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シナリオ詳細

<瘴気世界>イグニスヴール王国防衛戦

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●イグニスヴール王国防衛線
「下がれ! 喰われるくらいなら下がれ!」
 S級の冒険者が負傷したA級冒険者を下げるために指揮を執る。
 イグニスヴール王国に通じる一番大きな第一通路で、冒険者と魔獣の激しい戦闘は続いていた。負傷した者が魔獣に喰われないように上級冒険者が前へ出る。しかし、それも限界が近かった。
「数が多すぎますね。私たちが時間を稼ぎますので、早く後ろへ下がってください!」
 魔獣に埋め尽くされたそこに、安全地帯という言葉は既になかった。

「報告します! 魔獣の群れは第一防衛ラインを突破、第二防衛ラインにてA等級以上の冒険者が対処に当たっておりますが、とにかく数が多く大型魔獣も多数。突破されるのも時間の問題かと思われます!!」
「ふぅむ、これはまずいな……」
 直近、イグニスヴール王国地上付近で観測された高密度の瘴気。通称『大渦』と呼ばれるそれは、幾多の魔獣が王国へ攻めてくることを示す予兆のようなものだった。王国はその報告を受け、多くの冒険者とギルド員を招集。来たる決戦に備えて万全な防衛線を築くはずだった。
 だが、その時は予測よりも早くに訪れてしまう。
「このままでは王国強襲も免れない、か。どちらにせよ手は打たねばならん」
 前線の報告を聞いたギルド長は苦い表情を浮かべながら言う。
 魔獣は冒険者を喰らうことで知識と大幅な戦闘力を得てしまう。そのため彼らの犠牲は最小限に納めなければならず、負傷した者を後ろに下げたことで逆に前線の戦力が落ちて魔獣に圧され始めたのである。
「この最終防衛ラインは絶対に守り抜かないといかん。リュミエール王国からの増援は既に到着しているが足りんな。各国の増援が到着するか突破されるかの戦いになるぞ……」
 イグニスヴール王国の入り口。早急に設けられた防衛施設の中はただならぬ空気に包まれていた。

●とにかく倒せ
「イグニスヴール王国が魔獣の襲撃を受けてるらしい。今回の大渦は過去稀に見る大きさらしいが……こりゃ放っておいたら国が亡ぶぞ?」
 以前、イグニスヴール王国ギルドへの諜報により発覚した魔獣の襲撃は既に起きていたらしい。普段あまり慌てるような性格をしない【元冒険者】ラナードも流石に慌てているようだった。
「あぁ、わりぃな。ええと、大渦ってのは高密度な瘴気から生まれる魔獣の大群のことをいってだな……魔獣が目的をもったかのように国に攻めてくる現象のことをいうんだ」
 不定周期に訪れる大渦により生み出される魔獣の数は地上で湧く数の比にならず、数の暴力で前線が押されているという。
「それにだな、冒険者が魔獣に喰われると魔獣が強化されちまうから、犠牲覚悟に前線を上げようにも難しいんだよ。……核も持たねぇ、異常な強さを持ってるお前らならなんとか前線を押し上げられるんじゃねーの?」
 とりあえず、おまえは頼み方どうにかならんのか。

NMコメント

 瘴気世界です。牡丹雪と申します。
 ラリーシナリオは初となりますが、よろしくお願いします。
 この物語は<瘴気世界>の続編となりますが、物語は個々で完結する&前回のあらすじを書きますが、過去作を見て頂けると更に楽しめる物語になります。また、世界の観の詳細は自己紹介欄にも記載されています。よろしければご覧いただければ幸いです。


●目的【イグニスヴール王国を襲う魔獣の大群を退ける】
 過去の冒険にて、イグニスヴール王国が魔獣の大群に襲われる予兆はされていました。
 既に魔獣の進行は行われおり、戦力が足りていないみたいです。

●敵対相手の情報
・魔獣(炎)×???
 個体はあまり強くありませんが、とにかく沢山います。
 雑魚がほとんどですが、ときどき強力な個体も存在します。

●味方の情報
・A級以上の冒険者×25
 この世界では強い部類ですが、イレギュラーズから見たらあまり強くはありません。
 大渦の対処をするために派遣されていますが、だいぶ圧されています。

●ロケーション
 イグニスヴール王国に続く直径がかなり大きな通路です。
 かなり大規模な戦闘を行うだけの空間はあります。

●世界観のおさらい
 かつて世界の均衡を保っていた6人の精霊たちはあまりの退屈さに人類を生み出し、それを繁栄させた。だが、人類を生み出す過程の中で邪悪な力を持つ魔獣も生み出してしまい、やがて史に残る大戦争が起きてしまう。瘴気により荒廃してしまった跡地から逃れるべく人類は地底へと生活圏を移動した。
 そう願った精霊が導いてくれた際に偉人が受け取ったとされる高純度の精霊石を用いた5つの疑似太陽により、まるで地上にいるような生活を送っている。のちにその疑似太陽に惹かれるように人々は巨大なコロニーを築き、5つの国が出来上がった。
 人類は精霊に最初に生み出された種族であるため、精霊石の魔力を浴びつつ魔獣の灰を食べながら生きている。

●前回までのあらすじ
・大型魔獣を討伐したことで、イレギュラーズはこの世界でAランクの冒険者として扱われることになりました。
・リュミエール王国の見習い冒険者へ指導を行いました。
・イグニスヴール王国の冒険者ギルドへ諜報を行った結果、近日魔獣の大群が王国へ押し寄せてくることが判明しました。
・【闇の精霊】オプスキュティオと交流を行いました。
・【半魔獣】ラナードはイレギュラーズの手により元に戻り、彼はこの世界で死んだことになりましたが、代わりに境界案内人として働くことになりました。


●当シナリオについて
 このシナリオの目的は『イグニスヴール王国を襲う魔獣の大群を退ける』です。
 そのために迫る魔獣をとにかく撃破してください。
 また、基本的に第一章での終了を予定していますが、変わる可能性もございます。

  • <瘴気世界>イグニスヴール王国防衛戦完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月17日 22時10分
  • 章数1章
  • 総採用数8人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド

●動く要塞
 戦場のど真ん中にひとりの要塞が現れる。
「なぁによそ見してやがる! 俺を見やがれ魔獣ども、倒すべき敵はここに居るぜぇ!?」
 突如現れた『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は、魔獣の進撃音などものともしない大声で叫び防衛線を抑えていた冒険者よりも一歩前に出た。
「お、おい! そんなところに居たら喰われ……」
 S級と思われる冒険者がゴリョウに慌てて呼びかけようとするが、一匹とびだした魔獣が業炎の拳に叩きのめされ目を見開く。
「ぶはははっ、その程度じゃ掠り傷すらつかねぇぜ!」
 笑いながらまた一歩進むゴリョウがただ者ではないことを、進撃する魔獣も防衛する冒険者も理解した。それから話は早く、魔獣は意思をもったかのように一斉に彼へ襲い掛かる。
 だがまた一歩、二歩と彼は足を進めた。
「おいおい冒険者諸兄、手を止めてる暇があんのかい?」
 ゴリョウの圧倒的な存在感で一瞬足が止まっていた冒険者はようやく我に返ると、剣を上に掲げて叫んだ。
「援軍の到着だ。続け、続けー! 押し返せぇぇ!!」
 まるで動く要塞の如く全身を進めるゴリョウは迫りくる魔獣の頭を一つ二つと捻り、灰の山を築く。それに続くように冒険者たちは第一防衛線を取り返すべく戦線を押し上げた。

成否

成功


第1章 第2節

白夜 希(p3p009099)
死生の魔女

●戦場の白い死神
「これ、オプスキュティオがやってんのかな……?」
 押し寄せる魔獣の大群を前に『白い死神』白夜 希(p3p009099)は首を傾げる。
 あの時、人々を何故地下に押し込めたのか理由を聞くことができなかったが、とにかく今は迫る魔獣を倒すしかない。
「たまには前に出ようかな……」
 必死に戦う冒険者と魔獣たちは希の存在に気付かない。
 それは彼女のとある特性によるものだったが、今はそれも都合がいい。
「さて……」
 輝く闇の光に魔獣が気付いたころにはもう遅かった。戦場に広範囲に広がったそれは、魔獣という魔獣を消滅させ、灰と核に還元させる。
 相手していた魔獣が消えたことで、ようやく冒険者も希の存在に気付いたようだった。
「な……なんだ、いまのは」
 瞬く間に消滅した魔獣に驚き、冒険者たちは彼女を見る。その後ろ姿は名状しがたいものだったが、それが大量の魔獣を一撃で葬り去ったのは間違いない。
 彼らは前線を押し上げるべく、再び迫る魔獣に猛進するのである。
「後ろから見たら絶対怖かっただろうなー……ま、いっか」
 どうでもよさそうに呟きながら残った核を拾う。多すぎて拾いきれない……が、きっと何かに使うことができるだろう。
(やっぱこの世界、灰でできてんのかな)
 血肉も残らず灰の山となった更地を見返しながら、希はふと思うのだった。

成否

成功


第1章 第3節

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣

●白獅子の号令
「大型だ、大型が来るぞ!」
 魔獣の大群から、大型と思われる大狼の魔獣が一匹飛び出した。冒険者は慌てて陣形を組もうとするが間に合わず、鋭い牙が逃げ遅れた冒険者の核を狙う。
 だが、魔獣の牙は冒険者に届くことなく、瞬く一閃と共に首が斬り落とされた。
「な、なにが起きた?!」
「異国出身ではありますが、騎士として助太刀させて頂きます!」
 大型魔獣を一撃で葬り去った援軍、『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の到着に冒険者たちは喜んだ。この世界のA級冒険者ひとりでは大型魔獣に太刀打ちができない為、実質S級。いや、一撃で葬ったことを考えればSS級の援軍だろう。
「私が中央に斬り込みます! あなた方はこぼれた魔獣を、決してご無理はなさらず!」
 リゲルは指揮官と思われる冒険者に言うと、素早く群れの中央へ突っ込んでいく。
 多くの魔獣を薙ぎ飛ばす一閃と、数に動じぬ様を見た冒険者は更に進撃を進めるのである。
「あの者に続いて前へ、単独行動は控えろ! 誰も死なせるな!!」
 統率が回復した冒険者たちを見て、リゲルはまた前線を押し上げるべく剣を振る。
 けっして、魔獣たちに王国を滅ぼさせないように。

成否

成功


第1章 第4節

Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘

●戦場のドリームランド
「進め、進めー!」
 戦況の変化により、冒険者は劇的な進軍をしていた。
 というのも、イレギュラーズという強力な存在が前線を張っていたからである。
「ともかく殲滅、わかりやすくていいわね」
 『宿主になってね』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)はその様子を後方から背伸びをして見ていたのだが、ある瞬間に地面を蹴った。
 冒険者たちは突然前にとび出たAliceに度肝を抜く。
「お、女の子がなんでこんな場所に——」
 そんな呟きも束の間、彼女は孤立していた魔獣一匹に不思議な魔術を放つ。
 突然の接近と攻撃に対応しきれず魔術を食らった魔獣は、何か困惑したように動きを止めてしまった。ケイオスマジック……簡単に言えば身体の構造をとあるものに変えてしまうものだが、その精神的威力は計り知れないものがある。
 そして棒立ちになってしまった魔獣を今度は不思議な歪みの力が包み込んでいた。
「な……何をしたんだ?」
 一部始終を見ていた冒険者はAliceが何をしたのかわからなかった。
 不思議な術で魔獣が動きを止めて……倒れる時どこか幸せそうな顔をしていたような。
「それにしてもすっごい数ね……」
 イレギュラーズたちの活躍で前進はしているが、それでも湧き出る数が多すぎる。
 Aliceはさっさと次の獲物を見つけ、再び地面を蹴るのだった。

成否

成功


第1章 第5節

溝隠 瑠璃(p3p009137)
ラド・バウD級闘士
オライオン(p3p009186)
最果にて、報われたのだ

●元神父と毒の華
「前線の押し上げか……腕が立つ者が多いようだが、物量で押し切られては対処が面倒だな」
 A級以上の冒険者たちが最前線の少し後ろで『元神父』オライオン(p3p009186)が呟いた。見れば前線の維持は出来ているが、負傷して下がってくる冒険者もちらほら見える。そんな冒険者たちを回復させるために彼はここにいたのだが……。
「いいね、すっごい武者修行に向いてる戦場だゾ!」
 同時に到着した『ラド・バウD級闘士』溝隠 瑠璃(p3p009137)が隣で前線の様子に目を輝かせていた。今にも飛び出して行ってしまいそうな彼女を横目にオライオンは何か嫌な予感を感じたのだが、それはすぐに体現することとなる。
「……ここなら僕の全力を出しても問題ないよね」
 先程までごく普通の少女の姿をしていた瑠璃の身体が悪魔のようなそれに変わる。
 実のところ半夢魔だから悪魔とそんなに変わらないのだが、その様子と異様なほどの殺気にオライオンは思わず目を見張った。
「おい、なにを——」
 元神父であるオライオンにとってその姿は異形と取るべきか。同じイレギュラーズである以上そんなことは気にしていられないのだが、彼の言葉より先に動いた瑠璃は既に戦場のど真ん中に移動していた。
「さあ、僕……いや、我の糧となるがいい畜生共——」
 冒険者たちは瑠璃に気付いてはいるものの、魔獣を倒すために剣を振っている。
 そんな冒険者共々を巻き込むほどの大きな結界陣にオライオンは息をのんだ。
「おいおい、まさかとは思うが……」
「喜べ、汝らの薄汚い精でも此度は我慢してやろう」
 オライオンは気が付いたら結界陣の中に飛び込んでいた。奮戦する冒険者の首根っこを片っ端から掴むと、結界陣の外へ放り投げる。だが、それでも数人間に合わなかった。
「無茶苦茶しやがる……!」
「疼く我の前に跪くがいい……!」
 術が発動する寸前でオライオンは結界陣の範囲外へ退避する。
 眩い光が消えたときに、結界陣の範囲にいた魔獣は全て消滅していた。逃げ遅れた冒険者が目を真っ白にし、泡を噴きながら倒れている。
「……フン、所詮は畜生共の薄汚い精よな。腹の足しにもならぬわ」
 根本的にこの世界の魔獣と人は同じ構造をしているためか、その中に冒険者が含まれていたこともいざ知らず。瑠璃は更に前へ出ると今度は毒をばら撒き始めた。
 オライオンはといえば、結界に巻き込まれて倒れた冒険者の回復をしていた。あの調子であれば魔獣がこちらへ漏れることはないと思うが。
「目が覚めたか? ……あぁ、今はあまり前へ出ないことをおすすめする」
 彼はやれやれといったようにフードを前へ引っ張り顔を隠しながら、前線で暴れる悪魔に近付かないように冒険者へ忠告を入れるのであった。

成否

成功


第1章 第6節

白鷺 奏(p3p008740)
声なき傭兵

●静かなる傭兵
「怪我した者は遠慮なく下がれ、犠牲は最小限に抑えるんだ!」
 前線を指揮する冒険者が負傷した冒険者を後方へ下げる。
 第一防衛ラインを奪還し徐々に前線を押し上げる冒険者達だが、無駄な犠牲を避けるべく負傷して戦えなくなった冒険者は前線から下げ、入れ替わるように別の冒険者が前線へ出るという戦法を取っていた。
「おい、前へ出すぎだ。もう少し下が——」
 そんな中『声なき傭兵』白鷺 奏(p3p008740)は他冒険者よりも前へ出てガンブレードを構えていた。どこか威圧感のある彼女が再び前へ足を運ぶと、大型魔獣と思われるミノタウロスのような魔獣が数匹飛び出した。
「危ねぇ!!」
 指揮する冒険者が叫んだころにはもう間に合わず、振り下ろされたこん棒は一直線に奏の頭を叩き割ろうとする。だが、結果は違った。
 奏のガンブレードから放たれた雷を纏う一突きは、一直線に並んだ大型魔獣をいっぺんに貫くと、瞬く間に存在を灰へ還す。
「っ! なんつう強さだ。これが噂に聞いていた伝説級の冒険者……」
 指揮する冒険者が唖然とした表情をしている中、奏は更に前線へ走っていく。
 背後の冒険者を守り通す、そんな意思を抱いて。

成否

成功


第1章 第7節

Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘

●イマジナリーフレンド
「だいぶ数は減ってきた気はするけど、それでもまだまだ数は多いわね」
 前線で暴れまわっていたイレギュラーズの一人『宿主になってね』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)は軽いステップを踏みながら再び魔獣の殲滅を続けていた。
 援軍の冒険者も次第に数を増しているが、湧いてくる魔獣の勢いはまだ多い。
「飛ばしすぎると息切れしそうだし……」
 魔獣の攻撃を華麗にかわしながらAliceは人工未知霊体、イマジナリーフレンドを具現化させる。イマジナリーフレンドとは本来仮想的なものであるが、彼女の魂が分け与えられていたそれは確かに実体を持っていた。
 しつこく追いかけてくる魔獣の相手をメイド姿の人工未知霊体に任せると、Aliceは一旦後ろへ下がる。
「本当は一撃も貰いたくないんだけど……」
 そう呟くAliceの周りには既に多数の魔獣が取り囲んでいる。「そう上手くもいかないわね」とか呟いているとそんな彼女を守るかのように冒険者が盾になり魔獣の前へ立ち塞がった。
「こんな小さな女の子が戦ってるんだ、負けていられるかよ!」
 Aliceを囲んだ冒険者たちはいっせいに魔獣へ斬りかかる。
 彼女はそんな姿を微笑ましく見ながら、魔獣の掃討戦に取り掛かるのだった。

成否

成功


第1章 第8節


「報告します、冒険者が対処に当たっていた大渦により出現した魔獣の八割以上の殲滅を確認。
……我々の大勝利であります!!」
「よくやった!!!」
 【火焔の国】イグニスヴール王国を脅かしていた大渦の大量の魔獣が殲滅され、掃討戦に移ったという報告を受けギルド長は身を乗り出して喜んだ。
 予測よりも早い襲撃に一時は押されていたものの、イレギュラーズの介入により第一防衛ラインを取り返し、更に各国の冒険者が到着したことで戦況が圧倒的有利に。そして大半以上の魔獣が殲滅されたことから、この決戦の勝利は確実のものとなった。
「魔獣の掃討が終わったら冒険者たちには報酬を与えなければならん。
 必ず生きて帰ってくるように前へ伝えろ!」
「はっ!!」


「だいぶ数も減ってきたか……?」
 前線。飛び出してきた魔獣の一匹を一刀両断に斬り裂きながら呟く。
 数刻前まで一人で何匹もの魔獣を相手しなければならなかったのも、一人が一匹を確実に仕留めれば事足りるまで魔獣は大幅に数を減らしていた。
 進んできた道を振り返れば魔獣が死んだときに残る火の核と灰が沢山落ちている。
「ええ、まさか犠牲者なしにこの大渦を退けられるとは」
「では掃討戦に移りましょうか」
 数の暴力はなんとか凌いだ。まだ少しだけ魔獣が残っているが、そこまで苦戦することにはならないだろう。
 あとはここの冒険者に任せてよさそうだ。

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