PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<星屑綺譚スタアライト>星屑祭

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●星の街
 吐く息が白くなり、ちらちらと雪が降る季節。
 此処、スタアライトでは星屑祭の準備が着々と進んでいた。
 スタアライトには朝というものはない。
 空を見上げれば常に黒い天鵞絨に宝石を散りばめたような満点の星空が広がっている。
 そしてスタアライトには電気、というものもない。空から雨のように落ちてくる星の欠片を拾い集め、それを瓶に詰めたものを灯りとして使っているのだ。
 そして季節が巡り冬、聖夜と呼ばれる日に町の広場に大きなツリーを飾り、そこに各々が集めた星の欠片を飾りつけるのだ。
 朝、積もった雪の中から落ちている星の欠片を探してもいいし、店で売っているものを買ってもいい。それらを好きな形の瓶に詰めて、昼にツリーに飾る。中には思い出として持って帰る者もいる様だ。
 そして夜、聖歌隊の讃美歌をバックにツリーに飾られた星の欠片が灯りを灯す。
 ある者は世界の平和を、ある者は家族の健康を。
 様々な願いを込めて皆、星の欠片に祈るのだ。

●星屑祭
「よう、今回は久々に旅行気分が味わえる依頼が入ってきてるぜ」
 境界図書館にも聖夜という概念はあるのだろうか。ツリーに飾り付けをしていたらしい黒衣、朧があなた方に声を掛けた。
「場所はスタアライトっていう異世界。朝が来ない世界で人々は星の欠片を集めて生活をしているっていう何ともロマンチックな世界さね」
 そうして朧は懐から小さな小瓶を取り出した。
 中には金平糖ほどの大きさの小さな何かが詰められ眩い光を放っている。
「これが星の欠片なのさ、こうやって瓶に詰めるんだと。そんで、お前さん達にはそのスタアライトで行われる『星屑祭』に行って欲しいのさ」
 所謂クリスマス、と言われる者らしく星屑を集めて作った瓶をツリーに飾り願い事をするらしい。
「なあに、そんな肩肘張る事はないさ。いつもどおり緩く息抜き感覚で遊んできてくれや。ああ、そう瓶は持ち帰ってもいいらしいぜ」
 そんじゃあよろしくと、朧はヒラヒラと手を振りあなた方を送り出した。

NMコメント

 はじめましての方ははじめまして。
 そうでない方は今回もよろしくお願い致します。
 ノベルマスターの白です。
 今回は異世界のお祭りに参加していただきます。カップルでもお友達でもグループでもお一人でも、お気軽にお越しください。
 グループ名の際はタグを、お連れさまがいる場合はお相手さまの名前をお願いいたします。
 今回のラリーは三章構成を予定しております。

●全体目標 
 星屑祭を楽しむ。

●第一章目標
 星の欠片を集めてオリジナルの小瓶を作る
 スタアライトの至る場所には星の欠片が落ちており拾い集めることができます。
 もしくはお店でもいろんな種類の星々が売っているのでそれを買うのもありです。

●行ける場所
 お店
町の至る所にお店があり、様々な星の欠片を売っています。小瓶も一緒に入りますよ。
 広場
まだ飾り付けがされていないですが大きなツリーに屋台の準備をしています。お手伝いをしてもいいかもですね。広場にも星の欠片は落ちてます。
 海
 冬の海で寒いですが、穏やかな波が寄せては返しています。砂浜には雪が積もっていますがよく見るとシーグラスや珍しい瓶もあるかも。
 山
 雪山です、アイゼンを着けて探してみてもいいかもですね。星空に近い場所なだけあって大きいものもあるかも。

●サンプルプレイング
 プレイングにはどこで星の欠片を集めるのか。
 どんな形や色なのか
 どんな瓶に閉じ込めるのかをご記載ください。

 場所:海
 欠片:透き通ったブルー
 瓶:星の形をした小瓶
 星の欠片なんてロマンチックね!
 せっかくだから海に行って集めてみようかしら。星の形をした瓶にリボンをかけたらもっと可愛くなるかなあ

 こんな感じです。それではいってらっしゃい!

  • <星屑綺譚スタアライト>星屑祭完了
  • NM名
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年12月31日 21時50分
  • 章数3章
  • 総採用数26人
  • 参加費50RC

第3章

第3章 第1節

「3――!」
「2――!」
「1――!」
 掛け声と共にツリーが点灯する。
 光眩い星の欠片で彩られたその大樹には皆が思い思いに飾り付けた小瓶が輝いていた。
 手を組み瞳を閉じて星に祈る者、ツリーの傍で身を寄せ合う者。
 空には流星群が聖なる夜を祝福せんとばかりに駆け巡っていた。
 
●第三章目標
 星屑祭を楽しむ
 長かったこの星屑祭のフィナーレです。
 ツリーはライトアップし、飾り付けた小瓶や星の欠片がキラキラと輝いています。
 空を見上げると流星群を見ることが出来ます。

●やれること
 自由です。
 広場でわいわい騒いでも良し、ツリーの下で過ごしてもいいし、静かに流星群を見上げるのも星に願うのも自由です。
 記載がなくてもこんなことがしたい! などもできる範囲で書かせていただきます。
 それでは星の祭りを楽しんできてください。 いってらっしゃい!
 


 


第3章 第2節

グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者

 ふと視界の端に滲んだ明るさに顔を其方に向けたグリーフ・ロスはそれが闇の中でうっすらと輝く町の灯りであることに気がついた。
「……ああ、始まってしまったのですか」
 掌に収まった赤の石と青の石。
 小瓶に詰めたそれらを眺めて物思いに耽っている間に随分と時間が経ってしまった様だ。
 後で小瓶を飾り付ける予定だったのだが、どうやら星屑祭は始まってしまったらしい。
「飾り損ねてしまいましたね。どうしましょうか」
 手持無沙汰に小瓶を指で弄びながら、ぼんやりと考えていると小瓶の表面に何かの光が流れて消えた。
「……?」
 その光の正体はなんだろうかと釣られて夜空を見上げれば。
 其処には大量の流星が瞬いては彼方へ消えていった。
 夜を彩るその軌跡をグリーフは瓶を翳して石越しに覗いてみた。
 白い流星が赤と青を纏い、時々混じった紫に身を染める。
 たった一瞬だが違った色合い、違った世界に見えてくる。
 赤の『私』の瞳を通した世界。
 青の『彼女』の瞳を通した世界。
 どちらの世界も、綺麗で尊いことには変わりがない。

「――ニア」
 今は居ない彼女の名前を呼んだ。
 たった二文字の名前はすぐに冬の冷えた空気に融けてしまったけれど。
 
 私を通して、貴女も見れていますか。
 世界には、まだまだ知らないことがたくさんで。
「綺麗なものがたくさんあるようですね」
 静かに微笑んだグリーフに応える様に流星が一筋煌めいて落ちていった。


成否

成功


第3章 第3節

エシャメル・コッコ(p3p008572)
魔法少女
エドガー(p3p009383)
タリスの公子

「3――2――1――メリクリなー!!」
 カウントダウンに合わせエシャメル・コッコは跳びあがった。
 ライトアップで照らされたツリーの煌めきにコッコのテンションは鰻登りであった。
「ついに星屑祭の本番がはじまったな! メリクリタイムな!」
「あぁ、めりくり? だな!」
 『めりくり』なるものは判らなかったが何かの挨拶なのだろうと推察したエドガーは彼女に合わせた。
「お店のお手伝いもなんとかまにあってよかったなー、エドガーにーちゃんありがとな!」
「なに、私としても困っている民を助けるのは当然だ」
 ツリーの準備に追われ、まだ準備が整っていなかった屋台の設営などを二人は手伝っていた。
 彼らの尽力もあり、全ての屋台がライトアップ前には設営が間に合っていた。
「さっそくお祭りをまわっていくな! コッコ、お手伝いしたからまたまたおなかがペコちゃんな。コッコはおいしいごはんをごしょもーな!」
「ははっ、なら食べ物の屋台へ行こうか。コッコは何が食べたい?」
 先程パンとホットチョコレートを収めたコッコの胃袋が、再びきゅるると鳴き声を上げた。何が食べたいと言われ、屋台を見渡したコッコはひとつの屋台を指さした。
「あそこに星屑キャンディーがあるな! にーちゃんアレほしいな!」
 星の形のキャンディの袋詰めを見つけたコッコが迷わずその屋台へ駆けだそうとする。
 落ち着きのなさを微笑ましく思いながらエドガーが声を掛けた。
「あまり急ぐと危ないぞ、キャンディーは逃げないから……ほら、ゆっくり流星群でも見ながら歩くといい」
「おおー! 綺麗なー!」
 頭上を行く流星に頬を染め、瞳を輝かせながらコッコは今度は空を見上げながら歩く。
 時折、夢中になり過ぎて転びそうになるのをエドガーが何度か支えてやった。
「あぁ、店主殿。すまないがキャンディーを一つ」
「まいど! お嬢ちゃん落とさないようにな」
「わーいわーい! 綺麗だなー! ありがとうなー!」
「では、支払いを……っと、待て待てコッコ、支払いが終わるまでは待っていてくれ……!」
 支払いをしているエドガーを置いて次の屋台へ繰り出そうとするコッコを何とか引き留める。
 子どもの興味と行動力は簡単に想像を超えるのだ。
「コンペイトウみたいな? ンマイからにーちゃんも食うな!」
「コンペイトウ……そんな菓子があるのか。ああ、これは美味い」
 コッコが差し出した小さな欠片を口にすると砂糖本来の甘さとかりっとした歯ごたえがなんとも楽しい。
「こっちはホットミルクな! とろとろのあまあまな! にーちゃんも飲むな!」
「と、次はミルクか。ありがとう、頂くよ」
 二人で並んでベンチに腰掛け寒空の下で温かい飲み物を飲む。
 冷えた体の奥がじんわりと温まる様でほっとエドガーは一息ついた。
「さぁ、次はどこだ? とことん楽しむとしよう!」
「お祭りはまだまだこれからなー!!」
 二人はまた星屑の明かりの中へと駆け出した。

成否

成功


第3章 第4節

イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って

「ツリー綺麗だねぇ、オフィーリア。ほら、あれ、俺達の瓶じゃない? どうかな? 違うかな?」
 ベンチに腰掛けライトアップされたツリーを指さすイーハトーヴ。
 嬉しそうに伸ばされた人差し指が徐々に下に降ろされていく。
 眉根を寄せてイーハトーヴは腕の中のオフィーリアを見下ろした。
「……あの、ね。俺、最近、君に心配を掛けてばかりでしょう?」
『ずっと前からそうだったわ』
「ふふ、そうだね。そうなんだけど……」
 吐息が冬の空気の中へ消えていった。
「……例えば、ね。外の世界の狂気だって、ものすごく怖かったはずなのに、今は、何で怖かったのかも思い出せないんだ。でもいつもは、そのことを変だなって感じたりもしなくて……」
 恐怖は『人』で在り続ける為の楔だという。
 ならば、それを忘れてしまった自分はどうなのだろうか。

「俺、もうすっかりおかしくなっちゃったのかなあ……」
『イーハトーヴ』
「ごめんね、君とお喋りできるのは、俺だけなのに」
『お願い、聞いて』
「俺がこんなんじゃ、君を、寂しくさせちゃう……」
『イーハトーヴ!』
 彼女の叫びが聞こえるのはイーハトーヴだけ。
 だが彼女の叫びにイーハトーヴは気が付かない。
「……あれ? 俺……何で泣いてたんだっけ?」
 嗚呼、神様。
「ふふ、楽しいお祭りの途中なのに、変なの! ねえ?」
 彼が一体何をしたというのですか――。
 異世界の流星のみがビーズの瞳から零れ落ちる涙を見たという。

成否

成功


第3章 第5節

メルティメルト(p3p009376)
深海

「あら?」
 雪の上で眠っていたメルティメルトは目を覚ました。星の欠片を探している内に疲れて眠ってしまった様で、ツリーは既にライトアップされていた。
「私も着けたいけれど…」
 ツリーを見上げると小瓶を取り付けられそうな場所は既に埋まってしまっており、高い場所しか残っていない。疲れるのは嫌だ。でもせっかく綺麗な深い青色の欠片を見つけたのだから飾りたい。
「疲れるから近くのひとにお願いしちゃいましょ! あの、そこのお兄さん?」
「なんでしょう」
 ツリーの下に居た青年にメルティメルトは声を掛けた。
「私も小瓶を飾りたいのだけど、もう高い所しか無くて……飾ってくださる?」
「いいですよ!」
 実は飛行で浮いているので自分で付けることくらい雑作もないのだがそれは秘密。
 さてこの青年、顔良し性格良しのなかなかの優良物件ではないか。
 目の中にハートを浮かべたメルティメルト。
「あの、もし良かったら私と」
「じゃあ僕、この後彼女と待ち合わせているので!」
 撃沈するまで訳三秒。
 王子様候補は彼のお姫様の元へ。
 だが乙女はそんな事ではへこたれない。
「いいなぁ〜、私も何でもお世話して楽させてくれる私だけの王子様はいつ来てくれるのかしら? 確かソリに乗ってくるって聞いたけれど……渋滞かしら? ならスムーズに進めるように私もお祈りしておきましょう!」
 それはサンタクロースだと思うのだが、彼女に訂正する王子様はまだ居ない。

成否

成功


第3章 第6節

三國・誠司(p3p008563)
一般人
アイシャ(p3p008698)
スノウ・ホワイト

 飾り付けが終わり、ライトアップが施されたツリーの下。
 流星が降る中でアイシャと三國誠司はベンチに腰掛け仲良く二人寄り添っていた。キラキラと輝く光の中でアイシャは大好きな兄と過ごせる幸せを噛み締めていた。
 誠司と共に過ごすだけで悲しかった事や辛かった事の痛みが和らいで、温かい気持ちになれるのだ。
 それは誠司も同じ事で、ツリーに負けじとキラキラとした表情を浮かべるアイシャに彼女の楽しい思い出をまた一つ増やせたと自慢げだった。
 出会った頃のアイシャは何かと自分の気持ちを抑え気味で、自分が楽しい思いをする事に罪悪感を感じる様な少女だった。その彼女が欲しいものを欲しいと言える様になった。その事がやはり傍で見守ってきた誠司にとっては喜ばしく、誠司はアイシャの頭を撫でた。撫でられたアイシャはというと、気持ち良さそうに目を細めている。そして暫く撫でられていると細めていた目をぱっちりと見開いた。
 青い瞳がるんるんとご機嫌そうに誠司を見つめている。
「お兄ちゃん、目を瞑って下さい」
「お? どうしたどうした?」
「ふふ、まだ秘密です!」
 アイシャの申し出に言われた通りに誠司は屈んで視線の高さを合わせてやり目を閉じる。目を閉じた事により、首の後ろに回ったアイシャの小さな手の感覚とチャリという何か硬いものが擦れる音が誠司にダイレクトに伝わった。
「もう開けても良いですよ」
 弾む様なアイシャの声を合図に目を開けると誠司の首元には先程アイシャが懸命に集めた星の欠片を詰めた小瓶が取り付けられたネックレスが揺れており、あの日の花火をなぞる様に鮮やかな光がチカチカと瞬いていた。
「これ」
 驚き目を見開いた誠司にアイシャは微笑んだ。
「まだ、お兄ちゃんの幸せがなんなのか。お返しが足りているのか、まだ私にはわからないんですが」

 お母さんの病気は治ってない。
 お父さんの行方もわからない。

 けれど、と一拍置いてから言葉を紡ぐ。
「お兄ちゃん、私はもう可哀想な子じゃありません。だってこんなに素敵なお兄ちゃんに会えましたから……」
 血の繋がりは無くても心で繋がれた。
 今なら自信を持って言える。
「お兄ちゃんが幸せになれるように、アイシャはこれからも頑張りますね!」
 出会った頃よりも、年相応の心からの笑顔と思いがけぬ贈り物に誠司は手で顔を覆った。
 目尻から何か熱い雫が滲んでは頬を伝って落ちていく。
 言葉にならないとは、こういう事を言うのだろうか。ゴシゴシと手の甲で乱暴に目を擦り、雫を拭う。
「ありがとう、アイシャ。ネックレス大事にするよ」
「はいっ!」
 アイシャを取り巻く環境は自分が想像するよりもずっと複雑で、問題はまだまだ山積みだけれど。
 それでもこの笑顔を守れるならば、もう少しこの世界で頑張ろうじゃ無いか。
 自分は、三國誠司はアイシャの兄なのだから。
 誠司の誓いに応える様に、彼の首元の星屑が鮮やかに煌めいていた。

成否

成功

PAGETOPPAGEBOTTOM