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シナリオ詳細

<Common Raven>求む! 正義の盗賊 ~色宝を盗み出せ~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●強欲商人の秘宝
「ぐふ、ぐふっ! ぐふふふふふっ……!」

 ラサの商人ドリトスは秘宝の輝きに心を奪われていた。
 握りこぶしより少しばかり小さい宝石で、ランプの明かりに照らされて、滲むような輝きを放っている。
 これこぞ、ファルベライズ遺跡群で発見された願いを叶えるといわれる宝である。
 この秘宝は、本来はラサ傭兵連合の提案によってネフェルストでの管理が決定していたが、ドリトスにはそんなもの関係がない。
 人は、彼を悪徳商人という。
 ドリトス自身、そのような評判を気にかけたことはない。

「まったく、金儲けに徳も悪もないじゃろう?」

 そう言ってはばからない人物である。
 金に困っている者あらば食いモノにし、商売敵になりそうな者あらばあらゆる手段で叩き潰す。
 涙と怨嗟を金に変えてきたような男である。
 そして、その金を欲望のために惜しみなく使う。そうやって生きてきた。
 この秘宝――色宝も、『赤犬』デュルクの通達を一個だにせず金の力に物言わせて手中に収めたものだ。
 個人が手にできるような状況ではないからこそ、価値も跳ね上がるというもの。

「この宝を狙っておるものがいると言うではないか。まったく、儂がこれを手に入れるのにどれだけの金をかけたかわかっておらん!」
「…………」

 そのドリトスの言葉を、無言で女騎士が聞いていた。
 凛とした表情からは、心境はうかがえない。
 ただ、わずかに曇りもあるように思える。

「しかし、かのゴブリンの群れをしのいだ女騎士レディーナ殿がおるなら、儂も枕を高くして眠れるというもの。なあ!」
「……どうか、ご安心いただきたい。この宝、一命に代えてもお守りいたそう。その代わり、報酬の件は確かに」
「ふぉっふぉっふぉっ! わかっておるわかっておる。
ささっ、側に来てどうぞ一献!」
「いえ、護衛の任にあるので……」
「まあまあ、そう言わず。もし酌をしてくれるならば、報酬も弾みますぞ」
「そうおっしゃるならば……」

 辞退しようとする女騎士レディーナに、ドリトスはすり寄ってワインを勧める。いやいやというふうに、これを受け取った。
 高潔な女騎士も、故あって路銀が尽きかけていた。
 ゴブリンに襲われた村の復興、飛び出したおてんば姫の捜索、芋料理の研究と、とかくこの世は金がいる。
 そんな中、飛びついてしまったのが色宝の護衛であった。
 仕事を請け負った時、好色な視線に気づいたものの、後の祭りである。
 しかし、騎士として引き受けたうえは依頼を果たさねばならない。
 薔薇色の唇を杯に口づけ、くっとワインを飲み干した。
 その頬が染まっていくのを、ねめつけるような視線を絡ませている。

「ぐははは! さすがの飲みっぷりですな。この色宝をいただくなどとふざけた予告状を出した賊めも、レディーナ殿が護衛についているとは思うまい!」

 上機嫌のドリトスである。
 そう、ドリトスの屋敷には一通の予告状が出された。

『今宵、色宝をいただきます 正義の盗賊より――』

 この予告状に対し、ドリトスは伝手を頼って女騎士レディーナと数名の傭兵を護衛に雇ったのだ。
 そのうえで、応接室の金庫に色宝を仕舞う。

「さあ、これで賊も手出しはできん。娘よ、エリザベスよ。お前もこっちに来るといい」
「はい、お父様……」

 呼ばれてやってきたのは、年の頃16ほどの純情可憐な少女。
 彼女はドリトスの娘エリザベス。この父親のちを引いているとはとてもではないが思えない。
 どこか不安げに、女騎士と時計の針を見るのであった。

●求む、腕利きの盗賊!
「お願いしたいのは、お父様から秘宝を盗み出すことです」

 時間は、少し遡る――。
 ローレットを訪れたのは、悪徳商人の娘エリザベスであった。
 重要な秘宝『色宝』を、おのれの強欲を満たすために独占する父については心苦しく思っている。

「あの予告状を出したのは、わたくしです。お父様から隙を見て奪い、ローレットの皆様に預かってもらおうとしたのですが……」

 つまりは、正義の盗賊を名乗る何者かが奪ったことにして、父から秘宝を取り上げようとしたのだ。ところが、エリザベスは秘宝を奪うのに失敗し、この予告状を見た父は、困窮する女騎士や傭兵たちをかき集めて護衛とした……そういう顛末である。

「皆様に、あの色宝を奪ってほしいのです。このような状況にしてしまい、本当に申し訳なく思っております。浅はかなわたくしをお許しください」

 ぺこり、とエリザベスは頭を下げる。
 後悔先に立たず、とはよく言ったものだ。

「わたくしも、できる限り手伝います! ですから、どうか父から秘宝を奪っていただけませんか?」

GMコメント

■このシナリオについて
 皆様、こんちわ! 解谷アキラです。
 今回は、悪徳商人の邸宅に乗り込んで秘宝『色宝』を奪うという悪依頼となります。
 事前情報を追って解説しましょう。

▼悪徳商人ドリトス
 金の亡者にして強欲が服を着て歩いているような商人です。
 本来、ギルド・ローレットに管理を任せるはずであった色宝のひとつを金の力で独占しました。
 でっぷりと太っていますが用心深く、胸には特注した短銃を忍ばせています。
 色宝をしまった金庫を応接間に置き、寝ずの番をしています。

▼女騎士
 『女騎士』レディーナ・フォン・ロックシュタイン(p3n000146)。
 いろいろあってお金を使いすぎてしまい、悪徳商人の依頼を受けてしまいました。ドリトスにはいい感情を持っていませんが、報酬のためにも色宝を賊より守ろうとします。
 ドリトスに勧められたワインでほろ酔い状態です。
 ドリトスと同じく、応接間で朝まで番をする予定です。

参照:https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3n000146
 

▼護衛の傭兵
 人数は8人。ドリトスの館で侵入者を警戒しています。
 正面に3人、裏口に3人。
 ふたりが歩哨で館の周囲を警戒しています。
 離れはしていますが、実力はそこそこ。武装は剣や槍、歩哨のふたりがショートボウを予備武器で構えています。

▼エリザベス
 悪徳商人ドリトスの娘で依頼人です。
 正義の盗賊の予告状を出した張本人です。
 父親が色宝を独占しているのを心苦しく思っており、奪おうとしてこういう状況になってしまいました。
 応接間にいますが、事前に打ち合わせすれば何か協力してくれます。
 ごく普通の少女ですので、協力と言ってもその範囲でできることになります。

▼ドリトスの屋敷
 豪華な屋敷です。特に罠は仕掛けられてはいません。
 色宝は、金庫に仕舞われて1階の応接間にあります。

▼色宝
 握りこぶし小の宝石です。願いを叶える力を持っていると伝えられ、サラ傭兵連合では管理をギルド・ローレットに任せることになっています。
 しかし、ドリトスはこれを無視して独占しています。
 厳重な金庫に入れられ、ドリトスが見張っています。
 なお、金庫の鍵はドリトスの懐にあります。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『ラサ』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <Common Raven>求む! 正義の盗賊 ~色宝を盗み出せ~完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
蠍の爪痕
斉賀・京司(p3p004491)
雪中花蝶
回言 世界(p3p007315)
貧乏籤
マヤ ハグロ(p3p008008)
キャプテン・マヤ
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人
結月 沙耶(p3p009126)
表裏一体、怪盗/報道部
グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)
灰色の残火
微睡 雷華(p3p009303)
折れた忠剣

リプレイ

●渦巻く欲望
 強欲商人ドリトスが独占しようとする『色宝』を狙って、8人のイレギュラーズが動き出した。
 今宵、彼ら彼女らは、商人の館に忍び込み、盗みを働く盗賊団となる。

「ぐふふふ、正義の盗賊とは笑わせよる」

 傭兵と女騎士レディーナを警備に雇い、万全を期したと思っているドリトスはでっぷりとした腹を揺すぶって楽しげに笑っている。
 夜が更ける間に、ワインと肴を用意し、あわよくば“正義の盗賊”と名乗った輩を返り討ちにしてやろうと目論んでいるのだ。

「…………」

 そして守りを固める女騎士レディーナは、これを複雑な気持ちで見遣っている。
 背に腹を変えられぬと受けた依頼だが、気が乗らないのは確か。
 傭兵たちは8人、館の外を警戒している。

「お父様、お酒のおかわりをお持ちしました」
「おお、気が利くじゃあないか。では酌をしてもらおうか」

 ドリトスの娘エリザベスが盆にワインと肴を盛ってやってきた。
 父親の強欲と傲慢に心を痛めているのは見て取れる。
 だが、彼女に何ができるだろう?
 父ドリトスに養われているか弱い娘に過ぎないのだ。
 さまざまな思惑を乗せて、夜は更けていく。

●行動開始!
「ん……盗みを働く仕事って聞いたけど、ただの悪事って訳じゃないみたいだね」

 ドリトスの館の外、『折れた忠剣』微睡 雷華(p3p009303)は仲間たちと身を潜めてその様子をうかがっていた。
 手筈どおりであれば、父の悪事に心を痛める娘、エリザベスがこちらの依頼人だ。

「さて、悪名が付くというのが若干気に食わないが、義賊が如く悪者から宝を盗むってシチュエーションには若干憧れていたことも事実。やる気もそれなりに出るというものだ」

 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)がぼやく。
 彼は、今回は正面から突破する役目となる。

「色宝とやらにゃ興味はねぇが、健気な依頼にゃ応えるぜ」

 片目の元傭兵『灰色の残火』グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)も正面での陽動側だ。
 裏口からの仲間が乗り込み、ドリトスから鍵を奪う、というのが彼のプランである。

「じゃあ、正面での騒ぎは任せたぜ。今回の“怪盗”は他の奴らに譲ってやんねーとな」

 『兄貴分』サンディ・カルタ(p3p000438)は、世界とマヤに陽動を任せて、他の仲間達とともに裏口に回った。

「こんばんは、皆さん――」
「だ、誰だ!?」

 最初に動いたのは、『蔵人』玄緯・玄丁(p3p008717)であった。
 傭兵たちの前に現われ、挑発する。
 まさに、物語に登場するような怪盗の振る舞いである。

「色宝を集めてくれた愚かな商人さん! 僕たちが色宝を貰いにきたよ!」
「そっちから姿を見せるたぁ、ふてえ野郎だ! おい、仲間を呼べ」
「盗賊が出たぞー!」

 騒ぎは大きくなり、他の傭兵たちも集まってきた。

「……というわけで、大勢集まったらみんなよろしくね!」

 玄丁は刀を構えると、 黒塗『三羽烏』で斬りつける。
 傭兵たちの服が、皮一枚残して切り裂かれた。

「……野郎、なめた真似を!」
「だが、数が集まりゃあこっちのもんだ」

 数の有利を頼みに、傭兵たちは賊を囲もうというのである。
 
「まあ、我々は時間稼ぎの役割だが……別に倒してしまっても構わんのだろう? ……失礼、今の発言は忘れてくれ」

 どこかで聞いたような冗談を飛ばす世界であったが、仲間たちを支援していく。
 味方の防御力と抵抗力を上げるイオニアスデイブレイクだ。

「さあ、来な! グリジオ様が相手をしてやるぜ?」

 集まった傭兵たちを前に、グリジオは名乗った。

「あいつ、聞いたことがあるぜ!」
「ヤキが回って盗賊稼業かよ!」

 傭兵たちがグリジオの名に気づき、武器を向ける。傭兵をやっていれば、その名を聞く機会もあろう。
 その名乗りは、護衛をおびき出すのには十分な効果があった。
 前衛に立ち、傭兵たちの攻撃を引き受ける。

『悪いことって楽しいのだわ』
『悪いことって素敵なのだわ』

 グリジオの傍らで、双子姫が囁いている。
 蛍のように彼の周囲を飛び交い、蒼紅を放っている。

『『絶望する顔ってとっても面白いのだわ』』
「……活き活きすんな」

 声を揃えたふたご姫に、グリジオは呆れるように言った。

「てめえ、何の話をしてやがる?」
「ああ、こっちのことだ。悪いな」

 双子姫の声は傭兵たちには聞こえない。

「これが必要な事で……困ってる人がいるなら、全力を尽くすよ。さあ、こっち!」

 雷華も、グリジオとともにこの喧騒に加わった。
 後衛に回った雷華は、弓を使って傭兵たちを牽制する。
 おっとり刀でやってきた傭兵の足止めには、十分であった。
 派手な乱戦でひきつけ、陽動はうまく言ったようである。

「さて、中の方はどうなってるか。まあアイツらならば心配は無用だと思うけど」

 乱戦の中で、ふと世界は館に目をやった。
 彼らが狙った『色宝』を入手してくれたなら、この悪依頼もうまくいくのだ。

●裏手から
「今回の依頼は海賊の私にとってうってつけね」

 『キャプテン・マヤ』マヤ ハグロ(p3p008008)は、海賊である。
 海賊というのは、お宝を分捕るのが生業だ。
 世界とともに、正面突破を行なって警護の傭兵たちを惹きつける役だ。
 協力者のエリザベスには、ラム酒を渡してドリトスを酔い潰してもらう算段だ。
 すでに正面では騒ぎが起こっている。
 今のうちに裏口から突破するというのが、仲間たちと打ち合わせた作戦である。

「正面の仲間たちが始めたみたいぜ」

 サンディは情報伝達というバックアップに回っている。
 スラムの孤児から盗賊となった彼の経歴は、今回の依頼でも発揮された。
 もっとも、スラムのスリでは格好がつかないということで怪盗を名乗っているだけなのだが。

「まぁサンディにゃ何度か命は助けられたからな。手伝ってやるよ」
「頼りにしてるぜ」

 今回、依頼をこなすためにサンディは遺跡荒らしのベンタバール・バルベラルを呼んでいる。
 ドリトスの館の警備状況、内部の見取り図などはベンタバールが事前に掘り出し物を売りに行くという名目で入手している。
 強欲なドリトスは、それこそ逆に値切り、買い叩こうとしてベンタバールを呆れさせたが、その代償は高く付くことになる。
 正面の陽動がうまく言ったおかげか、裏口から館を突破するのは用意であった。
 護衛も罠も何もなく、『色宝』とドリトスがいる応接間までやってくる。

「だ、誰だ……うぃっく!」

 やってくると、ドリトスが完全にできあがって待ち構えていた。
 エリザベスを通じてイレギュラーズが用意した酒が次々と運ばれ、意地汚いドリトスは残すまいとみんな飲み干したのである。

「己が娘の苦痛にも気づけず、私腹を肥やす商人から、色宝を奪うため! 怪盗リンネ、ここに参上だよ!」

 そしてやってきた『表裏一体、怪盗/報道部』結月 沙耶(p3p009126)が名乗りを上げた。

「……きぃ、貴様がぁ、正義を騙る盗賊かぁ!」

 もうドリトスは足元もおぼつかない。
 代わってこの場に立つのは、女騎士レディーナである。

「盗賊ども、お前たちの狙いはわかっている。そういう話をしたのだが……雇い主がこうでも貴様らに『色宝』は渡さん!」

 キリッとした表情でやってきたイレギュラーズに言い放つが、ドリトスに結構つきあわされたせいか彼女も酔いが回っている。
 そういうピンチが、駆けつけたイレギュラーズにも手にとるようにわかってしまった。

「初めまして、可憐なる騎士のレディーナ。戦う前に少し話をしないか」
「お前は……? せめて名を聞こう」
「俺様は、魔術師のラパン・ノワール! 今宵は正義の盗賊団の助っ人さ!!」
「魔術師? 正義の盗賊団、だと?」

 『雪中花蝶』斉賀・京司(p3p004491)は、レディーナに対してラパン・ノワールとして名乗った。
 今宵限りの名乗りとし、不思議な仮面でその顔を彩っている。

「実は気乗りしていないだろう? この仕事。ならどうかな、俺たちと来ないか?」
「馬鹿を言うな、私は騎士だ。約束は守る!」
「報酬はドリトスより倍出すし、良い仕事を斡旋すると約束しよう。なあ、悪い話ではないだろう?」

 そう言って、京司は憂えた顔を見せる。
 おもむろにその綺羅びやかな髪に触れ、ひと房手にとって口づけした。

「なっ……!?」

 レディーナはあ然とした。
 突如やってきた黒髪にうやうやしく接してもらい、丁重に扱われている。
 さっきまで強欲商人にいやいやつきあわされた身として、心が浄化されていくようであった。

「一人の男として、君のような気高く美しい人が屈辱に耐える姿は見たくないぜ……?」
「わ、わたしは……」

 ちょろい、女騎士レディーナはちょろかった。
 ミステリアスな魔術師に女性として扱われると、頑なな心も開いてしまう。

「君はもっと上へ行けるはずだ、レディーナ。俺様たちと共に、さあ!」
「わ、わたしは騎士だ! そんな誘いには乗らぬ!」

 一瞬、危なかった。
 ときめきかけた気持ちを落ち着かせ、立ち向かう。

「うーん、残念」

 さすがに依頼を受けた以上、警護を放棄はしないようだ。
 しかし、このままにらみ合いというわけにもいかないだろう。

「だったら、私と勝負だ! 我は海賊マヤ・ハグロ! 騎士である貴方に、正々堂々決闘を申し込む!」
「おお、それなら受けて立つ!」

 決闘に名乗りを上げたマヤに、レディーナは快く受けて立った。
 これなら、心がざわざわしないから安心である。

「騎士である貴方が勝つか、海賊である私が勝つか、いざ勝負よ!」

 剣を振りかざし、飛翔斬で斬り込んでくる。
 一方、剣さばきで対抗するレディーナであった

「くっ、やるな……!」
「そっちこそね」

 女騎士と女海賊のせめぎあいは、手に汗握るものとなった。
 しかし、海賊として名を馳せたレナのほうが一枚上手であった。
 レディーナの剣を、飛翔斬からすくい上げるように弾き落とし、ここに勝負が決着する。

「さすがは騎士ね。久しぶりに満足できた決闘だったわ! また戦いましょう」
「くっ……! こ、殺せ」
「殺さないさ。貴方のような騎士はね」

 一方、傭兵たちの方も片付いたようである。

●そして撤退
「弓とか、矢とか、きってみたかったんだよねぇ」
「潜入組が仕事を終えたら、ささっと撤退するよ」
「僕としては、レディーナサントも戦ってみたかったなぁ」

 まだ暴れたりないという玄丁に対し、雷華が撤退を促した。
 館の主であるドリトスは、いまだ酔いから覚めていない。
 サンディが軽くいなして、戦闘不能に追い込んだ。

「所詮金だけじゃあ何の役にも立たないんだよ。残念だったな」

 傭兵たちを片付けてやってきたグリジオが言う。

「ドリトスさん……だっけ? ラサの商会にはイレギュラーズ寄りの人達もいるし、この先の取引は気を付けておいてねぇ?」
「く、くそう……。ひっく!」

 悪態をついているドリトスを尻目に、怪盗リンネを名乗った沙耶が金庫の解除を試みる。

「あっ、開いた」

 彼女のワイズキーは、施錠された金庫の鍵を簡単に外してしまう。
 さすがは怪盗であった。

「色宝は。怪盗リンネら正義の盗賊団が頂戴しましたっと」

 その声は、ボイスチェンジで変わっており、正体を突き止めることはできないだろう。

「皆様……」

 エリザベスは、密かにイレギュラーズに礼をした。
 父の悪行に心を痛めていた少女も、これで救われたようだ。

「エリザベス、もしこんなことしてドリトスの傍にいづらいんだったらいっそしばらく私たちのそばに……」
「えっ?」

 とぅんく――。
 颯爽と現われ、狙った獲物を盗んで去っていく怪盗リンネ――。

「ふふ、冗談だ」

 いたずらっぽく笑って夜の闇に消えていく。

「そんじゃあ、引き上げるか。あのセリフも言えたしね」

 そういうわけで、世界も引き上げた。
 すると、さっきまでの喧騒が、嘘のように静まり返る。

「あいつら、大変なものを盗んでいきましたね」

 結局、宝物を盗まれてしまったレディーナは、しかしどこか晴れやかであった。

「ええ、お父様が手に入れた『色宝』を盗まれてしまいました」
「いえ、彼らが盗んでいったのは――あなたの心です」

 言ってやったと、女騎士は何故か誇らかな決め顔をしている。
 こんなときに言うと、なんだか格好がつくと言われる伝説のセリフだ。

「うぎぎ、くそう! よくもわしの色宝を……! なんか怪盗が多かったぞぉぉぉぉぉ!」

 そして、ドリトスの叫びが夜に響いたのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

マヤ ハグロ(p3p008008) [重傷]
キャプテン・マヤ
グリジオ・V・ヴェール(p3p009240) [重傷]
灰色の残火

あとがき

というわけで、見事『色宝』は正義の盗賊団に盗み出されました。
怪盗に怪盗に海賊もいて、なんだか楽しかったです。
エリザベスも依頼が果たされて満足なようです。
悪名は付きますが、色宝はローレットを通じて然るべきところに収められます。
お疲れさまでした。

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