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シナリオ詳細

Autumn Vacation Report

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「無人島の調査を、お願いするよ」
 ギルド・ローレットにて。情報屋のアンジェイ・ノヴァ・ヨン(p3n000138)はそう告げると依頼書に目を落とす。
「鉄帝との関係も落ち着いたし、バカンス用に購入してほったらかしてた島の現状を知りたい――って、海洋の貴族からの依頼だ。
 場所はグレイス・ヌレ海域、最寄りの港から船で半日の距離にある。珊瑚礁と深い緑に包まれた、散歩感覚で歩いて一周できる小さな無人島だ。
 購入時の資料によると湧水があり食べられる植物も自生しており、危険な生き物も見当たらない。壊れた石組みとか道っぽい石畳とか、人が住んでいた気配があるらしい」
 うっすら残るそれらは緑に呑まれ、自然に還ろうとしている。
 具体的な調査の内容は、といえば。
「キャンプに向いた場所、食べられる植物の詳細、ビーチの雰囲気、シュノーケリングで海の中の様子……釣りスポット……ビュースポット……」
 おや、とベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は引っかかりを覚える。調査とは言うが、内容はまるで――
「全力でバカンスを楽しんでね、って聞こえるかもだけど、ちゃんとした調査依頼だから」
 一応。情報屋は建前を大事にした。
「食料と水、それにキャンプ道具はこちらで用意した。船には余裕があるから必要な道具を持ち込んでもいい。泊まりがけの大仕事、いってらっしゃい」


 エメラルドグリーンの海に浮かぶ、緑に包まれた小さな無人島があった。
 白い砂浜に寄せては返す潮騒だけが響く。砂浜の他は起伏のある大地を鬱蒼と茂る緑が覆う、自然に富んだロケーションが広がる。
 人里を遠く離れた名も無き島に、六人の特異運命座標を乗せた船が到着した。

 上陸したら三手に別れて、バカンス……もとい調査の準備をすすめる。
 ベネディクトとリンディス=クァドラータ(p3p007979)は密林の中へ。
 いない、と明言された通り、モンスターはおろか大型の獣の気配も無い。つまり獣道も乏しい緑を踏み分け、ときには枝を払い落とし、ほとんど緑に覆われた石畳の名残を歩けるように切り開いていく。
 ソフィリア・ラングレイ(p3p007527)は神鳥に変身して羽ばたく。上空から島を眺めて、テントを張るのに良さそうな高台を探した。
 目星をつけたらひらりと秋月 誠吾(p3p007127)の元へ舞い降りて、二人でキャンプ地の下見に向かう。
 バスティス・ナイア(p3p008666)は引きずるようにしにゃこ(p3p008456)を連れて、食べられる植物の実地調査を開始する。
 バナナやマンゴーといったフルーツは問題なく、紫色のトゲトゲの実や赤いキノコはしにゃこが体を張って確かめた。毒入りで食用には向かなかった。

 ざっとした調査を終えて、イレギュラーズはキャンプ地に集う。
 まずはテントの設営だ。
 それが終わったら、さて、何をしようか。

GMコメント

●目標
 無人島を楽しむ

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●フィールド
 グレイス・ヌレ海域(海洋王国北東の島嶼部)のはずれにある無人島です。
 透き通った海、晴れた空、その間にぽつりと浮かぶリゾートアイランド。
 暦の上では秋ですが、海流のせいか泳いでも大丈夫な水温です。魚もいます。
 モンスターおよび大型の獣など、脅威になる生物はいません。うっすら文明の痕跡があります。
 島の詳細は皆様の調査で判明しました。つまり『こんな島!』『これがある!』と思ったらそうなります。

 乃科です。ご指名ありがとうございます。
 人数少なめ、文字数多めのイベシナといった内容です。
 必要な調査はきっちり終えたところから始まりますので、皆様ご自由にお過ごしください。
 それでは、プレイングをお待ちしております。

  • Autumn Vacation Report完了
  • GM名乃科
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年10月06日 22時15分
  • 参加人数6/6人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
ソフィリア・ラングレイ(p3p007527)
地上に虹をかけて
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
ただの人のように
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
バスティス・ナイア(p3p008666)
猫神様の気まぐれ

リプレイ

●一日目
 荷下ろしとテントの設営をさくさく終えたイレギュラーズは、食材を探しつつ島を探索しよう、と解散した。
「この前誠吾さんに教えてもらって、ちょっとだけ練習してみたのですよ!」
 手頃な磯に到着した『地上に虹をかけて』ソフィリア・ラングレイ(p3p007527)はルアーをラインに結び、釣り針の様子を確認して。竿を振るえば綺麗な放物線を描いて仕掛けは無事に着水する。練習の成果だろう。
「見ましたか? 誠吾さ――」
 誇らしげに同行者を振り返ったソフィリアだが。
「待て、待てだポメ太郎、ブルブルするなら離れ……うわ!」
 当の『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)は、海から上がったポメ太郎のブルブルを被弾していた。
「わん!」
 大人しく鞄に収まって半日の船旅を過ごしたベネディクトの使い魔は、久しぶりの陸地に大興奮である。「遠くには行くなよ」との誠吾の言いつけを守り、砂を掘ったりカニに吠えたりと近くで遊び、ひと泳ぎしてまた近くに戻ってきたところだった。
 水も滴る何とやら。誠吾は悟りの顔で足元にまとわりつくびしょ濡れ毛玉を撫でた。
「ふふ」
 一人と一匹の様子を眺めていると、ソフィリアの竿にグン、と手応えがあった。魚がかかったのだ。
 焦らずにリールを巻いて、鮮やかな南国色の魚が釣れた。バケツに放ってまた釣り糸を垂らすと、面白いように次がかかる。
「人間に慣れてないのですね」
 赤や青や縞々の魚が、バケツの中で揺らめく。
「石畳に、今はほぼ崩れてしまっていますがしっかりとした石造りの家……人の営みが、物語はここにもあったんですね」
 簡単な島の地図を手に、『未来綴りの編纂者』リンディス=クァドラータ(p3p007979)は人の痕跡の調査に赴いた。
 すっかり草に呑まれた敷石の名残を辿って密林の奥へと歩を進めれば、崩れた人家にたどり着く。ドアも窓もない空き家は雑草まみれで虫の住処となっていた。
「文字の書かれたものや、本は……見当たりませんね」
 探索を終え、本を愛する彼女は残念そうに呟いた。次いで家の横、平らな土地は畑だったのだろうと見当をつけて雑草をかき分ける。トマトにピーマン、セロリと、食べられそうな野菜類と、畑の横の鈴生りのクルミの樹を見つけ、それらを収穫したのだった。
 それから――
「……お腹に優しい薬草をいくつか、摘んでいきましょう」
 可愛い美少女の笑顔と猫神様のおおらかな微笑みが脳裏に浮かんだ気がして、消化を助ける薬草を探しては多めに持ち帰るのだった。
「へっくち」
 リンディスの気持ちが通じたのか、キャンプに戻った『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)はくしゃみを一つ。
「しにゃちゃん、風邪引いた? よく効くお薬煎じるね!」
 人の命はときどき儚い。なので『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)はそう申し出たのだが。
「ちょっとした生理現象ですよ! 風邪じゃないですよ! 薬の出番はないですよ!!」
 毒味係として大活躍した後のしにゃこは遠慮深かった。
「そう? じゃあ、猫神ズキッチン始まるよ! シェフはあたしバスティス、アシスタントはしにゃちゃんでお送りします」
「はいはーい。とはいえしにゃ、料理できなんですけど……」
「教えるよ! 一緒に美味しいお魚を食べようね」
「美味しい……魚……?」
 しにゃこは毒味コレクションを思い出して頭上に疑問符を浮かべた。釘バットみたいな魚とか、茶色くてぶよぶよした魚とか、触手の塊っぽい生き物とか。
 その間に、エプロンを着けたバスティスは大きな魚の解体から始める。海に潜って「獲ったどー!」した大物だ。
(凄い水が綺麗だし、魚も人を警戒していない……楽園みたいな海だった)
「しにゃちゃんは大きいお鍋に水を入れてね。もう洗ったのでそっちの貝を入れてねー」
「! らじゃでーす」
 ごく簡単な指示に驚いて、安堵して。しにゃこは言われたとおりに手伝った。
 ところで、ルアー釣りで入れ食いなら餌を使ったサビキ釣りはどうなるか。
「皆が食べる分を確り釣り上げるどころか、爆釣で入れ物が不足する勢いでな」
 とは『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)の弁。彼が食材を厳選してキャンプに戻った頃には、猫神ズキッチンは佳境を迎えていた。
「えっ、トゲトゲの魚……!?」
「カサゴの仲間だ。身も美味いが、骨からいい出汁が出るぞ」
 見た目で警戒するしにゃこに苦笑を浮かべ、ベネディクトは説明する。なおも「トゲトゲが美味しい……?」と宇宙を背負って哲学しているうちにバスティスが調理を終え、キャンプ地がいい匂いに包まれた。

 そして日が沈み、皆が揃って夕飯の時間となった。
「今夜はキャンプ料理っていうことで、獲ってきた魚介類と採ってきた食材。そして持参してきたちょっとの食材を足して、アクアパッツァとブイヤベースを作ったよー。採取を頑張ってきてくれた皆さんに感謝ー」
 焚き火を囲んで、島の幸をふんだんに使ったメニューに舌鼓を打つ。
「これは美味いな、おかわりが貰えるなら頂きたいのだが」
 ベネディクトは優雅に一瞬で平らると二杯目にかかる。誠吾が料理上手なのは知っていたが、バスティスの手料理もまた見事なものだった。
「美味い。どんどん食えるな」
「見た目も鮮やかで美味しいのです」
「これも記録しましょう。島の食材で作る料理、キャンプで食べる味……」
 ポメ太郎は特別メニュー、骨抜き魚の蒸し焼きをがっついている。ぶんぶんと千切れそうなほど尻尾を振るものだから、隣のベネディクトの臑を連続攻撃しているし稀にお尻で体当たりも加わる。ダメージは特に無いが。
「はぁー……温かい。まともな料理は美味しいですね! おかわり!」
 魚と貝の織りなす味にほっこりしたしにゃこだが、そうして出された二杯目に表情が凍った。
 微笑みの猫神シェフから説明がある。
「こちらは、本日のしにゃちゃんスペシャルメニューです。余った小豆の煮物に余った青魚さんを加えてスープにした『さばぜんざい』」
「え、いや、さばぜんざいって……海鮮と甘味は混ぜちゃダメですよね……?」
 周囲に味方を探すが、偶然にも皆食事とか会話に夢中でこの新感覚料理に気づいていなかった。
 豆の甘い匂いと鯖の青臭さがマウントを取り合うように香る。
「さあ、ご賞味あれ!」
「嫌です! 普通に食べたくないです! なんですかしにゃ何も悪い事してないのにー!!」
 喋るということは、口を開けるということ。だんだん大きくなる声量に合わせて大きく空いた口にバスティスはスプーンを入れた。いわゆる『あーん』である。
「ぐえー!!」
 口いっぱいに広がる食材同士の殴り合いの味。しにゃこはパンドラ-50相当の衝撃を受けたが、リンディスの煎じた薬湯で命拾いをした。
「……あれも、記録したほうが良いでしょうか。しないほうが良いです?」
 リンディスは神妙な顔で『さばぜんざい』を見つめる。しにゃこは両手で大きくバツを作り、ぐんにゃりと地面に倒れた。
 食事も終わり、夜は深まる。皆が寝静まった頃、誠吾はテントを抜け出した。焚き火の番をするリンディスに手を振ってキャンプを離れた。柔らかそうな草地を見つけてごろりと寝転ぶ。人工の光が無い夜空には大量の星が煌めいている。
 しんみりと、一人で眺めていた時間は短かった。
「誠吾さん、星が綺麗なのです!」
 同じくテントを抜け出したソフィリアが現れて、隣にごろりと寝転ぶ。手を動かせば触れられる、無防備な距離だ。半袖の腕に小鳥の体温をじわりと感じる。
(警戒心の欠片もねー……)
「これだけいっぱいなら、一つくらい落ちて手に入りそうなのです!」
「そーだな。実際落ちてきたらたまったもんじゃねーけどな」
 空へ伸びたほの白いソフィリアの手を眺め、誠吾はその手に落ちる星を想像した。
 実際落ちてきたら隕石で、下手をすると大惨事――だが、夢を壊しそうなので言わずにおく。
 キラキラ光る夜空の宝石に触れるように、手を伸ばしながらお喋りを続けるソフィリアだったが、段々と口数が減り、腕もふらふらと揺れて。
 ぱたり、と誠吾の腹に落ちた。
「……はっ」
「子供はそろそろ寝る時間だな」
 誠吾は細い腕をそっと持ち上げて、ソフィリアの胸の上に乗せる。
「うちは子供じゃないのですー……誠吾さんも、おやすみなさいなのですよ」
「ふあ……おやすみ」
 睡魔の訪れた二人は解散して、テントに戻った。
 パチ、と小枝の爆ぜる音を聞きながら、リンディスは火の番を兼ねてウォルナットインクを作っていた。昼間に集めたクルミの実を鍋に入れて、焦がさないようじっくりと煮る。単純だけれど時間のかかる作業だ。
 時折鍋をかき混ぜながら、リンディスは無人島の夜を過ごす。遠くに聞こえる鳥の声、虫の音。宵の口を過ぎるとそれらも段々落ち着いて、波の音が穏やかに響いた。
 焚き火に枝をくべ、鍋の様子を伺っていると、秋の夜長は静かに過ぎていく。
●二日目
「今日は遺跡探索に出向こうかと思うんだが、皆はどうする?」
 冒険準備を整えて、ベネディクトは皆に声をかけた。
「わん!」
 忠犬ポメ太郎は朝から元気はつらつだ。
「私も同行します……あふ」
 寝不足気味のリンディスだが、好奇心と書痴の心が逸る。
「もちろん行くですよ!」
「俺も」
 名乗りを上げたソフィリアに続いて誠吾も挙手する。戦わないで済む島なら、冒険も楽しそうだ。
「あたしもついていくよー」
 元気なバスティスはしにゃこと手を繋ぎ、「しゅっぱーつ!」とベネディクトの後に続いた。
「しにゃは……意見ぐらい言わせてくださいよ! あぁー、引っ張らないでくださいー!」
 島の中央に位置する遺跡は、外側を蔦に覆われながらも堂々と佇んでいた。
 石壁に刻まれた模様を指でなぞり、ベネディクトは遺跡を見上げる。
「人は居なくとも、其処此処に人が暮らしていた形跡が残っているな。俺達もいつかは、世界のどこかに、足跡を残していくんだろうか……」
 などと呟いて、正面から侵入した。
 正方形に近い石造りの建物を内外から観察したリンディスは建物の正体を判じる。
「神殿……宗教的な祭事に使われた建物のようですね。民家に比べて生活設備が無く、構造も含めて装飾的です。島の守り神を祀っていたのではないでしょうか」
 祭壇と思しき台座の上には、古びたボロボロの道具が転がっている。
「……整えておきましょうか」
「一緒にやるですよ!」
 ラフスケッチで遺跡を記録したソフィリアは、祭器を並べるリンディスを手伝った。
 金属のお椀やヒビの入った皿。かつて大事に使われていたものを、埃を払って祭壇に戻す。
 整然と並べたら、顔も体もすり減った小さな石像をくぼみに乗せて完成だ。
 ソフィリアが手を離した途端、ガコン! と元気な音を立てて石像が沈んだ。
「あれ?」
「もしかして」
 建物を揺らす地響きが下から聞こえる。
「侵入者を撃退する仕掛けか?」
「マナガルム卿は嬉しそうだな……」
 油断なく身構えたイレギュラーズの頭上に、大岩が振ってきた。もちろん難なく全員が回避した。
「ふはは!ヌルいわ!」
 と胸を張ったしにゃこの足元がパカッと割れて落とし穴になる。
「落ちる……なんてことないんですよねー」
 持っててよかった飛行スキル。穴から脱出成功すると、壁際に寄った。やれやれ、と壁に手をついた、途端に石壁が倒れた。
 変に回転しながら倒れたので、当然のようにしにゃこは下敷きになる。
「ぐえー!!」
「今助ける」
 ベネディクトは一応持っていたサバイバルナイフにスキルを乗せ、石壁を砕いて救出した。何かに愛されているような罠の集中具合だ。
「あっ……こんなところに、本があるなんて……」
 リンディスは声を上げた。崩れた壁の奥は物置になっており、ボロボロの道具と共に古びた本が数冊残っていた。
 足早に踏み入って、慎重に手に取る。劣化が激しいながらも本の体裁を保ったそれは、海洋の古い言い回しで書かれていた。出発した港と同じ土着宗教の教本のようだ。
 望外のお宝を手に、リンディスはしばし感動の余韻に浸った。
 遺跡の調査を終えて、夜は浜辺でバーベキュー。
「もうぐったりです。動きません、動けません」
 しにゃこはごろりとリクライニングチェアに寝そべり、わいわいと盛り上がるバーベキューコンロの方角を眺める。
 メインシェフの誠吾は慣れた手つきで材料を一口大にし、串をうつ。仕上げに塩をぱらりと振って、完成したねぎまの串を網の上へ。
 焚き火担当のバスティスが火力を調整して、最適のパフォーマンスでじっくりと火を通す。
「ほら、焼けた」
 熱いぞ、なんてわざわざ優しく付け足してソフィリアの皿に盛る。ふーふーと冷ましたソフィリアはねぎまに歯を立てた。野性味のある肉にとろりと柔らかい白ネギが合う。
「誠吾さんのご飯、美味しくて大好きなのですよ!」
「肉も魚も沢山ある。どんどん食えな」
 焼けた端からソフィリアの皿に盛っていくので、すぐ山盛りになった。男子高生基準はソフィリアには『多め』だが。
「食べ過ぎてしまう……けど美味しいから仕方ないのです……!」
 腹八分目を超えた先まで味わいたい、誠吾の味だった。
 血の味を消す下処理に、小さめの切り方。料理人の心遣いを感じながら、リンディスはよく焼けた肉を味わう。
 そして、皿に一通り盛り合わせて、置物と化したしにゃこに届けた。
「しにゃこさんもどうぞ」
 動く元気も無さそうなので口元に運ぶ。もぐもぐ食べてはうっとりしているので、食欲はあふれているらしい。
 皆の様子を眺めながら、ベネディクトはポメ太郎に素焼きの肉や魚を与えた。がっつく茶色いわたあめの姿に和んだところで、自分の口も満たす。雄大な自然の中で味わう、いつも屋敷で食べる味。
「何処かほっとするな…今日も美味い」
「わうーん」
 駆け足で色々とあったはずだが、まだまだ遊び足りない気がする。
 またいつか、皆でもう一度遊びに来れたら良いな、と思った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。
依頼主は報告ににっこり、満足の様子です。


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