PandoraPartyProject

シナリオ詳細

警官殺しと警官殺し殺し。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ディズ・アンカーという名の女が居た。鮮やかな赤髪がトレードマークの、殺人鬼である。年齢は22。
 ディズは殺人鬼だが、無差別殺人鬼ではない。彼女が殺す標的は、警官である。あと気に喰わない奴とか、歯向かう奴とか……でもやっぱり警官は一番殺す。何故ならディズは警官が心の底から、吐き気が出る程、本当に胸糞悪くて偶に本当に吐く程、大嫌いだからだ。
 彼女にその理由を問えば、彼女は決まってこう返す。『嫌いなものは嫌いなんだからしょうがないじゃない』、と。
 ともかくディズは、練達のあちこちを巡りながら、警官やそれに準ずる奴らを殺して廻っていた。
 しかし、ディズはやりすぎてしまった。今や彼女の首にはそれなりの賞金がかかっており、警察だけではなく賞金稼ぎ達からも追われている身である。
 が、それでもディズにとっては大した問題では無かった。逃げるのも隠れるのも生まれつき大得意だったし、町を超えてまで追ってくる程熱心な賞金稼ぎなど居なかったからだ。
 これまでは。

「ああもう、めんどくさいなあ……しつこい男は嫌われるって言うじゃない? あなたもそれに倣ってさっさとお家に帰るのが賢明だと思わない? モテたいでしょ?」
 ディズは自身に向けて放たれる銃弾の嵐を素早い動きで避けながら、自分を追ってくるデカブツに投げかける。
「一度狙った標的は必ず仕留める。それが俺の、いや、俺たちのルールだ……何をしている! さっさと仕留めろ!!」
 重装甲の戦闘用アーマーに身を包んだ大男は、両の手にそれぞれ構えた機関銃を乱射しながら、部下たちに指示を投げる。
 すると大男の両脇に展開した男達が一斉に銃を構え、ディズに向け引き金を引く。
「ウザ……あーあー、これだから汗臭い男ってやーねー。ヘルメットで隠れてるけど、どうせその顔超ブサイクなんでしょ……イタッ!! ちょっと、銃弾が顔掠めたじゃない! ぶち殺すわよ!!」
 怒りのままにディズが大男に向けてナイフを投げる。精確な軌道、そして相応の威力を伴ったソレは、分厚い装甲を突き破り大男の肩に突き刺さる。
「フン、下らんおもちゃだ」
 だが大男は小さく鼻を鳴らすと、何事もなかった様に銃撃を続ける。
 この大男の名は、ガイ。練達内で活動している賞金稼ぎチーム『黒槍』のリーダーであり、『一度仕留めると決めた標的は必ず仕留める』という信条を持つ、プロの賞金稼ぎである。
 その信条に、今現在ディズは振り回されてしまっているのである。
「ああもう、めんどくさーーーーい!!」
「諦めろ、今日こそは貴様を墓場に送ってくれる!!」
 ディズとガイの叫び声が、夜の街にこだましていた。


「……ってな訳なのよー、酷くない? 乙女の顔面に傷つけてくれちゃって……ほら、この傷。これ! 絶対アイツ変態のサディストよ。間違いないわ」
 逃亡生活の最中、どうにかこうにかローレットに依頼を出していたディズは、イレギュラーズ達との合流場所に到着するや否や、結構なハイテンションで話し始めた。
「それで、つまりあれよ。あなたたちには私と一緒にあの……黒山羊? クロサギ? あ、違う『黒槍』だった! の連中をブチ殺して欲しいの。いい加減面倒臭いから。幸い今はまた私の居場所を逃してるみたいだけど、連中しつこいから嫌いなの。臭いし……」
 今回の依頼は、『黒槍』のリーダーであるガイと、その部下である賞金稼ぎ8人。計9人の殺害である。
「連中どうやら、今は街外れの廃倉庫を拠点としてるみたいらしくて……一応夜中に奇襲仕掛けるのがベストだとは思うけど、腐っても臭くても連中はプロだから。そこまで奇襲に効果があるかは分かんないわね」
 今回敵となる賞金稼ぎ達は銃器やナイフを所持し、それ相応の実力を持っているが、その中でもリーダーのガイの戦闘能力に関してはかなりのものだとディズは言う。
「滅茶苦茶ゴツイ武器持ってるのよねー。ガトリングガンとか、ミサイルとか……それに片腕にチェーンソー仕込んでるのよ。思いついたとしても本当にやる? 片腕にチェーンソー。本当男ってよく分かんないわ……」
 心底怠そうにディズが首を振る。
「それに何よりアイツ、滅茶苦茶頑丈なのよ。私も隙を見てナイフ投げてみたり必殺キックをお見舞いしたりしたんだけど……もう全然。ガッチガチ。硬すぎてもうヒイタもん私。キモイ硬さよ。キモ硬」
 そこまでの説明を終え、ディズは改めてイレギュラーズ達の顔を見渡す。
「ま、私が知ってる情報はこんな所よ……あとはもうぶっつけ本番ね。私もそこそこ戦えるし、なんとかなるんじゃない? ……ところであなた達って、正義の味方じゃないのよね? よね? ……ああ、良かった。もし違ったらどうしようかと思った……って、よく考えたら殺人鬼に協力する奴らが正義の味方な訳ないか! 失礼な事言っちゃってゴメンね! ウフフフフ!」
 ディズは心底楽しそうに笑っていた。

GMコメント

 のらむです。殺人鬼と一緒に仲良く賞金稼ぎを殺してもらいます。別に仲良くなくても良いです。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『練達』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●成功条件
 ディズ・アンカーが死亡せず、『黒槍』の全員が死亡する

●廃倉庫
 時間帯は深夜。窓や扉にしっかりとバリケードが張られている事、そして常に中から灯りが漏れている事から、賞金稼ぎ達は奇襲等の危険に一定の警戒をしているものと思われる。
 内部の詳しい構造は不明だが、外観を見る限り戦闘を行うのに十分の広さがあると思われる。

●ディズ・アンカー
 警官殺しの殺人鬼。まあまあそれなりの実力を持っているが、流石にプロの賞金稼ぎチームを1人で相手取る事は出来ず、全力で逃げ回ってきた。
 ナイフや蹴りによる接近戦が得意。投げナイフも出来る。そこそこの平均的なステータスだが、回避能力だけは飛びぬけて高い。
 戦闘になれば適当にその辺の相手を狙って攻撃するが、特別に指示があれば、基本的には従う。
 万が一自分が死にそうになった場合は、勝手に一目散に逃げていく。

●賞金稼ぎ達
 銃による遠距離攻撃と、ナイフや警棒による近接攻撃を行う。
 ディズ曰く、「リーダーのインパクトで忘れがちだけど、こいつらもプロだから。見くびらない方が良いと思う」だそうである。

●ガイ
『黒槍』のリーダー。分厚い装甲に身を包み、全身に重火器を仕込んでいる。
 機関銃を用いた激しい銃撃や、激しく爆炎が上がるミサイルのばら撒き、大量の出血を伴うであろう超強力なチェーンソーを振るう、等の攻撃が確認できている。
 ディズが気色悪がる程に硬い。つまり防御技術が高くHPが多い。反面、回避能力には乏しい。

 以上です。よろしくお願いします。

  • 警官殺しと警官殺し殺し。完了
  • GM名のらむ
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月08日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

極楽院 ことほぎ(p3p002087)
悪しき魔女
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
こむ☆すめ
ヴェルフェゴア・リュネット・フルール(p3p004861)
《月(ムーン)》
ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
《戦車(チャリオット)》
ネメアー・レグルス(p3p007382)
《力(ストレングス)》
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
汚い魔法少女
クシュリオーネ・メーベルナッハ(p3p008256)
血風妃
司馬・再遊戯(p3p009263)
母性 #とは

リプレイ


 ディズ・アンカーは生粋の殺人鬼である。嫌いだから警官を殺し、警官でなくとも気にくわなけらば殺す。そういう女だ。
 そんなディズ。そして今回の依頼に対するイレギュラーズ達の心境も様々の様で……。
「まぁなんでもいいさ、大衆の安寧さえ守れればこの程度……」
『策士』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は誰に言うでもなく呟いた。ディズはどう言い繕おうとも善人では無く、危険人物だ。
「(だが、それはそれ。まずは依頼を終わらせよう)」
 マニエラは己の中で、一応の区別を付けていた。
「ディズさんをお守りし、追手たる賞金稼ぎ達を皆殺し、と……ふふ、思う存分殺せるとなれば、腕が鳴りますね?」
『血禍美人』クシュリオーネ・メーベルナッハ(p3p008256)は今回の依頼に乗り気なイレギュラーズの1人であった。
 その理由としては彼女の言葉通り、『自由に人を殺せる』という点も大きかった。が、それだけではなかった。
「ま、本当は強そうな奴らとは戦いたくないんだけど……わたしも警官に恨みがあるから、敵の敵の敵は敵ってことで頑張っちゃおうかしら」
「お、あなたもそうなの? 警官ってホント生理的に受け付けないわよねー」
「分かる」
『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)とディズは、しばしの間警官のディスりを中心に会話に華を咲かせていた。
「信念をもって活動してるのに、変な連中に追い回されるのはお辛いですよねー。よーくわかりますー……でも大丈夫ですよー、私たちが邪魔者全員ぶっ殺……イーゼラー様の元に送ってあげますからねー……あ、そのまま動かないで」
『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)はディズの脚を間近で凝視しながら、心がこもってるような全然そうでも無いような口調で言う。
「ああうん。よろしく。つーか離れろ。てか何そのいーなんとか様って」
 なんとなくディズがそんな疑問を口にしてしまうと、いつの間にか近くに立っていた『《月(ムーン)》』ヴェルフェゴア・リュネット・フルール(p3p004861)が、熱い口調で語り始める。
「では説明しましょう。イーゼラー様とは、我らがイーゼラー教における完璧かつ絶対的な……!!」
「あ、うん。うん。ごめん。うん。はい。うんうん。うん。よく分かっ……うん」
 首を上下気に振りまくるディズ。そんな事を気にしているのかいないのか、ヴェルフェゴアの語りは止まらない。
「ホントに分かってるのか~? 適当に返事してるだけじゃないのか?」
「ソンナコトナイヨ」
 3人目のイーゼラー教『《力(ストレングス)》』ネメアー・レグルス(p3p007382)の問いに、ディズはブンブンと首を振る。
 そしてようやく解放されたディズに、『悪しき魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)が声をかける。
「つーかアンタさ、ホンキでオレがセイギノミカタに見えた訳? もしそーならアンタが頼るべきはオレらじゃなくて眼科だろ!」
「あぁん? 誰もあなたには言ってないでしょーが。アンタの名前位は聞いた事があるわよ。ワルイ事ばかりしてるイレギュラーズなんでしょ?」
「なぁんだ、案外オレの悪名も捨てたもんじゃねぇなぁ!!」
「まぁ有名な悪者も、それはそれでどうなのって感じだけどね!」
「「あはははは!!」」
 よく分からないが2人は笑っていた。
「さて……では、そろそろ始めましょうか。まずは私が下調べを。見つかったら色仕掛けで誤魔化す予定なので、そのときはよろしくお願いします」
「あ、うん……うん?」
 落ち着いた口調で呼びかけられディズが振り向くと、そこにはコート姿……の下にやたら面積がギリギリの下着と荒縄を身に着けた『特異運命座標』司馬・再遊戯(p3p009263)の姿が。
「出会ったばかりの相手にこんな事言うの失礼かなーって思うけど。もしかして頭イッちゃってる?」
「まさか」
 心外とばかりに再遊戯は即座に言い返した。
 

「(監視カメラの数は少ない……バリケードはかなり頑丈そうですね。これなら、壁を破壊するのと変わらないでしょうか)」
 本当のあの恰好のまま倉庫に近づいた再遊戯は、ゆったりと倉庫の周辺を歩きながら周囲を観察していく。
「(罠は無さそう……? 巡回の賞金稼ぎは……あっ)」
「ん?」
 と、その時。倉庫の外を見廻っていた賞金稼ぎの1人とばったりと出くわしてしまう。
「きさま、そこでなに」
「あ、よかったー私好みのごついおにーさん♪ おにーさんはこういう女の子に興味はあります?」
 相手が喋らせる暇を与えず、コートをバサッとする再遊戯。バサッとした事でコートの中身がブワッと晒され、流石のプロも一瞬たじろいでしまう。
「……おい。ここは貴様の様な変態が」
「実は私、最近こういう趣味に目覚め初めちゃってー♪ ……あ、ところでおにーさんってお外でがっつん派ですか? それとも……」
 凄まじい勢いでまくし立てる再遊戯に、どう対処すべきか測りかねる賞金稼ぎ。
「……よし、もう突っ込むぞ。全員配置に付け。音を出す罠はあるが、多分それだけだ。壁をぶち壊して突入すればソッコーで連中の枕元に辿り着けるし、壁はバリケードよりもむしろモロい。まずはあそこの賞金稼ぎを一瞬で仕留めるぞ」
「どうやらあの1人以外の賞金稼ぎは、全員倉庫の中に居る様ですわね」
 再遊戯が賞金稼ぎとやり取りしてる間に、完璧な下見を済ませていたことほぎとヴェルフェゴア。イレギュラーズ達はそれぞれ戦闘態勢に入る。
「ですからー、私はそういう危ない人じゃなくてー……あ、ポーション口移しで飲みます?」
「なんなんだ貴様は、いい加減に……」
「イーゼラー様の威光を喰らうのだ―!!」
「んなッ」
 痺れを切らし始め、ついに銃口を再遊戯に向け始めた賞金稼ぎ。その横っ面に、ネメアーの凶器的な拳が叩き込まれ、賞金稼ぎの身体は倉庫の壁に叩きつけられた。
 すかさずイレギュラーズ達が怒涛の攻撃のラッシュを叩き込むと、
「これぞ我が筋肉、そしてイーゼラー様の教えの賜物――筋肉百裂拳なのだ!!」
 ネメアーが放つ拳の連打。常人だろうが常人でなかろうが叩き潰す拳の連打が、賞金稼ぎをその背後の壁ごとバキバキに打ってトドメを刺し、
「道を開きます。巻き込まれない様気をつけて下さいね?」
 クシュリオーネが軽く指を振ると、倉庫の壁に大きな亀裂が入り。ネメアーの拳の威力と合わさり勢いよく吹き飛んでいった。
「……獲物が自らやってきたぞ、構えろ!! 一斉に撃て!!」
 直後、崩れた壁の奥からガイの怒号が響き渡る。倉庫の外での戦闘音を察知し、待ち構えていた賞金稼ぎ達が、一斉に銃口をイレギュラーズ達に向ける。
「賞金稼ぎって、案外後ろがお留守なのね。拍子抜けだわ」
 賞金稼ぎ達が引き金に指をかけた、次の瞬間。彼らの背後でメリーは呟き、指輪を掲げた。
 するとその指輪から放たれた眩い光が賞金稼ぎ達の背を焼き。賞金稼ぎ達の銃撃は大きく狙いが逸れた。
「チィッ……!! 貴様、いつの間に……!!」
「さぁ」
 ガイの問いかけにメリーが気の無い返事を返すと、ガイは怒りに任せメリーに向けてガトリングガンを撃ちまくる。
「当たったら痛そうね。当たらなかったら何の意味もないけど」
 直後、メリーは冷静に魔力を込めた符を展開、起動。メリーの周囲に浮かび上がった防御陣は、全ての弾丸を阻み鉄屑へと変えた。
「私がわざわざリスクのある行動を取ったんだから。あなたたちは速やかに死ぬのがものの道理ってものじゃない?」
 メリーが事も無げに言い放つと、ガイは苛立たし気に舌打ちする。
「んー、素敵な脚が一杯……っと、今日はネメアーたそにヴェルたそまでいらっしゃるので……殺ることはしっかり殺らなきゃなんねーですねー」
 賞金稼ぎ達の迎撃が失敗に終わり、ピリムは一気に賞金稼ぎ達に飛び掛かる。
 そしてガイを中心とした賞金稼ぎ達、その関節に次々と素早く拳を撃ち込むと、その動きに大きな隙を生み出していく。
「どうやらこの方達は良い経験を積んだ魂達の様子……皆、イーゼラー様の元へと還して差し上げましょう」
 ヴェルフェゴアはピリムが生み出したその一瞬の隙を見逃さず、己の魔力をひたすらに自らの腕に集束させていく。
 魔術を詠唱するのであれば、魔法陣の1つでも浮かんでいた所だろう。だがこれは魔術ですらない。肉体の限界を超え、そして蝕む程の魔力をついに集束し終えると、
「わたくしには、それ位の事しか出来ませんもの」
 穏やかな口調で言うと、魔力を解放。辺りに轟音を響き渡らせながら放たれた魔力の塊は、分厚い装甲を身に纏うガイの身体の中心に直撃する。
「グァッ……!!」
 その余りの衝撃に、ガイは堪らず苦悶の声を漏らした。
「流石に頑丈ですわね……あら?」
 ヴェルフェゴアが周囲を見渡すと、1人の賞金稼ぎがディズに銃口を向けているのを確認する。
「ディズ・アンカー……!! 貴様だけは……ウッ!?」
 言葉は原因不明の激痛によって遮られ、賞金稼ぎは泡を吹いて倒れ、絶命した。
「その魂が、無事主の元に辿り着けますように……」
 それは純粋な祈りだった。嘘偽りのない、祈り。ヴェルフェゴアの祈りが、賞金稼ぎの魂を直接冥府へと送り届けたのである。
「一瞬ヒヤッとしたが、奇襲は成功……とりあえず、ゆっくりとやるか……『敵はまだまだ余裕だという素振りをしているが、戦況は明らかに此方の優勢だ。焦らずやればこのまま勝てるぞ』」
 本格的に戦闘が始まり、中々に混沌とした状況。だがマニエラは冷静に状況を見極めると、仲間に的確な号令を放つ。協調性に満ち溢れた面子と呼べるかは怪しいイレギュラーズ達だったが、この号令を機に自然と連携が取れ始めていく。
「誰かと殺しをするなんて初めてだけど、案外悪くないわね! アハハハハ!!」
 それはディズもまた例外では無かった。その事実が喜ばしいかどうかはさておいて。


 奇襲によって大きな被害を被った『黒槍』一行。しかし時間が経つにつれ落ち着きを取り戻し、着実に反撃に出始めていた。
「ウグ……我が筋肉は不滅なりぃぃぃいい!」
 数多の銃弾を受け続けてきたネメアー。その拳が一人の賞金稼ぎの胴体を吹き飛ばした直後、ガイのミサイル爆撃に巻き込まれて、意識を失ってしまう。
「ネメアーたそがやられてしまいましたー……こいつはいよいよ本腰入れなきゃですねー」
 ピリムは呟き、賞金稼ぎ達を見回す。
「やっぱりどれも良い脚……じゃなくてー、そろそろどいつも限界っぽいですねー」
 イレギュラーズ達の攻撃によって、賞金稼ぎ達の数は既に半減。残りの賞金稼ぎ達も中々に消耗が激しくなっている様に見える。
「いやそれはそれとしてやっぱり鍛えている連中は脚の付き方が違いますねー。この脚が戦いで消し飛ぶのは勿体ない……うーん、やっぱり欲しい脚があるなら自ら行動に移さなきゃダメですよねー」
 ピリムはそんな事を言いながらしっかりとサーベルを握りしめる。その脚に対する執着はなんなんだとディズは思わないでも無かったが、執着という点では自分も似たようなものだったので何も言わなかった。
「そのまま動かないで下さいねー、どうせ死ぬんなら綺麗な脚を残して死にたいですよねー? あ、そうでもない? まぁそんなんどうでもいいから脚落としてって下さいねー」
 軽い口調で語りかけながらピリムは屈みこみサーベルを構えると、跳んだ。凄まじい勢いで賞金稼ぎ達の間を跳ね回り、流れる様な斬撃の嵐。
「いっちょ上がりですねー」
 呟き、ピリムがサーベルに付いた血を払うと、3人の賞金稼ぎ達の胴体がズルリと脚から滑り落ち、地面へ落ちた。残ったのは綺麗に切り取られた6本の脚。
 1人残ったガイの部下が、震えた声でガイに投げかける。
「ガ、ガイさん……逃げないとやばいんじゃ……」
「黙れ!! 狩人が、獲物を前にむざむざと退けるか!!」
「譲る事の出来ないプライド、というものでしょうか。中々、強い魂をお持ちの様ですね」
 ガイを称賛するような事を言いつつも、ヴェルフェゴアはサラリと最後に残ったガイの部下の魂を昇天させた。変わらぬ強い祈りを以て。
「どうやらここまでの様だな……なんというかまぁ、間が悪かったな。諦めるのはできないだろうが、残念ながらここで死んでもらう」
 ついに1人となったガイにマニエラは言い捨てると、ガイは激昂した様子で声を荒げる。
「ほざけ!! 俺がどうなろうと、そこの女は必ず道連れにしてくれる!!」
「それはどうかな」
 ガイがイレギュラーズ達に向けミサイルをバラまく。激しい爆炎が巻き起こるが、マニエラは宙に向け放った雷の結界で被弾を防ぎ、
「『冷静に、だ。この程度で私達は揺らがない』」
 再び力強い号令を放つと、イレギュラーズ達の体制が速やかに立ち直る。
「もう一度言う。死んでもらう。プロの狩人だというのなら、この状況は其方にとっての狩りではなく、私達にとっての狩りだという事位理解できるだろう」
「グ……!!」
 そしてマニエラはバサリと青色の扇を広げると、魔力を展開。音も無く生み出された無数の不可視の刃がガイの周囲を取り囲み、
「ルール、信条……生憎そんな大層なものは持ち合わせていないが、それでもこんな場所で死ぬわけにはいかないんだよ」
 パチン、と小気味の良い音と共に扇が閉じられると、無数の刃がガイに肉薄。その分厚い装甲を突き破り、その本体を貫いた。
「グ……グオ……!!」
 当初は頑丈で、如何なる攻撃も弾かんとばかりに立ち回っていたガイだが、度重なるイレギュラーズ達の攻撃により、いよいよ追い詰められてきていた。
「そろそろ終わり、でしょうか。『皆さん、あとひと踏ん張りですよ』」
 再遊戯は味方の支援・回復を続ける事で、戦線を維持する勤めを果たしていた。
「まぁまぁ、いわゆるアレだ。相手が悪かったって奴だ! それに『仕事』ならなんでもするっつーのはお互い様だろ? ここは恨みっこなしでいこーぜ! 別に返事はしなくていい、オレの中ではそういう風にもう決まったんだよ!!」
 一方的に言い放ったことほぎは、手にした煙管に口を当てる。禍々しい煙に含まれたるは呪いか悪意かその両方か。それでもことほぎは「美味い」と小さく呟き笑みを浮かべる。
「勝手な事を……!!」
「身勝手三昧は悪の華の特権ってェ奴だ……それよりアンタ。ちゃんと足元、見えてるかい?」
 ことほぎがフッと煙を吹くと、煙の中から放たれた魔の弾丸が、ガイの足元を穿つ。痛みはそこまで無い。しかしその弾丸に込められた呪いは、瞬く間にガイの全身を蝕んでいく。
「そのゴチャゴチャした装甲は、オレの呪いまで防いでくれんのかァ……? そうじゃなきゃ、そんなもんさっさと捨てちまうんだなァ!!」
 もがき苦しむガイに向け、ことほぎは煙を放つ。その煙は瞬く間にガイの全身を包み込んだかと思うと、ガイの魂は見る見るうちに穢されていく。
「ウ、グオォオオオオオ……!!」
「……っていうかホントしぶといわね。あなたの呻き声もそろそろ聞き飽きて来たわ」
 立ち続ける事も怪しくなってきたガイに、メリーは容赦なく斬撃を振るう。
 だがまだガイは死なない。その瞳は未だ獲物を捉え続けていた。
「ホンッとしつこいわね……とっととコイツ、ぶち殺しちゃいましょう!」
「そうですね」
 ディズの呼びかけにクシュリオーネは応え、虫の息のガイを見据える。
「何故俺の邪魔をする……! そこの女は、最低最悪の、殺人鬼だぞ……!!」
「別に答える義理も無いんですが……ディズさんの生き方には何処か、共感を覚えるものがありますので。任務だという事もありますが、それ以上に……彼女の事は守り通したいと思うのですよ」
 クシュリオーネの言葉に、ガイはあり得ないと首を振る。
「貴様、何を、言っている……? 共感だと? そこの女にか?」
「ええ。中々いませんよ、私が共感できる相手なんて」
 クシュリオーネは事も無げに言い切ると、自らの指先に魔力を込めていく。
「イかれている……どうやら、貴様も、死ぬべき人間の様だ!!」
 ガイは叫び、今日再三に渡って放たれたミサイルの雨を撃ち放つ。
「もう見飽きたんですよ、その攻撃……ところであなたは生きるべき人間なんですか? どうやらその件に関しては私とあなたの間で、悲しい意見のすれ違いが起こっている様ですね」
 クシュリオーネは魔力を込めた指を振る。するとクシュリオーネの眼前の空間がグニャリと歪み、弾道を書き換えられたミサイルは、あらぬ方向へ飛んでいく。
 そのままクシュリオーネはピン、と指先をガイに向けると。
「いい加減さっさと死んで欲しいので、死んでくださいね?」
 再びグニャリ、と空間が歪んだ。その歪みに全身を巻き込まれたガイは、不思議な声を漏らしながら全身が捻じれ、縮み、拡がったかと思うと。
「あ」
 バチン、と奇妙な音がして。ガイの全身は縦に真っ二つに引き裂かれるのであった。
 呆気ない幕切れ。だがこれは正義のヒーローショーでは無いし、殺されたのは悪の大魔王でもない。
「ならばこの結末が、あなたたちには相応しかったという事でしょう」
 クシュリオーネは静かに呟くと、無惨に広がった『黒槍』達の死体を見下ろすのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ネメアー・レグルス(p3p007382) [重傷]
《力(ストレングス)》

あとがき

これにて依頼完了です。お疲れさまでした。

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