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シナリオ詳細

TAX WAR †炎の脱税物語†

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●税が命より重い世界があるらしい
「いい? 私はこの通り未成年のセブンティーンだし王都の口座にも去年からずっと外部からの入金がないわ。つまり無収入。よしんば私が成人だったとしても住民税非課税対象者のはずよ。あとこれは家の前に横たわってた酔っ払いよ」
 わかる? って言いながらアザラシみたいにスヤァしたヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)を指さした。
 ヴァレーリヤ=ウォッカノムヤ=イナヤネルヤはお口にウォッカの瓶をくわえたまま仰向けにねんねしており、時折ちゅーちゅー瓶を吸っていた。
 未成年っつーならむしろこっちのほうが(体系的にも)未成年っぽいが24歳の成人女性である。
 ゼファー (p3p007625)はやれやれねとつぶやいて首を振ると、家賃用の自己入金とその支払いだけでアップダウンしている通帳をヴァレーリヤ=ゼイキンッテナニ=ソレオサケデスノの顔面に叩きつけた。
「さて、言いたいことはあるかしら?」
 腕組みしてプレッシャーをかけてみたゼファーに、黒服にサングラスの男達はしばらーく黙っていたが先頭の一人がサングラスを外して胸ポケットにいれた。
「反論は三つある」
 指折りしながら語り始める男。彼の胸には『税務官』の身分と『コールス』という名前を示すバッジがついていた。
「まずこの土地の領主は年齢に関わらず税を課している」
 部下に手を出し、ミントケースを渡されるとそれを開いてミントタブレットを二個ほど口に放り込む。
「つぎに、この土地では収入に関わらず税を課す決まりだ」
 口の中でミントをかみ砕きながら、片眉を上げてみせるコールス。
「三つ目は思いつかない」
「長官……」
 後ろで控えていたアジア系の女性がそっと耳打ちする。
 と、コールスは『あー』と口を半開きにしてから、床で寝てるヴァレーリヤ=ナンデココニ=イルノヤラを指さした。
「この女はこの土地にビヤガーデンを勝手に開いた末税を納めずに逃げた」
「ぬれぎぬですわ!!!!!!!!!」
 ビコーンと音がなるかというほどに起き上がったヴァレーリヤがおくちに咥えていた瓶を吹き出した。
 壁にぶちあたって砕け散る瓶。
「ああああれは違うんですのよ皆でお外でおさけのみましょうねってお友達がいうから持ち込んだお酒とちょっとぱんつを交換するルールをつくっただけであっぱんつに税なんかかかるはずないですわよね論破論破論破ですわー!」
 ウォッカが脳にしみすぎたのかどうかしたことを言い出すヴァレーリヤに、コールス長官は瞬きを二回だけしてから口を開いた。
「ぱんつ税はこの土地にもある」
「やぶ蛇でしたわーーーーーーーーーー!!!!」
 ちくしょうこんな家にいられるかとばかりにクロスアームで窓をかち割ってお外に飛び出すヴァレーリヤ。
 コールスの後ろに控えていたタックスマンたちが『逃がすかァ!』といって拳銃片手に家を飛び出していくと、コールスは再びサングラスを装着してからゼファーへと……。
「おっと」
 見ると、ゼファーは反対側の窓からダッシュで逃げていた。
 やれやれといってからミントケースを部下に返すと、かけていたサングラスを外して地面でたたき割った。
「捕まえろ! 追加徴税だ! 税務官を舐めたらどうなるか思い知らせてやる!!」

GMコメント

■オーダー?:脱税だ!!!! 走れ!
 あなたは突如おうちに税務官がやってきて追加徴税を求められました。
 理由? 幻想のこの土地に住んでいてもいいですし、たまたま部屋を借りていたからでもいいですし、なんなら商売をしたからでも構いません。
 彼ら税務官はこの土地独特のへんな税法に則ってあなたからお金をむしりとろうとしています。
 どうやら言いくるめるのは無理そうなので、街の中をとにかく逃げ回りましょう。
 彼らの追っ手をまくことができれば成功です。
 もしできなければ……あなたには恐ろしい末路がまっているでしょう!(税的な!)

 といっても本当に税を課すわけにはいかんので、かわりにパンドラを減らしますね。

■追加ルール
 もし全員が力を合わせて税務官から逃げ切り、なおかつ税務官に怪我を負わせないなどの比較的平和的(?)な解決が図れた場合、思ったよりも支払いが浮くという意味をこめて依頼報酬のGOLDがチョット増額されることがあります。
 がんばろう! 平和的な脱税!

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『幻想』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

  • TAX WAR †炎の脱税物語†完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年12月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
※参加確定済み※
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
復讐者
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
※参加確定済み※

リプレイ

●『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)の脱税物語
 カカン! という拍子木を打った音と共に、しゃなきゅんのポスターが飾られた畳部屋で見栄を切るルル家。
 ハッと振り返って超高速でポスターをしまうルル家。
「確かに拙者の店には不思議と帳簿に載ってないお金がありますし、領地では遊技場で文鎮を得て、その近所に文鎮を売る場所があったりします!
 ですがそれは全くの偶然! 奇跡のマリアージュ!
 脱税などと濡れ衣を着せるのは卑劣千万!」
「なるほど三店方式ですか」
 税務官は眼鏡をくいってやってから。
「この土地ではそれもアウト対象ですね」
「脱税御免!」
 言いくるめが効かないとみるやクロスアームで窓かち割って野外に逃げるその手際。さすが片目なくした後もっかい片目はいっただけのことはある。
「悪法も法! 税務官を打ち倒すのは宇宙警察忍者として承服し難いですからね! ここは逃げに徹しさせてもらいますよ!」
 ルル家の跳躍力たるや見事なもので、屋根から屋根へ助走をつけて飛び移りながら通りの向こう側へと逃げていく。
「この足には税務官殿もおいつけま――」
 振り返ると奴がいた。
 空中を下半身だけシャカシャカさせてまっすぐ走ってくる税務官YAYAYA。
 握りこぶしは今にもルル家の後頭部にめり込ませんばかりに血管が浮きあがっている。
 が、しかし!
 足で逃げ切れぬからといって諦める宇宙警察忍者ではない。
 宙返りをかけて通りの真ん中へ着地すると、今度は宇宙パルクールによって都市内を逃げ――。
「フンッ!」
 華麗なカーリングフォームで税務官が放ったのは『しゃなきゅんをしゃなしゃなする本』であった。
「おおっと手足がすべった!」
 走り出そうとしたルル家は直角にカーブ&ダイブしすべりゆく本をゲット――した途端足下から発動した仕掛け網にからめとられた。
「…………」
「…………」
 至近距離で見つめ合うルル家と税務官。
 ルル家はじっと目を瞑った後……。
「ここは、これで……」
 懐から取り出した『しゃなきゅんの羽根はむりまくりすます本』を網の間から通すと、税務官はそれをシュッて高速で懐にしまいこみ……二人は固い握手を交わしたのであった。

 犠牲は出たが脱税成功! やったぜ!

●『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)の脱税物語
「なでなで税って何? 仲の良い女の子をなでなでしたら税金かかるなんて聞いてない」
『言い掛かりではあるが、逃げる算段は出来ているか?』
「わざわざ装備借りてきたし逃げ切ってみせるよ」
『油断せん様にな』
 ティアはテーブルにおとなしく座り、部屋へと入ってきた税務官を笑顔で出迎えた。
 徴税の話を切り出す税務官へややくいぎみに制すると、そこへ座ってと向かいの椅子へ指を指す。
「分かった、まずはじっくり話したいからお茶でも用意するよ」
「いいでしょう」
 ポニテにインテリっぽい眼鏡の税務官は言われた通りに椅子に腰掛け、ティアは『じゃあ準備をするね』といってキッチンへと立った。
 しかし本当に茶を出すつもりなどない。ティアはキッチンの窓を開け翼を――。
「どこへ行かれるので?」
 広げようとしたその時、すぐ背後から声がした。
 全く気配を感じさせることなく忍びよっていたのである。
「――ッ!」
 こうなればもはやおしゃべりをする時間はない。
 窓から素早く飛び出し、同じく飛び出してきた税務官めがけて強引な魔力砲撃をぶちかました。
「まだ追い掛けて来るなら次は当てるよ」
 そう言いながら取り出した魔力爆弾――が、手の中で爆発。
 税務官はティアの手首を掴んで、至近距離で眼鏡を光らせた。
「抵抗されることは……予め想定していました」

 この後、適切ななでなで税を支払うことでティアは釈放された。あのあと出したお茶が美味しかったからという理由で、抵抗したことは罪には問わずにいてくれるという。
「仲間を売るような人はなるべく信用しない様にしないとね」
『一緒に居る時にされたならやり返したらいいだろう?』
「そうだね、本装備に戻したらとりあえず模擬戦でもしようか?」

●『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)の脱税物語
 何なんですかー? 脚税っつーのは。
 はぁ、剥製の。いやーでも私剥製なんてもってねーですよー。
 ほら、何の変哲もない脚のコレクションにごぜーますー。
 何がいけないんですかー?

 というやりとりがあってからおよそ3分後。
 ピリムは都の裏通りをものすごい勢いで走っていた。
 真上を宇宙刑事忍者が屋根から屋根へ飛んでいったが気にしている暇はない。
 なぜなら後ろからほぼほぼ同じスピードで税務官が追いかけてくるからだ。
「…鬱陶しいですねーしつこいですねー。私が何したってんですかー。ただ、自分で手に入れた脚をコレクションしていただけじゃねーですかー」
「ピリム・リオト・エーディさん、いいことを教えましょう」
 サングラスをした税務官はキラリとレンズを光らせて言った。
「だれかの脚を自宅にとっておくのはセーフです」
「セーフ……」
「しかし遺体保管は特別に登録がない限り課税対象です。脚は通常の3割ですが、まだお支払いいただいていませんね?」
「この税務官ー……」
 へんなところで柔軟性がある。
 こういう手合いはピリムの苦手分野だ。
 口でいいくるめるより、倒してしまったほうが早かろう。
 ピリムは逃げる脚を止め急速反転。
「なら新しいコレクションに加えてやりますー」
 妖刀がはしり税務官の脚を切り裂く。
 が、同時に脚を犠牲にした税務官はピリムに魔法のロープを伸ばして上半身を拘束。
 同時に転倒。
 これ以上の抵抗は余計な罪がのりかねない。
 ピリムは両手をあげ……たところで、税務官は脚を自己再生しながら立ち上がった。
「ピリムさん、いい腕前です。どうでしょう……私の望む脚一本と引き換えに半分免除するというのは」
「この税務官ー……」
 どうやら、同類さんであったらしい。

●『精霊の旅人』伏見 行人(p3p000858)の脱税物語
 行人は復讐の炎に燃えていた。
 ひとつ所に留まらぬことで税もしがらみも受けることなく生きてきた行人に、税収にがめつい土地の領主はものの売買に対し特例的に重い税をかけ行人の財産をかすめとろうと画策したのである。
 事前にそのことを知った行人は友人の助けを借りてある地下集会場へ。
 そして住民達へこう演説したのである。

 ――諸君。俺はジッポの友人、伏見行人という。
 君たちは、この地で税金の煩雑さに辟易した事はないか?
 他領ではかけられていない税金がこの地でかけられているのは何故だ、と思った事はないか?
 俺もその口だ。領民ですらない俺にもこれだけの税が課せられるのだと!
 税金とは国家ないし、領地を運営する上で不可欠な物だ。だが、それは!
 俺達から搾り取ればいくらでも取れる物じゃない。
 これはおかしいんじゃないか?と、そろそろ声を上げても良い頃だと俺は思う。
 徴税官は今、俺を含めた8人から税金を搾り取ろうと躍起になっている。
 これは他領どころか、他国ですら有り得ない光景だ! この事実を知られるならば、これは国の恥となるだろう!
 故に、今。声を上げよう。
 俺達は税金を収穫される畑ではない。人間だ!!
 こんな税制はおかしいと。この声を、世界へと届ける為に!

 効果は絶大だった。領主がガメツかったことも相まってたまった不満は爆発し、皆武器をとって領主の館へと突撃。
 対する領主はマッスル税務官を大量投入してこれを見事に鎮圧……したが。
「俺はその間にさらせてもらおう。土地を出た旅人にまで、税をとることはできないだろうからね」
 まんまと逃げ延びた行人は、徴税を免れたのであった。やったぜ。

●『never miss you』ゼファー(p3p007625)の脱税物語
「冬を越すための借りた家がまさかこんなインチキがまかり通る領地だったとはね! 妙に家賃が安いと思ったわよ畜生!」
 幻想の町中を猛ダッシュするゼファー。
 酒屋の樽を踏み台に二段ジャンプし民家の屋根へ飛び乗ると、通り三つほど挟んだ先でぴょんぴょん屋根伝いに飛び移るルル家や裏通りを走るピリムやなんかお空でバトってるティアを横目に一つ隣の露天だらけの裏通りへと着地。
 無数の税務官たちが『いたぞ!』と叫んで追いかけてくるが、ゼファーは捕まる気などさらさらないといった風に走り出した。
 通りかかる農夫が藁を円形に編んだものを運ぶさなか、その円の中を身体を小さくしながら跳躍してくぐり抜け、果物が並ぶ大きなテーブルを助走をつけた跳躍と片手はね宙返りによる滞空で無理矢理飛び越え、野外合コン中のベンチの下をスライディングでくぐり抜ける。
「これだけやれば……」
 さすがのゼファーも息を切らしてふりかえる……と、一人のオールバック女性税務官が眼鏡をクイッてやりながら陸上選手さながらのスピードで追いついてきていた。
「思ったよりタフで器用なヤツ! こんな人員ピンポイントで用意できるわけないわ。さては……」
 ゼファーは何かを察し、そして地面にわざとらしくコインの入った袋を落とした。
「ああっ! あんなところに」
 そしてまたわざとらしく、十字路を曲がった先を指さす。
「おらー、待ちなさい! 大人しく捕まらないと、税金100倍&なぜか体重が軽くなるドキドキ闇医者ツアーの刑でしてよ!」
「ふふふ! 悪い脱税者はどこだい? 大人しく投降しないと追加徴税5000兆Gだよ!!」
 ウェスタンな縄を頭上でくるくるしてる税務官二人がいた。
 誰がどう見ても偽物の言動だった。
 落ちた袋をそっとひろい、こっくりと頷く税務官。
 ゼファーもまたこっくりと頷き、そして再び逃げに徹したのだった。

 こうしてゼファーはそれなりのお金を引き換えに『あまりに素早くて捕まえられなかった』ことになった。やったぜ。

●『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)と『白虎護』マリア・レイシス(p3p006685)の脱税物語
 みんな大好きVDMランド。
 総施工費がすごいことになってる事で有名なこのテーマパークにはある疑惑があった。
 お土産売り場にめっちゃ売られてる酒。かなりありえない値段で売られてるヴァリューシャ人形。謎の入場料をとられる博物館。園内で飼育されているとら自称するなぞの生物。どうみても飲み屋でしかない食堂。そんな数々の施設のプロデューサーや学芸員や管理人として登録されているヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(前科数犯)の存在。
 いままでブッコまれなかったのがおかしいというか、財が膨らむまで待ってたからとしか思えないダーティーっぷりを発揮するテーマパークである。
「は? なんだって? 税金が滞納されているだって? それは何かの間違いさ!
 私の一番信頼できる女性に税務管理を任せていたんだ! そんなことあるはずないさ!」
「そーですわそーですわ!」
 ランドにブッコミかけてきたマッスル税務官たちへ、両手を広げてここは通さないぞの姿勢を貫くマリア。
 その後ろでウォッカラッパ飲みしてるヴァレーリヤ。
「見るんだこの信頼できる姿を! 確かに今はウォッカをラッパ飲みしてるしさっき虹色のなにかを吐いたけどヴァリューシャはこの世界にやってきた私が最も信頼する最高に……最高に素敵な……」
 ちょっと涙ぐみはじめたマリア。
 脱税を示す証拠書類を見せられて殺気飲んでたウォッカを全部ぶしゅうって吹き出したヴァレーリヤ。
「……う゛ぁりゅーしゃ?」
「マリア、ちょっと」
 ちょいちょいと手招きされたマリア。肩を組んでひそひそ話した後、マリアはネクタイをきゅきゅってやってから税務官たちの前にもういちど立った。
「あっ、空にブラックタイガーくんが!」
 おそらを指さすマリアにはははまさかそんなって肩をすくめていた税務官……がちらっと見ると本当にブラックタイガーくんがいっぱい風船つかんでぷーかぷーか浮いていた。
 うそやん。
 とか言ってる間にとらぁカート(二人乗り)に飛び乗ったヴァレーリヤがロープで結んだ酒瓶を鎖分銅みてーな勢いで税務官にぶちこんでガシャーンした。
「さあ逃げますわよマリィ! 二人の逃避行、暁のランデブーですわ!」
「何言ってるのかわかんないけどわかったよヴァリューシャ! 一緒に行くー!」
 二人は税務官の服を手早くむいて風呂敷に包むと、ランドの管理を泥酔状態のトラコフスカヤくんにまかせてとらぁカートのアクセルをべた踏みする。
 いってらっしゃいおやびーんと手を振る声を背に、二人の逃避行が始まった。

 逃避行は苦難を極めた。
 度々現れる追っ手の税務官たちからヴァレーリヤの豪快なドライビングテクニック(飲酒運転)で逃げ切り、時にはマリアのドリームシアターでやり過ごし、時には金貨をえいって叩きつけて帰らせた。
 二人は夕焼けの湾岸をとらぁカートで突っ走りながらどこまでも逃げますわわたくしたちボニーとクライドですわとかいいだすヴァレーリヤになんかマリアも充実している雰囲気だった。
 そんな二人がたどり着いたのはそう幻想の街。
 ここでも税務官が闊歩しているのを見た二人は、奪っておいた税務官コスチュームに変装した。
 スキットルをキラリとかまえるミニスカ税務官ヴァレーリヤ!
「ムーンライトを見逃しませんわ」
 手錠をじゃきーんと構えるミニスカ税務官マリア!
「今年からラーメンにも税金がかかったよ!」
 彼女たちの変装を見破ることは、たとえおなじ税務官であっても困難だ。
「おらー、待ちなさい! 大人しく捕まらないと、税金100倍&なぜか体重が軽くなるドキドキ闇医者ツアーの刑でしてよ!」
「ふふふ! 悪い脱税者はどこだい? 大人しく投降しないと追加徴税5000兆Gだよ!!」
 その言動を除いては。
「ああっ! あんなところに」
 こっちを指さすゼファー。
 こっちをガン見する税務官。
 ヴァレーリヤとマリアは一度振り返り、そして全力ダッシュで逃げ出した。
 あのアクロバティックゼファーにおいついたほどの税務官から逃げるのは、流石に無理ってもんだぜ。

 結果、マリアは『これでゆるしてくれー!』といって札束を封筒にいれて地面に置いた。
 払えばいいんですよ払えばつって封筒をとりあげる税務官。
 マリアとヴァレーリヤは素早くその場を後にする……が、封筒から取り出した紙幣には、泥水したヴァレーリヤの顔が印刷されていた。
 VDMランドでつかえる専用紙幣『ヴァリカ』である。
 つまり、わずかなお金で逃げ切ったのだ。やったぜ。

●『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)の脱税物語
「コンプルソル(徴税官)ですって……? 冗談じゃないわね。ローマ市民の権利として直接税の免除を主張するわ」
 ここぞとばかりにローマを出してくるルチア……だが、やっぱりというか幻想の税務官には通じなかった。『よくいるんですよねそういうひと』って顔をされただけだった。
 そうここは幻想王国のおうち。港に海洋産の香辛料とか珈琲とかめっちゃ積んだ船をつけて街に売りさばいたらがっつり徴税されたのである。
 いい儲け話あるぜとか知り合いに言われてやったらしく、儲けた金は適当に割って残りは装備だの娯楽だのに費やしたが……まさかここに結構な割合で税金がかかることは知らなかったルチアである。
「けど、相手が悪かったわね。私は栄えあるローマ市民。教会でもない限り私に強制力はないわ!」
 ローマルールを適用して家の中へと引っ込むと、強引に突入してきた税務官たちをしりめにソファの横に置いてあったジェットパックを装備、からの窓からダイナミック外出。
 飛行可能な税務官が翼を広げて追尾してくるが、なにもお空で決着をつけるつもりはなかった。
「教会の次に強制力をもつ組織……そう、商会が私にはついてる!」
 今回の儲け話をふってきた知り合い。つまりはそこそこ大きな商会の人間にわたりをつけるべく館へ直接飛び込むと、あとから飛び込んできた税務官が門の外で止められた。

 これで終わり……かと思いきや、商会はどうやらルチアを売った方が利益になると計算したらしく税務官がルチアを待機させた客室へと踏み込んできた。
 今度こそチェックメイトなのか。ルチアはローマルールを破壊され徴税されてしまうのか!
 しかしここは混沌世界で場数を踏んだルチアのこと。
 商会すらも信用できないとふんで、先んじて部屋から脱出。既に海洋行きの船へと乗っていたのだった。
 これにて脱税成功。やったぜローマ!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 皆さんのがんばり(?)によりちょっとだけ脱税に成功しました。
 GOLD報酬がちょっとだけ上乗せされています。

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