シナリオ詳細
芋煮しようぞ。
オープニング
●
秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。
とも果敢なき歌人が歌うがごとく。
青年、ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は海辺を雁が羽ばたく姿を見上げる。
「すっかり秋だな」
沈みゆく夕日に彼の金の髪は朱く染まる。
「というわけで、芋煮だな」
振り返ったベネディクトは盾をかかげる。
――いや、でっかい鍋だった。
そも、豊穣のとある地域では秋に里芋と呼ばれる芋が収穫される。
その収穫を感謝し、次の秋の豊穣を祈り親しいもの同士で水辺で芋を煮て食べるのが習わしである。春の花見、秋の芋煮とポピュラーな行事だ。
それを聞いたベネディクト=レベンディス=マナガルム卿はこれぞ! と思ったのだろう。豊穣に許可を得てささやかな芋煮会をきかくしたのである。
「あー、オレもしってる!
なっつかしいなあ。オレの国でも北のほうでそういうのあったぜ!
豊穣にもあるんだな。へ~、おもしろいなあ」
もちろん賛成だぜ!」
しっぽがあればぶんぶんと振り回す勢いで新道 風牙(p3p005012)が手を上げて賛成する。
「なにそれ! たのしそう!
花丸ちゃんも賛成だよ~!! へいへい! いっちゃおう!」
笹木 花丸(p3p008689)は花丸手帳を開いて芋煮会と書くと、そこに花丸を記す。
「とはいえ、もう少し人員はほしいものじゃな。 汝も芋をしこたま用意したのじゃろう? 親友殿よ」
まあ、妾が鍋奉行をすればうまい芋煮ができるし、その芋煮を振る舞う相手は多ければおおいほどよいからな、と付け足し、アカツキ・アマギ(p3p008034)が目を細めた。
「ああ、そのとおりだ。アカツキ。そうだな。誰か他にも呼ぼうか」
ベネディクトは盾もとい鍋を高くかかげた。
- 芋煮しようぞ。完了
- GM名鉄瓶ぬめぬめ
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年10月20日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●\\ 芋煮だーー!! //
『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)の提案によって、芋煮会が開催される。
豊穣の海辺、大きな鍋が鎮座するそこに8人の青年たちが円陣を組んでいる。
「そも、芋煮とはなんじゃ?」
『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)が尋ねればはい! と元気に手をあげるのは『翡翠に輝く』新道 風牙(p3p005012)。
風牙の説明に、アカツキはなるほどと頷く。
里芋を主役にしたこんにゃくやネギ、きのこやゴボウ、肉をいれた鍋ものの郷土料理という。
「前に芋煮やったときにレシピをひかえてあるから、どんなのも行けるよ。
まずは、味噌を用意して」
『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)が一本指をたててそう言うと、
「え? 醤油じゃないか?」
と風牙がツッコミをいれる。
「ふむ」
ココに来ての意見の不一致にベネディクトはうん。と頷いて、
「では意見をまとめて、2つの鍋をつくろう。味噌と醤油、どっちもだ!」
と背中に背負ったこんなこともあろうかと用意していた鍋をどどんと砂浜に置く。
「「「「「「「了解!」」」」」」」
全員の了解の声が唱和した。
「鍋、ときたら奉行が必要ですね」
『群鱗』只野・黒子(p3p008597)が消火用の海水をバケツに組みながら戦略眼において、重要なリーダーを設置することを提案する。
「奉行、鍋奉行とは火の番のことじゃな! ふふふ、それならばこのアカツキ・アマギに任せておくがよい!」
アカツキが立候補すればほかの皆も文句なしと頷いた。
鍋の2つや3つ余裕で管理するのじゃとアカツキは胸をはる。
「味見ならしにゃにおまかせください!!」
普段はギフトの所為もあり変なものを食べることが多い『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)だが、今日は文句なしのごちそう。
なんなら満漢全席にすらみえるくらいだ。
「あ、花丸ちゃんにもおまかせだよ!!」
『おかわり百杯』笹木 花丸(p3p008689)なんてすでによだれが出ている。
「ふふ、ではとびっきりおいしい芋煮にせんとねえ。2つあれば食べ比べもできるし」
夕暮れは時期帳が降りて、満面の星空の天鵞絨が広がるだろう。そんな空のした温かいお鍋をみなで頬張るのはきっと素敵なこと。
『びぃるの洗礼』柊 沙夜(p3p009052)は微笑む。
知っているものもよく知らないものもいる。ベネディクトは少しでも彼らと親睦を深めることができるといいと思う。
さあ、まずは調理だ。
調理班は風牙とバスティス、火の担当アカツキ。(と味見当番のしにゃこと花丸)
準備班にはベネディクトと黒子に沙夜と分かれる。
黒子は状況整理、片付けがしやすいようにゴミの場所は決め、全員に消火バケツの存在を周知する。
「うちねえ、とろとろに煮込んだ葱も好きなんやけれど、こんにゃくとか好きなんよ」
なんて、沙夜はアピールするとベネディクトと一緒に野菜を洗い始める。
「こんにゃくも別の芋の加工物だったか? 女性は芋が好きと聞いたがたしかだったんだな」
「そうそう、さつまいももすきよ。
お芋いうたら――ああ、そうそう。あったかい緑茶ものみたいなあ。アカツキちゃんお願いできる?」
「んん?! 3つ目じゃと! で、できらあなのじゃ!!」
こんどはお薬缶。火の当番はとってもいそがしいのだ。
風牙は醤油鍋、バスティスは味噌鍋と一つづつ鍋を担当することにする。
最初はたっぷりのお水にお酒と砂糖。とっておきの出汁をいれて野菜を煮込み始める。
「あ、風牙ちゃん、いい手さばきだね」
「ああ、オレは外で調理することも多いんだ」
「うわー、花丸ちゃんの手から里芋がにげちゃったーーー! すべる~~」
「しにゃにおまかせ! あわわ! よしなんとかキャッチしたよ!」
「包丁の持ち方はこう、です。こうもつことで指をきらないように」
「しにゃこさん、皮剥きすぎだよーっ!」
「花丸ちゃんはまだ皮残ってますよ~だ~~~!」
「多少大雑把でもだいじょうぶだぜ! 大きさは根菜の種類によって変えないとだからそれは――」
「私におまかせだよ~。じゃがいもはカットおわったから入れるね」
「さすがバスティス! じゃあこっちの里芋のカットが終わったから交換だな」
「ふぎゃー! 手をきったよ~~」
「しにゃこ様こんなこともあろうかと」
「黒子様、なんという準備」
「めらっさめらっさ、食べれるのまだ~~~?」
「今具材煮込んでるところだからステイして~」
「火力たりなくないですか?」
「なんじゃと、この鍋奉行のちからをみるのじゃ! ってしにゃこ近寄りすぎじゃーー!」
「こんなこともあろうかと」
「黒子様たすかりました。しにゃの魅惑のおみみが焼けちゃうところでした」
「大騒ぎだな」
「でもこういうのたのしいやん?」
トラブル続きの調理班を見ながら配膳用の食器を並べるベネディクトを手伝いながら沙夜が微笑めばそのとおりだとベネディクトは頷いた。
「それにしてもナイアは頼りになるな」
「ほんまやね」
「味見したいひとー!」
一足先に豚肉を淹れて、灰汁を取り終えたバスティスは煮込みに飽きてそのあたりに転がっている欠食児童ズに声をかけた。
「あ~、ずるい、うちも味見する~~」
沙夜も欠食児童ズに加わるのをみてベネディクトはくすくすと笑った。
黒子も華やかでよいことです。と笑いながらも準備に不備がないかしっかりと確認していく。
「味見は花丸ちゃん担当です! しにゃこさんは灰汁とって~~」
「くっ、笹木さんは向こうの手伝いとかした方がいいと思いますよ!!
アカツキおばあちゃん、笹木さんより先に味見の皿!パス!パスです! ぎにゃーーー!」
呼び方がきにいらなかったのが、アカツキが操る炎がしにゃこの耳を焦がす。空気を読む黒子は今度は助けない。このような話題に関わると自分もひどい目に合うと戦略眼が告げている。
(かくいう黒子も戦略的にさり気なく味見のお皿ももらっているのである)
「あ、バスティス、オレ大味な味付けしかできないからこっちの味付けちょっとみてもらってもいいか?」
「はいはい、ちょっとまってね。灰汁はもうとった?」
「もちろんだぜ!」
風牙に呼ばれたバスティスは味噌の鍋を黒子にまかせて醤油の味つけを手伝う。
「そっちの味見はまだ?」
「ちょっとまってくれ! もうちょっと!」
ことことことこと。
お鍋が素敵な音をたてて煮えていく。
おいもはとろとろ。お肉はやわらか。
味がしっかりついたころ。
「「「完成!!」」」
シェフ二人と鍋奉行の声が重なって。
美味しい鍋のできあがり。
「おつかれさまでした。見事な火加減。さすがは奉行です」
そっと黒子が出したタオルで汗をぬぐいながらアカツキが最高の笑顔を浮かべた。
「何だかんだトラブルはあったが完成じゃ! 味噌味と醤油味の芋煮、召し上がれなのじゃ~」
●いただきます!
お鍋たっぷりのあったか芋煮は豪華に二種類。
しっかりと出汁をすってどろどろになったお汁には美味しさが詰まっている。
「「お肉いっぱい大盛りで!」」
配膳するバスティスははいはいとたっぷりお椀に芋煮を欠食児童ズに盛り付ける。
一気にかきこんではいけませんよという黒子のフォローはふたりに聞こえたのか。
みんなで手を合わせて、いただきます!!
「まずは醤油だ! 早く、おたま回して! 早く!!」
「しにゃは味噌ですよ!」
「花丸ちゃんはお醤油だ!」
シェフのうちのひとりは欠食児童ズに混じり欠食児童トリオになる。
「くあーーー!! うっめええええ!!
芋うめえ肉うめえ野菜うめえ! 出汁めっちゃうめえーー!」
「はふはふ。 あつあつです!
うめー!! 一生食えますねコレ!! しにゃはまだ成長期なんで! いくら食べても余裕ですよ!」
「風牙さんはどっちが沢山食べられるか競争する?
よーし、花丸ちゃん負けないからねっ!」
「なに? まけないぜ!」
「あ、しにゃちゃん、ごめんね、今回はスペシャルメニューはないから」
「え、スペシャルメニューって? ……? なんか寒けしたね」
「バスティス様はわざわざしにゃの為にスペシャルメニューなんか作らなくてもいいんですよ、永遠に! お願い!」
ぶわっとひろがったしにゃこのしっぽをみてバスティスはわるーい笑みを浮かべる。
「ナイア、おつかれさまだったな。うん両美味しいな」
早速両方の味比べをしたベネディクトが隣に座ってやっと食事を始めたバスティスをねぎらった。
「ありがとう、ベネディクト君」
「豚肉おいしいわぁ。優しい味するねえ」
その向かい側にいた沙夜が嬉しそうに食べ、黒子は味変の一味唐辛子をふりかけてご満悦だ。
「そういえば、沙夜ちゃんは前お握り食べる依頼で一緒だったね」
「んふふ、そうねえ。つなまよのお握り美味しかったなあ」
話題はついこの前のおにぎり依頼のお話。また一緒にこうやって食卓を一緒にするなんて思ってなかったと二人は思い出話に花を咲かせる。
「アカツキ、呑みすぎるなよ?」
親友殿の酒の進みがやけに早い。きっと上機嫌だからなのだろう。
「らいじょうぶじゃあ」
怪しいアカツキのろれつにベネディクトは苦笑する。まあ潰れてしまったらおぶって帰るのも吝かではない。彼女は今回の功労賞なのだ。
「いい豊穣酒をもらったんだ、こっちはどうだ」
「おお、一献もらうのじゃーー」
ごろごろと転がりながらアカツキがベネディクトの膝にぶつかってとまる。かなり出来上がってきてるようだ。
「只野に、柊は酒はいける口か? 地元の方にどうぞと、勧められた物があるんだが良かったら」
アカツキに酌をしたベネディクトは二人にもすすめる。
「ほう、これはこれは」
黒子は吟醸に醸された酒の一献あおり称賛する。なんともこの鍋によく合う。
「うんうん、このまえね、天儀でびいるの洗礼うけたんよ。あれ苦かったわぁ。でも酔うっていうのはよくわからんかったかな」
「こっちは甘口だから飲みやすいとおもう」
「そうなん? じゃあ一献のみたいわあ」
「お味噌がいい!」
「お醤油かな?」
「どっちもですう」
欠食トリオの間ではこんどは味戦争になっているようだ。
「戦争はほどほどにのぉ~~~」
アカツキがベネディクトの膝を枕にして注意をするが全くもって説得力がない。
「ほらほら、まだいっぱいあるからね~。お残しはだめだよ~。お鍋空っぽにしないと帰れないよ」
バスティスの言葉に3人はまだファイティングスピリッツたっぷりに器を差し出す。
「オレがお残しするとかありえない! お肉とお芋たっぷりで!
醤油と味噌を交互に食べる! そうすると第三の味が口の中に広がる!!!」
「なにそれ! 花丸ちゃんもやる~~~」
「しにゃもまけませんよ~~~お椀てんこ盛りで~~~~」
「はいはい。この後おじやもあるからね」
「ナイアもどうだ?」
ベネディクトがお膳し終わったころをみはからって、バスティスに酒をすすめる。
「これいいお酒だね。アカツキちゃん、おすすめとかある? ってもうそれどころじゃなさそうだね
そうだ、黒子君も色々サポートありがとうね。おかげで美味しくできたよ」
「いえいえ、どういたしまして。全てはみな様のご尽力の賜物です」
大人組は酒と共にとろとろの芋煮をゆっくりいただく。
どろりとした芋が根菜に絡み、肉の味を引き立てる。
「べー君も一献どうじゃ?」
手酌していたベネディクトの杯にアカツキが豊穣酒を注ぐ。
「ああ、いただくよ、アカツキ」
その言葉にアカツキは満足そうに頷くと杯を差し出す。ベネディクトは苦笑してその杯に酒を注ぐと軽く自分の杯をアカツキの杯と重ねればちん、と澄んだ音が秋の夜空に溶けた。
「みんなしっかりたべたかな?
そろそろおじやにするよ~~」
バスティスの言葉にみな賛同する。
そろそろ今日の芋煮パーティも終了。
名残惜しそうに風牙が最後のひとくちを飲み込んだ。
「ふはー。やっぱいつもより美味しく感じるのは皆と作って皆でたべるからかな?」
ふっくらふくらんだおなかをぽんぽんしながら花丸がそういえば皆の顔がほころぶ。
「ぶぅっへー食べた食べたー。ごちそうさまです!なんか3日分くらい食べた気がします……」
「まだ片付けがのこってるよ」
「片付けも手伝います!手伝いますけど……ぐぇ……食べすぎてちょっと動きが、鈍く……」
「たべてすぐ横になるとうしさんになってしまうよ?」
「うええええ。ひにゃはハイエナさんなのです!!!」
おなかぱんぱんになった子どもたちに苦笑しながら黒子は片付けの準備をはじめる。火種はしっかりと火を消して。
「うちも手伝うわ」
沙夜が腰をあげる。
「では、俺も」
「ええよええよ、お膝の子気持ちよくおねむしとるやん?」
沙夜はくすくすわらって、ベネディクトを止める。
「すまない」
「ええって。さ、自然は綺麗にもとにもどさんとね。 花丸ちゃんたちもこなれたら手伝ってな」
「「「はーい」」」
あ、そうだ。
とバスティスが指を一本たてて、お腹いっぱいになったら? と音頭をとる。
「「「「「「「ごちそうさまでした!!!「むにゃ、ごちそうさまじゃあ」」」」」」」」
バスティスは最高の笑顔で頷いた。
秋の夜空に星がまたたき、芋煮の会はこれで終了。
またいつか皆で同じように食事ができたらきっと楽しいだろう。
芋煮の提案者、ベネディクト=レベンディス=マナガルム卿は微笑んだ。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
美味しい芋煮になりました。
みなさんでお鍋2つ完食です。
あちらこちらとお料理番で頑張ってくれたバスティスさんにMVPを。
お疲れさまでした!
楽しんでいただけましたのであればぬめは嬉しく思います。
ぬめもたのしかったです。
ありがとうございました。
今日のばんごはんはおいもさんにしますのです!
GMコメント
鉄ヌメです。
EXからご縁をいただきました。芋を煮てください。
場所は豊穣の浜辺。
時間は夕方。のんびりと沈みゆく太陽を愛でながら星の下芋煮を楽しんでください。
調味料や具材は皆様でご用意を。
近所の方におねがいすればだいたいどんなものでも常識の範囲で分けてもらえます。
芋煮の味は味噌がおすすめですが、こだわりのある方はぜひ郷土のお味を再現してください。
ベースは里芋ですがじゃがいもとか混ぜても大丈夫です。
根菜類はしっかりと先に煮込んでとろとろにしておくのをおすすめします。
お肉は豚も鳥も牛もあります。豚は味噌、牛は醤油であじつけると美味しいと思います。
こんにゃくや豆腐もあります。
ご飯も用意してあるので残り汁でおじやにするといいでしょう。
飲み物はお茶や果実水などいろいろ。
お酒が欲しい方のためにお酒も豊穣酒などいろいろ揃っています。
ただし未成年の方は駄目ですよ!!
朝まで許可は得てますのでごゆるりとおたのしみください。
なおゴミはちゃんとかたしてくださいね!
海の水はそろそろ冷たいですが、海に入ってもOKです。
頑張ればちょっとした小魚とかもってきてバーベキューにしちゃってもOKです。
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