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シナリオ詳細

再現性東京2010:呼ンデイル

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――知ってる? あの神社のウワサ?
 16時以降に神社の境内でかくれんぼをすると、怪奇現象が起きるんだって。

「ハナちゃん、みーつけた♪」
 『東京』を模した特殊地区でお馴染み、練達内に存在する『希望ヶ浜』。
 安穏とした日々の中、刺激を求める若者、学生たちは、ウワサの神社でかくれんぼに興じていた。
 複数人が境内のどこかに隠れる中、鬼役は女子生徒の1人を見つけた。
 ハナと呼ばれた女子生徒は、本殿の前に1人残され、鬼役は他の場所を探し回ることに夢中になっている。
 暇を持て余していたところ――、
「ハナちゃん」
 茂みの向こうから名前を呼ばれ、視線を向ける。
「ハナちゃん、ハナちゃん」
返事をしたものの、名前を呼ぶ声は続く。声の主は一緒に遊んでいる友人だと思っていたが、すぐに異様な兆しが現れる。
「ハナちゃーーん、ハナちゃんハナちゃんハナちゃんハナちゃん」
「ハナちゃん? ハナちゃん?」
「ハーーーーナーーーーjひ%*ちゃん」
「ハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナハナ、ハーーーーナーーー」
 茂みの向こうを覗く前に、1人ではない声の存在に圧倒され、明らかに友人ではないことに気づく。
 震えながら後退るハナに対し、茂みの向こうから何かが姿を現した――。
 姿を見せたのは、大型犬並みの大きさの4足歩行の獣。黒毛の体には、異様に縮んだ黒ずんだ人の頭があった――。
「ハナちゃーーーーーーーーーん」
 しかも、1体だけではない。茂みからぞろぞろと現れた異形の獣は、頻りに女子生徒の名前を呼んで襲いかかった。



「他の生徒は無事だったのですが……気の毒なことに、驚いて逃げ出したハナさんは、境内の階段から足を滑らせて、そのまま帰らぬ人に――」
 神社の怪異として確認されたモンスター――それに遭遇した学生たちのてん末を一通り説明したところで、音呂木・ひよのは一瞬表情を曇らせた。
 学園からの要請を受けたあなたは、依頼内容についてカフェ・ローレットで――あるいはアデプト・フォンを経由して詳細を聞いているだろう。
 ひよのは「念の為言っておきますが、音呂木神社とは別の神社ですよ?」と付け加えつつ、話を続けた。
「つまり本題は、皆さんには件の神社で同じ状況を再現してもらいたいのです」
 事件が起きた神社への立ち入りは規制しているが、元凶は今でもその場に居付いている。
 神社の境内でかくれんぼをする状況を再現すれば、必ず姿を現すはずだとひよのは主張した。
「鬼役に最初に見つかった子の前に現れた訳ですが――」
 ひよのはわずかに唸った後に「その条件だけが引き金、何でしょうか?」とぶつぶつと続けた。
「……何にせよ、油断は禁物です。神社の周囲は、林や茂みなど、隠れられる場所も多いです。敵の奇襲にも注意した方がよさそうです」
 異形の獣の数は計10体。不気味な声を発することで、強烈に精神を揺さぶる呪縛をかけることが確認されている。
 ひよのは敵に関して明らかになっていない部分も含め、イレギュラーズらに注意を促すと、
「人払いはこちらで済ませてありますので、皆さんは怪異をせん滅することに専念してください」

GMコメント

 今回はホラーテイスト増し増しな内容でお送りします。

●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 ひよのも気にしていたように、必ずしもかくれんぼをすることが怪異出現のトリガーとは限りません。(ヒント)1人切りになり襲われた女子生徒は、他の子に××を××××いましたよね? そして、今回のタイトルは……。

 怪異への対処次第では、奇襲を回避するなどの補正もあります。

●成功条件
 怪異10体の討伐。

●地形
 16時以降の神社の境内。周囲には木々や茂みも多い。
 事件後に立ち入りを規制されているため、人は寄り付かない。

●敵の情報まとめ
 『異形の獣』は計10体です。不気味な遠吠え(神近扇【呪縛】)、長い舌と鋭い牙(物中単)で共通の攻撃を行います。

 個性豊かな特異運命座標の皆さんの参加をお待ちしています。

●再現性東京(アデプト・トーキョー)とは
 練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 その内部は複数のエリアに分けられ、例えば古き良き昭和をモチーフとする『1970街』、高度成長とバブルの象徴たる『1980街』、次なる時代への道を模索し続ける『2000街』などが存在している。イレギュラーズは練達首脳からの要請で再現性東京内で起きるトラブル解決を請け負う事になった。

●希望ヶ浜と学園
詳細はこちらの特設ページをどうぞ
https://rev1.reversion.jp/page/kibougahama

  • 再現性東京2010:呼ンデイル完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
シラス(p3p004421)
超える者
エマ・ウィートラント(p3p005065)
Enigma
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ
トリフェニア・ジュエラー(p3p009335)
深き森の冒険者

リプレイ

 怪奇現象――もとい怪異が出ること
でウワサになっている神社。
 夜妖の駆除に乗り出したイレギュラーズは、例の神社に訪れた。女子生徒が襲われた状況を再現するため、8人は真剣にかくれんぼに取り組む。
「これは、ほんとにかくれんぼみたいね……」
 すでに気配を消している皆に感心しつつ、トリフェニア・ジュエラー(p3p009335)は自らも隠れる場所を探す。
 本殿の周囲を探索する中で、トリフェニアは石碑のように大きな岩を見つけた。苔むした岩の影に隠れようかと回り込んだが、体を丸めた状態で、岩に擬態した『友思う心』フリークライ(p3p008595)と目が合った。
「ン。フリックノトコロ、隠レル?」
 は虫類とも宇宙人じみているとも言える顔を傾けるフリークライ。トリフェニアは他の場所を探すことを告げてその場を去ろうとしたが、
「念の為、名前呼ばないでね」
 トリフェニアは去り際にそう言い残した。
 トリフェニアは隠れ場所を探している最中に、遠目に『蔵人』玄緯・玄丁(p3p008717)の姿を認めた。鬼人種(ゼノポルタ)である玄丁の姿を眺めながら、トリフェニアは思った。
 ――かくれんぼでいう鬼……ゼノポルタみたいな恰好なの?

 一方で玄丁は、被害者の霊魂との疎通を試みていた。
「安心してください、僕達が仇を、これ以上の被害を減らしますから」
 何者かに語りかけている様子を気にかけた『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は、玄丁に声をかける。被害者であるハナの霊魂について玄丁から聞かされ、汰磨羈は納得した表情を見せて言った。
「なるほど……それにしても――」
 汰磨羈は本殿全体を眺めながら続ける。
「怪異の出現条件が読み通りなら、生贄の風習との類似点を感じなくもないな」
「……生贄、ですか」
 玄丁は『生贄』という汰磨羈の言葉に反応した。
「どちらかと言えば、僕は取る方ですよね。だって……僕の方が、どう見ても鬼でしょう? ……なんて」

 ――夕方の神社って、零囲気あるよ
ね。
 本殿近くの茂みの間に隠れる『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)は、1人心中でつぶやいた。
 お化けの類に戦きはするものの、弱音を吐いてはいられない。
 ――でも、怖がってる場合じゃないし、会長たちが止めないとね!
 茄子子は役目を果たそうと、自身を鼓舞する。
(ジョーイくん、どこを探してるのかな? まだかな? へへ……会長のかくれんぼの才能が開花してしまったのかも――)
 茄子子のかくれんぼはまだ始まったばかりなタイミングであったが、
「茄子子殿、みーつけた!」
 『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)は、茄子子の背中に向けてはっきりとかくれんぼ終了の宣言をした。
 振り返れば、頭部を覆うヘルメットが特徴のジョーイが、茄子子の顔を覗き込む。
「ジョーイくん……見つかっちゃった!」
 茄子子は手はず通りに真っ先に見つけられ、1人本殿の前へと出向いた。

 ――まずは楽しい楽しいかくれんぼと洒落込むといたしんしょうか。
 常に口角をあげて上機嫌そうな『Enigma』ウィートラント・エマ(p3p005065)は、離れた場所から茄子子を見守る。ウィートラントは樹木や茂みの間に身を潜めているが、視界を遮られることなく茄子子の状況を窺うことができた。透視能力を発揮するウィートラントは、多くの遮蔽物を越えて茄子子の姿を捉え、警戒を続ける。
 汰磨羈も鳥の使い魔を召喚し、本殿の上空を旋回させる。使い魔と五感を共有することで、汰磨羈は囮役を務める茄子子の死角にも対応する。更に念を入れて、汰磨羈は自らの影に潜ませることができる黒猫を召喚し、地上からも茄子子の状況を監視させた。
 四方から本殿の前を監視するイレギュラーズは、今か今かと怪異――夜妖の出現を待ち構える。監視に徹する者の1人でもある
『罪と罰』シラス(p3p004421)は、小声でつぶやいた。
「こういうのは女の子がやったほうが絵になるよね、きっと怪異も喜んでやって来るぜ」
 どこか儚げなオーラをまとい、『か弱い女の子』を演じる茄子子を守るため、シラスは遠くからその姿を注視し続けた。
「ジョーイくん、遅いな……まだ見つからないのかなー?」
 熱心にかくれんぼの再現を続ける茄子子。本殿の前に 1人の状態からどれくらい経ったか――待ち望んでいた瞬間が訪れる。
「茄子子殿」
 名前を呼ばれた直後、汰磨羈の使い魔が合
図の声を発する。
 茄子子が視線を向けた先の茂みがざわつくのに合わせて、何度も「茄子子殿」と呼ぶ声が響く。その声はジョーイに似ているようにも聞こえたが、回数を重ねるごとに醜く歪んだ声へと変わっていく。
「なーーすーーーーk*#n@ぉおЁのーーーー」
 身の毛がよだつほどの不快な声に、茄子子は一瞬固まったが――。
「――邪は早急に逝くがいい」
 その場に即座に駆けつけた汰磨羈は先手を取る。両手に携えた刀から苛烈な攻撃を放ち、茂みごと夜妖を切り刻みにかかる。
 汰磨羈の太刀筋は結界を放つ形でその威力を炸裂させ、足元から吹き上げるように巻き込んだ夜妖を一挙に切り刻んだ。
 不気味な異形の獣の姿が露わになると、
「ここは神の社。害意は滅するのみよ」
 汰磨羈はわずかに顔をしかめて身構えた。
 汰磨羈からの一撃を受け、獣らはふらつきながらも茄子子に向かって踏み出してくる。
 獣らが茄子子に執着していることに薄々感づく汰磨羈だが、他の者も続々と駆けつける中、戦線は目まぐるしく入れ替わる。
 獣の前へと飛び出したかと思えば、
「テメーらは地獄からお呼びがかかってんだよ」
 シラスは圧倒的な速さでその拳を突き放ち、1体の獣の体を穿つ勢いを見せた。突き飛ばされた獣は、ひき潰されたウシガエルのような声をあげて地面を転がった。
 獣たちが完全に茄子子に注意を向けているのを利用し、続々と攻撃が展開されていく。茄子子とフリークライは支援行動に専念し、獣たちを押し返そうと動く者らを後押しする。
 その場に現れた獣の数が5体のみであることを把握しつつ、フリークライは密かに植物と意思疎通を図る。他の者もフリークライ同様、獣の数を気にかけて奇襲を警戒していた。
「……捕えた」
 即座に獣の背後を取るトリフェニアは、対象を斬りつけては身を引くことを繰り返し、相手を寄せつけない。
「これ以上噂が広まって、騒ぎになったら迷惑よね」
 ――そもそも、こいつらは何がしたいの……?
 剣を握り直しながらつぶやいたトリフェニアに反応し、
「踏み込んではいけない領域に踏み込んでいるのは、わっちらのような外野――」
 ウィートラントは続ける。
「怖いもの見たさに――というのは、別に珍しい話ではごぜーませんが……」
 言葉を続けながらも、ウィートラントは前触れもなく獣らを覆う毒霧を発生させる。
「対策の一つも取れないならやめておけばいいのに、ねえ?」
 そう言って、ウィートラントは糸目を更に細めた。ウィートラント自身も都市伝説や怪異の類に興味を示す一方で、事件の関係者となった学生らの行動に対しては、また別の見解を持った。
 ――非日常を否定してこその再現性東京だというのに……くふふ、おかしな人達でごぜーますねえ。
「獣か……残念。でも大丈夫――」
 玄丁は毒霧から抜け出した瞬間の獣を狙い、
「全部殺してあげるよ」
 殺伐とした台詞とは裏腹に、ひどく穏やかな表情を浮かべていた。
 ――僕は斬り合えればなんでもいいんだけどね。
 玄丁は軽快な身のこなしで続々と対象を斬りつけ、その内の1体に確実にとどめを刺した。
 獣たちを圧倒する勢いに乗ろうとするジョーイは、容赦なく攻撃を仕掛ける。
「ホワアアアアアアッ!」
 その背後にまとうオーラは、ジョーイが生み出した生命体。阿修羅の如く顕現したオーラは実体そのものと化し、連続で拳を突き出すジョ一イの動きに合わせ、獣の1体を荷烈に攻める。
「――ホアァアァァタタタタタッ!!」
 散々に相手を打ち据えるジョーイだったが、
「後ろにいる!」
「ジョーイ、後ロ!」
 唐突に鋭い声を上げたフリークライとトリフェニアに、背後への注意を促される。
 各々の能力を頼りに感覚を研ぎ済ましていた2人は、いち早くジョーイを狙う気配に気づくことができた。
 ジョーイは促されるままに回避行動を取り、背後の茂みから飛び出してきた獣からすばやく距離を取った。
 ジョーイに襲いかかろうと飛び出した獣たちが姿を現し、ひよりからの情報通りの数が出そろう。
 次第に獣たちはジョーイの名前を呼び始める。獣の特徴として干からびて縮んだような人頭が目立つ訳だが、その口はー切動いていない。
 カンフー使いのような構えで闘志をみなぎ
らせていたジョーイだったが、口の部分を露わにする獣の異様さに釘付けになる。その鋭い牙が垣間見えたのは、人頭の付け根部分が裂けるように開いた時だった。
「ジョーイぃいグルルルるルルゥ〜〜ジョ〜@d'aーーー」
 その場にいるすべての獣が牙をむき、唸り声を発し、じりじりとイレギュラーズを取り囲もうとする。
 魔力を帯びた免罪符を手にする茄子子は、
「激おこってヤツ? 会長、クソザコだから誰か頼んだ!」
 獣らをけん制しつつ後ずさる。
 汰磨羈は茄子子と獣との間に入りながら、
「正に怪異、外道の獣か。厄狩としても見過ごせんな、これは」
 異形の様を見せつける獣らに対し、汰磨羈は一層気を引き締めて挑む。
 すばやく間合いを詰めた汰磨羈は強烈な一太刀を放ち、獣の1体を両断する。汰磨羈に続き、シラスは自らの視線に込めた能力を発揮する。シラスが注視するもう1体は深紅の光芒に包まれ、その体を焼き尽くされていく。
 ウィートラントの足元からは突如黒煙が立ち上り、やがて1体の狼の姿が現れる。漆黒の狼はウィートラントに忠実に従い、獣らを駆逐する勢いで襲いかかった。狼によって態勢を乱される獣を狙い、玄丁はその刃を翻す。鋭く振り抜かれる玄丁の刀捌きは、容赦なく獣たちを追い詰めていく。
 皆が奮戦する中で、1体の獣が茄子子を捕らえようと動いた。獣の口からカエルのように長い舌が飛び出したかと思えば、それは茄子子の足首を巻き取る。態勢を崩した茄子子は勢い良く引きずられ、「ぎゃあああああ!? 助けて!! 超助けて!!!!」と絶叫を響かせる。
 トリフェニアは透かさず茄子子に加勢し、獣の舌を自らの剣で切断してみせた。獣は短い悲鳴をあげたが、次の瞬間には切断された舌がトリフェニアの刃に生き物のように絡みつく。一瞬青ざめたトリフェニアだったが、咄嗟に獣に向かって剣を振りかぶり、絡みついた舌の一部を獣にビターンと命中させた。
 蛇のようにうねる舌を放置して、獣らはトリフェニアの横をすり抜け、茄子子を追撃しようとする。
「ちょ、ちょちょ……!? しつこいしつこい!!」
 茄子子は焦りながらも、再度舌を伸ばす獣の動きを見極め、わずかな差で身を逸らし続ける。
 ひたすらジョーイを呼ぶ獣たちも攻撃の手を休めず、相手の攻撃を捌き続けるジョーイは限界を感じ始めていた。
 獣の動きを探っていた汰磨羈は、確信を得て言った。
「やはり名前を知られている者が――構わぬ、私の名前を呼べ!」
 迫る危機をすぐにでも拭い去ろうと、汰磨羈は率先して指示を出す。
「ヌオオオオオオかたじけない――」
 気力を振り絞るジョーイは、獣の1体を突き飛ばすと同時に「汰磨羈殿!!」と名前を叫んだ。すると、瞬時に複数の獣が汰磨羈の方を顧みる。
「タマd@'キ? 汰磨羈?」
「タマキタマキタマキタマキタマキ……」
 名前を呼びながら汰磨羈へ群がろうとする獣たち。汰磨羈に向かって吠える声は不気味に歪み、吐き気が込み上げるほどの言い知れない不快感を抱かせた。そのすべてをはね除けるように、汰磨羈の一太刀は一挙に獣たちを薙ぎ払う。
「名前と呪詛には密接な関係があるが――」
 やおらつぶやいた汰磨羈は、そろって自身に牙を剥いている獣らを眺め、確信を得た。汰磨羈と同様の点に気づいたウィートラントは、したり顔で言った。
「なるほど……名前を知らない相手は認識し難いということでごぜーますね」
 不快な遠吠えを発する獣らに対し、シラスは耳を塞いでショックを和らげようとしていたが、
「ン。フリックモ、ガンバル。必ズ、押シ切レル」
 フリークライはその鋼の巨体から、鉄琴を弾くような涼やかな音色を響かせる。音色に乗せて癒しの力が放たれ、シラスの気力を刺激した。フリークライが奏でる癒しの音色は込み上げていた悪心を中和し始め、シラスは一層奮い立った。
「とにかく――ぶっ潰してさっさと終わらせればいいんだな?」
 そう言って突撃するシラスの拳は瞬時に対象へと到達し、獣の1体に血反吐を吐かせるほどの鋭い突きを放った。
 半数にまで減った獣の動きは、汰磨羈、茄子子、ジョーイ以外の者に対してはどこか緩慢であった。茄子子は注意深く獣の動きを見極めつつ、自らの魔術を駆使して支援の手を絶やさない。
「もう少しだよ! 会長も全力でサポートするよ!」
 茄子子は汰磨羈に向けて魔力を集中させ、癒しの力で汰磨羈を包み込む。
 獣の注意が汰磨羈に集中している状況で、他の者は攻撃に専念することが容易となった。
 獣らは次々と長い舌で汰磨羈を捕えようとするが、刃を振りかざす玄丁とトリフェニアは、果敢に伸ばされた舌を切り落とす。トリフェニアは同じ轍を踏まぬようにと、地面の上をうごめく舌を徹底的に切り刻む。一方で、玄丁は切り落とした舌を脇差で串刺しにした直後、
「はい、返してあげるよ」
 絡みつく舌を物ともせず、そのまま突き出された玄丁の刃は、獣の体を深々と貫いた。「ヌォアアアアアアまだまだいけますぞーーー!」
 ジョーイは伸ばされた舌を手繰り寄せ、獣の動きを妨げた上で徹底的に攻撃を浴びせていく。
 両者の攻撃が入り乱れる中で次第に獣の数は減り、8人の攻勢によって、残る2体は境内の隅へと追いやられた。
「さあ、それでは――」
 ウィートラントは皆との距離が充分に保たれたことを確認すると、
「仕上げをするといたしんしょうか」
 ウィートラントは自らの能力を発揮し、2体の獣に向けて手をかざす。その瞬間に、獣は爆破の炎に包まれた。残る獣は木っ端微塵に吹き飛び、その場に焦げ跡を残すばかりとなった。

「ちょっと? かなり? お騒がせしちゃったけど――」
 『掃除屋』の到着を待ち侘びる様相となった境内を見渡す茄子子。
「悪いのはちゃんと会長達が倒したからね……安らかに眠ってね」
 8人は亡くなったハナを弔うため、その場で手を合わせた。

成否

成功

MVP

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式

状態異常

なし

あとがき

ご参加、ありがとうございました。
今回思いついたシナリオは
オーストラリアの森の話から着想を得ています。
「この森には音真似がくそうまい鳥がいて、森で誰かの名前を呼ぶのは危険だぜ。呼ばれていると勘違いして、森で迷う恐れがあるからな」的な話をテレビで聞いて、印象に残っていました。

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