シナリオ詳細
再現性東京2010:悪性怪異(?)リリファルゴン!
オープニング
●リリファのふくらみ
「ねぇ知ってる? リリファちゃん、この近くにお胸をもぎとる夜妖がいるんだって!」
「あっはっは! なんですかソレ~本当にいるんですか~?」
「うん! だからそんな事しちゃ駄目だよリリファちゃん!」
ムキャ? 練達の区画。再現性東京の一角の公園でそんな事を話していたのは炎堂 焔(p3p004727)とリリファ・ローレンツ(p3n000042)の二人であった。夜妖――つまりこの辺りでいう所の魔物だが――どうにもお胸を敵視する夜妖がこの辺りにいるらしい。
夜な夜な現れてはお胸の大きい者を『もごう』とするのだとか……なんて危険なんだリリファ。自首しろ。今なら罪は軽い。
「焔さん、何か勘違いしてませんか? 私はそんな事してませんよ?」
「うんうん。分かってるよ……中々、言い出し辛いもんね」
「いやだから」
違うんだと弁明をリリファは繰り返す。そもそも夜妖の被害が出ていて討伐してほしいとの依頼がカフェ・ローレットに届き調査に向かったのがこの話の始まりである。なのになぜ所属するリリファが犯人なのか……そんな筈はない!
いやそりゃあね? 偶にはね? お胸の大きい人達に色々な感情が沸き立つことはありますけどね? でもね? まさかそんな短慮にもごうとした事なんて一度も……一度も、うーん……一度もなかった気がしますから!
「とにかく私は夜妖では――!!」
と大声を出そうとした……その時。
少し前方から悲鳴が響いた。
女性の声だ――まさかと思い、加速。さればそこに居たのは大きな『闇』とも言うべき靄の塊だ。不定形のソレが女性に纏わりついている。振り払いながら駆け抜ける事が出来ている故、あまり力は強くないのだろうか?
「あれが……情報に在ったお胸をもぐ夜妖……! リリファちゃんじゃなかったんだ!」
焔は驚愕。七割ぐらいリリファが犯人だろうと思っていたのだが、まさか違ったとは! 隣でまた『ムキャ?』という怒る前兆の声が聞こえるような気がするが、きっと気のせいだろうから無視だ。それよりも。
「女の人が襲われてるよ! 行こう、助けなきゃ!」
逃げる女性と夜妖の間に割り込む。
一般人に被害を出させる訳にはいかないのだ。夜妖ならば倒すのみ。
「そうですね! これもローレットに届いた依頼なら……!」
「うん――あれは個体名『リリファのふくらみが百個集まった想い』って言うらしいよ! お胸の大きい人を特に対象として狙うんだって! むむッ……一体何がどうしてあんなのが出来たんだろうね!」
「はっ? なんて? なんて言いました今?」
古来よりリリファのふくらみが百個、一か所に集まると怨霊として顕現するという話がある。ええ、今作りました。太陽が西から昇るという言葉と同義とされるソレが歪んだ神秘を伴うのだ。多分。
とにかく事の真偽はともあれ放ってはおけない。リリファのふくらみなどという無いモノが有として現れる等決してあってはならない事で……おっとリリファちゃん? どうしてそんな暗黒的オーラを纏って?
「わわわ! どうしたのリリファちゃん、落ち着いて!
ちょっと……依頼中だよリリファちゃん――!! 敵はあっちだって――!!」
「ムキャ――!! ムキャムキャ――!! ムキャキャ――!!」
リリファの身が、夜妖と同様な様子を見せる――黒き靄が彼女の身を隠し、鋭い闘気は焔へと牙を剥いてぽかぽかと殴り始める。ぽかぽか。
むむむ。どうやらリリファは敵から何か妙な干渉を受けたに違いない! こうなっては仕方ない。あの夜妖は倒す。リリファも大人しくさせる。両方成し遂げてこのお胸の悲劇を止めるとしよう――!
「ムキャ――!!」
- 再現性東京2010:悪性怪異(?)リリファルゴン!完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年09月26日 23時35分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
「あらあら、夜妖って皆こんななのかしら?
まるでリリファおねーさんみたいで可愛らしいわね♪」
『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)は言う。まるで両方ともリリファである――おむねを敵視しおむねを恨む。そう考えてみればなんとも可愛らしく見えてくるものである。口元に笑みを含んで、なんとか持って帰れないかとも思う程に。
「しかし。なんだか、同情するような、しないような……ふくらみの有無による発生する怪異なんて……」
「うう、リリファさんが夜妖の力であんな姿に……!
おいたわしい……早くなんとかしないと、ですね……!」
ともあれ夜妖を打倒しない事には、奴からの影響(?)によって狂ったリリファを救う事も出来ないと――『ぺったんこないない』糀・彪呑(p3p008887)と『うつろう恵み』フェリシア=ベルトゥーロ(p3p000094)は決意一つ。
早く元に戻す為にも夜妖をどうにかせねば……なんだかリリファが地雷によって勝手に発狂しただけな気がしないでもないが、まさかね。ともあれ夜妖だ――奴は物理的に押し止める事が出来ない、故に。
「さあ、おにーさんと遊ぼうか! ふふ、こわくないよ。ほら、リリファのふくらみだってまだまだ在庫があるんだ……奉納の準備は出来てるんだよ。良かったね、リリファちゃん!」
ある意味諸々の元凶たる『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)の一声によって奴を留まらせるのだ。そも、この夜妖は『リリファのふくらみ』が百個集まった事による思念の集合体。そしてかのふくらみが一所に集まった大方の原因はこの男による所が大きい。
「いやだなぁおにーさんが集めたのは精々七割~八割だよ。そんなおにーさん一人で何もかも出来る訳ないじゃないか――まぁまだ十個くらいは在庫があるんだけどね」
送るなよ。絶対送るなよヴォルペ!! 既にリリファ(本物)が『ムキャ?』と視線を向けてるぞ! 本来初対面な筈なのに、既に因縁の相手であるかのように殺意全開だぞ! あ、ヴォルペの頭にリリファが噛みついた――!!
「そ、そんなリリファちゃんがあんなに露骨に敵対するなんて! 気をつけて皆、敵は何かこっちを暴走させたり操ったりする能力を持ってるのかも……! ええいリリファちゃんを操るなんて許せない! 返してもらうよ――!」
さりとてそれはリリファの暴走を引き留められている証でもあると『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はこの隙に夜妖の方に注力を。
お胸をもぎとる夜妖……ちょっと。ほんのちょっと、いやちょっと以上応援したい気持ちになる相手だが……
「……ハッ! いけないいけない! 集中しなきゃ!」
誘惑を断ち切る様に頭を振って。とりあえずリリファを気絶させようとぺちんと一発。
叩いたのは頬ですよ。胸じゃないですよ。ぺたん、じゃないですよ。
「わー! リリファさんなんだか楽しそうなのです! ムキャ? ムキャキャ? ムキャ――! なのですよー♪」
しかし妙にしぶといリリファは何度も立ち上がってぽかぽかと。されば『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)はそんな様子を見て思うものだ――あ、楽しそう! と! お胸があるだけで襲われるとは都会とはなんとも大変な所だと思うのだが、それはそれとして。
「ジャーン! メイゴンなのですよ! ぎゃおー! ムキャオー♪ ムキャムキャー♪」
お気に入りの怪獣の着ぐるみを着込んで笑顔全開。メイゴンはリリファルゴンの様な鳴き声を発しながらぱたぱたと前へ進む――何故か彼女にはリリファも夜妖からもあまり敵意を感じないのだ。不思議だなぁ。
「リリファ……っ、お胸の事で悩んでたのは知ってたけれど、まさかそんな姿になる程に深刻だったなんて……ごめんね、気付いてあげれなくて。馬鹿父の罪は、今ここで清算してみせるわ……!」
「ふふ。あれがリリファのふくらみの集合体……百個、いえ、百一個分ね。まさか形となって会えるだなんて思ってもいなかったわ♪」
一方で『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)と『かっこ(´・ω・`)いい』秋空 輪廻(p3p004212)とかいう――この――今回の夜妖にとっての仇敵とも言うべき胸部戦力の化身共はそこに居るだけでありありと存在感を示していた。
輪廻の言う百一個とは何かというと、つまり彼女もヴォルペと同じことをしているである。とある知人の同人作家君にお願いして一個送って――しかし同タイミングで送られていたので百個を超えて百一個目に届いた事があるという訳だ。おのれ輪廻めッ!
ともあれ彼女達はほんの微かに動くだけでもたゆんたゆんと。
リリファや焔にとってはどう頑張っても発生しえない世界の理がそこに在ったのだ。畜生! 生きてるだけで夜妖の気を引けるとかどういう事なんだ!!
「うんっ! 父の罪は娘が晴らすって事でアタシがリリファを救ってみせる!
ローレット最強の――清楚の名に誓って!」
過去を想起するミルヴィ。生前はよくからかっていたとある人物の顔を思い浮かべ――涙を拭って、しかし前を向く。最強最大の清楚を自称しながら……胸を張って生きるのだ! くそ! 張れる胸があるのに何が清楚だオラァ!!
●
先も言った通り――この依頼では夜妖をどう逃がさないかが重要である。
故に考えられる事はまず挑発、だ。おむねに執着があるのならば――
「でもね、一度お胸がある人の気持ちになって考えてみて? お胸大きいと肩はこるし、服のサイズに悩むし、首も痛くなっちゃうんだよね……ちゃんとしたおブラつけてないと垂れるっぽくなっちゃうからアタシはスポーツブラできつきつにしてるしっ成長したら買い直さないといけないしっ」
『ある』が故の辛さを語り継ごう。
夜妖たる黒い霧に対してミルヴィは経験談からの言の葉だ。視線を貰うのはアイドルやダンサーの類であればこそさほど気にしないモノであるが……そうでない人物であれば大変だろう、と。
視線を落とせばその象徴たる部位が目に留まる――ああ、まさか作戦・挑発の為とはいえステージで魅せるために磨いた美貌なのにこんな形で使うなんて……なんとも涙が出てくるものだ。
「そうよ。百一個集まっても0×101である貴方には今一つ実感がし辛いかもしれないけれど……大きい胸も結構大変なのよん? 形を気にしなきゃいけないし早く走ったりすると弾む重さでかなり痛いし……異性にえっちな目で見られたりするし、ねん♪」
同調する輪廻。くそッ『持ちし者』達はこれだから……!
腕を組むとその腕に乗る物がある。続けられるからかいと挑発の波――ならば夜妖も容赦はせぬ。おむねをもぐべく彼女らに纏わり付かんとするのだ。このナチュラル鬼畜共を許していていいのか? 否、良くないッ!
引き寄せられる夜妖。計画通りではあるのだが……くッ! これが『持ちし者』達の戦い方……!
「うう……でも。挑発だけでなく、夜妖も、褒めてあげたら……足を止めて、もらえたりしないでしょうか……?」
であればとフェリシアはむしろ逆の行いを頭の中に練っていた。
それはつまり褒めて鎮静化を図る行い。幸いにして己の身体は父親似――いや正確には彼女がそう信じているだけだが――ともかく。ともかく先述の二人よりは挑発的なソレにならない筈だ。故に褒めて倒す。
ええと……『まったいら』であることの利点は、と。
「……貴方のは、とても合理的な機能美あふれる姿だと、思います。地上では動きやすくて、水中では泳ぎやすく、空中でも風の抵抗を受けにくい……最強の戦闘モードです。機動力が高くて、早く動けるというのは、強くて頼もしい事だと聞いています」
当たり判定も少ない。巨乳では直撃する攻撃も、貧乳ならば躱せるのだ。
つまり――夜妖のあなたは、凄く強い身体を持っているという事。
卑下する必要はないのだ。ほら、あっちのヴォルペを見てみると良い。とてもぺったんこで、とても強い人だ。それと同じである貴方はつまり、強い。なお此処まで善意100%である。信じて。
「だから薄くて小さい体でも……せいいっぱい胸を張れる素晴らしい体ですよ?」
にっこりと微笑んで、フェリシアは紡ぐ。されば――挑発や褒め殺しも伴って夜妖の動きが鈍っている――一所に集中し、どこか遠くへ逃げそうな様子は無くなっていて。
「リリファちゃんのふくらみが百個集まった想いが……! よし、作戦は順調だね! あの様子なら逃げるような様子なんて無さそうだよ! そう、あんな風に大きなお胸の人達が引き留めてくれているから……」
同時。その様子を見据える焔。
フェリシアは穏健な意見だが、ミルヴィ達の主張は激しい。黒い靄がまとわりついても尚目立つ一部分。大きなおむねをもぎとろうと夜妖が頑張っていて、そんな夜妖を逃がさぬ為に彼女達のおむねは揺れに揺れて――むきゃあ。
「ムキャ――!! ムキャムキャ――!! ムキャキャ――!!
……って、ハッ!! 今ボクは何を!! くっ、これが夜妖の伝染力……!!」
思わず焔の心の内にどす黒い感情が沸き立ってしまっていた。おのれ夜妖め!
やはり一刻も早く倒さねばなるまい。集う炎の力が焔に宿り、胸に余分な脂肪が付いている人達をもぐべく……違う! これ以上暴走する人を増やさない為に夜妖に振舞われる。ちょっっとぐらいお胸を巻き込んでも良いかななんて思ったけど、これも夜妖の力か! 負けないぞ!
「ムキャムキャ!? もしかして焔さんも怪獣になるのですか!? リリファルゴン、ホムゴン、メイゴンが集って遊……戦うのですよ! ムーキャー♪」
「……なんだか色んな所に飛び火している気がするけれど、皆して暴走する訳にはいかない、ね」
そんな様子を見ながらメイは更に大はしゃぎ。リリファの鳴き声を甲高く真似しながら、夜妖をぽこぽこするべくガチ突進。
されば彪呑は思考する。この夜妖の個体に対し複雑な思いを抱く事はあるが……それでも、ふくらみを持たざる者というだけで一つにはなれないので、敵は敵。いや挑発による流れ弾があっち『こっち』に飛んでいるが、それはそれ。
「ねえ僕もこの通りの壁だから分かるけれど……零を百集めても、零なんだよね。君もきっと分かっている筈だけど――虚しくはないかい。いくら寄せて上げて掬い集めても、希望は零れ落ちるまでもなく零なんだ」
どこまで行っても零は、零。零が一になる事は、ない。
「ほら、捥げるものなら捥いでみてよ。捥ぐどころか掴む膨らみさえもないこの胸を」
もげないのならば八つ当たりさせてもらおう。自らのふくらみの無さを証明した代償として。
振るう斬撃。引き寄せている仲間は巻き込まないようにしつつ、一閃二閃。
激しい攻勢だ。痛みが伴えば夜妖も思わず跳び退る――慌てて逃れる様に回避の動きを取って。
「はぁ。逃がさない為とは言え……なんだか気の毒よね。だってあの子だって『そう』なりたくてなったわけではないんだもの」
さすれば些か同情的なのはフルールだ。きっといつか成長すると――そう信じて、しかしそうはならなかった。
上手く大きくならなくて羨望が転じて恨みとなった。フルール自体は胸の大きさなど気にする程でもないと思うのだ、が。
「リリファおねーさんも夜妖も、そうではないのですね」
ちらりと見据えた先には未だ荒れ狂うリリファの姿。ヴォルペに噛みつき、そして。
「初対面のおにーさんを! どうして! 全力で殴るの! おにーさんにはちょっと最近Fカップおっぱいの美少女彼女が出来ただけなのに!! ふっかふかのふっわふわな感触を持っている彼女なだけなのに、どうして!」
夜妖に囚われている故かガチ殴りしていた。殺意全開マシマシ攻勢。こんな事もあろうかと強いている破邪の結界が彼の身を守っているが、なければどうなっていた事か……
「分かった分かった、まだ足りないんだね? また集めるから許してよ! 百個で靄みたいな夜妖が現れるんだったら、もう何十個か集まれば今度はれっきとした形となるかもしれないしね! ふふ、無が有になるって事だね、おもしろっ」
「ムキャ――!!」
直後に猛烈なビンタがヴォルペの頬に叩き込まれるが相変わらず平然としてるよこの男は!
いやはやリリファルゴンにしろなんとなく娘の様な愛着感があるのだ――特に夜妖に関しては自らの行いも原因の一つであれば本当に娘の様で――ふふっ、なんだかそう考えると楽しいね。あ、また拳でグーが。
「あぁあぁリリファおねーさんも夜妖も可哀想に、可哀想に。大人しくするなら良い子だけれど――」
逃げたり抵抗するなら悪い子ね、とフルールは言い。
仕方ないので燃やしてしまおう。リリファはともかく夜妖の方は逃がせないから。
――展開する魔術がしかと夜妖を捉える――靄と言えど逃がしはしない。
残念だけれど仕方ない仕方ない。閉じ込める様に呪いのキューブに押し込んで。
『ムキャ――!!』
ついに夜妖の叫び声が発せられた。
元より直接的な戦闘能力は大した事が無い者なのだ。引き止められ、そこに攻撃を集中されれば一気に不利となって。
「どうして、逃げるの、かな。僕の胸を捥ごうともせずに。御残しは、いけないなぁ」
そこへ追撃するのが彪呑だ。表情は真顔ながら、内に含められし感情は黒く。
「胸囲の差を嘆いた者が、胸を選り好みするのかな。それでは、君も虐げる者なんだね。虐げられし持たざる者の怒りを代弁するふりして、君も。君も。君も。所詮はそんな程度。ぺったんこないないではないんだ」
まるでヤンデレストーカーの如くだ。その追撃は粘り強く、絶対に逃がさないとばかりに。
「もっと違う出会い方をしていればお友達に成れたかもしれなかったけど……ううん! だめ! これは、只の未練だよね……!」
されば追い詰めた夜妖へと焔が跳躍する。
たった一時、たった一夜出会っただけの存在であったけれど。
「――さよならリリファのふくらみが百個集まった想い。君の事は嫌いじゃなかったよ」
どこか、魂の奥底で『君は間違ってない』と思ったから。
目尻に涙を含んで焼き尽くす。
紅蓮の桜が通った跡に残る灰も未練も無し。
消滅する――お胸をもぎ取る執着が――
「ムキャ、ムキ、ャ……はっ、ハッ!? わ、私は今まで何を……?!」
同時。暴れていたリリファの様子が元に戻る――自我を取り戻したか。
「まぁ、やっぱり元に戻ったわね……♪ リリファおねーさん、もう大丈夫よ♪」
「はっ……良かったです。まだ戻らなければビン……いえ、落ち着かせる必要があるかと思ってたのですが……」
そうなればフルールは優しく語り掛け、フェリシアはダメそうな場合に備えてそっとビンタしようと思っていた手を背後に隠す。さっきまでの件は記憶にないのか困惑している様子で。
「ハハハ。まぁ落ち着いたなら一件落着で――いて、いてて。痛いなぁリリファちゃん。リリファちゃんより大きいからって暴力を振るうのはおにーさんどうかと思――あ、いたい。本当にいたい。何がとは言ってないのに!」
さすればヴォルペが言葉を紡ぐのだが、何か含みのある言い方を察知したのか『近寄らないでください!』とばかりにビンタ連発。しかし相変わらずこの男、何一つ堪えてないようである……!
「ムキャ? もうリリファルゴンタイムは終わりなのです? むー! ムキャー! メイゴンはまだいるのですよ――! ムッキャッキャー♪」
一方でメイはまだ遊び足りないご様子。お胸があるミルヴィや輪廻の方へと吶喊し。
「ははっ。結構余裕で終わっちゃったから、うーん。そうだ! 折角だからリリファ、ショッピングにいかない? この辺りにはモールもあるみたいだから、似合うのがきっとあるわよ~?」
そんなメイのぐるぐるパンチを受け止めながら、ミルヴィはリリファの服装をプロデュースせんとする。お胸の事で挑発はしたが――あれは必要であったからこそ。事が終われば穴埋めとばかりにショッピングへ連れ出す。まぁどう頑張ってもお胸の小ささはどうしようもないけれど。
上はダボットとしたシャツの内側にタンクトップを着て肩からちらっと見える布と肌でセクシーさをアピール! やりようによってファッションは変幻自在に変わるものであるのだから!
「リリファちゃん大丈夫? もう……前々から思ってたけど、別に気にしなくて良いのよん?」
お胸の事は、などと具体的な所は言わないが。
輪廻は肩をゆすって、ついでに胸もゆすってリリファの正気を確かめる。うん、なんだか目の奥にまた闇がある気がするが、心当たりがないので大丈夫だろう。とにかく、隣の芝生は青いとはよく言うが
「貴女のお月様は貴女の偽物が現れても即座に看破出来るくらい貴女の胸を見ているのよん? ――彼の為にも、下手に成長なんかさせちゃ駄目よん♪」
「??? 誰の事なんですか? 誰の事なんですか!?」
困惑するリリファ。輪廻はただただリリファの顔の前で胸をたゆんさせて微笑んで。
ともあれこれで事態は解決だ。
人に居と貧の二つがある限り、いつかまた現れるやもしれねども――
お胸に執着する人の心が生み出した怪物は、今日確かに撃退出来たのだから。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ムキャー! ムキャキャ――!! ムキャアアアア!!!
……はっ! リリファちゃんは正気に戻った!! と言う訳でありがとうございました!!
巨と貧。その二つの境界線はこれからも在り続けるのでしょう……
もしかしたらその境界線が在り続ける限り、このような夜妖は生まれるのやも……(適当
ともあれ依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!!
GMコメント
古来より負の要素が形となって魔物が生まれる事もあるのじゃ……!
と言う訳で依頼です!! 依頼!!
■依頼達成条件
夜妖の討伐。
リリファの鎮圧。
■戦場
再現性東京の一角のとある公園。時刻は夜です。
戦うに充分なスペースはありますし、真夜中だからか人の出入りも極端に少ないようです。
これ以上夜妖が被害を齎す前に此処で仕留めてやりましょう……!
■夜妖(黒い靄)
おおきいお胸を異常に敵視する謎の夜妖。
戦闘能力は非常に低いのですが、黒い靄の様な身体をしており不定形が故か【ブロックが出来ません】
その為逃がさないようになんとか奴を引き留めておく必要があります……こう……なんか……こう……挑発とか……挑発(物理的)とか……色んな手段を用いて……!!
なんとか逃がさないようにだけすれば討伐は簡単でしょう。
■リリファ・ローレンツ(p3n000042)
ローレットのイレギュラーズ。今回の依頼に同行していたのですが、敵から何か神秘的干渉攻撃があったのか暴走状態になってしまいました。どうして。
非常に凶悪なオーラを醸し出していますが、戦闘能力が向上している訳ではありません。ぽかぽかと腕を振り回しながら攻撃してきます。ぽかぽか。ダメージは脆弱なのであまり気にしなくて大丈夫です。とはいえ止まりそうにないので適当に気絶させてください! やむにやまれぬ事情であるのでハイ・ルールとかは気にしなくて大丈夫です!
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。おむねのサイズの話じゃないぞ。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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