シナリオ詳細
再現性東京2010:すーぱーすたいりっしゅぞんびあくしょん
オープニング
●
「ウガー」
再現性東京の片隅の片隅、全然人が居ない地区に、建設途中の遊園地があったそうです。
「ウガガーガガーガガー」
なんでそんな場所に遊園地を作ろうとしたかはさておき、その遊園地は喜怒哀楽が入り混じる複雑怪奇な現象、『大人の事情』によって放棄されてしまったそうで。
「ウガッ!!」
今ではすっかり人も訪れる事も無く、閑古鳥すら逃げていく始末。
「ウガーガー」
ただ人は居ないけどなんだかすごい量のゾンビ共がそこらを徘徊しているらしく。この放棄された遊園地に残された3つの施設。それらの様子を見てみましょう。
「ウガーアー」
まずは和風ホラー巨大迷路。暗く赤い照明に彩られたおどろおどろしい雰囲気に包まれたこの迷路は、どうやらかつての日本のお屋敷を模しているらしく。結構たくさんのゾンビが徘徊している様です。
「ウガ」
中には似合いもしない着物や、壊れた鎧らしきものを着込んでいるゾンビも。刀や鎌、弓等の和っぽい武器を持っている輩が多そうです。
「ウガー」
続いては超巨大コーヒーカップ。こちらにも結構いい感じの量のゾンビがうろついて、あるいはコーヒーカップに振り回されている様子です。
「ウッガーウガウガ」
特に服装にも武器にも統一性は無いですが、回ってる最中のコーヒーカップの間を飛び移ってみたり、飛び移るのに失敗したりして遊んでいる様です。彼らには乗り物酔いと危機管理という概念は無いのでしょうか。
「ウーガーウーガガ」
さて、最後は酒場風レストラン。ここはなんだかウエスタンな香りが漂っており、西部劇に出てくる例の扉をくぐってレストランに入ると、西部劇っぽい服装をしたゾンビ達が出迎えてくれるでしょう。
「……ウガ」
大した腕前もないくせに彼らの大半は銃を持っており、ふざけて撃ち合ったり椅子や酒瓶を投げたりして遊んでいる様です。機関銃らしきものを抱えているゾンビも。見た目だけは恐ろしいですね。
「ガー」
これまでの施設の中では最もモノとゾンビがひしめきあっており、まさに乱闘騒ぎにぴったりといったところでしょうか。
「ウガ」
まあともかくこの遊園地にはめっちゃたくさんのゾンビが居るので、今のうちに誰かばしばいて回るのが世の為人の為だと思います。
●
「ゾンビが遊園地にワーッと沢山出たのです。夜妖って奴だと思うのです。だからみんなでザーッと突撃してグワッシャーッとゾンビどもをしばき倒してきて欲しいのです。すたいりっしゅに」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がバーンと説明を始める。
「この遊園地は中途半端な状態で放棄されたから、『和風ホラー巨大迷路』、『超巨大コーヒーカップ』、『酒場風レストラン』の3つしか無いのです。当時の物品はそのまんま残ってて、なんか知らないけど電気通ってるので稼働してるのです。誰のものでもないので派手に暴れてオーケーなのです」
ゾンビ達はそれぞれの施設に、結構それなりの数がいるらしい。
「ゾンビどもはそこらへんにあるものを使ってぶん殴ってきたり、普通にぶん殴ったりしてくるのです。あとなんか武器持ってる奴もいるっぽいです」
しかしこのゾンビ達は、数こそ多いものの戦闘能力がかなり低い。特に攻撃力に関してはかなりのレベルの低さだとユリーカは言う。
「まあ説明はこんなところなのですが……さっきも言った通りゾンビは大分弱いのです。だからどうせなら思いっきり恰好つけて。すたいりっしゅにゾンビを倒してきて欲しいのです。ぐっどらっく!」
- 再現性東京2010:すーぱーすたいりっしゅぞんびあくしょん完了
- GM名のらむ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年12月01日 22時00分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●れっつあくしょん
ついに始まってしまいました、すーぱーすたいりっしゅぞんびあくしょん。
各々がいい感じに分かれ、ついにイレギュラーズ達とゾンビ共の闘い、もとい一方的な暴力の嵐が始まろうとしていました。
まずは和風ホラー巨大迷路の様子から見ていくことにしましょう。
●和風ホラー巨大迷路
いきなりですが変身シーンです。まだ迷路の入り口ですが、『アンラッキーハッピーガール』リズ・リィリー(p3p009216)さんの変身シーンです。よろしくお願いします。
「らぶりーちぇんじーらずべりー……ばすたーはーとあうぇいきんっ!!」
クルクル回って足をもつれさせながらもここでバチコンッ!! とウィンク。
「不運に負けずキラメキシャイニー!」
台詞と共に一瞬リズの全身が光に包まれると、リズの身体にすごく魔法少女っぽい装備が装着され、
「『魔法少女』ッ!! ラブリー☆ラズベリー、ピカッと参上! ヨロシクねっ♪」
自らは魔法少女であると強く主張した上でもう一回バチコンッッ!! とウインクを放った。色々ぎこちなかったが、とりあえずやる気は伝わってきた。パチ…パチ……とまばらに拍手が起こる。ゾンビも拍手していた。
「(あ゛ー恥ずかしいっ! 顔が熱いっ!! でも笑顔っ! 可愛くっ!)」
中々のプロ根性だった。
「………………さあ行くわよっ!! ゾンビひしめく魔の巣窟へッ!!」
言うや否や、リズもといラブリー☆ラズベリーは決して皆の方を振り返る事無く迷路の中に突入した。
リズはギフト『チアフルコンパス』を発動。ゾンビが居そうな場所を感じ取る。しかしその方向には壁があった。
「しるかァッ!!!!」
リズは迷わず壁をヤクザキックでぶち破ると、刀を振り回し遊んでいた武士ゾンビの集団に出くわした。
「ふ・き・と・べーっ!!」
ゾンビどもが反応する間もなく、リズは宙に巨大な魔法陣を展開。そこから放たれる荒々しい魔法弾が、ゾンビどもを次々と吹き飛ばしていく。
「ウガーッ!!」
「しゃらくさいッ!!」
奇跡的に弾幕を回避した一匹のゾンビがリズに迫るが、リズは魔法少女とか関係なく短剣でゾンビをズタズタに切り裂いた。ファンシーな見た目でやってる事は殺し屋だった。
そこに魔法少女としてのアイデンティティーや可愛らしさが残っていたかについては、明言を避けたいと思います。
「やっぱり世の中には色んな魔法少女がいるんですねえ……私も何か、決めポーズとかやった方がいいんでしょうか……」
ラブリー☆ラズベリーじゃない方の魔法少女、『魔法少女』ラヴィ(p3p009266)。その全身は既にギフト『マジカル☆ムーンパワー』によって、いい具合に魔法少女めいた格好に包まれていた。
「! ……ようやくですね」
曲がり角の先を確認すると、そこは長い直線状の通路だった。溢れんばかりのゾンビどもが、ごちゃごちゃと蠢いている。
「聞いていた通りものすごい数ですね……最近は思い切り魔法を使う機会がありませんでしたし、折角なので大暴れしてやりましょう!!」
「ウガッ!!」
「えっ?」
早速魔法を詠唱しようとしたその時。不意に背後から1体の武士ゾンビが刀を手に襲い掛かってきた。ラヴィは咄嗟に身を翻し刃を避けると、片手に魔力を集中させ、
「今のは惜しかったですねっ!」
掌を武士ゾンビに向けると、一気に魔力を開放。三日月の形として現れた魔の刃が、武士ゾンビを切り伏せた。
その物音に気付いたのか、通路にひしめくゾンビ共が一斉にラヴィの方を向く。しかしラヴィは冷静に、かつ先程よりも多くの魔力を集中させていく。
「「「ウガァアアアアアア!!」」」
弓を構えた数体のゾンビ達が、次々とラヴィに向け矢を放つ。
「無駄です」
しかしラヴィは軽くトン、と床を蹴ると、その眼前に魔力で生み出した三日月型のバリアが出現。放たれた矢を次々と弾き飛ばす。
「これで終わりです!!」
そう言い放った直後、ラヴィの全身から一瞬魔力が溢れだし、そして集束した。1点に込められた魔力は巨大な光線として放たれ、飛び掛かってきたゾンビ共を包み込む。
後には、塵すら残っていなかった。
「…………。(こ、こんな感じ、ですかね?)」
静まり返った通路の端で、ラヴィは思い付きで決めポーズを取ってカッコつけていた。
ゾンビ、と一括りにしてみたものの。その実態は多岐に渡る。
住む世界が異なったのであれば。存在そのものの定義が違うという事もあるのだろう。
「ウガー!!」
「ん」
槍を構え突撃してきたゾンビを軽いステップで避け。アーマデル・アル・アマル(p3p008599)はその胸元に刃を突き立てた。
それとほぼ同時に引き金を引けば、至近距離から放たれた弾丸がゾンビの内臓を抉り。銃弾に塗り込まれた劇毒によって、ゾンビは全身が焼き尽くされるような感覚と共に消滅していった。
「(死者は迅速に、そして適切に弔わないと空の器――死者の肉体に『死』が凝って屍人となる……俺の故郷では、確かにそうだった)」
そしてアーマデルの仕事は、『そういうもの』を眠りにつかせる事だった。それがまるで『必然』であるかの様にゾンビ共の攻撃を避け続け、不浄のモノを焼き尽くす酒の香を振りまくその姿を見れば、誰もがその事実を疑いはしないだろう。
「この屍人……ああ、『ぞんび』と言ったか。此奴らは……なんだ? 夜妖だという事は分かる。だが……」
人の噂、認識が生み出した存在なのか。あるいはヒトの遺体がこの様に変化してしまったのか。
もし後者ならば、その魂は何処へ? 肉体に封じられているのか、あるいはこの辺りを漂っているのか?
「(それを正確に確かめる術は無い。だが、もしも浮かばれぬ魂が今ここに在るのならば……それらが逝くべきところへ還すのが俺の仕事だ)」
思考を巡らせている内に、アーマデルの周囲にわらわらとゾンビどもが群がってきていた。そんな状況でもアーマデルは顔色1つ変えず跳躍。天井の梁の上に飛び乗った。
ゾンビ共がうがーと声を上げ天井を見上げた直後、狂気と怨嗟が交差する不協和音が響き渡り、ゾンビ共は次々と膝を付く。
「しかし気のせいかこいつら……微妙に楽しそうだな?」
ヒョイと梁から飛び降り蛇腹剣でゾンビどもの首を刈りながら、アーマデルはそんな事を呟くのだった。
ヒュン、ヒュン、ヒュン。刀を振るう音がする。何かが斬られる音がする。その中心には、『名残の花』白薊 小夜(p3p006668)が立っていた。
「(どうすればもっと鋭く斬れる?)」
至近距離から斬り上げる様に振るわれた刃が、ゾンビの胴体を両断する。
「(どうすればもっと疾く刀を振るえる?)」
側面から放たれた矢を斬り捨て、跳躍。すれ違い様に放った斬撃が、ゾンビの首を斬り飛ばす。
「(どうすればもっと巧く次の技に繋げられる?)」
背後から振り下ろされた斧を振り返りもせずに刀で受け止め。くるりと舞うように身を翻すと、斧を持つゾンビの両腕を断つ。続いて両脚を断ち、首を断った。
「……この辺りに居るのは、全て片付けたわね」
刀に付いた血を素早く払い、 小夜(p3p006668)は呟いた。
その両眼は固く閉ざされているが、何の問題も無い。目が無くとも、『視る』事位は出来る。刀を振るう事など、造作も無い。
「(けれど、それだけでは意味が無い。ただ刀を振るえるというだけでは。目指す先はまだまだずっとずっと、遠いのだから)」
あの人に追いつく。そんな事を本当に為し得るのかは分からない。だが分からないからこそ、小夜はひたすら斬り続けるしかないのだ。
しかしこの迷路に入ってから、あまりにも多くのゾンビを斬り捨てた。そんな飽きからか、小夜の脳裏に、ふと気に喰わないあの女の顔が浮かんでしまう。
「『なまくら刀』、『お遊戯会』……随分好き勝手な事を……」
本格的にむかっ腹が立とうかというその時。ゾンビの残骸が転がる小夜の周囲から、更に大量のゾンビが飛び出して来た。小夜は刀を構えなおす。
「……丁度良かった。憂さ晴らしの相手を探していた所なのよ」
ゾンビ共が各々の武器を一斉に振り上げた、その刹那。再びヒュン、と音がした。
ガタガタガタ、とゾンビ共が持つ武器が次々と床に落ちたかと思うと、ボトボトボト、とゾンビどもの首が床を転がっていった。
「他愛もないわね」
一瞬にして全てを斬り捨てた小夜は、次なる獲物を探しに歩き出すのだった。
●れっつあくしょん後半戦
いかがだったでしょうか、コメディとシリアスの温度差が著しい和風ホラー巨大迷路での戦いは。
次なる舞台となる酒場風レストランの様子も見てみましょう。
●酒場風レストラン
いつもの様にゾンビ共がひしめくレストランの扉が、バン! と勢いよく開かれた。店内のゾンビ共が一斉に視線を向けるが、『シュピーゲル』DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)は気にせずカウンター席に着く。雰囲気を重視したのか装甲は最低限。そして何処で手に入れたのか、イカしたテンガロンハットを被っていた。
「マスター、ミルクはありますか? 出来るなら極上に冷えた奴がいいんですが」
「ウガ」
マスターっぽい雰囲気のゾンビは何か言った気がするが、とにかくミルクは出てこなかった。
「ウガァ?」
と、そこに。1体のゾンビが横から近づき、銃口を向けてきた。だが『シュピーゲル』は視線を向けもしない。
「撃ちたきゃどうぞ」
直後に、2発の銃声。しかし放たれた銃弾は、突如として出現したシールドによって阻まれ、砕け散った。
レストランに沈黙が流れる。そんな中、パタパタと機械の翼を羽ばたかせ、『霊子妖精』が抱えた酒瓶を差し出して来た。『シュピーゲル』はそれを手に取ると、
「これはシュピの奢りです……たらふく飲んでください」
そう言い終えた直後、撃ってきたゾンビの顔面に酒瓶を叩きつけた。瓶が激しく割れる音が、乱闘開始の合図となった。
「ウガーーー!!」
興奮した様子の大柄のゾンビが、『シュピーゲル』にガトリングガンの銃口を向ける。『シュピーゲル』はそんな事を気にするでもなく、指先でテンガロンハットを回しながら投げかける。
「これ、良い帽子だと思いませんか。貸してあげます」
そう言って、『シュピーゲル』はテンガロンハットを投擲。帽子に視界を塞がれたゾンビのガトリングガンを蹴り飛ばすと、滅茶苦茶に放たれた銃弾がゾンビ共を襲った。
「似合わないですね、そんな醜い顔じゃぁ」
帽子を回収しつつゾンビの顔面を殴り飛ばした『シュピーゲル』。決闘を仕掛けようとゆっくりと近づいてくるゾンビも居たが、問答無用で殴り倒していた。酷い。
「さて、こんなものでしょうか。他の皆さんは順調ですかね?」
そう言って、『シュピーゲル』は乱闘が広がる酒場を見渡した。
銃弾飛び交う酒場の中央に、堂々と躍り出る1体の海豹がいた。『ガトリングだぜ!』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)だ。
ワモンは巨大なガトリングガンを構えると、ゾンビ共の群れに大雑把に狙いを定める。
「へっへー! 蜂の巣にしてやるぜ!!」
そして大雑把に放たれた弾丸の嵐は、大雑把であるが故に多くのゾンビ共の身体に突き刺さり、次々と仕留めていく。
「なんだなんだぁ? ゾンビってのもやっぱり全然大したことないみたいだぜ!!」
「ウガァ!!」
ワモンの言葉に怒りを覚えたかの様に一体のゾンビがワモン目掛け銃撃を仕掛けるが、
「そんな豆鉄砲、効きゃしないんだぜ!!」
ヒョイヒョイとテーブルや椅子の間を潜り抜けながらこれを回避。
「まだまだーっ!! オイラのガトリングの弾はまだまだあるぜー!!」
テーブルに隠れるゾンビが居ればテーブルごと吹き飛ばし。椅子をぶん投げてくるゾンビが居ればやはり椅子ごと吹っ飛ばす。ワモンの銃撃によって、凄まじい勢いでゾンビの残骸が積み重なっていく。
「我ながらザ・スタイリッシュな立ち回りだぜ……と、ここらで腹ごなしタイムだぜ! 腹が減ってはイカが食いたくなるっつーしな!」
そんな訳でヒョコヒョコと厨房に向かうワモン。適当に棚を漁ると、干し肉や豆の缶詰が出てきた。イカは無かった。
「案外しけてるんだぜ……まあ生ものが腐ってハエがたかってるよりはマシか!」
もさもさと干し肉を頬張るワモン。ワイルドな味がした。
「まあまあだぜ」
そんなお食事中のワモンの背後に、いつの間にか複数のゾンビ達がにじり寄ってきていた。
「例え腹ごなしの途中だとしても……オイラのガトリングに死角はねぇ!!」
ピョン、と宙返りで跳びあがったワモンは、左右に首を振りながらガトリングガンを撃ちまくる。この凄まじい威力を誇る、別に首を振る必要の無い究極奥義によって、ワモンは厨房内のゾンビを纏めて消し飛ばした。
「撃墜王の座はいただくぜ!」
「いやーっ! それにしてもホントたくさんのゾンビが居るっすねー!! こいつは少々骨が折れそうですが、ガンガン行くッスよ!」
『蒼騎雷電』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)は、一向に騒ぎが収まる気配も無い酒場風レストランの、入り口の例の扉の近くに立っていた。トントン、と軽く地面を蹴ると、一気にゾンビの群れに突撃する。
「まずは小手調べッス!」
イルミナは腕部から放出されるエネルギーを、無数の杭の形に形成。そのままゾンビどもが放つ銃撃の嵐の隙間を縫って駆け抜けると、すれ違い様に次々とゾンビどもの身体に杭を抉りこませる。
「「「ウガーー!!」」」
攻撃を受けた無数のゾンビ共がイルミナに向け、四方八方から銃を撃ちまくる。
「おっとっと、こんな障害物だらけの所じゃあ流石に避けるのは……なーんて、そんな訳ないッスよ!」
冗談めいた口調で言うと、イルミナは跳躍。と、同時に両腕両脚にエネルギーブレードを展開。椅子やテーブルの上をヒョイヒョイと跳びまわりながら、放たれた銃弾を次々と斬り落としていく。
「エネルギーブレードの利点として、実体剣と違って硬いものを斬ろうが刃こぼれせず、血や脂で切れ味が落ちるということもない……という訳で、イルミナ自慢のテールム・アルムムを喰らえッス!!」
ゾンビどもの銃撃が止んだタイミングで、イルミナは一気にゾンビ共に接近。杭を受けたゾンビ共に、手刀と足刀の乱舞が放たれる。バチバチと、蒼い雷が弾けた。
「ウガーー!!」
そして1体の大柄なゾンビが、巨大なガトリングガンをイルミナに向けるが――。
「引き金を引く前に刈り取らせていただくッス!」
一瞬にして懐まで接近したイルミナが脚を振り上げると、直ちにゾンビの両腕が切断。ゴトリとガトリングガンが地面に落ちるよりも早く、ゾンビの首が宙を飛んでいた。
「さあ、次の相手はどいつッスか!」
無法地帯と化したレストランの二階に、『戦場のヴァイオリニスト』ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)は立っていた。ヴァイオリンを手にしながら。
「(凄まじい光景……こんな光景、大切な番と見たB級ホラー映画でしか見た事が無い)」
階下の大騒ぎを、どこかしみじみと眺めるヨタカ。ヨタカはそのホラー映画を見た時から、1つ試したい事があった。それを実践すべく、ヴァイオリンをしっかりと構え、
「死んだ者も面白楽しく……だ」
呟くと、ヨタカはヴァイオリンの演奏を始める。どこまでも広がっていく様で、しかし胸にじわりと染み入る様な。そんな音色が、レストラン中に響き渡った。
「…………」
ゾンビ共が、思わず手を止め二階を見上げた。
「(ゾンビ達の注意が此方に向いた)」
掴みは完璧。ゾンビは演奏の観客足り得ると判断したヨタカは1階に降りると、ギフト『感情の協奏曲』を発動。以前レコードショップで見かけた、凄くとっても凄い有名らしい人の曲を演奏し始める。
詳しくは知らないが、思わずゾンビが楽しくて踊り出してしまう様な曲だった。ゾンビ共は雑魚だったので完璧すぎる程にギフトの影響を受け、次々とその場で踊りだす。めちゃくちゃ楽しそうだった。
「(なんだか見ていたら俺まで踊りたくなってくるな……いや流石に危険……まあいいか今日位は!)」
思ったよりも短かった脳内会議を終えると、ヨタカもまた踊り出す。踊りながらも演奏に一切の支障が出ていないのがなんだかスタイリッシュだった。
演奏と踊りに交えて紅い棘を放ったりピカッと光ったり亡霊が呪いの歌を歌ったりしたが、演奏が楽しかったので全然気にならなかった。
そして演奏を終えると、いつの間にかレストラン内の全てのゾンビが地に伏しており。その中心にヨタカは立っていた。ガラにもなくダンスポーズを決めて。
「良いセッションだった……」
ダンスポーズを決めたまましみじみと呟く。よくよく考えてみればレストランには他のイレギュラーズも居るので、ダンスポーズを決めてる現在の状況も、演奏の途中で思い切りシャウトしてしまった場面も見られててもおかしくないが、今この瞬間、ヨタカはとても清々しい気分だった。
●あくしょんおわり
さて、いかがだったでしょうか。各々がいい感じにゾンビをぶっ倒したおかげで、この場所にもようやく静寂が戻ってきそうです。やったね。
すーぱーすたいりっしゅぞんびあくしょん、おわり。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした。ないすすたいりっしゅ。
MVPは迷いましたが、すたいりっしゅ成分がいいいかんじだったあなたに差し上げます。
GMコメント
のらむです。ぞんびあくしょんです。色々補足します。
●成功条件
ゾンビどもをぶっ倒す
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。絶対にゾンビは弱いです。
●ゾンビ
めっちゃいっぱいいる。弱い。「ウガー」とか「ウガガー」とか「ウゴアガガガガゴガー」とか言ってる。
武器持ってたり持ってなかったりする。
また、ゾンビどもは戦闘音に引き寄せられて勝手に集まってくるので、それぞれの施設の人数比とかを気にしなくても良い。
●和風ホラー巨大迷路
暗くておどろおどろしいです。血糊に塗れた着物とか、髪の長い人形とか、グロテスクな絵とか、ありそうな物は大体あります。
やたら広くて複雑です。どうやら作った奴は超高難易度の迷路にしたかったみたいです。めんどくさかったら壁壊して進んでも良いと思います。
なんか和風テイストなゾンビが多い気がしないでもないです。
●超巨大コーヒーカップ
読んで字の如く超デカいコーヒーカップです。グルグル回ってます。
グルグル回りながら戦う趣味をお持ちの方におすすめの戦場です。
攻撃が当てにくい気がしないでもないですが、それ以上にゾンビどもの攻撃が当たりにくくなってる気がするので問題ないです。
●酒場風レストラン
西部劇のアレです。二階建てで、天井は吹き抜けになってます。
沢山丸テーブルが置いてたり、イカしたカウンターがあったりピアノがあったりします。棚には酒瓶も置いてます。ありそうな物は大体あります。
心なしか銃を持ってるゾンビが多い気がします。
●シナリオ方針
気楽に気軽に気兼ねなく、自由にゾンビどもをしばき倒す依頼です。
攻撃さえしていればほぼ勝てます。ルール的に不利な感じがしないでもない飛行とか使っても勝てるでしょう。時間も無制限なので、なんやかんや勝てると思います。個人で動こうが団体様で動こうが問題ないと思います。
そんな感じなので細かい戦略を考えてプレイングを書くというよりは、好きな武器を使い好きなスキルを使い好きな様に戦うのがおすすめです。
使えそうなギフトがあれば使ってみるのも良いですし、別に使わなくてもいいです。
如何にして自分が格好つけたりつけなかったりして立ち回るかをプレイングに書いておけば、楽しく戦えると思います。気軽にご参加ください。
●再現性東京(アデプト・トーキョー)とは
練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
その内部は複数のエリアに分けられ、例えば古き良き昭和をモチーフとする『1970街』、高度成長とバブルの象徴たる『1980街』、次なる時代への道を模索し続ける『2000街』などが存在している。イレギュラーズは練達首脳からの要請で再現性東京内で起きるトラブル解決を請け負う事になった。
以上です。よろしくお願いします。
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