PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<幻想蜂起>若き怒り
<幻想蜂起>若き怒り

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●その蜂起や如何や
 幻想楽団『シルク・ド・マントゥール』の公演以来、レガド・イルシオンは不穏な空気に包まれていた。
 頻発する猟奇事件、繰り返される惨劇……。それらは人々の心を蝕み、怒りとなり、そして矛先は自分達から遠くの地位――――国上層部へと向けられた。
 戦い慣れている貴族を相手に武力蜂起など、通常ならば考えられぬ事。それがどれだけ愚かしい事であるのか、彼らはよく知っている筈なのだから。
 『サーカスの狂気』が彼らを変えたのか。それは分からない事だ。
 けれど、それでも蜂起をしようとする彼らを、どうにかして止めなければならない。このままでは多くの命が失われるのだ。
 それが出来るのは、ローレットに集うイレギュラーズ。
 彼らを、止めなければ。

●止める力は武力のみに非ず
 折しも、『幻想大司教』イレーヌ・アルエより、ローレットへ依頼がなされた。
「武力蜂起を企てている所があります。彼らは農村の者達で、戦いの事等に詳しくありません。このままでは無益な血が流れてしまいます。そこで、皆様にはその農村の者達の蜂起を止めていただきたいのです」
 彼らの武器と言えば、農村特有の農具になる。確かにそれでは貴族が所有する軍にはかなわないだろう。
「ただ、農村は一つではありません。複数の農村が合同となって蜂起しようとしています。この蜂起を止める為には、首謀者一派に狙いを絞る必要があるでしょう」
 ですが‥‥と、呟いてから、考える様に一呼吸置く。
「武力蜂起の計画に対し、ローレットの皆さんが彼らを力でねじ伏せようとすれば、逆に決起を早める事になりかねません。力以外で彼らを鎮めていただきたいのです」
 自分達が力でねじ伏せる事は、貴族が力でねじ伏せようとするのと大差無い事。
 それでは確かに貴族がやろうとしている事と変わらない。
 力以外となると、話し合いでするか、密かに眠り薬でも入れて行動を遅らせるとかだろうか。後者は手間がかかるので、やはり話し合いか。
 最悪な手段としては暗殺だが、さて、それは許可されるのか。
 それをイレーヌに確認すれば、首を横に振るのが返答だった。
「首謀者一派を暗殺すれば、それこそ怒りで視野が狭くなっているであろう彼らからは『貴族の仕業か!』と誤解を抱き、武力蜂起の決意をさらに固めてしまうでしょう。お奨めする事は出来ません。何より、そのような殺生を認める訳にはいきません」
 大司教よりそう言われては、イレギュラーズも頷くしか出来ない。
 しかし、これで難易度は上がった。
 どうやって首謀者一派に働きかけ、蜂起を止めるか。
 話し合いの他に何が出来るか。方針を決めた方が良さそうだ。
「首謀者一派についてご説明をいたします。複数の農村の若いリーダー集――――次期の長となる者達が首謀者一派になります。彼らを含む複数の農村は今一ヶ所に纏まっているそうですので、首謀者一派も一緒に纏まっていると思います」
 こうして情報を得たイレギュラーズは、件の農村に向けて急ぎ駆けた。
 時間との戦いも要求されるこの依頼、果たしてどうなるか。

●首謀者達の怒り
 複数の農村――と言っても、十数人という小さな農村が三つ四つ集まった程度のものだが――は、ある村に集まって互いの意思を確認していた。
 具体的にはどこの貴族を狙うか、そんな話だ。彼らの側には農村で使われる農具があるが、身を護る防具は無い。これでは返り討ちになるのが関の山だ。
「これ以上搾取されてたまるか」
「そうだ。我らは今こそ立ち上がるべきなのだ」
「自分達が居なくなれば作物を得られないという事を知らしめてやるのだ」
 集まった農村の中で、若い男達が三人、農民達を奮起させていた。
 彼らは自分達の言い分が間違っているとは思わない。故に武力蜂起を決起したのも自然といえよう。
 拳を天高く突き上げる彼ら。
 どうすれば彼らを止める事が出来るのか。
 その任はイレギュラーズに託された。

GMコメント

 武力蜂起とはなかなかに厄介ですね。
 今回は複数の農村が力を合わせるようです。
 情報としては以下になります。是非ご参考までに。

●情報確度:A
 集った農民達は全部で三~四十人程。その誰もが戦いに関しては素人です。
 今回イレギュラーズが接触すべきはリーダー格である若い男達三人。ただし、素直に彼らまで通してもらえるとはならないでしょう。懐に潜る為に策が必要となります。

●若い男達三人
 三人とも冷静にはなれていない部分が見受けられます。
 どうすれば怒りを鎮め、武力蜂起を止める事が出来るのか。イレギュラーズの腕にかかっていると言っても過言ではないでしょう。

 どうか、彼らの制止をお願いします。
 皆様とのご縁をお待ちしております。

  • <幻想蜂起>若き怒り完了
  • GM名古里兎 握
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月10日 21時25分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルファルド・オズ・クエララ(p3p000090)
嘆きの魔術師
ヴェノム・カーネイジ(p3p000285)
大悪食
アラン・アークライト(p3p000365)
勇者の使命
キュウビ・M・トモエ(p3p001434)
超病弱少女
ニーニア・リーカー(p3p002058)
堕天使ハ舞イ降リタ
リシェル・ミシェーレ(p3p004842)
特異運命座標
メアトロ・ナルクラデ(p3p004858)
ふんわりおねーちゃん
アズライール・プルート(p3p005025)
アンタレス

リプレイ

●行進
 大司教より依頼された、複数の農村による武力蜂起の阻止。
 武力ではなくあくまで説得という体をとらねばならぬ今回の依頼において、武器の使用はご法度。
 その為、武器を携帯している者達は村人達に警戒されぬよう、気をつけなければならなかった。
(しかし、集まっているとはいえ、小さい村なら武力で解決した方が早いんじゃねえか……?)
 『太陽の勇者様』アラン・アークライト(p3p000365)が胸中でぼやいたそれは、口に出す事はしない。今の彼にとって欲しいのはお金と名声なのだから。
「武器よりも、僕のこの姿で警戒されないかの方が心配っすね」
 『双色の血玉髄』ヴェノム・カーネイジ(p3p000285)が呟く。彼女の姿は他者と異なる姿。髪を含めた体格だけならば一般的な人型と遜色無いが、異なるのは、目と両手足の部分、それから触腕がある事。
 人であれば白目と黒目であるのだが、白目に当たる所は黒く、黒めに当たる所は赤い。両手足は服で隠れている為に分かりにくいが、魚類のような側線を持っている。
 特に目立つ一本の触腕は、腰のあたりから生えており、伸縮する口腔を備えている。
 目立ちやすい奇異な姿を、彼女が危惧するのは当然と言えた。
 不安は無いが、心配しているヴェノムへ口添えしたのは『梟の郵便屋さん』ニーニア・リーカー(p3p002058)と『ふんわりおねーちゃん』メアトロ・ナルクラデ(p3p004858)だ。
「大丈夫だよ! 僕達も一緒に居るんだし、大司教さんからの依頼だって説明すれば分かってもらえるよ!」
「それに、ヴェノムちゃんはわたしみたいに武器も持ってないから、警戒されすぎる事も無いと思うんだよ」
 二人に言われて、安心感を得る。
「……ありがとう」
 少しばかり、照れくささを覚えるヴェノム。
「心配といえば、キュウビ殿は大丈夫だろうか?」
 『嘆きの魔術師』アルファルド・オズ・クエララ(p3p000090)が、自分の背に乗せている『超病弱少女』キュウビ・M・トモエ(p3p001434)を気遣う。
「大丈夫よ。ごめんなさい、ありがとう」
 死生循環病を持つ彼女は、日常のふとした事ですぐに体力が尽きてしまう。
 歩いては体力が尽き、暫くすると回復する。が、また同じ事が繰り返される。
 流石にそれでは時間がかかりすぎるという事で、こうしてアルファルドが彼女を背負う事になったのだ。
 「気にする事は無い」と返すアルファルド。
 彼の容姿もまた、ヴェノムのように異なるが、そのような部分は皮膚の色ぐらいだ。ヴェノムと違い、あまり気にした様子も無い。
 これから接触する村人達への説得について、『特異運命座標』リシェル・ミシェーレ(p3p004842)は成功してほしいと願う。かつての世界にて勇者姫と呼ばれた少女は、ふと思い立ち、『天蝎宮』アズライール・プルート(p3p005025)に祈りを乞う。
「村人さん達の説得、上手くいくように祈っていただけませんか?」
「気休め程度にしかならないかと思いますが、それでも宜しければ……」
「はい、お願いします」
 アズライールは、元々死を司る天使として生まれた者。とはいえ、生者の名を記した特別な書物を召喚の際に無くしてしまった為に天使としての力は失われている。
 指を組み、祈るアズライール。
 彼女の祈りを見て、リシェルは深呼吸した。武装した装備の重みが、改めて彼女にのしかかる。
 見えた農村の形。
 さあ、行こう。

●接触
 村の入り口には門番らしい男性が二名立っており、イレギュラーズの姿を見つけると、一人が村の中へ、もう一人が入口の中央に立った。どちらも武器としてなのか、鍬を持っている。
「止まれ! 何の用だ!」
 入口を塞ぐ村人が問いかけてくる。
 足を止めたイレギュラーズの中、最初に声を出したのはメアトロだ。
「えっと、おはようございますーお忙しそうですが、少しだけお時間……大丈夫でしょうか?」
 訝しむ村人へ更に畳みかけるべく、アランが口を開く。
「最近、幻想全体がサーカスのせいで不穏な空気に包まれています。何か困ったことや、不満に思ってることはありませんか」
 胸中では「こいつ等の為に敬語なんて」とぼやく彼だが、その不服を飲み込んで努めてにこやかに振る舞う。
 アルファルドに下ろしてもらい、キュウビは前に進み出た。
 胸の前で指を合わせ、穏やかに話しかける。
「私達は、大司教様からのご依頼により、周囲への慰問をしております。お話を窺いたいのですが、よろしいでしょうか?」
 続けて、アズライールも。
「最近村では変わったことなどはありましたか?」
 美少女二人に問われ、門番の村人は言葉に詰まる。
 話すべきか、話さぬべきか。
 表情から迷いが見て取れて、後押しするようにリシェルが口を開いた。
「農作物や家畜の状態に異常が無いか、見せていただくだけでも構いません。どうか、大司教様をご安心させる為にも、村に入れさせていただけませんか?」
 門番の村人は戻ってきたもう一人に顛末を伝え、再度奥へと行かせる。
「少々お待ちください」
 門番に言われてから待つ事暫し。
 戻ってきたもう一人の門番より入場の許可が下り、一行は村の中へ入っていった。
 なお、ヴェノムの危惧していたような事は起こらず、彼女が密かに胸を撫で下ろしていた事は、彼女のみ知る話である。

 信頼を得る為にも、村人達へ一度武器を預けようとしたリシェル。それを見て、同様に預けようとしたイレギュラーズも何人か居た。アランだけは武器ではなく荷物だと言い張り、布に包んだ武器を悟られぬように抱えたままだったが。
 リーダー格に当たる人物へ、責任者の立場からの話も聞きたいという申し出はあっさり受理された。
「責任者に会うのに、大人数で押しかけては迷惑になるだろう」
 アルファルドの一言により、リーダー格である人物に会うのは、アルファルド、ヴェノム、ニーニアの三名に。
 村人達へは、リシェル、キュウビ、アラン、メアトロ、アズライールの五名が接触する事になった。
 接触と言っても、農作業をしているのなら手伝う、村の状況の話を聞く等だ。村人相手ならばそれで十分だろう。
 二手に分かれ、リーダー格へと向かう三名。
 道中、農村にしては人数が多い事をニーニアが指摘すると、「今、複数の村が集まって話し合いをしている」という返事がきた。
「という事は、村長が数名集まっているっすか」
 大司教より既に知らされている情報であるが、再確認も兼ねてヴェノムが尋ねる。
「村長ではないな。次期村長にあたる方々だ」
 再確認出来た情報に対し、少し疑問が浮かんだニーニアが更に指摘する。
「次期村長に当たる方々が来られているという事は、今の村長の方々はどうしているの?」
「一応来てはいる。が、今回の話し合いから、まとめ役の経験をさせるという意味で、次期村長に当たる人達に主導権を譲ってくださっている」
「なるほど」
 疑問が解消されて、大きく頷くニーニア。
「ここだ」
 案内人が足を止めるのにつられ、三人も歩みを止める。
 場所は村の奥。周りの家に比べれば少し幅の広い家。
 案内人によって中へ通され、着いた先は家の中央。
 大きめのテーブルと何脚か程の椅子があり、テーブルの向こう側には若い男が三人。
「お連れしました。では、自分はこれで」
 案内人はそう言うと、すぐに踵を返して立ち去った。
「ようこそ。どうぞそちらへ」
 立ち上がった次期村長達から、挨拶と共に席へと促され、腰掛ける。
 向かい合う両者。
 此処からどう説得していこうか。

 集まっている村人達はあちこちに散ってはいたが、人数が多い為に必然的に固まって集まるような流れが出来ている。。
 五人はひとかたまりになり、村人達への接触を図る。
 キュウビはメアトロに背負われる形になっている。
 二人が向かった先では、少しばかりざわめくような動きがあった。
「えっと、騒がしいようですけどもどうしましたか?」
 メアトロに問われ、ざわめきが少し止まる。
 背から降りたキュウビが、村人達の前へ出る。
「最近の幻想全体が不穏な空気です。もし、何か不安な事、不満な事があれば、仰ってください。カウンセリングならお任せを」
 不思議と、村人達のキュウビへの視線が協力的なものに変わる。彼女に何故か惹きつけられる――そんな様子だった。
「実は、最近農作物の調子が悪くて……これじゃあ、蓄えが十分に出来るかどうかもわからない……」
「それなのに、役人や貴族達は、農作物や税を納めろと言ってくるんだ」
「このままじゃ、ここに集まった三つの村全部、生きていけるかどうか……」
「ふむふむ……」
 農作物や将来に関する不安、役人や貴族達への不満。
 それらを受けて、大きく頷いてみせるキュウビ。
 先に言葉を紡いだのは、アズライールだった。
「不安や不満がおありのご様子ですね。他に変わった事とかはありますか?」
 その質問に対し、村人達は困ったように視線を交わし合った。
 「おや?」と思ったのはアランだ。
 少しずつ話を聞いて武力蜂起の話へ誘導しようと考えていたのだが、これはもしかするとチャンスかもしれない。
 さり気なくを装い、問いかける。
「もしや、何か既に変わった事でも?」
 使う敬語に自分でも寒気を覚えつつ、相手の出方を窺う。
 ややあって、村人から言われたのは、「実は、役人や貴族達へ抗議をしようと思っている」という台詞だった。
「抗議とはどのような?」
「えっと、武器を持って押しかけようかと……」
「つまり、武力蜂起を……?」
 メアトロの質問に黙って頷く村人達。
 アランが心の中でガッツポーズする横で、キュウビが尋ねる。
「それしか手段はないんですか?」
「え?」
「それであなたが死んでしまうかもしれないことをあなたの家族は知っているんですか?」
 死。
 突然出た単語に、村人達の間で困惑が広がる。
 そこへ、メアトロが問う。
「何故そうなったのでしょうか……? お話を聞いていると、他にも手段はありそうですが……?」
「何故、って、そりゃ、次の村長になるって人達がこうやって抗議しようって言って……」
 村人達が口々に言い始める。
 彼らへ、アランが一つの棘を刺す。
「武装蜂起で村人の結束が高まるのは良いことですが、死の危険性については考えていますか?」
 再び出た死の単語は、今度は大きく村人達の心を揺らした。
 と、そこで、リシェルが声を上げた。
「女性の方々へお聞きします」
 突然方向転換した話題に戸惑いつつも、女性達が彼女を見つめる。
「ここに居る男性の方々の仕事ぶりはどんな様子でしたか? 頑張っていたとか、こういった所が良く出来ていたとかでもいいんです。良い所を教えてください」
 暫く考える様に黙った後、女性達は口々に語る。
「怠ける事もなく、勤勉に働いていました」
「この前重い物を運んでほしくてお願いしたら軽々と運んでくれたわ」
「農作物について相談したらすぐに対処へ動いてくれたのよ」
「熱が出た時、家畜や子供の世話をしてくれたわね」
 男性達を褒め称える女性達の言葉に、男性達はくすぐったい様子で頬を染めていた。普段このように褒められる事が少ないのだろう。
 そわそわし始めた男性達へ、リシェルが向き直る。
「女性達にとって、男性達の助けは必要です。武力蜂起をしたとして、その命が散った場合、彼女達を置いていく事になりますよ?」
 その指摘に、男性達から動揺が走った。
 女性達からも、「そうねえ」「男手が無くなったら困るわぁ」と声が上がる。
 アズライールが、彼らへ声をかけた。
「どうでしょうか。武力蜂起を一時的に中止してみは?」
「今すぐ行動に移すわけじゃないですよね? お時間、もう少しいただけませんか?」
 メアトロからも嘆願の声がかけられる。
「だが、そうすると、どうすれば俺達は役人や貴族達へ抗議すればいいんだ?」
 尤もな疑問を投げかけられ、答えたのはリシェルだった。
「皆さん、私達は大司教様からのご依頼で此処へ来ております」
 その一言で、何を言いたいかイレギュラーズには理解できた。
「はい、私達をどうぞ頼ってください」
 アランが若干ぎこちない笑顔を浮かべて語る。
 蜂起する意欲が若干削がれたのを見て、完全に削ぐ為の言葉をキュウビが紡ぐ。
「大司教様へ言伝を預かります。私達から大司教様へお話を伝えれば、大司教様から通達が行くと思いますよ。ですから、武力蜂起は今はやめておきませんか?」
 彼女の言葉に、村人達は「そうだなぁ」と頷き始めた。
 これでこの一角は完全に気が削がれたようだ。
「他の方々にもお話をお伝えしたいので、紹介していただけませんか?」
 重ねて願い出たキュウビの言葉に、案内の名乗りを上げた村人一人。
 ふと、リシェルが何かを思いついたようで、提案をした。
 「女性と一緒にリーダー格の方々へ会いに行きたい」と。
 アズライールが同行を願い出て、共に向かうのだった。

●説得と阻止
 その頃、次期村長候補達の説得に向かっていた三人は難航していた。
 彼らから現状についての不満等を聞き、共感してみせた後、話の流れから武力蜂起を決起しているという話を引き出すまでは出来たのだが、その案を一時的に下げる事は出来ないかと尋ねた所、「出来ない」と返答が来たのだ。
 アルファルドが問いかける。
「何故だね」
「自分達にはもうこれしか残されていないからだ」
「しかし、武力蜂起したところで何の解決にもならない」
「だが、それしか道はない」
 平行線にしかならぬ会話に、彼は仲間へ目配せする。
 次いで、ヴェノムより、質問がなされる。
「でも、無謀とは思わないっすか?」
「思わない」
「でも、味方が居ない訳ではないっすよ。この国を変えたいと思っているのは、此処に集まった人だけではないっす」
「だが、それでも我々の意思は変わらない」
 固い意思にヴェノムは内心で頭を抱えた。
「蜂起を起こすことに関して重大な懸念があるんだよ」
 ニーニアの言葉に、次期村長候補達が彼女へ視線を向けた。
 剣呑な空気を醸し出す彼らに怯む事無く彼女は言葉を続けた。
「最近、色々な場所で猟奇事件が起きてるのは知ってる? このタイミングで蜂起を起こしたら、それに関連付けられて、今以上に最悪の状況まで悪化しかねないよ」
「最悪、とは?」
「村の人達全員処刑とか」
 考えられる最悪の事態を告げる事で、彼らに動揺が走る。
 少しばかり意思にヒビを入れられたようだ。
「その通り。抗争を続ければ、人だけでなくこの土地も巻き込むことになるだろう。苦労して育てた農作物、家畜。これらが戦火の中に消えても構わないと言うのか?」
「それは……」
 続く様に告げられたアルファルドの言葉に、言い淀む男達。
 ヴェノムより、助け舟が男達へ出される。
「僕ぁ学はねーすが。嘘はつかねーっす。だから今は戦い方を変えるべきっすよ」
「例えば?」
「嘆願、とか?」
 アルファルドも補足するように続けた。
「大司祭を仲介役として貴族側に訴えるのが平和的で良い。この方法なら犠牲は出ないだろう。試す価値はあると思うがな」
 揺らいだ意思。そこへ、入口より新たな来客が舞い込んだ。
 入ってきたのはリシェルとアズライール、それから女性の村人数人。
「何用か」
 男達の一人が尋ねれば、リシェルとアズライールが女性を前に押し出した。
 女性達は暫く口ごもった後、意を決したように声を上げた。
「お願いです。武力蜂起をおやめください」
「この村は男手あってのものです。武力蜂起の結果、男達が倒れてしまっては、私達女では村の切り盛りが厳しくなります」
 男手の必要さを説く女性達に、面食らった様子の次期村長候補達。
 続けて、リシェルからも。
「皆さんが万が一、戦で倒れたら、彼女らはこの先どうしたら良いのでしょう、ね?」
 言葉に詰まる男達。
 ダメ押しとして、ニーニアの言葉が男達へかかる。
「ここにいるのがリーダーとして農民皆を束ねる人なら、攻めることよりも、家族に友人、大切な人達をどうやって守るかを、まず考えなきゃダメだよ!」
「……少し、考えさせてくれ」
 一度家の外に出て待機してくれと乞われ、外に出たイレギュラーズ達。
 時間が少し経った後、男達より下された決断とは――――。

●結果
 大司教に面会に来たイレギュラーズ。
 彼らの手には、村の状態等を記した紙の束。字が書けるイレギュラーズによって書かれたものだ。
 農村における識字率はまだまだ低い。その為、署名の代わりに村の状況や不満等を纏めた物を大司教へ提出した。
「現場の方ではこのような声が上がっています。よろしければ、大司教様の御名も記していただき、該当地域の領主に届けてはいただけないでしょうか」
 発案者であるリシェルの言葉に、大司教は未だ無言。
「人々を正しい方向へ導くことが、大司教様の使命なのではないですか?」
「……わかりました」
 受け取った大司教に安堵し、イレギュラーズはその場を後にした。
 こうして、複数の村による武力蜂起は阻止されたのだった。
 しかし、何故この時期に行なおうとしたのか。
 その辺りを男達に聞いたりもしたのだが、突然不満と怒りが湧き上がったのだという答えしか返ってこなかった。
 少しばかり疑問の残る結果となってしまったが、阻止できたのだから良しとしよう。
 そう思う事にした。

成否

大成功

MVP

リシェル・ミシェーレ(p3p004842)
特異運命座標

状態異常

なし

あとがき

皆様の説得のおかげで武力蜂起は阻止されました。
それぞれの思いを告げる事が出来たかと思います。
お疲れ様でした。

PAGETOP