PandoraPartyProject

シナリオ詳細

真白の卵を追って

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 その日、カイト・シャルラハ(p3p000684)は鉄帝の森を歩いていた。それは散策とも言えるし、見回りとも言える。少なくともこれが初めてではないし、彼は今日この日まで平和な――何も起こらない――時間に満足していたのである。

 ――ジュリリリリリリリ!!!!!

「! あれは……」
 警報音のような甲高い音が森の中に響き渡る。バサバサと枝にとまっていた小鳥たちが羽ばたいていった。

 ――ジュリリリリリリリ!!!!!
 ――ジュリリリリリリリ!!!!!

 いくつも響くそれは警報音ではない。より音の大きな方へと向かえば、そこには怒り心頭と言わんばかりの巨大な鳥がいたのである。
「お、おい! 落ち着け、何があったってんだ!?」
「ジュリィ!!」
「ジュリリリ!!!」
 カイトに気づくと訴えるように地団駄を踏む鳥。丸っこいフォルムで器用なものだ。彼らから事情を聞いたカイトは目を丸くする。
 曰く、彼らの大事な卵が奪い去られてしまったのと。彼らの卵は美味しくない。だと言うのに奪っていったのだとすれば、そこから生まれる子供が目的なのだろう。
(そうならないために俺がいたってのに……!)
 心の中で自身に悪態をついたカイトは彼らから奪い去ったモノについて詳しく聞く。彼らは『白い暴君』の異名を冠する混沌生物――タイラントオオシマエナガ。彼らから卵を持って逃げおおせたと言うのならば相当の実力を持つはずだ。
 そう考えれば逆に、賊とカイトが接触しなかったのは僥倖かもしれない。そうなればおそらく――彼らの怒りは『手遅れ』になった頃、人々へ届くことになる。
「いいか? 俺たちが絶対に卵を取り戻してやる! だからこの辺りを破壊するなよ!」
 彼らが暴れたら最後、この辺りは何も無くなってしまうだろう――その想像にぶるりと翼を震わせた彼は一目散にローレットへ向かったのだった。



「彼らから逃げるなんて、相当ですね」
 カイトから話を聞いた『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は真面目な顔で呟く。対処を間違ったら最後、鉄帝の一部が荒野と化すかもしれない。
「急いで人を集めるのです! カイトさんは聞いた情報をまとめてくれますか?」
「おうよ!」
 羊皮紙を渡されたカイトはテーブルに向かい始める。一方のユリーカはローレットにやってきた小柄な影に目を留めた。
「ノースポールさん!! ここはきっとノースポールさんの出番なのです!!!!」
「へぁっ??」
 『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)が素っ頓狂な声を上げる。あれこれなんだかデジャヴを感じる。
「お願いなのです人がいるのです! タイラントオオシマエナガによる危機かもしれないのです!!」
「ええっ!?」
「ぴぃっ!?!?」
 目を丸くするノースポールになんだって、と顔を上げるカイト。いや、ここはタイラントオオシマエナガ"の"だろう。
「間違ってないのです! 卵を盗まれたタイラントオオシマエナガの怒りは恐るべしなのです……! 鉄帝を更地にする猛獣になるのです!」
「そ、それは危機ですね!」
 厳しい北の大地が更地になれば、それこそ人死が出るのではないだろうか。そんな想像をしたノースポールは、ユリーカの言葉に驚きの声を上げることになる。

「もし、もし失敗したら――ノースポールさんをタイラントオオシマエナガ宥め隊の隊長に任命するのです! なんとしても卵を奪取するのです!!」

GMコメント

●成功条件
 タイラントオオシマエナガの卵を奪取する

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。不明点もあります。

●エネミー
傭兵×8
 鉄帝を拠点とする傭兵たちです。鉄騎種であり鉄帝人であり、少ない数ながらも精鋭と言えるでしょう。彼らのバックには鉄帝の悪徳商人がいるようです。内1人が卵を隠し持っていると見られます。
 攻撃力と俊敏さはピカイチですが、その他の能力はそうでもありません。戦闘は至近〜中距離となります。
 サポート>後衛>前衛の順に狙ってきます。ひとまずは、簡単には追って来られないようにイレギュラーズをぶちのめす算段のようです。

撤退禁止:逃がすものか。【呪縛】【停滞】
一撃必殺:確実に。【必殺】【防無】


●ロケーション
 鉄帝の森の中です。タイラントオオシマエナガの縄張りからかなり離れた場所です。時間帯は昼。
 木々の葉はすっかり落ち、地面は薄く雪に覆われています。木の根などは雪に隠れてしまっているようです。
 森の中を傭兵たちは移動しており、追いついて奇襲をかける形となります。あらかじめ罠を張ることは難しいでしょう。

●タイラントオオシマエナガ
 希少種の混沌生物。人間の子供ほどもある鳥。外見や鳴き声はシマエナガだが、サイズや頭部の3本線など若干(?)の違いが見られる。
 過ごしやすい地域に生息し、一生に数個だけ大きい卵(美味しくない)を生む。本体も丸々している(美味しくない)。
 彼らはとても食欲が旺盛で、野生の個体は住み着いた土地一帯の食料を食べ尽くすと言う。故についた名は『白い暴君』。食べ尽くせば1年は食べなくても生きていける。
 彼らから抜け落ちる羽毛はとても良質かつ高価な品具の素材になり、乱獲され数が減少してしまった。

 タイラントオオシマエナガについて詳細を知りたい場合は以下を参照下さい。
https://rev1.reversion.jp/guild/1/thread/4058?id=1251057#bbs-1251057

●ご挨拶
 愁と申します。カイトさんのアフターアクションです。
 ノースポールさんはタイラントオオシマエナガ宥め隊隊長に任命されました。が、失敗した時のことなんて考えず悪者から卵を奪い返してやりましょう!
 それでは、よろしくお願い致します。

  • 真白の卵を追って完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月14日 22時01分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
空歌う翼
カイト・シャルラハ(p3p000684)
先導者
アト・サイン(p3p001394)
観光客
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
庚(p3p007370)
宙狐
ローザ・グランツ(p3p009051)
グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)
灰色の残火

リプレイ


 静かに雪が舞い散っている。地面に薄く雪は積もれども、タイラントオオシマエナガの卵を盗んだ不届き者たちの足跡は少しずつ――ほんの少しずつではあるけれども、その痕跡を消そうとしていた。
「死んだように静かな森でございますね」
 その中で、『宙狐』庚(p3p007370)はくふふと小さく笑う。この雪の下、或いはそこに積もる枯葉のさらに下。土の中でいったいどれだけのヒトやケモノの死体が眠ることだろうか。そこに死体があるのであれば、魂とてまた然り。
「歴戦の勇士たる皆様と比べれば些か見劣りもしましょうが、死せる者との感応力については長じるところ。微睡みの淵より少しだけ、目覚めて頂きましょう」
 庚の言葉にちかりと瞬く光がひとつ、ふたつ。見える者には見え、見えない者には見えないそれは『霊魂』と呼ばれるものである。今も尚足を止めぬ不届き者の行き先を尋ねれば――彼らもまた、その足音に眠りを妨げられたのだろうか。揃って一方向を指し示した。
「あちらでございますね。感謝いたします、どうか皆様に安らかな眠りが訪れますよう――」
 教えてくれた霊魂たちに礼を述べ、仲間たちを促す庚。雪を踏みしめるサクサクという音と共に小さく息を吐きだした『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)は、それがすぐさま白くなって消えていく様を見た。鉄帝は海洋よりも北にあり、当然こちらの方が極寒だ。このような場所で生きるタイラントオオシマエナガの何と逞しい事か。
「生態もなかなかすごいよねー……」
 依頼書に書いてあった内容を思い出した『空歌う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)はしみじみとそう呟く。別名『白い暴君』。一生に数個しか卵を産まず、満腹になれば1年はそのままでいられるという彼らは、人間や他の種とは殊更一線を画しているように思える。
「しかしそれならば尚更怒り、口惜しいことでしょう。ええ、ありありと伝わってきましたとも!」
 庚は憤懣やるかたないと言うように告げる。一同は盗んだ者――悪徳商人につく傭兵たちを追う途中、タイラントオオシマエナガたちの縄張りを通過していた。庚に動物疎通の力はなかったが、あの怒りは誰が相手になっても明らかだった。
『ベイビーちゃまは、このカノエが必ず! 取り戻して差し上げますから、お待ちくださいまし』
『いいか、俺たちが戻ってくるときは卵も一緒だ。暴れるのはまだ早いからな!』
 庚と『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)でさらに念押ししては来たものの、縄張りはイレギュラーズが返ってくるまで無事だろうか。あまり時間をかけすぎて我を忘れてしまうような事があれば――末恐ろしい。
「もしも手がつけられなくなったら……私がタイラントオオシマエナガ宥め隊の隊長として。いえ、絶対に『誰にも』渡しはしませんけれど!」
 ごくりと息を飲んだ『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)は一瞬だけある方向を見る。同じ方向を数名が追いかけて、頷く。『灰色の残火』グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)はその様子にひとつ目を瞬かせた。
「……何故仲間に警戒してるんだ?」
「さあ?」
 肩を竦める『観光客』アト・サイン(p3p001394)。ノースポールは「卵ハンターがいるんです」とグリジオに教えるが、卵ハンターという言葉もまた聞き慣れないものである。
「それにしても、失敗したらタイラントオオシマエナガ宥め隊の隊長としてポールが代わりに産卵するのか……」
「しませんがっ?」
「ポールの卵は僕がいただくつもりだったのに」
「あげませんがっ!?」
 ノースポールのツッコミを総スルーし、アトは頑張って卵を取り戻そうと皆に告げる。全てはノースポールがいつか産む卵のため。いつかがいつなのかもわからなければそも卵生なのかもわからないが。
「……こういうことです」
「成程……成程?」
 額を手で抑えたノースポールにグリジオが頷き、そして首を傾げる。まあ憲兵なり傭兵をしていればどこかしらで不思議な人物(柔らかな言い方)には出会うものだが――彼はそんなに卵が好きなのか。
『オムレツがいいのだわ!』
『ポーチドエッグがいいのだわ!』
「頼むから黙ってくれ」
 きゃいきゃいとはしゃぐ声は、けれどグリジオ以外の誰にも聞こえない。余程人ならざる者に親和性が高くなければ、だが。周囲を漂う光たちへ仲間に聞こえぬよう釘を差したグリジオは庚を見やった。
「このまま道なりか?」
「そのようですよ」
 庚は獣道を見やる。彼らも早く移動したいのだろう。だが、街などへ逃げ込まれる前にここで追いつかなければ。

「……いたぜ」
 やがて遠目に見えた人影へカイトが呟く。まだ遠い。振り向かれなければ気づくこともないだろう。
「アクセルさん、どうですか?」
「うーん……」
 ノースポールの問いかけにアクセルが唸る。彼の透視をもってしても――というか、遠い。遠いのだ。近づけば気づかれてしまうだろうし、しかし遠くてはそもそも肉眼で見られない。予想していた事態ではあるが、ならば想定される方法はひとつ。
「戦闘に入るギリギリまで観察してみるよ。服の中に入れてる可能性は低いと思うからね」
 透視に限界はあるにしても、この地形では転ぶ危険性がある。荷物などに入れている方が自然な考え方だ。
「仕掛けるか。これ以上逃げられるわけにはいかない」
「はい。宝物を取り返しましょう……!」

 ――ピィイイイイイイイイ!

 戦いの火ぶたを切るように、カイトの鳴き声が響き渡る。同時に展開される保護結界。傭兵たちの動揺する姿を睨みつけながら、一同は勢いよく駆け出した。
「……見つけた! 左のナップザックを背負った男だよ!」
 アクセルが透視で卵を見つけ、その言葉に男がはっと表情を厳しくする。その脇を緋色の翼が駆けた。
「ちっ見つかったか」
「逃がすな、ここで仕留めるぞ」
「――逃がさない? いいや、てめぇらが逃げられないんだよ」
 狩りの時間だ、と緋色の大翼が敵意を煽る。追ってグリジオ小さなため息が傭兵たちの耳に入った。
「ったく、後の事を考えて仕事を選べよ。質を下げるような仕事をされると迷惑なんだ」
 グリジオが構えれば傭兵たちもまた武器を構える。そちらへ向いた意識の隙を狙い、ノースポールが躍り出た。彼女の手にした虚無の剣がナップザックを抱える男の手足を狙うが――その身は素早い。だからとて諦めるなど出来ようか。
「もういちどっ!!」
 踏み込み、剣を薙ぐノースポール。小娘1人、されどその気迫に押された男は躱しそびれたか。ナップサックの肩紐に剣先が引っかかり、ぶちりと切れる。咄嗟の事に一瞬硬直した男の横へ飛び込み、ノースポールはナップザックを抱きしめて地面を転がった。
「おい!」
「ポール!」
 敵の怒声。そしてアトの声に素早くノースポールは身を起こし、「無事です!」と叫ぶ。味方陣営へ走り出す彼女に、しかし敵もそう易々返すわけにはいかない。ノースポールに負けない素早さを持つ傭兵たちの攻撃にノースポールの白が赤へ滲み、その体は重くなっていくけれど。
(――守る!!)
 意志が小さな奇跡を起こし、彼女の体を前へ前へと進めていく。なお追いかけようとする傭兵たちにアクセルの魔砲がぶっ放された。
「させないよ!」
「お前たちの相手はこっちだ。逃がすつもりはないぞ」
 エイヴァンはノースポールを背中へ隠すように立ちはだかり、その敵意を引き付ける。一瞬足を止めた傭兵へ、疑似的生命が飛来した。
「悪影響を与えるのはカノエも好くところ。さあ、坊やたちとも遊んであげてくださいね」
 庚はにぃ、と口端に笑みを浮かべる。愛らしく可愛らしい――まるでミニ庚のような――疑似生命たちは傭兵たちを混乱へと陥れていく。
 だが彼らとてただやられている訳にも、そして卵を奪われたままでもいられない。振り下ろされた強力な攻撃にローザ・グランツ(p3p009051)が息を詰める。
「卵は渡さないぜ! 子供は親元で育つべきなんだ!」
 優れた回避力と瞬発力を持つカイトですらも、数が集まれば傷を受けざるを得ない。それでも諦めない意地があるのだ。
(あちらに負担が大きいか)
 グリジオはその様子をちらりと見ると敵を煽り、自らの方へと敵視を向けていく。強かに叩かんとした攻撃はすり抜けられるが、すかさず傭兵の背後へ回り込んだアトが一撃を叩き込んだ。
「ゲリラ戦ってのは観光客の得意分野なんだ」
 すぐさま背後を離脱したアト。跳躍して木の上へ登れば戦況は良く見えた。
(卵はポールが確保済み、このままミッションコンプリート……といきたいところだけど)
 状況はいう程良いわけではない。なにより仲間たちの意思は『撤退』より『被害の防止』に重きを置かれている様だ。このまま傭兵たちを野放しにすれば再びがあるかもしれないし、何より鳥にとって大切な卵を奪うという行為は許しがたい、と。
「じゃ、まともに殴り合うか」
 ひょいと木の上から飛び降りて。アトは傭兵の死角を縫うように奇襲を狙い、仕掛けていく。
「おい、このままじゃ――」
「逃がす気はないぞ」
 一番に劣勢を感じ取った傭兵も、エイヴァンによるガードから完全には逃れられない。絶対零度の冰砲撃に白目を剥いた傭兵から次へと視線を巡らせれば、アクセルの放った光が激しく瞬く。
「『彼ら』も酷くお怒りなんでな。アンタらこそ逃げられるなんて思わないことだ」
 グリジオは逃がさまいとする敵の攻撃をものともせず不敵に笑う。舌打ちした相手は不意に黒いキューブへ包まれた。
「ええ、ええ。逃がさないのはこちらの科白ですとも」
「皆さん、もう少しです! 卵を守り切りますよ!」
 庚が目を細める背後でノースポールの超分析が味方を癒し、同時に言葉が士気を押し上げる。

 傭兵たちとの戦いは時に攻勢へ、時に劣勢へと揺らぎながらも――確実にイレギュラーズの勝利が近づいていた。



 ――そんな剣戟も怒号も止んだ頃。

「さて、知ってることだけは話してもらわないとな」
「ちっ……」
 目の前に立ちはだかったエイヴァンに舌打ちをし、苦々しい表情を隠そうともしない傭兵たち。しかし彼らは縄で縛られており逃亡などできようもない。このあと彼らがどうなるのかについて、イレギュラーズに興味はない。たとえ信用が落ちて依頼がなくなろうとも、どこかの路地裏で野垂れ死のうともそれは因果応報だからだ。
 だが、禍根は立たねばならない。
「バックにいる悪徳商人だったか? そいつについての話を聞かせて貰おう」
 エイヴァンは盗賊たちの前でガンを飛ばす。主犯を叩いておかなければ、こういった末端の者はいくらだって湧いてくるのだ。逆にここで叩いておけたなら、似たような商人たちにも『同じことをすればこうなるぞ』という釘を差せることだろう。
「誰が話すかよ」
 しかしこの後に及んでも傭兵たちは強気である。それだけ十分な金を貰っているということだろうか。命ぐらいは助けてやるとエイヴァンが告げても頑なな口は腐っても傭兵――依頼について口外するつもりはないようだ。こればかりはエイヴァンにとっても誤算だったかもしれない。
「……ふん、なら仕方ない」
 情報を話そうが話さまいが彼らがまず行く場所は決まっている。依頼とはいえ彼らが悪事を働いたことは事実だ。然るべき場所で然るべき罰を受けるため、鉄帝の軍にでも引き渡すとしよう。
「皆もそれで構わないか?」
「はい!」
「任せるよ」
「俺はついていこう。アンタを疑う訳じゃないが、隙を突かれる可能性もある」
 仲間たちからの反対意見も特にないということで傭兵たちを立ち上がらせたエイヴァンにグリジオが告げる。確かにこの人数を1人で連れて行くとなると、非常時に動ける人間がいた方が良い。それに引き渡した後、商人について有力な情報を連携してもらえるよう取り計らってもらわねば。
「頼む」
「ああ。卵とシマエナガはそちらに任せる」
「おうよ!」
 グリジオの言葉にカイトが自らの胸を叩く。グリジオの傍らでは『もふもふは?』『もふもふが見たかったのだわ!』と蒼紅の光――双子姫が訴えかけているが、今回ばかりは諦めて頂こう。
 こうして一同は二手に分かれ、片やは傭兵たちの連行、片やは卵を返しに行くこととなった。卵を壊さぬよう、往路とは転じて慎重になりながら進んだイレギュラーズたちは、やがて白く丸っこいフォルムを見つける。向こうもイレギュラーズが見えたようでぴょこぴょこと跳ね始めた。
「愛らしゅうございますね」
 その動きにほっこりする庚。けれど彼らのあれはまだ『見知った人間が来たから嬉しい』ではなく『卵はどうなった』という催促だろう。
「お待たせしましたー!」
「卵、取り返したぞ!」
 ノースポールとカイトの言葉により一層ぴょこぴょこ跳ねるタイラントオオシマエナガたち。ノースポールがもこもこのコートに隠していた卵を巣へ返してあげると、タイラントオオシマエナガたちはまるで「ありがとう」と言わんばかりの彼女へ羽毛を擦りつける。
「ついでに温めておきましたよ」
「ジュリィ!」
「俺らを信用して待っててくれたな、ありがとうな!」
 周囲に荒れた様子はない。イレギュラーズが卵を持ち帰ってくると信じて暴れださずに待っていてくれたのだと思えばじんわりとこみあげてくるものがある。
「卵が戻って良かったね!」
「ふふ、体も心もぽかぽかいたします」
 にっこり告げるアクセルの傍ら、ノースポールとタイラントオオシマエナガの戯れにほっこりする庚。ノースポールに温められた卵はいずれ無事に孵ることだろう。
(まあ、コートに入れてた理由はそれだけじゃないんですけど……)
 タイラントオオシマエナガにこすりつけられながらノースポールは苦笑を浮かべる。だって、このパーティには――。
「卵は無事に確保したし、ポールの産卵はしばらくお預けだな」
「産みませんってば!」
 心底残念そうなアトへそう切り返せば、アトはけれどと目を光らせる。その先にいるのは飛行種である、つまり卵生の可能性がある2名。
「はぁ!?」
「オイラも!?」
 ぎょっとするカイトとアクセルにアトはにじり寄る。なんか。目が。やばい。
「さあさあさあ!!!」
「いや何言っ……な、なんだ何をする気、」
「に、逃げろー!」
 アクセルの叫びに弾かれたような速さで逃げ始めるカイト。続くアクセル。追うアト。そんな3人を見てノースポールは乾いた笑いを零した。
「あっという間でございますねぇ」
「ええ、本当に……まあ」
 あちらがどうなるのかは置いておいて、とノースポールは視線をタイラントオオシマエナガへ向ける。彼らの子供が助かったのだから、良しとしようではないか。

成否

成功

MVP

庚(p3p007370)
宙狐

状態異常

ノースポール(p3p004381) [重傷]
差し伸べる翼
ローザ・グランツ(p3p009051) [重傷]

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 タイラントオオシマエナガによる森林破壊も行われなくて良かったですね。

 それではまたのご縁をお待ちしております。

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