてないぞ、俺はてっきりお化け屋敷の気分で来たんだが?
 いや、そんな可愛い衣装陳列されても着る気になれないんだが!
 ちょっとまて、80分以内ってどういうことだ!!

 ~80分後

 き、きらりん!アタシ魔法少女…………
 くそっ! こんなのできるわけないだろ!
 おいおい、時間切れだって?
 そんな理不尽な――(落下)

  • 全力で魔法少女になりきらないと出られない部屋完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月03日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
ラグリ=アイビー(p3p009319)
泡沫の夢

リプレイ

●お前も魔法少女にならないか?
 少なくともこの依頼を受けたイレギュラーズたちは、最初は真面目系探索依頼だと思ってこの洋館に足を踏み入れただろう。立ち入った人が例外無く行方不明になっているのだから、その過程で閉じ込められることになるのも予想は付いていた筈だ。
 結果的に閉じ込められたことに間違い無いのだが、出るための方法がどうしようもなく下らない内容だったなんて、イレギュラーズたちは微塵も分かったものじゃない。
「どういうことなのだわ!?」
 洋館の中を少し探索し、ようやく自分たちが置かれている状況に気付いた『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は、ずらりと並ぶ可愛い服の数々と、途中で見つけた洋館の資料を片手に叫び声を上げるのである。
「……どういうことなの!?」
 呑み込みきれない状況に瑞稀はもう一度叫び声を上げてみる。
 勿論状況が何一つ変わるわけでもなく、自分たちを閉じ込める扉は堅く閉まったままだ。
「どういうことなのだわよ!?」
 彼女がこう、三回も叫びたくなるのも無理は無いだろう。
 なにしろ『全力で魔法少女になりきらないと出れない部屋』であり、自らの尊厳やプライドが壊されそうなネタ部屋に放り込まれれば当然の反応である――が、他のイレギュラーズは意外にも冷静だった。
「なんか知らないけど、このガトリングガンで壁をぶち破って脱出してやるわ!」
 何処からそんなもの取り出した選手権ナンバーワン、唐突に文明の利器を持ち出した魔法少女(?)、『汚い魔法少女』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)は、壁をぶち壊すためにガトリングをぶっ放そうとして異変に気付く。
 本来のイレギュラーズであれば洋館の壁程度をぶち破ることは容易いのだが、この洋館に入り込んだ時から感じていた奇妙な感覚。それはイレギュラーズの反則級の力を封印してしまうものらしく、彼女のガトリングは不発に終わった。
「……無理みたいだから、大人しくなりきることにしましょう?」
 華蓮とメリーが諦めたように陳列された可愛い衣装を選び始めた頃、ようやく状況を理解した『泡沫の夢』ラグリ=アイビー(p3p009319)と『光の翼でばさぁっと』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は、無数に並んだ魔法少女服に少々目を輝かせていた。
「ま、魔法少女になりきらないと出られない部屋……。
 なりきる、ということは――とりあえず、ここにある服を着てそれらしいことを?」
 本物のお化けや凶悪な化け物が出てきたらどうしたものかと考えていたラグリは、少し安心したようにそう呟いていた。が、次に心配そうな表情をヨゾラへ向ける。
 ラグリを含め、華蓮とメリーの三人は女性だからまだ良いが、ヨゾラは――
「え、魔法少女になれるって……?」
「……やっぱり――」
 やっぱり嫌だろうか。そうラグリが彼に尋ねようとしたところ、彼はその質問を言い終わるより先に『男性はこっち』と丁寧に書かれた部屋に軽い足取りで入ってしまった。
「やったー! ……ってあれ、今回はなりきる方向性なのか」
「「「…………?!」」」
 嬉々として入っていくヨゾラを見た女性陣は目を見張った。
 もしかしたら彼の書類の性別欄が間違っているのか疑ったかもしれない。この様子を面白がって見ていた家主も驚いたかもしれないが、混沌では男性だってミニスカを履くし、他の女性服を着ることだってある。
 そう考えれば、混沌世界において男性が魔法少女の衣装を着ることは、何ら不自然なことではないのかもしれない。
「……んなわけないのだわ!!」

●お金で解決⁈ ~the power of money!!
 閉じ込められたイレギュラーズたちは、各自で魔法少女になりきる為に尽力していた。
 幸いにも可愛い服が至る所に陳列していたから、服を探すことに困りはしなかったのだが、メリーはそもそも魔法少女になりきる行為自体を理解できずにいた。
「わたし、ホントに魔法が使えるから、その手のアニメからは卒業が早かったのよ」
 彼女は旅人であり、出身は少し昔の日本――混沌でいう再現性東京1990に酷似した世界らしい。再現性東京といえば、度々魔法少女の依頼が出ている魔法少女の原産地のような地域だから、彼女も詳しいかと思いきや、そうでもない様子だった。
 その理由は至って簡単。言ってしまえば、本当の魔法少女だからだ。
「まあ、適当でもなんでもなるでしょ。
 なんたってわたしには大枚はたいて手に入れた、この魔法少女増幅装置があるんだもの」
 成程、確かに魔法少女の魔法少女力を高め超魔法少女とする魔法少女増幅装置『パワーフラグメント』であればメリーの魔法少女力も爆上がりして、“すごい魔法少女”になれるかもしれないが――
「テレビの前のみんなー! 世の中はお金よー!」
 多分監視カメラかと思われる装置に手を振りながらメリーは言う。
 言ってることは何一つ間違っていないし、パワーフラグメントのおかげでそれなりに魔法少女っぽく見えていたのだが――魔法少女ってなんだっけ?

●魔法少女キュアバブル!! ~ママに変わってお仕置きよ!!
 その姿はママ味強めの巫女さん風、魔法少女。
 御神楽やお祈りで実際の儀式を再現しながら怪人を浄化するのだが、魔法少女の仕事はそこで終わりではない。一度倒した敵は力を失い赤ちゃん姿になってしまう――戦闘後はママ味に溢れ赤ちゃんたちを優しくお世話し、立派でたくましい魔法少女に育てるのだ。
「その名前は魔法巫女少女、マジカル☆カレン……」
 そんな魔法少女の資料を一通り読み終えた華蓮は苦笑いを浮かべる。
 もとより巫女の格好をしていた彼女は、その衣装自体は親近感の溢れるものだった。が、普段の巫女としての仕事と違いすぎる内容にそんな表情しか浮かべることが出来なかった。
「で、でも……子育てする魔法少女も、悪くはないと思います!!」
 隣で一緒に台本を見ていたラグリは、ぐっと拳を見せて華蓮を励ましている。
 八十分以内に実行しないと死ぬ――とまで言われたらやるしかないのだが、どこか自分に合うサイズの衣装がない事を願っていた華蓮は、衣装を持ってきたラグリを見てがっくりと膝を付く。
「何でこんなに大きなサイズまであるのだわ?
 大人の男性サイズでしょ……こんな体の大きさの魔法少女居る?」
 そうは言ったが、男性専用の部屋がある時点で無駄だということを悟っていた。
 肩を震わして少し泣きそうになっている華蓮を、ラグリはふわふわして可愛らしい魔法少女服を着ながら必死に元気付けようとする。
「えと、えっと、魔法少女キュアバブル……!」
 当然、その姿はとても可愛らしかったのだが、だからこそ慰めになっていないことをラグリは気付いていない。――というかむしろダメージになっている気すらした……が、その程度でへこたれる華蓮でもない。
「……このCDは何なのだわ? あ、BGMね……成程ね……」
 資料と共に置かれていたCDを使って華蓮はノリノリのBGMを流すと、彼女は台本台詞の詠唱を始める。
「こほん……払いたまえー♪ 清めたまえー♪ ママのお家にいらっしゃい♪
 魔法巫女少女、マジカル☆カレン! 神に代わって、ご指導ご鞭撻なのだわっ☆」
 これはあくまでも台本の台詞である――が、台詞を言い終わった後で華憐は虚無感と大きなダメージを受けた。何故か込み上げてくる涙に耐え切れず、へにゃっと座り込んでしまう。
「何……? 私二十歳にもなって何してるの……?」
「わ、わーっ! 私は魔法少女キュア☆バブル! ママに代わってお仕置きよ!」
 その後、ラグリが落ち込んでしまった華蓮を慰めようと暫く努力していたのだが、その日華蓮は心に深い傷を負ったのだった……。

●時として魔法少女(男の娘)は本職よりもノリノリである
「皆着替え終わったかな……? って、あれ?」
 男性用更衣室でひとり衣装に悩んでいたヨゾラは、頃合いを見て皆が着替えていた部屋を覗き込む。先程まで声がしていたから魔法少女になりきっていた筈なのだが、どういう訳かもぬけの殻になってしまっている。
「帰っちゃったのかな? でも、玄関は鍵が閉まっちゃってた筈だし……」
 もしかしたらお花でも摘みに行ったのかもしれない。
 制限時間のこともあるし、ヨゾラはあまり深く考えず魔法少女になりきることにした。
「それにしても準備がいい部屋だったなぁ……男性用の部屋だった筈なのに。
 ――男用の魔法少女服もメイクもあったし、後は魔法っぽい台詞を言えばいいのかな?」
 駄目元で発動したドリームシアターは綺麗な毛並みの使い魔の猫を映し出す。それが幻影であることに間違いは無かったのだが、まるで生きている様に動き回ったのだから、作り出したヨゾラ自身も驚いた。
「えっと、後は必殺技っぽい台詞……。
 ヨゾラスペシャルスターライトフリューゲルバスタァァァ――ぁ」
 格好良く構えて見たところで、何処からか鐘の音がした。
 いかにも不合格っぽい音だったが、そんなことより突如として目の前の地面が開き現れた“台本”をヨゾラは手に取った。
「ふむふむ……成る程?
 つまりこの通りにやればいいんだね?」
 そこに書かれていた台詞は紛れもなく恥ずかしい台詞だった筈だが、ヨゾラは少し恥ずかしそうにしつつも手を猫の形にして、それはそれは可愛らしく叫ぶのだった。
「ヨゾラスペシャルにゃんにゃんあたーっく! にゃー!」

 その日、洋館に足を踏み入れた四人のイレギュラーズのうち、三人が境界案内人の手により救出された。どういう訳か一人だけ外に出ることが出来たイレギュラーズの証言によれば、『危険なので封鎖した方が良い』との話だった。
 後日、洋館は境界案内人の手により取り壊されることになったという。

「にしてもこの屋敷作った奴、趣味わりーな……?」

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM