シナリオ詳細
\ミケランジェロランド、開園/
オープニング
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天義――サン・サヴォア領に存在するアルベール湖は自然豊かな草原の中に存在している。
もふもふとした人懐っこい動物達と風光明媚な湖の様子に加え、危害を与えるようなモンスターもいないことから、領民の憩いの場となっている……そうだが、その湖の守人をご存じだろうか?
その名も『勘解由小路・ミケランジェロ』
健鶏王国の王位継承権3位に該当する王子であったが、親類の元へと養子に出されて王位継承権を呆気なく手放す事になったそうだ。
ある日自分の姉が悪役令嬢で何処かの世界から来た転生者と言うことを知り破滅回避のために頑張るも、第二王子の策略で油湖落ちかけた時に目を開いたら空中庭園に召喚された――という思い出を堂々と語ったミケランジェロ(ミケ君)は『美味しいとり』と認識されて身の危険を何時も感じていたのだ。
そんなある日、偶然にも出会ったアーリア・スピリッツ (p3p004400)を頼り、アルベール湖の守人となることを決めたらしい。
「領主殿は私の羽毛を堪能していた……つまり私達鳥類で癒しの空間を!
そして柵で囲うことにより私達鳥も陸の生物から守られる、名案ですね!」
ミケランジェロの中では素晴らしい案だったはずだ。其れこそ、羽毛をふるふると震わせるほどのテンションである。
ミケランジェロランドは開園準備を整え無数の『とり』達が集まってくる。たわしみたいなとりに、大根みたいなとり……様々なとり――美味しそう……――が無数に集まりふかふかと羽を揺らしている。
――だが! 大変な事が起こったとミケランジェロはローレットへと飛び込んだ。
どうした事か、見回りで訪れていた見習い騎士の少女、イル・フロッタを引きずって。
「!?!?」
「ああ、イル様、失礼しました! ですが、これは重要事件なのです!」
「あ、ああ……?」
見習い騎士は何が起こったか分かっていないがこれだけミケランジェロが取り乱すのだ。
何か危険なことが起こったに違いな――
「大変なのですよ! 領主殿! なんと、私達のミケランジェロランドに、からあげ屋さんが強襲したのです! ミケランジェロランドの従業員(とり)をからあげにしてしまうつもりでしょう。
此の儘では私もからあげになってしまいます! からあげはいやです! 私はギフトで美味しいフライドチキンを出すことが出来ますが、私そのものがからあげになるのはいやなのです!」
――危険な事が起こったに違いない!
ミケランジェロは懸命にアピールし続けるベーク・シー・ドリーム (p3p000209)は「その気持ちはよくわかりますよ」と大きく頷いた。確かに彼もたいやきに間違われて命の危機を感じて居る事だろう。
「そ、それでは……ミケさんを、からあげ屋さんから守ればいいのですか……?」
首を傾いでメェと呟いたメイメイ・ルー (p3p004460)にミケランジェロは「その通りです! ご友人殿!」と堂々と笑みを浮かべている。
「それでは! 簡単に申し上げますね!
どなた様でも大歓迎の我がミケランジェロランドに訪れたからあげ屋さんを撃退して欲しいのです! どなた様でも大歓迎と申しましたが従業員(とり)に危害を加える存在は許して置けません!
そして、この騒ぎで心を痛めた従業員(とり)の心をケアしてあげて欲しいのです!
皆、羽毛をもふもふされているのを待っていたのです。存分にモフモフしていただければ……あ、フライドチキン食べますか? 領主殿がお酒もお好きなので美味しいワインも用意しましたよ! 黄金色のエールの方がいいですかね!?」
……何はともあれ、からあげ屋さんを撃破して、とりをモフモフしたらフライドチキンを食べに行こうではないか。
「あっ、こちら、特別招待券です! ミケランジェロランドもプレオープンです!
フライドチキン以外も食べたいなら園内は持ち込みオッケーです! 私もご一緒に頂きますね!」
え……? ミケくんもフライドチキン食べるの……?
- \ミケランジェロランド、開園/完了
- GM名夏あかね
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年12月05日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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\ミケランジェロランド、開園しました/
そう宣言したのは『人為遂行』笹木 花丸(p3p008689)と『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)だった。
その傍らで渾身のドヤ顔を決めているのが勘解由小路・ミケランジェロ――通称ミケくんである。
天義の一角に座する『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)の領地、サン・サヴォア領に存在するアルベール湖の守人として日夜頑張るミケランジェロが福利厚生やら領主へのサービスで設立したミケランジェロランドは危機に襲われているらしい。
そう! 『からあげ屋さん』がやってきて従業員達をからっと揚げようとしているというのだ。
「鳥さんをモフって、フライドチキンを食べる……? いいのかなぁ……」
呟く『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)に首(?)をぶんぶんと振り続けるたい焼き。アーリアは「ああ、あんこがはみ出しそうで美味しそうだわぁ」位に考えているベークの渾身の否定である。
「いけません……これはいけませんよ。我々イレギュラーズは人なのです。それを食べるなど……」
_人人人人人人人人人人人人_
> 言 語 道 断 ! ! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
※これはベークの強い気持ちを堂々と表した結果です。
「いいですか? 皆みんな生きていて友達なんですからね?
そう、僕もです!!(ここ大事)(そんなたいやき)」
「えっ!?」
ばばんと『食材適性』を掲げて遣ってきた赤いとりさん。『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)ははっと思い出したように首を振る。
「いや俺は喰われる気ねーからな!(ばさっ)(でっかい鳥さん)(食べごたえあり)」
だと言うのにどうしてとっても美味しそうなお肉の香りを立てているのか――!
「か、からあげ……? フライドチキン……?
何だかわからないけれどとてつもない恐怖を感じる言葉だわ。
きっとこれが言霊というやつね。そんなものまで操るなんて、からあげ屋……恐るべし強敵……!」
恐怖に打ち勝つようにコケッと羽を揺らした『飛んだにわとり』トリーネ=セイントバード(p3p000957)。
ミケランジェロランドが大盛況→収入がっぽり→お酒が美味しい! の図を思い浮かべていたアーリアの傍らで「何という事でしょうか!」とシャンパングラスを掲げていた『L'Oiseau bleu』散々・未散(p3p008200)。バスケットの中にはマヨネーズや塩こしょう、レモン汁にと様々な調味料が入っている。
「ミケランジェロランドの鳥さん達を連れ去って、美味しいからあげにしようなんて許せないねっ!
これはもう皆でえいやっ! って止めに入らなきゃっ!」
「ええ、ええ。嗚呼……何と悍ましいのでしょうか! 唐揚げ、唐揚げになるのですよ!?
嗚呼! 嗚呼ッ! 悲鳴を挙げる事も許さずに傷口に醤油や其の他スパイスを揉み込んだ挙句、片栗粉で白く粧し込ませて、熱々の煮油の中で恋する乙女の様に色付く迄……ホップ・ステップ・ジャンプを強いるなど!!」
花丸に力強く頷いて、何と悍ましいのだろうと未散はミケランジェロのウェルカムフライドチキンを手にしながらムシャッと齧り付いた。
「ぼくだって鳥の端くれだ、あなたさま達の様な冷酷無比な暴虐……許せません!!」
「メ、メェ……」
何だか空気感が違う.そう怯えたのは『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)。ミケランジェロランドにいきなりのピンチが訪れたのだ。これはどうにかしなくてはならない。
そう一念発起してふらいどちきんを食べて、からあげから救う為にやってきたはずなのに――仲間も『からあげ屋さん』の犠牲になりそうな雰囲気なのだ。
「ふふ、この私がミケランジェロランドのスポンサーとして、からあげ屋さんはやっつけるわよぉー! 赤いスパイシーチキン、聖なるにわとり煮込み、デザートにたいやき……いえなんでも」
――そもそも、スポンサーこと領主様が一番、仲間を食べそうな雰囲気だったことにメイメイは気付かないフリをした。
●
まるで猛々しい百獣の王の如くフライドチキンを握りしめた未散は機動力を生かしてピューっと走り出す。
目にも止らぬ早さで駆け出す青い鳥を追いかけて、花丸は「美味しい唐揚げの臭いがする!」とがばりと顔を上げた。
から揚げ屋さんは危険な存在だ。ミケランジェロ達を始めとするスタッフを唐揚げにしてしまおうというのだから――! けれど、ちょっぴり。本音を言えば……。
「…それはそれとして美味しいからあげが食べたいから、後でからあげ屋さんのお店で美味しいからあげを食べに行ったりとかは……っ!?」
「ダメです!」
「え、今回はダメ? そっかー……」
から揚げを断固として否定するミケランジェロは「後で美味しいフライドチキンあげますから!」と声高に叫ぶ。走る未散を追いかけて花丸は「美味しい唐揚げの臭い! ヤツさ!」とびしりと指さした。
そこに断っていたのは唐揚げ屋さん。ご丁寧にも背中に『唐揚げ屋』の文字が躍っているあからさまな唐揚げ屋さんである。
「鳥さん達を美味しいからあげにしようとはこいつぁ悪いヤツです! 鳥チェック、ピッ!」
「ピッ!」
指さす真似を為たメイメイはぷう、と頬を膨らませる。反省していただくまではからあげ屋さんから決して目を離さないつもりなのだ。
「乱暴狼藉は、そこまで、です……! ここは、狩場ではありません、よ」
「わ、私も協力を!?」
慌てふためく天義の見習い騎士イル・フロッタへとアーリアは「イルちゃんには指令!」と領主らしく胸を張った。さっきまで美味しく赤いスパイシーチキンと聖なるにわとり煮込み、そしてデザートのタイ焼きを考えていた緩いだ酒呑みレディの表情は明後日へ――
「パニックに陥っているとりを避難誘導!
これは天義の有事に備えた実地訓練よぉ! ふぁいとー! ミケくんも園長として、皆さんの協力をしてあげてねぇ」
「承知した!」
「はい! 頑張りましょう!」
イルとミケランジェロが走っていく。その後ろから『てってけ』走ってくるのはトリーネだ。小さな翼をぴよぴよと動かして尤も唐揚げの似合う聖なるにわとりは鳥たちの避難誘導を行っている。
「落ち着いてー! 悪い人は私たちがお仕置きするから大丈夫よ!」
ぴよぴよと不安げな鳥たちの介抱と誘導を行うトリーネへと鳥たちは「本当に大丈夫?」「唐揚げにされない?」と逆に心配そうである。
「大丈夫。私にはぴよちゃんたちがついているもの! ぴよっとお仕置きにしにいきましょう!」
それは安心するのだろうかとチャロロは悩んだ。ミケランジェロの事を慮ってランドの保護を行いながらも鳥さんたちを探すように周囲を見回した。
「人助けセンサーって……鳥助けにも使えるのかな?」
「勿論!!!! 私達は人ですから!!!!」
クソデカボイスのミケランジェロ(鳥)がそう言うのだからきっとそうなのだろうとチャロロは信じることにした。
「そうだね。鳥さんは鳥さんでも、食用じゃない鳥さんだもんね! ……って……あれ?」
食用じゃない筈なのに――チャロロの目の前では恐ろしい事が起こっていた。
「あーここに! からあげにするには最高に美味しそうな赤い鳥が!」
「違う! 食べれない! 食べれないから! 生命の危機ってやつか!?
赤くておっきな鳥さんはスパイシーな唐揚げ向きなイメージを湧かせるかもしれないけど、違う! ぴぃ!」
ずるずると前線へと引きずり出されるカイト。引きずり出しているアーリア。
その様子をヤレヤレと言った様子で眺めていたベークは突如、アーリアに捕まれぽい、と前線へと投げ込まれた。
「あと揚げたらさらに美味しそうなたいやきがー!」
「え!? 今日の僕は鳥ですよ。不死鳥って奴です」
\まさに不死鳥/
ベークは飛んだ。空飛ぶ鯛焼きになった。ジェットパックで空を飛び続ける彼を見て避難している筈の鳥たちはベークを見つめてぼそりと呟く。「美味しそう」と。
「いえまぁ不死鳥よりしぶといかもしれませんがね。っていうか僕不死鳥とか見たことないんですけどどっかにいるもんなんです?」
「呼びましたか?」
まさかのミケランジェロ、不死鳥説を出しながら(前からも後ろからも)食用にされかけるベークを護る為に花丸は「任せて!」とその胸を張り、未散が隙ありともいわんばかりにレモンを絞った。
からあげ屋さんの両の眼目掛けてレモン汁が飛び込んで往く。ぶしゅ、と激しい音をして飛び散ったレモン汁が前線へと押し出されていたカイトにも掛かった。
「あっ、ごめんなさい。唐揚げってレモン派ですか? 人それぞれで好みが違う事を知りながら……ついかけてしまいました」
「唐揚げじゃねーぞ!?」
「うう……申し訳ない。因みにぼくはレモンは掛ける派でございます!!
檸檬に含まれるエリオシトリン――ポリフェノールのお仲間の成分に依り、肥満や糖尿病予防に効果があると言われています。酒の席ではつい目を逸らしがちな高血圧に動脈硬化などの生活習慣病の予防にも一役買ってくれるんです! 以上、ちる-pediaから引用!」
ぐりん、と鳥の様に首を回し、カメラ目線になった未散の目は血走っていた。
「其れはそうとして マ゛ヨ゛ネ゛ー゛ズ゛も゛お゛い゛し゛い゛で゛す゛よ゛ね゛」
●
――から揚げ屋さんはノックアウトされていた。
これだけの恐怖体験をしたのだ。もうミケランジェロランドでこのような行いをする事はないだろう。
「はい! イルさん。唐揚げ屋さんの事はよろしくね?
あ、そういえばこの後イルさんはリンツァトルテさんに差し入れのご飯を私に行くのかな?」
「えっ、あ……う、うん」
もじもじとする乙女モードのイルに花丸はにんまりと笑顔を浮かべて「ほら、フライドチキン! 折角なら鳥さんたちももふっていく?」と優しく問いかける。
「皆さん、どうぞどうぞ、スタッフを存分にもふもふして癒し癒され愛の溢れるミケランジェロランドにしてください!」
ドヤ顔で進めて来る美味しそうなとり。チャロロは「有難う」と微笑んだ。
それにしても様々な種類の鳥たちが存在している。例えば――
「ちっちゃくてふわふわな鳥さん、スマートできれいな羽の鳥さん……ほのかに潮の香りがするおっきな鳥さんは……カイトさんか!」
はっとしたチャロロの前では多数のひよこに囲まれたトリーネや鳥たちにじゃれ続けられるカイトがいる。
「仲間だと思われてるのかな、なんだか鳥さんたちにも好かれてるような……」
「もふれよ」
「えっ、いいの……?」
潮風でぼさぼさになりがちだった夏毛や、去年の海洋王国での仕事での荒れっぷりと比べれば今年の冬毛はモフモフ度がアップしている。プレオープンならば従業員の振りをしてアルベール湖の船頭や焼き鳥屋さんをするとミケランジェロに許可済だ。
「綺麗な湖ねー! それに……それにみんな!
勝ったー! 湖よー! 水遊びよー! ばしゃーん! うーん、景色も良くて広い。これはナイスな湖ね。しかもキンキンに冷えて……」
トリーネがぶるぶると震えあがった。12月にもなれば湖は冷え切っている。
「寒い! 冷たすぎるわ! 今は冬だったわね! すっかり忘れていたわ!
でも大丈夫。鶏は寒中水泳だってできちゃうの。でも今は不意打ちだからちょっと辛いかもしれないわ。ぷるぷる。危機は去ったはずなのにまた震えてきちゃった」
震えるトリーネを他所に、オープン記念の宴のためにとアーリアはミケランジェロのフライドチキンやカイトの作る焼き鳥を堪能している。
\酒! とり! 食べ飲み放題よぉー!/
「ほらほらイルちゃんも、あら料理上手……男は胃袋で掴むのよぉ、ふふ」
「胃袋、デッ!?」
声の裏返ったイルに「そうだよ?」と花丸もにんまり。焼き鳥を食べながら膝の上の小さな鳥をモフモフし続ける。
「ミケランジェロさまも、もふもふしましょう、ね」
もふもふふかふかくんかくんかもふもふ。メイメイはミケランジェロを只管にもふもふし続ける。
「ああ、そんな……ふふ、だめです……うふふ……」
(ミケさん、あんな気持ちよさそうな顔して……それを見ながらフライドチキンを食べる! 罪の味!)
食欲の花丸とワインを一人でぐびぐびと飲み続けるアーリアを他所にメイメイは只管にミケランジェロをもふもふとしていた。
「ふう、ふわふわのとりさんたち、最高です。
癒し、癒され…なんて素敵な関係なのでしょう。ふふ。……け、けれど、この香ばしい臭いは……」
ミケランジェロの側にいるとどうしてもフライドチキンの匂いがしてきた。「食べますか?」と満足げにフライドチキンを差し出すミケランジェロ。一体どこから――とメイメイは深くは詮索しないと目を閉じた。
「ところで、ミケランジェロランドの年間パス、のご予定は……? 通わせていただきたいな、と」
「領主殿のご友人ならもちろん無料でいつでもいらっしゃってください!」
どうぞどうぞとジュースを注いでくるミケランジェロは一人前の給仕状態だ。
「あらまぁここにスパイシーチキン達……いただきまぁす!」
「僕は肉より魚介派なんですが……人肉はちょっとアレなので止めさせてもらいますね……?
ぬぁあああああ!!!! お手伝いしたのに!!!! 食べないでください!!!!
待って!!!! 僕ですよ!!!! ベーク!!!!! 僕です僕!!!!! 食べないで、さ、さけくさい」
勢いよくアーリアに掴まれたベークが叫び逃げ出そうともがき続ける。その様子をくすくすと笑みを浮かべて見つめていた未散は「もし」とそっとアーリアの側に腰かけた。
「其処の美しき貴婦人さま、ぼくも付き合わせて頂いても?
此処で、さっき産みたてを拝借した卵の白身を取り除いて――黄身とエールをまーぜまぜ。
お砂糖ちょちょいで。はい! 二日酔い防止にもなるカクテルの出来上がり!」
「まあ! とってもおいしそうだわあ!」
未散の機転でベークの命は助かった――が、焼き鳥屋さんの方が問題だった。
カイトがるんるんと焼き鳥を焼き続けている中で、湖で寒々しい思いをしたトリーネが暖かい所を探しに彷徨っているのだ。
「あら、こんなところにお店。しかも良い匂いがするわ。
ちょっとだけ当たらせてもらうわね。ぬくぬく。うとうと」
うとうとと夢の中――そうしているうちにトリーネは火の上に。見事な焼き鳥状態でじゅうじゅうと焼かれ始め、熱さが増してきたと驚いたように顔を上げ――
「うーん、ちょっと熱いかも?
もうちょっと弱くして欲しいわ。それに何か周りが赤……あか? こけええぇぇぇ!!」
焼き鳥耐性がなかったら死んでいた!
危うくミケランジェロランドの初めての死者になる所だったのだ。
「え!? やべえ! ごめん、ぼーっとしてた!」
「いいえ、大丈夫よ! 焼き鳥耐性があった――って、あれ……?」
慌てる二匹の背後から泥酔したアーリアがそろそろと近寄ってくる。
「美味しそう」
その言葉に二匹は「ぴぃ」と叫んだ。恐ろしい光景にミケランジェロの目を覆い隠したメイメイは「めぇ……」と小さく声を漏らす。
ベークは巻き込まれていない事に安堵し、チャロロと花丸は傍の鳥たちをもふもふとし続ける。
未散は没頭していた。もふもふで、ふかふかで、あったかいお日様の匂いのする鳥たち。
心行くまで堪能していたら――
「――おそら、きれい」
もう夕方になって居るとハッと顔を上げた未散にまたお越しくださいとミケランジェロは微笑んだのだった。
無事、アルベール湖の畔に開園したミケランジェロランドは盛況であるらしい。
特に、フライドチキンと焼き鳥が人気なのだとか……。
――鳥を見ながら食べる鳥って、罪の味!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
からあげっておいしい!!!!!!
GMコメント
からあげたべたい。夏あかねです。
●成功条件
・からあげ屋さんを倒しましょう
・従業員の心のケア(もふもふ)をしてあげましょう。
●勘解由小路・ミケランジェロ
とり。アーリアさんの関係者。おいしい。
王子様的なナイスな丁寧語で喋る旅人です。美味しそうな鳥であるのはたしかです。
アーリアさんを領主と呼び、領地アルベール湖の守人を務めています。
「ミケ君と呼んでくださいね! あっ、フライドチキン食べますか? えっ、齧りたい? あっ……ちょっとだけですよ……?」
●ミケランジェロランド
突然開園が決定していたアルベール湖のミケランジェロプロデュースのテーマパークです。
どうやら、その中にからあげ屋さんが訪れ、従業員(とり)を乱獲しているようです。
とりとのふれあいコーナーのような雰囲気のミケランジェロランドで、従業員(とり)を痛めつけようとするからあげ屋さんを撃破してあげてください!
●からあげ屋さん
よわい。従業員(とり)を乱獲してからあげにしようとしています。
とりがいたからからあげにしてやろうという気持ちでしょう。ミケランジェロにとってはこれ程恐ろしい存在はいません。ああ怖い……。
●従業員(とり)
たくさんいるもふもふした鳥たちです。心をケアするために存分にモフモフしてあげてください。おでぶちゃんやほっそりさん、キーウィもいます。
●ミケランジェロランドプレオープン
ミケランジェロはからあげ屋さんを撃退した後は、よければランドを楽しんで欲しいと言っています。
彼がフライドチキンを用意しますし、折角なので風光明媚なアルベール湖を堪能しませんか?
ワインやエールも準備してくれたそうです。食事の持ち込みも勿論オッケーですよ。
●イル・フロッタ
見回りの為に首都を離れて訪れたようです。バスケットにはたくさんの料理を詰め込んで、大好きな先輩(リンツァトルテ先輩)の為に立派な騎士&女の子になるべく奮闘している結果のようです。
何もなければ「平和だったなあ」とからあげ屋さんを連れて帰ってくれます。何かご用事があればお気軽にお声かけください。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
のんびりしましょう! よろしくお願いします。
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