シナリオ詳細
<アアルの野>天秤傾く平原
オープニング
●
ニルヴァーナ・マハノフと云う娘は幼い容貌をした旅人であった。
長命の種であり、その体には複数の獣の因子を宿した異世界の娘は『博士』と呼ばれた錬金術師にデータ採取の協力を願われたらしい。
髪を、唾液を、細胞を。
ニルヴァーナは博士に提供し続けた。
彼女は『混沌世界』で『不老の体』に緩やかな老化を齎し、万人に訪れる平穏の死を得たいと考えていたのだろう。
故に協力をし続けた。
そして、アカデミアで出会ったのが――タータリクスと名乗った青年だった。
「彼は姉君思いの青年であったよ。実直なね、ああいう弟が居れば『姉』とは喜ばしいのかも知れない。
僕には生憎弟や妹は居なかったが……ジナイーダやリュシアン、ブルーベルは『そう』だったのかもしれないね」
ニルヴァーナがそう告げたのはタータリクスという妖精郷で戦った魔種から博士について情報を得ようとするイグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)に乞われたからであった。
「ニルヴァーナは」
「ニーナで良い。そう呼ばれていた」
「……ニーナは、『センセイ』達とイッショに研究してたんだよね? 錬金術師なの?」
「いいや。僕はあくまでも研究材料。彼等からすればモルモットと同じさ。
髪を与え、細胞を与え、唾液を与え――どうやらそれからダミーの生命を作り出すのはタータリクスの坊やがやったようだね」
タータリクスが妖精郷で作り出したアルベド達。其れと今回の『ホルスの子供達』は少々事情が違っている。
ホルスの子供達は色宝と呼ばれた大精霊の力を使用して、死者を土人形に投影し、擬似的な死者蘇生の真似事を行っているのだろう。それは世界に大いに影響を催す『冠位魔種』の力ではないと言うのに立派なものだとニルヴァーナはそう言った。
「扉の向こうに行くのだろう? 僕も共に向かおう。
僕は不老を解くための研究の『再開』をして貰いたいと願っていた立場でね。博士やリュシアン達との再会を願っているのさ」
「……イイけど、ニーナの希望にはコタえられないかも。イレギュラーズは――」
「分かっているさ」
――イレギュラーズは『博士』の研究を破壊して、色宝を守り切らなくてはならないのだから。
●
歩を進めれば、美しきクリスタルの迷宮は精霊の力が作用しているからか迷路を思わせた。
守護者である『イヴ』と名乗った娘は自身のことを精霊と呼んでいた。精霊種であるかのような口ぶりであるが、元来の精霊と精霊種は違った存在だ。
――例えば、神威神楽に存在する四神も精霊種(グリムアザース)ではなく、神威神楽の精霊種達は八百万と呼ばれルーツが少し違っていた。
「イヴの口ぶりから、此処がファルベライズ遺跡の内部である事には違いないさ。
そして、我々が目指すのは最奥に位置するという祭壇だ。僕達は一先ず最奥――この『底』に到達しなくてはならない」
イヴからある程度聞き込んだ情報であれば、それは『ファルベリヒト』と呼ばれた色彩の精霊を祀っているそうだ。嘗て、ラサを襲った伝承の魔物より民を救うべく力を使用し、その力が砕けた結果が色宝と呼ばれている――故に、此処がファルベリヒトの居所で有ることは疑う由もない。
「道程は不明点ばかりだが……一つ分かっていることがあってね」
「ナニ?」
「『ホルスの子供達』が無数に存在すること、そして錬金モンスターも存在して居ることだ。
愛弟子(タータリクス)も師の技術を確りと盗んでいたようだが、性格の悪さは師の方が上だな」
ニルヴァーナはそう呟いた。
此の地は大精霊の心を鎮めるが為に閉じられた場所だった。
封印されたファルベライズ。ファルベリヒトが願った平穏とは程遠い非道な研究をその居所で行い続けた博士は大精霊を慮るつもりは無かったのだろう。
目を向ければ、無数の錬金モンスターが進み因ってくる。足下で光る術式が其れを召喚しただろうか。
「罠――ではないな。侵入者感知か。
奥に博士が居ようが居まいがどうでも良いが……最奥に辿り着かなければ話も進まない。
イレギュラーズ、準備は良いだろうか? 僕と共に、奥まで駆け抜けよう」
- <アアルの野>天秤傾く平原完了
- GM名夏あかね
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年01月30日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●『Rw Nw Prt M Hrw』
――さぁ、力を貸して。ファルベリヒト。
君の願いを叶えよう。
我らは皆、罪を宿した獣だ。我らは皆、苦しみを抱いている。
我らは皆、死は救済ではない事を知っている。
死で罪を雪ぎ、永遠の余生を辿るべきなのだ。
もう一度を。君なら出来る。
君ならば死者さえも愛せるだろう。
さぁ、往こう。ファルベリヒト。
我らは共に在るべき存在なのだから。
●アアルI
其れは美しいクリスタルの迷宮だった。水晶で出来た地下迷宮は、最奥も遠く見える。遺跡の内郭であると言うのに、特異的な空間が広がっているように思えたその場所は色宝の影響を受けてから鮮やかな光を帯びた儘、イレギュラーズ達を出迎えた。
「未知の遺跡の調査……これこそ私の望む所だね。
行く手を阻む障害は多いが、なんとしてでもこの遺跡の秘密を暴くとも」
心が躍ると『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は唇に笑みを乗せた。自信に満ちあふれ、未知の事例には子供のように目を輝かせる冒険家にして探検家、或いは研究者であるゼフィラは周囲をきょろりと見回した。
「何だか……とんでもなく怖い所にきちゃったかな……」
小さく呟いたのは『夜に這う』久遠・N・鶫(p3p009382)。現在、イレギュラーズが探索を繰り返している此の場所はまだまだ未開の地と呼ぶにふさわしい。絶対的に危険であると断言されているわけで無ければ、此の地はまさしく『不明点』ばかりが乱立しているのだ。
「それいけダンジョーン!! いいですね、こういう冒険チックなの! 女の子だけど心躍ります!
なんか一攫千金なモノでも見つかればいいんですけどね! まぁそれは今回の目的ではないので……真面目にお仕事頑張りましょう!」
鶫とは対照的に明るい笑みを浮かべていたのは『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)。事前準備した照明を手にしながら彼女は尾をゆらりと揺らした。
まだまだ未知だらけ。今回は何か強敵を倒すのでは無く『ダンジョンの最奥へ辿り着く』事が目的だ。今回同行するとイレギュラーズへと名乗り出たのはラサではアカデミアと呼ばれた私塾にて活動をした経験のあるという旅人の娘、ニルヴァーナ・マハノフ――通称を『ニーナ』である。
彼女はアカデミアに訪れ不老種である己に穏やかな老化を齎してくれないものかと『博士(せんせい)』に相談したことがあるらしい。
「ニーナさんと方針を事前に共有させていただいてもよろしいでしょうか?」
『夜咲紡ぎ』リンディス=クァドラータ(p3p007979)は先ずは『最奥に到達』すること、そして『極力戦闘を抑える』ようにするという事をニーナへと持ち掛けた。
「勿論、皆に任せるよ。僕は今回は君たちの探索に相乗りしただけの同行者だ。
君たちに迷惑を掛けるつもりもないからね。君――ああ、リンディスだったかな。リンディスに従おう」
「有難うございます。戦闘の必要があった場合は速攻作戦をとります。
それから……道すがらで良いのですがニーナさんにお聞きしたいこともあるのです」
「――アカデミア、かい?」
リンディスはその言葉に身を固くした。アカデミア。『不義を射貫く者』小金井・正純(p3p008000)は静かに唇を震わせる。
アカデミアと呼ばれたラサの私塾。それは、結果的に数多の魔種を生み出した学術機関だ。博士(せんせい)と呼ばれた旅人の周囲に存在した幼い子供達。
その身をキマイラと為されたジナイーダ。ジナイーダの変異を聞き彼女を元に戻すが為に『全て』を捨て転じたリュシアン。そして、奴隷商人に拐かされ不幸に見舞われ続けて冠位魔種に縋ったブルーベル。……そして、妖精郷で『愛故の凶行』に身を委ねたタータリクス。
正純が聞き及び、知る限りでも三人が反転し魔種となり、一人は死している。学術機関の首魁たる男はどのような存在なのか。
「……ううむ、スケールが大きすぎてピンと来ませんが。まずは遺跡の調査を頑張りましょう。ええ、イヴさんの星への祈りは確かに届いていますから」
――『アアルの野』
そう呼んだイヴを思い出して『スノウ・ホワイト』アイシャ(p3p008698)は小さく呟く。
アアルの野、それは冥界の神オシリスが治める死者の楽園である。魂が受ける死者の裁判、女神アマトの『真実の羽根』と死者の心臓を天秤に掛け、心臓が軽く釣り合いが取れればアアルに至れるのだという。
それは地下の冥界ドゥアトを通らなくてはならず、アアルに至るまでの指南が書かれた『死者の書』が存在して居るのだと言う。
伝承を、仲間へと伝えるアイシャの傍らでニーナは「心臓、ね」と呟いた。
「あら、どうかしたのかしら。何か気になることがあって?」
ダンジョン探索を行うならばホルスの子供たちや錬金モンスター、ゴーレム等の障害を避けねばならないかと『灰色狼』アセナ・グリ(p3p009351)は周囲を見回し小さく呟く。
「いいや、『心臓(イヴ)』という名前は何とも数奇なものだね。
いや、寧ろそうした意味を持った名前なのだろうか。アイシャ、君の語る伝承は私も知っているけれどね。……『アアルの野』の天秤の傍らに存在したイヴ(心臓)は正しい意味で門番なのだろう」
それでも娘は真実の羽根にはなる事はできない。善悪を図る事ができない『土塊を思わせた娘』は永遠に復活することが出来ない存在とでも定義されているのだろうか。
「イヴが何者かは分からないが、それでも、この『アアルの野』と呼ばれた空間から出てきた守護者で有ることには変わりない。
死者が蘇っている訳ではないのだから、『生』と『死』の境界は保たれている。それは『博士』にとっては不服なのだろうか」
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)の呟きに「どうカナ」と小さく呟いたのは『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。
イグナートは自身の旧友が『ホルスの子供たち』として動き出した事がある。それは死者の尊厳を踏み躙る者であると、いやという程に感じていたのだ。
「これ以上は死んだヒトたちをオモチャにさせない! 事件のカクシンってヤツをぶっ壊してやろう!」
「ああ。あれらは本物ではないのだから、それは死者の尊厳と残された者の想いを踏み躙るもの……。
現状では生者の望みに寄り添う代用品ですらなく、思いを利用して名と姿を盗むもの。魂の無い器は死者本人にはなり得ない……今は、まだ」
――死者本人を目指したのだろう。屹度、命を作り出す事を目的とした実験の一端。
故に、博士は。そう呼ばれた存在はホルスの子供たちを作り出したのだろう。
人間の立ち入った後がある。此の周辺まではイレギュラーズが先に踏み込んだのだろう。崩れた土塊の人形は一の形を保ちながらも焼物の如く、転がっているだけだ。
シラス(p3p004421)はまじまじと其れを見下ろしながら「ホルスの子供たち」と呟いた。これは、誰かを模して誰かに倒された痕跡だ。胸の中に湧き上がった嫌悪を飲み干すようにシラスは囁いた。
「行こう」
美しいだけではない、この空間は。
●アアルII
最前線を進み、罠への対処を行うイグナートは己の中で巡る気の流れを司る。
罠にはある程度の注意をしニーナへと告げた方針通りに出来る限りの戦闘を避けながら持久戦で最奥まで目指すことを考える。
(モクテキはある程度ショウモウしてでも最奥にトウチャク出来ればオッケーだから、敵とのバトルを避ければこのメンバーなら回復を挟みながらやって行けると思うからね!)
故に、罠はできるだけ無効化し休息のポイントを考え辿ることが必須だ。罠と思わしき場所を踏まぬようにと振り返ったイグナートにシラスは小さく頷いた。色宝が作り出したのだろうか、罠を飛び越えればその周囲は突如として美しい花が咲き誇る。
「お花畑?」
何だろうか、と呟けばその花畑の遠く――丁度、道が途切れた崖の部位より見遣れば王城が見える。シラスは――否、この場に居るイレギュラーズならばその王城が何かを知っていた。
「……幻想王国の、王都……」
まず呟いたのは鶫であった。それはフォルデルマン王が治める幻想王国、その王の居所である城だ。こうした景色は幻想王国を取り囲むスラムからしか見ることが出来ない。花畑に警戒を強めた一行の中でシラスはピタリ、とその足を止めた。
「――んで」
「シラス?」
イグナートは振り向いてから、気配を感じて構える。花畑の奥から体を揺らして姿を現したのは人間であった。だが、こんな場所にそんな無気力な人間が存在するわけがない。此の場所まで辿り着いたイレギュラーズもそもそも多くは無く、現在は先遣隊としてニーナと共にイヴの情報を頼りに進んできているはずなのだ。
「ホルスの子供たち、でしょう。構えて下さい。彼等は倒すしか在りません」
リンディスの言葉に「了解」とニーナは静かに頷いた。アセナは「あれがホルスの子供たち、ね」と首を傾ぐ。
「ニーナ、私はあまり色宝については知らないけれど、此程沢山合って、それから『此れが核(しんぞう)』として彼等を動かしているのね。不思議だわ」
「ああ。不思議だ。色宝(ファルグメント)は大精霊ファルベリヒトの力の核だ。
彼が『怪物』と戦い力を砕けさせた結末が此の地に存在するならば……此処にこれだけの力が存在して居ても不思議ではないのだろう」
ニーナにアセナはそうと囁く。反射神経を生かしたアセナは耳を立てて警戒する様にホルスの子供たちを睨み付ける。臨戦態勢は解かない。耳触りな音が近づいてくると鶫は感じていた。
(……素早く殲滅、撃ち抜くか――)
ロングバレルリボルバーを構える。その刹那、深紅の光芒が過る。それが鋭き魔術で有ることに気付いて、正純は顔を上げた。
「――知った顔でしたか?」
「まあね」
打ち倒されたホルスの子供。構えた天星弓を下ろした正純はシラスを一瞥してから「そうですか」と囁いた。誰かの心の中に潜んだ一寸の隙を突くように、こうしてホルスの子供たちは死者の姿を作り出す。
「死人の投影なんて趣味が悪いぜ、折角の大精霊を『博士』はなんでこんなものに注いだやら」
打ち倒した土人形の傍へと近づいてシラスは毒吐いた。吐いた唾は迫り上がってきた嫌悪感を示すように。地を踏み締めて彼は知った顔だったとだけ告げ「行こう」と静かに言った。
ゆらゆらと耳を揺らして気配を探るしにゃこは「むむむ」と唸る。花畑を『現像』しているだけの此の場所はクリスタルの迷宮で在る事には違いない。罠の解除を行うイグナートと共に、周囲を捜索するしにゃこは何時もより難しい顔をしてからはっと顔を上げた。
「超絶美少女の勘がコチラは危険と告げています!! いやまじです!!
罠は注意です! トラブルメーカーと呼ばれてますけど本気出せば全部避けますよ!」
「信じて良いか、不安になるな」
「どうしてですかー!? 信じて下さいよ! まじで大丈夫ですから!!
いや、もし、これが失敗だとしてもしにゃこが一人で責任とってぶん殴ってやりますよ!」
アーマデルは「だ、そうだが」と振り返る。イグナートは「ソッチに罠はないみたいダシ?」としにゃこの調査に従うように一行は進み出す。
人が訪れた形跡と思わしきもの。それは随分古くも感じられる。アーマデルは「人の手が加えられた場所だと思ったが、随分と古いんだな」と不思議そうにクリスタルに戻った風景を眺めていた。
「嘗ては此の地でパサジール・ルメスがファルベリヒトを祀る祭壇を作っていたからね。
そもそも、『怪物』と呼ばれるのが何だったかは私は知らないが其れを退けるために彼等の先祖が此の地に罠を仕掛け、ファルベリヒトを護ろうとしたのかもしれないさ」
「成程。結局はその努力も虚しくファルベリヒトが前線に立ち、自身の力を砕けさせてまででも怪物から民を護ったと……」
「ああ。だが、それは良く在る民話だ。神や其れに連なるものはそうやって神格となる事が多い。
ファルベリヒトを襲った怪物が何だったかは此れから僕達で歩みながら考察しよう。……今日はそう言う場でもあるだろう?」
アーマデルはそうだな、と小さく呟いた。耳が捕えたゴーレムの動き回る音。感じ取ったように物陰に身を隠す。ゴーレムは去ったのだろうかとほ、と一息吐いたアイシャは目が眩む感覚を覚えた。
「……どうかした?」
気遣うアセナの言葉にアイシャは「あ、あ、」と驚いたように目を瞠る。宝石の如き空色の瞳には驚愕の色が乗せられ怯えたように唇が震えた。
「――おとう、さん……っ」
ホルスの子供たちだ、と。その時誰もが感じ取った。アイシャの目の前に立っていたのは彼女の父だ。
行方不明になったのだと言う父の優しい目と手が、アイシャの頭の中に駆け巡る。同じように、慈しむように微笑む元気だった頃の母にあどけない弟や妹たちの寝顔。
それらが全て此の空間へと反映されていく。美しいクリスタルの宮殿を思わせたフィールドはスラム街へ。物陰はちっぽけなスラムの狭い小屋を思わせた。
鼻についた匂いはそのものだ。色宝とはここまで全てを再現できるものかとゼフィラは感嘆するが、それは『死者を模倣する力』を空間に転写しているのと同義だ。
「……『少しの願いを叶える力を持った宝物』でしたか」
リンディスは小さな声で囁いた。小さな願い事、例えば擦り傷を治す。例えば……。そんなちっぽけな願い事ばかりを集めただけ。それが噂となって、こうしてファルベライズ遺跡の探索が始まって最後に存在したのがこれだとは誰が想像しただろうか。
アイシャは今は遠い、戻らない幸せな記憶を見て居るのだろうか。唇を震わせ、涙を堪え揺れる心を落ち着かせる。あれらは死者の名前をその土塊に紐付けただけの紛い物だ。決して幸福な時間が戻ってくるわけではないのだから――
「オーケー、俺は索敵と戦闘要員って訳だね、調査はお任せするよ。代わりに殿は任せて欲しい」
ホルスの子供たちを無事に打ち倒すことが叶う。鶫は耳を欹て錬金モンスターが近づいてくる事に気づきながら、その目を利用して周辺警戒に当たっていた。
アイシャを気遣うように背を撫でたリンディスに彼女は「もう、大丈夫です」と囁く。
過去に囚われて大切な目的を見失ってはならないと、ある程度の休息を経てからもう一度探索へと乗り出した。
方向感覚は、常に冴えていた。観察を行いながらゼフィラはマップを作り上げるように周囲を見回していく。ゼフィラは道中に姿を現した錬金モンスターを見て「まるでタータリクスの作り出した物と同じだ」と呟いた。
それは妖精郷でも存在したスライム達を思わせる。時間さえ置き去りにする光撃を放ち、探索者便利セットの中の方位磁石を取り出した。其れ等の能力で磁場が狂わされては居ない。冴えた方向感覚は狂うこともない。
「ねえ、ニーナは走るのは得意? 私は皆ほど速く走れないのよね」
「私達より鈍足の存在が更に居るようだけれどね」
ほら、と振り仰いだニーナ。通り過ぎた場所を徘徊するゴーレムは此方に気付いては居ないのだろう。
正純は死者の蘇生や其れに類する何かについての情報が存在して居ないかと考えていた。侵入の感知を行っていたのは至る所に存在する錬金モンスターであろう。ますます、人の手が加わった空間であるという焦臭さが感じられる。
「いるかも知れない博士、という存在も気になりますが……」
「私の予想でも良いかい?」
正純は「はい」と頷き、リンディスは「ニーナさん、ホルスの子供達の研究は壊さなければなりません」と強い語調で言った。
「貴女の目的はその不老を解くこと。けれど、其れは種の定めなのでしょう?
種が違う恋人同士が、その命の尺度の違いに思い悩むかのような――そんな、悲恋譚の如く、種の違いで老いることの無い貴女は此の世界で死が隣にあろうとも幼い少女の姿を模していることが辛かった……私は貴女の話でそう認識しています」
「ああ、そうだよ」
「ですが……博士という男を私達は見逃すことは出来ません」
故に、自身らが協力できないかとリンディスは告げた。正純はニーナの知ることを全て教えて欲しいと彼女へと問い掛ける。
「思い出話でも?」
ニーナはどこか懐かしむような笑みを浮かべて、遠く光った色宝から姿を隠すように身を屈めた。
●『アカデミア』
周辺が土壁に変化する。イグナートはその様子にぱちりと瞬く。シラスは「ニーナの知っていることを知りたいんだ」とその土壁や、狭苦しい空間に存在した黒板を眺めてそう言った。
「ああ。君は何を知りたい?」
「アカデミアの連中について。俺達は追ってはいるけれど人となりなんざ知っちゃ居ない。
特にブルーベルについて知りたい。妖精郷じゃ対峙してやられた。勿論冠位魔種の真下についてる魔種が一筋縄でいくなんて思ってない。
だけど、借りがあるんだ、あいつのこと何でも良いから聞かせてよ」
その真摯な眸にニーナは大きく頷いた。
まずはブルーベルのことからだと彼女は言う。警戒しながら、進むイグナートはまだ作動もしていない罠に気づきゼフィラへと指さした。
いくつか解除していない罠が存在する。其れ等は全て二人で記憶し、『最奥』に辿り着いた段階で不慮の撤退が在った際に逃げる道として使用することに決めていた。特に足止めに使えるものは残しておいた方が効率が良い。
「……敵が居ない。ココで一度休憩とニーナの想い出をキこうか」
「ああ。最奥までもう少しだろう。随分と辿ってきて戦力は温存されているが情報をここで一度統率しておいた方が良い」
敵に見つかり憎いであろう物陰でイレギュラーズ達は肩を寄せ合った。
ニーナは「さて」と口を開く。
「アカデミアと呼ばれた場所は、ラサには良く在る古代遺跡の一つだった。
まあ、それ程広くはない空間で、今皆が見て居るこんなちっぽけな場所だよ。何かの寝所であったのかもしれない。
地中に埋もれた此の遺跡の中に旅人の男が――博士と呼ばれた男だ。様々な名を持っていたようだが僕には『ピオニー』と名乗っていた」
似合わぬ名前だと馬鹿にした覚えがあると告げるニーナに「ピオニー」と正純が小さく呟く。
「ああ、彼は子供達……ジナイーダ、ブルーベル、リュシアンの三人には『博士』や『せんせい』と呼ぶように教えていたそうだ。私塾のつもりであったのだろう」
――ジナイーダは商家の娘であり、ファレンやフィオナの生家とも交友のあり其れなり教育を受けていたのだろう。
リュシアンは流れ着いた獣種の傭兵の息子だ。戦で母を亡くし対した教育を受けては居ないがジナイーダの家のお抱えの用心棒を父がして居たことでジナイーダと仲良くしていたらしい。
ブルーベルはと言えば孤児の娘だったそうだ。ジナイーダの家が面倒を見ているが、討伐された盗賊の一人娘であったそうだ。
三人は幼馴染みのように育ち、日々を冒険ごっこで過ごしていた。そして偶然博士に出会ったのだろう。
「彼等は幼い頃に植物とは、生物とは、と教えて貰って居たそうだよ。
まあ、教育というのは無縁の存在にとっては驚くほどに出会いの連続だからね」
「……ハカセは三人にとってはイイセンセイだった……?」
「まあ、最初のうちはね」
イグナートはふむ、と小さく呟く。勿論のことだが、幼い三人は知らない事を教えてくれる博士によく懐いた。その生育環境の結果、一番に博士を信頼したのは勿論ジナイーダである。
勿忘草のアクセサリーを付けた可愛らしい少女はリュシアンとブルーベルの手を引いて度々博士のアカデミアに訪れた。その際に、ニーナも博士との研究を行い彼女たちと出会っている。
「妖精郷の話は聞いたよ。まあ、そこで出会ったブルーベルは大層口の悪いひねくれ者だったんじゃないかい?」
「……まあ」
言い淀むシラスにニーナは小さく笑う。彼女は幼い頃からそうだった、と始めればブルーベルという『人間』の人となりがよく分かる。
擦れた態度は感情を隠すためなのだろう。幼い少女ならではの護身術だ。
本来ならば人一倍優しい彼女は『ジナイーダを狙った誘拐犯』にジナイーダであることを装って拐かされた。両親を見ており、ある程度の魔術の才と戦闘訓練を受けていたが故に替え玉になったのだ。
全ては心優しく天真爛漫な友人のためだったのだろう。……然し、『ブルーベルが替え玉になったことで優しくて可愛いジナイーダはアカデミア』に辿り着いてしまった。
タータリクスへとピオニー博士が持ち掛けたのはキマイラの作成。『生命』を作る前の実験の一つだ。
ジナイーダは「目を閉じて、そして楽しいことをしよう」と誘われてアカデミアに入っていった。ニーナは其れを止めようとしたが、博士によって阻止されてしまい断念したという。
……結果、彼女はキマイラへと変貌してしまった。
「心優しいブルーベルは自分がジナイーダを止めていれば、自分が替え玉になって抜け出せるなんて思って居なければ何て思っただろうね。
そりゃあ、誘拐されて奴隷商に売り払われたんだ。良い商家のお嬢さんとしてね。酷い目にも合ってるだろうよ。
だが、彼女はそれ以上に友人の命を『弄ぶ切欠』の一端を担った気がしてならなかったのだろう――それから、まあ、聞き及んだ話では彼女は深緑に逃げ果せて出会ったそうだね」
ニーナはそこからはイレギュラーズの方が詳しいだろうと告げた。ブルーベルに関してはこれくらいだろう。リュシアンならば更に容易だ。彼はジナイーダを護る為にその未熟な恋心を抱きながら、ジナイーダがキマイラになる事を止める事ができなかったのだ.其れがどれ程の絶望であるかは――……
「……どうして、可愛い教え子をキマイラにしたのでしょう」
正純の言葉にリンディスも「私も、其れが気になります」と声を震わせる。
「――利用していただけだから?」
ふと、口を開いたゼフィラにニーナは「その通りさ」と呟いた。
「誰も彼もが彼に利用されていただけだった。彼は、私達を利用して『死者の蘇生という禁忌』に至りたかっただけだったのかも知れない。
……私は博士ではないのでね。どうしてなのかは分からないが――さて、そろそろ往こうか」
●最奥
傷つく仲間達はある程度の回復が終わった。アーマデルとアセナ、イグナートとシラスで攻撃を惹きつけ、継戦の為にゼフィラやアイシャ、リンディスが活力を与え続ける。
バランスが取れたパーティーは漸く、遺跡の最奥へと至ったのだろう。
「最奥ってこんな風になっているのね。
そうそう、ニーナ。最奥で何をするのかしら? 何か手伝えることはある?」
伽藍堂、そうショウするにふさわしい場所であるとアセナは感じていた。ニーナは「そうだな」と小さく呟く。
「……そうだな、ここまで来たならば博士について知れることが有るかと思ったのだが……」
「ニーナ、その……『最奥』は大精霊を祀ってるんだったよな?」
「……ああ」
ニーナはイヴから聞き込み調査をしていた。其れに故にイレギュラーズが得ている情報は同じ筈だ。だが、鶫はどうしても最奥に祀られる祭壇があるとは思えなかった。それはニーナも同じだったのだろう。
アセナが手伝いたいと申し出た言葉に上手く彼女が返せなかったのは『此の状況』が全てを顕わしているのだろう。
「話に聞く大精霊――それの話を聞けたというならば、協力体制が得られ『今回の根幹』たる諸悪の根源を滅することが出来るかと思っていた、けれど」
ゼフィラは溜息を吐く。そう思いここまで足を運んだ。精霊達へと声を掛け、何か得られるのでは無いかと考えたのだ。イヴの言やニーナの情報、そしてパサジール・ルメスの民であるリヴィエール達が知っているラサの伝承(おとぎばなし)。
全てを繋ぎ合わせたのならば、この最奥に存在するのは眠りを妨げられたファルベライズ遺跡群の主、ファルベリヒトであるべきだった。
眠りを妨げる、その意味が『何』を示しているのか――イヴは扉を護る為に『外』にいた。
彼女は感知することが出来ないと言った博士。ニーナも、そしてイレギュラーズも此の場所に博士が存在するのでは無いかと考えた筈だ。
「……葦が描かれているのですね。それから此処に描かれているのは――」
足下に刻まれた文字を見詰めたアイシャは解読してみますとまじまじと目を凝らす。
「『親愛なる、ファルベリヒト。君の願いを、叶えよう……?』」
一体何を指し示すのか、とアイシャは首を捻る。しにゃこは「これってヒントになりますかね?」とリンディスとアイシャの元へと転がり落ちていた文字の彫られた岩を差し出した。
「ついでに博士の痕跡とやらも探してみるかーと思いまして! あんま興味ないですけど。
なんかヒントになりそうなモノな気がしたんですけれどね、しにゃの美少女脳では解読できそうにないです! はい!」
「……美少女脳的にはヒントっぽかったですか?」
「ええ。なんか、この文字? がアイシャさんが言っていた葦とかなのかなって思って」
「確かに。これは葦……けれど、その下に文字が描かれていますね。イヴさんなら解読できるでしょうか……」
アイシャが文字が小さすぎて判別がつかないと呟いた。リンディスは「持ち帰りましょう」としにゃこのポケットにその石を淹れて置いて欲しいと頼んだ。
「こっちにも何かあるみたいだね」
ゼフィラが指させばシラスは「普通の混沌の言語だ」と上に被さっていた埃を取り払う。
「――『死で罪を雪ぎ、永遠の余生を辿るべきなのだ。
もう一度を。君なら出来る。君ならば死者さえも愛せるだろう』……?」
なんだこれは、とシラスが呟けばイグナートはその下に「ファルベリヒトへって書いてある」と呟く。
「ニーナ、どう思う?」
「嫌なことを言っても?」
「……どうぞ?」
「博士の筆跡だね」
此の場所に確かに訪れたのだろうか、とシラスは呟いた。鶫は風が吹いた気がして顔を上げる。
「……けれど、ここに博士は見つからない。何処にも居ない」
アーマデルが見回せどクリスタルの迷宮には崩れた祠が鎮座するだけだ。伽藍堂になった祠、それが何かを祀っていたとするならばお粗末も過ぎる。
崩れたその周囲にはホルスの子供達が存在し此方を見ている気配がひしひしと感じられる。
ずきり、と体が痛んだ気がする。正純は痣に走った酷い痛みが『星』が此方に何かを語りかけてきているのだと気付いた。
「……気をつけて下さい」
震える声、そして其の儘に弓を番える。正純の金の眸が強く睨め付けた先には彩色の気配が昇り立った。
「……何か来る!」
鶫が声を荒げる。アセナは耳を欹て、そして直ぐさまに臨戦態勢に入った。自身が出来るのは殴ることだけだと彼女は認識しているからだ。
正純の弓がその気配を裂く。だが、攻撃が通ったわけではないのだろう。其れはみるみるうちに姿を象り――
「イヴさん……?」
先程、扉の前で見た少女の姿を作り出す。だが、無表情で眉の一つも余り動かすことの無かった少女とは対照的に笑みを浮かべ、その髪は長く魔術の気配を醸し出す。その体から発される強き気配に正純は思わず眉を顰めた。
(これは――……!!)
正純の弓が『イヴを模した何か』の肩口を抉るが直ぐに其れは飲み込まれていく。肉が、盛り上がるようにして人間の形が描かれる。
「な、なんだかやばめの展開のように思えますがー!?」
しにゃこが慌てた声を上げれば、リンディスが大きく頷いた。「ニーナさん!」と呼ぶ声にニーナは頷く。
「ご覧、あれはイヴじゃなさそうだ」
「……あれがイヴさんだったら卒倒してしまそうです」
リンディスは息を飲み、アイシャがそろそろと後退する。癒しの魔術は前線で謎の光をその身に受けたアセナを包み込んだ。
『――ああ、私の眠りを妨げるのか』
低く、地を這うような嗄れた声であった。
それはイヴのものではない。イヴと同じかんばせの、イヴではない存在のものだ。
『いや……久しい顔を見た。ファルベリヒト、少し変わっていてやくれないか?』
ファルベリヒト。まるで其れに話しかけるかのように嗄れた声は響く。
ニーナは「ピオニーか」と囁いた。本来の名はそれではにのだろう。どうせ、適当に名乗った名だ。其れで呼ぶのも本来的に合っているのかも分からない。
だが、それが『一番伝わる』であろうことをニーナと呼ばれていた少女は知っていた。
『ニーナ。よく来てくれた。さあ、研究を始めよう!』
「……その体、土塊の娘によく似ている。イヴはお前の分身か何かか?」
『イヴ――ああ、心臓(イヴ)か。私の……ファルベリヒトの可愛い子だよ。
そして、私はファルベリヒトの内部に取り込まれただけの哀れな旅人だ。
こうして共生し数多の命を作り出す事が叶った。ここまで私の研究の成果は見てきたかい? ニーナ』
研究の成果、と言う言葉にシラスは唇を噛みアイシャは魂を縛り付けることを批難するように睨め付ける。だが、言葉を発することすら怖れるような気配が其れを取り囲んでいることに誰もが気付く。
『ニーナ、ジナイーダも沢山生まれたよ。さあ、共に――』
「……断ろう。生憎だが、新しいパートナーが山ほど居てね」
ニーナは傍らに立っていた鶫に下がるようにと一瞥を送る。正純としにゃこが武器を構えたままじりじりと後退る。
「ミッションはコンプリートした。分かるな、一度退くぞ。
此処までの道は、そして情報は全てを持ち帰るのが僕達の仕事だ。殿は任せてくれ」
「ニーナ……!」
「アセナ、君は余り走るのが速くないのだろう。私は言いそびれたが走るのが得意でね。
それに、これでも愛らしい長寿の君よりもうんと年上なのさ。『おばあさん』にも格好付けさせてくれ」
走り出すアセナ。逃げ切れるタイミングであるとしにゃこはニーナに「無理しないで下さいね! 外で待ってますから!」と呼び掛けた。金目のものをゲットしてこっそりと返って遣る気は満々だった。だが、そうとも言ってられないかとしにゃこはずんずんと走り出す。
「ニーナさん、待っていますよ」
「ああ。リンディス。帰り着いたら先ずは私の不老を解く研究を始めよう」
「ニーナ、罠の位置は憶えた?」
「勿論。イグナート、ゼフィラ。君たちの纏めた罠は具体的で実に使いやすい」
撤退を。その指示に従い走るアーマデルが振り返る。
イヴを思わせる精霊。その名をファルベリヒトと呼ばれた其れは禍々しい狂気を発している。
其れに感化されたように動き足した『ホルスの子供たち』はけらけらと笑っている。
皆同じ顔、勿忘草の髪飾りを付けた幼い少女のかんばせをしながら。
「……博士」
●『Rw Nw Prt M Hrw』
死者を作りだそう。
君たちは死を乗り越えられないからこそ、然うして悲しみ続けるのだ。
分かるかい? 私がジナイーダで実験をして君たちがそれ程悲しむとは思わなかった。
ジナイーダ、君も元の体で家に帰りたいだろう?
少し待っていなさい。
直ぐに、ファルベリヒトと共に、無数の願望器(アーティファクト)を使って君の願いを叶えよう。
死を冒涜しているわけではないさ。
死をも超越してみせるのが――錬金術師、だからね?
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――最奥へ。
GMコメント
夏あかねです。
●成功条件
遺跡最奥に到達する(※調査シナリオです)
●ルート
不明な部分も多いですが、ホルスの子供達が無数に存在することが推測されます。
イヴ曰く、最奥には祭壇が存在して居るようです。
また、色宝が大きく効果を及ぼすのか参加者の深層意識や見知った風景(ローレットなど)が周辺の景色に転写される事もあるようです。
【大部分の情報】
クリスタルの迷路が広がっています。色宝が周囲には無数に存在しています。
ホルスの子供達や錬金モンスター、ゴーレムと言った敵勢対象が存在。
足下や壁には複数の文字列や罠が存在して居ます。その中にも何らかの術式やメモが存在し、人が此の地に訪れた形跡も存在して居ます。
イヴ曰く『自分は博士を検知できなかった』そうです。博士が生きているか死んでいるかも不明です。
【イヴのはなし】
最奥にはファルベリヒトと呼ばれた大精霊の居所である祭壇が存在して居る。
その近くはファルベリヒトの力が強いのか七色に光っていた。
ただ、近々になってからその地へと自身もたどり着けなくなった。ゴーレムが行く手を阻むからだ。
最奥の祭壇の様子がとても気がかりだ。ホルスの子供達が複数暴れているのも何か関わる理由があるのかも……。
●同行者:ニーナ(ニルヴァーナ・マハノフ)
アカデミアに出入りしていた不老種の娘。旅人であり複数の獣の因子を所有。
外見は16歳程度ですが実年齢は遥かに上、戦闘能力はある程度有しています。
博士やリュシアン、ジナイーダ、ブルーベル、タータリクスとは知り合いです。
●補足情報
・博士
アカデミアと呼ばれたラサの遺跡で活動していた旅人です。
ホルスの子供達を作り出した元凶とされていますが、謎多き人物です……。
・タータリクス
妖精郷アルヴィオンにてイレギュラーズと相対した魔種であり錬金術師です。討伐済。
反転し、妖精女王に恋い焦がれて一時は妖精郷に冬を齎しましたがイレギュラーズによって倒されました。
・リュシアン
妖精郷やカムイカグラにも関わる色欲の魔種。色欲の冠位魔種の配下の少年です。
ジナイーダと呼ばれた少女に実らぬ恋をしていましたが彼女を博士とタータリクスがキマイラとした為に、取り戻すためにと活動していました。
今回に限ってはイレギュラーズに協力体制を見せました。博士を嫌ってのことでしょう。
・ブルーベル
妖精郷にて活動した怠惰の魔種。怠惰の冠位魔種の配下の少女です。
博士のことを毛嫌いしているようです。怠惰なので顔を見せませんが本質は友達思いで怠惰冠位魔種が大好きです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はD-です。
基本的に多くの部分が不完全で信用出来ない情報と考えて下さい。
不測の事態は恐らく起きるでしょう。
Tweet