PandoraPartyProject

シナリオ詳細

すべては救えずとも

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「惨い……なんてことだ……」
 海沿いに存在する独立都市『アドラステイア』の全容が少し離れた場所に見える位置――原っぱ以外は何もないその土地の片隅に、ベテラン騎士と後輩の騎士が2人。夜更けの闇の中、ランプの明かりでその存在を照らした後輩騎士は、1人青白い顔をした。
 2人が見つけたのは、10代前半ほどの男児の遺体。地面に突っ伏した姿の男児は血だまりの中で息絶え、死臭を放っていた。特に目立ったのは男児の背中で、何かによって穴だらけにされた傷口を眺めるベテラン騎士は顔をしかめていた。
 男児の遺体に対し祈りを捧げる動作をしたベテラン騎士は、
「恐らく、アドラステイアからの脱走者だろう。報告にあった聖獣の仕業――」
 そう言いかけたところで、後輩騎士は「ヒッ?!」と悲鳴をあげた。後輩騎士の視線の先には、何か浮遊する物体が存在した。それは音もなく宙を移動し、2人の頭上に現れた。
 宙に浮く歪(いびつ)な形の天使の胸像――歪んだ信仰を象徴するかのような、アドラステイアの聖獣。両目と口に当たる空洞部分が輝きを放つと、レーザー光線の如く閃光が発射される。2人の間の地面を一直線に焼き切り、後輩騎士は情けない悲鳴をあげた。
 光線を放った聖獣の背後には、更に2体の聖獣が控えている。同じく白い天使像の姿をした聖獣の表面は、何やらうごめいていた。やがていくつもの触手が、そこからポコポコと生え揃う。
 目の前の2人の命を狙う聖獣らは、一斉に無数の触手を伸ばしてきた――。


「……ん。という訳です」
 2人の騎士は命からがら聖都まで撤退し、新たにアドラステイア近郊で確認された聖獣の存在を報告した。その一部始終について、ギルドに招集された面々はラヴィネイル・アルビーアルビーから説明を受けた。
 凶悪な聖獣が確認されると共に、アドラステイアからの脱走者と思われる遺体が数人ほど発見されている。
 ローレットを経由して協力を求めてきた騎士団からの情報によると――。
「……その聖獣は、アドラステイア内部と外をつなぐ抜け道を通って出てくるようです。ん」
 その抜け道は、都市周辺を巡回する聖獣のために、夜の間だけ開いているという。しかし、その抜け道を利用して脱走を図るものが続出したようだ。
「……抜け道の、詳細については把握できていないです。ん……いずれにせよ、内部の大人たちが脱走に気づいて、抜け道を塞ぐのは時間の問題だと思います」
 今は確実に脱走を手引する手段がないと、ラヴィは言い添えた。不用意にアドラステイアに近づくことはせず、聖獣を討伐することに注力するしかない。
 このまま危険な聖獣を見過ごす訳にもいかない、排除できる内に排除してほしい――それが騎士団が望む依頼内容である。
 天使像の聖獣は、3体とも同様の攻撃を行う。目や口の空洞から遠距離まで届く光線を発射するなど、その体に自在に生え変わり、伸縮する触手にも注意が必要だ。
「もしかすると、脱走者に遭遇することもあるかもしれません――」
 命がけの脱走を止めることはできない。中にいても、死の恐れがあるのだから。すべてを救うことは難しい。でも、救える望みがあるなら――。
「その時は、守ってあげてもらえませんか?」
 必死に光明に縋り、脱走した子どもたちに思いを巡らせながら、ラヴィはイレギュラーズに希望を托した。

GMコメント


 PPPでの初のシナリオになります、よろしくお願い致します。
 アドラステイアからの脱走者に遭遇することを前提にプレイングを練っていただいて構いません。保護するかどうかは成否条件に含まれません。

●成功条件
 聖獣3体の討伐。

●地形
 時刻は日没後。天義とアドラステイアの中間付近の原っぱ。見通しがよく、隠れられる場所は少ない。

●敵の情報
 光線による攻撃(神遠貫【ブレイク】)、触手による攻撃(物中単)を行います。
 敵は飛行状態で、飛行戦闘のルールが適用されます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • すべては救えずとも完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

R.R.(p3p000021)
破滅を滅ぼす者
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)
ゴーレムの母

リプレイ

 聖獣討伐の目的を成し遂げるため、夜闇に包まれた原っぱを進む特異運命座標らは、アドラステイア方面に向かっていた。
 『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は自らの能力で銀の剣に光を灯し、その刃は周囲を照らすほどの輝きを放つ。リゲルの剣が放つ輝きは皆の足元まで照らし、暗闇の中で大いに役立っていた。
 サイバー感あふれる特殊なゴーグルを身に着けた『破滅を滅ぼす者』R.R.(p3p000021)は、ゴーグルの暗視効果を活用し、敵の出現にいつでも対応できる姿勢を見せていた。
  ――守ってあげてもらえませんか、か。
 周囲の様子を探りつつ、R.R.は皆を送り出したラヴィネイルの言葉を思い返していた。図らずもアドラステイアから抜け出した身であるラヴィは、どんな思いで脱走者のことをR.R.たちに託したのか推し量る。
 ――まぁ、尽くせる限りの手は尽くしてみよう。
 闇の向こうを注視していたR.R.は、古めかしいマスケット銃を担ぎ直し、四方に目を凝らしながら原っぱを進む。
 『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)と『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は手持ちのランタンを掲げ、より広い範囲まで人影、あるいは敵影の有無を確かめる。皆の姿を把握できる距離を維持しつつ、光源を頼りに辺りの様子を探る。
「アドラステイアからの脱走か……」
 ひとり呟いたポテトの一言に反応し、リゲルは言った。
「俺たちの助けを必要としている子が、どこかにまだいるかもしれない」
 ポテトの夫であり、正義を信条とする騎士でもあるリゲルは、アドラステイアの子どもたちに対して心を痛めていた。子どもたちを救いたいと願っても、洗脳されている状態ではそれも叶わなかった。
 自らの意思で脱走に踏み切った子どもたちに、全力で手を差し伸べる構えでいるのはリゲルだけではなく――。
「絶対に聖獣を止めよう!」
 そう意気込むポテトだったが、気がかりなことが脳裏を過ぎる。
 ――聖獣はイコルで変えられた子供……というのは仮説だ、確証も救う術も今はない。
 ポテトは懸念を抱きつつも、
「せめて今、助けられる命だけでも助けるんだ――」
 気持ちを切り替え、目の前の役目に集中する。

 ――ふーん、独立都市アドラステイア……。
 離れた場所に見えるアドラステイアの全貌を眺める『在りし日の片鱗』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)。
 ――絵に描いたような怪しい宗教国家ね。
 アドラステイアを見つめて物思いに耽るジュリエットの長髪を、夜風が揺らす。
 ジュリエットの燃えるように真っ赤な長髪が視界の端に映り、『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)はふと視線を向ける。すると、ジュリエットはその場で振り返った。マカライトと視線が合ったジュリエットは、
「アドラステイアの内情には興味湧かないけど、聖獣とやらには少し興味があるわ」
 風になびく長髪を押さえながら、マカライトの横を通り抜けていく。
「聖獣……って割には随分物騒な外見みたいだな」
 聖獣との遭遇に備え、魔弓を手にしていたマカライトはそうつぶやいた。孔雀の羽の装飾が施されたマカライトの弓は、人智の及ばぬ力を秘めた魔弓らしさを感じさせる。
 騎士団から寄せられた聖獣の情報、無辜の脱走者の最後に考えを巡らせるマカライトは、どこか顔をしかめて夜空を見上げた。
 ――「神様が見逃しませんよ〜」っていう事か? ……馬鹿馬鹿しい。

 聖都から出発し、しばらく原っぱを進んだ一行。四方に隈なく視線を向け、注意深く捜索を続けていた。捜索を続ける中で、リゲルは言いようのない胸騒ぎを覚えた。そして、遠くから聞こえた声が気のせいではないことを確信する。
 「あそこだ!」と声を張り上げたリゲルが指差した先で、何かの閃光が瞬いた。
 8人の中でも、『煌希の拳』郷田 貴道(p3p000401)はより優れた暗視能力を発揮し、その姿を正確に捉えることができた。
「HAHAHA、ビンゴ!」
 貴道はようやく標的を見つけ、真っ先に駆け出した。
「見えてるぜ、クレイジーバッドエンジェル?」
 『医術士』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は、喜び勇んだ様子の貴道の背中を追った。
 ココロ自身も、脱走者を救いたい思いで依頼に臨んでいた。しかし、義務感以上のものにココロは突き動かされていた。
 ――救える命がある。だから、手を伸ばす。依頼があるから、じゃない。
「わたしがそれを望むから」
 皆がリゲルの示した方向へ続々と走り出し、ココロは遠くまで見通せるほどの視力で2つの人影を捉えた。
「こっちです! 走ってきて!」
 ココロは両腕を振りながら、その小さな人影に向けて声を張り上げた。
 10代半ばほどの少女2人が、3体の聖獣から逃げ続けていた。少女らの頭上を飛ぶ聖獣らは、光線で次々と地面を吹き飛ばし、逃げ惑う脱走者を追尾する。手を取り合って必死に走る少女2人に対し、聖獣は容赦なく攻撃を向けた。その少女らを押し退けるようにして、スティアは聖獣の射線上に進み出た。
 ――ここで私たちが助けなきゃ。聖獣の好きにはさせない。
「絶対に守ってみせる!」
 スティアは分厚い本型の魔導器を盾にして、光線を受け止めた。魔力を帯びて浮遊する本は、燐光を弾かせながらいくらかの衝撃を相殺する。
 聖獣は目の前の対象をひたすらに狙おうとしたが――。
「HAHAHA、天使ならゴスペルでも聴いて大人しくしてるのがセオリーってもんだろう?」
 すばやく射程内まで距離を詰めた貴道は、聖獣の注意を引こうと攻撃を放つ。
「ラブソングの代わりに、受け取りな!!」
 貴道が宙に向けて鋭く拳を突き放つと、強大なパワー――拳圧を収束させた一撃が放たれる。聖獣Aを襲う衝撃の奔流は、牙をむく大蛇の如く食らいついた。
 一度は吹き飛ばされた聖獣Aだったが、瞬時に態勢を立て直す。その直後に、聖獣らの注意を脱走者から逸らそうとする者たちの怒涛の攻撃に晒される。聖獣らの攻撃が止み、少女らは聖獣を圧倒する特定運命座標の戦い振りに目を奪われる。
「止まるな、走れ!」
 次々と矢を打ち込むマカライトは、聖獣をけん制しつつ、少女らを強い口調で促した。
「俺達が敵を引き付ける!」
 リゲルも同様に、少女らが足を止めないよう背中を押した。
「あと少しだ! 諦めずに走るんだ!」
 少女らは我に帰り、戦闘域から抜け出すために再度走り出す。少女らがココロのそばを走り抜けて行く瞬間、ココロは自身の能力を引き出す。足元から包み込むように広がる光――ココロが操る魔法陣が、治癒の力を引き出していく。
 2人の内、片割れの少女が転びかけたところ、ポテトは透かさず助けに入った。ポテトの懐に飛び込むようにして受け止められた少女は、
「た、た……助け……て……っ」
 走り続けて息も絶え絶えになりながら、恐怖に震える瞳で訴えかけた。もう1人の少女の薄汚れた頬には、幾重にも涙が流れた跡があった。
「よく……よくここまで来たね」
 ポテトはそう言って、倒れ込んできた少女を優しく抱え起こす。完全に危険を取り除くため、ポテトはギリギリまで少女らを安全圏へ――万が一の時のために、アドラステイアを調査する探偵『サントノーレ』を頼るよう言い含めて、聖都の方角へと誘導した。
 ポテトが少女らの安全を確保する間にも――。
「さて、こいつは体得したばかりの新技でな――」
 R.R.は聖獣Aに狙いを定める。
「……今までの倍は痛いぞ」
 R.R.が構えたマスケット銃からは、極限まで破壊力を高めた魔弾が放たれる。
 歪な天使――聖獣の胸部を捉えた魔力の弾丸は、穿った対象を激しく押しやり、ひび割れるほどの傷を刻んだ。
 聖獣A、B、Ꮯは激しい攻撃に飲まれる程度の動きで飛行していたが、陶器のような体表をボコボコと波打たせ始める。体の一部を引き伸ばすように現れたいくつもの触手は、R.R.たちを狙って一斉に襲い来る。
 身を切り裂き、地面を穿つほどの力で触手の脅威を見せつける聖獣だったが、怯むことなく反撃に出る動きは瞬時に見られた。
 ジュリエットも聖獣を追い詰めるべく、自らの魔力を最大限に引き出す。ジュリエットが生み出した疑似生命――複数の火の玉は、迫り来る聖獣の触手を弾いては乱れ飛ぶ。周囲を浮遊する火の玉を駆使するジュリエットは、踊るような体さばきで触手をかわし続ける。
 ジュリエットを抑えつけようとする触手の数は増え始め、聖獣は遂にジュリエットを捉えたように見えた。ジュリエットはわずかな差で身をそらし、足元をすくわれかけた状態から態勢を立て直そうとする。
 自身を更に上回ろうとする触手の動きにジュリエットは息を呑んだが、マカライトの弓から放たれる一閃が聖獣の動きを止めた。マカライトは並外れた早業でジュリエットを狙った聖獣Aを射抜き、
「……人を穴だらけにしてんだ、自分が穴だらけになっても文句は言わせんぞ?」
 マカライトの射線上に捉えられた聖獣Aは、不気味に痙攣(けいれん)する体で飛行を続けていた。
 透かさず攻撃を放とうとするリゲルは、剣を掲げると同時に、青白い光弾を頭上に生み出す。
 ――ここまで脱走を頑張ってくれた子供達を……救える命を取りこぼしてなるものか!
 リゲルの強い意志を現すかのように、その輝きは強さを増した。放たれた光弾は、彗星の如く聖獣Aへと向かう。直撃を受けた聖獣Aは、落下した体で地面を削り、そのまま地上で動きを止めた。
「ミーは見下ろすのは好きだが――」
 土をかぶった状態の聖獣Aの目の前に、貴道は何気ない素振りで進み出ると、
「逆は嫌いなんだ」
 何の前触れもなく、貴道は拳の一撃で地表諸共聖獣Aの体を突き砕いた。
 「さっさと引きずり下ろしてやるよ」と、貴道は残る2体を挑発するように睨めつけた。その直後に、聖獣Bは脱走者を追尾する素振りを見せる。皆の意識が一斉に聖獣Bにそれたところで、聖獣Cは狙い澄ましたように触手を伸ばし、その隙に付け入ろうとする。
 聖獣Cをかわしつつ、聖獣Bに攻撃を向けようとすれば、光線を射出して相手を寄せ付けない。スティアは聖獣Cの意識を引きつけようと、冷静に対処する。
 魔力によって刻まれる旋律を、魔導器を通して奏でるスティア。澄んだ音色に支配され、聖獣Bは踵を返してスティアに向かってきた。
 スティアは聖獣の動きを冷静に見極めようとする。スティアに対し攻撃を集中させる聖獣は、正確にスティアを追尾して光線を放つ。自身の魔力で光線を相殺するスティアだったが、聖獣は更に追撃を続ける。
 スティアに加勢しようとする者らの動きを聖獣Cは見落とさず、触手を放ってけん制する。各々が聖獣らの猛攻に耐え抜く中、R.R.は苦々しげに刻まれた裂傷を押さえた。それでもなお、R.R.は正確無比な射撃で聖獣の余力を削りにかかる。
 攻防が激しさを増す中、全体の戦況把握に務めるポテトは、ココロと共に皆に対する支援を行き渡らせる。
 自身のパワーを変換することで、対象の治癒能力を活性化させていくポテト。
「傷を癒やすのは任せてくれ! 皆で無事に帰るためにも、押し切るんだ!」
 ポテトの号令が皆を後押しし、言霊に乗せたポテトの能力は、一層の奮起を促した。
「HAHAHA、神様の使いは伊達じゃないってか?」
 どこかおどけた態度の貴道は余裕を感じさせる。どのような状況でも余裕の態度を崩さない貴道を頼もしく感じるココロは、
「いつも頼りに思ってます! 決めちゃって!」
 貴道の無事を強く望むココロの祈りの力――攻勢を強める貴道に向けて、糧となる力を注ぐ。
 ポテトやココロの支援術も手伝い、攻撃を後押しされる面々は聖獣を追い詰めていく。聖獣Bが地上へと叩き落とされ、集中砲火を受ける聖獣Cの動きも鈍くなり始めた。
 傷を負って疲弊した一部の者らを一瞥したマカライトは、確実に決着をつけようと動き出す。
 マカライトは服の袖口や裾から垂れた鎖を自在に伸縮、膨張させ、右腕を基点にして何かを編み上げていく。
 他の者が聖獣をけん制する中、リゲルもマカライトと同様に一撃必殺の構えを見せた。リゲルが掲げた剣は黒いオーラをまとい、魔王の如き魔性の力を高めていく。
 かろうじて飛行を続ける聖獣Cに向けて、リゲルはその一太刀を放った。リゲルの太刀筋にに乗って放たれた膨張したオーラは、聖獣に食らいつく大顎そのものに見えた。
 衝撃によって墜落する聖獣を、更にマカライトが狙う。マカライトの右腕に巻き付いた鎖は黒龍の顎を編み上げ、強力な魔力を以って聖獣を噛み砕いた。
 2つの黒顎は苛烈に聖獣を食らいつくし、原っぱは再び夜の静けさに包まれた。

 その場で生存を確認できた脱走者は、2人の少女だけだった。ポテトは少女たちに追いつく前に、聖獣の残骸を調べようとした。聖獣が子どもが変貌した姿かどうか、真意を確かめたいポテトは注意深く残骸を観察していたが――。
「これは……」
 あるものを見つけたポテトは顔色を変える。石膏のように砕けた聖獣――その体の内側には、明らかに子どものサイズの小さな靴が転がっていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加、ありがとうございました。
皆さんの活躍で脱走者を救うことができました。
脱走を図った少女2人は、騎士団に保護されることになります。

PAGETOPPAGEBOTTOM