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シナリオ詳細

霊樹の魔女セスカと古の盟約

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鳥の群れが越冬のため、南へ飛んでいく。
 ちらほらと舞う雪風を切り、一人の少女が箒に腰掛け大空を駆けていた。
 大きなひさしのとんがり帽子に暗い色のローブ――魔女だろう。
「今日はあの町にしようかなあ」

 あそこにある街路樹の脇に下りよう。
 そんな魔女セスカは、旅行好きの占い師だ。
 世界中の町を渡り歩き、占いやちょっとした魔法の行使で生計を立てている。
「はー……さすがに鉄帝国は寒いなあ。冬はやっぱり海洋にしようかなあ」
 手を息で温めて、襟元を締める。
 初冬の風が吹き抜けて、セスカは帽子が飛ばないように押えた。
「まずは宿屋を探すのと、あとは晩ご飯のお店を見つけて、お仕事出来そうな所も探さなきゃ」
 セスカは今日やるべきことを、指折り数えながら町を歩いているが――
「っ、と、えええ! わっわぁー!?」

 突然走ってきたバイクを避けようとしたら、大切な箒が車輪に巻き込まれ、ばっきりといってしまった。
「ンダコラ! クソッタレが! 嬢ちゃん! あぶねーぞ!」
「クソッタレとは何よ! あー、もう、どうしてくれるのよ! 大事な箒なのに!」
「ったく、気いつけろや!」
「あ、ちょっと! 待ちなさいよ! もう!!」
 折れた箒を両手に抱えてバイクを追いかけるが、みるみる遠ざかってしまった。
「……あんのオッサン、あのままハードラックとダンスっちまえばいいのに。はぁー……」
 しかし困った。
 この箒は鉄帝国のとある谷に生えた霊樹が必要なのだが、って、この町の近くだ。
 それは結構なのだけど、谷は魔物が居る危険な場所だ。
 仕方が無い。
「ローレットに依頼出しますかあ……」


「そんな訳なんですよー」
 ローレットへの依頼を受けて、鉄帝国の町を訪れたイレギュラーズに、占い魔女セスカは切々と語る。
「あれがないと占いも上手く行かないんですよねー……もうほんと商売あがったりですよー……」
 なんでも谷には魔物がおり、セスカ一人では危険がマッハでやばいとのこと。
「こんなことお師匠様には頼めないですし……」
 ていうか霊樹とか折って大丈夫なのだろうか。
「それは心配いりません! 霊樹の精霊との契約で、私なら譲り受けることが出来ますので!」
 よくわからないけど、大丈夫らしいのでヨシ!

 イレギュラーズはセスカと共に谷へ赴き、霊樹から枝を授かる儀式の間、セスカを守ることになる。
「この儀式、霊樹が力を解放すると魔物がそれ食べに集まっちゃうんですよねー……」
 困った話だが、仕方が無い。

「終わったらその! ただで占ったりとかもしますので! どうかよろしくお願いしますっ!」

GMコメント

 桜田ポーチュラカです。
 占い魔女の女の子を守ってあげましょう。

■依頼達成条件
 セスカが霊樹から枝を授かる儀式の間、襲いかかってくる魔物を倒します。
 儀式が終わると逃げていきます。
 倒しきるか、儀式が終わるまで耐えるか、作戦次第です!

■フィールド
 霊樹までの道中は、敵がでません。
 道は分かっています。
 特に何もしなくてもいいですし、おしゃべりなんかしてもいいかも。

 戦闘は寒々しい谷にある、一本の大木の前です。
 明るくてかなり広いですが、足場は岩がごろごろしていて悪いです。

■敵
 霊樹が解放するエネルギーを喰いに集まってきます。
 魂喰いワーム以外は余り強くありませんが、数が多いです。

 ブラッドタミアス:4~16体
 最初は4体。時間経過で現れて、全部で16体です。
 1メートル程の、大きなリスのような怪物です。
 バランス良い能力で、鋭い前歯を剥きだしにして襲いかかってきます。
 出血や毒のBSをもっています。

 サンダーバード:2~6体
 最初は2体。時間経過で現れて、全部で6体です。
 中距離を飛び回り、感電のBSを伴う羽の嵐を吹き付けてきます。
 けっこうすばしこいです。

 ソーンクリーパー:6体
 最初は2体。時間経過で現れて、全部で6体です。
 蔦を伸ばして至近距離から遠距離まで攻撃してくる植物のモンスターです。
 蔦はトゲトゲで流血や猛毒のBSがついています。

 魂喰いワーム:1体
 最後のほう出てきます。一番強いです。
 十メートルぐらいのでっかいミミズのような敵です。
 噛みついたり、範囲をなぎ払ったりしてきます。攻撃全部にMアタックと呪殺がついています。

■同行NPC
 占い魔女セスカ
 ミドルティーンの少女です。儀式に集中しています。
 終わったら占ってくれるとか言ってます。あたるのかな?

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 霊樹の魔女セスカと古の盟約完了
  • GM名桜田ポーチュラカ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

杠・修也(p3p000378)
壁を超えよ
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
銀城 黒羽(p3p000505)
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール

リプレイ


 イレギュラーズとセスカは霊樹までの道のりを歩いて行く。
「空を飛べる魔女の箒か……」
 セスカの後ろ姿を見つめながら『壁を超えよ』杠・修也(p3p000378)は呟いた。
「子供のころに見た故郷の映画であったな黒猫と宅急便するやつ。あれは確か、ほかの掃除用具でも最終的に飛んだような気もするが、そういやどうして箒なんだろうな?」
「あー、箱とか絨毯とかも良いんですけど、何か魔女っぽいじゃないですか?」
 くるりと振り返ったセスカがにんまりと修也に笑いかける。
「それにしても『ハードラックとダンスっちまえばいい』って今日日聞かないですよ?」
 くすくすと笑いながら『騎士の忠節』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)がセスカをつついた。
「ふふ、口汚く罵ってしまえば、ぶつかったおっさ……おじさまと同じですからね。
 魔女たるもの品位は失ってはいけませんよ」
 何だかミーハーな魔女の香りがするけれど、占いには興味があるからとアルヴァはここまで付いて来ていたのだ。
「終わった後はその、ちゃんと占ってくださいね?」
「もちろんですよ! ちょちょいと占ってあげましょう」
 得意げなセスカの声にアルヴァもつられて笑ってしまう。

「お姫様を守るってんじゃまさに俺向けのロマンチックな話だ」
「あら、お姫様だなんてうれしい」
『兄貴分』サンディ・カルタ(p3p000438)の言葉にセスカは上機嫌で振り返る。
「だがま、今回はどうもそれじゃ手が足りないみたいだからな。
 ちゃちゃっと片付けて、どーせなら儀式をゆっくり眺めてみたいもんだ」
「ありがとうございますー。頼もしいです!」
「ハンモだよ! セスカちゃん、せっかく鉄帝国に着いたばっかりなのに災難だね~」
 サンディの隣から『神ではない誰か』金枝 繁茂(p3p008917)が手を振る。
「そうなんですよ~。もう、大変で。皆さんが来てくれて本当に助かりました」
「うんうん。今回はいい機会だし前の箒よりもっといい箒が手に入るようにハンモがんばるよ!
 ちなみに霊樹に向かう前にちらっと今回の依頼が上手くいくか占ってもらいたいなぁ。
 さすがに大凶はでないと思うけど! 念のため、ネンノタメ、ネ?」
「いいですよ」
 繁茂のお願いに快く応じたセスカが杖を取り出し空中に魔法陣を描く。
「……はい! きっと大成功です! でも、これを当たりにするには皆さんの協力が必要なので、どうぞよろしくお願いしますね!」
「分かったよ! あとは儀式が始まる前に霊樹から何か新しい情報が聞けるのなら聞いてみたいけど、儀式の邪魔になったらダメだから聞けそうなら聞くぐらいかなぁ? とにかく頑張らないとね!」
「うんうん。わたしの武器も霊樹からの貰い物だから、ちょっと勝手に親近感わいちゃうな!」
 繁茂の意気込みに頷いた『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)も任せてと胸を張る。
「やっぱり、魔女さんならホウキが無いとねえー駄目だよね
 それが壊れちゃったなら、やっぱり一大事だよね。
 それにー……何よりホウキが似合ってる子だもの! だからお手伝い、頑張っちゃう!」
「わあ! 嬉しいです。クルルさん!」

 ――――
 ――

 一行は谷の中腹へと降りて来ていた。
「あ、見えましたね。あれが霊樹です!」
 大きな樹が谷の底に生えていた。
 遠目からでも霊樹の一帯だけは神聖な空気が流れているように感じる。
「霊樹ですか……鉄帝国はそういう神秘的な植物とは縁が薄い印象でしたが。
 やはりある所にはあるのですね」
 興味深そうに谷底を覗き込んだ『狼拳連覇』日車・迅(p3p007500)がセスカに視線を戻す。
「広い国ですからね。首都のスチールグラートの辺りは蒸気機関が発達しているみたいですが、この辺りはまだまだ自然が沢山残っていますよ」
「成程。霊樹も、その枝で作られるという魔女の箒もどんなものなのかとても楽しみです。
 儀式の護衛はお任せください。頼もしい皆さんと一緒です。
 何が来ようと全て殴り倒してみせましょう!」
「ありがとうございます! 迅さん頼もしいなあ」
「ところで、得意な占いとかはあるんですか?」
「えっと、まあ簡単なものですけど。恋愛とかでしょうかね」
「ほう。興味深い。お師匠殿もそういった占いが得意だったんですか?」
「お師匠は攻撃とかが得意でしたよ。私も実は占いより攻撃の方が得意だったり」
 悪戯そうに舌を出したセスカに迅も微笑んだ。魔女とはもっと怖い存在かと思っていたが、町娘と同じようにコロコロと表情を変えるらしいと分かったからだ。

 霊樹に辿り着いたイレギュラーズは、儀式の準備を始める。
「護衛の依頼か……分かりやすい。
 人の生き死にが関わっていないと無駄なことを考えなくて良い分楽だ。
 さっさと終わらせてやろう」
 銀城 黒羽(p3p000505)が霊樹の魔力を嗅ぎつけてやってきた魔物に目をつける。
「……依頼が完遂されれば占ってくれるらしいが……正直どうでも良いな。
 俺にろくな未来が待ってないのは分かり切っている。それを、人の口から聞く必要はないだろ」
「そうですか? もしかしたら何か別の結果が出るかも知れませんよ?」
「構わん。ほら、無駄口を叩いてないでさっさと準備しろ」
「はーい」
 のんびりしているセスカを手で追いやって黒羽は魔物に注意を払う。
 その隣に居るのは『Raven Destroy』ヨハン=レーム(p3p001117)だった。
「なるほどなるほど、つまり防戦ですか。こういうのは慣れてるので安心して下さいね」
「はい。じゃあ、私は儀式に入りますので後は任せました」
「ええ任せてください。っと、その前に。迅さん!」
 ヨハンは魔物達が迫り来る前に迅へと月の加護を与える。
「これでぶっ飛び爆殺マシンの完成ですね。儀式中、そこら中でドッカンドッカンしてると思いますけど気にせず儀式に集中してくださいね。一発、一秒たりとも邪魔されないと思うので」
 ヨハンの言葉に頷いたセスカは魔法陣を展開して儀式を始めた。


「さぁ状況を始めよう! 統率の取れていない魔物の群れ如きがゼシュテル鉄帝国のレイザータクトに勝てると思わん事だなっ! 迅さん、突撃!食い破れ――!」
 ヨハンのかけ声と共に迅が駆け抜ける。
「セスカ殿が儀式を終えられるまでここは通さない!」
 先陣を切って敵に向かっていく迅。狙うはブラッドタミアス。
 自分達の防衛を突破されないように、細心の注意を払う。
 足場の悪さを持ち前の身軽さで軽く飛び越え、突き進んで行く。
 星の輝きを纏い、迅は敵の懐へと拳を叩き込んだ。
「数が多くなると厄介です、確実に潰していきましょう」
 迅の次に戦場へと踊り出るのはアルヴァだった。
「こっちに美味しいエネルギーがありますよ!」
 魔物達を大声で呼び寄せ、注意を自分に引きつける。新たに現れた敵に対してもだ。
 敵の牙がアルヴァの肌に食い込む。痛みはジンジンとアルヴァの脳髄を焼いた。
「素直じゃないのは嫌い、ですよ。だから、こっちに来なさい! 貴方達の相手は僕だ!」
 セスカが儀式を終了させるまで何としても持ちこたえなければいけないのだ。
 こんな所で倒れる訳にはいかなかった。
「わらわら寄って来る魔物達をなるべくやっつけて減らしつつ、頑張って耐えようね
 前衛さん達が頼りになるぶん、わたし達も頑張らないとね、ふぁいとー、おー!」
 クルルは元気よく拳を振り上げる。
 その後ろでは繁茂が結界を張り巡らせていた。
「これで多少は被害が少なくなるよ! でも、絶対じゃないから注意が必要だね!」
「うんうん。セスカさんを守る為に頑張らなくちゃ!」
 繁茂はセスカの身に何か会った時の為に彼女の近くにスタンバイする。
「もし、何か手伝えることがあれば遠慮無く言ってね!」
 繁茂はセスカを守るように布陣し、杖を空に突き出した。
 濃藍の花は絶望の海が如く。敵を蝕み侵食していく。

「さて、今回俺のやることは非常に簡単だぜ。
 基本は通常攻撃で、弱そうなやつからぶったたいていく。以上だ!
 ……別に無策ってわけじゃねーよ?」
 今回の敵は数が多い。それにアルヴァが敵の注意を引きつけてくれている。
 この手にしたツェアシュテーラーでガンガン殴れば優位が取れるに違いない。
「おっと! そんなところに隠れてやがったのか」
 サンディは鋭い洞察力でセスカの元へ向かおうとする敵を足止めする。
「霊樹が力を解放すると魔物がそれ食べに集まってくるってことは、続々と増援が来るだろうし。周囲の警戒を怠らないようにしないとな」
 ゴロゴロした足場をやり過ごす為に修也は地面から僅かに浮き上がる。
 薄っすらと黒蓮華が刺繍されたタクティカルハーフグローブをぎゅっと引き締め魔法陣を開いた。
 巧みに射線を見極め、何匹もの敵を魔力の砲台で打ち抜いていく。
「まだまだ!」

 黒羽はネガティブな感情を封印してセスカを守り抜いていた。
 アルヴァや迅の前線を抜けた敵が次から次へと霊樹の元へ集まってくるのだ。
 黒羽の血がセスカの足下まで飛んでくる。
 セスカは一瞬だけ視線を送った。
「儀式に集中しろ。どんなBSだろうと俺には意味をなさない。殺す意志がなければ、俺は殺せない。
 それに、的になるのには慣れている。だから、お前はせいぜい安心して儀式でも何でもしていろ」
 黒羽の心強い言葉にセスカは儀式へと意識を向ける。
「もうちょっと行けますか!」
「ああ、問題無いぞヨハン」
 黒羽がセスカを庇える間はヨハンは戦場の指揮を執ること画出来るのだ。
「じゃあ、任せましたよ! 回復しときますから!」
 ヨハンは敵に向き直り笑みを零す。
「ハッキング開始! 全てを無かった事にしてあげます!」
 ヨハンのかけ声と共に味方のAPが回復していく。
「助かる。これで魔砲が打てる」
「気を付けて! 修也さんの所土が盛り上がってる!」
 クルルの声に修也は足下の土に視線を落とした。
 修也の足を噛みちぎらんとする魂喰いワーの牙をクルルの矢が弾く。
「今のうちに距離をとって!」
「すまん! 助かった!」
 クルルは後方から戦場を見渡していた。弓使い故の視野は戦闘を有利に進める。

「さて、出ましたね魂喰いワーム。気持ち悪い姿をしていますがやることは変わりません!」
 アルヴァはワームの牙に手を掛けて押し返した。
「僕が抑えている間に、お願いします!」

 ――――
 ――

 セスカは背後で行われる戦闘が気になりながらも儀式を続けていた。
 けれど、きっと大丈夫だという安心感もあった。
 もうすぐ霊樹との交信も終わる。
 そうしたら、もっと彼等と話をしてみたい。
「……その霊験なる枝の一房。共に世界を見て回る事を、どうか」
 薄く光っていた魔法陣が膨大な光量を放った。
 それはセスカが霊樹から枝を譲り受けたということ。

「やりましたね。だったらこっちも! ふふ、並の冒険者ならこの辺でへばっていたでしょうけど今回ばかりは……これでチェックメイト!」
 光の渦に敵が怯んだ隙にヨハンが叫んだ。
 迅の拳と、修也の魔砲。クルルの矢と繁茂の魅了。
 アルヴァと黒羽の忍耐。そして、サンディの一迅が魂喰いワームに叩き込まれ――
 光が収まった頃には、辺りは清廉な空気に包まれていたのだ。


「あ、そういえば海洋に来るならうちの領地にも是非遊びに来てくれ。
 観光用の地区とか整備し始めたし。占いもなんか領地に悪いこととか起きないかの運勢とか見てもらえると嬉しいかもしれないな」
 修也は枝を大事そうに抱えるセスカに声を掛ける。
「海洋良いですね! 是非遊びに行きたいです! それで領地の方は……楽しい事が起こるかも?」
「ふむ。それは期待しておこう」
「じゃあ次は俺な! 霊樹の加護みたいなの? 俺にも何かねーかな。そういうやつ」
 サンディは少し不安げに肩を竦めた。
「これだけは負けない! ってのがあればこう、もっとさ。出来んのにさ。色々」
「そうですね。難しいですが。願い続けるのは重要じゃないかなと思います」
「諦めたら終了ってやつ?」
「はい。そんな感じです!」
 案外適当な事を言っているなと呆れるサンディだが、それも真理かと笑ってみせる。

「折角なので僕も占って貰いましょう」
 セスカの隣には迅が歩いている。
「祖国が何やら大変らしいのでもしかしたら帰るかもしれません。
 その時の戦運でお願いします!」
「なるほど。そうですね。……自分を見失わないように。誰かの意思じゃなく自分が何をしたいのかをしっかりと考える事が大切かもしれません」

「占いかぁ。うーん。何か運勢とか適当にお任せします!」
「はい。ヨハンさんの運勢は……大変な事が多いかもしれないけど、幸せはきっと芽吹いているから注意深く観察してみること。でしょうか」
 ヨハンは納得したように頷いた。
「依頼が完了すればさっさと戻ろう。セスカが占ってくれるらしいが……どうでもいい」
「えー、帰っちゃうんですか? 勿体ないですよ? こんな機会滅多にありませんから」
「ちっ……占いたいなら好きにすれば良い。どうせ、俺にはろくな未来は待ってないんだからな」
 悪態をつく黒羽をそっちのけでセスカは彼の運勢を占う。
「己と向き合い、打ち勝つこと。道は閉ざされているように見えるかも知れないけれど、進んで居れば必ず光は差す。……ふふ、きっと良い子とありますよ。頑張ってください」
「何だそれ」
 セスカの占いを聞いたあと黒羽はマントを翻して去って行く。けれど、嫌では無さそうだった。

「恋占いとか、占ってくれるんですかね?」
「アルヴァさんもしかして、好きな人が居るんですか?」
 顔を紅くしたアルヴァが小さく頷いた。
「ええ。恋愛成就はできるかなとか、恋愛の行方について占って欲しいな
 あんまり他の人に聞かれたくないから、出来るだけこっそりお願いします」
「じゃあ……えっと、そうですね。悪く無いと思います。時間が掛かるかも知れませんがゆっくりと芽吹く愛もありますから」
 耳打ちされた内容にアルヴァは安堵したように微笑んだ。

「私も何か占って貰っちゃおうかなー。何お願いしようかな、恋占いは要らないしー
 探し物も無いしー。うん! 折角だから明日の運勢占いとかお願いしちゃおっかな!
 どんな結果が出るのかなー?」
「クルルさんの明日の運勢は! ずばり最高に良いです!」
「うそ!? 本当に! やったー!」
 クルルのはしゃぐ声が谷に響き渡る。
「みんなでご飯でも食べに行きたいね!」
 繁茂がどうかなと振り向けば、皆が一斉に笑顔になる。
「これからのセスカちゃんとニュー箒ちゃんの旅が良いものになりますようにって!!」
「良いですね! 良いお店知ってるんです! 行きましょう!」

 こうして、無事に霊樹から枝を譲り受けたセスカは、イレギュラーズと共に美味しい料理が出るお店に向かうのだった。

成否

成功

MVP

クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール

状態異常

アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)[重傷]
航空指揮

あとがき

 イレギュラーズの皆さん、お疲れ様でした。
 楽しんで頂けたら幸いです。
 MVPは奮闘した方にお送りします。
 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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